特許第6779106号(P6779106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779106
(24)【登録日】2020年10月15日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】粒子検出システム及び粒子検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/00 20060101AFI20201026BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   G01N15/00 C
   G01N1/00 101T
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-220123(P2016-220123)
(22)【出願日】2016年11月11日
(65)【公開番号】特開2018-77177(P2018-77177A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 静一郎
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−174074(JP,A)
【文献】 特開2008−157729(JP,A)
【文献】 特開2014−085320(JP,A)
【文献】 特開2001−343319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
G01N 1/02
G01N 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含む流体から、前記粒子が濃縮された検査流体と、排流体と、を生成する濃縮器と、
前記濃縮器に接続され、前記検査流体が流れるマイナー流路と、
前記濃縮器に接続され、前記検査流体より流量が大きい前記排流体が流れるメジャー流路と、
を備え、
前記マイナー流路が、
前記濃縮器に接続され、前記検査流体中の前記粒子を検出する粒子検出装置と、
前記粒子検出装置に接続され、前記濃縮器及び前記粒子検出装置から前記検査流体を吸引する検査流体吸引機と、
を備え、
前記メジャー流路が、前記濃縮器に接続され、前記濃縮器から前記排流体を吸引する、前記検査流体吸引機より吸引圧力が弱い排流体吸引機を備え、
前記マイナー流路を流れる前記検査流体の流量と、前記メジャー流路を流れる前記排流体の流量と、の合計流量が、所定の範囲内になるよう、前記排流体吸引機が、前記メジャー流路を流れる前記排流体の流量を調整する、
粒子検出システム。
【請求項2】
前記マイナー流路を流れる前記検査流体の流量と、前記メジャー流路を流れる前記排流体の流量と、の前記合計流量を算出する算出部をさらに備える、請求項1に記載の粒子検出システム。
【請求項3】
前記検査流体吸引機がポンプであり、前記排流体吸引機がファンである、請求項1又は2に記載の粒子検出システム。
【請求項4】
前記ポンプが、ダイアフラムポンプである、請求項3に記載の粒子検出システム。
【請求項5】
前記ポンプが、ロータリーベーンポンプである、請求項3に記載の粒子検出システム。
【請求項6】
前記ポンプが、リニアポンプである、請求項3に記載の粒子検出システム。
【請求項7】
前記ファンが、ターボファンである、請求項3に記載の粒子検出システム。
【請求項8】
前記ファンが、シロッコファンである、請求項3に記載の粒子検出システム。
【請求項9】
前記検査流体吸引機が、前記排流体吸引機より多数の吸引機構を備える、請求項1又は2に記載の粒子検出システム。
【請求項10】
粒子を含む流体から、前記粒子が濃縮された検査流体と、排流体と、を濃縮器で生成することと、
前記濃縮器に接続されたマイナー流路に、前記検査流体が流れることと、
前記濃縮器に接続されたメジャー流路に、前記検査流体より流量が大きい前記排流体が流れることと、
を含み、
前記マイナー流路が、
前記濃縮器に接続され、前記検査流体中の前記粒子を検出する粒子検出装置と、
前記粒子検出装置に接続され、前記濃縮器及び前記粒子検出装置から前記検査流体を吸引する検査流体吸引機と、
を備え、
前記メジャー流路が、前記濃縮器に接続され、前記濃縮器から前記排流体を吸引する、前記検査流体吸引機より吸引圧力が弱い排流体吸引機を備え、
