特許第6779182号(P6779182)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779182
(24)【登録日】2020年10月15日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】電源装置および電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20201026BHJP
【FI】
   H02M3/155 P
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-133263(P2017-133263)
(22)【出願日】2017年7月7日
(65)【公開番号】特開2019-17186(P2019-17186A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 鳴
(72)【発明者】
【氏名】山脇 大造
(72)【発明者】
【氏名】荒田 純之
(72)【発明者】
【氏名】杉山 泰志
(72)【発明者】
【氏名】佐原 隆介
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−068671(JP,A)
【文献】 特開2001−258245(JP,A)
【文献】 特開2011−024345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の出力電圧を生成する電源装置であって、
第1の制御モードを用いて第1のスイッチング信号を生成する第1の制御器と、
第2の制御モードを用いて、前記第1のスイッチング信号とは独立した位相を備える第2のスイッチング信号を生成する第2の制御器と、
前記第2のスイッチング信号のエッジに定められる選択タイミングを開始タイミングとする位相調整期間を設定する位相調整期間設定回路と、
前記選択タイミングで前記第2のスイッチング信号の代わりに前記第1のスイッチング信号をスイッチング制御信号として選択し、前記スイッチング制御信号における前記選択タイミングから前記位相調整期間の間の論理レベルを固定の論理レベルに制御するモード選択回路と、
前記モード選択回路からの前記スイッチング制御信号に基づきオン・オフが制御され、前記出力電圧を制御するスイッチング素子と、
を有する電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置において、
前記第1の制御モードは、固定周波数のPWM(Pulse Width Modulation)制御モードであり、
前記第2の制御モードは、可変周波数のPFM(Pulse Frequency Modulation)制御モードである、
電源装置。
【請求項3】
請求項1記載の電源装置において、
前記位相調整期間設定回路は、前記位相調整期間でハイレベルおよびロウレベルの一方となり、前記位相調整期間を除く期間でハイレベルおよびロウレベルの他方となるレベル固定信号を生成する、
電源装置。
【請求項4】
請求項1記載の電源装置において、
前記固定の論理レベルは、前記選択タイミングが前記第2のスイッチング信号の立ち下がりエッジに予め定められる場合には、ロウレベルであり、前記第2のスイッチング信号の立ち上がりエッジに予め定められる場合には、ハイレベルである、
電源装置。
【請求項5】
請求項4記載の電源装置において、
前記位相調整期間は、前記選択タイミング直前の前記第2のスイッチング信号における前記固定の論理レベルとは異なる論理レベルのパルス幅よりも短いか、または、前記選択タイミング直後の前記第1のスイッチング信号における前記固定の論理レベルとは異なる論理レベルのパルス幅よりも短い、
電源装置。
【請求項6】
請求項4記載の電源装置において、
さらに、前記出力電圧が所定の電圧範囲から逸脱した際にモード切替信号をアサートし、前記出力電圧が回復し、一定期間を経過した後の前記選択タイミングで前記モード切替信号をネゲートするモード切替制御回路を有し、
前記モード選択回路は、前記モード切替信号のアサート期間で前記第2のスイッチング信号を選択し、前記モード切替信号のネゲート期間で前記第1のスイッチング信号を選択する、
電源装置。
【請求項7】
請求項6記載の電源装置において、
さらに、前記モード切替制御回路の前記一定期間における前記第1のスイッチング信号または前記第2のスイッチング信号のデューティを検出し、当該デューティを反映して前記位相調整期間の長さを可変制御するデューティ検出回路を有する、
電源装置。
【請求項8】
請求項7記載の電源装置において、
前記デューティ検出回路は、前記デューティの検出結果に基づき前記第1のスイッチング信号における前記固定の論理レベルとは異なる論理レベルの期間の長さを認識し、当該認識した長さと前記位相調整期間の長さとが所定の比率を保つように前記位相調整期間を制御する、
電源装置。
【請求項9】
請求項6記載の電源装置において、
前記第1の制御器は、前記位相調整期間で前記第1のスイッチング信号の生成動作を停止し、前記位相調整期間が終了するタイミングで前記第1のスイッチング信号の生成動作を再開する、
電源装置。
【請求項10】
請求項9記載の電源装置において、
前記第1の制御モードは、固定周波数のPWM(Pulse Width Modulation)制御モードであり、
前記第2の制御モードは、可変周波数のPFM(Pulse Frequency Modulation)制御モードであり、
前記電源装置は、さらに、前記モード切替制御回路の前記一定期間における前記第2のスイッチング信号のデューティを検出し、当該デューティを前記生成動作を再開した前記第1の制御器からの前記第1のスイッチング信号の最初の1サイクルに反映させるデューティ検出回路を有する、
電源装置。
【請求項11】
バッテリ電源をもとに所定の出力電圧を生成する電源装置と、
前記電源装置の前記出力電圧を電源として動作するマイクロコントローラと、
を有する電子制御装置であって、
前記電源装置は、
第1の制御モードを用いて第1のスイッチング信号を生成する第1の制御器と、
