(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記Bcr−Ablによる病気は増殖性疾患であり、充実性腫瘍、肉腫、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、消化管間質腫瘍、甲状腺癌、胃癌、直腸癌、多発性骨髄腫、腫瘍形成およびその他増生増殖性または増殖性疾患であるから選択されること、或いは、前記Bcr−Ablによる病気は、転移浸潤性癌、ウイルス感染又はCNS障害であることを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、新しい(ヘテロ)アリールアミド類化合物および前記化合物を含む組成物とその用途を提供し、当該化合物は、より良いBcr−Ablキナーゼ阻害活性(特にT31 5I変異に対して)、より低い副作用および/またはより良い薬力学/薬物動態性能を有し、Bcr−Ablキナーゼによって仲介される病気の治療に用いることができる。
【0006】
これに対して、本発明が採用する技術構成は以下の通りである。
【0007】
本発明の第一の方面では、式(I)に示す(ヘテロ)アリールアミド化合物、或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物を提供する。
【化2】
その中:
Y
1はCR
aまたはNから選ぶ。
Yは独立してCR
aまたはNから選択する。
R
1は水素、ハロゲン、ニトリル基、ニトロ基、C
1−6アルキル基またはC
1−6ハロゲン化アルキル基から選択され、その中、前記C
1−6アルキル基またはC
1−6ハロゲン化アルキル基は、R
1a基に置換されてもよい。
R
2は水素、C
1−6アルキル基またはC
1−6ハロゲン化アルキル基から選択され、その中、前記C
1−6アルキル基またはC
1−6ハロゲン化アルキル基は、R
2a基に置換されてもいい。
Zは化学結合、O、S(O)
0−2或はNR
bである。
または、−Z−R
2は、全体に−SF
5を表示する;
Arは
【化3】
又は
【化4】
を示す;
その中、X
1はO、SまたはNR
bから選択され、X
2〜X
8は独立にCRまたはNから選択される。
X
1がOまたはSである場合、X
2、X
3とX
4の中の一つは母核に連結するC原子である;X
1がNR
bである場合、X
2、X
3とX
4のうちの一つは母核と連結するC原子であり、且つその中の少なくとも一つはNである;
Hetは
【化5】
その中、X
9はO、S、NR
b或いはC(R)
2から選択される。
mは0、1または2である。
nは0、1、2、3、4、5或は6である。
R
aは、独立に水素、ハロゲン、ニトリル基、ニトロ、水酸基、−NH
2、−NHC
1−6アルキル基、−N(C
1−6アルキル基)
2、C
1−6アルキル基、C
1−6ハロゲン化アルキル或いはC
1−6アルコキシル基から選択する。
R
bは独立に水素、C
1−6アルキル基或はC
1−6ハロゲン化アルキル基から選択する。
R
1a、R
2aとRは、独立に水素、ハロゲン、水酸基、−NH
2、−NHC
1−6アルキル基、−N(C
1−6アルキル基)
2、C
1−6アルキル基、C
1−6ハロゲン化アルキル基、C
1−6アルコキシル基、C
3−7シクロアルキル基、C
3−7複素環基、C
6−10アリールあるいはC
5−10ヘテロアリール基から選択された。
あるいは、同一原子または隣接原子上の二つのR基は、一緒にC
3−7シクロアルキル基、C
3−7複素環アルキル基、C
6−10アリール基またはC
5−10ヘテロアリール基を形成してもいい。
【0008】
その一方、本発明は、本発明の化合物と薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。具体的な実施形態では、本発明の化合物は有効量で前記医薬組成物中に提供される。具体的な実施形態では、本発明の化合物は治療有効量で提供される。具体的な実施形態では、本発明の化合物は予防有効量で提供される。
【0009】
その一方、本発明は、本発明の化合物と薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。
【0010】
一方、本発明は、本発明を含む化合物、および他の治療薬および薬学的に許容されるキャリア、アジュバントまたはビークルを含むキットを提供する。
【0011】
もう一つの方面では、本発明は、本発明の化合物が、Bcr−Ablによる疾病を治療及び/又は予防するための薬物の製造における用途を提供する。
【0012】
もう一つの方面では、本発明は、前記化合物または本発明の組成物を被験者に投与することで、前記被験者のBcr−Ablによる疾病を治療および/または予防することを提供する。
【0013】
もう一つの方面では、本発明は、Bcr−Ablによる疾病の治療および/または予防をするための本発明の化合物または本発明の組成物を提供する。
【0014】
具体的な実施形態では、前記疾病は、充実性腫瘍、肉腫、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、消化管間質腫瘍、甲状腺癌、胃癌、直腸癌、多発性骨髄腫、腫瘍形成およびその他増生性または増殖性疾患から選択される。
【0015】
具体的な実施形態において、前記Bcr−Ablによる疾病は、慢性骨髄性白血病、消化管間質腫瘍、急性顆粒球白血病、甲状腺癌、転移浸潤性癌またはその組み合わせである。
【0016】
一方、本発明の化合物は、野生型Ablの異常活性化による、キナーゼ活性と関連する疾病または障害を治療および/または予防することに用いられ、前記疾病または障害は、非悪性疾患または障害、例えばCNS疾患、特に神経変性疾患(例えばアルツハイマー病、パーキンソン病)、運動ニューロン病(筋萎縮性側索硬化症)、筋ジストロフィー、自己免疫疾患および炎症性疾患(糖尿病および肺線維症)、ウイルス感染、プリオン病を含む。
【0017】
具体的な実施形態では、経口、皮下、静脈内または筋肉内投与にて、前記化合物を給与する。具体的な実施形態では、前記化合物を長期投与する。
【0018】
後の具体的な実施形態、実施例と権利要求によって、本発明の他の目的と利点は当分野の技術者に明らかである。
【0019】
定義
化学的な定義
具体的な官能基と化学用語の定義について詳しく述べる。
【0020】
数値範囲を列挙する場合には、それぞれの端点値、及びそれらにより形成する範囲内のサブ範囲を含むことになる。例えば、「C
1−6アルキル」はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6、C
1−6、C
1−5、C
1−4、C
1−3、C
1−2、C
2−6、C
2−5、C
2−4、C
2−3、C
3−6、C
3−5、C
3−4、C
4−6、C
4−5、C
5−6アルキル基である。
【0021】
本文において、次に定義されている部分は、多くの置換基で置換されていてもよく、且つ、相応の定義は、以下に記載されているそれらの範囲の内に、当該置換部分を含む。特に説明がない限り、「置換」は以下に定義されている。
【0022】
「C
1−6アルキル」は、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖飽和炭化水素基団を指し、本稿では「低級アルキル」とも呼ぶ。一部の実施形態では、C
1−4アルキル基は特に好ましいである。前記アルキル基の実例は、メチル(C
1)、エチル(C
2)、n−プロピル(C
3)、イソプロピル(C
3)、n−ブチル(C
4)、tert−ブチル(C
4)、sec−ブチル(C
4)、イソブチル(C
4)、n−ペンチル(C
5)、3−ペンチル(C
5)、ペンチル(C
5)、ネオペンチル(C
5)、3−メチル−2−ブチル(C
5)、第4ペンチル(C
5)、n−ヘキシル(C
6)を含みますが、それらに限定されていない。特に説明がなければ、アルキル基のそれぞれは、独立に任意に置換されていても良く、即ち、未置換の(「置換されていないアルキル基」)或は一つ以上の置換基で置換された(「置換されたアルキル基」)、例えば1個から5個の置換基、1個から3個の置換基、或は1個の置換基である。一部の実施形態では、アルキル基は非置換のC
1−6アルキル基(例えば−CH
3)である。一部の実施形態では、アルキル基は置換されたC
1−6アルキル基である。
【0023】
「C
1−6アルコキシ」は−OR基を指し、その中、Rは置換または未置換のC
1−6アルキル基である。一部の実施形態では、C
1−4アルコキシは特に好ましいである。具体的な前記アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基および1,2−ジメチルブトキシ基を含むが、それらに限定されていない。
【0024】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)を指す。一部の実施形態では、ハロゲン基はF、Cl或はBrである。一部の実施形態では、ハロゲン基はClである。一部の実施形態では、ハロゲン基はFである。一部の実施形態では、ハロゲン基はBrである。
【0025】
したがって、「C
1−6ハロゲン化アルキル」は、前記「C
1−6アルキル基」が一つまたは複数のハロゲン基で置換されたものを指す。一部の実施形態では、C
1−4ハロゲン化アルキルは、特に好ましく、更に好ましいのはC
1−2ハロゲン化アルキル基である。例示的な前記ハロゲンアルキルは、−CF
3、−CH
2F、−CHF
2、−CClF
2、−CHFCH
2F、−CH
2CHF
2、−CF
2CF
3、−CF
2CClF
2、−CF
2CH
3、−CCl
3、−CH
2Cl、−CHCl
2、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル、などを含むが、それらに限定されていない。
【0026】
「C
3−7シクロアルキル」とは、3から7個の環炭素原子と0個のヘテロ原子を持つ非芳香族環式炭化水素基を指す。一部の実施形態では、C
3−6シクロアルキル基は特に好ましいであり、更に好ましいのはC
5−6シクロアルキル基である。シクロアルキル基は、さらに前記シクロアルキル基環が、一つ或は複数のアリール基或はヘテロアリール基と縮合した環体系を含み、その中、連結点はシクロアルキル基環に位置し、且つこのような情況で、炭数は依然としてシクロアルキル体系中の炭数を表示する。例示的な前記シクロアルキル基は、シクロプロピル(C
3)、シクロプロペニル(C
3)、シクロブチル(C
4)、シクロブテニル(C
4)、シクロペンチル(C
5)、シクロペンテニル(C
5)、シクロヘキシル(C
6)、シクロヘキセニル(C
6)、シクロヘキサジエニル(C
6)、シクロヘプチル(C
7)、シクロヘプテニル(C
7)、シクロヘプタジエニル(C
7)、シクロヘプタトリエニル(C
7)などを含むが、それらに限定されていない。特に明記しない限り、シクロアルキル基は、それぞれ独立して、任意に置換されてもよく、即ち、未置換の(「置換されていないシクロアルキル基」)、或いは一つ以上の置換基に置換されている(「置換シクロアルキル基」)。一部の実施形態では、シクロアルキル基は非置換のC
3−7シクロアルキル基である。一部の実施形態では、炭素環基は置換のC
3−7シクロアルキル基である。
【0027】
「C
3−7複素環アルキル」は、環炭素原子と1〜4個の環ヘテロ原子を有する3〜7元非芳香環系の基であり、その中、各ヘテロ原子は独立に窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リンとケイ素から選択される。一つまたは複数の窒素原子を含むヘテロシクロアルキル基の中で、原子価が許す限り、連結点は炭素または窒素原子であてもよい。一部の実施形態では、環炭素原子と1から3個の環ヘテロ原子を有する3〜6元非芳香環系であるC
3−6複素環アルキル基は特に好ましく; 環炭素原子と1から3個の環ヘテロ原子を有する5〜6元非芳香環系であるC
5−6複素環アルキル基は更に好ましい。別段の説明がなければ、ヘテロシクロアルキル基は、それぞれ独立に任意に置換されていても良く、即ち、非置換の(「置換されていないヘテロシクロアルキル基」)、或は一つ以上の置換基で置換される(「置換されたヘテロシクロアルキル基」)。一部の実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は非置換のC
3−7複素環アルキル基である。一部の実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は置換されたC
3−7複素環アルキル基である。複素環アルキル基は、さらに前記複素環アルキル環が、一つ或は複数のシクロアルキル基と縮合した環体系を含み、その中、連結点はシクロアルキル基環上に位置する;或は、前記ヘテロシクロアルキル基環は、一つ或は複数のアリール基或はヘテロアリール基と縮合した環体系、その中、連結点は複素環アルキル基環上に位置する。且つ、このような情況で、環員の数量は、依然としてヘテロシクロアルキル基の環員の数量を表示する。一つのヘテロ原子を含む3元ヘテロシクロアルキルの例としては、アジリジニル基、オキシラニル基、チオレニル基(thiorenyl)が挙げられるが、それには限定されない。一つのヘテロ原子を含む4元ヘテロシクロアルキル基の例としては、アゼチジニル基、オキセタニル基およびチエタニル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一つのヘテロ原子を含む5元ヘテロシクロアルキル基の例としては、4水素フリル基、ジヒドロフリル基、4水素チエニル基、ジヒドロチエニル基、ピロリジニル基、ジヒドロピロール基、ピロール基−2,5−ジケトンが挙げられるが、それに限定されない。2個のヘテロ原子を含む5元ヘテロシクロアルキルの例としては、ジオキソラニル、オキサスルフラニル (oxasulfuranyl)、ジスルフラニル(disulfuranyl)、オキサゾリジン−2−ケトンが挙げられるが、これらには限定されない。3個のヘテロ原子を含む5元ヘテロシクロアルキル基の例としては、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル基およびチアジアゾリニル基である。一つのヘテロ原子を含む6元ヘテロシクロアルキル基の例としては、ピペリジニル、4水素ピラニル、ジヒドロピリジニル基およびチアニル基(thianyl)が挙げられるが、それに限定されない。典型的な2個のヘテロ原子を含む6元ヘテロシクロアルキル基の例としては、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル基、ジオキサニル基が挙げられるが、それに限定されない。3個のヘテロ原子を含む6元ヘテロシクロアルキルの例としては、6水素トリアジナニル基(triazinanyl)が挙げられるが、それに限定されない。一つのヘテロ原子を含む7元ヘテロシクロアルキル基の例としては、アゼパニル基、オキセパニル基、チエパニル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。C
