(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される棒金保管庫は、それぞれのセット部にセットされた棒金の有無を基に、機内の有り高を検出するように構成されている。このため有り高算出の前提条件としては、収納する棒金のそれぞれは、予め想定した完全な状態である必要がある。すなわち、予め前記セット部が設定されている金種の硬貨であり、枚数は50枚であり過不足があってはならない。このため、例えば、誤って機内へ硬貨が不足した状態で作成された不完全な棒金が収納された場合や、窃盗を目的として、故意に、機内に収納されている完全な状態の棒金から、数枚の硬貨を抜き取って機内へ戻された場合などは、これらを検出する手段がなく、有り高の不一致となり厳格に管理ができなくなる。
【0005】
本発明は、集積硬貨の枚数の過不足を省スペースで検出することが可能となる集積硬貨検出装置および棒金保管庫の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の態様の集積硬貨検出装置は、長手方向の一端側が密であり他端側が疎であるパターンの検出コイルと、集積硬貨がセット可能であり、セットされた集積硬貨を、その集積方向が前記検出コイルの長手方向に沿
うように配置するセット部と、
前記検出コイルの検出結果に基づいて、前記セット部にセットされた集積硬貨の枚数の過不足の検出を行う検出部と、を有
し、前記検出コイルは、単一であり、疎部が前記セット部における長手方向の基準面側に配置されると共に、密部が前記セット部における長手方向の前記基準面とは反対側に配置されることを特徴とする。
本発明に係る第2の態様の集積硬貨検出装置は、長手方向の一端側が密であり他端側が疎であるパターンの検出コイルと、集積硬貨がセット可能であり、セットされた集積硬貨を、その集積方向が前記検出コイルの長手方向に沿うように配置するセット部と、前記検出コイルの検出結果に基づいて、前記セット部にセットされた集積硬貨の枚数の過不足の検出を行う検出部と、を有し、前記検出コイルが一対あり、一方の前記検出コイルと他方の前記検出コイルとが疎密を逆向きに配置されると共に、一対の前記検出コイルの密部がそれぞれ前記セット部における長手方向の一方の外側及び他方の外側に位置するように配置されることを特徴とする。
【0007】
上記第1
,第2の態様によれば、セット部にセットされた集積硬貨に対し、その集積方向に長手方向を沿わせるように配置された検出コイルで集積硬貨の枚数の過不足を検出するため、集積硬貨の枚数の過不足を省スペースで検出することが可能となる。また、セット部は、セットされた集積硬貨の集積方向端部を検出コイルの一端の密側に位置するように配置することになるため、集積硬貨の集積方向端部の位置の検出精度を向上させることができ、集積硬貨の枚数の過不足の検出精度を向上させることができる。
【0008】
本発明に係る第
3の態様の集積硬貨検出装置は、上記第1
または第2の態様において、前記検出コイルは、前記セット部にセットされた集積硬貨の外周面に沿って湾曲することを特徴とする。
【0009】
上記第
3の態様によれば、前記検出コイルは、前記セット部にセットされた集積硬貨の外周面に沿って湾曲するため、より省スペースとなり、加えて、集積硬貨に全体として近づいて検出精度を向上させることができる。
【0010】
本発明に係る第
4の態様の集積硬貨検出装置は、上記第
3の態様において、前記検出コイルは、柔軟性を持つフレキシブル基板に形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記第
4の態様によれば、検出コイルが柔軟性を持つフレキシブル基板に形成されているため、検出コイルを湾曲形状にすることが容易にできる上、より省スペースとなる。
【0013】
上記第
2の態様によれば、検出コイルが、互いに疎密を逆向きにして一対設けられているため、集積硬貨の集積方向両端部の相対位置を精度良く検出することができる。よって、集積硬貨の位置によらずに、集積枚数の過不足を精度良く検出することができる。