第2の制御モードを用いて、前記第1のスイッチング信号とは独立した位相を備える第2のスイッチング信号を生成する第2の制御器と、
前記第2のスイッチング信号のエッジに定められる選択タイミングを開始タイミングとする位相調整期間を設定する位相調整期間設定回路と、
前記選択タイミングで前記第2のスイッチング信号の代わりに前記第1のスイッチング信号をスイッチング制御信号として選択し、前記スイッチング制御信号における前記選択タイミングから前記位相調整期間の間の論理レベルを固定の論理レベルに制御するモード選択回路と、
前記モード選択回路からの前記スイッチング制御信号に基づきオン・オフが制御され、前記出力電圧を制御するスイッチング素子と、
を有する電子制御装置。
【請求項12】
請求項11記載の電子制御装置において、
前記第1の制御モードは、固定周波数のPWM(Pulse Width Modulation)制御モードであり、
前記第2の制御モードは、可変周波数のPFM(Pulse Frequency Modulation)制御モードである、
電子制御装置。
【請求項13】
請求項11記載の電子制御装置において、
前記固定の論理レベルは、前記選択タイミングが前記第2のスイッチング信号の立ち下がりエッジに予め定められる場合には、ロウレベルであり、前記第2のスイッチング信号の立ち上がりエッジに予め定められる場合には、ハイレベルである、
電子制御装置。
【請求項14】
請求項13記載の電子制御装置において、
前記電源装置は、さらに、前記出力電圧が所定の電圧範囲から逸脱した際にモード切替信号をアサートし、前記出力電圧が回復し、一定期間を経過した後の前記選択タイミングで前記モード切替信号をネゲートするモード切替制御回路を有し、
前記モード選択回路は、前記モード切替信号のアサート期間で前記第2のスイッチング信号を選択し、前記モード切替信号のネゲート期間で前記第1のスイッチング信号を選択する、
電子制御装置。
【請求項15】
請求項14記載の電子制御装置において、
前記電源装置は、さらに、前記モード切替制御回路の前記一定期間における前記第1のスイッチング信号または前記第2のスイッチング信号のデューティを検出し、当該デューティを反映して前記位相調整期間の長さを可変制御するデューティ検出回路を有する、
電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置および電子制御装置に関し、例えば、車載用のECU(Electronic Control Unit)に搭載される電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、負荷の変動に迅速に応答可能な電源回路が示される。当該電源回路は、負荷の変動を検出した際にPWM信号の周波数を変更し、所定時間の経過後に当該周波数を元に戻す。この際に、当該電源回路は、周波数の変更に応じて、所定の信号を別途挿入したのち、実質的な周波数の変更を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−46893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、カーエレクトロニクス分野では、パワートレイン制御、ボディー制御、安全走行制御など向けに数多くの電子制御装置(ECUと呼ばれる)が実用化されている。ECUは、通常、各種制御を担うマイクロコントローラ(マイコンと略す)と、マイコンの電源を生成する電源装置とを搭載している。電源装置は、例えば、バッテリ電源をもとに入力された直流電圧を異なる直流電圧に変換して出力するスイッチングレギュレータ方式のDC/DCコンバータである。
【0005】
ECU向けのマイコンでは、制御対象の増大に伴い消費電流が増加しており、各制御対象の活性化・非活性化(例えば、スリープモードのオン・オフ)の切替等に伴い、単位時間あたりの消費電流の変化率も増加している。電源装置は、このようにマイコンの消費電流の変化率(電源装置から見た場合の負荷電流の急変率)が増加した場合であっても、マイコンの電源電圧変動(すなわち出力電圧のリップル)を要求範囲内に保つ必要がある。このため、電源装置には、負荷電流の急変(負荷急変と呼ぶ)に対する応答速度の向上が求められる。
【0006】
応答速度を向上させる方式として、負荷急変に応じてPWM(Pulse Width Modulation)制御とPFM(Pulse Frequency Modulation)制御とを切替る方式が考えられる。しかし、この場合、制御の切替時に、スイッチング素子に過大なオン期間またはオフ期間が生じ、リップルの増大を招く恐れがある。これは、位相が独立に制御される2個の信号(PWM信号とPFM信号)を切り替える場合、特許文献1のように1個のPWM信号の周波数を切替る場合と異なり、制御の切替時のパルス幅を十分に制御できないためである。
【0007】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、リップルの低減を実現可能な電源装置、および当該電源装置を備える電子制御装置を提供することにある。
【0008】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される実施の形態のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0010】
一実施の形態による電源装置は、第1および第2の制御器と、位相調整期間設定回路と、モード選択回路と、スイッチング素子とを有する。第1の制御器は、第1の制御モードを用いて第1のスイッチング信号を生成し、第2の制御器は、第2の制御モードを用いて、第1のスイッチング信号とは独立した位相を備える第2のスイッチング信号を生成する。位相調整期間設定回路は、第2のスイッチング信号のエッジに定められる選択タイミングを開始タイミングとする位相調整期間を設定する。モード選択回路は、選択タイミングで第2のスイッチング信号の代わりに第1のスイッチング信号をスイッチング制御信号として選択し、当該スイッチング制御信号における選択タイミングから位相調整期間の間の論理レベルを固定の論理レベルに制御する。スイッチング素子は、モード選択回路からのスイッチング制御信号に基づきオン・オフが制御され、出力電圧を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すると、リップルの低減を実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1による電子制御装置の主要部の構成例を示す概略図である。