6アリール環に5元ヘテロシクロアルキル基が縮合された基(本稿では、5,6−ビシクロヘテロシクロアルキルともいう)には、インドリニル基、イソインドリニル基、ジヒドロベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリノニル基などが含まれるが、これらに限定されるものではない。C
6アリール環に6元ヘテロシクロアルキル基を縮合した基(本稿では、6,6−ビシクロヘテロシクロアルキル基を指す)には、4水素キノリニル、4水素イソキノリニルなどが含まれるが、これらには限定されない。
【0028】
「C
6−10アリール」は、6−10の環炭素原子と0のヘテロ原子を有する単環或いは多環の(例えば、二環の)4n+2芳香環系(例えば、環状配列で共有する6或いは10個のπ電子を有する)の基を指す。一部の実施形態では、アリール基は6の環炭素原子(「C
6アリール」;例えば、フェニル基)を有する。一部の実施形態では、アリール基は10の環炭素原子(「C
10アリール」;例えば、ナフチル、例えば、1−ナフチル、2−ナフチル)を有する。アリール基は、更に前記アリール環が一つ或は複数のシクロアルキル基或はヘテロシクロアルキル基と縮合した環システムを含み、且つ、連結点は前記アリール環の上に位置し、この情況で、炭素原子の数は依然として前記アリール環システム中の炭素原子数を表示する。別段の説明がない限り、アリール基はそれぞれ独立に置換されてもよく、すなわち未置換(「置換されていないアリール」)、または一つ以上の置換基で置換されている(「置換アリール」)。一部の実施形態では、アリール基は非置換のC
6−10アリールである。一部の実施形態では、アリールは置換されたC
6−10アリールである。
【0029】
「C
5−10ヘテロアリール」は環炭素原子と1−4個の環ヘテロ原子を有する5−10元環または二環の4n+2芳香環系(例えば環状配列で共有された6または10個のπ電子を有する)を有する基であり、その中、各ヘテロ原子は独立に窒素、酸素および硫黄から選択される。一つまたは複数の窒素原子を含むヘテロアリール基のうち、原子価が許す限り、連結点は炭素または窒素原子であてもよい。ヘテロアリール二環系は、一つまたは二つの環に一つまたは複数のヘテロ原子を含むことができる。ヘテロアリール基は、さらに前記ヘテロアリール環が一つ或は複数のシクロアルキル基或はヘテロシクロアルキル基と縮合した環システムを含み、且つ連結点は前記ヘテロアリール基環に位置し、その情況で、炭素原子の数は依然として前記ヘテロアリール環システム中の炭素原子数を表示する。一部の実施形態では、環炭素原子と1−4の環ヘテロ原子を有する5−6元単環式或は双環の4n+2芳香環系であるC
5−6ヘテロアリール基は特に好ましい。別段の説明がなければ、ヘテロアリール基はそれぞれ独立に任意に置換されてもよく、すなわち未置換(「置換されていないヘテロアリール」)または一つ以上の置換基で置換されている(「置換されたヘテロアリール」)。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は非置換の5−10元ヘテロアリール基である。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は置換した5−10元のヘテロアリール基である。一つのヘテロ原子を含む5元ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、フリルおよびチエニルが挙げられるが、それらに限定されない。典型的な2個のヘテロ原子を含む5元ヘテロアリール基の例としては、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基およびイソチアゾリル基が挙げられるが、それらに限定されない。典型的な3個のヘテロ原子を含む5元ヘテロアリール基の例としては、トリアゾリル、オキサジアゾリル及びチアジアゾリル基が挙げられるが、それらに限定されない。典型的な4個のヘテロ原子を含む5元ヘテロアリール基の例としては、テトラゾリル基。一つのヘテロ原子を含む6元ヘテロアリール基の例には、ピリジニル基が含まれるが、それに限定されない。典型的な2個のヘテロ原子を含む6元ヘテロアリール基の例には、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基が含まれるが、それに限定されない。典型的な3個または4個のヘテロ原子を含む6元ヘテロアリール基の例には、トリアジニル基およびテトラジニル基が含まれるが、それに限定されない。例示的な一つのヘテロ原子を含む7元ヘテロアリール基の例には、アゼピニル、オキセピニル、およびチエピニルが含まれるが、それに限定されない。例示的な5,6−ビシクロヘテロアリール基は、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾフリル、ベンゾイソフリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、インドリジニル基およびプリニル基が含まれるが、それらに限定されていない。典型的な6,6−ビシクロヘテロアリール基は、ナフチリジニル基、プテリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、シンノリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基を含むが、それに限定されない。
【0032】
他の定義
「薬学的に許容される塩」とは、信頼できる医学的な判断範囲内で、ヒトと下等動物の組織と接触しても過度の毒性、刺激性、アレルギー反応などがなく、かつ合理的な利点/危険比率に見合う塩を指す。薬学上許容される塩は本分野でよく知られている。例えば、Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1−19で詳細に述べた薬学的に許容される塩を使用している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、適当の無機/有機酸とアルカリから誘導された塩を含む。
【0033】
投与される「被験者」は、人(すなわち、いかなる年齢の男性または女性、例えば小児科の被験者(例えば乳児、児童、青少年)または成人の被験者(例えば若い成人、中年の成人または高齢成人))および/または非人間の動物、例えば霊長類(例えばカニクイザル、アカゲザル)、牛、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコおよび/またはイヌのような動物を含む。一部の実施形態では、被験者はヒトである。一部の実施形態では、被験者は非ヒト動物である。「人」、「患者」、および「被験者」という用語を互換的に使用する。
【0034】
「疾患」、「障害」、および「病態」は、本稿では互換的に使用される。
別段の説明がなければ、本稿で使用する用語「治療」は、疾患、障害または疾患の重症度を低下させたり、疾患や障害または病気の進行を遅らせたり(「治療性治療」)、患者が病気、障害、病気を始める前に起こる効果(「予防性治療」)などの、特定の疾患、障害または疾患を患う患者に対する役割を含む。
【0035】
通常、化合物の「有効量」とは、目標生物反応を起こすのに十分な量である。当分野の一般的な技術者が理解するように、本発明の化合物の有効量は、例えば生物学的目標、化合物の薬物動態学、治療する疾病、投与モードおよび被験者の年齢健康状況と症状などの要素によって変えることができる。有効量は治療と予防性治療の有効量を含む。
【0036】
別段の説明がなければ、本明細書で使用される化合物の「治療有効量」は、疾病、障害または疾病を治療する過程において治療効果を提供するのに十分な量であるか、または疾病、障害または病態に関連する一つまたは複数の症状を遅延または最小化することである。化合物の治療有効量とは、単独または他の療法と併用する治療剤の数量であり、それは疾病、障害または病態を治療する過程において治療の効用を提供する。用語「治療有効量」は整体治療を改善し、疾病または病態の症状または病因を減少または回避し、または他の治療剤の治療効果を増強する数量を含むことができる。
【0037】
別段の説明がなければ、本明細書で使用される化合物の「予防有効量」は、病気、障害または病態を予防するのに十分な量であるか、疾病、障害または病態の再発を防止するための疾患、障害または病態の再発を防止するのに十分な量である。化合物の「予防有効量」とは、単独または他の薬剤と併用する治療剤の数量であり、それは疾病、障害または病態を予防する過程において予防効用を提供する。用語「予防有効量」は、全体予防の数量を改善すること、または他の予防剤の予防効果を増強する数量を含むことができる。
【0038】
「Bcr−Abl1」とは、ブレイクポイントクラスター領域(BCR)遺伝子のN−端エキソンとAbelson(Abl1)遺伝子の主要なC−末端部分(エクソン2−11)からなる融合蛋白質である。最もよく見られる融合転写生成物が、210−kDaタンパク質(p210Bcr−Abl1)をコードすることであるが、稀な転写物が190−kDaタンパク質(p190Bcr−Abl1)と230−kDaタンパク質(p230Bcr−Abl1)をコードすることである。これらの蛋白のAbl1配列は、野生型蛋白質に厳格に調節されたが、Bcr−Abl1融合蛋白質に構成的に活性化されたAbl1チロシンキナーゼドメインを含む。前記失調されたチロシンキナーゼは、多種の細胞トランスフォーメーションと増殖失調を引き起こす細胞シグナル伝達経路と相互作用する。
【0039】
「Bcr−Abl1変異体」とは、Bcr−Abl1における多数の単一サイト変異を指し、Glu255→Lys、Glu255→Val、Thr315→Ile、Met244→Val、Phe317→Leu、Leu248→Val、Met343→Thr、Gly250→Ala、Met351→Thr、Gly250→Glu、Glu355→Gly、Gln252→His、Phe358→Ala、Gln252→Arg、Phe359→Val、Tyr253→His、Val379→Ile、Tyr253→Phe、Phe382→Leu、Glu255→Lys、Leu387→Met、Glu255→Val、His396→Pro、Phe311→Ile、His396→Arg、Phe311→Leu、Ser417→Tyr、Thr315→Ile、Glu459→Lys及びPhe486→Ser。
【0040】
「c−Abl」とは、非突然変異野生型Abl1の全長遺伝子生成物である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
化合物
本発明において、「本発明の化合物」とは、以下の式(I)、式(Ia)と式(Ib)の化合物、その薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物を指す。
【0042】
一つの実施形態では、本発明は、式(I)化合物或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物に関わる:
【化6】
その中:
Y
1はCR
aまたはNから選ぶ。
Yは独立してCR
aまたはNから選択する。
R
1は水素、ハロゲン、ニトリル基、ニトロ基、C
1−6アルキル基またはC
1−6ハロゲン化アルキル基から選択され、その中、前記C
1−6アルキル基またはC
1−6ハロゲン化アルキル基は任意にR1
a基に置換されてもよい。
R
2は水素、C
1−6アルキル基またはC
1−6ハロゲン化アルキル基から選択され、 その中、前記C
1−6アルキル基またはC
1−6ハロゲン化アルキル基は任意にR
2a基に置換されてもよい。
Zは化学結合、O、S(O)
0−2或はNR
bである。
または、−Z−R
2は、全体に−SF
5を表示する。
Arが
【化7】
である。
その中、X
1はO、SまたはNR
bから選択され、X
2〜X
8は独立にCRまたはNから選択される。
X
1がOまたはSである場合、X
2、X
3とX
4の一つは母核に連結するC原子である;X
1がNR
bである場合、X
2、X
3とX
4のうちの一つは母核に連結するC原子であり、かつその中の少なくとも一つはNである。
Hetが
【化8】
である。
その中、X
9はO、S、NR
b或いはC(R)
2から選択される。
mは0、1または2である。
nは0、1、2、3、4、5或は6である。
R
aは独立に水素、ハロゲン、ニトリル基、ニトロ、水酸基、−NH
2、−NHC
1−6アルキル基、−N(C
1−6アルキル基)
2、C
1−6アルキル基、C
1−6ハロゲン化アルキル或いはC
1−6アルコキシル基から選択する。
R
bは独立に水素、C
1−6アルキル基或はC
1−6ハロゲン化アルキル基から選択する。
R
1a、R
2aとRは独立に水素、ハロゲン、水酸基、−NH
2、−NHC
1−6アルキル基、−N(C
1−6アルキル基)
2、C
1−6アルキル基、C
1−6ハロゲン化アルキル基、C
1−6アルコキシル基、C
3−7シクロアルキル基、C
3−7複素環アルキル基、C
6−10アリール或いはC
5−10ヘテロアリール基から選択される。
あるいは、同一の原子または隣接の原子上の二つのR基は一緒にC
3−7シクロアルキル基、C
3−7複素環アルキル基、C
6−10アリール基またはC
5−10ヘテロアリール基を形成しても良い。
【0043】
もう一つの実施形態の中に、本発明は前記化合物に関わる。その中、
Arが
【化9】
である。
その中、X
1はS、X
2〜X
4は独立にCRまたはNから選択される;かつ、X
2、X
3とX
4中の一つは母核に接続されたC原子である。
あるいは、Arは、任意に一つまたは二つのRで置換された以下の基から選択される。
【化10】
【0044】
もう一つの実施形態の中に、本発明は前記化合物に関わり、それは式(Ia)、或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物である。
【化11】