【0014】
本発明に係る第5の態様の棒金保管庫は、
棒金を収納する棒金収納部を有すると共に、前記棒金収納部に、上記第1乃至第4のいずれか一態様の集積硬貨検出装置が設けられ、
前記棒金収納部に収納
されて前記セット部にセットされている棒金の集積硬貨の枚数の過不足を前記集積硬貨検出装置によって検出することを特徴とする。
【0015】
上記第5の態様によれば、収納している棒金の集積硬貨の枚数の過不足を、省スペースで精度良く検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、集積硬貨の枚数の過不足を省スペースで検出することが可能となる集積硬貨検出装置および棒金保管庫を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態の集積硬貨検出装置を
図1〜
図4を参照して以下に説明する。
【0019】
第1実施形態の集積硬貨検出装置11は、単一金種の複数枚のバラ硬貨Cが径方向の位置を揃えて軸方向に集積された集積状態の集積硬貨Sを検出するものである。具体的に、この集積硬貨検出装置11は、
図1(a)に示すように、複数枚のバラ硬貨Cが集積された、包装前の状態の集積硬貨Sと、
図1(b)に示すように、集積状態で包装紙Hが巻き付けられて包装され棒金Bの状態となった集積硬貨Sとの両方について、包装単位の規定枚数(50枚)に対する硬貨枚数の過不足を検出可能となっている。この集積硬貨検出装置11は、例えば、包装処理において包装する前に集積硬貨Sの過不足を検出したり、包装処理において包装後の棒金Bの集積硬貨Sの過不足を検出したりすることに使用される。
【0020】
集積硬貨検出装置11は、
図2に示すように集積硬貨Sの外径よりも大径の部分円筒面状の載置面21を有する部分円筒状の載置部22と、
図1に示すように載置部22の中心軸方向の一端側に設けられた当接部24と、載置部22の中心軸方向の他端側に設けられた押圧部26と、押圧部26を付勢するバネ28と、を有するセット部31を備えている。セット部31は、その載置部22が、
図2に示すように上方に開口する向き、言い換えれば下方に凹む状態で水平に配置されている。
【0021】
図1に示すように、載置部22の中心軸方向の一端側に設けられた当接部24は、この中心軸方向の他端側に向き、この中心軸に対し直交して広がる当接面25を有している。載置部22の中心軸方向の他端側に設けられた押圧部26は、この中心軸方向の一端側に向き、この中心軸に対し直交して広がる押圧面27を有している。当接部24の当接面25と、押圧部26の押圧面27とは、互いに対向している。押圧部26は、載置部22の中心軸方向に移動可能に支持されており、バネ28は、当接部24に近づく方向に押圧部26を付勢する。
【0022】
セット部31には、集積硬貨Sが、外周面において載置部22に載置されることになり、その際に、集積方向(棒金Bの場合は軸方向)の一端部を当接部24の当接面25に対向させ、集積方向の他端部を押圧部26の押圧面27に対向させてセットされる。セット部31にセットされた集積硬貨Sは、バネ28の付勢力で集積方向の一端の硬貨Cが当接部24の当接面25に当接し、集積方向他端の硬貨Cが押圧部26の押圧面27に当接して、これら当接部24および押圧部26に挟持される。セット部31は、セットされた集積硬貨Sを、すべての硬貨Cが中心軸を載置面21の中心軸と平行させて軸方向に集積された集積状態に維持する。
【0023】
ここで、当接面25および押圧面27と、載置面21との間には隙間があり、当接面25および押圧面27は、
図1(a)に示すように包装されていない集積硬貨Sの両端部の硬貨Cに当接して、この集積硬貨Sを挟持することが可能であると共に、
図1(b)に示すように集積状態で包装されて棒金Bの状態となった集積硬貨Sの両端部の硬貨Cに当接して、この集積硬貨Sを挟持することも可能となっている。
【0024】
集積硬貨検出装置11は、