図2】本発明の実施の形態1による電源装置の主要部の構成例を示す概略図である。
図3図2の電源装置における負荷急変時の動作例を示すタイミングチャートである。
図4図3におけるレベル固定期間の機能を説明するタイミングチャートである。
図5図3におけるレベル固定期間の機能を説明するタイミングチャートである。
図6】(a)は、図2における一定期間生成回路の構成例を示す回路図であり、(b)は、(a)の動作例を示すタイミングチャートである。
図7図2におけるレベル固定期間生成回路の構成例を示す回路図である。
図8図2におけるモード選択回路の構成例を示す回路図である。
図9】本発明の実施の形態2による電源装置の主要部の構成例を示す概略図である。
図10】本発明の実施の形態3による電源装置の主要部の構成例を示す概略図である。
図11図10の電源装置における負荷急変時の動作例を示すタイミングチャートである。
図12】本発明の比較例として検討した電源装置の主要部の構成例を示す概略図である。
図13図12の電源装置における負荷急変時の動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0014】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
(実施の形態1)
《電子制御装置の概略》
図1は、本発明の実施の形態1による電子制御装置の主要部の構成例を示す概略図である。図1に示す電子制御装置1は、例えば、車載用のECUである。当該電子制御装置1は、DC/DCコンバータ10と、電源装置11と、入力インタフェース12と、マイクロコントローラ(マイコン)MCUと、ドライバ13とを備え、これらが配線基板に実装された構成となっている。DC/DCコンバータ10は、バッテリ電圧Vbat(例えば、12V等)を電源電圧Vin(例えば、5V等)に変換する。電源装置11は、このバッテリ電源Vbatをもとにした入力電圧(電源電圧)Vinを受けて、所定の出力電圧(電源電圧)Voを生成する。出力電圧Voは、例えば、1V等である。
【0017】
マイコンMCUは、電源装置11の出力電圧Voを電源として動作する。マイコンMCUは、例えば、複数のMPUコア15[1]〜15[n]、メモリ16、アナログディジタル変換器(ADC)17、および各種周辺回路18を備える。マイコンMCUは、入力インタフェース12を介して装置外部からの各種センサ信号Sinを受け、それに応じた各種制御信号Soutをプログラム処理等を用いて生成し、それをドライバ13を介して装置外部へ送信する。装置外部には、当該各種制御信号Soutを受けて動作する各種アクチュエータ等が設けられる。各種センサ信号Sinは、例えば、各種アクチュエータの動作状態の検出結果等である。
【0018】
近年、車両の高機能化が進む一方で、車両に搭載するECU数の削減等が求められている。このため、1個の電子制御装置1による制御対象は増大傾向にあり、消費電流も増加傾向にある。マイコンMCUは、このような消費電流の増加を抑制するため、必要な期間で必要な回路ブロック(例えば一部のMPUコア)のみを活性化し、不必要な回路ブロックをスリープモードに設定するような機能を備える場合がある。この場合、電源装置11から見た負荷電流(マイコンMCUの消費電流)の急変率が増加する。一方、マイコンMCUを正常に動作させるためには出力電圧Voの変動(すなわちリップル)を要求範囲内に保つ必要がある。このため、電源装置11には、負荷急変に対する応答速度の向上(ひいてはリップルの低減)が求められる。
【0019】
《電源装置(比較例)の構成および動作》
図12は、本発明の比較例として検討した電源装置の主要部の構成例を示す概略図である。図12に示す電源装置は、スイッチング回路SWUと、スイッチング制御回路SWC’とを備え、生成した出力電圧Voを外部の負荷LD(例えば、図1のマイコンMCU)に供給する。スイッチング制御回路SWC’は、出力電圧Voを帰還入力として、出力電圧Voを一定に保つためのスイッチング制御信号Sswを生成する。
【0020】
スイッチング回路SWUは、ドライバ21と、ハイサイドのスイッチング素子SWhおよびロウサイドのスイッチング素子SWlと、インダクタL1と、平滑用出力コンデンサC1とを備える。スイッチング素子SWhは、入力電圧Vinと出力ノードとの間に結合され、スイッチング素子SWlは、出力ノードと接地電源電圧GNDとの間に結合される。ドライバ21は、スイッチング制御信号Sswを受けて、ハイサイドのスイッチング素子SWhとロウサイドのスイッチング素子SWlのオン・オフを相補的に制御する。これによって、スイッチング素子SWh,SWlは、出力電圧Voを制御する。
【0021】
具体的には、スイッチング制御信号Sswのハイレベル期間では、スイッチング素子SWhはオン、スイッチング素子SWlはオフとなる。この期間では、入力電圧Vinからの電力がインダクタL1に蓄積されると共に、負荷LDに供給される。一方、スイッチング制御信号Sswのロウレベル期間では、スイッチング素子SWhはオフ、スイッチング素子SWlはオンとなる。この期間では、インダクタL1に蓄積された電力が負荷LDに供給される。出力電圧Voは、このスイッチング制御信号Sswの1サイクル(ハイレベル期間とロウレベル期間の合計)におけるハイレベル期間の比率(すなわちデューティ)によって制御される。平滑用出力コンデンサC1は、出力電圧Voのリップルを抑制する機能を担う。
【0022】