ここで、ArとHetは本稿で定義したとおりである。
【0045】
もう一つの実施形態において、本発明は前記化合物に関し、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物に関し、その中、
Arが
【化12】
であり、ここで、X
1〜X
4は本稿で定義したとおりである。
あるいは、Arは、任意に一つまたは二つのRで置換された以下の基から選択される。
【化13】
【化14】
ここで、RとR
bは本稿で定義したとおりである。
【0046】
もう一つの実施形態において、本発明は前記化合物に関し、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物に関し、その中、
Arが
【化15】
であり、
ここで、X
5〜X
8は本稿で定義したとおりである。
あるいは、Arは、任意にRで置換された以下の基から選択される。
【化16】
ここで、Rは本稿で定義したとおりである。
【0047】
もう一つの実施形態において、本発明は前記化合物に関し、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物に関し、その中、
Hetが
【化17】
であり、
ここで、X
9はC(R)
2であり、かつm、nとRは本稿で定義したとおりである。
あるいは、Hetは、任意に1個、2個、3個またはそれ以上のRで置換された以下の基から選択される。
【化18】
ここで、Rは本稿で定義したとおりである。
あるいは、Hetは以下の基から選択される。
【化19】
【0048】
もう一つの実施形態において、本発明は前記化合物に関し、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物に関し、その中、
Hetが
【化20】
であり、
その中、一つのX
9はO、SまたはNR
bから選択され、任意に存在する他のX
9はC(R)
2であり、かつm、n、RおよびR
bは本稿で定義された通りである。
あるいは、Hetは以下の基から選択される。
【化21】
【0049】
もう一つの実施形態では、本発明は前記化合物に関わり、それは式(Ib)、或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物である。
【化22】
そこで:
Arが
【化23】
であり、
その中、X
2〜X
4は独立にCRまたはNから選択され、かつX
2、X
3とX
4の一つは母核に接続されたC原子である。
あるいは、Arは任意に一つまたは二つのRで置換された以下の基から選択される。
【化24】
Rは水素、ハロゲン、水酸基、−NH
2、−NHC
1−6アルキル基、−N(C
1−6アルキル基)
2から選択される。
【0050】
もう一つの実施形態では、本発明は前記化合物に関わり、それは式(Ib)、或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物である。
【化25】
その中、
Arは、任意に一つまたは二つのRで置換された以下の基から選択される。
【化26】
Rは水素、ハロゲン、水酸基、−NH
2、−NHC
1−6アルキル基、−N(C
1−6アルキル基)
2から選択される。
【0051】
もう一つの実施形態では、本発明は前記化合物に関わり、それは式(Ib)、或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物である。
【化27】
その中、
Arは、任意に一つまたは二つのRで置換された以下の基から選択される。
【化28】
Rは水素、水酸基から選ぶ。
【0052】
もう一つの実施形態では、本発明は前記化合物に関わり、それは式(Ib)、或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物である。
【化29】
その中、
Arは、任意に一つまたは二つのRで置換された以下の基から選択される。:
【化30】
Rは水素、ハロゲン、ヒドロキシル基から選ぶ。
【0053】
もう一つの実施形態では、本発明は前記化合物に関わり、それは式(Ib)、或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物である。:
【化31】
その中、
Arは、任意に一つまたは二つのRで置換された以下の基から選択される。
【化32】
Rは水素、水酸基から選ぶ。
【0054】
もう一つの実施形態では、本発明は前記化合物に関わり、それは式(Ib)、或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物である。
【化33】
その中、
Arは、任意に一つまたは二つのRで置換された以下の基から選択される。
【化34】
Rは水素、ハロゲン、ヒドロキシル基から選ぶ。
【0055】
もう一つの実施形態では、本発明は前記化合物に関わり、それは式(Ib)、或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物である。
【化35】
その中、
Arが
【化36】
であり、
その中、X
2〜X
4は独立にCRまたはNから選択され、かつX
2、X
3とX
4の中の一つは母核に連結するC原子であり、かつその中の少なくとも一つはNである。
あるいは、Arは、任意にRで置換された以下の基から選択される。
【化37】
R
bは水素、C
1−6アルキル基或はC
1−6ハロゲン化アルキル基から選ぶ。
Rは水素、ハロゲン、水酸基、−NH
2、−NHC
1−6アルキル基、−N(C
1−6アルキル基)
2から選択される。
【0056】
もう一つの実施形態の中に、本発明は前記化合物に関わり、それは式(Ic)、或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物である。
【化38】
その中、
Arは、任意に一つまたは二つのRで置換された以下の基から選択される。
【化39】
Rは水素、ハロゲン、水酸基、−NH
2、−NHC
1−6アルキル基、−N(C
1−6アルキル基)
2から選択される。
【0057】
もう一つの実施形態では、本発明は前記化合物に関わり、それは式(Ic)、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物である。
【化40】
その中、
Arは以下の基から選択される:
【化41】
【0058】
もう一つの実施形態の中に、本発明は前記化合物に関わり、それは式(Ic)、或はその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物或は水和物である。
【化42】
その中、
Arは以下の基から選択される:
【化43】
【0059】
Y
1とYについて、
一つの具体的な実施形態では、Y
1はNである;もう一つの具体的な実施形態では、Y
1はCR
aである;もう一つの具体的な実施形態では、Y
1はCHである。
【0060】
一つの具体的な実施形態では、YはCR
aである;もう一つの具体的な実施形態では、YはNである;もう一つの具体的な実施形態の中に、YはCHである。
【0061】
R
1について、
一つの具体的な実施形態では、R
1は水素、ハロゲン、ニトリル基、ニトロ基、C
1−6アルキル、或はC
1−6ハロゲン化アルキルから選択される。もう一つ具体的な実施形態では、R
1は水素、ハロゲン、ニトリル基、ニトロ基、或はC
1−6アルキルから選択される。もう一つ具体的な実施形態では、R
1は水素、或はハロゲンから選択される。もう一つ具体的な実施形態では、R
1は水素である。もう一つの具体的な実施形態において、R
1はハロゲン(F、Cl、BrまたはI)である。 もう一つ具体的な実施形態では、R
1はニトリル基である。もう一つ具体的な実施形態では、R
1はニトロ基である。もう一つ具体的な実施形態では、R
1はC
1−6アルキル(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル)である。もう一つ具体的な実施形態では、R
1はC
1−6ハロゲン化アルキル(−CF
3、−CH
2F、−CHF
2、−CClF
2、−CHFCH
2F、−CH
2CHF
2、−CF
2CF
3、−CF
2CClF
2、−CF
2CH
3、−CCl
3、−CH
2Cl、−CHCl
2、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチルなど)である。
【0062】
R
2とZについて、
一つの具体的な実施形態では、R
2は水素、C
1−6アルキルまたはC
1−6ハロゲン化アルキルから選択される。もう一つの具体的な実施形態では、R
2はC
1−6アルキルまたはC
1−6ハロゲン化アルキルから選択される。もう一つ具体的な実施形態では、R
2は水素である。もう一つの具体的な実施形態では、R
2はC
1−6アルキル(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、等)である。もう一つ具体的な実施形態では、R
2はC
1−6ハロゲン化アルキル(−CF
3、−CH
2F、−CHF
2、−CClF
2、−CHFCH
2F、−CH
2CHF
2、−CF
2CF
3、−CF
2CClF
2、−CF
2CH
3、−CCl
3、−CH
2Cl、−CHCl
2、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチルなど)である。
【0063】
具体的な実施形態の中に、Zは化学結合である;もう一つの具体的な実施形態では、ZはOである;もう一つの具体的な実施形態では、ZはS(O)
0−2である;もう一つの具体的な実施形態では、ZはNR
bであり、もう一つの具体的な実施形態ではZはNHである。
【0064】
一つの具体的な実施形態で、−Z−R
2は、全体に−SF
5を表示する。
【0065】
ArとX
1〜X
8について、
一つの具体的な実施形態では、Arが
【化44】
であり、その中、X
1がOまたはSである。より具体的な実施形態では、Arが
【化45】
であり、より具体的な実施形態では、Arが
【化46】
である。
【0066】
前記Arに関する具体的な実施形態では、X
2はCRである;もう一つの具体的な実施形態では、X
2はCHである;もう一つの具体的な実施形態では、X
2はNである。前記Arに関する実施形態では、X
3はCRである;もう一つの具体的な実施形態では、X
3はCHである;もう一つの具体的な実施形態では、X
3はNである。前記Arに関する具体的な実施形態では、X
4はCRである;もう一つの具体的な実施形態では、X
4はCHである;もう一つの具体的な実施形態では、X
4はNである。
【0067】
前記実施形態の中、X
2、X
3とX
4の中の一つは母核に連結するC原子である;一つの具体的な実施形態の中に、X
2は母核に連結するC原子である;もう一つの具体的な実施形態では、X
3は母核と連結するC原子である;もう一つの具体的な実施形態では、X
4は母核に連結するC原子である。
【0068】
より具体的な実施形態では、Arが
【化47】
である。
【0069】
前記Arに関する具体的な実施形態では、X
2はCRである;もう一つの具体的な実施形態では、X
2はCHである;もう一つの具体的な実施形態では、X
2はNである。前記Arに関する実施形態では、X
3はCRである;もう一つの具体的な実施形態では、X
3はCHである;もう一つの具体的な実施形態では、X
3はNである。前記Arに関する具体的な実施形態では、X
4はCRである;もう一つの具体的な実施形態では、X
4はCHである;もう一つの具体的な実施形態では、X
4はNである。
【0070】
前記実施形態の中に、X
2、X
3とX
4の一つは母核に連結するC原子であり、且つその中の少なくとも一つはNである。一つの具体的な実施形態では、X
2は母核に連結するC原子であり、X
3はNである。もう一つの具体的な実施形態では、X
2は母核に連結するC原子であり、X
4はNである。もう一つの具体的な実施形態では、X
3は母核に連結するC原子であり、X
2はNである。もう一つの具体的な実施形態では、X
3は母核に連結するC原子であり、X
4はNである。もう一つの具体的な実施形態では、X
4は母核に連結するC原子であり、X
2はNである。もう一つの具体的な実施形態では、X
4は母核に連結するC原子であり、X
3はNである。
【0071】
もうひとつの具体的な実施形態では、Arが
【化48】
である。
【0072】
前記Arに関する具体的な実施形態では、X
5はCRである;もう一つの具体的な実施形態では、X
5はCHである;もう一つの具体的な実施形態では、X
5はNである。前記Arに関する具体的な実施形態では、X
6はCRである;もう一つの具体的な実施形態では、X
6はCHである;もう一つの具体的な実施形態では、X
6はNである。前記Arに関する具体的な実施形態では、X
7はCRである;もう一つの具体的な実施形態では、X
7はCHである;もう一つの具体的な実施形態では、X
7はNである。前記Arに関する具体的な実施形態では、X
8はCRである;もう一つの具体的な実施形態では、X
8はCHである;もう一つの具体的な実施形態では、X
8はNである。
【0073】
より具体的な実施形態では、Arは任意に一つまたは二つのRで置換された以下の基である。
【化49】
【0074】
より具体的な実施形態では、Arは任意に一つのRに置換される以下の基である。
【化50】
【0075】
より具体的な実施形態では、Arは任意にRで置換された以下の基である。
【化51】
【0076】
Het、X
9、mとnについて、
ひとつの具体的な実施形態では、Hetが
【化52】
である。
【0077】
前記Hetに関する具体的な実施形態では、X
9はOである;もう一つの具体的な実施形態では、X
9はSである;もう一つの具体的な実施形態では、X
9はNR
bである;もう一つの具体的な実施形態の中に、X
9はC(R)
2である。前記Hetに関する具体的な実施形態では、mは0である;もう一つの具体的な実施形態では、mは1である;もう一つの具体的な実施形態では、mは2である。前記Hetに関する具体的な実施形態では、nは0である;もう一つの具体的な実施形態では、nは1である;もう一つの具体的な実施形態では、nは2である;もう一つの具体的な実施形態では、nは3である;もう一つの具体的な実施形態では、nは4である;もう一つの具体的な実施形態では、nは5である;もう一つの具体的実施案ではnは6である。
【0078】
より具体的な実施形態では、Hetが
【化53】
であり、その中、X
9はC(R)
2である.