図2に示すように、セット部31の載置部22の下側に、この載置部22の湾曲に倣って部分円筒状に湾曲するフレキシブル基板41を有している。フレキシブル基板41は柔軟性を持っており、基本状態は平板状をなすものの、この状態から湾曲が可能である。フレキシブル基板41は、湾曲してセット部31の部分円筒状の載置部22の部分円筒面状の下面23に密着している。
【0025】
フレキシブル基板41には、これが平板状をなす状態で、
図3に示すパターンの検出コイル44が形成されている。検出コイル44を構成する導線部45は、フレキシブル基板41が広がる平面と同一の平面内で、全体として帯状に長くなるように矩形の渦巻き状に巻かれている。しかも、導線部45は、検出コイル44における長手方向の一端側および幅方向両側は等間隔となり、長手方向の他端側が、一端側および幅方向両側よりも間隔が広く、しかも他端側ほど間隔が広がるように巻かれている。すなわち、検出コイル44は、パターン間隔を長さ方向に沿って疎から密に変化させている。
【0026】
これにより、検出コイル44は、長手方向の一端側が密部51とされ、他端側が密部51よりも疎の疎部52とされたパターンとなっている。すなわち、検出コイル44は、長手方向の一端側が密であり他端側が疎であるパターンとなっている。
【0027】
フレキシブル基板41は、検出コイル44の長手方向をセット部31の載置部22の長手方向と一致させ、これら検出コイル44および載置部22の長手方向の位置を重ね合わせて、セット部31の載置部22の下側に配置されている。フレキシブル基板41は、載置部22の湾曲に倣って部分円筒状に湾曲されているため、フレキシブル基板41の検出コイル44も、幅方向において載置部22の載置面21の湾曲に倣って部分円筒状に湾曲されることになる。フレキシブル基板41は、検出コイル44の疎部52を当接面25側に、検出コイル44の密部51を押圧面27側に配置している。検出コイル44の密部51は、載置面21の長手方向における当接面25からの距離が、過不足を生じていない規定枚数(例えば50枚)の集積硬貨Sの軸方向長さと同等の位置に配置されている。
【0028】
セット部31は、当接面25に集積方向の一端部を当接させ、載置面21に外周部を当接させてセットされた集積硬貨Sを、その集積方向が検出コイル44の長手方向に沿い、その集積方向の他端部が検出コイル44の密部51側に位置するように配置することになる。検出コイル44は、セット部31にセットされた集積硬貨Sの外周面に沿って湾曲することになる。
【0029】
集積硬貨検出装置11は、上記検出コイル44に交流電流を流し、その発振周波数(インダクタンス、インピーダンス)の変化量を検出データ値として検出して、検出データ値が下限値以上であるか否かで、セット部31の集積硬貨Sの有無を検出する検出部55を有している。すなわち、検出部55は、検出データ値が下限値より小さければ、集積硬貨Sがセット部31にないことを検出し、検出データ値が下限値以上であれば集積硬貨Sがセット部31にあることを検出する。
【0030】
また、検出部55は、この検出データ値が所定の許容範囲にあるか否かで、セット部31にセットされた集積硬貨Sの集積枚数が所定枚数であるか否かを検出する。すなわち、検出部55は、検出データ値が所定の許容範囲にあれば、集積硬貨Sの集積枚数が所定枚数であり、検出データ値が所定の許容範囲になければ、集積硬貨Sの集積枚数に過不足があると判定する。
【0031】
以上に述べた第1実施形態の集積硬貨検出装置11によれば、セット部31にセットされた集積硬貨Sに対し、その集積方向に長手方向を沿わせるように配置された検出コイル44で集積硬貨Sの有無および集積硬貨Sの集積枚数の過不足を検出するため、集積硬貨Sの有無および集積枚数の過不足を省スペースで検出することが可能となる。
【0032】
また、セット部31は、セットされた集積硬貨Sの基準となる当接面25とは反対側の集積方向端部を検出コイル44の一端の密側に位置するように配置することになるため、集積硬貨Sの集積方向端部の位置の検出精度を向上させることができ、集積硬貨Sの集積枚数の過不足の検出精度を向上させることができる。