スイッチング制御回路SWC’は、PWM制御器25と、PFM制御器26と、モード選択回路28’と、モード切替制御回路MDC’とを備える。PWM制御器25は、PWM制御モードを用いて、出力電圧Voからの帰還入力に応じて、周波数が一定でパルス幅が変化するPWM信号(スイッチング信号)Spwmを生成する。PWM制御器25は、図示は省略するが、様々な回路方式が知られており、そのいずれの回路方式を用いてもよい。代表的には、三角波(または鋸波)を直接生成して、当該三角波(鋸波)と出力電圧Voに基づく誤差信号とを比較することでPWM信号のデューティを定める方式や、三角波を、インダクタL1に流れるインダクタ電流ILを利用して生成する方式等が挙げられる。
【0023】
PFM制御器26は、PFM制御モードを用いて、出力電圧Voからの帰還入力に応じて、周波数が変化するPFM信号(スイッチング信号)Spfmを生成する。PFM制御器26も、図示は省略するが、様々な回路方式が知られており、そのいずれの回路方式を用いてもよい。代表的には、2個の閾値電圧を設定し、出力電圧Voが当該2個の閾値電圧の範囲に収まるようにPFM信号Spfmのハイレベル/ロウレベル期間を定める方式や、1個の閾値電圧を設定し、出力電圧Voが当該閾値電圧に達した際に固定パルス幅のハイパルスを出力する方式等が挙げられる。
【0024】
モード切替制御回路MDC’は、出力電圧Voが所定の電圧範囲から逸脱した際にモード切替信号Smdをアサートし、出力電圧Voが回復し、一定期間を経過した後にモード切替信号Smdをネゲートする。モード切替制御回路MDC’は、具体的には、負荷急変検出回路30と、一定期間生成回路31’とを備える。
【0025】
負荷急変検出回路30は、例えば、出力電圧Voが所定の電圧範囲から逸脱したか否かを検出する2個のコンパレータ回路を備える。一方のコンパレータ回路は、出力電圧Voよりも電圧レベルが低い閾値電圧(負荷急増閾値電圧)を用いて、出力電圧Voが当該閾値電圧よりも低下している期間で負荷急変検出信号Sdetをアサートする。すなわち、当該負荷急変検出信号Sdetのアサートは、負荷急増の検出を意味する。他方のコンパレータ回路は、出力電圧Voよりも電圧レベルが高い閾値電圧(負荷急減閾値電圧)を用いて、出力電圧Voが当該閾値電圧よりも上昇している期間で負荷急変検出信号Sdetをアサートする。すなわち、当該負荷急変検出信号Sdetのアサートは、負荷急減の検出を意味する。
【0026】
一定期間生成回路31’は、負荷急変検出信号Sdetのアサートに応じてモード切替信号Smdをアサートし、負荷急変検出信号Sdetがアサートからネゲートに変更されてから一定期間待ったのちにモード切替信号Smdをネゲートする。当該一定期間は、出力電圧Voが目標値に回復し、安定状態となるのに必要とされる期間である。
【0027】
モード選択回路28’は、モード切替信号Smdに応じて、PWM信号SpwmかPFM信号Spfmの一方をスイッチング制御信号Sswとして選択し、出力する。具体的には、モード選択回路28’は、モード切替信号のネゲート期間(すなわち負荷LDの定常時)でPWM信号Spwmを選択し、モード切替信号Smdのアサート期間(すなわち負荷LDの急変時)でPFM信号Spfmを選択する。
【0028】
ここで、PWM制御モードでは、スイッチング周波数が固定であるため、負荷急変時の応答速度を向上させるためには、スイッチング周波数を高く設定する必要がある。しかし、この場合、電源装置のスイッチング損失が大きくなる(すなわち消費電力が増大する)ため、実際上、スイッチング周波数を高く設定することは容易でない。一方、PFM制御モードでは、負荷電流Ioによって周波数が変動するため、スイッチング損失をある程度抑制しつつ、負荷急変時の応答速度を速くすることができる。しかし、車載用の電源装置では、EMI(Electro Magnetic Interference)規格が厳しいため、PFM制御モードのみを適用することは容易でない。そこで、図12のように、負荷の定常時にはPWM制御モードを用い、負荷急変時にはPFM制御モードを用いるといったモード切替方式が有益となる。
【0029】
《電源装置(比較例)の動作》
図13は、図12の電源装置における負荷急変時の動作例を示すタイミングチャートである。負荷電流Ioの定常時となる期間T1では、モード切替制御回路MDC’からのモード切替信号Smdはネゲートレベル(ここではロウレベル)となり、モード選択回路28’は、PWM信号Spwmをスイッチング制御信号Sswとして選択し、スイッチング回路SWUへ出力する。スイッチング回路SWUのスイッチング素子SWh,SWlは、スイッチング制御信号Ssw(すなわちPWM信号Spwm)によってオン・オフが制御され、入力電圧Vinから出力電圧Voを生成する。
【0030】
その後、負荷電流Ioの急増時となる期間T2において、負荷急増に伴い出力電圧Voは低下し、負荷急変検出回路30は、出力電圧Voが負荷急増閾値電圧よりも低下した段階で、負荷急変検出信号Sdetをアサートレベル(ここではハイレベル)に変更する。これに応じて、一定期間生成回路31’は、モード切替信号Smdをアサートレベル(ここではハイレベル)に変更する。モード切替信号Smdのアサートに応じて、モード選択回路28’は、PFM信号Spfmをスイッチング制御信号Sswとして選択し、スイッチング回路SWUへ出力する。
【0031】
スイッチング回路SWUのスイッチング素子SWh,SWlは、スイッチング制御信号Ssw(すなわちPFM信号Spfm)によってオン・オフが制御され、出力電圧Voを安定化する。その結果、出力電圧Voの低下分が回復する。負荷急変検出回路30は、出力電圧Voが負荷急増閾値を超えた段階で、負荷急変検出信号Sdetをネゲートレベル(ここではロウレベル)に変更する。一定期間生成回路31’は、負荷急変検出信号Sdetのアサート期間を、出力電圧Voが負荷定常時の電圧レベル(すなわち目標値)に回復し、かつ安定状態となるまで一定期間Tsだけ延ばす。
【0032】
モード切替信号Smdは、一定期間生成回路31’による一定期間Tsの経過後にネゲートレベルに変更される。その結果、期間T3において、モード選択回路28’は、PWM信号Spwmをスイッチング制御信号Sswとして選択し、スイッチング回路SWUへ出力する。スイッチング回路SWUのスイッチング素子SWh,SWlは、PWM信号Spwmによって制御され、入力電圧Vinから出力電圧Voを生成する。
