特許第6779063号(P6779063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧

特許6779063プリント基板構造及びプリント基板の設計方法
<>
  • 特許6779063-プリント基板構造及びプリント基板の設計方法 図000002
  • 特許6779063-プリント基板構造及びプリント基板の設計方法 図000003
  • 特許6779063-プリント基板構造及びプリント基板の設計方法 図000004
  • 特許6779063-プリント基板構造及びプリント基板の設計方法 図000005
  • 特許6779063-プリント基板構造及びプリント基板の設計方法 図000006
  • 特許6779063-プリント基板構造及びプリント基板の設計方法 図000007
  • 特許6779063-プリント基板構造及びプリント基板の設計方法 図000008
  • 特許6779063-プリント基板構造及びプリント基板の設計方法 図000009
  • 特許6779063-プリント基板構造及びプリント基板の設計方法 図000010
  • 特許6779063-プリント基板構造及びプリント基板の設計方法 図000011
  • 特許6779063-プリント基板構造及びプリント基板の設計方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779063
(24)【登録日】2020年10月15日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】プリント基板構造及びプリント基板の設計方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20201026BHJP
【FI】
   H05K3/34 502A
   H05K3/34 506K
   H05K3/34 506J
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-149058(P2016-149058)
(22)【出願日】2016年7月28日
(65)【公開番号】特開2018-18991(P2018-18991A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年5月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100135976
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】河端 珠樹
(72)【発明者】
【氏名】刑部 健一
【審査官】 黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−154778(JP,A)
【文献】 特開平05−110237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H05K 3/28
H05K 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の複数の導電層間を導電接続する複数のバイアホールが形成され、
前記複数のバイアホールは、ランドにソルダレジストが塗布された塗布バイアホールと、ランドにソルダレジストが塗布されていない非塗布バイアホールとを含み、
前記塗布バイアホールは、前記プリント基板上の、半田ブリッジまたは半田ボールが発生する可能性が高い場所に配置され、かつ、少なくとも一つの非塗布バイアホールと電気的に並列接続されている、ことを特徴とするプリント基板構造。
【請求項2】
前記塗布バイアホールは、隣接するバイアホール間の距離が所定の距離以下である場所に配置され、前記隣接するバイアホールのうち一方が塗布バイアホールであり、他方が非塗布バイアホールである、請求項1に記載のプリント基板構造。
【請求項3】
前記塗布バイアホールは、前記プリント基板に配置される金属部材からの距離が所定の距離以下である場所に配置される、請求項1に記載のプリント基板構造。
【請求項4】
前記塗布バイアホールは、前記プリント基板の電源電圧が供給される電源電圧パターン部に配置される、請求項1〜の何れか一項に記載のプリント基板構造。
【請求項5】
前記塗布バイアホールは、前記プリント基板の接地される接地パターン部に接続される、請求項1〜の何れか一項に記載のプリント基板構造。
【請求項6】
基板設計装置が、
