(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒンダードアミン化合物及び前記ヒンダードフェノール化合物の配合量は、前記ヒンダードアミン化合物10質量部に対して前記ヒンダードフェノール化合物が1〜100質量部である請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のいくつかの態様について詳細に説明する。
本発明の一つの態様に係るデバイスの製造方法は、特定の組成物を用いて基材上に第1の膜を形成する工程と、
凹凸パターンを有するモールドの少なくとも一部を上記第1の膜に接触させた状態で又は上記モールドの少なくとも一部を上記第1の膜に接触させた後に上記第1の膜を硬化させて第2の膜を形成する工程と、を含む、
基材と該基材上に配置される第2の膜とを有するデバイスの製造方法である。
【0010】
<組成物1>
本発明の一つの態様であるデバイスの製造方法に用いられる組成物(以下、「組成物1」ともいう。)について、以下に説明する。
上記組成物1は、重合性単量体と酸化防止剤とを含み、上記酸化防止剤がヒンダードアミン化合物及び分子量700以上のヒンダードフェノール化合物の少なくともいずれかであり、上記組成物1は、上記式(t
0(T)−t
x(T))/t
0(T)×100≦13.0の関係を満たすことを特徴とする。
(t
0(T)−t
x(T))/t
0(T)×100≦13.0の関係を満たすとは、上記組成物1を用いて下記条件で得られる凹凸部を有する硬化膜サンプルの上記凸部の高さの加熱前後の減少率が13.0%以下を満たすことである。
(1)上記組成物1を用いて塗膜を形成した後、上記塗膜を凹部の深さが3μm及び凹部の線幅が5μmである凹凸部を有するモールドの上記凹凸部に接触させた状態で上記組成物1の上記塗膜を硬化させ、凹凸部を有する硬化膜サンプルを作製する。
(2)上記硬化膜サンプルを25℃から260℃まで5分かけて昇温し、さらに260℃で5分間保持した後、30分かけて25℃まで冷却したものを加熱後の硬化膜サンプルとする。
(3)上記硬化膜サンプルの加熱前後の上記凸部の高さの減少率を測定する。
【0011】
(酸化防止剤)
上記酸化防止剤としてのヒンダードアミン化合物は、分子中に重合性基を有することが好ましい。それにより、組成物が硬化するときにヒンダードアミン化合物が樹脂成分に取り込まれるため、組成物の硬化物の耐熱性及び/又は耐光性が向上する。上記重合性基としては、上記重合性単量体と重合可能であれば特に制限はされないが、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基及びスチリル基等のラジカル重合性基であることが好ましい。
なお、本発明において「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を含むことを意味する。
【0012】
上記ヒンダードアミン化合物は、下記式(1)で表される構造を分子中に少なくとも1つ有するものであることが好ましい。
【0014】
上記ヒンダードアミン化合物が上記式(1)で表される構造を分子中に1つ有するときは、下記式(2)で表される構造であるものが挙げられる。
【0016】
上記式(2)中、R
1は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。
上記R
1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
上記R
1のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜15等のアルコキシ基が挙げられる。
【0017】
R
1が有しても良い置換基としては、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、シアノ基、アルコキシ基等が挙げられる。
R
1の全体の炭素数は、その他成分との溶解性の点から、置換基を含め1〜20であることが好ましく、1〜11であることがより好ましい。
【0018】
上記式(2)中、R
2は1価の有機基であり、R
2における1価の有機基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アミノ基及び上記重合性基を含む基等が挙げられるが、これらに制限されない。また、R
2としてのアルキル基、アルキルカルボニルオキシ基、アミノ基及び上記重合性基を含む基等は置換基を有していてもよい。
【0019】
上記R