【0033】
《電源装置(比較例)の問題点》
しかし、図12の電源装置では、図13に示されるように、期間T2(PFM制御モード)から期間T3(PWM制御モード)への切り替え時に、出力電圧Voに大きなリップルが生じる恐れがある。具体的には、当該切り替えのタイミングと、PFM信号Spfmの立ち下がりエッジと、PWM信号Spwmの立ち上がりエッジとが偶発的に一致するワースト条件が生じ得る。当該ワースト条件では、PFM信号Spfmのハイパルス幅とPWM信号Spwmのハイパルス幅とを合計した最大のハイパルスが生じるため、出力電圧Voに大きなリップルが生じる。
【0034】
例えば、特許文献1のように、1個のPWM信号の周波数を切り替えるような方式では、このようなワースト条件は生じないが、図12および図13のように位相が独立に制御される2個の信号(PWM信号SpwmとPFM信号Spfm)を切り替えるような方式では、その位相関係によってワースト条件が生じ得る。なお、ワースト条件は、図13の場合に限らず、切り替えのタイミングと、PFM信号Spfmの立ち上がりエッジと、PWM信号Spwmの立ち下がりエッジとが偶発的に一致する場合にも生じ得る。この場合、最大のロウパルスが生じることになる。また、ここでは、負荷急増の場合を例としたが、負荷急減の場合も同様の問題が生じる恐れがある。
【0035】
《電源装置(実施の形態1)の構成》
図2は、本発明の実施の形態1による電源装置の主要部の構成例を示す概略図である。図2に示す電源装置は、スイッチング回路SWUと、スイッチング制御回路SWC1とを備え、生成した出力電圧Voを外部の負荷LD(例えば、図1のマイコンMCU)に供給する。スイッチング回路SWUの構成は、図12の場合と同様である。
【0036】
スイッチング制御回路SWC1は、PWM制御器25と、PFM制御器26と、モード選択回路28と、モード切替制御回路MDCと、レベル固定期間生成回路27とを備える。PWM制御器25、PFM制御器26および負荷急変検出回路30は、図12の場合と同様の構成を備え、モード選択回路28およびモード切替制御回路MDCは、図12の場合と若干異なる構成を備える。レベル固定期間生成回路27は、図12に対して新たに設けられる。
【0037】
モード切替制御回路MDCは、図12の場合と同様に、出力電圧Voが所定の電圧範囲から逸脱した際にモード切替信号Smdをアサートし、出力電圧Voが回復し、一定期間を経過した後にモード切替信号Smdをネゲートする。ただし、モード切替制御回路MDCは、図12の場合とは異なり、一定期間を経過した後の選択タイミングでモード切替信号Smdをネゲートする。当該選択タイミングは、PFM信号Spfmのエッジに定められる。
【0038】
モード切替制御回路MDCは、具体的には、負荷急変検出回路30と、一定期間生成回路31とを備える。負荷急変検出回路30は、図12の場合と同様の構成を備える。一定期間生成回路31は、図12の場合と異なり、PFM信号Spfmが入力されることで、モード切替信号Smdをネゲートする際のタイミング(選択タイミング)をPFM信号Spfmのエッジに定める。
【0039】
レベル固定期間生成回路(位相調整期間設定回路)27は、前述した選択タイミングを開始タイミングとするレベル固定期間(位相調整期間)を設定する。具体的には、レベル固定期間生成回路27は、レベル固定期間でハイレベルおよびロウレベルの一方となり、レベル固定期間を除く期間でハイレベルおよびロウレベルの他方となるレベル固定信号Slfを生成する。
【0040】
モード選択回路28は、図12の場合と同様に、スイッチング制御信号Sswとして、モード切替信号Smdのアサート期間でPFM信号Spfmを選択し、モード切替信号Smdのネゲート期間でPWM信号Spwmを選択する。この際に、モード選択回路28は、モード切替信号Smdに基づき、前述した選択タイミングでPFM信号Spfmの代わりにPWM信号Spwmを選択する。そして、モード選択回路28は、図12の場合と異なり、レベル固定信号Slfに基づき、当該スイッチング制御信号Ssw(すなわちPWM信号Spwmに相当)における選択タイミングからレベル固定期間の間の論理レベルを、強制的に固定の論理レベルに制御する。
【0041】
《電源装置(実施の形態1)の動作》
図3は、図2の電源装置における負荷急変時の動作例を示すタイミングチャートである。図3において、負荷電流Ioの定常時となる期間T1での動作は、図13の場合と同様である。負荷電流Ioの急増時となる期間T2において、負荷急増に伴い出力電圧Voは低下し、負荷急変検出回路30は、出力電圧Voが負荷急増閾値電圧よりも低下した段階で、負荷急変検出信号Sdetをアサートレベル(ここではハイレベル)に変更する。これに応じて、一定期間生成回路31は、モード切替信号Smdをアサートレベル(ここではハイレベル)に変更する。モード切替信号Smdのアサートに応じて、モード選択回路28は、PFM信号Spfmをスイッチング制御信号Sswとして選択し、スイッチング回路SWUへ出力する。
【0042】
スイッチング回路SWUのスイッチング素子SWh,SWlは、スイッチング制御信号Ssw(すなわちPFM信号Spfm)によってオン・オフが制御され、出力電圧Voを安定化する。その結果、出力電圧Voの低下分が回復する。負荷急変検出回路30は、出力電圧Voが負荷急増閾値を超えた段階で、負荷急変検出信号Sdetをネゲートレベル(ここではロウレベル)に変更する。一定期間生成回路31は、負荷急変検出信号Sdetのアサート期間を、出力電圧Voが負荷定常時の電圧レベル(すなわち目標値)に回復し、かつ安定状態となるまで一定期間Tsだけ延ばす。一定期間生成回路31は、一定期間Tsを経過後、PFM信号Spfmのエッジ(この例では立ち下がりエッジ)を選択タイミングTMslとしてモード切替信号Smdをネゲートレベル(ここではロウレベル)に変更する。
【0043】