【0033】
すなわち、パターン間隔を変化させた検出コイル44から発生する磁界は検出コイル44上で強弱が異なる。検出コイル44のパターン間隔が狭い(密側)と、発生する磁界が強いため、媒体を設置した時のインダクタンスの変化量が大きく、逆にパターン間隔が広い(疎側)と、発生する磁界が弱く、媒体を設置した時のインダクタンスの変化量は小さくなる。つまり、検出コイル44の出力値において、硬貨1枚分の差が大きくなる(検出精度が高い)のは、疎密のあるパターンの密の部分、均一なパターン、疎密のあるパターンの疎の部分、の順となる。よって、第1実施形態のように、疎密のあるパターンの検出コイル44の密の部分に、集積硬貨Sの基準から最も遠い端部が位置するように検出コイル44を配置する構成にすることで、集積硬貨Sの基準から最も遠い端部の硬貨の過不足を良好に検知することができ、集積硬貨Sの硬貨枚数の過不足を精度良く検出することが可能となる。しかも、集積状態で包装されていない包装前の集積硬貨Sと、集積状態で包装されて棒金Bの状態となった集積硬貨Sとの両方について同様に過不足を精度良く検出することが可能となる。
【0034】
第1実施形態の集積硬貨検出装置11では、例えば、
図4(a)に示すように、セット部31への10円硬貨のセット枚数が規定枚数(例えば50枚)に近づいて密部51に近づくと1枚の増減での検出データ値の変化の幅が大きくなる。これに対し、比較例として、セット部31が、セットされた集積硬貨Sの当接面25とは反対側の集積方向端部を検出コイル44の疎側に位置するように配置すると、
図4(b)に示すようにセット部31への10円硬貨のセット枚数が規定枚数(例えば50枚)に近づいて疎部52に近づくと1枚の増減での検出データ値の変化の幅が、第1実施形態の集積硬貨検出装置11よりも小さくなる。
【0035】
加えて、第1実施形態の集積硬貨検出装置11によれば、検出コイル44は、セット部31にセットされた集積硬貨Sの外周面に沿って湾曲するため、より省スペースとなり、加えて、集積硬貨Sに全体として近づいて検出精度を向上させることができる。すなわち、検出の範囲を無駄なく広くとれることから、検出精度を向上させることができる。ただし、検出コイル44は平面状であっても、集積硬貨Sの有無および集積枚数の過不足の検出は可能であり、よって、従来のガラスエポキシ樹脂等の平板状のリジッド基板とすることも可能である。
【0036】
また、検出コイル44が柔軟性を持つフレキシブル基板41に形成されているため、検出コイル44を湾曲形状にすることが容易にできる上、より省スペースとなる。
【0037】
また、フレキシブル基板41がセット部31の載置部22の下面23に密着して設けられているため、実装スペースが抑制されるとともに、硬貨の有無(および過不足)の検知に際し、より有効な検出エリアを確保できる。
【0038】
また、集積硬貨Sを集積方向に沿って移動する押圧部26で当接部24との間に挟持する構成であるため、例えば、硬貨包装装置に組み込んでの包装前硬貨の集積枚数の過不足の自動検出を行わせることが可能となる。ここで、セット部31の載置部22を傾斜させたり、鉛直に配置して、集積硬貨Sの集積方向一側の端面を集積硬貨Sの自重により当接面25に当接させるようにしても良い。この場合、押圧部26およびバネ28をなくすことも可能である。
【0039】
<第2実施形態>
本発明に係る第2実施形態の集積硬貨検出装置11を
図5〜
図7を参照して第2実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0040】
第2実施形態の集積硬貨検出装置11は、棒金Bの状態に包装された集積硬貨Sの過不足を検出するものである。第2実施形態の集積硬貨検出装置11は、