2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。上記アルキル基が有しても良い置換基としては、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、アルコキシ基等が挙げられる。
上記重合性基を含む基とは、上記重合性基を含むものであれば特に制限はなく、重合性基そのものでもよく、また上記アルキル基、アミノ基等に上記重合性基が結合したもの等が挙げられる。
【0020】
上記アルキルカルボニルオキシ基が有してもよい置換基としては、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、アルコキシ基等が挙げられる。
上記アミノ基が有してもよい置換基としては、上記炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
上記重合性基を含む基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0021】
上記ヒンダードアミン化合物が上記式(1)で表される構造を2つ有するときは、下記式(3)で表される構造を有することが好ましい。
また、上記ヒンダードアミン化合物は下記式(4)又は(5)で表される単位を含む高分子量タイプであってもよい。高分子量タイプである場合、ポリスチレン換算の重量平均分子量が5000以下であることが溶解性の観点から好ましい。
【0024】
上記式(3)〜(5)中、X及びZはそれぞれ独立に2価の有機基であり、Yは3価の有機基であれば特に制限はない。
Xとしては、例えば、アルキレン基、エステル結合を介して上記式(1)で表される構造に結合するアルキレン基、炭化水素系又は複素系の芳香族を含むアルキレン基、エーテル結合を有するアルキレン基、アセタール結合を有するアルキレン基、及び、−O−C(=O)−O−等が挙げられる。
Yとしては、例えば、置換基を有する窒素原子、アルキレン基に結合するピロリジオン構造、及び、エステル結合を介して上記式(1)で表される構造に結合する3価の基等が挙げられる。上記窒素原子の置換基としては、アルキレン基、炭化水素系又は複素系の芳香族を含む2価の基等が挙げられる。
Zは、アルキレン基、エステル結合を有するアルキレン基、炭化水素系又は複素系の芳香族を含むアルキレン基、エーテル結合を有するアルキレン基、アセタール結合を有するアルキレン基等が挙げられる。
上記式(3)〜(5)におけるR
1は、上記式(2)のR
1と同様のものが挙げられる。
【0025】
上記ヒンダードアミン化合物としては、BASF社製のチヌビン292、チヌビンPA144、チヌビン765、チヌビン770DF、チヌビン622SF、Uninul4050FF、Uninul5050H、チマソーブ2020FDL及びチマソーブ944FDL等;(株)アデカ製のLA−52、LA−57、LA−63P、LA−68、LA−72、LA−77Y、G、LA−81、LA−82、LA−87;等が容易に入手可能であり、好ましく用いることができる。これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。例えば、下記に示すものが好ましく挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
上記ヒンダードフェノール化合物は、下記式(6)で表される構造を分子中に少なくとも1つ有するものであることが好ましい。
【0029】
上記式(6)中、R
3及びR
4の各々は、独立して、水素原子及びアルキル基からなる群より選択されるいずれかであり、R
5は水素原子及びアルキル基からなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。R
3〜R
5としてのアルキル基は置換基を有していてもよい。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
上記アルキル基が有しても良い置換基としては、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
好ましくは、R
3〜R
5の各々は、独立して、水素原子、メチル基又はtert−ブチル基であることが好ましい。フェノール性水酸基のオルト位の少なくとも一方、すなわちR
3及びR
4の少なくとも一方がメチル基又はtert−ブチル基であることが好ましく、R
3及びR
4の少なくとも一方がtert−ブチル基であることがより好ましく、R
3及びR
4の両方がtert−ブチル基であることがさらに好ましい。
【0030】
上記ヒンダードフェノール化合物が上記式(6)で表される構造を分子中に1つ有するときは、下記式(7)で表される構造であるものが挙げられる。
【0032】
上記式(7)中、R