電子部品がフロー方式またはディップ方式により半田付けされる第1領域と、第1領域が半田付けされる際に、マスク治具によって半田から保護される第2領域とを有するプリント基板が、前記第1領域と前記第2領域との境界線との距離が、半田ボールを形成可能な半田ボール形成距離以下である第1バイアホールを有するか否かを判定することと、
前記プリント基板が前記第1バイアホールを有すると判定された場合、前記第1バイアホールがソルダレジストが塗布されていないランドを有する第2バイアホールに電気的に並列接続されているか否かを判定することと、
前記第1バイアホールが前記第2バイアホールに電気的に並列接続されていると判定された場合、前記第1バイアホールを、ソルダレジストが塗布されたランドを有する塗布バイアホールとして決定すること、
を含むプリント基板の設計方法。
【請求項7】
前記第1バイアホールが前記第2バイアホールに電気的に並列接続されていないと判定された場合、前記基板設計装置が、前記プリント基板における前記第1バイアホールの位置を再配置して、前記第1バイアホールと前記境界線との間の距離を前記半田ボール形成距離よりも大きくすること、
をさらに含む請求項に記載のプリント基板の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バイアホール(Viaホール、ビアホール)と称される導電性の側壁を有する貫通孔をプリント基板に形成して、該プリント基板の複数の導電層間の導通を図ることが知られている。電子機器の小型化に伴って、プリント基板に形成されるバイアホールの間の間隔が狭くなってきており、半田付けをするときに隣接するバイアホールのランド(バイアホールの導電材がプリント基板表面にドーナツ状に露出している部分)間に半田ブリッジが形成されることがある。また、特にプリント基板の熱容量が大きい部分の近傍では、半田付けの際に、バイアホールのランドに半田ボールが形成されることがある。この半田ブリッジや半田ボールが、プリント基板が電子機器に組み込まれた後で、何らかの衝撃等でプリント基板から剥離して移動し、プリント基板の配線や部品のリード線同士をショートさせると、電子機器の動作不良の原因となる。そこで、部品の実装に用いられない全てのバイアホールのランドにソルダレジストを塗布することで、半田付けをするときに、半田がバイアホールのランドに付着しないようにして、半田ブリッジや半田ボールが形成されることを防止することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−154778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バイアホールのランドにソルダレジストを塗布すると、ソルダレジストがバイアホールの開口部を塞いだり、塞がないまでも、バイアホールの貫通孔の内部に流れ込む、いわゆる液ダレを起こすことがある。バイアホールが塞がれたり、内部に液ダレがあると、プリント基板の製造工程で用いたエッチング溶剤等が十分に洗浄されずに、バイアホール内部に残留し、残留したエッチング溶剤等の残渣がバイアホールの壁面を覆う導電材と反応して、バイアホールが断線するおそれがある。バイアホールが断線するとプリント基板の層間の導通に支障をきたし、やはり電子機器の動作不良の原因となる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、半田ブリッジや半田ボールが形成されるおそれが低く、かつバイアホールが断線による電子機器の動作不良が発生するおそれの低いプリント基板構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するため、本発明に係るプリント基板構造は、プリント基板の複数の導電層間を導電接続する複数のバイアホールが形成され、複数のバイアホールは、ランドにソルダレジストが塗布された塗布バイアホールと、ランドにソルダレジストが塗布されていない非塗布バイアホールとを含み、塗布バイアホールは、プリント基板上の、半田ブリッジまたは半田ボールが発生する可能性が高い場所に配置され、かつ、少なくとも一つの非塗布バイアホールと電気的に並列接続されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るプリント基板構造では、塗布バイアホールは、隣接するバイアホール間の距離が所定の距離以下である場所に配置され、隣接するバイアホールのうち一方が塗布バイアホールであり、他方が非塗布バイアホールであることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