前記マイナー流路を流れる前記検査流体の流量と、前記メジャー流路を流れる前記排流体の流量と、の合計流量が、所定の範囲内になるよう、前記排流体吸引機が、前記メジャー流路を流れる前記排流体の流量を調整することをさらに含む、
粒子検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環境評価技術に関し、特に粒子検出システム及び粒子検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオクリーンルーム等のクリーンルームにおいては、粒子検出装置を用いて、飛散している微生物粒子や非微生物粒子が検出され、記録される。粒子の検出結果から、クリーンルームの空調機器の劣化具合を把握可能である。また、クリーンルームで製造された製品に、参考資料として、クリーンルーム内の粒子の検出記録が添付されることもある。光学式の粒子検出装置は、例えば、クリーンルーム中の気体を吸引し、吸引した気体に励起光を照射する。気体に微生物粒子や非微生物蛍光粒子が含まれていると、励起光を照射された粒子が蛍光を発するため、気体に含まれる微生物粒子や非微生物蛍光粒子の数や大きさ等を検出することが可能となる(例えば、非特許文献1、2参照。)。また、クリーンルームを飛散する粒子は、通常、低濃度であるため、粒子を濃縮してから、粒子を検出することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0354976号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Sohn, Miryeong; Himmelsbach, David S.; Barton, Franklin E.; Fedorka-Cray, Paula J., "Fluorescence Spectroscopy for Rapid Detection and Classification of Bacterial Pathogens", 2009, Applied Spectroscopy, 63(11), 1251-1255
【非特許文献2】長谷川 倫男、山崎 信介、堀口 康子、「気中微生物リアルタイム検出技術とその応用」、株式会社 山武、azbil technical review、2009年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、粒子を正確に検出可能な粒子検出システム及び粒子検出方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、(a)粒子を含む流体から、粒子が濃縮された検査流体と、排流体と、を生成する濃縮器と、(b)濃縮器に接続され、検査流体が流れるマイナー流路と、(c)濃縮器に接続され、検査流体より流量が大きい排流体が流れるメジャー流路と、を備え、マイナー流路が、(d)濃縮器に接続され、検査流体中の粒子を検出する粒子検出装置と、(e)粒子検出装置に接続され、濃縮器及び粒子検出装置から検査流体を吸引する検査流体吸引機と、を備え、メジャー流路が、(f)濃縮器に接続され、濃縮器から排流体を吸引する、検査流体吸引機より吸引圧力が弱い排流体吸引機を備え、(g)マイナー流路を流れる検査流体の流量と、メジャー流路を流れる排流体の流量と、の合計流量が、所定の範囲内になるよう、排流体吸引機が、メジャー流路を流れる排流体の流量を調整する、粒子検出システムが提供される。
【0007】
上記の粒子検出システムが、マイナー流路を流れる検査流体の流量と、メジャー流路を流れる排流体の流量と、の合計流量を算出する算出部をさらに備えていてもよい。
【0008】
上記の粒子検出システムにおいて、検査流体吸引機がポンプであり、排流体吸引機がファンであってもよい。
【0009】
上記の粒子検出システムにおいて、ポンプが、ダイアフラムポンプであってもよい。
【0010】
上記の粒子検出システムにおいて、ポンプが、ロータリーベーンポンプであってもよい。
【0011】
上記の粒子検出システムにおいて、ポンプが、リニアポンプであってもよい。
【0012】
上記の粒子検出システムにおいて、ファンが、ターボファンであってもよい。
【0013】
上記の粒子検出システムにおいて、ファンが、シロッコファンであってもよい。
【0014】
上記の粒子検出システムにおいて、検査流体吸引機が、排流体吸引機より多数の吸引機構を備えていてもよい。
【0015】
