特許第6779069号(P6779069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6779069軟弱土壌等の改質材及び残土の固化処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779069
(24)【登録日】2020年10月15日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】軟弱土壌等の改質材及び残土の固化処理方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 17/40 20060101AFI20201026BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20201026BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20201026BHJP
   B01J 20/04 20060101ALI20201026BHJP
   G21F 9/28 20060101ALI20201026BHJP
   G21F 9/30 20060101ALI20201026BHJP
   G21F 9/12 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   C09K17/40 P
   C02F11/00 101Z
   B01J20/26 DZAB
   B01J20/04 A
   B01J20/04 C
   G21F9/28 Z
   G21F9/30 511Z
   G21F9/30 Z
   G21F9/12 501A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-164772(P2016-164772)
(22)【出願日】2016年8月25日
(65)【公開番号】特開2018-30958(P2018-30958A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】592048970
【氏名又は名称】日鉄セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132230
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100088203
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 英一
(72)【発明者】
【氏名】大石 徹
【審査官】 柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−216719(JP,A)
【文献】 特開2001−182044(JP,A)
【文献】 特開平05−156251(JP,A)
【文献】 特開2016−117040(JP,A)
【文献】 特開平08−333571(JP,A)
【文献】 特公昭52−046865(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質含有廃棄物に含有される汚泥の改質材であって、珪酸塩鉱物の粉末(但し、使用済鋳物砂から生じる微細な鋳物砂を除く。)と、高分子吸水ポリマーから選ばれる1種以上の吸水材を含み、珪酸塩鉱物の粉末の配合割合が90〜98重量%であることを特徴とする改質材。
【請求項2】
高分子凝集剤を、更に含む請求項1に記載の改質材。
【請求項3】
珪酸塩鉱物の粉末の周囲に高分子吸水ポリマーが被覆されて存在する請求項1又は2に記載の改質材。
【請求項4】
珪酸塩鉱物の粉末が、硬質砂岩、砂岩、粘板岩、泥岩、珪岩、凝灰岩、花崗岩、閃緑岩、斑れい岩、カンラン岩、安山岩、玄武岩、流紋岩、結晶片岩及び蝋石から選ばれるシリカ分が50〜80重量%の珪酸塩鉱物の粉末である請求項1〜3のいずれかに記載の改質材。
【請求項5】