係るプリント基板構造では、塗布バイアホールは、プリント基板に配置される金属部材からの距離が所定の距離以下である場所に配置されることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るプリント基板構造では、電子部品がフロー方式またはディップ方式により半田付けされる第1領域と、第1領域が半田付けされる際に、マスク治具によって半田から保護される第2領域とを含み、塗布バイアホールは、第1領域内であって、第2領域との境界からの距離が所定の距離以下である場所に配置されることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るプリント基板構造では、塗布バイアホールは、プリント基板の電源電圧が供給される電源電圧パターン部に配置されることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るプリント基板の構造では、塗布バイアホールは、プリント基板の接地される接地パターン部に接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半田ブリッジや半田ボール形成されるおそれを低くし、かつバイアホールの断線による電子機器の動作不良が発生するおそれを低くすることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は第1実施形態に係るプリント基板の部分平面図であり、(b)は(a)に示すプリント基板の部分断面図である。
図2】(a)は図1に示す非塗布バイアホールと塗布バイアホールとの間の距離を説明するための第1の図であり、(b)は図1に示す非塗布バイアホールと塗布バイアホールとの間の距離を説明するための第2の図である。
図3図1に示す塗布バイアホールを決定する塗布バイアホール決定処理を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態に係るプリント基板の部分平面図である。
図5】(a)はバイアホールのランドに半田ボールが形成される説明図であり、(b)は図4に示す非塗布バイアホールと塗布バイアホールとの間の距離を説明するための図である。
図6図4に示す塗布バイアホールを決定する塗布バイアホール決定処理を示すフローチャートである。
図7】第3実施形態に係るプリント基板の部分平面図である。
図8図7に示す非塗布バイアホールと塗布バイアホールとの間の距離を説明するための図である。
図9図7に示す塗布バイアホールを決定する塗布バイアホール決定処理を示すフローチャートである。
図10図7に示すプリント基板の一例を示す図であり、(a)及び(b)は隣接する非塗布バイアホールとの間の距離が半田ブリッジ形成距離以下の塗布バイアホールの配置例を示す図であり、(c)は境界線との間の距離が半田ボール形成距離以下の塗布バイアホールの配置例を示す図である。
図11】(a)は比較例に係る実装構造におけるバイアホールへの半田の付着状態の一例を示す図であり、(b)は本実施形態に係るプリント基板におけるバイアホールへの半田の付着状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の図面を参照して、本発明に係るプリント基板構造について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明との均等物に及ぶ点に留意されたい。本発明に係るプリント基板構造では、バイアホールは、ランドにソルダレジストが塗布されていない非塗布バイアホールと、ランドにソルダレジストが塗布された塗布バイアホールとを含む。隣接する非塗布バイアホールとの間の距離が、半田ブリッジが形成される距離以下であるバイアホールを選択的に塗布バイアホールとすることで、塗布バイアホールの数を最小限とし、バイアホール断線が発生する可能性を最小化する。
【0015】
(第1実施形態に係るプリント基板構造)
図1(a)は第1実施形態に係るプリント基板の部分平面図であり、図1(b)は図1(a)に示すプリント基板の部分断面図である。
【0016】
