(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る二次電池の熱暴走抑止システム1は、
図1で示すように、筐体(二次電池用筐体)3と、冷却剤供給源5と、冷却剤供給源5から筐体3内に冷却剤を供給するための配管7と、冷却剤調整機構(冷却剤調整部)9とを備えて構成されている。
【0021】
ここで、説明の便宜のために、水平な所定の一方向を横方向とし、水平な所定の他の一方向であって横方向に対して直交する方向を前後方向とし、横方向と前後方向とに対して直交する方向を上下方向とする。
【0022】
二次電池用筐体3は、
図1で示すように、たとえば、矩形な枡状の筐体本体部11と、この筐体本体部11の前面の矩形な開口部13を開閉する扉とを備えて構成されている。なお、
図1では、筐体3の内部を見やすくするために扉の表示を省略してある。
【0023】
矩形な枡状の筐体本体部11は、下端部に位置している1枚の底板15と、この底板15から上方に起立している2枚の側板17および1枚の裏板19と、これらの側板17および裏板19の上端を塞いでいる1枚の天板21とを備えて構成されている。
【0024】
なお、筐体本体部11は、底板15と側板17と裏板19と天板21とが一体になっている所定形状のものに適宜折り曲げ加工をすることで形成される。
【0025】
筐体本体部11の前面に位置している開口部13が扉で塞がれている状態では、筐体3の外形は、直方体状に形成されており、底板15と側板17と裏板19と扉と天板21との内側には、直方体状の内部空間が形成されている。筐体本体部11(扉でもよい)には、扉で塞がれている筐体3内に外気を取り入れるための空気導入孔(図示せず)と、扉で塞がれている筐体3内の空気等を筐体3の外に排出するための空気排出孔(図示せず)とが設けられている。
【0026】
空気導入孔と空気排出孔とを塞いだとすれば、扉が閉じられた状態で、筐体3の外部と筐体3の内部空間との間は、完全な気密性が確保されていないが、概ね遮断される。
【0027】
また、筐体3内には、仕切り壁23が設けられている。仕切り壁23は、筐体本体部11の内部空間を、たとえば、上下方向で複数の蓄電池室(直方体状の電池室)25に仕切る。仕切り壁23は、複数設けられている。また、仕切り壁23は、たとえば平板状に仕切り板で構成されており、これらの厚さ方向が上下方向になり、また、お互いが上下方向で所定の距離だけ離れるようにして、筐体本体部11の内部空間内で、筐体本体部11に一体的に設けられる。
【0028】
冷却剤供給源5は、たとえば、筐体3とは別個に筐体3の外部に設置される。配管7は、筐体3内に設置される(たとえば、各蓄電池室25のそれぞれに設置される)二次電池モジュール(二次電池)27を冷却するために、冷却剤供給源5から扉が閉じられている筐体3内に冷却剤(第1の冷却剤;たとえば二酸化炭素)を供給する。なお、二次電池モジュール27は、所定の間隔をあけ横方向にならんで各仕切り壁23それぞれに上に載置されている。
【0029】
冷却剤調整機構9は、冷却剤供給源5から筐体3内に供給される冷却剤の量を調整する(配管7を流れる冷却剤の量を調整する)。
【0030】
すなわち、冷却剤調整機構9は、第1の時間では、第1の供給量(単位時間あたりの流量が概ね一定である第1の流量)で冷却剤を筐体3内に供給し、第2の時間では、第1の供給量よりも少ない第2の供給量(単位時間あたりの流量が概ね一定であり第1の流量よりも少ない第2の流量)で冷却剤を筐体3内に供給する。
【0031】
第1の時間とは、冷却剤の供給を開始したとき(冷却剤供給開始時刻)から第1の時刻が到来するまでの時間である。冷却剤の供給の開始は、二次電池モジュール27の温度が熱暴走を始める温度に達したときになされる。第1の時間での冷却剤の供給は、二次電池モジュール27を急冷するためになされる。第2の時間とは、第1の時刻以後の時刻(たとえば、第1の時刻)から第2の時刻に至るまでの時間である。なお、筐体3内に供給される冷却剤は、筐体3内の二次電池モジュール27に向かって吹き付けられることが望ましい。