【0079】
より具体的な実施形態では、Hetは任意に1個、2個、3個またはそれ以上のRで置換された以下の基に選択される。
【化54】
【0080】
より具体的な実施形態では、Hetは以下の基から選ぶ。
【化55】
【0081】
より具体的な実施形態では、Hetが
【化56】
であり、その中、X
9はO、SまたはNR
bから選択され、任意に存在する他のX
9はC(R)
2であり、さらに具体的な実施形態では、Hetは以下の基から選択される。
【化57】
【0082】
R
a、R
b、R
1a、R
2aとRについて
具体的な実施形態では、R
aは独立に水素、ハロゲン、ニトリル基、ニトロ、ヒドロキシル、−NH
2、−NHC
1−6アルキル基、−N(C
1−6アルキル基)
2、C
1−6アルキル基、C
1−6ハロゲン化アルキル基或はC
1−6アルコキシから選択される。もう一つ具体的な実施形態では、R
aは水素である。もう一つ具体的な実施形態では、R
aはハロゲンである。もう一つ具体的な実施形態では、R
aはニトリル基である。もう一つ具体的な実施形態では、R
aはニトロである。もう一つ具体的な実施形態では、R
aはヒドロキシルである。もう一つ具体的な実施形態で、R
aは−NH
2である。もう一つ具体的な実施形態では、R
aは−NHC
1−6アルキル基である。もう一つ具体的な実施形態では、R
aは−N(C
1−6アルキル基)
2である。もう一つ具体的な実施形態では、R
aはC
1−6アルキル基である。もう一つ具体的な実施形態では、R
aはC
1−6ハロゲン化アルキル基である。もう一つ具体的な実施形態では、R
aはC
1−6アルキル基である。
【0083】
一つ具体的な実施形態の中に、R
bは独立に水素、C
1−6アルキル基或はC
1−6ハロゲン化アルキル基から選ぶ;もう一つの具体的な実施形態の中に、R
bは水素である;もう一つの具体的な実施形態中に、RbはC
1−6アルキル基である;もう一つの具体的な実施形態では、R
bはC
1−6ハロゲン化アルキル基である。
【0084】
一つ具体的な実施形態では、R
1a、R
2aとRは独立に水素、ハロゲン、水酸基、−NH
2、−NHC
1−6アルキル基、−N(C
1−6アルキル基)
2、C
1−6アルキル基、C
1−6ハロゲン化アルキル基、C
1−6アルコキシル基、C
3−7シクロアルキル基、C
3−7複素環アルキル基、C
6−10アリール或はC
5−10ヘテロアリール基から選択する。もう一つの具体的な実施形態の中に、R
1a、R
2aとRは水素である。もう一つの具体的な実施形態の中に、R
1a、R
2aとRはハロゲンである。もう一つの具体的な実施形態では、R
1a、R
2aとRは水酸基である。もう一つの具体的な実施形態では、R
1a、R
2aとRは−NH
2である。もう一つの具体的な実施形態の中に、R
1a、R
2aとRは−NHC
1−6アルキル基である。もう一つの具体的な実施形態の中に、R
1a、R
2aとRは−N(C
1−6アルキル基)
2である。もう一つの具体的な実施形態の中に、R
1a、R
2aとRはC
1−6アルキル基である。もう一つの具体的な実施形態では、R
1a、R
2aとRはC
1−6ハロゲン化アルキル基である。もう一つの具体的な実施形態の中に、R
1a、R
2aとRはC
1−6アルコキシである。もう一つの具体的な実施形態では、R
1a、R
2aとRはC
3−7シクロアルキル基である。もう一つの具体的な実施形態では、R
1a、R
2aとRはC
3−7複素環アルキル基である。もう一つの具体的な実施形態の中に、R
1a、R
2aとRはC
6−10アリールである。もう一つの具体的な実施形態では、R
1a、R
2aとRはC
5−10ヘテロアリールである。
【0085】
一つの具体的な実施形態では、同一の原子または隣接の原子上の二つのR基は一緒にC
3−7シクロアルキル基、C
3−7複素環アルキル基、C
6−10アリール基またはC
5−10ヘテロアリール基を形成しても良い;もう一つの具体的な実施形態では、同一の原子または隣接の原子の2個のR基は一緒にC
3−7シクロアルキル基を形成しても良い;もう一つの具体的な実施形態では、同一の原子または隣接の原子上の2個のR基はC
3−7複素シクロアルキル基を形成しても良い。もう一つの具体的な実施形態では、同一の原子または隣接の原子上の二つのR基は一緒にC
6−10アリール基を形成してもよい;もう一つの具体的な実施形態では、同一の原子または隣接の原子上の二つのR基が一緒にC
5−10ヘテロアリール基を形成してもよい。
【0086】
以上のいずれかの具体的な実施形態のいずれかの技術構成またはその任意の組合せは、他の具体的な実施形態中のいずれかの技術構成またはその任意の組み合わせと組み合わせることができる。例えば、Y
1のいずれかの技術構成或はその任意組合せは、Y、R
1、R
2、Z、Ar、X
1〜X
9、Het、m、n、R
a、R
b、R
1a、R
2aとRのいずれかの技術構成或はその任意組合せと組み合わせることができる。本発明は、すべての技術構成の組合せを含むが、それらに限定されていなく、本発明の旨を逸脱しない限り、本願の範囲に含み、ここで、一つ一つに挙げていない。
【0087】
具体的な実施形態では、本発明の化合物は以下の化合物から選ぶことができる。
【化58】
【化59】
【0088】
本発明の化合物は一つまたは複数の不斉中心を含み、かつ多種立体異性体形式が存在することができ、例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの形式である。例えば、本発明の化合物は単独のエナンチオマー、ジアステレオマー或は幾何異性体(例えばcisとtrans異性体)である;或は立体異性体の混合物である形式になり、ラセミ混合物、及び一種或は多種の立体異性体を大量に含む混合物を含む。異性体は本分野の技術者に知られている方法によって混合物から分離することができ、前記方法は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)およびキラル塩の形成と結晶;または好ましい異性体は不斉合成によって製造することができる。
【0089】
本分野の技術者は、多くの有機化合物が溶剤と複合物を形成することができ、その溶剤中で反応すること、或いはこの溶剤から沈殿または結晶することができることを理解する。これらの複合体は「溶媒和物」と呼ばれる。溶媒が水である場合、複合物は「水和物」と呼ばれる。本発明は本発明の化合物のすべての溶媒和物を含む。
【0090】
薬理と効果
本発明の化合物は、特にBcr−Abl1の活性に依存する疾病または障害に治療効果を示す。特に、本発明の化合物は、Bcr−Abl1のATP結合部位を抑制する(野生型Bcr−Abl1および/またはその変異を含む(t31 5I変異を含む) )。
【0091】
がん細胞腫瘍侵襲と転移期間に侵襲仮足(invapodia)を利用して細胞外基質を分解する。Ablキナーゼ活性は、Src−誘導の侵襲仮足の形成に必要であり、それは仮足の組み立ての異なる段階と機能を制御する。したがって、Abl阻害剤である本化合物は、転移する浸潤性癌の治療法に応用する可能性を有する。
【0092】
c−Ablキナーゼの阻害剤は、最もよく見られる侵襲性強い悪性原発性脳腫瘍のグリア芽細胞腫を含む脳癌の治療に用いることができ、その中、一つのサブクラスの患者においては、免疫組織化学法によりc−Ablの発現を検出された。したがって、高い脳曝露を有する新たなc−Abl阻害剤は、神経膠芽腫やその他の脳癌に対する固体治療を代表する。
【0093】
本発明の化合物は、ウィルスの治療に用いることができる。例えば、ウイルス感染は、例えばポックスウイルス類とエボラウイルスのように、Abl1キナーゼ活性によって媒介される。イマチニブとニロチニブは、エボラウイルス粒子の感染細胞からの放出を停止することが示された。したがって、c−Ablキナーゼを抑制できる本発明の化合物は、病原体の複製能力を低下させるために用いることができる。
【0094】
パーキンソン病は、二番目普遍な慢性神経変性疾患であり、最もよく見られる、E3ユビキチン蛋白リガーゼ(Parkin蛋白)上の突然変異による家族性常染色体劣性形式を有する。最新研究では、散発性パーキンソン病患者の線条体に活性化c−ABLが発見された。また、Parkin蛋白はチロシンリン酸化されたものであり、Parkin蛋白基質の蓄積に示されているように、ユビキチン蛋白のリガーゼや細胞保護活性の損失を引き起こす。
【0095】
本発明の化合物または組成物は、また、Bcr−Ablキナーゼによって媒介される、呼吸器疾患、アレルギー、リウマチ性関節炎、骨関節炎、リウマチ性疾患、乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、敗血症性ショック、増殖性疾患、アテローム性動脈硬化、移植後の同種移植拒絶反応、糖尿病、卒中、肥満症又は再狭窄、白血病、間質瘤、甲状腺癌、全身性肥満細胞症、好酸球増多症、線維症、多発性関節炎、硬皮症、エリテマトーデス、移植臓器対個体反応疾患、神経線維腫症、肺高圧、アルツハイマー病、精上皮腫、未分化胚細胞腫、肥満細胞腫、肺癌、気管支癌、未分化胚細胞腫、睾丸上皮内腫瘍、黒色腫、乳がん、神経芽細胞腫、乳頭状/濾胞型副甲状腺過形成/腺腫、結腸がん、結腸直腸腺腫、卵巣がん、前立腺癌、神経膠芽腫、脳腫瘍、悪性神経膠腫、すい臓がん、悪性胸膜中皮腫、血管芽細胞腫、血管腫、腎臓がん、肝臓がん、副腎腫、膀胱がん、胃がん、直腸がん、膣がん、子宮頚癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、頚部と頭部腫瘤、腫瘍形成及びその他の増生性或いは増殖性疾病、あるいはその組み合わせなどの疾患、障害または病態を治療することに用いられる。
【0096】
医薬組成物、製剤およびキット
一方、本発明は、本発明の化合物(「活性成分」とも呼ばれる)と薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、前記医薬組成物は有効量の本発明の化合物を含む。一部の実施形態では、前記医薬組成物は治療有効量の本発明の化合物を含む。一部の実施形態では、前記医薬組成物は予防有効量の本発明の化合物を含む。
【0097】
本発明に用いる薬学的に許容される賦形剤は、一緒に調合した化合物の薬理学活性を破壊しない無毒キャリア、アジュバントまたはビークルを指す。本発明の組成物に用いられる薬学的に許容されるキャリア、アジュバントまたはビークルは、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、燐酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸のパーシャルグリセリドの混合物、水、塩又は電解質(例えば、プロタミン)、リン酸水素ニナトリウム、リン酸水素カリウム、クロロナトリウム、亜鉛塩、シリカゲル、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、繊維素ベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワクス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロック重合体、ポリエチレングリコールおよびラノリンを含む。
【0098】
本発明は、また、試薬容器(例えば、薬物包装)を含む。提供するキットは、本発明の化合物、他の治療剤、および本発明の化合物、他の治療剤を含む第1と第2容器(例えば、小瓶、アンプル瓶、瓶、注射器および/または分散包装または他の適当な容器)を含むことができる。一部の実施形態では、提供するキットは、また任意に第3容器を含んでもよく、それは、本発明の化合物及び/或は他の治療剤を希釈或は懸濁する薬用賦形剤を含む。一部の実施形態では、第1容器と第2容器中の本発明の化合物と他の治療剤を組み合わせて、単位剤型を形成する。
【0099】
以下の製剤実施例は、本発明によって調製される代表的な薬物組成物を説明する。しかし、本発明は以下の薬物組成物に限らない。
【0100】
例示的製剤1−錠剤:乾燥粉末形式の本発明の化合物を乾燥のゲル粘着剤と約1:2重量比で混合することができる。潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウムを少量に添加した。前記混合物を錠剤成型機で、0.3−30mg錠剤(1錠剤あたり0.1−10mg活性化合物を含む)になるように成型する。
【0101】
例示的製剤2−錠剤:乾燥粉末形式の本発明の化合物を乾燥のゲル粘着剤と約1:2重量比で混合することができる。潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウムを少量に添加した。前記混合物を錠剤成型機で、30−90mg錠剤(1錠あたり10−30mg活性化合物を含む)になるように成型した。
【0102】
例示的製剤3−錠剤:乾燥粉末形式の本発明の化合物を乾燥のゲル粘着剤と約1:2重量比で混合することができる。潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウムを少量に添加した。前記混合物を錠剤プレス機で90−150mg錠剤(1錠剤あたり30−50mg活性化合物を含む)になるように成型する。
【0103】
例示的製剤4−錠剤:乾燥粉末形式の本発明の化合物を乾燥のゲル粘着剤と約1:2重量比で混合することができる。潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウムを少量に添加した。前記混合物を錠剤プレス機で、150−240mg錠剤(1錠剤あたり50−80mg活性化合物を含む)になるように成型する。
【0104】
例示的製剤5−錠剤:乾燥粉末形式の本発明の化合物を乾燥のゲル粘着剤と約1:2重量比で混合することができる。潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウムを少量に添加した。前記混合物を錠剤プレス機で、240−270mg錠剤(1錠剤あたり80−90mg活性化合物を含む)になるように成型する。
【0105】
例示的製剤6−錠剤:乾燥粉末形式の本発明の化合物を乾燥のゲル粘着剤と約1:2重量比で混合することができる。潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウムを少量に添加した。前記混合物を錠剤成型機で、270−450mg錠剤(1錠剤あたり90−150mg活性化合物を含む)になるように成型する。
【0106】
例示的製剤7−錠剤:乾燥粉末形式の本発明の化合物を乾燥のゲル粘着剤と約1:2重量比で混合することができる。潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウムを少量に添加した。前記混合物を錠剤成型機で、450−900mg錠剤(1錠剤あたり150−300mg活性化合物を含む)になるように成型する。
【0107】
例示的製剤8−カプセル:乾燥粉末形式の本発明の化合物を澱粉希釈剤と約1:1重量比で混合することができる。この混合物をカプセル250mgに充填した(1カプセルあたり125mg活性化合物を含有する)。
【0108】
典型的な製剤9−液体:本発明の化合物(125mg)と蔗糖(1.75g)とキサンタンガム(4mg)を混合し、かつ得られた混合物を混合し、No. 10メッシュアメリカ篩を用いて、それから予め調製した微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム(11:89,50mg)の水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム(10mg)、調味剤および着色剤を水で希釈し、撹拌しながら加えた。そして、十分な水を加えて、5mLの総量を得ることができます。
【0109】
例示的製剤10−注射剤:本発明の化合物を緩衝無菌食塩水(注射可能)の水性媒体に溶解または懸濁することができ、約5mg/mLの濃度に達する。
【0110】
投与
本発明が提供する薬物組成物は、多くの経路によって投与することができ、経口投与、非経腸投与、吸入投与、局部投与、直腸投与、経鼻投与、口腔投与、膣投与、インプラント投与またはその他の投与方法を含むが、それらに限られない。例えば、本稿で用いた非経口投与には、皮下投与、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節内投与、動脈内投与、滑液嚢内投与、胸骨内投与、脳脊髄膜内投与、病巣内投与、頭蓋内投与あるいは輸液が含まれる。
【0111】
通常、本稿で提供する化合物を有効量で投与する。実際に投与された化合物の量は、治療された病態、選択された投与経路、実際に投与された化合物、患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重症度などの情況に応じて、医師によって決定されることが可能である。
【0112】
本発明の病態を予防する時に、前記病態を罹患するリスクがある被験者に、本願発明の化合物を給与して、典型的には、医師のアドバイスに基づいて、医師の監督下に投与し、用量レベルは上述の通りである。前記病態を罹患するリスクがある被験者は、一般的に、前記病態を罹患する家族歴を有する被験者や、遺伝試験またはスクリーニングにより確定された病態罹患率が高い人を含む。
【0113】
本稿で提供する医薬組成物(「長期投与」)を長期間投与することも可能である。長期投与とは、長期間にわたり、例えば、3カ月、6カ月、1年、2年、3年、5年など、あるいは無期限に、例えば、被験者の余生で、本願発明の化合物またはその医薬組成物を持続投与することができる。一部の実施形態では、長期投与は、長時間に血液中に前記化合物を一定レベルに維持する(例えば治療窓内にある)ように投与することを意図する。