プリント基板1は、第1面11と、第1面11と反対に位置する第2面12とを有し、第1面11から第2面12に貫通した貫通孔13の壁面が銅等の導電材14で覆われた複数のバイアホール20及び21が形成される。また、バイアホールがプリント基板1の第1面11と第2面12に露出する部分には、導電材14がバイアホールの開口の周囲をドーナツ状に囲んだランド16が形成される。プリント基板1の第1面11や第2面12には、電子部品30が半田によって半田付けされる。プリント基板1の第1面11及び第2面12のそれぞれは、ソルダレジスト15が塗布される。プリント基板1では、非塗布バイアホール及び電子部品30等の電子部品は、フロー方式またはディップ方式により半田付けされる。なお、本明細書では、フロー方式とは、半田槽に貯蔵された半田を噴流させて、この噴流で基板表面を洗うように半田付けする方式を指し、ディップ方式とは、半田槽に貯蔵された半田にプリント基板を浸漬させて半田付けを行う方式を指す。
【0017】
複数のバイアホール20〜21は、ランド16にソルダレジスト15が塗布されていない非塗布バイアホール20と、ランド16にソルダレジスト15が塗布された塗布バイアホール21とを含む。塗布バイアホール21には、エッチング溶剤等の残渣90が残留することがある。
【0018】
図2(a)は非塗布バイアホール20と塗布バイアホール21との間の距離を説明するための第1の図であり、図2(b)は非塗布バイアホール20と塗布バイアホール21との間の距離を説明するための第2の図である。
【0019】
プリント基板1では、塗布バイアホール21と、塗布バイアホール21に隣接する非塗布バイアホール20との間の距離は、電子部品30を半田付けする半田が半田ブリッジ18を形成する半田ブリッジ形成距離D1以下である。すなわち、隣接する非塗布バイアホール20との間の距離が、半田ブリッジ形成距離D1以下である場合に、そのバイアホールは、塗布バイアホール21に選択される。言いかえれば、隣接するバイアホールの間隔がD1以下である場合は、どちらか一方のバイアホールを非塗布バイアホール20とし、他方を塗布バイアホール21とする。一例では、隣接する非塗布バイアホール20との間の距離が0.75mm以下であるバイアホールは、塗布バイアホール21に選択される。隣接するバイアホールの一方を塗布バイアホール21とすることにより、バイアホール21のランドには半田が付着せず、非塗布バイアホール20のランドとの間で半田ブリッジが形成されることが防止される。
【0020】
そして、この塗布バイアホール21は、非塗布バイアホール20のいずれかと電気的に並列接続されており、仮に塗布バイアホール21の貫通穴に残留したエッチング溶剤等によってバイアホールが断線したとしても、並列接続されている非塗布バイアホール20によって電気的接続が維持されるため、電子機器が動作不良に至る可能性は低く抑えられる。
【0021】
より好適には、非塗布バイアホール20と塗布バイアホール21とはプリント基板の電源供給線VDDを構成するパターン部や接地線VSSを構成するパターン部に設けられる。電源供給線VDDや地線VSSを構成するパターン部はインピーダンスを低くしたり、より多くの電流容量を確保するために、多数のバイアホールが電気的に並列接続されて接地されることが多い。このような部分では、仮に一つ、または少数の塗布バイアホール21に断線が生じたとしても、他の多数の非塗布バイアホール20や断線していない塗布バイアホール21によって、電気的接続が維持されるため、電子機器が動作不良に至る可能性はより低く抑えられる。
【0022】
図3は、塗布バイアホール21を決定する塗布バイアホール決定処理を示すフローチャートである。図3に示す処理は、不図示の基板設計装置(プリント基板設計CADシステムなど)によってプリント基板に形成されるバイアホールのそれぞれについて実行される。
【0023】
まず、基板設計装置は、プリント基板に形成されるバイアホールにフロー方式またはディップ方式により半田付けする可能性があるか否かを判定する(S101)。基板設計装置がプリント基板に形成されるバイアホールにフロー方式にまたはディップ方式より半田付けする可能性がないと判定する(S101−NO)と、処理は終了する。
【0024】
基板設計装置は、バイアホールに半田付けする可能性があると判定する(S101−YES)と、半田付けするバイアホールから半田ブリッジが形成されるおそれがある半田ブリッジ形成距離D1以下に隣接するバイアホールがあるか否かを判定する(S102)。基板設計装置が半田付けするバイアホールから半田ブリッジ形成距離D1以下に隣接するバイアホールがないと判定する(S102−NO)と、処理は終了する。
【0025】
基板設計装置は、半田ブリッジ形成距離D1以下に隣接するバイアホールがあると判定する(S102−YES)と、半田ブリッジ形成距離D1以下に隣接するバイアホールが非塗布バイアホール20に電気的に並列接続されているか否かを判定する(S103)。基板設計装置は、半田ブリッジ形成距離D1以下に隣接するバイアホールが非塗布バイアホール20に電気的に並列接続されていると判定する(S103−YES)と、当該隣接するバイアホールを塗布バイアホール21に決定する(S104)。