【0032】
冷却剤供給源5は、筐体(冷却剤用筐体)29と冷却剤貯蔵容器31とを備えて構成されている。冷却剤が貯蔵されている冷却剤貯蔵容器31は、筐体29内に設置されている。冷却剤貯蔵容器31内には、冷却剤(たとえば圧縮液化状態で充填された二酸化炭素)が収容されている。
【0033】
冷却剤貯蔵容器31の冷却剤の放出口には、この放出口を開閉するための容器弁33が設けられている。配管7は、容器弁33の先に設けられており、容器弁33が開いたときに、冷却剤貯蔵容器31内の冷却剤が、容器弁33と配管7とを通って二次電池用筐体3内まで送られ二次電池モジュール27を冷却するようになっている。また、冷却剤供給源5には、操作パネル(たとえばLCD等の表示部とスイッチやタッチパネル等の入力部を備えた操作パネル)35と制御部(CPUとメモリとを備えて構成されている制御部)37とが設けられている。
【0034】
冷却剤は、上述したように、圧縮液化された状態で、冷却剤貯蔵容器31内に貯蔵されており、冷却剤貯蔵容器31を出たときに断熱膨張し温度が低下する。
【0035】
二次電池モジュール27には、二次電池モジュール27の温度を検出する温度センサー(図示せず)が設けられている。
【0036】
そして、制御部37の制御の下、温度センサーで検出した温度が所定の閾値(二次電池モジュール27が熱暴走を開始する温度)を超えたときに、容器弁33を開状態にし、冷却剤調整機構9で流量を調整しつつ、冷却剤を筐体3内に供給して二次電池モジュール27を冷やす。
【0037】
ここで、容器弁33による冷却剤貯蔵容器31の冷却剤の放出口の開閉(特に、閉状態から開状態にする場合)について例を掲げて詳しく説明する。
【0038】
起動装置を構成する電磁開放器(図示せず)が、制御部37から送信された起動信号(温度センサで検出した温度が所定の閾値を越えたことによる起動信号)を受信すると、電磁開放器が作動する。そして、電磁開放器に連結された針(図示せず)が突出して起動ガスが充填されている起動用ガス容器(図示せず)の封板を破り、導管(図示せず)内に起動ガスが送出される。
【0039】
この送出された起動ガスが冷却剤貯蔵容器31の頭部の容器弁33に導かれ、容器弁33の封板(図示せず)を破り、容器弁33が閉状態から開状態になる。
【0040】
なお、放出された冷却剤は、配管を介して圧力スイッチ(図示せず)にも導かれ、放出ガスの圧力によって圧力スイッチが作動し、その出力信号が制御部37に入力され、配管内のガス圧が所定圧まで高まったことを検知した圧力スイッチの信号を受信したとき制御部は、電磁開放器への起動信号をOFF状態にする。
【0041】
また、第1の時間と第2の時間とは、連続している(第1の供給量での冷却剤の供給を終了したと同時に第2の供給量での冷却剤の供給を開始している)が、第1の供給量での冷却剤の供給を終了した後、所定の時間(たとえばわずかな時間)をあけて第2の供給量での冷却剤の供給を開始してもよい。
【0042】
第2の時間は第1の時間よりも長い時間になっている。また、第1の時間で供給される冷却剤の量(第1の時間×第1の供給量)と、第2の時間で供給される冷却剤の量(第2の時間×第2の供給量)とはお互いがほぼ等しくなっている。なお、第1の時間で供給される冷却剤の量が第2の時間で供給される冷却剤の量より多くなっていてもよいし少なくなっていてもよい。
【0043】
ここで、冷却剤調整機構9について詳しく説明する。冷却剤調整機構9は、
図4や
図5で示すように、絞り39と切換弁(二方弁)41とを組み合せ、切換弁41を開状態もしくは閉状態にすることで、冷却剤供給源5から筐体3内に供給される冷却剤の量を調整するように構成されている。
【0044】
絞り39として、オリフィスを採用しているが、チョークを採用してもよいし、さらに、配管7の内径を配管の全長もしくは配管の一部にわたって小さくすることで、絞り39に代えて冷却剤の流量を減少させ、冷却剤貯蔵容器31から冷却剤をより長時間放出するように構成してもよい。