【0114】
各種投与方法を用いて、本発明の薬物組成物をさらにデリバリーする。例えば、一部の実施形態では、例えば、化合物の血液中における濃度を有効レベル以上に高めるために、薬物組成物をボーラスにて投与することができる。ボーラス投与量は、体を通る活性成分の全身性の目標レベルによって、異なる。例えば、筋肉内または皮下のボーラスは、活性成分を徐放することができ、静脈へのボーラス注射(例えばIV点滴による)は、迅速に有効なレベルまで上昇させる。他の実施形態では、持続点滴形式で薬物組成物を投与することができ、例えばIV静脈点滴にて、被験者の体に、活性成分の濃度を穏やかに維持するようにを投与する。また、他の実施形態では、まず、ボーラス投与量の薬物組成物を投与し、その後持続点滴する。
【0115】
経口組成物は、バルク液体溶液または懸濁液、またはバルク粉末剤の形式を採用することができる。しかし、一般的には、薬を精確な量で投与するために、単位用量形式で前記組成物を提供する。用語「単位製剤」は、ヒト患者および他の哺乳動物に適する単位用量の物理離散単位を指し、各単位は予定数量の、必要な治療効果を生成するのに適当な活性物質と適切な薬学賦形剤を含む。典型的な単位製剤は、液体組成物を事前充填した、予め測定したアンプルまたは注射器、または固体組成物の場合の丸剤、錠剤、カプセル剤などを含む。前記組成物の中に、前記化合物は、一般的に、量の少ない成分(約0.1〜約50重量%、または好ましいに約1〜約40重量%)であり、残りは必要な投与形式を形成するのに有用な各種キャリア、または賦形剤および加工助剤である。
【0116】
経口投与量について、代表的なレジメンは、毎日一つ〜五つの経口投与量であり、特に二つ〜四つ経口投与量であり、典型的には三つ経口投与量である。これらの経口投与量を用いるモードでは、毎投与量にて、約0.01〜約20mg/kgの本発明の化合物を提供して、好ましい投与量は、それぞれ約0.1〜約10mg/kg、特に約1〜約5mg/kgを提供する。
【0117】
注射投与量と類似する血液中の濃度レベルを提供する或は注射投与量より低い血液中の濃度レベルを提供するために、一般的に、経皮投与量を選択し、数量は約0.01〜約20重量%であり、好ましいのは約0.1〜20重量%、好ましいのは約0.1〜約10重量%、且つより好ましいのは約0.5〜約15重量%である。
【0118】
約1〜約120時間、特に24〜96時間、注射投与量レベルは約0.1mg/kg/時間〜10mg/kg/時間の範囲にある。十分に穏やかなレベルを有する状態を得るために、約0.1mg/kg〜少なくとも約10mg/kgのプリロードボーラスを投与することもできる。40〜80kgのヒト患者では、最大総投与量は約2g/日を超えることはできない。
【0119】
経口投与に適する液体形式は、適当な水性または非水キャリアおよび緩衝剤、懸濁剤および分散剤、着色剤、調味剤などを含む。固体形式は、例えば、粘結剤、例えば微晶質セルロース、トラガカントゴム或はゼラチン;賦形剤、例えば澱粉或は乳糖;分解剤、例えばアルギン酸、Primogel或はコーンスターチ;滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、流動促進剤、例えばコロイド二酸化ケイ素;甘味剤、例えば蔗糖或はサッカリン;或は調味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル或はオレンジ味剤。
【0120】
注射可能な組成物は、典型的に注射用無菌食塩水またはリン酸緩衝食塩水に基づくか、または本分野で知られている他の注射可能な賦形剤に基づく。前述のように、このような組成物では、活性化合物は割合が比較的に少ない成分である場合が多く、一般的に約0.05〜10重量%であり、残りは注射可能な賦形剤などである。
【0121】
典型的には、経皮組成物を活性成分含有の局部軟膏またはクリーム剤に調製する。軟膏剤に調製する場合、活性成分は、典型的にパラフィンまたは水混和性の軟膏基材と組み合わせる。あるいは、活性成分は、例えば水中油型クリーム基材と一緒にクリーム剤に調製することができる。この経皮製剤は、本分野でよく知られており、活性成分または製剤を安定に皮膚浸透を促進する他の成分を含むことが多い。前記既知の経皮製剤と成分は全て本発明の範囲内に含まれる。
【0122】
本発明の化合物は、また経皮装置によって与えることができる。したがって、経皮投与は、リザーバー(reservoir)や多孔膜型あるいは多種の固体基質のパッチを使用することにより実現できる。
【0123】
経口投与、注射または局所投与に用いられる組成物の前記成分は代表的なだけである。他の材料および加工技術などについては、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th edition,1985,Mack Publishing Company,Easton,Penpenyの第8部分に記載があり、本稿ではこの文献を引用して記入した。
【0124】
本発明の化合物は、持続放出形式で与えることができ、または持続放出投与システムにて与えることができる。代表的な持続放出材料の記述は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
【0125】
本発明は、また本発明の化合物の薬学的に許容される製剤に関する。一つの実施形態では、前記製剤は水を含む。もう一つの実施形態の中に、前記製剤はシクロデキストリン誘導体を含む。最も一般的なシクロデキストリンは、それぞれ、6、7と8個のα−1,4−結合のブドウ糖ユニットから構成されるα−、β−とγ−シクロデキストリンであり、それは連結する糖部分に任意に一つまたは複数の置換基を含んでも良く、メチル化、ヒドロキシアルキル化、アシル化とスルホアルキルエーテル置換を含むが、それに限定されない。
【0126】
一部の実施形態では、前記シクロデキストリンは、スルホアルキルエーテルβ−シクロデキストリンであり、例えばスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンであり、Captisolとも呼ばれる。例えば、U.S.5,376,645を参照されたい。一部の実施形態では、前記製剤はヘキサプロピル基−β−シクロデキストリン(例えば水中、10〜50%)を含む。
【0127】
治療
本発明の化合物は、また、 Bcr−Ablキナーゼによって媒介される、呼吸器疾患、アレルギ反応、リウマチ性関節炎、骨関節炎、リウマチ性疾患、乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、敗血症性ショック、増殖性疾患、粥状動脈硬化、移植後の同種移植片拒絶反応、糖尿病、卒中、肥満、または再狭窄、白血病、間質瘤、甲状腺癌、全身性肥満細胞症、好酸球増多症、線維症、多発性関節炎、硬皮症、エリテマトーデス、移植臓器対個体反応疾患、神経線維腫症、肺高圧、アルツハイマー病、精上皮腫、未分化胚細胞腫、肥満細胞腫、肺癌、気管支癌、未分化胚細胞腫、睾丸上皮内腫瘍、黒色腫、乳がん、神経芽細胞腫、乳頭状/濾胞型副甲状腺過形成/腺腫、結腸がん、結腸直腸腺腫、卵巣がん、前立腺癌、神経膠芽腫、脳腫瘍、悪性神経膠腫、すい臓がん、悪性胸膜中皮腫、血管芽細胞腫、血管腫、腎臓がん、肝臓がん、副腎腫、膀胱がん、胃がん、直腸がん、膣がん、子宮頚癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、頚部と頭部腫瘤、腫瘍形成及びその他の増生性或いは増殖性疾病、あるいはその組み合わせなどの疾病、障害または病態の治療に用いられる。
【0128】
本発明は、治療中、特に不適切なBcr−Abl活性によって仲介される疾病と病態を治療するために使用する本発明の化合物を提供する。
【0129】
本稿で言及した不適切なBcr−Abl活性は、特定哺乳類対象において、予期される正常Bcr−Abl活性から外れた任意のBcr−Abl活性である。不適切なBcr−Abl活性は、例えば、活性異常の増加、あるいはBcr−Abl活性のタイミングや制御の異常などの形を含む。当該不適切な活性は、例えば不適切または制御不能な活性化を招くプロテインキナーゼの過剰発現または突然変異によって引き起こされる。
【0130】
もう一つの実施形態では、本発明は、失調または不適切なBcr−Abl活性と関連する病態を予防および/または治療するために、Bcr−Ablを調節、制御または抑制する方法に関する。
【0131】
もう一つの実施形態では、前記Bcr−Abl活性により介される病態は呼吸器疾患である。もう一つの実施形態では、前記病態は増殖性疾患である。もう一つの実施形態では、前記病態は癌である。もう一つの実施形態では、前記病態は白血病である。
【0132】
もう一つの実施形態の中に、本発明の化合物は、また神経変性の治療に用いることができる。
【0133】
健康な成人脳の中に、天然c−ABLチロシンキナーゼは相対的に静止しているが、例えばアルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(AD)、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)(FTD)、ピック病、C型ニーマン・ピック病(NPC)及び他の変性疾患、炎症性疾患及び自己免疫性疾患、並びに老化を含むCNS疾患患者の脳の中で、活性化される。
【0134】
本発明の化合物の有効量は、通常、平均の日投与量0.01〜50mgの化合物/キログラムの患者体重であり、0.1〜25mgの化合物/キログラムの患者体重が好ましく、単回または複数回に投与する。通常、本発明の化合物は、前記治療に必要な患者に、1人当たり約1mg〜約3500mgの日投与量範囲で投与し、10mg〜1000mgが好ましい。例えば、患者1人当たりの日投与量は10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、500、600、700、800、900または1000mgである。毎日、毎週(または数日間隔する)、または間欠的なスケジュールで1回または数回に投与することができる。例えば、毎週に (例えば毎月曜日に)、一日で化合物を1回以上に与えることを、不定期、または数週間(例えば4−10週間)にわたって、続けてもかまいません。あるいは、毎日投与を数日間(例えば2−10日間)続け、その後、数日間(たとえば1−30日間)に化合物を投与しないを一つの循環として、不定回数にまたは所定回数(例えば4−10回)に当該循環を繰り返すことができる。たとえば、本発明の化合物は、毎日投与を5日間続け、その後、9日間中断することを一つの循環として、不定回数にまたは所定回数(例えば4−10回)に当該循環を繰り返すことができる。
【0135】
実施例
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することを目的とするものではなく、当業者が、本発明の請求する方法と化合物を実施、製造、評価できるように、具体的な例を挙げて、詳しく説明する。
【0136】
合成方法
本発明の化合物は、本分野通常の方法に従い、かつ適切な試薬、原料および本分野の技術者に既知の精製方法を使用して製造できる。
【0137】
以下、本発明式(I)の構造を有する化合物の製造方法について、より具体的に説明するが、これらの具体的な方法は、本発明に対していかなる制限を構成しない。本発明の化合物は、また任意に本明細書で説明する或は本分野で知られている各種合成方法を組み合わせて、便利に獲得でき、このような組合せは、当分野の技術者が容易に行うことができる。
【0138】
通常、調製においては、各反応は、一般的に不活性溶媒中で、室温から還流温度(0℃〜100℃,好ましいのは0℃〜80℃)で行われる。反応時間は、通常0.1時間−60時間であり、好ましいのは0.5−24時間である。
【0139】
実施例1 (R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−3−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物6)
【化60】
ステップ1:6−クロロ−5−ブロモ−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物2)の合成。
【0140】
反応フラスクに、6−クロロ−5−ブロモニコチン酸(1.17g、4.97mmol)、4−(クロロジフルオロメトキシ)アニリン(0.8g、4.15mmol)を加え、20mLの無水DMFで溶解し、2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウレニウムヘキサフルオロ燐酸塩(HATU、2.1g、5.39mmol)とN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、534mg、4.15mmol)を加えて、窒素雰囲気の保護下、室温で撹拌して、18時間反応し、過剰の水で希釈して、酢酸エチルで3〜4回に抽出し、有機相を合併し、飽和食塩水で洗浄し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製し、真空乾燥して、生成物1.18gを得て、収率:69.5%である。
【0141】
ステップ2:(R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−ブロモ−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物4)の合成。
【0142】
反応フラスクに、化合物2(0.92g、2.0mmol)と(R)−3−ヒドロキシピロリジン(209.1mg、2.4mmol)を加え、2mlのイソプロパノールを加え、DIPEA(568.7mg、4.4mmol)を加え、140℃まで加熱し、2時間を撹拌反応して、室温に降下し、濃縮して、溶剤を除き、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物813mgを得て、収率:88.2%であった。
【0143】
ステップ3:(R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(dioxaborolan)−2−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物5)の合成。
【0144】
反応フラスコに、化合物4(322.7mg、0.7mmol)を加え、ビス(ピナコラト)ジボロン(711.03mg、2.8mmol)、酢酸パラジウム(4.71mg、0.021mmol),Xphos(25.0mg、0.053mmol)とリン酸カリウム(445.8mg、2.1mmol)を添加して、10mLの無水ジオキサンを加えて溶解し、マイクロウェーブで60℃に加熱して、4時間に反応、TLC検出により、原料が完全に未反応しなかった。ビス(ピナコラト)ジボロン(356mg、1.4mmol)を追加した後、60℃で一晩に反応して、TLC検出により、反応が完了したことを確定して、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、262mgの生成物を得て、収率:73.5%であった。
【0145】
ステップ4:(R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−3−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物6)の合成。
【0146】
反応フラスクに、化合物5(200mg、0.392mmol)、3−ブロモイソチアゾール(96mg、0.588mmol)、Pd(dppf)Cl
2(32mg、0.02mmol)と炭酸ナトリウム(126mg、1.18mmol)を加え、2mLのグリコールジメチルエーテルと0.4mL水を加え、窒素気を10分間にバブリングして、マイクロウェーブで120℃に加熱して、30分間に反応させ、TLC検出により、反応が終了と確定した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製により、84mg生成物を得て、収率:46%である。LC−MS(APCI):m/z=467.3(M+1)
+;
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.17(s,1H),9.04(s,1H),8.90(s,1H),8.76(d,J=2.3Hz,1H),8.05(d,J=2.3Hz,1H),7.86(d,J=9.1Hz,2H),7.33(d,J=8.8Hz,2H),4.86(d,J=3.4Hz,1H),4.21(s,1H),3.41(dd,J=17.0,9.3Hz,1H),3.29−3.18(m,2H),2.90(d,J=11.1Hz,1H),1.89−1.80(m,1H),1.75(s,1H)。
【0147】
実施例2 (R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−4−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物7)
【化61】
【0148】
反応フラスクに、化合物5(200mg、0.392mmol)、4−ブロモイソチアゾール(96mg、0.588mmol)、Pd(dppf)Cl
2(32mg、0.02mmol)と炭酸ナトリウム(126mg、1.18mmol)を加え、2mLのグリコールジメチルエーテルと0.4mL水を加え、 窒素気を10分間にバブリングして、マイクロウェーブで120℃に加熱して、30分間に反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製により、58mg生成物を得て、収率:31.7%である。LC−MS(APCI):m/z=467.3(M+1)
