(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記継手ユニットの通信部は、前記ガス検査機に対して前記継手ユニットが所定装着姿勢にある状態で、当該継手ユニットの装着方向に対して交差する方向から前記ガス検査機の通信部との間で赤外線通信可能に構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の点検用収容構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなガス検査機は、実際の検査に先立って作動状態を点検する必要がある。そして、従来の点検用収容構造として、特許文献を挙げることはできないが、一般的には、ガス検査機を収容可能な本体に、ガス検査機に対して特定成分を含む点検用ガスを供給するガス供給継手が、ガス検査機の点検用ガス受口部に対応した設定ガス接続位置に固定的に配置されている。
上述の点検用収容構造では、本体に収納されたガス検査機に対してガス供給継手から点検用ガスを供給することにより、点検用ガスがセンサ部に供給され、点検用ガスの特定成分濃度に応じた検査結果がガス検査機の作動状態として出力されることになる。この検査結果を、点検用ガス中の既知の特定成分濃度と比較することにより、センサ部の検出精度を正確に把握することができ、その結果に応じて適切なセンサ部の点検および校正を実行することができる。
【0005】
しかし、ガス検査機側での車輪の磨耗やタイヤ空気圧の低減等の経年的な高さ変動要因によって本体とこれに収納されたガス検査機との相対位置関係が変動することがある。これに伴って本体のガス供給継手とガス検査機の点検用ガス受口部との相対位置関係も変動するため、本体のガス供給継手とガス検査機の点検用ガス受口部との接続に手間取るばかりでなく、変動代が大きい場合には接続不能な事態を招来する可能性がある。
【0006】
また、ガス検査機の作動状態を点検するにあたっては、作業者がガス検査機を確認することなく、ガス検査機の作動状態を自動的に取得することのできる通信部を設けることが要望されている。しかし、この場合でも、本体側の通信部をガス検査機の通信部に対応した設定通信取付け位置に固定的に配置すると、ガス検査機側での車輪の磨耗やタイヤ空気圧の低減等の経年的な高さ変動要因によって本体とこれに収納されたガス検査機との相対位置関係が変動したとき、これに伴ってガス検査機の通信部と本体の通信部との相対位置関係も変動し、通信不良等を招来する可能性がある。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、ガス検査機側での経年的な高さ変動要因によって、本体とガス検査機との相対位置関係が変動した場合でも、本体とガス検査機との間での点検用ガスの供給及び通信を確実に行うことのできる点検用収容構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、検査対象空気中の特定成分に感応するセンサ部を備えたガス検査機を収容可能な本体に、前記ガス検査機に対して
接続され前記特定成分を含む点検用ガスを供給するガス供給継手と、前記ガス検査機との間で通信可能な通信部とを有する継手ユニットを位置変更自在に設けてある点にある。
【0009】
上記構成によれば、本体に収納されたガス検査機に対して継手ユニットのガス供給継手から点検用ガスを供給することにより、点検用ガスがセンサ部に供給され、点検用ガスの特定成分濃度に応じた検査結果がガス検査機の作動状態として出力されることになる。この検査結果を、点検用ガス中の既知の特定成分濃度と比較することにより、センサ部の検出精度を正確に把握することができ、その結果に応じて適切なセンサ部の点検および校正を実行することができる。
しかも、継手ユニットに設けた通信部により、作業者がガス検査機を確認することなく、ガス検査機の作動状態を自動的に取得することができる。
【0010】
さらに、ガス検査機側での車輪の摩滅等の経年的な高さ変動要因によって、本体とこれに収納されたガス検査機との相対位置関係が変動した場合でも、この位置変動を、ガス検査機を収容可能な本体に対する継手ユニットの位置変更によって吸収することができるので、継手ユニットのガス供給継手及び通信部を、ガス検査機との間での点検用ガスの供給及び通信を適正に行うことのできる相対位置関係に維持することができる。
【0011】
したがって、ガス検査機側での経年的な高さ変動要因によって、本体とこれに収納されたガス検査機との相対位置関係が変動しても、本体の継手ユニットとガス検査機との間での点検用ガスの供給及び通信を常に確実に行うことができるので、センサ部の検出精度を含むガス検査機の作動状態の点検及び通信を長期に亘って適性に実行することができる。
本発明による第2の特徴構成は、検査対象空気中の特定成分に感応するセンサ部を備えたガス検査機を収容可能な本体に、前記ガス検査機に対して前記特定成分を含む点検用ガスを供給するガス供給継手と、前記ガス検査機との間で通信可能な通信部とを有する継手ユニットを位置変更自在に設け、
前記ガス検査機は、地表面側の検査対象空気を捕集する空気捕集部を地表面に沿わせた検査姿勢で当該地表面に沿って移動操作される移動式ガス検査機であり、
前記本体は、前記移動式ガス検査機を載置収容可能な点にある。
【0012】
本発明による第
3の特徴構成は、前記継手ユニットが、前記本体から分離して前記ガス検査機に装着可能なセパレート式に構成されている点にある。
【0013】
上記構成によれば、本体から分離した継手ユニットをガス検査機の装着部位に直接装着することができるので、本体に対する継手ユニットの格納形態及び本体に対するガス検査機の収納形態の設定の自由度が高く、しかも、本体に対する継手ユニットの可動範囲も自由に設定することができる。
それ故に、本体に対して継手ユニットを一定範囲内で位置変更自在に取付けてある場合に比較して、構造の簡素化及び製造コストの低廉化を図りながら、本体とガス検査機との相対位置関係が大きく変動しても、継手ユニットとガス検査機との間での点検用ガスの供給及び通信を常に確実に行うことができる。
【0014】
本発明による第
4の特徴構成は、前記継手ユニットには、前記ガス検査機の装着部位の被係合部に係脱自在な係合部と、前記ガス検査機における前記被係合部から縦方向に偏倚した部位に当接する当接部とを備えた装着姿勢維持手段が設けられている点にある。
【0015】
上記構成によれば、本体から分離した継手ユニットをガス検査機の装着部位に装着するとき、継手ユニットに設けた装着姿勢維持手段の係合部と当接部のうち、先ず、一方の係合部をガス検査機の装着部位の被係合部に係合したのち、他方の当接部をガス検査機における被係合部から縦方向に偏倚した部位に当接させることにより、ガス検査機に対して継手ユニットを所定の装着姿勢で安定良く装着維持することができる。
それ故に、ガス検査機の装着部位に装着される継手ユニットの傾動など、継手ユニットが所定装着姿勢から外れた姿勢で装着されることに起因するガス供給継手の接続不良や通信部間での通信不良を抑制することができる。