【0045】
冷却剤調整機構9について、例を掲げてさらに詳しく説明する。
【0046】
図4で示すように、冷却剤の流れ方向(
図4の矢印参照)の第1の途中の部位(分岐部)43で、配管7が複数に分岐しており(たとえば、配管7aと配管7bとに分岐しており)、分岐部43よりも冷却剤の流れ方向の下流側に位置している第2の途中の部位(合流部)45で、分岐していた配管7a、7bが合流している。
【0047】
そして、冷却剤調整機構9では、分岐している配管7a、7bのうちの1本の配管7aの途中に切換弁41が設けられており、分岐している配管7a、7bのうちの残りの配管7bの途中に絞り39が設けられている。そして、切換弁41を開状態もしくは閉状態にすることで、冷却剤供給源5から筐体3内に供給される冷却剤の量を調整するように構成されている。
【0048】
なお、上記説明では、配管7aの途中に切換弁41のみを設け配管7bの途中に絞り39のみを設けているが、配管7bの途中に絞り39と直列に切換弁41を設けてもよいし、配管7bの途中の絞り39を削除してもよい。
【0049】
また、上記説明では、配管7が2本(配管7a、7b)に分岐しているが、配管7が3本以上の複数本に分岐していてもよい。この場合、分岐している配管のうちの1本の配管に切換弁41のみを設け、分岐している配管のうちの残りの複数の配管のうちの1本の配管に絞り39のみを設け、分岐している配管のうちのさらなる残りの配管それぞれの途中に、切換弁と絞りとを直列に設けてもよい。
【0050】
ここで、
図4で示す冷却剤調整機構9を備えた二次電池の熱暴走抑止システム1の動作を説明する。
【0051】
初期状態では、冷却剤貯蔵容器31内に圧縮液化された冷却剤が貯蔵されており、容器弁33が閉じており、切換弁41は開いている。
【0052】
上記初期状態において、温度センサーで検出した二次電池モジュール27の温度が所定の閾値(熱暴走を開始する温度)を超えたことが検出されると、制御部37の制御の下、容器弁33を開状態にし、切換弁41を開状態にしたまま、第1の時間(第1の時刻が到来するまで)、二次電池用筐体3内に冷却剤を供給する。このとき、冷却剤は、
図4に示す配管7aと、配管7b(絞り39)との両方を流れる。
【0053】
続いて、切換弁41を閉状態にし、第2の時間(第2の時刻が到来するまで)、二次電池用筐体3内に冷却剤を供給する。このとき、冷却剤は、
図4に示す配管7b(絞り39)のみを流れるので、第2の時間で供給される冷却剤の流量は、第1の時間で供給される冷却剤の流量よりも少なくなる。
【0054】
なお、上記初期状態において、温度センサーで検出した二次電池モジュールの温度の所定の閾値を、二次電池モジュールの電解質の劣化が始まる温度と二次電池モジュールが熱暴走を開始する温度との間の所定の温度(閾値)としてもよい。
【0055】
二次電池の熱暴走抑止システム1によれば、冷却剤調整機構9によって、第1の時間では、第1の供給量で冷却剤を供給し、第2の時間では、第1の供給量よりも少ない第2の供給量で冷却剤を供給するようになっているので、二次電池モジュール27の熱暴走が始まったときもしくは始まりそうなとき二次電池モジュール27が発火する前に、二次電池モジュール27を的確に冷却することができる。
【0056】
たとえば、二次電池モジュール27の熱暴走が始まったときに、第1の時間内に、流量の多い第1の供給量で冷却剤を供給するので、二次電池モジュール27を急速冷却することができ、二次電池モジュール27の発火を確実に防止することができる。また、第1の時間後の第2の時間内に、流量の少ない第2の供給量で冷却剤を供給するので、温度の下がった二次電池モジュール27を比較的少量の冷却剤で継続して冷却することができ、二次電池モジュール27の温度が再び上昇することを防ぐことができる。
【0057】