図5に示すように、セット部31の載置部22が下方に凹む状態で水平に配置されている。そして、載置部22の軸方向の両側に、載置部22から立ち上がる一対の壁部61が形成されている。一対の壁部61の相互に対向する壁面62は、載置部22の中心軸線に対して直交して広がっている。一対の壁部61の壁面62間の距離は、棒金Bの長さよりも若干長くなっており、棒金Bの抜き差しが容易となっている。このため、セット部31にセットされた棒金Bは、軸方向(集積硬貨Sの集積方向)の位置が壁面62間の範囲で移動可能となっている。
【0041】
第2実施形態の集積硬貨検出装置11は、セット部31の載置部22の下側で、この載置部22の湾曲に倣って部分円筒状に湾曲するフレキシブル基板41が、
図6に示すように、長手方向の一端側が密部51とされ他端側が疎部52とされたパターンの検出コイル44を長手方向に直列に並べて一対有している。フレキシブル基板41は、一対の検出コイル44の長手方向をセット部31の載置部22の長手方向と一致させ、一対の検出コイル44と載置部22との長手方向の位置を重ね合わせている。
【0042】
一対の検出コイル44は、一方の検出コイル44と他方の検出コイル44とが疎密を逆向きにしている。言い換えれば、一対の検出コイル44は、一方の検出コイル44と他方の検出コイル44とで疎密が互い違いになるように配置されている。一方の検出コイル44は、他方の検出コイル44とは反対側が密部51となり、他方の検出コイル44も、一方の検出コイル44とは反対側が密部51となるように配置されている。すなわち、パターン間隔を疎から密に変化させたパターンの検出コイル44が、一対、それぞれの密の部分が外側を向くように直列に配置されている。
【0043】
一方の検出コイル44は、セット部31にセットされた過不足のない棒金Bの軸方向の一端部が密部51に近接し、他方の検出コイル44は、セット部31にセットされた過不足のない棒金Bの軸方向の他端部が密部51に近接するように配置されている。よって、一対の検出コイル44は、いずれも疎部52がセット部31にセットされた過不足のない棒金Bの軸方向の中央に近接する。
【0044】
上記したように、セット部31においては、セットされた棒金Bが壁面62間の範囲で移動可能となっているため、位置が定まらないが、棒金Bが、
図7(a)に示すようにセット部31の一端に寄って一方の壁面62に当接する状態、
図7(b)に示すようにセット部31の中間部に位置して両側の壁面62から離間する状態、
図7(c)に示すようにセット部31の他端に寄って他方の壁面62に当接する状態、のいずれの状態であっても、棒金B内の集積硬貨Sの集積枚数が極端に少ない(例えば、正常な棒金枚数の半分となる25枚以下)ことがなければ、棒金Bが2つの直列に並べられた検出コイル44を長手方向に跨ぐように配置するようになっている。
【0045】
検出部55は、集積硬貨Sの一方の端部に密部51において近接する一方の検出コイル44で、この一方の端部の位置に応じた検出データ値を検出し、同じ集積硬貨Sの他方の端部に密部51において近接する他方の検出コイル44で、この他方の端部の位置に応じた検出データ値を検出する。そして、検出部55は、これらの検出データ値に基づいて、セット部31の棒金Bの有無と、棒金Bの集積硬貨Sの硬貨枚数の過不足の有無を検出する。
【0046】
ここで、棒金B内の集積硬貨Sの集積枚数が極端に少ない(例えば、正常な棒金枚数の半分となる25枚以下)場合には、棒金Bのセット部31への配置が、
図7(a)〜
図7(c)の状態にはならずに、中央部分に硬貨Cがない配置状態となることも場合によっては起こり得る。つまり言い換えると、2つの検出コイル44を跨ぐように棒金Bが配置されないケースが考えられる。このような配置状態では、2つの検出コイル44のうち、いずれか一方の検出コイル44上には、集積硬貨Sが存在していない状態となる。したがって、当該検出コイル44からの検出データ値からは集積硬貨Sが無いと判断されるため、この場合に、検出部55は、他方の検出コイル44の検出データ値に関わらず、棒金Bの硬貨枚数に不足があると判定する。
【0047】