【0016】
前記被係合部は、前記ガス検査機のバンパーの一部から構成され、前記係合部は、前記バンパーの交差する両辺部に係脱自在に構成されてい
る。
【0017】
上記構成によれば、継手ユニットの装着姿勢を維持するためのガス検査機側の被係合部を、ガス検査機を防護するバンパーの一部を利用して構造面及びコスト面で有利に構成することができる。しかも、バンパーの特有の屈曲形態を利用して、継手ユニットの係合部を、バンパーの交差する両辺部に係合させているので、バンパーに係合された継手ユニットの二方向の位置を簡単、確実に規制することができ、ガス検査機に対する継手ユニットの装着姿勢をより安定化することができる。
【0018】
本発明による第5の特徴構成は、前記継手ユニットの通信部は、前記ガス検査機に対して前記継手ユニットが所定装着姿勢にある状態で、当該継手ユニットの装着方向に対して交差する方向から前記ガス検査機の通信部との間で赤外線通信可能に構成されている点にある。
【0019】
上記構成によれば、ガス検査機に対して継手ユニットを装着方向に沿って装着操作し、継手ユニットが所定装着姿勢に到達したとき、継手ユニットの通信部とガス検査機の通信部とが装着方向に対して交差する方向から赤外線通信が可能となる。
それ故に、通信手段によりガス検査機と継手ユニットとの間で通信が可能となったことをもって、継手ユニットがガス検査機の装着部位に適正に装着されたと判定することができ、この自動判定に基づいて点検処理の実行を開始することができる。
それ故に、継手ユニットがガス検査機に適正に装着されて点検処理が実行可能であるとした場合において、その状態を上記通信手段によるガス検査機との間の通信が可能となった状態として自動的に判定して所定の点検処理の実行を開始することができる。
【0020】
本発明による第6の特徴構成は、
検査対象空気中の特定成分に感応するセンサ部を備えたガス検査機を収容可能な本体に、前記ガス検査機に対して前記特定成分を含む点検用ガスを供給するガス供給継手と、前記ガス検査機との間で通信可能な通信部とを有する継手ユニットを位置変更自在に設け、前記本体には、前記ガス検査機の走行用車輪を車軸周りでの回動による機体の姿勢変更を許容する状態で前後移動不能に受け止める車輪止め部が設けられている点にある。
【0021】
上記構成によれば、本体にガス検査機を収納する際、一般に、ガス検査機をその底面が上下方向に沿う縦向き姿勢に吊下げて搬入する形態が採られている。そのため、搬入されたガス検査機の走行用車輪を搬入姿勢のまま本体に設けられた車輪止め部に装着して、ガス検査機を走行用車輪の車軸周りで回動操作することにより、ガス検査機を検査姿勢で本体の設定収納位置に前後移動不能の状態で収納することができる。
したがって、ガス検査機の搬入時から本体の設定収納位置にガス検査機を検査姿勢で収納するまでの動作が連続し、ガス検査機の収納作業を能率良く行うことができる。
【0022】
本発明による第7の特徴構成は、
検査対象空気中の特定成分に感応するセンサ部を備えたガス検査機を収容可能な本体に、前記ガス検査機に対して前記特定成分を含む点検用ガスを供給するガス供給継手と、前記ガス検査機との間で通信可能な通信部とを有する継手ユニットを位置変更自在に設け、前記ガス検査機には、地表面側の検査対象空気を捕集する空気捕集部が設けられ、前記本体の床部には、前記空気捕集部又はその近傍に放出する形態で当該空気捕集部に前記点検用ガスを供給する床用ガス供給部が、それのガス放出口を横方向に向けた状態で設けられている点にある。
【0023】
上記構成によれば、本体の床部に設けた床用ガス供給部からガス検査機の空気捕集部又はその近傍に点検用ガスを供給することにより、実際の検査時の検査対象空気と同様に、ガス検査機の空気捕集部を介してセンサ部に点検用ガスを供給することができるので、実際の検査時における空気捕集部による検査対象空気の捕集性能やセンサ部の検出性能などのガス検査機の基本性能が正常な状態であるか否かを正確に把握することができ、その結果に応じて適切なメンテナンスを実行することができる。
【0024】
しかも、床用ガス供給部がそれのガス放出口を横方向に向けた状態で本体の床部に設けられているので、例えば、床用ガス供給部のガス放出口が上向きに構成されている場合に比して、床用ガス供給部のガス放出口が塵埃等の異物で目詰まりを招来することを抑制することができる。
したがって、床用ガス供給部のガス放出口の向き姿勢を上述の如く工夫するだけの簡単な改造をもって、実際の検査に即した形態でのガス検査機の基本性能の確認を長期に亘って適正に実行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
まず、本発明の点検用収容構造を備えたガス検査機点検システムGSが実行するガス検査機点検方法の点検対象であるガス検査機Aの構成について説明する。
【0027】
〔ガス検査機〕
本実施形態のガス検査機Aは、
図1〜
図4に示すように、地表面GL側の検査対象空気を導入して検査する検査部Cと、検査部Cでの検査結果に応じて警報音を発生する警報音発生部Bとを備えた検査機本体A1と、検査機本体A1の作動を制御する制御部3と、検査機本体A1を地表面GLに沿って移動操作する伸縮式の操作ハンドル4とを備える。そして、このガス検査機Aは、検査部Cの空気捕集部11を地表面GLに沿わせた検査姿勢で当該地表面GLに沿って移動操作される移動式ガス検査機として構成されている共に、地表面GLの下方の地中に埋設されたガス導管(図示省略)等からのガス漏洩を検査するガス漏洩検査機として構成されている。
【0028】
検査機本体A1は、前後夫々に走行用車輪12,13を有する走行フレーム14と、制御部3やその他各種補機等を内蔵する本体ボックス15とで構成されている。
また、操作ハンドル4は、走行フレーム14の前端部に設けられたヒンジ構造16(
図1参照)により、当該走行フレーム14に対して左右方向の水平軸芯周りの所定範囲内で上下揺動自在に連結されており、走行フレーム14側の電池カバー17の上面に沿って水平又は略水平に載置した収納姿勢(
図2参照)と、その収納姿勢よりも上方側の検査操作領域において傾斜した検査操作姿勢(
図1参照)との間で変更可能に構成されている。
【0029】
更に、検査機本体A1の本体ボックス15は、操作ハンドル4を構成する伸縮自在な複数のハンドル杆4A〜4Dのうち、走行フレーム14にヒンジ構造16を介して取付けられる基端側のハンドル杆4Aに固定されており、当該本体ボックス15についても、操作ハンドル4と一体的に走行フレーム14に対して上下揺動自在に構成されている。
また、操作ハンドル4が検査操作姿勢にある状態では、把持部4aを本体ボックス15に対して離間させるように操作ハンドル4を伸長させることで、検査を行う作業者が無理のない立位体勢で操作ハンドル4の先端側の把持部4aを把持して当該ガス検査機Aを押して移動させることができる。
【0030】