6は1価の有機基であり、R
6における1価の有機基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アミノ基等が挙げられるが、これらに制限されない。また、R
6としてのアルキル基、アルキルカルボニルオキシ基、アミノ基等は置換基を有していてもよい。上記式(7)中のR
3〜R
5は上記式(6)と同じである。
上記式(7)中のR
6としてのアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
上記アルキル基が有しても良い置換基としては、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
【0033】
上記アルキルカルボニルオキシ基が有してもよい置換基としては、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
上記アミノ基が有してもよい置換基としては、上記炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
【0034】
上記ヒンダードフェノール化合物が上記式(6)で表される構造を2つ以上有するときは、下記式(8)で表される構造を有することが好ましい。
【0036】
上記式(8)中のR
3〜R
5は上記式(6)と同じである。上記式(8)中、R
7は2価の有機基であれば特に制限はないが、例えば、アルキレン基、アルキレンカルボニルオキシアルキレン基等が挙げられる。nはWが炭素のとき4であり、Wが3価の有機基であるときは3であり、Wが2価の有機基、硫黄原子及び酸素原子から選択されるいずれかであるときは2である。Wの2価の有機基としては、上記式(3)のXと同様のものが挙げられる。3価の有機基としてはベンゼン環、トリアジントリオン等が挙げられる。
【0037】
上記ヒンダードフェノール化合物の分子量は700以上であり、1000以上であることが好ましい。また、分子量は10000以下であることがより好ましい。上記範囲であると、組成物中での相溶性が良く、組成物の硬化物の耐熱性及び/又は耐光性が向上する。
【0038】
上記ヒンダードフェノール化合物としては、BASF社製のイルガノックス1010(分子量1178)、イルガノックス1330(分子量775)及びイルガノックス3114(分子量784);(株)アデカ製のAO−20(分子量784)、AO−60(分子量1178)、60G(分子量1178)、AO−80(分子量741)及びAO−330(分子量775);等が容易に入手可能であり好ましく用いることができる。これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。例えば、下記に示すものが好ましく挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
上記酸化防止剤の含有量は、溶剤を除く組成物中、0.05〜10質量%であることが好ましい。0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、1質量%以上であることがより特に好ましい。酸化防止剤の含有量は、9質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。上記酸化防止剤の含有量が10質量%以下であると、組成物の硬化性が低下する可能性や硬化物からのブリードアウトが起こる等の不具合を引き起こしにくいため好ましい。上記酸化防止剤を上記範囲内で含有することで、デバイスの製造過程で発生する熱に対しても膜厚収縮及び凹凸のパターン寸法
収縮を抑制し、透過率の減少を抑制することができる。また、光重合又は熱重合が効率的に進み硬化性を十分に得ることができる。
【0041】
ヒンダードアミン化合物及びヒンダードフェノール化合物のいずれかを用いるかにより、さらに好ましい含有量は下記の通りである。
上記酸化防止剤が、重合性基を有さないヒンダードアミン化合物である場合の含有量は、溶剤を除く組成物中、1〜9質量%であることがより好ましい。
上記酸化防止剤が重合性基を有するヒンダードアミン化合物である場合の含有量は、溶剤を除く組成物中、0.2〜9質量%であることがより好ましい。
上記酸化防止剤がヒンダードフェノール化合物である場合の含有量は、溶剤を除く組成物中、0.1〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜9質量%であることがさらに好ましい。
【0042】