また、二次電池の熱暴走抑止システム1によれば、第2の時間が第1の時間よりも長い時間になっているので、温度の下がった二次電池モジュール27を比較的少量の冷却剤でより長い時間継続して冷却することができ、二次電池モジュール27の温度が再び上昇することを一層確実に防ぐことができる。
【0058】
また、二次電池の熱暴走抑止システム1によれば、冷却剤調整機構9が、絞り39と切換弁41とを組み合せて構成されており、切換弁41を開状態もしくは閉状態にすることで、冷却剤供給源5から筐体3内に供給される冷却剤の量を調整するようになっているので、簡素な構成で供給する冷却剤の量を調整することができる。
【0059】
ここで、変形例に係る冷却剤調整機構9について、
図5を参照しつつ説明する。
【0060】
図5に示すものでは、冷却剤の流れ方向(
図5の矢印参照)の第1の途中の部位(分岐管ヘッド)47で、配管7が複数に分岐しており(配管7a、7b、7c、7dに分岐しており)、分岐管ヘッド47よりも冷却剤の流れ方向の下流側に位置している第2の途中の部位(合流管ヘッド)49で、分岐していた配管7a、7b、7c、7dが合流している。
【0061】
冷却剤調整機構9では、分岐している配管7a、7b、7c、7dそれぞれの途中に、絞り39(39A、39B、39C、39D)が設けられており、分岐している配管7a、7b、7c、7dそれぞれの途中で絞り39A、39B、39C、39Dと直列に切換弁41(41A、41B、41C、41D)が設けられている。
【0062】
そして、
図5に示す冷却剤調整機構9では、各切換弁41A、41B、41C、41Dのそれぞれを個別に開状態もしくは閉状態にすることで、冷却剤供給源5から筐体3内に供給される冷却剤の量を調整するように構成されている。
【0063】
次に、
図5に示す冷却剤調整機構9を備えた二次電池の熱暴走抑止システム1の動作を、
図6を参照しつつ説明する。
【0064】
初期状態では、冷却剤貯蔵容器31内に圧縮液化された冷却剤が貯蔵されており、容器弁33が閉じており、各切換弁41A、41B、41C、41Dは開いている。
【0065】
上記初期状態において、温度センサーで検出した二次電池モジュール27の温度が所定の閾値を超えたことが検出されるとただちに(冷却開始時刻t0で)、制御部37の制御の下、容器弁33を開状態にし、時刻t1が到来したときに、切換弁41A(選択弁1)を閉じ、その後、時刻t2が到来したときに、切換弁41B(選択弁2)をさらに閉じ、その後、時刻t3が到来したときに、切換弁41C(選択弁3)をさらに閉じ、その後、時刻t5が到来したときに、切換弁41D(選択弁4)をさらに閉じる。
【0066】
これにより、筐体3内に供給される冷却剤の流量は、時刻の経過とともに、段階的に次第に少なくなる。なお、時刻t3と時刻t5との間の時刻t4は、冷却完了目標時刻であり、少なくとも、二次電池モジュール27の温度が熱暴走を開始する温度になった時刻t0から時刻t4までの間に冷却剤を供給すれば、二次電池モジュール27の冷却が完了し、二次電池モジュール27の熱暴走が終了する。
【0067】
なお、
図4で示す構成の冷却剤調整機構9を備えた二次電池の熱暴走抑止システム1や後述する二次電池の熱暴走抑止システムにおいても、冷却完了目標時刻を過ぎた時刻まで、冷却剤の供給がなされるものとする。
【0068】
図5に示す変形例に係る冷却剤調整機構9を備えた二次電池の熱暴走抑止システム1によれば、冷却剤調整機構9が、各切換弁41A、41B、41C、41Dのそれぞれを個別に開状態もしくは閉状態にすることで、冷却剤供給源5から筐体3内に供給される冷却剤の量を調整するようになっているので、冷却剤供給源5から筐体3内に供給される冷却剤の量を一層細やかに調整することができる。
【0069】