汚泥を含有する放射性物質含有廃棄物に請求項1〜4のいずれかに記載の改質材を混合して放射性物質含有廃棄物中の汚泥を固化させ、次いでこの固化汚泥と、瓦礫を分離することを特徴とする放射性物質含有廃棄物の処理方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場等で発生する軟弱土壌等を固化させてその強度を高めるために有用な改質材に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルのシールド工法等で発生する建設残土は、含水率が高く、そのままの状態では使用又はダンプトラック等による搬出作業が困難なため、固化剤等の改質材を添加して、流動性を低減させるとともに、この強度を向上させたりすることが行われている。かかる改質材としては、石膏や高分子吸水ポリマー等の吸水材系や、セメント、石灰、マグネシア等の硬化剤系やこれらの組み合わせが知られている。しかし、石膏は耐水性が弱く、水分と接する機会の多い埋め立て等の用途には適さない。高分子系吸水材は高価であるうえ、固化処理後の圧縮強度が弱いという問題がある。セメントや石灰系の硬化剤は、固化処理後の残土をアルカリ性とするため、これで埋め立て又は盛り土等をした土地での植物の成長や地下水に悪影響を与える。
【0003】
また、原発事故等により放射性物質で汚染された放射性廃棄物が、原子力発電所のみならず、その周辺から多量に発生するが、これは安全な放射能レベルとなるまで中間貯蔵設備等で長期間保管されている。しかし、貯蔵設備の増設には限りがあり、これの減量化が強く望まれている。放射性廃棄物は、コンクリート片や木片、鉄骨、石等の瓦礫と、汚泥との混合物となっていることが多いが、放射性物質は主に汚泥中の土壌等に吸着されていて、瓦礫中には殆ど含まれない場合が多い。そこで、放射性廃棄物と中の瓦礫と汚泥を簡易に分離することができれば、厳重な管理が必要な高濃度汚染物が大幅に減量することができることになる。瓦礫と汚泥を分離するためには、汚泥を乾燥した状態又は粒状にさせると共に、乾燥後に瓦礫と強固に接着させないことが有効である。この目的のためには、従来の改質材は適しているとは言えない。
【0004】
固化材については、これまでに各種の改良提案がなされている。例えば、半水石膏を主成分とし、これに高炉セメントや中和剤としての硫酸アルミニウムを少量添加したもの(特許文献1)、高炉徐冷スラグを炭酸成分とともに使用するもの(特許文献2)、水硬性アルミナ及び炭酸リチウムより成るもの(特許文献3)、生石灰と過リン酸石灰等の中和剤とセメント等の固化助剤と石膏とからなるもの(特許文献4)など数多くの提案が挙げられる。また、泥土の処理方法としても、例えば、三種類の薬剤、すなわち石膏からなる固化材、高分子凝集剤、次いで吸水材を、順次、添加混合することなども提案されている。
【0005】
特許文献5は、泥土に固化剤、高分子凝集剤、次いで吸水剤を添加する処理方法を開示する。また、特許文献6は、水溶性高分子、無機又は有機の粉末及び無機系固化剤を含む残土の固化処理剤を開示する。ここで、水溶性高分子はアニオン性ポリアクリルアミドやグアガム等であり、無機又は有機の粉末はタルクやベントナイト等であり、無機系固化剤がセメント等であるが、全体としては上記硬化剤系に該当し、それらの有する問題点がある。
そして、未だなお、石膏系など既存の固化材に代替でき、高性能で安価な固化材として十分に満足でき、放射性廃棄物の減容化に一層貢献できる実用的な固化材が開発されることへの期待が続いているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4070982号公報
【特許文献2】特許第3841770号公報
【特許文献3】特許第4462853号公報
【特許文献4】特許第4663999号公報
【特許文献5】特許第4506184号公報
【特許文献6】特開平8−333571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、建設現場等で発生する高含水の残土等を固化させてその強度を高めることができ、固化された残土の耐水性が高く、しかも実質的に中性な改質材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、軟弱土壌又は汚泥の改質材であって、珪酸塩鉱物の粉末と、高分子吸水ポリマー及び半水石膏から選ばれる1種以上の吸水材を含むことを特徴とする改質材である。
【0009】
本発明の改質材は、次のいずれか1つ以上を満足することが望ましい。
1) 更に、高分子凝集剤を含むこと。
2) 珪酸塩鉱物の粉末と、高分子吸水ポリマーを含み、珪酸塩鉱物の粉末の配合割合が90〜98重量%であること。
3) 珪酸塩鉱物の粉末の周囲に高分子吸水ポリマーが被覆されて存在すること。
4) 珪酸塩鉱物の粉末と、半水石膏を含み、珪酸塩鉱物の粉末と半水石膏の合計の配合割合が90〜99.9重量%であること。