走行フレーム14の前端部には、ガス検査機Aの前部を保護するパイプ製のバンパー18が取付けられている。このバンパー18は、走行フレーム14の前端部から前方に水平に延出される水平辺部としての左右一対の基端パイプ部18aと、この両基端パイプ部18aの前端部から上方に延出される縦辺部としての左右一対の縦パイプ部18bと、両縦パイプ部18bの上端部に亘る左右方向に水平な横辺部としての横パイプ部18cとから構成されている。
バンパー18の横パイプ部18cの前端は、前方側の両走行用車輪12の前端を通る鉛直線上又はその近傍位置に配置されている。そのため、バンパー18の横パイプ部18cと前方側の両走行用車輪12との接地により、ガス検査機Aを操作ハンドル4が上方に向く縦向き姿勢で自立可能に構成されている。
本実施形態のガス検査機Aにおいては、操作ハンドル4を収納姿勢で収縮状態に係止固定し、且つ、前方側の両走行用車輪12とバンパー18の横パイプ部18cとによってガス検査機Aを縦向き姿勢で安定的に自立させ、この自立状態でガス検査機Aをコンパクトに保管することができる。或いは、この自立状態で操作ハンドル4の把持部4aを鉛直方に持上げてガス検査機Aを吊下げ状態で運搬することができる。
【0031】
図1、
図2に示すように、走行フレーム14の下面側には、検査機本体A1の底面側で外部開放される空気捕集部11を形成するためのゴム製シート材で構成されたシール部材20が設けられている。このシール部材20は、中央部を下方側に撓ました状態で前端部及び後端部が走行フレーム14の前端部及び後端部に固定されている。
更に、このシール部材20の中央部下面側には、上方側に凹む凹部20aが形成されており、この凹部20aの内部空間が空気捕集部11として形成されている。そして、検査機本体A1の姿勢を地表面GLに走行用車輪12,13を接地させた検査姿勢とした状態では、シール部材20の接地部位における空気捕集部11の周囲部20bが地表面GLに接することで、空気捕集部11の開放部が地表面GLにより覆われた状態となり、空気捕集部11が外気に対して略密閉状態となる。
【0032】
更に、シール部材20の凹部20aには、空気捕集部11に臨む導入口30が形成されており、この導入口30と後述するガスセンサ31(センサ部の一例)とが、吸引路32により接続されている。また、この吸引路32には、吸引路32を通じて空気捕集部11で捕集した検査対象空気を吸引してガスセンサ31に導入する吸引ポンプ33が設けられている。
このような構成により、検査機本体A1をシール部材20の接地部位における空気捕集部11の周囲部20bが地表面GLに接する検査姿勢とし、その検査姿勢の検査機本体A1を地表面GLに沿って移動させると、空気捕集部11内に存在する地表面GL側の空気が検査対象空気として吸引され、当該吸引された検査対象空気がガスセンサ31に導入されることになる。
【0033】
本体ボックス15には、
図1〜
図4に示すように、コンピュータからなる制御部3に加えて、ガスセンサ31、吸引ポンプ33等が内蔵されている。また、本体ボックス15には、
図1に示すように、操作ハンドル4を把持して操作する作業者が聴認可能な状態で音声を出力可能なスピーカ34等が配置されている。更に、本体ボックス15の上端部側には、同作業者により視認可能な状態で、液晶ディスプレイ等の表示部35、及び、電源のON・OFFやレンジ切替や音量調整等を行うための各種のスイッチ類36が配置されている。
そして、制御部3は、ガスセンサ31、及びスイッチ類36等の出力信号に基づき各種演算処理を行い、その演算結果に基づき、表示部35やスピーカ34を制御して、所望の情報表示や音声出力を行うように構成されている。
【0034】
ガスセンサ31は、特定成分として可燃性ガス(水素、メタン、プロパン等)に感応する公知のセンサ素子を利用したものとして構成されており、導入された検査対象空気中の特定成分の濃度に応じた信号を制御部3に出力する。すると、制御部3は、ガスセンサ31の出力信号から検査対象空気中の特定成分濃度を求めて表示部35に表示すると共に、その可燃性ガス濃度が許容範囲を超えた場合には、それを作業者に通知するべく、表示部35に所定の警報表示を表示し、更には、スピーカ34が警報音発生部Bとして所定の警報音を発生するように構成されている。
【0035】
以上がガス検査機Aの基本構成であるが、このガス検査機Aは、後述するガス検査機点検方法を実行するための構成を有しており、その構成について以下に説明を加える。
図2〜
図4に示すように、本体ボックス15の前面側には、ガス受給継手37Aを備えた点検用ガス受口部37が設けられている。この点検用ガス受口部37のガス受給継手37Aは、後述するガス供給継手60の点検用ガス注入ノズル61が接続された状態では自動的に開放され、点検用ガス注入ノズル61の接続が解除された状態で自動的に閉塞される自動開閉弁で構成されている。
この点検用ガス受口部37は、吸引路32の吸引ポンプ33の上流側から分岐する分岐路38に接続されており、これによりこの点検用ガス受口部37は、分岐路38、吸引路32、及び吸引ポンプ33を介して、ガスセンサ31に通じるものとなる。
【0036】
本体ボックス15の側面側には、外部との間で赤外線通信により通信可能な通信部39が設けられており、制御部3は、この通信部39を介して、後述するガス検査機点検システムGSのガス検査機用収容器具Dとの間で、ガスセンサ31で検出された特定成分濃度等の検査結果や各種補機の状態などのようなガス検査機Aの作動状態に関する情報や、後述するガス検査機点検方法を実行するための情報等を授受可能となる。
【0037】
〔ガス検査機点検システム〕
次に、ガス検査機Aの作動状態を点検するためのガス検査機点検システムGSについて説明する。
図3、
図4に示すように、ガス検査機点検システムGSは、ガス検査機Aを収容可能なガス検査機用収容器具D(点検用収容構造の一例)と、当該ガス検査機用収容器具Dに点検用ガスを供給すると共に当該ガス検査機用収容器具Dの制御部62との間で有線通信可能なコンピュータを備えたシステム本体Eとを備える。
【0038】
ガス検査機用収容器具Dは、
図3〜
図7に示すように、上述の収納姿勢にあるガス検査機Aを収容可能な収容器具本体(本体の一例)D1と、当該収容器具本体D1に対して位置変更自在に設けられる継手ユニットD2とからなる。
ガス検査機用収容器具Dの収容器具本体D1は、ガス検査機Aの前後の走行用車輪12,13を載置収納可能な水平方向に沿う扁平状の収容台部63を備え、この収容台部63の前端部側(
図5の右側)の左右方向一側部には、システム本体Eのガスボンベ53から供給される点検用ガスを継手ユニットD2の点検用ガス注入ノズル61と収容台部63の点検用ガス放出ノズル66とに対して択一的に供給するガス中継機能、及び、継手ユニットD2の制御部62とシステム本体Eの点検処理手段51との間での有線通信を中継する有線通信中継機能とを備えた中継部64が設けられている。
継手ユニットD2は、ガス検査機Aに対して特定成分を含む点検用ガスを供給するガス供給継手60の点検用ガス注入ノズル61と、ガス検査機Aの通信部39との間で赤外線通信可能な通信部65とを有し、且つ、収容器具本体D1の中継部64から分離してガス検査機Aに装着可能なセパレート式に構成されている。