たとえば、第1の時間(時刻t0から時刻t1までの時間)内に流量の多い第1の供給量で冷却剤を供給し、第1の時間後の第2の時間(時刻t1から時刻t2までの時間)内に流量が中くらいの第2供給量で冷却剤を供給し、第2の時間後の第3の時間(時刻t2から時刻t3までの時間)内に流量が少ない第3供給量で冷却剤を供給することができ、第3の時間後の第4の時間(時刻t2から時刻t5までの時間)内に流量がさらに少ない第4供給量で冷却剤を供給することで、冷却剤の無駄を極力無くして、二次電池モジュール27を的確に冷却することができる。
【0070】
ところで、二次電池の熱暴走抑止システム1において、
図2や
図3で示すように、内部に二次電池モジュール27が設置されている筐体(二次電池用筐体)3を、複数(たとえば、1つの冷却剤調整機構9に対して複数)設けてもよい。
【0071】
この場合、配管7が、筐体3(3A、3B、3C)側で分岐していることで、各筐体3A、3B、3Cそれぞれの内部に冷却剤を供給するように構成されている。また、分岐している各配管7A、7B、7Cそれぞれの途中には選択弁(二方弁)51(51A、51B、51C)が設けられている。
【0072】
また、二次電池の熱暴走抑止システム1において、
図2で示すように、冷却剤供給源5がパッケージ化された複数の冷却剤供給ユニット53(53A、53B)で構成されており、冷却剤供給ユニット53の数を適宜増減可能構成されていてもよい。これにより、冷却対象(二次電池モジュール27の容量等)に応じて冷却剤の貯蔵量を容易に調整することができる。
【0073】
図2で示す二次電池の熱暴走抑止システム1では、各筐体3A、3B、3Cそれぞれの内側に設けられている二次電池モジュールに、温度センサーが設けられており、次に示すようにして動作する。
【0074】
初期状態では、冷却剤貯蔵容器31内に圧縮液化された冷却剤が貯蔵されており、容器弁33が閉じており、各選択弁51は閉じている。
【0075】
上記初期状態において、温度センサーで検出した二次電池モジュールの温度が所定の閾値を超えたことが検出されると(たとえば、筐体3A内の二次電池モジュールの温度が所定の閾値を超えたことが検出されると)、制御部37の制御の下、容器弁33を開状態にし、選択弁51Aを開状態にし、冷却剤調整機構9で冷却剤の量を調整しつつ、筐体3A内にのみ冷却剤を供給する。
【0076】
図2で示す二次電池の熱暴走抑止システム1によれば、分岐している各配管7A、7B、7Cそれぞれの途中には選択弁51A、51B、51Cが設けられているので、熱暴走が始まった二次電池モジュールを設けられた筐体内のみを効率良く冷却することができる。
【0077】
なお、内部に二次電池モジュール27が設置されている筐体3が、複数設けられている場合、
図5や
図7で示す複数の配管7X、7Yのそれぞれを、複数の筐体3(3A、3B)のそれぞれに接続してもよい。
【0078】
ところで、上記説明では、冷却剤(第1の冷却剤)として二酸化炭素のみを使用しているが、第1の冷却剤の他に、別の冷却剤(第2の冷却剤;たとえば、IG541)を用いた、二次電池モジュール27を冷却する二次電池の熱暴走抑止システム1aとしてもよい。
【0079】
すなわち、冷却剤供給源5を、
図7で示すように、二酸化炭素を供給する第1の冷却剤供給源5Aと、IG541を供給する第2の冷却剤供給源5Bとで構成してもよい。そして、第1の時間もしくは二次電池モジュール27の温度が熱暴走を開始する温度よりも下がるまでの間、冷却剤調整機構9によって、第1の冷却剤供給源5Aから二酸化炭素を供給し、冷却剤調整機構9によって、第2の時間もしくは二次電池モジュール27の温度が熱暴走を開始する温度よりも下がった後の所定の時間で、第2の冷却剤供給源5BからIG541を供給するように、二次電池の熱暴走抑止システム1aが構成されていてもよい。
【0080】
ここで、IG541(不活性ガス)について説明する。IG541は、冷却剤だけでなく消火剤として作用するものであり、大気組成成分である窒素・アルゴン・二酸化炭素の混合ガスであり、「人体に安全な新しい消火ガス」として、米国・アンスル社で開発された。
【0081】