モード選択回路28は、モード切替信号Smdをネゲートに応じて、PWM信号Spwmをスイッチング制御信号Sswとして選択し、スイッチング回路SWUへ出力する。一方、レベル固定期間生成回路27は、モード切替信号Smdのネゲートを受けて、選択タイミングTMslを開始タイミングとしてレベル固定期間(位相調整期間)Tfxのパルス幅を備えるレベル固定信号(この例ではロウパルス信号)Slfを生成する。モード選択回路28は、選択したスイッチング制御信号Ssw(すなわちPWM信号Spwm)の論理レベルを、このレベル固定期間Tfxの間、強制的に固定レベル(この例ではロウレベル)に制御する。レベル固定期間Tfxの経過後、スイッチング制御信号Sswは、PWM信号Spwmに等しくなり、図13の場合と同様に、PWM制御モードによる定常動作が行われる。
【0044】
なお、一定期間生成回路31による一定期間Tsの最小値は、負荷急変が最も大きい場合を前提として、出力電圧Voが負荷急増閾値から負荷定常時の電圧レベル(目標値)に回復する時間によって決まる。この一定期間Tsの最小値は、例えば、シミュレーション等によって算出される。一定期間Tsの最大値は、負荷急変の頻度によって決まり、次の負荷急変が生じる前に終了している必要があるため、負荷急変が生じ得る最小間隔によって決まる。この負荷急変が生じ得る最小間隔は、マイコンの仕様に基づき定めることができる。例えば、マイコンが1MHz(1μs周期)で動作する場合、一定期間Tsの最大値は1μsとなる。
【0045】
《レベル固定期間の詳細》
図4および図5は、図3におけるレベル固定期間の機能を説明するタイミングチャートである。図4には、図13で述べたように、選択タイミングTMslと、PFM信号Spfmの立ち下がりエッジと、PWM信号Spwmの立ち上がりエッジとが一致し、最大のハイパルスが生じるワースト条件が示される。この場合、レベル固定信号Slfによって、スイッチング制御信号Sswをレベル固定期間Tfxの間、強制的にロウレベルに制御することで、ワースト条件が緩和される。その結果、ハイパルスに伴うインダクタ電流ILの増加を抑制でき、出力電圧Voのリップルを低減することが可能になる。
【0046】
このワースト条件を緩和する観点で、レベル固定期間Tfxの長さは、選択タイミングTMsl直前のPFM信号Spfmにおける固定の論理レベルとは異なる論理レベル(ここではハイレベル)のパルス幅Thfよりも短ければよい。または、レベル固定期間Tfxの長さは、選択タイミングTMsl直後のPWM信号Spwmにおける固定の論理レベルとは異なる論理レベル(ハイレベル)のパルス幅Thwよりも短ければよい。
【0047】
ただし、望ましくは、レベル固定期間Tfxの長さは、PWM信号Spwmのハイパルス幅Thwの1/2程度(例えば1/3〜2/3の範囲等)であるとよい。これは、ケース[2]に示されるように、レベル固定期間Tfxの長さが過剰に短いと、インダクタ電流ILの増加を十分に抑制できず、リップルの低減効果が弱まるためである。また、ケース[3]に示されるように、レベル固定期間Tfxの長さが過剰に長いと、インダクタ電流ILが過剰に減少し、出力電圧Voに、ケース[2]の場合とは逆極性の大きなリップルが生じ得るためである。そこで、レベル固定期間Tfxの長さをハイパルス幅Thwの1/2程度に設定すると、ケース[1]に示されるように、インダクタ電流ILの増加を適度に抑制でき、リップルの低減効果を高めることが可能になる。
【0048】
図5には、図4の場合と異なり、選択タイミングTMslと、PFM信号Spfmの立ち上がりエッジと、PWM信号Spwmの立ち下がりエッジとが一致し、最大のロウパルスが生じるワースト条件が示される。この場合、レベル固定信号Slfによって、スイッチング制御信号Sswをレベル固定期間Tfxの間、強制的にハイレベルに制御することで、ワースト条件が緩和される。その結果、ロウパルスに伴うインダクタ電流ILの減少を抑制でき、出力電圧Voのリップルを低減することが可能になる。この場合も、図4の場合と同様に、レベル固定期間Tfxの長さは、PWM信号Spwmのロウパルス幅Tlwの1/2程度であるとよい。
【0049】
このように、選択タイミングTMslが一定期間生成回路31によってPFM信号Spfmの立ち下がりエッジに予め定められる場合、レベル固定期間Tfxに伴う固定の論理レベルは、図4に示されるようにロウレベルとなる。一方、選択タイミングTMslが一定期間生成回路31によってPFM信号Spfmの立ち上がりエッジに予め定められる場合、レベル固定期間Tfxに伴う固定の論理レベルは、図5に示されるようにハイレベルとなる。
【0050】
《主要な回路の詳細》
図6(a)は、図2における一定期間生成回路の構成例を示す回路図であり、図6(b)は、図6(a)の動作例を示すタイミングチャートである。図6(a)の一定期間生成回路31は、立ち下がりエッジ検出回路311と、遅延回路312と、SRラッチ回路313,315と、Dフリップフロップ回路314とを備える。立ち下がりエッジ検出回路311は、負荷急変検出信号Sdetの立ち下がりエッジが生じた際に、内部の遅延回路によって定められるパルス幅のハイパルス信号Sxを出力する。
【0051】
遅延回路312は、例えば、複数段のインバータ回路等によって構成され、立ち下がりエッジ検出回路311からのハイパルス信号Sxを一定時間Tsだけ遅延させる。一定時間Tsは、図3で述べたように、シミュレーション等によって予め定められる。SRラッチ回路313は、遅延回路312からのハイパルス信号に応じて出力信号Syをセットレベル(ハイレベル)に駆動する。
【0052】
Dフリップフロップ回路314は、SRラッチ回路313の出力信号SyをPFM信号Spfmの立ち下がりエッジでラッチする。その結果、Dフリップフロップ回路314は、出力信号Syがハイレベルになった後(言い換えれば、一定期間Tsを経過した後)のPFM信号Spfmの最初の立ち下がりエッジでハイレベルの出力信号Szを出力する。
【0053】