【0039】
収容台部63の床面には、所定位置に載置収容されたガス検査機Aの空気捕集部11に点検用ガスを供給可能な点検用ガス放出ノズル66(床用ガス供給部の一例)が設けられている。この点検用ガス放出ノズル66は、収容台部63の所定位置に収容されたガス検査機Aの空気捕集部11内に突出する姿勢で設けられており、これにより、ガス検査機Aの空気捕集部11に点検用ガスを放出する形態で、当該空気捕集部11に点検用ガスを供給するように構成されている。
【0040】
継手ユニットD2の点検用ガス注入ノズル61は、継手ユニットD2がガス検査機Aの装着部位に前方から装着されたとき、ガス検査機Aの点検用ガス受口部37に密封状態で差し込み接続されるように構成されており、これにより、ガス検査機Aの点検用ガス受口部37に対し、周囲空気を巻き込むことなく点検用ガスを注入する形態で、当該点検用ガス受口部37に点検用ガスを供給するように構成されている。
【0041】
システム本体Eからガス検査機用収容器具Dへは、点検用ガス路41を通じて点検用ガスが供給され、この点検用ガス路41は、点検用ガス放出ノズル66に接続された放出用点検用ガス路42、及び点検用ガス注入ノズル61に接続された注入用点検用ガス路43の夫々に対して、中継部64に設けられた三方切替弁44(切替手段の一例)を介して接続されている。この三方切替弁44により、共通の点検用ガス供給源であるシステム本体E側からの点検用ガスの供給先を、点検用ガス放出ノズル66と点検用ガス注入ノズル61との間で択一的に切替可能となる。
【0042】
ガス検査機用収容器具Dの中継部64には、上記三方切替弁44の作動を制御するためのコンピュータからなる制御部62が設けられている。
継手ユニットD2の通信部65は、継手ユニットD2がガス検査機Aの装着部位に所定装着姿勢で装着されたとき、ガス検査機Aの通信部39との間で通信可能となる通信手段として機能することになる。よって、継手ユニットD2の通信部65によりガス検査機Aとの間で赤外線通信が可能となった状態は、ガス検査機Aがガス検査機用収容器具Dに点検可能な状態で収容された状態を示すことになる。
尚、継手ユニットD2の通信部65が、収容されたガス検査機Aの通信部39との間で通信を行うことにより、ガス検査機点検システムGSは、ガス検査機Aに対し、ガスセンサ31で検出された特定成分濃度等の検査結果や各種補機の状態などのようなガス検査機Aの作動状態に関する情報を取得することができ、更に、後述するガス検査機点検方法を実行するための情報等を送信可能となる。
【0043】
一方、システム本体Eの点検用ガス路41には、ガス検査機用収容器具Dに対して点検用ガス路41を通じて点検用ガスを供給するために、点検用ガスが充填されたガスボンベ53とポンプ54及び開閉弁55が接続されている。よって、開閉弁55を開放しポンプ54を作動させることで、ガスボンベ53から点検用ガス路41を通じてガス検査機用収容器具Dに点検用ガスが供給され、一方、開閉弁55を閉鎖しポンプ54を停止させることで、この点検用ガスの供給が停止される。
【0044】
更に、システム本体Eには、後述するガス検査機点検方法が具備する第1点検処理及び第2点検処理、更には点検可能状態判定処理等を実行するためのコンピュータが機能する点検処理手段51が設けられている。また、システム本体Eには、点検処理手段51がガス検査機点検方法を実行することにより得られた点検結果を出力するためのディスプレイ等の出力部52が設けられている。
【0045】
〔ガス検査機点検方法〕
次に、ガス検査機Aに対して実行されるガス検査機点検方法の構成について説明する。
このガス検査機点検方法では、作業者の五感により実行される作業者点検と、これまで説明してきたガス検査機点検システムGSにより自動的に実行されるシステム点検とからなる。
【0046】
作業者点検では、詳細な説明は割愛するが、空気捕集部11を構成するシール部材20、吸引路32を構成するチューブ、走行用車輪12,13、表示部35、スピーカ34などに損傷等の問題が生じているか否かなど、作業者が五感で確認可能なガス検査機Aの状態が点検される。
【0047】
そして、作業者は、このような作業者点検を実行した上で、ガス検査機Aをガス検査機用収容器具Dに収容したのち、ガス検査機用収容器具Dの中継部64から取り外した継手ユニットD2をガス検査機Aの装着部位に所定装着姿勢で装着する。すると、ガス検査機点検システムGSの点検処理手段51は、継手ユニットD2の通信部65によりガス検査機Aの通信部39との間の赤外線通信が可能となった状態を点検可能状態と判定する点検可能状態判定処理を自動的に実行し、当該点検可能状態判定処理で点検可能状態を判定した場合には、後述する初期設定処理を実行した上で、第1点検処理及び第2点検処理を実行する。
以下、これら初期設定処理、第1点検処理、及び第2点検処理の詳細について順に説明を加える。
【0048】
(初期設定処理)
初期設定処理では、ガス検査機Aのセンサ感度のゼロ設定を行うと共に、ガス検査機Aの電池残量等の状態の点検などを行う。
このゼロ設定では、ガス検査機用収容器具Dへの点検用ガスの供給を停止した状態で、ガス検査機Aから取得した検査結果である特定成分濃度がゼロを示すか否かを点検し、ゼロを示さない場合には、ガスセンサ31に対し補正信号を送信し、ガスセンサ31の出力に対して設定されるゼロ点を補正する。そして、このような初期設定処理を実行した後に、後述する第1点検処理及び第2点検処理を順に実行する。
【0049】
(第1点検処理)
点検処理手段51は、上記初期設定処理を実行した後に、
図3に示すように、自動的に、ガス検査機用収容器具Dへの点検用ガスの供給を開始すると共に、三方切替弁44により点検用ガスの供給先を収容台部63の点検用ガス放出ノズル66に切り替えて、第1点検処理を実行する。そして、この第1点検処理では、実際の検査時におけるガス検査機Aの基本性能、即ち、空気捕集部11により検査対象空気が正常に捕集されてガスセンサ31に供給されるか否かに関する捕集性能、ガスセンサ31が特定成分に感応するか否かに関する検出性能、制御部3がガスセンサ31の出力に応じた検出結果を表示部35の情報表示やスピーカ34の警報音出力等により出力するか否かなどの性能が点検される。
具体的に、この第1点検処理において、点検用ガスは、ガス検査機用収容器具Dに収容されたガス検査機Aの空気捕集部11又はその近傍に放出される形態で、当該空気捕集部11に供給される。そして、空気捕集部11又はそれに通じる吸引路32に詰まりなどが生じておらずガス検査機Aの基本性能が正常である場合には、その空気捕集部11に供給された点検用ガスは、通常の検査時における検査対象空気と同様に、吸引ポンプ33の吸引力により吸引路32を通じてガスセンサ31に供給されることになる。
【0050】