【0026】
基板設計装置は、半田ブリッジ形成距離D1以下に隣接するバイアホールが非塗布バイアホール20に電気的に並列接続されていないと判定する(S103−NO)と、バイアホールの配置を見直す(S105)。一例では、基板設計装置は、非塗布バイアホール20に並列接続されていないと判定されたバイアホールを、非塗布バイアホール20から半田ブリッジ形成距離D1より離隔して配置する。
【0027】
(第2実施形態に係るプリント基板構造)
図4は、第2実施形態に係るプリント基板の部分平面図である。
【0028】
プリント基板2は、電子部品30に加えて金属部材31が配置されることがプリント基板1と相違する。また、プリント基板2は、バイアホール20〜21に加えてバイアホール41が形成されことがプリント基板1と相違する。金属部材31及びバイアホール41以外のプリント基板2の構成要素は、同一符号が付されたプリント基板1の構成要素と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0029】
金属部材31は、一例では放熱用のフィンや、プリント基板2上の部品を電気的にシールドするシールドケースであり、電子部品30と同時に、フロー方式またはディップ方式によりプリント基板2の第1面11に半田付けされる。また、金属部材31は、電子部品30とは別の工程であらかじめプリント基板2上に配置されていてもよい。
【0030】
図5(a)はバイアホールのランドに半田ボールが形成される説明図であり、図5(b)は金属部材31と塗布バイアホール41との間の距離を説明するための図である。
【0031】
プリント基板2では、金属部材31と塗布バイアホール41との間の距離は、半田がバイアホールのランドに半田ボール19を形成する半田ボール形成距離D以下である。すなわち、金属部材31と塗布バイアホール41との間の距離が、半田ボール形成距離D以下である場合にバイアホールは、塗布バイアホール41に選択される。一例では、金属部材31との間の距離が1.5mm以下である場合にバイアホールは、塗布バイアホール41に選択される。金属部材31は、熱容量が大きいため、金属部材31との間の距離が半田ボール形成距離D以下のバイアホールは、電子部品30等をフロー方式またはディップ方式により半田付けするときに、当該バイアホールのランドの温度が十分に上がりきらず、半田がランドになじまずに、半田ボールが形成されるおそれがある。金属部材31との間の距離が半田ボール形成距離D以下であるバイアホールにソルダレジスタを塗布することで、半田ボール形成距離D以下であるバイアホールのランドに半田ボールが形成されることを防止することができる。
【0032】
そして、当該塗布バイアホール41は非塗布バイアホール20のいずれかと、電気的に並列接続されており、仮に塗布バイアホール41の貫通穴に残留したエッチング溶剤等によってバイアホールが断線したとしても、並列接続されている非塗布バイアホール20によって電気的接続が維持されるため、電子機器が動作不良に至る可能性は低く抑えられること、より好適には、非塗布バイアホール20と塗布バイアホール41とはプリント基板の電源供給線VDDを構成するパターン部や接地線VSSを構成するパターン部に設けられることは第1実施形態と同様である。
【0033】
図6は、塗布バイアホール41を決定する塗布バイアホール決定処理を示すフローチャートである。図6に示す処理は、不図示の基板設計装置によってプリント基板に形成されるバイアホールのそれぞれについて、実行される。また、図6の処理は、第1実施形態の基板設計装置によって、図3に示す処理と連続して行われてもよい。
【0034】
まず、基板設計装置は、金属部材31との間の距離が、半田がフロー方式またはディップ方式によって半田付けされるときに半田ボールが形成されるおそれがある半田ボール形成距離D以下であるバイアホールがあるか否かを判定する(S201)。基板設計装置が、金属部材31との間の距離が半田ボール形成距離D以下であるバイアホールがないと判定する(S201−NO)と、処理は終了する。
【0035】
基板設計装置は、金属部材31との間の距離が半田ボール形成距離D以下であるバイアホールがあると判定する(S201−YES)と、当該バイアホールが非塗布バイアホール20に電気的に並列接続されているか否かを判定する(S202)。基板設計装置は、金属部材31との間の距離が半田ボール形成距離D以下であるバイアホールが非塗布バイアホール20に電気的に並列接続されていると判定する(S202−YES)と、当該バイアホールを塗布バイアホール41に決定する(S203)。