酸化防止剤は、上記ヒンダードアミン化合物と上記ヒンダードフェノール化合物との組み合わせであることが好ましい。上記ヒンダードアミン化合物及び上記ヒンダードフェノール化合物を組み合わせて用いる場合、上記ヒンダードアミン化合物10質量部に対して上記ヒンダードフェノール系化合物が1〜100質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることが好ましい。より好ましくは、上記ヒンダードアミン化合物が分子中に重合性基を有するものであり、上記ヒンダードフェノール化合物が分子量1000以上であるものの組み合わせが、重合時の揮発性を抑制することから好ましい。
【0043】
(重合性単量体)
本発明の一つの態様に係る重合性単量体としては、ナノインプリント、マイクロサイズインプリント及びミリサイズインプリントに用いられる通常の重合性単量体が挙げられ、特に制限はなく、例えば、1分子中に少なくとも1つのラジカル重合性基を有する化合物、オキシラン環を有する化合物、ビニルエーテル化合物、フッ素原子含有重合性化合物等が挙げられる。
上記ラジカル重合性基として、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基及びスチリル基等が好ましく挙げられる。
耐熱性の点から、重合性単量体は熱で分解しにくいもの、例えば、ヘテロ環構造を有しない重合性単量体が好ましい。同じ理由からラジカル重合性基は、アクリロイルオキシ基及びビニル基等がより好ましい。
【0044】
上記重合性単量体は、1分子中に1つの重合性基を含むもの、1分子中に2つの重合性基を含むもの、1分子中に3つ以上の重合性基を含むもの等を適宜組み合わせで用いることが好ましい。上記重合性単量体は、脂環式基等の環状部分を有することも好ましい。
上記重合性単量体のうち1分子中に1つの重合性基を含む単官能単量体の含有量は、溶剤を除く組成物中、0.05〜80質量%であることが好ましく、1〜90質量%であることがより好ましい。上記重合性単量体のうち1分子中に2つの重合性基を含む二官能単量体の含有量は、溶剤を除く組成物中、0〜99.5質量%であることが好ましく、1〜90質量%であることがより好ましく、10〜80質量%であることがさらに好ましい。
上記重合性単量体のうち1分子中に3つ以上の重合性基を含む多官能単量体の含有量は、溶剤を除く組成物中、0〜99.5質量%であることが好ましく、1〜90質量%であることがより好ましく、10〜80質量%であることがさらに好ましい。
【0045】
上記重合性単量体としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、N−ビニル化合物及びアクリルアミド化合物等が好ましい。これら化合物の単官能体及び多官能体を単独で又は適宜組み合わせて用いることができる。
本発明のいくつかの態様における好ましい重合性単量体を下記に例示するが、これらに限定されるものではない。
【0049】
(重合開始剤)
本発明の一つの態様に係る組成物は、さらに重合開始剤を含有することが好ましい。
上記重合開始剤としては、光重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生するラジカル重合開始剤、光照射により酸を発生するカチオン重合開始剤等が挙げられ、ラジカル重合性開始剤が好ましい。これら光重合開始剤は、ナノインプリント、マイクロサイズインプリント及びミリサイズインプリント等の組成物に用いられる通常の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤の含有量は、溶剤を除く組成物中、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましい。
【0050】
なお、本発明において「光」には、紫外、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の領域の波長の光や電磁波だけでなく放射線も含まれる。
光重合開始剤に代えて、又は併用して熱重合開始剤を用いることも可能である。熱重合開始剤としては、通常熱重合開始剤として用いられるものでよく、例えば、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられる。
【0051】
(その他の成分)
本発明の一つの態様に係る組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤、例えば、シランカップリング剤、界面活性剤、離型剤、密着促進剤、溶剤、ポリマー成分、フィラー、重合禁止剤、着色剤、可塑剤、光酸発生剤、光塩基発生剤等を含んでいてもよい。
【0052】
(物性)
本発明の一つの態様に係る組成物1は、上記条件で得られる凹凸部を有する硬化膜サンプルの上記凸部の高さの加熱前後の減少率が13.0%以下であることを特徴とする。