そして、点検処理手段51は、このような第1点検処理の実行時に、継手ユニットD2の通信部65によりガス検査機Aとの間で通信を行って、その際のガス検査機Aの作動状態を取得し、その取得した作動状態が、ガスセンサ31に点検用ガスが供給されたことを示すような作動状態である場合には、ガス検査機Aの基本性能が正常であると判定する。逆に、そのような作動状態を取得することができなかった場合には、ガス検査機Aの基本性能が異常であると判定する。そして、このようなガス検査機Aの基本性能に関する判定結果を第1点検処理の点検結果として出力部52に出力する。
一方、作業者は、出力部52に出力された第1点検処理の点検結果を確認することにより、ガス検査機Aの基本性能が正常な状態であるか否かを正確に把握することができ、その結果に応じてガス検査機Aに対し適切なメンテナンスを実行することができる。
【0051】
更に、詳細については後述するが、第2点検処理ではガスセンサ31の検出精度が点検される。よって、後の第2点検処理においてガスセンサ31の検出精度が正常であるとの点検結果が出力されたのにも拘らず、上記第1点検処理においてガス検査機Aの基本性能に異常があるとの点検結果が出力された場合には、空気捕集部11による検査対象空気の捕集性能等に異常が生じていると判断することもできる。
【0052】
(第2点検処理)
点検処理手段51は、上記第1点検処理を実行して点検結果を出力部52に出力した後に、
図4に示すように、自動的に、ガス検査機用収容器具Dへの点検用ガスの供給を継続した状態で、三方切替弁44により点検用ガスの供給先を収容台部63の点検用ガス放出ノズル66から継手ユニットD2の点検用ガス注入ノズル61に切り替えて、第2点検処理を実行する。そして、この第2点検処理では、ガス検査機Aにおけるガスセンサ31の検出精度が点検される。
具体的に、この第2点検処理において、点検用ガスは、ガス検査機用収容器具Dに収容されたガス検査機Aの点検用ガス受口部37に注入される形態で、当該点検用ガス受口部37に供給される。そして、点検口に供給された点検用ガスは、周辺空気の混入が抑制された状態で、吸引ポンプ33の吸引力により分岐路38及び吸引路32を通じてガスセンサ31に供給されることになる。
【0053】
更に、この第2点検処理では、ポンプ54の出力を調整することで、点検用ガス受口部37への点検用ガスの供給量が、ガス検査機Aの吸引ポンプ33の吸引量よりも大きく設定されている。
すると、ガス検査機Aにおいて、分岐路38から吸引路32に流入した点検用ガスの一部が、吸引ポンプ33により吸引されてガスセンサ31に供給されるものの、残部が吸引路32を空気捕集部11側に向けて逆流することになる。このように吸引路32に逆流する点検用ガスが存在すると、空気捕集部11からガスセンサ31への空気流が実質的に遮断されることになり、結果、ガスセンサ31へは、空気の混入のない純粋な点検用ガスが供給されることになる。
【0054】
ここで、点検用ガスが空気の混入が抑制された状態でガスセンサ31に供給されることから、ガスセンサ31の検出精度が正常な場合には、このガスセンサ31での特定成分濃度の検出値は、点検用ガス中の既知の特定成分濃度に対する誤差は許容誤差に収まるものとなる。
そして、点検処理手段51は、このような第2点検処理の実行時に、継手ユニットD2の通信部65によりガス検査機Aの通信部39との間で通信を行って、その際のガス検査機Aの作動状態としてガスセンサ31での特定成分濃度の検出値を取得し、その取得した特定成分濃度の検出値と点検用ガス中の既知の特定成分濃度とを比較して、その誤差をガスセンサ31の検出精度として求め、その求めたガスセンサ31の検出精度を点検結果として出力部52に出力する。
更に、この第2点検処理では、点検結果として出力されるガスセンサ31の検出精度が正常なものとなるように、ガス検査機Aの制御部3の通信部39に対しガスセンサ31の感度等の変更を指示する形態で、ガスセンサ31の自動校正を行うこともできる。
【0055】
次に、ガス検査機用収容器具Dの具体的構成について説明する。
継手ユニットD2のユニットケース70は、装着時にガス検査機Aの前面部に対面する前ケース部70Aと、ガス検査機Aの左右の側面のうち、通信部39の通信窓40が存在する一方の側面に対面し、且つ、前ケース部70Aの一端部から前後方向に沿って一体的に延設される横ケース部70Bとから構成されている。
ユニットケース70の前ケース部70Aには、
図7〜
図9に示すように、ガス検査機Aの点検用ガス受口部37のガス受給継手37Aに対して前後方向から接続されるガス供給継手60の点検用ガス注入ノズル61が突設されているとともに、横ケース部70Bには、ガス検査機Aの通信部39との間で赤外線通信可能な通信部65の通信窓67が形成されている。
そのため、継手ユニットD2がガス検査機Aの装着部位に対して前後方向から所定装着姿勢で装着された状態では、継手ユニットD2の点検用ガス注入ノズル61がガス検査機Aのガス受給継手37Aに接続され、且つ、継手ユニットD2の通信部65の通信窓67とガス検査機Aの通信部39の通信窓40とが装着方向と直交する左右方向で赤外線通信可能な状態で対面する。
それ故に、ガス検査機A側での走行用車輪12,13の磨耗等に起因して、収容器具本体D1に収納されたガス検査機aとの相対位置関係が変動した場合でも、この位置変動を、収容器具本体D1から分離した継手ユニットD2をガス検査機Aの装着部位に直接装着して、継手ユニットD2の上下位置をガス検査機Aに合わせることによって吸収することができる。継手ユニットD2のガス供給継手60及び通信部65を、ガス検査機Aとの間での点検用ガスの供給及び通信を適正に行うことのできる相対位置関係に確実に維持することができる。
【0056】
さらに、ユニットケース70の前ケース部70Aには、ガス検査機Aに対して継手ユニットD2を所定の装着姿勢で安定良く装着維持するための装着姿勢維持手段74が設けられている。この装着姿勢維持手段74は、ガス検査機Aにおける継手ユニットD2の装着部位に設けられる被係合部71の一例で、バンパー18の一部を被係合部位として係脱自在な係合部72と、ガス検査機Aの前部におけるバンパー18の被係合部位から縦方向の下方側に偏倚した部位に当接する当接部73とから構成されている。
そのため、収容器具本体D1に脱着自在に格納されている継手ユニットD2を分離してガス検査機Aに装着するとき、継手ユニットD2に設けた装着姿勢維持手段74の係合部72と当接部73のうち、先ず、係合部72をガス検査機Aのバンパー18の被係合部位に係合したのち、他方の当接部73をガス検査機Aにおけるバンパー18の被係合部位から縦方向の下方側に偏倚した部位に当接させることにより、ガス検査機Aに対して継手ユニットD2を所定の装着姿勢で安定良く装着維持することができる。
これにより、ガス検査機Aに対する継手ユニットD2の傾動に起因するガス供給継手60の接続不良や通信部間での通信不良を抑制することができる。
【0057】
本実施形態においては、バンパー18の交差する両辺部、詳しくは、横辺部としての横パイプ部18cと通信部39の通信窓40の存在側に位置する一方の縦辺部としての縦パイプ部18bとで構成される一方の角部18eを、ガス検査機Aの装着部位の被係合部71に構成している。