【0036】
基板設計装置は、金属部材31との間の距離が半田ボール形成距離D以下であるバイアホールが非塗布バイアホール20に電気的に並列接続されていないと判定する(S202−NO)と、バイアホールの配置を見直す(S204)。一例では、基板設計装置は、非塗布バイアホール20に並列接続されていないと判定されたバイアホールを、金属部材31から半田ボール形成距離D2より離隔して配置する。
【0037】
(第3実施形態に係るプリント基板構造)
図7は、第3実施形態に係るプリント基板の部分平面図である。
【0038】
プリント基板3は、電子部品がフロー方式またはディップ方式により半田付けされる第1領域51と、電子部品がリフロー方式により半田付けされる第2領域52とを含むことがプリント基板1と相違する。リフロー方式は、プリント基板に半田ペーストを印刷し、印刷した半田ペーストの上に電子部品を配置した状態で加熱することで、半田付けする方式を指す。第1領域51と第2領域52との間には後述する境界線50が存在し、好適には境界線50を表す線がシルク印刷などで印刷される。プリント基板3は、電子部品30に加えて、電子部品32が配置されることがプリント基板1と相違する。また、プリント基板3は、バイアホール20〜21に加えてバイアホール61が形成されことがプリント基板1と相違する。電子部品32及びバイアホール61以外のプリント基板3の構成要素は、同一符号が付されたプリント基板1の構成要素と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0039】
電子部品32は、リフロー方式により半田付けされて、第2領域52に配置される。その後に、電子部品31が、フロー方式またはディップ方式により半田付けされて、第1領域51に配置される。リフロー方式は小型の部品を半田付けするのに適しており、フロー方式やディップ方式は大型の部品を半田付けするのに適しているため、このような工法をとることにより、一つのプリント基板に小型部品と大型部品を混在させて配置する場合に、それぞれに適したはんだ付け方法を採用することができる。そして、電子部品31を、フロー方式またはディップ方式により半田付けして、第1領域51に配置する際には、先にリフロー方式により半田付けされて、第2領域52に配置されている電子部品32が、フロー方式またはディップ方式の半田に洗われて脱落してしまわないように、第2領域52は金属製のマスク治具で覆われて保護される。境界線50はこの際に当該金属製のマスク治具がプリント基板3に接触する範囲を表す線である。
【0040】
図8は、境界線50と塗布バイアホール61との間の距離を説明するための図である。
【0041】
プリント基板3では、境界線50と塗布バイアホール61との間の距離は、電子部品30を半田付けする半田が半田ボール19を形成する半田ボール形成距離D以下である。すなわち、境界線50と塗布バイアホール61との間の距離が、半田ボール形成距離D以下である場合にバイアホールは、塗布バイアホール61に選択される。一例では、境界線50との間の距離が1.5mm以下である場合にバイアホールは、塗布バイアホール61に選択される。先述したように、境界線50は、電子部品30等の第1領域51に配置される電子部品をフロー方式またはディップ方式により半田付けするときに、金属製のマスク治具がプリント基板3に接触する範囲を表している。金属製のマスク治具は、熱容量が大きいため、境界線50との間の距離が半田ボール形成距離D以下であるバイアホールは、電子部品30等をフロー方式またはディップ方式により半田付けするときに、当該バイアホールのランドの温度が十分に上がりきらず、半田がランドになじまずに、ランド上に半田ボールが形成されるおそれがある。境界線50との間の距離が半田ボール形成距離D以下であるバイアホールにソルダレジストを塗布することで、半田ボール形成距離D以下であるバイアホールのランドに半田ボールが形成されることを防止することができる。
【0042】
そして、当該塗布バイアホール61は非塗布バイアホール20のいずれかと、電気的に並列接続されており、仮に塗布バイアホール61の貫通穴に残留したエッチング溶剤等によってバイアホールが断線したとしても、並列接続されている非塗布バイアホール20によって電気的接続が維持されるため、電子機器が動作不良に至る可能性は低く抑えられること、より好適には、非塗布バイアホール20と塗布バイアホール61とはプリント基板の電源供給線VDDを構成するパターン部や接地線VSSを構成するパターン部に設けられることは第1実施形態と同様である。