+;
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.17(s,1H),9.04(s,1H),8.76(d,J=2.3Hz,1H),8.70(s,1H),8.05(d,J=2.3Hz,1H),7.86(d,J=9.1Hz,2H),7.33(d,J=8.8Hz,2H),4.86(d,J=3.4Hz,1H),4.21(s,1H),3.41(dd,J=17.0,9.3Hz,1H),3.29−3.18(m,2H),2.90(d,J=11.1Hz,1H),1.89−1.80(m,1H),1.75(s,1H)。
【0149】
実施例3 (R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物8)
【化62】
【0150】
反応フラスクに、化合物5(200mg、0.392mmol)、5−ブロモイソチアゾール(96mg、0.588mmol)、Pd(dppf)Cl
2(32mg、0.02mmol)と炭酸ナトリウム(126mg、1.18mmol)を加え、2mLのグリコールジメチルエーテルと0.4mL水を加え、窒素気を10分間にバブリングして、マイクロウェーブで120℃に加熱して、30分間に反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製により、97mg生成物を得て、収率:53.1%である。LC−MS(APCI):m/z=467.3(M+1)
+;
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.17(s,1H),9.04(s,1H),8.90(s,1H),8.76(d,J=2.3Hz,1H),8.35(d,J=2.3Hz,1H),7.86(d,J=9.1Hz,2H),7.33(d,J=8.8Hz,2H),4.86(d,J=3.4Hz,1H),4.21(s,1H),3.41(dd,J=17.0,9.3Hz,1H),3.29−3.18(m,2H),2.90(d,J=11.1Hz,1H),1.89−1.80(m,1H),1.75(s,1H)。
【0151】
実施例4 (R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−(1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物12)
【化63】
【0152】
ステップ1:6−クロロ−5−(2−トリメチルシリルエチン−1−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物9)の合成。
【0153】
反応フラスクに、化合物2(400mg、0.97mmol)、トリメチルシリル基エチン(143.4mg、1.46mmol)、Pd(PPh
3)
2Cl
2(34mg、0.048mmol)、ヨウ化銅(18.4mg、0.096mmol)とDIPEA(377mg、2.92mmol)を加え、10mLの無水テトラヒドロフラン を加えて、溶解させ、窒素雰囲気の保護下で、マイクロウェーブで120℃に加熱して、1時間に反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、250mg生成物を得て、収率:60.2%とした。
【0154】
ステップ2:6−クロロ−5−エチニル基−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物10)の合成。
【0155】
反応フラスクに、化合物9(250mg、0.58mmol)を加え、10mLの無水テトラヒドロフランを加えて溶解し、1Mテトラブチルアンモニウムのテトラヒドロフラン溶液(1.17mL、1.17mmol)を加え、窒素雰囲気の保護下で、室温で反応を20分間行い、TLC検出により反応終了を確定した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物194.5mgを得て、収率:94.2%である。
【0156】
ステップ3:6−クロロ−5−(1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)−N−(4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物11)の合成。
【0157】
反応フラスクに、化合物10(127mg、0.357mmol)とトリメチルシランアジド(82.2mg、0.713mmol)を加え、2mLの無水トルエンを加えて溶解し、窒素雰囲気の保護下で、120℃まで加熱し、48時間に反応させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物45mgを得て、収率:31.6%であった。
【0158】
ステップ4:(R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−(1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物12)の合成。
【0159】
反応フラスクに、化合物11(30mg、0.075mmol)と(R)−3−ヒドロキシピロリジン(7.86mg、0.09mmol)を加え、2mLのイソプロパノールを加え、DIPEA(21.32mg、0.165mmol)を加え、140℃まで加熱し、2時間に撹拌反応させ、室温に降下し、濃縮して溶剤を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物27.3mgを得て、収率:81%であった。LC−MS(APCI):m/z=451.5(M+1)
+;
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.22(s,1H),8.75(d,J=2.4Hz,1H),8.25(s,1H),8.07(d,J=2.3Hz,1H),7.89(d,J=9.1Hz,2H),7.31(d,J=8.9Hz,2H),4.81(s,1H),4.14(s,1H),3.50−3.42(m,1H),3.23−3.14(m,2H),2.80(d,J=11.8Hz,1H),1.79(dd,J=8.9,4.4Hz,1H),1.73−1.63(m,1H)。
【0160】
実施例5 (R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物16)
【化64】
【0161】
ステップ1:(R)−6−(3−tert−ブチルジメチルシリロキシピロリジン−1−イル)−5−ブロモ−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物13)の合成。
【0162】
反応フラスクに、化合物4(200mg、0.434mmol)、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(100mg、0.65mmol)とイミダゾール(100mg、1.47mmol)を加え、5mLの無水DMFを加え、室温で撹拌し1時間に反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、、水で希釈し、酢酸エチルで3−4回に抽出し、有機相を合併し、飽和食塩水で洗浄し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物248mgを得て、収率:99%であった。
【0163】
ステップ2:(R)−6−(3−tert−ブチルジメチルシリロキシピロリジン−1−イル)−5−シアノ−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物14)の合成。
【0164】
反応フラスクに、化合物13(317mg、0.551mmol)、シアン化亜鉛(65mg、0.551mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(19mg、0.0165mmol)を加え、5mLの無水DMFを加え、マイクロウェーブで150℃に加熱し、10分間に反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、水を加えて希釈して、酢酸エチルで3−4回に抽出し、有機相を合併し、飽和食塩水で洗浄し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物209mgを得て、収率:93%である。
【0165】
ステップ3:(R)−6−(3−tert−ブチルジメチルシリロキシピロリジン−1−イル)−5−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物15)の合成。
【0166】
反応フラスクに、化合物14(209mg、0.4mmol)、ナトリウムアジド(312mg、4.8mmol)と塩化アンモニウム(254mg、4.8mmol)を加え、5mLの無水DMFを加え、150℃まで加熱して、一晩に反応させ、水で希釈し、酢酸エチルで3−4回に抽出し、有機相を併合し、飽和食塩水で洗浄し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物102mgを得て、収率:45.1%であった。
【0167】
ステップ4:(R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物16)の合成。
【0168】
反応フラスクに、化合物15(102mg、0.18mmol)を加え、3mLメタノールを加えて、溶解し、4Nの塩化水素メタノール溶液(0.225ml、0.9mmol)を加え、室温で撹拌し0.5時間に反応させ、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物67.4mgを得て、収率:83%である。
【0169】
LC−MS(APCI):m/z=452.4(M+1)
+;
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.22(s,1H),8.75(d,J=2.4Hz,1H),8.07(d,J=2.3Hz,1H),7.89(d,J=9.1Hz,2H),7.31(d,J=8.9Hz,2H),4.81(s,1H),4.14(s,1H),3.50−3.42(m,1H),3.23−3.14(m,2H),2.80(d,J=11.8Hz,1H),1.79(dd,J=8.9,4.4Hz,1H),1.73−1.63(m,1H)。
【0170】
実施例6 (R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−(1,2,4−チオジアゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物20)の調製
【化65】
【0171】
ステップ1:(R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−シアノ−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物17)の合成。
【0172】
反応フラスクに、化合物4(92.2mg、0.2mmol)、シアン化亜鉛(23.5mg、0.2mmol)とテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(7mg、0.006mmol)を加え、2mLの無水DMFを加え、マイクロウェーブで150℃に加熱して、10分間に反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、水で希釈し、酢酸エチルで3−4回に抽出し、有機相を合併し、飽和食塩水で洗浄し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物77.5mgを得て、収率:95%である。
【0173】
ステップ2:(R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−アミノチオホルミル基−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物18)の合成。
【0174】
反応フラスクに、化合物17(250mg、0.612mmol)と五硫化リン(117mg、1.838mmol)を加え、10mLのエタノールを加え、90℃まで加熱し、18時間に反応させ、濃縮して溶剤を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物75mgを得て、収率:27.7%である。
【0175】
ステップ3:(R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−((ジメチルアミノ)メチレンアミノチオホルミル基)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物19)の合成。
【0176】
反応フラスクに、化合物18(75mg、0.178mmol)とN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(64mg、0.534mmol)を加え、5mLの無水DMFを加え、室温で撹拌し10分間に反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、水で希釈し、酢酸エチルで3−4回に抽出し、有機相を併合し、飽和食塩水で洗浄し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物40mgを得て、収率:45.2%を得た。
【0177】
ステップ4:(R)−6−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−5−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物20)の合成。
【0178】
反応フラスクに、化合物19(40mg、0.08mmol)とピリジン(12.6mg、0.16mmol)を加え、2.5mLのエタノールを加えて溶解し、ゆっくりとヒドロキシルアミン−O−スルホン酸(10mg、0.088mmol)の1.5mLメタノール溶液を滴下してから、室温で撹拌し1時間に反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、濃縮により溶剤を除去して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物21mgを得て、収率:56.1%である。
【0179】
LC−MS(APCI):m/z=468.6(M+1)
+;
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.31(s,1H),9.01(s,1H),8.88(d,J=2.3Hz,1H),8.33(d,J=2.3Hz,1H),7.87(d,J=9.1Hz,2H),7.35(d,J=8.9Hz,2H),5.32(t,J=4.8Hz,1H),4.27(s,1H),3.56(d,J=7.4Hz,1H),3.28(dd,J=13.2,5.3Hz,2H),2.93(d,J=12.0Hz,1H),1.92−1.85(m,1H),1.80(dt,J=15.9,6.5Hz,1H。
【0180】
実施例7 (R)−6−(3−フルオロピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−4−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物23)
【化66】
【0181】
ステップ1:(R)−6−(3−フルオロピロリジン−1−イル)−5−ブロモ−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物21)の合成。
【0182】
反応フラスクに、化合物2(0.90g、2.19mmol)と(R)−3−フルオロピロリジン塩酸塩(330mg、2.63mmol)を加え、15mLイソプロパノールを加え、DIPEA(621mg、4.82mmol)を加え、140℃まで加熱し、撹拌して2時間に反応させ、室温に降下し、濃縮して溶剤を除き、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物841mgを得て、収率:83%であった。
【0183】
ステップ2:(R)−6−(3−フルオロピロリジン−1−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物22)の合成。
【0184】
反応フラスクに、化合物21(628mg、1.35mmol)を加え、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.03g、4.06mmol)、酢酸パラジウム(10mg、0.041mmol)、Xphos(50mg、0.101mmol)とリン酸カリウム(861mg、4.06mmol)を加え、20mlの無水ジオキサンを加えて溶解し、マイクロウェーブで60℃まで加熱して、4時間反応させ、TLC検査では、原料が反応切れしなくて、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.03g、4.06mmol)を追加した後に、60℃で一晩に反応させ、TLC検査では、反応が完了して、濃縮して、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製して、514.3mg生成物を得て、収率:75%であった。