「人体への安全」の他、「地球環境の保全」「確実な冷却」「確実な消火」を確保することができる。
【0082】
単に酸素濃度を下げる冷却剤や消火剤では人体への危険性が懸念されるが、IG−541には二酸化炭素が適量添加されていることで、放出時において人体への影響はほとんどない。
【0083】
冷却剤放出時に、窒息冷却(窒息消火)に必要な12%〜13%の低酸素濃度と3〜4%の二酸化炭素濃度の組み合わせが人体保護のために有効である。
【0084】
適量の二酸化炭素には肺換気促進作用や脳血管拡張作用があるが、この機能を利用して、吸気が低酸素状態でも脳への酸素供給量を減少させないように、二酸化炭素濃度を3%〜4%のガス構成としてある。
【0085】
このため、脳の呼吸中枢が刺激されて呼吸量と血量が増えて脳への酸素供給量が確保され、消火ガス放出下の火災時でも、正常な退避行動がとれる。
【0086】
IG514の混合比は、N
252%,Ar40%,CO
28%(質量比)であり、室内放出後の比重は、空気とほぼ同じ1.07であり、IG514は無色無臭である。
【0087】
IG514は、室内(筐体3内)の酸素濃度を約12%〜13%に下げて、消火を行い、筐体3内の二酸化炭素濃度を3%〜4%に引き上げて呼吸機能を刺激、呼吸量と血流を増やし、脳への酸素供給量を確保する。
【0088】
その他、気体で貯蔵するため、IG541には、放出時に次のような利点がある。
【0089】
室温の急激な低下、結露による水分への影響がなく、燃焼による煙以外に空気の白濁がなく、視界が良く、消火確認と退避が容易である。配管抵抗が小さいので、ボンベ室を離して設置することができる。
【0090】
不活性ガスなので熱分解生成物の発生が無く、金属腐食、器物への汚損・発錆が無い。貯蔵中の変質が無いため、薬剤の劣化を考慮する必要が無い。
【0091】
IG541は、例示であり、「人体への安全」の他、「確実な消火」を行える機能(IG541と同様の機能)を備えていれば他の冷却を用いてもよい。
【0092】
ここで、
図7で示す二次電池の熱暴走抑止システム1aについてさらに説明する。
【0093】
二次電池の熱暴走抑止システム1aは、たとえば、内部に二次電池モジュール27(
図1参照)が設けられている複数の筐体3(3A、3B)と配管7と冷却剤供給源5Aと冷却剤供給源5Bと冷却剤調整機構9とを備えて構成されている。
【0094】
冷却剤供給源5Aから各筐体3A、3Bへは配管7Aによって二酸化炭素が供給され、冷却剤供給源5Bから各筐体3A、3Bへは配管7BによってIG541が供給される。
【0095】
配管7Aは、各筐体3A、3B側で、配管7AAと配管7ABとに分岐しており、各配管7AA、7ABそれぞれの途中には、選択弁51AA、51ABが設けられている。配管7Bは、各筐体3A、3B側で、配管7BAと配管7BBとに分岐しており、各配管7BA、7BBそれぞれの途中には、選択弁51BA、51BBが設けられている。なお、
図7で示す部位VIIでは、配管7BAと配管7ABとは、お互いが離れている。
【0096】
次に、二次電池の熱暴走抑止システム1aの動作について、
図8を参照しつつ説明する。
【0097】
初期状態では、冷却剤供給源5Aの冷却剤貯蔵容器内に圧縮液化された二酸化炭素が貯蔵されており、冷却剤供給源5Bの冷却剤貯蔵容器内に圧縮されたIG541が貯蔵されており、各冷却剤供給源5A、5Bの容器弁33が閉じており、各選択弁51AA、51AB、51BA、51BBは閉じている。
【0098】
上記初期状態において、温度センサーで検出した二次電池モジュールの温度が所定の閾値を超えたか否かを判断する(S1)。
【0099】
ステップS1で、たとえば筐体3A内の二次電池モジュールの温度が所定の閾値を超えたことが検出された場合、冷却剤供給源5Aの容器弁を開状態にし、選択弁51AAを開状態にし、筐体3A内に二酸化炭素を供給する(S3)。
【0100】
続いて、温度センサーで検出した二次電池モジュールの温度が所定の閾値よりも下がったか否かを判断する(S5)。