5) 上記珪酸塩鉱物の粉末が、硬質砂岩、砂岩、粘板岩、泥岩、珪岩、凝灰岩、花崗岩、閃緑岩、斑れい岩、カンラン岩、安山岩、玄武岩、流紋岩、結晶片岩及び蝋石から選ばれるシリカ分が50〜80重量%の珪酸塩鉱物であること。
【0010】
また、本発明は、軟弱土壌又は汚泥が、建設現場で発生する残土であり、残土1m3に対し上記いずれかの改質材を10〜100kg混合することを特徴とする残土の固化処理方法である。
【0011】
更に、本発明は、軟弱土壌又は汚泥が、放射性物質含有廃棄物に含有される汚泥であり、放射性物質含有廃棄物に上記いずれかの改質材を混合して放射性物質含有廃棄物中の汚泥を固化させ、次いでこの固化汚泥と瓦礫を分離することを特徴とする放射性物質含有廃棄物の処理方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の処理剤は、珪酸塩鉱物粉末を主要成分として使用するため、反応性が低く、しかも溶出イオンが少ないものとなり、水を多量に含んで軟弱な残土等をこれで固化処理すると強度及び耐水性が高く、中性を維持可能なものとすることが可能である。そのため、この処理剤で処理された残土等は埋め立て資材、土木建設資材として好適に利用できる。また、本発明の処理剤は、放射性物質含有廃棄物の減容処理にも有効である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の改質材は、珪酸塩鉱物の粉末と、高分子吸水ポリマー及び半水石膏から選ばれる1種以上の吸水材を含む。有利には、更に高分子凝集剤を含む。
【0014】
珪酸塩鉱物としては、二酸化ケイ素の含有量が50重量%以上、好ましくは60重量%以上含み、80重量%以下を含有する岩石の粉砕物が適する。このような珪酸塩鉱物の粉砕物は、その粒度等によって建材用、鋳物用、農薬担持用等として市販されているので、入手が容易であるという利点がある。
一方、ガラス原料等で使用される結晶質石英の粉砕物、石英粒を主成分とする堆積物から精製した珪砂は、二酸化ケイ素の含有率が90重量%以上と高く、微粉末を吸入した場合には人体の呼吸器系に悪影響を及ぼす。また、硬度が高いために破砕され難く、粉砕設備の磨耗を招き粉砕コストの増加を招く。石英粒を主成分とする粉末は、電気絶縁性に優れるため、混合時の摩擦により静電気を帯びやすく、高分子吸水ポリマーとの混合性能が悪化すため、本発明の珪酸塩鉱物としては適さない。しかし、珪砂であっても、二酸化ケイ素の含有量が90重量%以下、好ましくは80重量%以下であれば、珪酸塩鉱物として適する。
【0015】
珪酸塩鉱物の粉末の粒度には制限はないが、これと併用する吸水材又は高分子凝集剤との相分離を防ぐためには、80メッシュを90wt%以上が通過することが好ましく、100メッシュを90wt%以上が通過することがより好ましい。平均粒径(D50)としては、80〜150メッシュであることがよい。
【0016】
珪酸塩鉱物の粉末は、それ自体は水に対する溶解性がないか、少なく、水濡れ性が良いため、土壌や汚泥中に分散して、骨材として機能すると考えられるが、これを使用することにより、軟弱な残土等の固化処理後の強度を向上させる。
上記珪酸塩鉱物としては、硬質砂岩、砂岩、チャート、珪岩、凝灰岩、花崗岩、閃緑岩、斑れい岩、カンラン岩、蛇紋岩、安山岩、玄武岩、輝緑岩、花崗斑岩、流紋岩、軽石、片麻岩、結晶片岩、ホルンフェルス、珪灰石、蝋石等が挙げられ、好ましくは硬質砂岩、砂岩、粘板岩、泥岩、珪岩、凝灰岩、花崗岩、閃緑岩、斑れい岩、カンラン岩、安山岩、玄武岩、流紋岩、結晶片岩、又は蝋石である。
【0017】
本発明の改質材に配合する吸水材は、高分子吸水ポリマー及び半水石膏から選ばれる。高分子吸水ポリマーとしては、デンプン系、セルロース系、ポリアクリル酸系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、ポリオキシエチレン系などを使用できるが、好ましくはポリアクリル酸系ポリマーである。高分子吸水ポリマーは、非水溶性であって、粉末状であることが望ましい。一般に紙おむつ等で使用される顆粒状の製品は、珪酸塩鉱物粉末との混合性が悪く、適さない。
高分子吸水ポリマーの吸水率は、真水に対しては200%以上であることがよい。好ましくは200〜2000%の範囲である。なお、食塩水に対しては、真水に比べて吸水率は落ちるが、0.5%食塩水に対しては20%以上であることが好ましい。
【0018】