SRラッチ回路315は、負荷急変検出信号Sdetのアサートに応じて、モード切替信号Smdをセットレベル(ハイレベル)に駆動し、Dフリップフロップ回路314からのハイレベルの出力信号Szに応じてモード切替信号Smdをリセットレベル(ロウレベル)に駆動する。また、SRラッチ回路313は、モード切替信号Smdのリセットレベル(ロウレベル)に応じて出力信号Syをリセットレベル(ロウレベル)に駆動する。その後、Dフリップフロップ回路314は、PFM信号Spfmの立ち下がりエッジに応じて出力信号Szをロウレベルに戻す。
【0054】
なお、一定期間生成回路31は、勿論、このような回路に限らず、様々な回路で実現することが可能である。また、図2の負荷急変検出回路30は、ここでは、図3に示したように、出力電圧Voが負荷急増閾値まで回復した際に負荷急変検出信号Sdetをネゲートしたが、目標値まで回復した際に負荷急変検出信号Sdetをネゲートしてもよい。この場合、一定期間生成回路31は、目標値まで回復した出力電圧Voを安定させるための待ち時間を生成する。
【0055】
図7は、図2におけるレベル固定期間生成回路の構成例を示す回路図である。図7に示すレベル固定期間生成回路27は、遅延回路271と、論理ゲート272とを備える。遅延回路271は、例えば、複数段のインバータ回路等によって構成され、モード切替信号Smdをレベル固定期間Tfxだけ遅延させる。論理ゲート272は、モード切替信号Smdと、遅延回路271の反転出力信号とのオア演算結果をレベル固定信号Slfとして出力する。
【0056】
ここで、遅延回路271の遅延時間(すなわちレベル固定期間Tfx)は、予め固定的に定めることが可能である。すなわち、例えば、図1に示したように、電源装置11の入力電圧Vinを、バッテリ電圧VbatではなくDC/DCコンバータ10の出力電圧とする場合、入力電圧Vinの値はほぼ一定となる。電源装置11は、一定の入力電圧Vinから一定の出力電圧Voを生成する。このため、定常時におけるデューティを予め高精度に予測することができ、例えば、図4に示したPWM信号Spwmのハイパルス幅Thwも高精度に予測することができる。
【0057】
図8は、図2におけるモード選択回路の構成例を示す回路図である。図8に示すモード選択回路28は、選択回路281と、論理ゲート282とを備える。選択回路281は、モード切替信号Smdがネゲートレベル(ロウレベル)の場合にはPWM信号Spwmを選択し、モード切替信号Smdがアサートレベル(ハイレベル)の場合にはPFM信号Spfmを選択する。論理ゲート282は、選択回路281の出力と、レベル固定信号Slfとのアンド演算結果をスイッチング制御信号Sswとして出力する。
【0058】
なお、図6(a)、図7および図8では、選択タイミングTMslをPFM信号Spfmの立ち下がりエッジに定める場合を例としたが、立ち上がりエッジに定める場合も同様である。この場合、例えば、図6(a)におけるDフリップフロップ回路314を立ち上がりエッジトリガの構成に変更し、図7におけるレベル固定信号Slfの極性を反転し、図8の論理ゲート282をオアゲートに変更すればよい。
【0059】
《実施の形態1の主要な効果》
以上、実施の形態1の電源装置および電子制御装置を用いることで、位相が独立に制御される2個の信号を切り替えることによるワースト条件を緩和でき、リップルの低減が実現可能になる。その結果、例えば、車載用の電子制御装置において、制御対象の拡大等が図れる。なお、ここでは、負荷急増の場合を例としたが、負荷急減の場合にも同様に適用可能である。
【0060】
(実施の形態2)
《前提となる問題点》
前述した実施の形態1では、図7で説明したように、レベル固定期間Tfxを固定値に定めた。しかし、例えば、図1において、電源装置11にバッテリ電圧Vbatを直接入力するような場合や、電源装置11の使用環境が大きく変化する場合や、各回路の特性ばらつきが生じるような場合には、図4のPWM信号Spwmのハイパルス幅Thwを高精度に予測できない恐れがある。当該ハイパルス幅Thwとレベル固定期間Tfxとの比率を適切に保てない場合、図4に示したように、リップルの低減効果が弱まることになる。
【0061】
《電源装置(実施の形態2)の構成および動作》
図9は、本発明の実施の形態2による電源装置の主要部の構成例を示す概略図である。図9に示す電源装置は、図2に示した電源装置と比較して、スイッチング制御回路SWC2の構成が異なっている。当該スイッチング制御回路SWC2は、図2のスイッチング制御回路SWC1と比較して、レベル固定期間生成回路35の構成が若干異なり、さらに、デューティ検出回路36を新たに備えている。
【0062】
デューティ検出回路36は、図3に示したモード切替制御回路MDCの一定期間TsにおけるPFM信号SpfmまたはPWM信号Spwmのデューティを検出し、当該デューティを反映してレベル固定期間(位相調整期間)Tfxの長さを可変制御する。この際に、望ましくは、デューティ検出回路36は、デューティの検出結果に基づきPWM信号Spwmにおけるレベル固定期間Tfxとは異なる論理レベル(図3ではハイレベル)の期間の長さを認識する。そして、デューティ検出回路36は、当該認識した長さとレベル固定期間Tfxの長さとが所定の比率(例えば、図4のケース[1]のように2:1)を保つようにレベル固定期間Tfxを制御する。この場合、例えば、図3において、一定期間TsにおけるPFM信号Spfmのハイパルス期間(ひいてはPWM信号Spwmのハイパルス期間)が長くなれば、ロウレベルのレベル固定期間Tfxも長くなる。
【0063】
図9の例では、デューティ検出回路36は、モード切替信号Smdと負荷急変検出信号Sdetに基づき一定期間Tsを認識し、当該一定期間TsでPFM信号Spfmのデューティを検出している。一定期間Tsでは、PFM信号Spfmのデューティは安定しているため、デューティ検出回路36は、例えば、予め定めた所定のPFMサイクルのデューティや、または、各PFMサイクルのデューティの平均値等によってPFM信号Spfmのデューティを検出する。そして、デューティ検出回路36は、予め定まっているPWM信号Spwmの1サイクルの長さに、当該検出したデューティを反映させることで、PWM信号Spwmにおけるハイレベル期間の長さを認識する。
【0064】