また、本発明の態様によれば、(a)粒子を含む流体から、粒子が濃縮された検査流体と、排流体と、を濃縮器で生成することと、(b)濃縮器に接続されたマイナー流路に、検査流体が流れることと、(c)濃縮器に接続されたメジャー流路に、検査流体より流量が大きい排流体が流れることと、を含み、マイナー流路が、(d)濃縮器に接続され、検査流体中の粒子を検出する粒子検出装置と、(e)粒子検出装置に接続され、濃縮器及び粒子検出装置から検査流体を吸引する検査流体吸引機と、を備え、メジャー流路が、(f)濃縮器に接続され、濃縮器から排流体を吸引する、検査流体吸引機より吸引圧力が弱い排流体吸引機を備え、(g)マイナー流路を流れる検査流体の流量と、メジャー流路を流れる排流体の流量と、の合計流量が、所定の範囲内になるよう、排流体吸引機が、メジャー流路を流れる排流体の流量を調整することをさらに含む、粒子検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、粒子を正確に検出可能な粒子検出システム及び粒子検出方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態に係る粒子検出システムの模式図である。
図2】実施の形態に係るターボファンの回転数と、吸引風量と、静圧と、の関係を示す模式的なグラフである。
図3】実施の形態に係る粒子検出システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。ただし、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
実施の形態に係る粒子検出システムは、図1に示すように、粒子を含む流体から、粒子が濃縮された検査流体と、排流体と、を生成する濃縮器13と、濃縮器13に接続され、検査流体が流れるマイナー流路14と、濃縮器13に接続され、検査流体より流量が大きい排流体が流れるメジャー流路17と、を備える。
【0020】
マイナー流路14は、濃縮器13に接続され、検査流体中の粒子を検出する粒子検出装置22と、粒子検出装置22に接続され、濃縮器13及び粒子検出装置22から検査流体を吸引する検査流体吸引機30と、を備える。メジャー流路17は、濃縮器13に接続され、濃縮器13から排流体を吸引する、検査流体吸引機30より吸引圧力が弱い排流体吸引機76を備える。具体的には、排流体吸引機76の静圧は、検査流体吸引機30の静圧よりも弱い。なお、吸引機の吸引圧力は、吸引機全圧ともいわれ、吸引機の吐出口と吸引口の全圧の差で表される。また、吸引機の静圧は、吸引機全圧から、吸引機吐出口における動圧を引いた値で表される。
【0021】
実施の形態に係る粒子検出システムにおいて、マイナー流路14を流れる検査流体の流量と、メジャー流路17を流れる排流体の流量と、の合計流量が、所定の範囲内になるよう、排流体吸引機76が、メジャー流路17を流れる排流体の流量を調整する。
【0022】
通常、マイナー流路14より多くの流体がメジャー流路17を流れ、メジャー流路17より少ない流体がマイナー流路14を流れる。ただし、検査流体吸引機30及び排流体吸引機76が吸引を開始した直後、並びに検査流体吸引機30及び排流体吸引機76が吸引を停止する直前等には、メジャー流路17より多くの流体がマイナー流路14を流れる場合があり得る。
【0023】
しかし、マイナー流路14を流れる検査流体の流量と、メジャー流路17を流れる排流体の流量と、の合計流量が、所定の範囲内になるよう、排流体吸引機76が、メジャー流路17を流れる排流体の流量を調整する際には、マイナー流路14より多くの流体がメジャー流路17を流れ、メジャー流路17より少ない流体がマイナー流路14を流れている。
【0024】
粒子を含む流体は、例えばクリーンルーム200等の清浄空間内の空気であるが、これに限定されない。クリーンルーム200内には、流体を吸引するためのノズル11が配置されている。ノズル11と濃縮器13の間には、チューブ等の流路12が配置されている。検査流体吸引機30及び排流体吸引機76の少なくとも一方の吸引圧力によってノズル11から吸引された流体は、流路12を経て濃縮器13に到達する。
【0025】
濃縮器13は、流体から、濃縮された検査対象の粒子を含む検査流体と、検査対象の粒子を実質的に含まない排流体と、を生成する。ただし、排流体は、検査対象の粒子を低濃度で含み得る。また、排流体は、検査対象以外の粒子を含み得る。検査流体の流れはマイナーフローとも呼ばれ、廃流体の流れはメジャーフローとも呼ばれる。濃縮器13において、排流体が検査対象粒子を含まないようにすると、通常、メジャー流路17の圧力損失のほうが、マイナー流路14の圧力損失よりも大きくなる。濃縮器13としては、カスケードインパクタ法を用いる分粒器、サイクロン法を用いる分粒器、及びバーチャルインパクタ法を用いる分粒器等が使用可能である。