【0043】
図9は、塗布バイアホール61を決定する塗布バイアホール決定処理を示すフローチャートである。図9に示す処理は、不図示の基板設計装置によってプリント基板に形成されるバイアホールのそれぞれについて、実行される。また、図9の処理は、第1実施形態や第2実施形態の基板設計装置によって、図3図6に示す処理と連続して行われてもよい。
【0044】
まず、基板設計装置は、境界線50との間の距離が、半田がフロー方式またはディップ方式によって半田付けされるときに半田ボールが形成されるおそれがある半田ボール形成距離D以下であるバイアホールがあるか否かを判定する(S301)。基板設計装置が、境界線50との間の距離が半田ボール形成距離D以下であるバイアホールがないと判定する(S301−NO)と、処理は終了する。
【0045】
基板設計装置は、境界線50との間の距離が半田ボール形成距離D以下であるバイアホールがあると判定する(S301−YES)と、当該バイアホールが非塗布バイアホール20に電気的に並列接続されているか否かを判定する(S302)。基板設計装置は、境界線50との間の距離が半田ボール形成距離D以下であるバイアホールが非塗布バイアホール20に電気的に並列接続されていると判定する(S302−YES)と、当該バイアホールを塗布バイアホール61に決定する(S303)。
【0046】
基板設計装置は、境界線50との間の距離が半田ボール形成距離D以下であるバイアホールが非塗布バイアホール20に電気的に並列接続されていないと判定する(S302−NO)と、バイアホールの配置を見直す(S303)。一例では、基板設計装置は、非塗布バイアホール20に並列接続されていないと判定されたバイアホールを、境界線50から半田ボール形成距離D2より離隔して配置する。
【0047】
なお、以上の説明では、第2領域52に配置される電子部品32は、リフロー方式により半田付けされるとしたが、第2領域52に配置される電子部品32の配置方法はこれに限られず、他の半田付け方法(フロー方式、ディップ方式)や、他の接合方法(導電ペースト等による接着)であっても構わない。つまり、第1領域51をフロー方式またはディップ方式で半田付けする際に、すでに電子部品32が配置されている第2領域52に半田が侵入しないように、第2領域52をマスク治具で保護する工法を採用する場合であれば、本実施形態のプリント基板構造を採用することが可能である。
【0048】
図10は以上、第一実施形態から第三実施形態で説明したプリント基板の一例を示す図であり、図10(a)は塗布バイアホール21の配置例を示す第1図であり、図10(b)は塗布バイアホール21の配置例を示す第2図であり、図10(c)は塗布バイアホール61の配置例を示す図である。図10(a)において塗布バイアホール21は四角印で示され、図10(b)において塗布バイアホール21は丸印で示され、図10(c)において塗布バイアホール61は三角印で示される。
【0049】
図10に示す例では、プリント基板は、FR−4(Flame Retardant Type 4)とも称されるガラスエポキシ基板である。プリント基板の厚さは1.6mmであり、プリント基板に形成されるバイアホールの口径は0.3mmである。フロー方式またはディップ方式によって電子部品を半田付けする半田は、Sn-3.0%Ag-0.5%Cu(スズ96.5%、銀3%、銅0.5%(鉛フリー))である。
【0050】
フロー方式またはディップ方式によって第1領域51に半田付けするときに使用される半田槽内の半田の温度は、320℃±5℃である。フロー方式またはディップ方式により半田付けする半田付け時間は、電子部品の大きさ及び形状、並びに端子の太さ、材質及び形状等の条件に応じて温度上昇時間及びフィレット形成時間等が相違するものの、概ね6秒以下である。
【0051】
図10(a)において四角印で示される塗布バイアホール21は、隣接する非塗布バイアホール20との間の距離が0.75mm以下であり且つ電源供給線VDDに接続されるバイアホールである。図10(b)において丸印で示される塗布バイアホール21は、隣接する非塗布バイアホール20との間の距離が0.75mm以下であり且つ接地線VSSに接続されるバイアホールである。図10(c)において三角印で示される塗布バイアホール61は、境界線50との間の距離が1.5mm以下であり且つ接地線VSSに接続されるバイアホールである。
【0052】