以上に述べた第2実施形態の集積硬貨検出装置11によれば、検出コイル44が、互いに疎密を逆向きにして一対設けられているため、集積硬貨Sの集積方向両端部の相対位置を精度良く検出することができる。よって、集積硬貨Sの集積方向の位置の基準を設けなくても済み、集積硬貨Sの位置によらずに、集積硬貨Sの集積枚数の過不足を精度良く検出することができる。
【0048】
ここで、フレキシブル基板41が、長手方向の一端側が密部51とされ他端側が疎部52とされたパターンの検出コイル44を長手方向に直列に並べて一対有するのではなく、
図8に示すように、一対の検出コイル44を、互いに疎側の一部の位置を長手方向に重ね合わせても良い。この場合も、長手方向において、一方の検出コイル44は、セット部31にセットされた過不足のない棒金Bの軸方向の一端部が密部51に近接し、他方の検出コイル44は、セット部31にセットされた同じ棒金Bの軸方向の他端部が密部51に近接するように配置される。
【0049】
さらには、
図9に示すように、一対の検出コイル44を、互いに長手方向の位置を全長にわたって重ね合わせて、並列に配置しても良い。この場合、疎密を互いに逆向きにした一対の検出コイル44は、長手方向において、一方の検出コイル44の密部51が他方の検出コイル44の疎部52と位置が合い、一方の検出コイル44の疎部52が他方の検出コイル44の密部51と位置が合う。この場合も、長手方向において、一方の検出コイル44は、セット部31にセットされた過不足のない棒金Bの軸方向の一端部が密部51に近接し、他方の検出コイル44は、セット部31にセットされた同じ棒金Bの軸方向の他端部が密部51に近接するように配置される。
【0050】
以上において、セット部31に予め設定された金種の集積硬貨Sがセットされる場合、検出部55は、その金種の下限値および許容範囲と検出データ値とを比較すれば、当該特定金種の棒金Bの有無および当該特定金種の棒金Bを構成する集積硬貨Sの集積枚数の過不足を検出することができる。
【0051】
これに対し、セット部31が、セットされる棒金Bが予め特定金種の棒金Bであると特定されていない、言い換えれば、いずれの金種の棒金Bであってもセット可能な場合は、棒金B内の集積硬貨Sの検出に際して、検出コイル44を、少なくとも2種類以上の複数(例えば材質毎の4種、径の影響も考慮した6種(1円、5円、10円、50円、100円、500円)の周波数によってそれぞれ駆動し、それぞれの周波数における検出データ値の組み合わせ、あるいは所定の演算により、棒金Bの有無、金種判定および棒金B内の集積硬貨Sの集積枚数の過不足を検出する。
【0052】
以上の第1,第2実施形態の集積硬貨検出装置11は、
図10に示すように棒金Bを収納する棒金保管庫71に装備可能である。このように構成すれば、棒金保管庫71の集積硬貨検出装置11に棒金Bを一本ずつセットすることにより、棒金保管庫71に収納している棒金Bの金種および集積硬貨Sの枚数の過不足を、棒金保管庫71に設けられた各集積硬貨検出装置11によって検出することができる。
【0053】
棒金保管庫71は、筐体72と、この筐体72から操作者側に引き出し可能および筐体72内に押し込み可能に設けられた棒金トレイ73とを有している。棒金トレイ73には、棒金Bがセットされる複数の上記した集積硬貨検出装置11が引き出し前後方向および左右方向に並べられて設けられている。そして、例えば、筐体72から棒金トレイ73が引き出された後、棒金トレイ73が筐体72に押し込まれたことを図示略のセンサで検出すると、検出部55が、各集積硬貨検出装置11の棒金Bの有無、金種判定および棒金B内の集積硬貨Sの集積枚数の過不足を検出して棒金保管庫71内の棒金Bの在り高を検出する。その際に、集積硬貨Sの集積枚数の過不足が検出された棒金Bがある場合、その旨のアラームを発生させると共に、集積枚数の過不足が検出された棒金Bがセットされた集積硬貨検出装置11の識別を報知させる。
【0054】
このような棒金保管庫71によれば、収納している棒金B内の集積硬貨Sの枚数の過不足を、省スペースで精度良く検出することができる。