【0026】
濃縮器13で生成された検査流体は、検査流体吸引機30によって吸引され、マイナー流路14が備える流路21を経て粒子検出装置22に到達する。粒子検出装置22は、例えば検査流体の気流に光を照射し、光を照射された粒子で生じる散乱光や蛍光を検出して、粒子の数を計測する。
【0027】
濃縮器13で生成された検査流体の一部は、マイナー流路14が備えるバイパス流路に送られる。バイパス流路は、流路21から分岐する流路41、及び流路41に接続された吸引フィルター42を備える。吸引フィルター42は、検査流体から粒子を除去し、圧力調整用流体を生成する。検査流体に含まれる粒子が、後述するバイパス流量計46の感度及び性能に影響しない場合、吸引フィルター42は省略してもよい。
【0028】
バイパス流路は、さらに、吸引フィルター42に接続された流路43、流路43に接続されたスピードコントローラー44、スピードコントローラー44に接続された流路45、及び流路45に接続されたバイパス流量計46を備える。スピードコントローラー44は、バイパス流路を流れる圧力調整用流体の流速を調整する。バイパス流量計46は、バイパス流路を流れる圧力調整用流体の流速及び流量を計測する。
【0029】
バイパス流路は、さらに、バイパス流量計46に接続された流路47、流路47に接続されたHEPAフィルター等の清浄フィルター48、及び清浄フィルター48と粒子検出装置22の間に接続された流路49を備える。清浄フィルター48は、吸引フィルター42を通過した粒子や、スピードコントローラー44及びバイパス流量計46等で生じうる塵等を圧力調整用流体から除去する。
【0030】
バイパス流路を経て粒子検出装置22に到達した圧力調整用流体は、粒子検出装置22内の圧力を調整し、粒子検出装置22内の検査流体の気流の拡散を抑制する。圧力調整用流体が粒子等を含むと、粒子検出装置22が検出する粒子の数や濃度に誤差が生じうる。そのため、圧力調整用流体は、清浄フィルター48でろ過される。
【0031】
流路21を備える検査流路を流れる流体の流量と、バイパス流路を流れる流体の流量と、の分岐比は、所定の値に設定される。スピードコントローラー44は、例えば、吸引フィルター42、バイパス流量計46、及び清浄フィルター48の圧力損失が低く、所定の分岐比を設定できない場合に用いられる。分岐比の所定の値は、粒子検出装置22内の光の照射領域、及び散乱光又は蛍光の受光領域の大きさに応じて、適宜設定される。
【0032】
マイナー流路14は、粒子検出装置22に接続された流路23、流路23に接続された吸引フィルター24、吸引フィルター24に接続された流路25、流路25に接続された検査流体流量計26、検査流体流量計26に接続された流路27、流路27に接続されたスピードコントローラー28、及びスピードコントローラー28に接続された流路29をさらに備える。
【0033】
粒子検出装置22内を通過した流体は、流路23、吸引フィルター24、流路25、検査流体流量計26、流路27、スピードコントローラー28、及び流路29を介して、検査流体吸引機30によって吸引される。
【0034】
吸引フィルター24は、流体から粒子を除去する。粒子検出装置22内を通過した流体に含まれる粒子が、検査流体流量計26の感度及び性能に影響しない場合、吸引フィルター24は省略してもよい。検査流体流量計26は、粒子検出装置22を通過した、検査流体吸引機30が吸引する流体の流速及び流量を計測する。検査流体流量計26が計測した流量は、マイナー流路14を流れる流体の流量とみなすことができる。スピードコントローラー28は、粒子検出装置22を通過する流体の流速を調整する。スピードコントローラー28は、省略してもよい。
【0035】
検査流体吸引機30としては、ポンプ等が使用可能である。ポンプの例としては、ダイアフラムポンプ、ロータリーベーンポンプ、リニアポンプ、及び真空ポンプが挙げられるが、これらに限定されない。マイナー流路14は、検査流体吸引機30に接続された流路31、流路31に接続された清浄フィルター32、及び清浄フィルター32に接続された流路33をさらに備える。検査流体吸引機30から排出される流体は、検査流体吸引機30に接続された流路31、流路31に接続された清浄フィルター32、及び清浄フィルター32に接続された流路33を介して、外部に排出される。なお、流体が有害物質等を含まない場合は、清浄フィルター32を省略してもよい。