それ故に、継手ユニットD2の装着姿勢を維持するためのガス検査機A側の被係合部71を、ガス検査機Aを防護するバンパー18の一部を利用して構造面及びコスト面で有利に構成することができる。しかも、バンパー18の特有の屈曲形態を利用して、継手ユニットD2の係合部72を、バンパー18の交差する両辺部、つまり、バンパー18の一方の角部18eを構成する横パイプ部18cと縦パイプ部18bとに係合させているので、係合状態ではバンパー18の横パイプ部18c及び縦パイプ部18bに対する継手ユニットD2の回動を阻止して、バンパー18に対する継手ユニットD2の二方向の位置、つまり、左右方向及び上下方向の装着位置を設定装着位置に確実に規制することができ、ガス検査機Aに対する継手ユニットD2の装着姿勢をより安定化することができる。
【0058】
装着姿勢維持手段74の係合部72は、バンパー18の一方の角部18eが前方から脱着自在に嵌合して、ガス検査機Aとこれに装着された継手ユニットD2との左右方向及び上下方向の相対移動を阻止する横向き「L」字状の嵌合溝76と、当該嵌合溝76のうち、バンパー18の横パイプ部18cが嵌合する横向き嵌合溝部76aの入口側を閉止する係合状態と開放する係合解除状態とに切り替え自在な揺動式の係合アーム77と、当該係合アーム77を係合状態に揺動付勢する弾性付勢体の一例である左右一対の引張コイルスプリング78とから構成されている。
【0059】
係合アーム77は、ユニットケース70の前ケース部70Aに形成されたアーム取付け凹部70a内に左右方向に沿う枢支ピン80の軸芯周りで上下揺動自在に枢着され、係合アーム77の先端部には、嵌合溝76の横向き嵌合溝部76aに移入するバンパー18の横パイプ部18cとの当接に伴って係合アーム77を引張コイルスプリング78の弾性付勢力に抗して係合解除状態に揺動させる左右一対のローラー79が回転自在に設けられている。
係合アーム77及びローラー79は、嵌合溝76の横向き嵌合溝部76aに移入するバンパー18の横パイプ部18cの通過直後に引張コイルスプリング78の弾性付勢力で係合状態に復帰揺動する。係合状態にある係合アーム77の下側面77aと両ローラー79及び嵌合溝76の横向き嵌合溝部76aとの間には、
図9、
図10に示すように、バンパー18の横パイプ部18cを前後方向及び上下方向の移動を阻止した状態で保持可能な係合空間81が形成されている。
また、ユニットケース70の前ケース部70Aにおけるアーム取付け凹部70aの中間部位には、各引張コイルスプリング78を収納配置するバネ収納凹部70bが連通形成され、各引張コイルスプリング78は、係合アーム77におけるローラー79と枢支ピン80との間の中間部位に設けた第1バネ掛止部材82とバネ収納凹部70bの内壁の下部に設けた第2バネ掛止部材83との間に亘って張設されている。
【0060】
装着姿勢維持手段74の当接部73は、ユニットケース70の前ケース部70Aにおける点検用ガス注入ノズル61の下方側部位に左右方向に沿って突出形成されている。
そして、ユニットケース70の重心位置が、当接部73の当接位置よりも横ケース部70Bの延出側とは反対側に位置する。そのため、継手ユニットD2をガス検査機Aに装着したとき、つまり、ユニットケース70の嵌合溝76の横向き嵌合溝部76aがバンパー18の横パイプ部18cに嵌合し、且つ、係合状態にある係合アーム77の両ローラー79で横パイプ部18cの離脱が阻止されている状態では、継手ユニットD2には、当接部73をバンパー18の被係合部位から縦方向の下方側に偏倚した部位に押し付けるモーメントが作用する。これにより、ガス検査機Aに対する継手ユニットD2の装着姿勢をより安定化することができる。
【0061】
継手ユニットD2が収容器具本体D1の中継部64に格納されている状態では、ユニットケース70の前ケース部70Aは、中継部64の中継ケース85の上面85aに載置された横向き姿勢となり、ユニットケース70の横ケース部70Bは、中継ケース85の前面85bに当接した縦向き姿勢となる。
ユニットケース70の横ケース部70Bには、中継ケース85の前面85bに形成された上下方向の格納用嵌合溝86に上方又は前方から脱着自在に嵌合する格納用嵌合突条89が形成され、中継ケース85の上面85aには、前ケース部70Aの点検用ガス注入ノズル61が入り込む円形状の逃し孔87と、当接部73が上方から脱着自在に嵌合する格納用嵌合凹部88とが形成されている。
そして、継手ユニットD2を収容器具本体D1の中継部64に格納する際、ユニットケース70の横ケース部70Bの格納用嵌合突条89を中継ケース85の格納用嵌合溝86に上方又は前方から嵌合させることにより、中継ケース85に対するユニットケース70の左右方向での相対移動を阻止することができる。また、ユニットケース70の当接部73を中継ケース85の格納用嵌合凹部88に上方から嵌合させることにより、中継ケース85に対するユニットケース70の前後方向での相対移動を阻止することができる。
【0062】
収容器具本体D1の収容台部63には、
図5〜
図7に示すように、ガス検査機Aが搭載される収容台部63と、ガス検査機Aの前方側の左右一対の走行用車輪12を上方から脱着自在に嵌合装着することにより、両走行用車輪12の車軸周りでの回動によるガス検査機Aの姿勢変更を許容する状態で両走行用車輪12を前後移動不能に受け止める左右一対の車輪止め部91とが設けられている。
各車輪止め部91は、走行用車輪12のタイヤ部の略半部分を収納可能な半円弧状のタイヤ収納凹部91aが形成され、このタイヤ収納凹部91aにおける走行用車輪12の外側部位には、収納された走行用車輪12のタイヤ部の左右方向での収納位置を規制する位置規制板91bが一体形成されている。
【0063】
そのため、作業者は、
図11(a)に示すように、操作ハンドル4の把持部4aを鉛直方に持上げてガス検査機Aを吊下げ状態で搬入し、このガス検査機Aの前方側の左右一対の走行用車輪12を収容台部63の両車輪止め部91に嵌合装着する。
この嵌合装着状態では、前方側の両走行用車輪12とバンパー18の横パイプ部18cとによってガス検査機Aを縦向き姿勢で安定的に自立させることができる。
その後、自立姿勢にあるガス検査機Aの後方側の走行用車輪13が接地する側に操作ハンドル4の把持部4aを操作すると、
図11(b)に示すように、ガス検査機Aが前方側の両走行用車輪12の車軸周りで回動し、収容台部63の所定位置に検査可能な状態で収容されることになる。
【0064】
また、
図3、
図4、
図7に示すように、収容台部63の床面から上方に突出する点検用ガス放出ノズル66は、それのガス放出口66aを横方向(当該実施形態では前方の水平方向)に向けた状態で設けられている。
上述のように、点検用ガス放出ノズル66のガス放出口66aを横方向に構成することにより、例えば、点検用ガス放出ノズル66のガス放出口66aが上向きに構成されている場合に比して、ガス放出口66aが塵埃等の異物で目詰まりを招来することを抑制することができる。