半水石膏としては、脱硫の際の副生石膏など任意の半水石膏が使用できるが、不純物として鉄分を含有する副生石膏が汚泥等の有機物を多く含んだものを固化処理する場合に、硫酸還元菌による硫化水素の発生を抑制するために適する。かかる鉄分を含有する副生石膏としては、硫酸法によりチタン鉱石から酸化チタンを製造する際に副生する半水石膏が挙げられる。半水石膏は、改質材に配合される他の成分と均一に混合されるため、粉末状であることが好ましい。
【0019】
本発明の改質材に配合する高分子凝集剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性の材料が知られているが、低毒性などの観点から、アニオン性、ノニオン性の高分子凝集剤、特にポリアクリルアミド系の高分子凝集剤が好ましい。高分子凝集剤を配合することによって、土壌中の水分移動を円滑化し、固化後における強度維持に寄与する。
【0020】
本発明の改質材は、珪酸塩鉱物の粉末と、高分子吸水ポリマー及び半水石膏から選ばれる1種以上の吸水材、並びに高分子凝集剤を必須成分又は好ましい成分として含むが、必要により増量材等の他の添加材を含んでもよい。
【0021】
本発明の改質材における上記必須成分の配合割合は、珪酸塩鉱物の粉末と、高分子吸水ポリマーを含む場合にあっては、珪酸塩鉱物の粉末の配合割合が90〜98重量%である。この場合、高分子吸水ポリマーの配合割合は、1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%である。更に、高分子凝集剤を含む場合にあっては、珪酸塩鉱物の粉末の配合割合が90〜98重量%で、高分子吸水ポリマーの配合割合は、1〜9.95重量%、好ましくは2〜6重量%で、高分子凝集剤の配合割合は、0.05〜2重量%、好ましくは0.1〜1重量%である。
【0022】
珪酸塩鉱物の粉末と、半水石膏、又は半水石膏と高分子凝集剤を含む場合にあっては、シリカ鉱物の粉末と半水石膏の合計の配合割合が90〜99.9重量%である。吸水材として半水石膏を使用する場合は、理論的には半水石膏が二水石膏となる量の水しか吸水できず、高分子吸水ポリマーに比べて吸水率が低いので、半水石膏は比較的多量に配合される。珪酸塩鉱物の粉末と半水石膏の配合割合は、珪酸塩鉱物の粉末100重量部に対して、半水石膏20〜200重量部、好ましくは50〜150重量部である。高分子凝集剤の配合割合は、0.05〜4重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。なお、吸水材として半水石膏と高分子吸水ポリマーの両方を使用する場合は、その使用割合によって、吸水材の配合割合が定まる。
【0023】
本発明の改質材が、上記必須成分に加えて増量材等の他の材料を含む場合は、必須成分の合計を100重量%として、上記配合割合を満足することがよい。しかし、他の材料を含む場合であっても、それが少量であれば、改質材中に上記配合割合で含むことがよい。
【0024】
本発明の改質材における珪酸塩鉱物の粉末と高分子吸水ポリマーの存在形態には制限はなく、粉末状態で混合されていてもよいが、珪酸塩鉱物の粉末粒子の表面が高分子吸水ポリマー又はこれと凝集剤により被覆されて存在する形態であることがよい。
【0025】
本発明の改質材は、珪酸塩鉱物の粉末と、高分子吸水ポリマー及び半水石膏から選ばれる1種以上の吸水材、又はこれらと高分子凝集剤を含む成分を混合することにより得ることができる。有利にはこれらの粉末を攪拌、混合してとして得ることができる。この際、必要により少量の有機溶剤又は高濃度の塩類を含む水等を添加すれば、珪酸塩鉱物の粉末の表面に高分子吸水ポリマー又は高分子凝集剤が被覆した状態とすることができる。
【0026】
本発明の改質材は、軟弱土壌又は汚泥の固化又は強度の向上に有用である。軟弱土壌又は汚泥としては、掘削工事から生じる高含水率の残土、その他の建設汚泥、鉱山等や工場から排出される汚泥や、汚泥状又は汚泥を含む放射性廃棄物などが挙げられる。好ましくは、シールド工法によるトンネル工事で排出される残土である。この残土は量が多いだけでなく、現場での再使用が困難で、遠方の埋め立て地等に搬送して、埋め立て材として使用されることが多いので、工事現場での固化が容易であることが望まれる。
【0027】
本発明の改質材は、処理すべき軟弱土壌又は汚泥(これらを総称して残土等ともいう。)の使用量は、残土等の含水率やその他の性状によって異なるが、残土等1m3に対して、10〜100kgの範囲が適する。そして、処理後の残土等のコーン指数が200kN/m2以上とすることがよい。
【0028】