【0185】
ステップ3:(R)−6−(3−フルオロピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−4−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物23)の合成。
【0186】
反応フラスクに、化合物22(100mg、0.195mmol)、4−ブロモイソチアゾール(50mg、0.293mmol)、Pd(dppf)Cl
2(5mg、0.006mmol)と炭酸ナトリウム(60mg、0.558mmol)を加え、5mLのグリコールジメチルエーテルと0.9mL水を加え、10分間で窒素気をバブリングし、マイクロウェーブで100℃まで加熱して、0.5時間反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、42mg生成物を得て、収率:46%であった。LC−MS(APCI):m/z=469.5(M+1)
+。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.69(d,J=2.4Hz,1H),8.58(d,J=9.6Hz,2H),7.94(d,J=2.4Hz,1H),7.74(s,1H),7.67(d,J=9.0Hz,2H),7.23(s,1H),5.21(d,J=52.0Hz,1H),3.56(d,J=3.1Hz,1H),3.52-3.44(m,2H),3.30(t,J=9.7Hz,1H),2.26-2.19(m,1H),2.03-1.97(m,1H)。
【0187】
実施例8 (R)−6−(3−フルオロピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物24)
【化67】
【0188】
反応フラスクに、化合物22(100mg、0.195mmol)、5−ブロモイソチアゾール(50mg、0.293mmol)、Pd(dppf)Cl
2(5mg、0.006mmol)と炭酸ナトリウム(60mg、0.558mmol)を加え、5mLのグリコールジメチルエーテルと0.9mL水を加え、10分間で窒素気をバブリングし、マイクロウェーブで100℃まで加熱して、0.5時間反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、45mg生成物を得て、収率:48%であった。
【0189】
LC−MS(APCI):m/z=469.5(M+1)
+。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.73(d,J=2.3Hz,1H),8.49(d,J=1.4Hz,1H),7.97(d,J=2.3Hz,1H),7.90(s,1H),7.66(d,J=9.0Hz,2H),7.24(s,1H),7.23-7.20(m,2H),5.30(s,1H),3.66(dd,J=13.6,3.2Hz,1H),3.60-3.53(m,2H),3.36(t,J=9.8Hz,1H),2.29-2.18(m,1H),2.10-1.94(m,1H)。
【0190】
実施例9 (R)−6−(3−フルオロピロリジン−1−イル)−5−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物28)
【化68】
【0191】
前述の実施例と同様の操作で、最終的に目的物である化合物28を得た。
【0192】
LC−MS(APCI):m/z=470.8(M+1)
+。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.31(s,1H),9.01(s,1H),8.88(d,J=2.3Hz,1H),8.33(d,J=2.3Hz,1H),7.87(d,J=9.1Hz,2H),7.35(d,J=8.9Hz,2H),5.32(t,J=4.8Hz,1H),4.27(s,1H),3.56(d,J=7.4Hz,1H),3.28(dd,J=13.2,5.3Hz,2H),2.93(d,J=12.0Hz,1H),1.92-1.85(m,1H),1.80(dt,J=15.9,6.5Hz,1H)。
【0193】
実施例10 (R)−6−(3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−4−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物31)
【化69】
【0194】
ステップ1:(R)−6−(3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル)−5−ブロモ−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物29)の合成。
【0195】
反応フラスクに、化合物2(0.90g、2.19mmol)と(R)−3−ジメチルアミノピロリジン塩酸塩(300mg、2.63mmol)を加え、15mLのイソプロパノールを加え、DIPEA(621mg、4.82mmol)を加え、140℃まで加熱し、撹拌し2時間反応させ、室温に降下し、濃縮して溶剤を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物1.06gを得て、収率:99%であった。
【0196】
ステップ2:(R)−6−(3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物30)の合成。
【0197】
反応フラスクに、化合物29(633mg、1.3mmol)を加え、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.98g、3.89mmol)、酢酸パラジウム(25mg、0.039mmol)、Xphos(50mg、0.1mmol)とリン酸カリウム(826mg、3.9mmol)を加え、20mlの無水ジオキサンを加えて溶解し、マイクロウェーブで60℃まで加熱して、4時間反応させ、TLC検査では、原料が反応切れしなくて、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.98g、3.89mmol)を追加した後に、60℃で一晩に反応させ、TLC検査では、反応が完了して、濃縮して、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製して、564mgの生成物を得て、収率:81%であった。
【0198】
ステップ3:(R)−6−(3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−4−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物31)の合成。
【0199】
反応フラスクに、化合物30(100mg、0.186mmol)、4−ブロモイソチアゾール(50mg、0.279mmol)、Pd(dppf)Cl
2(5mg、0.006mmol)と炭酸ナトリウム(60mg、0.558mmol)を加え、5mLのグリコールジメチルエーテルと0.9mL水を加え、10分間で窒素気をバブリングし、マイクロウェーブで100℃まで加熱して、0.5時間反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、78mg生成物を得て、収率:85%であった。LC−MS(APCI):m/z=494.7(M+1)
+。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.67(s,1H),8.54(d,J=4.3Hz,2H),7.96(s,1H),7.91(s,1H),7.67(d,J=8.8Hz,2H),7.22(d,J=8.6Hz,2H),3.43-3.34(m,1H),3.34-3.21(m,2H),3.18(dd,J=17.9,9.0Hz,1H),2.67(s,1H),2.23(s,6H),2.05(d,J=6.5Hz,1H),1.76(dd,J=20.3,10.0Hz,1H)。
【0200】
実施例11 (R)−6−(3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物32)
【化70】
【0201】
反応フラスクに、化合物30(100mg、0.186mmol)、5−ブロモイソチアゾール(50mg、0.279mmol)、Pd(dppf)Cl
2(5mg、0.006mmol)と炭酸ナトリウム(60mg、0.558mmol)を加え、5mLのグリコールジメチルエーテルと0.9mL水を加え、10分間で窒素気をバブリングし、マイクロウェーブで100℃まで加熱して、0.5時間反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、54mg生成物を得て、収率:58.8%であった。LC−MS(APCI):m/z=494.7(M+1)
+。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.72(d,J=2.3Hz,1H),8.46(d,J=1.5Hz,1H),8.40(s,1H),8.01(d,J=2.3Hz,1H),7.72(d,J=9.0Hz,2H),7.24-7.17(m,3H),3.50(dd,J=10.8,7.1Hz,1H),3.42(t,J=9.6Hz,1H),3.32(dd,J=9.3,4.4Hz,2H),2.91-2.84(m,1H),2.35(s,6H),2.10(dd,J=11.6,6.0Hz,1H),1.91(dd,J=20.5,10.4Hz,1H)。
【0202】
実施例12 (R)−6−(3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル)−5−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物36)
【化71】
【0203】
前述の実施例と同様の操作で、最終的に目的物である化合物36を得た。
【0204】
LC−MS(APCI):m/z=495.0(M+1)
+。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.34(s,1H),9.02(s,1H),8.88(d,J=2.3Hz,1H),8.36(d,J=2.3Hz,1H),7.87(d,J=9.1Hz,2H),7.35(d,J=9.0Hz,2H).3.50(dd,J=10.8,7.1Hz,1H),3.42(t,J=9.6Hz,1H),3.32(dd,J=9.3,4.4Hz,2H),2.91-2.84(m,1H),2.35(s,6H),2.10(dd,J=11.6,6.0Hz,1H),1.91(dd,J=20.5,10.4Hz,1H)。
【0205】
実施例13 6−(3−ヒドロキシ−4−フルオロピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−4−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物42)
【化72】
【0206】
ステップ1:3−水酸基−4−フルオロ−N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン(化合物38)の合成。
【0207】
反応フラスクに、3−tert−ブトキシカルボニル−6−オキソ−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(1.11g、6.0mmol)とトリエチルアミンフッ化水素酸塩(967.3mg、7.2mmol)を加え、100℃まで加熱し、撹拌し一晩に反応させ、室温に下げて、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製して、生成物881mgを得て、収率:71.6%であった。
【0208】
ステップ2:3−水酸基−4−フルオロピロリジン(化合物39)の合成。
【0209】
反応フラスコに、化合物38(881mg、4.29mmol)と4M塩化水素ジオキサン溶液(27ml、107.4mmol)を加え、室温で3−4時間に撹拌し反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、溶媒を濃縮除去し、精製せずに、次のステップに投入した。
【0210】
ステップ3:6−(3−ヒドロキシ−4−フルオロピロリジン−1−イル)−5−ブロモ−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物40)の合成。
【0211】
反応フラスクに、化合物2(883mg、2.15mmol)と化合物39(276.1mg、2.63mmol)を加え、15mLのイソプロパノールを加え、DIPEA(610mg、4.73mmol)を加え、140℃まで加熱し、撹拌し2時間反応させ、室温に降下し、濃縮して溶剤を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物896mgを得て、収率:87%であった。
【0212】
ステップ4:6−(3−ヒドロキシ−4−フルオロピロリジン−1−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物41)の合成。
【0213】
反応フラスクに、化合物40(650mg、1.35mmol)を加え、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.03g、4.06mmol)、酢酸パラジウム(10mg、0.045mmol)、Xphos(50mg、0.1mmol)とリン酸カリウム(861mg、4.06mmol)を加え、20mlの無水ジオキサンを加えて溶解し、マイクロウェーブで60℃まで加熱して、4時間反応させ、TLC検査では、原料が反応切れしなくて、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.03g、4.06mmol)を追加した後に、60℃で一晩に反応させ、TLC検出により反応が完了し、濃縮し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製して、664mgの生成物を得て、収率:93.4%であった。
【0214】
ステップ5:6−(3−ヒドロキシ−4−フルオロピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−4−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物42)の合成。
【0215】
反応フラスクに、化合物41(100mg、0.19mmol)、4−ブロモイソチアゾール(50mg、0.27mmol)、Pd(dppf)Cl
2(5mg、0.006mmol)と炭酸ナトリウム(60mg、0.558mmol)を加え、5mLのグリコールジメチルエーテルと0.9mL水を加え、10分間で窒素気をバブリングし、マイクロウェーブで100℃まで加熱して、0.5時間反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、58mg生成物を得て、収率:63%であった。LC−MS(APCI):m/z=485.3(M+1)
+。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ10.23(s,1H),9.09(s,1H),8.77(d,J=2.0Hz,1H),8.72(s,1H),8.10(d,J=2.0Hz,1H),7.87(d,J=9.0Hz,2H),7.34(d,J=8.7Hz,2H),5.47(d,J=3.5Hz,1H),4.94(d,J=51.5Hz,1H),4.18(s,1H),3.64(ddd,J=41.8,13.5,3.1Hz,1H),3.43-3.38(m,1H),3.02(d,J=11.9Hz,1H)。
【0216】
実施例14 6−(3−ヒドロキシ−4−フルオロピロリジン−1−イル)−5−(イソチアゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物43)
【化73】
【0217】
反応フラスクに、化合物41(100mg、0.19mmol)、5−ブロモイソチアゾール(50mg、0.27mmol)、Pd(dppf)Cl
2(5mg、0.006mmol)と炭酸ナトリウム(60mg、0.558mmol)を加え、5mLのグリコールジメチルエーテルと0.9mL水を加え、10分間で窒素気をバブリングし、マイクロウェーブで100℃まで加熱して、0.5時間反応させ、TLC検出により反応終了を確定した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、29mg生成物を得て、収率:31.5%であった。LC−MS(APCI):m/z=485.3(M+1)
+。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.29(s,1H),8.82(d,J=2.3Hz,1H),8.65(d,J=1.6Hz,1H),8.15(d,J=2.3Hz,1H),7.87(d,J=9.1Hz,2H),7.50(d,J=1.6Hz,1H),7.34(d,J=9.0Hz,2H),5.50(d,J=2.8Hz,1H),4.97(d,J=52.1Hz,1H),4.21(s,1H),3.75(ddd,J=41.8,13.6,3.3Hz,1H),3.51(d,J=12.1Hz,1H),3.46-3.36(m,1H),3.08(d,J=11.9Hz,1H).