したがって、点検用ガス放出ノズル66のガス放出口66aの向き姿勢を上述の如く工夫するだけの簡単な改造をもって、実際の検査に即した形態でのガス検査機Aの基本性能の確認を長期に亘って適正に実行することができる。
【0065】
〔第2実施形態〕
図12〜
図18は、収納姿勢にあるガス検査機Aを収容可能な収容器具本体(本体の一例)D1と、当該収容器具本体D1に対して位置変更自在に設けられる継手ユニットD2とからなるガス検査機用収容器具Dの別の実施形態を示す。このガス検査機用収容器具Dを含むガス検査機点検システムGSの点検機能及びガス検査機Aの検査機能は、上述の第1実施形態で説明したガス検査機点検システムGSの点検機能及びガス検査機Aの検査機能と実質的に同一に構成されている。
ガス検査機用収容器具Dの継手ユニットD2は、上述の第1実施形態では収容器具本体D1から分離してガス検査機Aに装着可能なセパレート式に構成したが、この第2実施形態では、継手ユニットD2は収容器具本体D1に対して一定範囲内で位置変更自在に組付けられており、その構成について以下に説明を加える。
【0066】
収容器具本体D1は、
図12〜
図14に示すように、水平方向に扁平状の収容台部100と、その収容台部100の前端部から上方に立設される本体取付け枠110とで構成され、そのうち、本体取付け枠110には、継手ユニットD2が位置変更自在に設けられている。
収容器具本体D1の収容台部100には、
図12〜
図15に示すように、ガス検査機Aが搭載される水平な扁平状の収容面部101と、当該収容面部101にガス検査機Aを走行させて進入させるためのスロープ部102と、収容面部101に進入したガス検査機Aの前方側の走行用車輪12を左右方向の所定位置に案内するべく、前端側ほど左右方向での対向間隔が狭くなる平面視略「八」の字状の傾斜姿勢で配置される左右一対の側方ガイド部103が設けられている。
そして、作業者は、収納姿勢にあるガス検査機Aを、走行用車輪12,13を接地させた状態で押して、スロープ部102から収容面部101に向けて走行移動させることにより、ガス検査機Aは、側方ガイド部103による左右位置の案内により、収容面部101の所定点検位置に収容されることになる。
【0067】
この収容面部101には、
図12、
図15、
図18に示すように、収容されたガス検査機Aの空気捕集部11に点検用ガスを供給可能な点検用ガス放出ノズル66(床用ガス供給部の一例)が設けられている。この点検用ガス放出ノズル66は、収容面部101の所定点検位置に収容されたガス検査機Aの空気捕集部11に臨む姿勢で配置されており、これにより、ガス検査機Aの空気捕集部11に点検用ガスを放出する形態で、当該空気捕集部11に点検用ガスを供給するように構成されている。
【0068】
次に、継手ユニットD2の構成について説明する。
図12〜
図15に示すように、収容器具本体D1の本体取付け枠110には、ガス検査機Aの走行用車輪12,13の磨耗等の経年的な高さ変動要因に起因する当該ガス検査機Aの点検用ガス受口部37の上下変動を少なくとも吸収することのできる範囲で上下動可能な昇降フレーム111が設けられている。
本体取付け枠110の上端部及び上下中間部にそれぞれ折り曲げ形成された上側フランジ110A及び中間フランジ110Bには、左右一対の昇降ガイド軸112が取付けられ、昇降フレーム111の上端部及び下端部にそれぞれ折り曲げ形成された上側フランジ111A及び下側フランジ111Bには、本体取付け枠110の昇降ガイド軸112に沿って摺動自在に外装される第1すべり軸受け113が取付けられている。
また、本体取付け枠110の上側フランジ110Aの左右両側部に設けた第1バネ掛止部材114と昇降フレーム111の左右両側部に設けた第2バネ掛止部材115とに亘って、昇降フレーム111を上方に移動付勢する弾性付勢体の一例である一対の第1引張コイルスプリング116が張設されている。
【0069】
昇降フレーム111には、
図12、
図13、
図15に示すように、ガス検査機Aの点検用ガス受口部37のガス受給継手37Aに対して前後方向から接続されるガス供給継手60の点検用ガス注入ノズル61と、収容面部101の所定点検位置に進入してくるガス検査機Aのバンパー18の横パイプ部18cとの当接により、ガス供給継手60の点検用ガス注入ノズル61をガス検査機Aの点検用ガス受口部37のガス受給継手37Aと同じ高さ位置に修正するガス接続高さ調節機構130と、収容面部101の所定点検位置にガス検査機Aが進入したとき、当該ガス検査機Aを所定点検位置に係止保持する係止機構140が設けられている。
さらに、この昇降フレーム111には、
図12〜
図15に示すように、収容面部101の所定点検位置に進入してくるガス検査機Aのバンパー18との当接によって、ガス供給継手60の点検用ガス注入ノズル61に対するガス検査機Aのガス受給継手37Aの左右方向での接続位置を設定接続位置に修正する左右一対の進入ガイド部材120と、ガス検査機Aの通信部39との間で赤外線通信可能な通信部65及び通信窓121を備えた通信ケース122と、収容面部101の所定点検位置にガス検査機Aが進入したとき、通信ケース122の通信部65とガス検査機Aの通信部39との間での赤外線通信を許可するシャッター機構150とが設けられている。
【0070】
ガス供給継手60の継手取付け部材123には、
図12、
図13、
図15に示すように、前後方向に沿って水平な左右一対の第1支持軸124が取付けられ、両第1支持軸124は、昇降フレーム111に設けた第2すべり軸受け125に貫通状態で前後方向に摺動自在に挿嵌されている。
第2すべり軸受け125から後方に突出する両第1支持軸124の後端部に亘って、両第1支持軸124の前後摺動を連動する板状の連動部材126が取付けられ、この連動部材126と本体取付け枠110の後側板110Cから後方に突出する状態で昇降フレーム111に取付けられた後部カバー119との間には、連動部材126と両第1支持軸124及び継手取付け部材123を介してガス供給継手60の点検用ガス注入ノズル61を前方側に突出付勢する弾性付勢体としての左右一対の圧縮コイルスプリング127が設けられている。
各圧縮コイルスプリング127は、後部カバー119の後側板119Aから前方に水平に延出され、且つ、連動部材126を貫通するバネ取付け軸128に外装されている。
【0071】
ガス接続高さ調節機構130には、
図12〜
図16に示すように、ガス検査機Aのバンパー18の横パイプ部18cが前方から係合する係合溝131を有するブロック状の係合部材132と、当該係合部材132の背面の複数個所(当該実施形態では4箇所)から後方に延出される水平な第2支持軸133とが備えられている。そのうち、第2支持軸133は昇降フレーム111を貫通し、その貫通した第2支持軸133の後端部は連動部材126に固定されている。
そのため、