本発明の改質材は、放射性物質含有廃棄物の処理に有用である。放射性物質含有廃棄物は、コンクリート、木材、金属材、石材等の比較的大きな固形物からなる瓦礫の他に汚泥が混在し、これが瓦礫に付着して全体として放射性廃棄物として隔離、貯蔵されている。しかし、放射性物質は主に汚泥中の土壌等に吸着されていて、瓦礫自体は比較的放射能が低いことが多い。そこで、汚泥と瓦礫を簡易に分離することができれば、隔離、貯蔵される量を大幅に減少できる可能性がある。汚泥と瓦礫を分離するためには、汚泥が有する接着性又は粘着性を失わせるために固化させて、半乾燥状態又は粉状状態とすることが有効であるが、これがセメントのように硬化してしまうと分離が更に困難となる。本発明の改質材は、このような硬化の問題を起こすことなく、汚泥を半乾燥状態又は粉状状態として、接着性又は粘着性を失わせることができる。このための改質材としては、吸水材として半水石膏ではなく、高分子吸水ポリマーを使用したものが適する。
【0029】
本発明の放射性物質含有廃棄物の処理方法は、汚泥を含む放射性物質含有廃棄物に本発明の改質材を混合して放射性物質含有廃棄物中の汚泥を固化させ、次いでこの固化汚泥と、瓦礫を分離する方法である。本発明の改質材を混合することにより、汚泥中の水分が吸収されて固化して半乾燥状態又は粉状状態となるので、これを篩等で粉状物と塊状物とに分離すれば、放射性物質を高度に含む粉状物と、それ以外の瓦礫とに分けることができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を、実施例によって具体的に説明するが、これらによって限定されるものではない。
【0031】
実施例1
日瓢鉱山産出の硬質砂岩を、ジョークラッシャーで粗砕後、トンネルキルンを用いて乾燥し、さらにロールクラッシャー、ロッドミル、ゲージミルと、振動フルイ、サイクロンセパレータ等の分級機を用いて、実質的な付着水分0%で、粉末粒度100メッシュ通過100%、吸水率5%の硬質砂岩の粉末を得た。
得られた硬質砂岩の化学組成(wt%)は、蛍光X線分析の結果によると、表1のとおりであった。
【0032】
【表1】
【0033】
この粉末97重量%に、ポリアクリル酸系吸水性ポリマー(南亜プラスチック社製タイザップSK273)を3重量%添加し、スーパーミキサーを用いて混合し、固化材1(中性固化材)を得た。
なお、使用した吸水性ポリマーについて、純水に対する吸水率は500〜1000%であり、0.5%NaCl溶液に対する吸水率は約30%であった。
【0034】
実施例2
実施例1の中性固化材100重量部に、さらにアニオン系高分子凝集剤(ハイモ株式会社製、アニオンハイモロックSS-130)0.2重量部を添加し、実施例1で使用したと同じ粉体混合機を用いて混合し、固化材2を得た。
【0035】
実施例3
実施例1の中性固化材100重量部と、市販の半水石膏(試薬)100重量部を使用し、実施例1で使用したと同じ粉体混合機を用いて混合し、固化材3を得た。
【0036】
実施例4
実施例1で使用したと同じ硬質砂岩の粉末100重量部に、実施例3で使用した半水石膏100重量部と、実施例2で使用したと同じアニオン系高分子凝集剤0.2重量部を使用し、実施例1で使用したと同じ粉体混合機を用いて混合し、固化材4を得た。
【0037】
比較例1
実施例1で使用したと同じ硬質砂岩の粉末のみを比較用固化材(固化材H1)とした。
【0038】
比較例2
実施例1で使用したと同じポリアクリル酸系吸水性ポリマーの粉末のみを固化材H2とした。
【0039】
比較例3
実施例3で使用したと同じ半水石膏のみを固化材H3とした。
【0040】
実施例5〜8(評価試験)
含水率43%の畑の土に浄水を添加して、含水率57%の土壌スラリーを作成した。この土壌スラリー1kg中に実施例1〜4で得た固化材1〜4を各々3%添加し、卓上ミキサーにて5分間混練した時の固化状況を調査した。
【0041】
比較例4〜6(評価試験)
実施例5〜8で使用したと同じ土壌スラリー1kg中に、比較例1〜3で得た固化材H1〜H3を各々3%添加し、卓上ミキサーにて5分間混練した時の固化状況を調査した。
【0042】
各固化材の配合組成と土壌混合時の固化性能、固化材のコスト、総合評価結果を表2に示す。ここで、固化性能は固化処理後の土壌の強度A、固化処理後の土壌と容器の器壁との剥離性B、及び固化速度Cについて、評価した。強度大は、「A;大」、剥離性良は、「B;良」、固化速度速いは、「C;速い」ように記す。コスト及び総合の評価は◎、○、△、×の順であり、◎、○は優れることを意味する。
【0043】
【表2】