レベル固定期間生成回路35は、例えば、図7の遅延回路271を可変遅延回路に変更したような構成を備える。当該可変遅延回路の遅延時間は、デューティ検出回路36によって可変制御される。なお、ここでは、図9のデューティ検出回路36の回路方式として、PFM信号Spfmのデューティを検出し、それをPWM信号Spwmにおけるハイレベル期間の長さに換算する方式を用いたが、勿論、PWM信号Spwmのデューティを直接検出する方式を用いてもよい。ただし、負荷急変に対する応答速度の観点から、一定期間TsにおけるPWM信号Spwmのデューティは不安定となっている可能性があるため、この例では、PFM信号Spfmのデューティを検出する方式を用いている。
【0065】
《実施の形態2の主要な効果》
以上、実施の形態2の電源装置および電子制御装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様の効果が得られることに加えて、リップルの更なる低減が図れる場合がある。すなわち、各種ばらつき要因があった場合でも、それに応じてレベル固定期間Tfxの長さを適切に保つことができ、リップルの低減効果を高めることができる。
【0066】
(実施の形態3)
《前提となる問題点》
実施の形態1および2では、PWM制御モードの応答速度によっては、PFM信号SpfmからPWM信号Spwmに切り替えた直後で、PWM信号Spwmのデューティが適正な値に収束していない場合がある。すなわち、切り替え直前のPFM信号Spfmとデューティと、切り替え直後のPWM信号Spwmのデューティとの間に乖離が生じる恐れがある。この場合、PWM信号Spwmの不適正なデューティに起因して、リップルが生じ得る。
【0067】
《電源装置(実施の形態3)の構成》
図10は、本発明の実施の形態3による電源装置の主要部の構成例を示す概略図である。図10に示す電源装置は、図2に示した電源装置と比較して、スイッチング制御回路SWC3の構成が異なっている。当該スイッチング制御回路SWC3は、図2のスイッチング制御回路SWC1と比較して、PWM制御器40の構成が若干異なり、さらに、図9の場合とは構成が若干異なるデューティ検出回路41を備えている。
【0068】
PWM制御器40は、レベル固定期間(位相調整期間)TfxでPWM信号Spwmの生成動作を停止し、レベル固定期間Tfxが終了するタイミングでPWM信号Spwmの生成動作を再開するような動作を行う。具体的には、例えば、PWM制御器40の回路方式が、三角波生成回路で生成した三角波信号と誤差信号との比較結果に基づいてPWM信号Spwmを生成するような方式である場合を想定する。この場合、三角波生成回路は、レベル固定期間Tfxで三角波信号の生成動作を停止し、レベル固定期間Tfxが終了するタイミングで生成動作を再開する。
【0069】
また、PWM制御器40の回路方式が、クロック生成回路からのクロック信号でSRラッチ回路を定期的にセットし、誤差信号に基づくタイミングでSRラッチ回路をリセットすることでPWM信号Spwmを生成するような方式である場合を想定する。この場合、クロック生成回路は、レベル固定期間Tfxでクロック信号の生成動作を停止し、レベル固定期間Tfxが終了するタイミングで生成動作を再開する。デューティ検出回路41は、モード切替制御回路MDCの一定期間におけるPFM信号Spfmのデューティを検出し、当該デューティを、生成動作を再開したPWM制御器40からのPWM信号Spwmの最初の1サイクルに反映させる。
【0070】
《電源装置(実施の形態3)の動作》
図11は、図10の電源装置における負荷急変時の動作例を示すタイミングチャートである。図11では、図3の場合と異なり、期間T2内の一定期間Tsにおいて、デューティ検出回路41がPFM信号Spfmのデューティを検出している。また、選択タイミングTMsl後のレベル固定期間Tfxにおいて、PWM信号Spwmの生成動作の停止に伴いPWM信号Spwm自体がロウレベルに固定され、これに応じて、スイッチング制御信号Sswも‘L’レベルに固定される。
【0071】
その後、レベル固定期間Tfxを経過すると、PWM信号Spwmの生成動作が再開される。この再開されたPWM信号Spwmの最初の1サイクルのデューティは、デューティ検出回路41によって検出されたPFM信号Spfmのデューティと同じ値に設定される。その結果、図3の場合と比較して、期間T3の初期段階における出力電圧Voのリップルを低減可能になる。
【0072】
《実施の形態3の主要な効果》
以上、実施の形態3の電源装置および電子制御装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様の効果が得られることに加えて、リップルの更なる低減が図れる場合がある。すなわち、一定期間TsにおけるPFM信号Spfmのデューティは、負荷電流Ioに応じた適正な値となっており、この適正な値を、切り替え直後のPWM信号Spwmのデューティに反映させることができる。その結果、PWM制御モードの応答速度が十分に得られない場合であっても、出力電圧Voのリップルを低減することが可能になる。
【0073】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0074】
例えば、各実施の形態の電源装置は、車載用のECUに限らず、負荷急変が大きい負荷に電源を供給する装置として広く適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 電子制御装置
11 電源装置
25 PWM制御器
26 PFM制御器
27 レベル固定期間生成回路
28 モード選択回路
36,41 デューティ検出回路
MCU マイクロコントローラ
MDC モード切替制御回路
SWC スイッチング制御回路
SWU スイッチング回路
SWh,SWl スイッチング素子
Slf レベル固定信号
Smd モード切替信号
Spfm PFM信号
Spwm PWM信号
Ssw スイッチング制御信号
Tfx レベル固定期間
Ts 一定期間
Vo 出力電圧
TMsl 選択タイミング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13