図18に示すように、収容面部101の所定点検位置に進入するガス検査機Aのバンパー18の横パイプ部18cが係合部材132の係合溝131に係合して当接すると、この係合部材132は圧縮コイルスプリング127の弾性付勢力に抗して後退移動する。この係合部材132の後退移動に連動してガス供給継手60の点検用ガス注入ノズル61も後退するが、係合部材132が後退移動を開始する前の段階において、ガス供給継手60の点検用ガス注入ノズル61とガス検査機Aの点検用ガス受口部37のガス受給継手37Aとの接続が完了するように構成されている。
【0072】
係合部材132の係合溝131の開口側部位には、前方側ほど上下方向での開口幅が大きくなる下側傾斜ガイド面131Aと上側傾斜ガイド面131Bとが形成されている。そのうち、下側傾斜ガイド面131Aは、ガス検査機Aの走行用車輪12,13の磨耗等によって当該ガス検査機Aの点検用ガス受口部37の接続高さ位置が設定接続高さ位置よりも低い状態にあるとき、ガス検査機Aのバンパー18の横パイプ部18cと前後方向から当接する。
この当接に伴って係合部材132及び昇降フレーム111が第1引張コイルスプリング116の弾性付勢力に抗して下方に押し下げられ、押し下げられた係合部材132の係合溝131内にバンパー18の横パイプ部18cが移入する。
係合部材132の押し下げ量は、走行用車輪12,13の磨耗等による点検用ガス受口部37の接続高さ位置の変動量に相当し、係合部材132の係合溝131内にバンパー18の横パイプ部18cが移入した状態では、ガス供給継手60の点検用ガス注入ノズル61がガス検査機Aの点検用ガス受口部37のガス受給継手37Aと同じ高さ位置に修正されている。
【0073】
係止機構140は、
図12〜
図16に示すように、左右方向視において係合部材132の係合溝131の入口側を閉止する係合状態と開放する係合解除状態とに切り替え自在な揺動式の第2係合アーム141と、当該第2係合アーム141を係合状態に揺動付勢する弾性付勢体の一例である第2引張コイルスプリング142A,142Bとから構成されている。
第2係合アーム141は、昇降フレーム111の背面に取付けられたブロック状の第2取付け部材143に左右方向に沿う枢支ピン144の軸芯周りで上下揺動自在に枢着され、第2係合アーム141の先端部には、係合部材132の係合溝131に移入するバンパー18の横パイプ部18cとの当接に伴って第2係合アーム141を第2引張コイルスプリング142の弾性付勢力に抗して係合解除状態に揺動させるローラー145が回転自在に設けられている。
また、
図13に示すように、一方の第2引張コイルスプリング142Aは、第2係合アーム141における枢支ピン144よりも前方側の中間部位と昇降フレーム111に設けた第3バネ掛け部材146との間に張設されている。他方の第2引張コイルスプリング142Bは、第2係合アーム141の後端部と後部カバー119の天板119bに設けた第4バネ掛け部材147との間に張設されている。
【0074】
さらに、
図13、
図16に示すように、係合部材132が圧縮コイルスプリング127の弾性付勢力で前方に突出移動した自然状態(バンパー18の横パイプ部18cからの押圧力を受けていない無負荷状態)にあるとき、ローラー145の回転軸芯は、左右方向視においてバンパー18の横パイプ部18cが当接する係合部材132の係合溝131の奥側端面131aよりもやや後方の近傍位置に配置設定されている。
そのため、
図17に示すように、バンパー18の横パイプ部18cが係合部材132の係合溝131の奥側に進入した時点でローラー145と接触し、係合部材132の後退移動に伴って係合解除側に揺動する。
そして、
図18に示すように、係合部材132と一緒に移動するバンパー18の横パイプ部18cがローラー145を通過した直後、第2係合アーム141及びローラー145は第2引張コイルスプリング142の弾性付勢力で係合状態に復帰揺動する。これにより、バンパー18の横パイプ部18cは、係合部材132の係合溝131の奥側端面131aとローラー145との間で挟持保持される。
【0075】
左右一対の進入ガイド部材120には、収容台部100の収容面部101の所定点検位置に進入してくるガス検査機Aのバンパー18の両角部18eとの接触により、収容台部100に対するガス検査機Aの左右位置を修正する傾斜ガイド面120aが形成されている。
この両進入ガイド部材120の傾斜ガイド面120aのガイド作用により、ガス供給継手60の点検用ガス注入ノズル61に対するガス検査機Aのガス受給継手37Aの左右方向での接続位置を設定接続位置に修正することができる。
【0076】
シャッター機構150には、
図14、
図15に示すように、通信ケース122内の通信窓121と通信部65との間の赤外線通信経路に進入した通信経路遮断状態と赤外線通信経路から後方に退避した通信経路開放状態とに切り替え可能なシャッター部材151と、このシャッター部材151を通信経路遮断状態に移動付勢する第2圧縮コイルスプリング152とが備えられている。
シャッター部材151の後部151aは、昇降フレーム111を前後方向に移動自在に貫通したのち、当該昇降フレーム111と平行に左右方向に沿って折り曲げ形成されている。この折り曲げ形成されたシャッター部材151の後部151aには、昇降フレーム111を貫通してガス供給継手60の継手取付け部材123の前後作動領域に突出する開放作動軸153が設けられている。
この開放作動軸153は、係合部材132と一体的に後退移動するガス供給継手60の継手取付け部材123と当接することにより、通信経路遮断状態にあるシャッター部材151を第2圧縮コイルスプリング152の弾性付勢力に抗して通信経路開放状態に作動させる。
【0077】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、ガス検査機Aの空気捕集部11に点検用ガスを供給する床用ガス供給部(点検用ガス放出ノズル)66を、ガス検査機Aの空気捕集部11に臨む姿勢で開口して、当該空気捕集部11に点検用ガスを放出するように構成したが、別に、放出した点検用ガスが空気捕集部11に捕集される範囲において、空気捕集部11に直接放出するのではなく、例えば、その空気捕集部11近傍に点検用ガスを放出するように構成してもよい。
【0078】
(2)上述各実施形態では、ガス検査機Aとして、検査部Cの空気捕集部11を地表面GLに沿わせた検査姿勢で当該地表面GLに沿って移動操作される移動式ガス検査機を例に挙げて説明したが、少なくとも検査対象空気中の特定成分に感応するセンサ部(ガスセンサ)31を備えた携帯式のガス検査機であってもよい。
【0079】
(3)収容器具本体D1に対して継手ユニットD2を移動自在に構成するにあたって、収容器具本体D1に設けた三次元方向に移動自在なアームの先端部に継手ユニットD2を取付けて実施してもよい。
【0080】
(4)上述の第1実施形態において、収容器具本体D1の中継部64に、収容器具本体D1から分離した継手ユニットD2をガス検査機Aの装着部位に装着する際、継手ユニットD2に接続された状態で中継部64から繰り出されるガスホース及び通信線を巻き取る巻取り機を設けて実施してもよい。
【0081】
(5)上述の第2実施形態において、車輪止め部91に、走行用車輪12の磨耗状態を計測するための目盛り又は磨耗許容値を付記してもよい。