【0036】
制御部101Aは、検査流体流量計26から流量を示す電流又は電圧信号を受け取り、検査流体吸引機30の回転数又は吸引圧力を制御する制御信号を検査流体吸引機30に送る。制御部101Aは、例えば、PID制御により、検査流体吸引機30を制御する。
【0037】
メジャー流路17は、濃縮器13に接続された流路71、流路71に接続された吸引フィルター72、吸引フィルター72に接続された流路73、流路73に接続された排流体流量計74、及び排流体流量計74に接続された流路75を備える。濃縮器13で生成された排流体は、流路71、吸引フィルター72、流路73、排流体流量計74、及び流路75を介して、排流体吸引機76によって吸引される。
【0038】
吸引フィルター72は、流体から粒子を除去する。廃流体に含まれる粒子が、排流体流量計74の感度及び性能に影響しない場合、吸引フィルター72は省略してもよい。排流体流量計74は、排流体吸引機76が吸引する流体の流速及び流量を計測する。排流体流量計74が計測した流量は、メジャー流路17を流れた流体の流量とみなすことができる。
【0039】
検査流体吸引機30がポンプである場合、排流体吸引機76としては、ポンプよりも吸引圧力が弱いファン等が使用可能である。ファンの例としては、ターボファン及びシロッコファンが挙げられるが、これらに限定されない。なお、吸引圧力が検査流体吸引機30より低ければ、排流体吸引機76としてポンプを使用してもよい。メジャー流路17は圧力損失が大きいため、検査流体吸引機30の回転数は高くなる傾向にある。
【0040】
メジャー流路17は、排流体吸引機76に接続された流路77、流路77に接続された清浄フィルター78、及び清浄フィルター78に接続された流路79をさらに備える。排流体吸引機76から排出される流体は、排流体吸引機76に接続された流路77、流路77に接続された清浄フィルター78、及び清浄フィルター78に接続された流路79を介して、外部に排出される。なお、流体が有害物質等を含まない場合は、清浄フィルター78を省略してもよい。
【0041】
制御部101Bは、排流体流量計74から流量を示す電流又は電圧信号を受け取り、排流体吸引機76の回転数又は吸引圧力を制御する制御信号を排流体吸引機76に送る。制御部101Bは、例えば、PID制御により、排流体吸引機76の回転数や吸引量を制御する。
【0042】
実施の形態に係る粒子検出システムは、検査流体流量計26が計測した流量と、排流体流量計74が計測した流量と、の合計流量を算出する算出部102をさらに備える。算出部102は、例えばコンピューターに含まれている。算出部102は、検査流体流量計26から直接流量の情報を受け取ってもよいし、制御部101Aを介して、流量の情報を受け取ってもよい。また、算出部102は、排流体流量計74から直接流量の情報を受け取ってもよいし、制御部101Bを介して、流量の情報を受け取ってもよい。
【0043】
ここで、粒子検出装置22が流体の体積当たりの粒子数を正確に計数するためには、濃縮器13に吸引される流体の流量が、所定の範囲内にあることが好ましい。濃縮器13に吸引される流体の流量は、マイナー流路14を流れる検査流体の流量と、メジャー流路17を流れる排流体の流量と、の合計流量に相当する。また、マイナー流路14を流れる検査流体の流量は、検査流体流量計26が計測した流量に相当する。メジャー流路17を流れる排流体の流量は、排流体流量計74が計測した流量に相当する。
【0044】
算出部102には出力装置103が接続されていてもよい。検査流体流量計26が計測した流量と、排流体流量計74が計測した流量と、の合計流量が所定の範囲外となった場合、出力装置103は警告を発する。また、出力装置103は、検査流体流量計26が計測した流量と、排流体流量計74が計測した流量と、のそれぞれを出力してもよい。
【0045】
算出部102は、合計流量が、所定の範囲よりも多い場合、制御部101Bを介して、排流体吸引機76の吸引風量を低下させ、マイナー流路14を流れる検査流体の流量と、メジャー流路17を流れる排流体の流量と、の合計流量が、所定の範囲内になるようにする。また、算出部102は、合計流量が、所定の範囲よりも少ない場合、制御部101Bを介して、排流体吸引機76の吸引風量を増加させ、マイナー流路14を流れる検査流体の流量と、メジャー流路17を流れる排流体の流量と、の合計流量が、所定の範囲内になるようにする。