【0101】
ステップS5で、温度センサーで検出した二次電池モジュールの温度が所定の閾値よりも下がったと判断した場合には、選択弁51ABを閉じ(冷却剤供給源5Aの容器弁を閉じてもよい。)、冷却剤供給源5Bの容器弁を開状態にし、選択弁51BAを開状態にし、筐体3A内にIG541を供給する(S7)。
【0102】
ところで、ステップS5で、温度センサーで検出した二次電池モジュールの温度が所定の閾値よりも下がったか否かに加えて、温度センサーで検出した二次電池モジュールの温度が火災発生温度におよんだか否かも判断し、火災発生温度におよんだときに、ステップS7で、筐体3A内にIG541を供給してもよい。
【0103】
冷却剤供給源5Bの冷却剤貯蔵容器31内に圧縮されて貯蔵されているIG541も、二酸化炭素の場合と同様にして、冷却剤貯蔵容器31を出たときに断熱膨張する。
【0104】
なお、
図8で説明する二次電池の熱暴走抑止システム1aでは、第1の時間を温度センサーでの検出温度で決めているが、温度センサーを用いることなく時刻の経過で決めてもよい。さらに、
図1等で示す二次電池の熱暴走抑止システム1において、第1の時間を温度センサーでの検出温度で決めてもよい。
【0105】
二次電池の熱暴走抑止システム1aによれば、冷却剤調整機構9が、第1の時間等で第1の冷却剤供給源5Aから二酸化炭素を供給し、第2の時間で第2の冷却剤供給源5BからIG541を供給するように構成されているので、第1の時間等での二酸化炭素の供給によって温度の下がった二次電池モジュールを、第2の時間でIG541によって継続して冷却することができるとともに、筐体3内に充満していた二酸化炭素がIG541に置換され(二酸化炭素がパージされ)、人が呼吸困難になりさらに失神するおそれを回避することができる。
【0106】
なお、上述した二次電池の熱暴走抑止システム1aは、筐体と、第1の冷却剤である二酸化炭素を供給するための第1の冷却剤供給源と、第2の冷却剤であるIG541を供給するための第2の冷却剤供給源と、前記筐体内に設置される二次電池モジュールを冷却するために、前記各冷却剤供給源から前記筐体内に冷却剤を供給する配管と、前記冷却剤の供給を開始したときから第1の時刻に至るまでの第1の時間では、第1の冷却剤供給源から前記筐体内へ前記第1の冷却剤を供給し、前記第1の時刻以後の時刻から第2の時刻に至るまでの第2の時間では、第2の冷却剤供給源から前記筐体内へ前記第2の冷却剤を供給する冷却剤供給機構とを有する二次電池の熱暴走抑止システムの例である。
【0107】
また、上述した二次電池の熱暴走抑止システム1は、筐体と、冷却剤供給源と、前記筐体内に設置される二次電池モジュールを冷却するために、前記冷却剤供給源から前記筐体内に冷却剤を供給する配管と、前記配管内を流れる冷却剤の量(単位時間あたりの流量)を減少させるために前記配管の途中に設けられた絞りとを有する二次電池の熱暴走抑止システムの例である。
【0108】
なお、絞りは、固定絞りになっている。たとえば、絞りがオリフィスで構成されている場合、オリフィスの絞り断面の面積は一定になっている。なお、絞りを可変絞りにしてもよい。この場合、配管内を流れる冷却剤の量が、絞り量(たとえばオリフィスの絞り断面の面積)を変えることで調整することができるようになっている。
【0109】
可変絞りを「全開」にした状態における配管を流れる冷却剤の流量は、可変絞りを設けていない場合とほぼ同量であり、可変絞りを絞る(絞り断面の面積を小さくする)にしたがって、配管を流れる冷却剤の流量が次第に少なくなる。
【0110】
配管に設けられている絞りが可変絞りである場合、たとえば、制御部の制御の下、遠隔操作で、可変絞りの絞り量を変えることができるようになっている。
【0111】
また、上述した二次電池の熱暴走抑止システムにおいて、配管7が断熱材で覆われていてもよい。これにより、電池モジュールにむけて低温の冷却剤を確実に放出することができる。