【0218】
実施例15 6−(3−水酸基−4−フルオロピロリジン−1−イル)−5−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−N−(4−(クロロジフルオロメトキシ)フェニル)ニコチンアミド(化合物47)
【化74】
【0219】
前述の実施例と同様の操作で、最終的に目的物である化合物47を得た。
【0220】
LC−MS(APCI):m/z=486.8(M+1)
+。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.35(s,1H),9.04(s,1H),8.90(d,J=2.3Hz,1H),8.37(d,J=2.3Hz,1H),7.86(t,J=6.0Hz,2H),7.35(d,J=8.9Hz,2H),5.54(d,J=3.3Hz,1H),5.00(d,J=52.8Hz,1H),4.25(s,1H),3.91-3.77(m,1H),3.61(d,J=12.1Hz,1H),3.46-3.38(m,1H),3.02(d,J=12.2Hz,1H)。
【0221】
生物活性試験
実施例16:細胞毒性実験
Ba/F
3親細胞、Ba/F
3Bcr−Abl
T31 5I細胞の活性に対する抑制効果を測定した。
【0222】
材料及び試薬:RPMI−1640培地(GIBCO、Cat. No. A10 491−01)、ウシ胎児血清(GIBCO、Cat. No. 10099141)、抗生物質(ペニシリン−ストレプトマイシン)、IL−3(PeproTech)、ピューロマイシン;細胞系:Ba/F
3親細胞、Ba/F
3Bcr−Abl
T31 5I(米国標準物収蔵センター、ATCC)、生細胞の検出キットCellTiter−Glo4(Promega、Cat. No. G7572)、96ウェル黒壁透明フラット細胞培養板(Corning,Cat. No. 3340)。
【0223】
実験方法:
1.細胞板の作製:Ba/F
3親細胞、Ba/F
3Bcr−Abl
T31 5I細胞を、それぞれ96ウェルプレートに接種し、Ba/F
3親細胞に8ng/mlのIL−3を加え、細胞板を二酸化炭素インキュベータに一晩培養する。
【0224】
2.被検化合物の調製:DMSOで被測定化合物を溶解し、3.16倍勾配で希釈し、9個の化合物濃度を設定し、トリプリケート孔実験を行い、化合物の初期濃度は10μMである。
【0225】
3.化合物処理細胞:各濃度の化合物を細胞板に移した。
細胞板は二酸化炭素インキュベーターに3日間培養した。
【0226】
4.検査:細胞板にCellTiter−Glo4試薬を加え、室温で30分間インキュベートして、発光信号を安定させた。PerkinElmer Envision multi−label analyzerを用いて読み取った。
【0227】
実施例では、細胞の体外増殖の抑制作用の結果を下表1に示し、その中、AはIC
50≦100nM、Bは100nM<IC
50≦500nM、Cは500nM<IC
50≦1000nM、DはIC
50>1000nMをそれぞれ表示した。
【表1】
【0228】
実験結果により、本発明の化合物は、薬物副作用に関連するBa/F
3細胞に対して比較的低い抑制活性(IC
50が1000nMより大きい)を示し、Ba/F
3Bcr−Abl
T31 5I変異体の細胞に優れた抑制活性(最適なIC
50≦100nM)を示したため、本発明の化合物は、Bcr−Ablの阻害剤として、従来のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の薬剤耐性或いは抵抗性の腫瘍患者、例えば慢性骨髄性白血病(CML)の慢性期、急性期、加速期患者及びフィラデルフィア染色体陽性(Ph
+)の慢性顆粒球白血病と急性リンパ細胞白血病患者に対して良好な将来性を有する。
【0229】
その他、本発明の化合物は、また最高の治療指数(Ba/F
3親細胞のIC
50をBa/F
3Bcr−Abl
T31 5IのIC
50で割ることにより獲得する)を有し、例えば、実施例2の化合物は、180より高い治療インデックスを有し、実施例3の化合物は、90より高い治療インデックスを有する。
【0230】
実施例17:ラット薬物動態実験
6匹の雄Sprague−Dawleyラット、7〜8週齢、体重は約210g、2群に分け、毎群3匹、静脈(静脈2mg/kg)投与或いは単回投与量の化合物を経口投与(20mg/kg経口投与)し、その薬物動態学の差異を比較した。
【0231】
ラットは標準飼料で飼育し、水を与えた。試験の16時間前から禁食した。薬物は、PEG400とジスルホキシドで溶解した。眼窩採血して、採血時間が、それぞれ、投与後の0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間と24時間であった。
【0232】
ラットに、ジエチルエーテルを吸入させた後に、短時間麻酔し、眼窩から300μL血液サンプルを試験管に採取した。試験管内に、30μLの1%ヘパリン塩溶液がある。使用前に、試験管を60℃で一晩に乾燥した。最後の時点で採血済んだ後、ラットをエーテルで麻酔後に屠殺した。
【0233】
血液サンプルを採取した後、すぐに、チューブを穏やかに少なくとも5回に転倒して、十分に混合させた後、氷上に放置する。血液サンプルを、4℃に、5000rpmで5分間遠心分離し、赤血球と血漿を分離させた。100μLの血漿を、ピペットでクリーンなプラスチック遠心管に吸引し、化合物の名称と時点を標記した。血漿は、分析の前に、−80℃に保存した。血漿中の本発明化合物の濃度をLC−MS/MSにて測定した。薬物動態パラメーターは、各動物の各時点における血中濃度に基づいて計算した。
【0234】
本実験では、陽性対照として、ABL−001を用い、実験結果は以下の表2に示す。
【表2】
【0235】
この実験結果により、本発明の化合物はより良い薬物動態性質を有することが示された。例えば、実施例2の化合物をABL−001と同時に、ラットに経口投与した後、実施例2化合物はより良い代謝パラメーターである最大血漿暴露濃度(Cmax)、血漿暴露量(AUClast)と経口利用度(F%)を有する。
【0236】
実施例18:BA/F
3(BCR−L
T315I)皮下腫瘍モデルにおける薬力学評価
実験動物:NOD/SCIDマウス、雌、7〜8週(腫瘍細胞接種時のマウス週齢)、平均体重21.8g、32匹、北京華阜康生物技術有限公司から購入し、動物合格証番号:11401300068166。飼育環境:SPF級。
【0237】
実験動物飼育室の環境条件:実験動物はいずれも恒温恒湿の独立換気ケース内に飼育し、飼育室温度は22.3−24.5℃、湿度51−58%、10〜20次/1時間で換気し、昼夜明暗交替時間12h/12h;持続的にコバルト60放射滅菌したマウスの全価顆粒飼料を供給し、無限に摂取し、水道水(高圧蒸気滅菌)を自由に摂取する。飼育ケースは、ポリスルホンマウスケースであり、加圧滅菌後に使用し、規格は325mm×210mm×180mmとした;パッドは加圧滅菌コーンコアであり、1箱4匹、実験開始時間、実験開始時間、課題担当者、実験者、動物由来、グループと動物番号などを記載した;実験アニマルに耳号を付け、標記した。
【0238】
方法:毎匹のNOD/SCIDマウスの右側背部皮下に5×10
6BA/F
3(BCR−AB
T315I)細胞を接種し、PBS(0.1ml/本)に再懸濁し、皮下腫瘍モデルを立てた。実験は、溶媒対照群、陽性対照ABL001の15mg/kg群、化合物実施例2の15mg/kg群に分け、毎群に6匹、毎日2回投与し、溶剤対照群は15日間投与し、陽性対照ABL001の15mg/kg群は19日間投与し、化合物実施例2の15mg/kg群は19日投与した。相対的な腫瘍抑制率(TGI)に応じて、治療効果評価を行い、体重の変動と死亡状況による安全性評価を行った。
【0239】
本実験の過程で、動物実験のプロトコルはいずれもCrownBio IACUC委員会により審査を経て承認された。実験の過程中で、動物実験の操作は、すべてAAALACの要求に従った。腫瘍接種後、通常モニタリングは、腫瘍の成長及び動物の正常な行動に対する影響を含んで、具体的な内容は、実験動物の活動性、摂食と水の状況、体重増加或いは降下情況、眼、毛及びその他の異常を含む。実験中に観察された異常な臨床症状は、すべて生データに記録された。実験の過程では、毎週に3回で、マウスの体重と腫瘍の大きさを測定し、記録した。毎回の投与前に、マウス重量を秤量し、マウス重量に応じて投与を行った。
【0240】
相対腫瘍抑制率TGI(%):TGI%=(1−T/C)×100%。T/C%は、相対腫瘍増殖率、すなわち、ある時点で、治療群と対照群の相対的な腫瘍体積または腫瘍重量のパーセントである。TとCは、それぞれ、治療群と対照群のある特定時点における相対腫瘍体積(RTV)或いは腫瘍重(TW)である。
【0241】
統計解析:すべての実験結果は、平均値±標準誤差(±s)で表され、対照群と各治療群との間には、一元配置分散分析(one−way ANOVA)を用いて、グループ分けた後第12日目に腫瘍体積の有意差があるかどうかについて比較して、その後、Games−Howell(heterogeneity of variance)により対照群と各治療群との間、または各治療群間の腫瘍体積の有意差を比較して、p<0.05の場合は、有意差があった。
【0242】
実験結果:
BA/F
3(BCR−L
T315I)の皮下腫瘍モデルにおいて、本発明の化合物は、より良い抗腫瘍作用とより良い安全性を有する。例えば、ABL−001に比べ、実施例2化合物の相対腫瘍抑制率(TGI)は、少なくともより20%に高く、実験経過中に、ABL−001群マウスの平均体重は5%を減少した一方、実施例2化合物群では、平均体重が増加したので、施行例2化合物の安全性はABL−001より高かった。
【0243】
これらの実施例は、本発明の範囲を限定することなく、実施例の中に具体的な条件が明記されていない実験方法は、通常の条件に従って、またはメーカーに提案した条件に従って、実施することができると理解すべきである。別段の説明がない限り、「部」および「%」は、重量部および重量%である。
【0244】
以上の内容は、具体的な好ましい実施態様を結合して、本発明をより詳細に説明しているものであるが、本発明の具体的な実施は、これらの説明に限定されない。本発明の所属技術分野の一般技術者にとって、本発明の構想を逸脱しない前提で、若干の簡単な推演或は置換を行うことができ、全部本発明の保護範囲に属すると見なすべきである。