【0046】
マイナー流路14を流れる検査流体の流量と、メジャー流路17を流れる排流体の流量と、の合計流量が、所定の範囲内になるよう、排流体吸引機76が、メジャー流路17を流れる排流体の流量を調整している間、検査流体吸引機30の駆動エネルギーは例えば一定に保たれる。
【0047】
図2は、ターボファンの回転数と、吸引風量と、静圧と、の関係を示す模式的なグラフである。図1に示す制御部101Bは、目標とする吸引風量と、メジャー流路17の圧力損失に応じて、排流体吸引機76の回転数を決定する。
【0048】
メジャー流路17を流れる排流体の流量は、マイナー流路14を流れる検査流体の流量よりも多いため、メジャー流路17を流れる排流体の流量の調整幅は大きい。一方、排流体吸引機76の静圧は、検査流体吸引機30の静圧よりも弱いため、排流体吸引機76によってメジャー流路17を流れる排流体の流量を増減させても、メジャー流路17内の内圧の変化量は小さい。さらに、マイナー流路14を流れる検査流体は、排流体吸引機76より静圧の強い検査流体吸引機30で吸引されている。そのため、マイナー流路14内の内圧は、メジャー流路17内の内圧の変化の影響を受けにくい。そのため、排流体吸引機76の吸引風量が変化しても、マイナー流路14内の内圧の変化量は小さくなる。
【0049】
仮に、排流体吸引機の静圧が、検査流体吸引機の静圧よりも強い場合、排流体吸引機によってメジャー流路を流れる排流体の流量を増減させると、メジャー流路内の内圧の変化量が大きくなる。さらに、検査流体吸引機の静圧が、排流体吸引機の静圧よりも弱い場合、マイナー流路内の内圧は、メジャー流路内の内圧の変化の影響を受けやすくなる。そのため、排流体吸引機の吸引風量が変化すると、マイナー流路内の内圧の変化量が大きくなる。
【0050】
マイナー流路14内の内圧が変動すると、マイナー流路14内で検査流体の逆流が生じ得る。マイナー流路14内で検査流体の逆流が生じると、粒子検出装置22で一度検出された下流の粒子が、粒子検出装置22で再び検出され、粒子の計数に誤りが生じうる。これに対し、実施の形態に係る粒子検出システムにおいては、マイナー流路14内の内圧の変動が抑制されるため、粒子検出装置22で粒子を正確に計数することが可能である。
【0051】
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0052】
例えば、粒子検出システムにおいて、図3に示すように、検査流体吸引機30A、30Bが、排流体吸引機76より多数の吸引機構を備えていてもよい。検査流体吸引機30A、30Bと、排流体吸引機76と、が、それぞれ、同じ最大吸引圧力を有するファンであってもよい。検査流体吸引機30A、30Bが2台ある場合、検査流体吸引機30A、30Bの合計最大吸引圧力は、排流体吸引機76の最大吸引圧力の2倍になる。制御部101Aは、検査流体吸引機30A、30Bに同じ制御信号を送ってもよいし、別々の制御信号を送ってもよい。
【0053】
例えば、下流側の検査流体吸引機30Bの吸引圧力を最大にして、上流側の検査流体吸引機30Aの吸引圧力を調整して、マイナー流路14を流れる検査流体の流量を調整してもよい。上流側の検査流体吸引機30Aの吸引圧力を最大にすると、上流側の検査流体吸引機30Aで生じた熱が、下流側の検査流体吸引機30Bに影響を与える場合があり得る。
【0054】
図1に示す検査流体吸引機30にポンプを用いて脈動が生じる場合、図3に示すように、複数のファンである検査流体吸引機30A、30Bを用いると、脈動を抑制しつつ、高い吸引圧力を得ることが可能になる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0055】
11・・・ノズル、12、21、23、25、27、29、31、33、41、43、45、47、49、71、73、75、77、79・・・流路、13・・・濃縮器、14・・・マイナー流路、17・・・メジャー流路、22・・・粒子検出装置、24、42、72・・・吸引フィルター、26・・・検査流体流量計、28、44・・・スピードコントローラー、30、30A、30B・・・検査流体吸引機、32、48、78・・・清浄フィルター、46・・・バイパス流量計、74・・・排流体流量計、76・・・排流体吸引機、101A、101B・・・制御部、102・・・算出部、103・・・出力装置、200・・・クリーンルーム
図1
図2
図3