塗布バイアホール21と非塗布バイアホール20との間の距離並びに境界線50と塗布バイアホール61と間の距離は、種々の部品について半田付け時間を変化させた実験に基づいて決定された。半田付け時間の最小値は半田の接続強度が保証可能な最小時間であり、半田付け時間の上限値は6秒である。
【0053】
(実施形態に係るプリント基板構造の作用効果)
実施形態に係るプリント基板構造では、隣接するバイアホールとの間の距離が半田ブリッジが形成される半田ブリッジ形成距離以下であり且つ半田付けされないバイアホールにソルダレジストが塗布される。実施形態に係るプリント基板構造では、隣接するバイアホールとの間の距離が半田ブリッジ形成距離以下であり且つ半田付けされないバイアホールにソルダレジストが塗布されるので、フロー方式またはディップ方式での半田付け時に半田ブリッジが形成されることを防止できる。
【0054】
図11(a)は比較例に係る実装構造におけるバイアホールへの半田の付着状態の一例を示す図であり、図11(b)は本実施形態に係るプリント基板におけるバイアホールへの半田の付着状態の一例を示す図である。図11(a)に示す例では、半田付けされないバイアホールは、ソルダレジストは塗布されず、図11(b)に示す例では、プリント基板1〜3と同様に、非塗布バイアホール及び塗布バイアホールが配置される。
【0055】
図11(a)に示す例では、フロー方式またはディップ方式により半田付けするときに、ランドの露出部に半田が付着しているため、半田ブリッジや半田ボールが形成されるおそれがある。一方、図11(b)に示す例では、フロー方式またはディップ方式により半田付けするときに不要な半田の付着が発生しないため、半田ブリッジや半田ボールが形成されるおそれはない。
【0056】
また、実施形態に係るプリント基板構造では、金属部材との間の距離が半田ボールが形成される半田ボール形成距離以下であり且つ半田付けされないバイアホールにソルダレジストが塗布される。実施形態に係るプリント基板構造では、金属部材との間の距離が半田ボール形成距離以下であり且つ半田付けされないバイアホールにソルダレジストが塗布されるので、フロー方式またはディップ方式での半田付け時にバイアホールのランド上に半田ボールが形成されることを防止できる。
【0057】
また、実施形態に係るプリント基板構造では、リフロー方式で半田付けする領域との境界線との間の距離が半田ボールが形成される半田ボール形成距離以下であり且つ半田付けされないバイアホールにソルダレジストが塗布される。実施形態に係るプリント基板構造では、境界線との距離が半田ボール形成距離以下であり且つ半田付けされないバイアホールにソルダレジストが塗布されるので、フロー方式またはディップ方式での半田付け時にマスク治具の影響で半田ボールが形成されることを防止できる。
【0058】
また、実施形態に係るプリント基板構造では、ソルダレジストが塗布される塗布バイアホールは、ソルダレジストが塗布されない非塗布バイアホールの何れかと電気的に並列に接続される。実施形態に係るプリント基板構造では、塗布バイアホールが非塗布バイアホールに接続されるので、塗布バイアホールの内部で断線が発生した場合でも、非塗布バイアホールを介して電気信号が送受信されるので、プリント基板が機能を喪失するおそれはない。
【0059】
また、実施形態に係るプリント基板構造では、塗布バイアホールの何れかは、非塗布バイアホールに接続される電源電圧線に接続されるので、塗布バイアホールの内部で断線が発生した場合でも、非塗布バイアホールを介して電源電圧を供給可能である。
【0060】
また、実施形態に係るプリント基板構造では、塗布バイアホールの何れかは、非塗布バイアホールに接続される接地線に接続されるので、塗布バイアホールの内部で断線が発生した場合でも、非塗布バイアホールを介して接地可能である。
【0061】
プリント基板2にはバイアホール20及び41が配置され、プリント基板3にはバイアホール20及び61が配置されるが、実施形態に係るプリント基板では、バイアホール41及び61が配置されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1〜3 プリント基板
11 第1面
12 第2面
13 貫通孔
14 導電材
15 ソルダレジスト
16 ランド
17 導電パターン
20 非塗布バイアホール
21、41、61 塗布バイアホール
30、32 電子部品
31 金属部材
50 境界線
51 第1領域
52 第2領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11