【0053】
上記硬化膜サンプルを得る際に用いるモールドは石英モールド(製品名:NIM−PH3000、NTTアドバンステクノロジ(株)製)である。硬化は、窒素雰囲気下、Hg−Xeランプで20mW/cm
2(波長365nm)、50秒間露光して行う。
その後、得られた硬化膜サンプルを石英モールドから離型し、硬化膜サンプルのパターン高さを共焦点レーザ顕微鏡(OLS3100、オリンパス(株)製)で測定する。パターン高さ測定は、凸部の高さが3μm、線幅が5μmのライン及びスペースの箇所で測定する。
【0054】
上記方法で加熱処理される前と加熱処理された後の硬化膜サンプルの凸部の高さを測定し、高さの減少率を下記式を基に算出する。
減少率=(t
0(T)−t
x(T))/t
0(T)×100 (A)
上記式(A)中、t
0(T)及びt
x(T)は、
図1に示すようにそれぞれ加熱前高さ及び加熱後高さとして用いる。上記組成物1は、下記式(t
0(T)−t
x(T))/t
0(T)×100≦13.0の関係を満たす。
【0055】
組成物1が上記物性を満たすためには、組成物1に上述した成分を適宜含有させればよい。組成物1が上記物性を有することにより、耐熱性に優れるため凹凸パターンの形状変化が少なく、透過率に優れた硬化膜を得ることができる。
【0056】
<組成物2>
本発明の一つの態様であるデバイスの製造方法に用いられる組成物(以下、「組成物2」ともいう。)について、以下に説明する。
上記組成物2は、重合性単量体と酸化防止剤とを含み、上記酸化防止剤が上記ヒンダードアミン化合物であり、該ヒンダードアミン化合物の配合量が組成物中0.5質量%以上であり、上記組成物2は(t
0(L)−t
x(L))/t
0(L)×100≦10.0の関係を満たすことを特徴とする。
(t
0(L)−t
x(L))/t
0(L)×100≦10.0の関係を満たすとは、上記組成物2を用いて下記条件で得られる凹凸部を有する硬化膜サンプルの上記凸部の高さの光照射前後の減少率が10%以下を満たすことである。
酸化防止剤として上記ヒンダードフェノール化合物を、上記組成物1と同様に併用してもよい。その他の成分は上記組成物1と同様である。
【0057】
(1)上記組成物を用いて塗膜を形成した後、上記塗膜を凹部の深さが3μm及び凹部の線幅が5μmである凹凸部を有するモールドの上記凹凸部に接触させた状態で上記組成物を硬化させ、凹凸部を有する硬化膜サンプルを作製する。
(2)上記硬化膜サンプルを60℃でキセノンランプにて765W/cm
2の条件下で60日間光照射したものを光照射後の硬化膜サンプルとする。
(3)上記硬化膜サンプルの光照射前後の上記凸部の高さの減少率を測定する。
【0058】
サンプルを得る際に用いるモールド、硬化条件及び凸部の高さの減少率の測定方法は、上記組成物1と同様である。
組成物2が上記物性を満たすためには、組成物2に上述した成分を適宜含有させればよい。
【0059】
<デバイスの製造方法>
本発明の一つの態様に係るデバイスの製造方法は、上記組成物を用いて基材上に第1の膜を形成する工程と、
凹凸パターンを有するモールドの少なくとも一部を前記第1の膜に接触させた状態で又は前記モールドの少なくとも一部を前記第1の膜に接触させた後に前記第1の膜を硬化させて第2の膜を形成する工程と、それにより、基材と、該基材上に配置される硬化層である第2の膜とを有するデバイスが得られる。
上記組成物を用いることにより、耐熱性及び/又は耐光性に優れた硬化層を有するデバイスを得ることができるため、パターン高さの減少が抑制される。
デバイスの製造方法に用いられる工程は通常と同様の工程によって行うことができる。
なお、本発明のいくつかの態様においてデバイスのパターンは、数nmから数mmサイズのパターン転写をいい、ナノオーダー、マイクロオーダー及びミリオーダー等のパターン転写に応用できる。本発明のいくつかの態様のデバイスの製造方法は、ナノオーダー及びマイクロオーダーの微小パターン転写に特に効果がある。
光学デバイス上の光学機能を発現する好ましいパターンのサイズは、光学デバイスを透過又は反射する光の波長((λ)nm)と関係がある。本発明においては、パターンの繰り返し周期が0.1λnm〜100λnmであることが好ましく、線幅は0.05λnm〜100λnmであることが好ましく、高さは0.01λnm〜200λnmであることが好ましい。λの範囲としては、紫外光から赤外光の範囲が好ましく、100nm〜10000nmが好適である。
また、パターンサイズが上記範囲内であるデバイスを製造する方法に上記組成物を用いることが好ましい。それにより、耐熱性及び耐光性に優れる硬化膜を得ることができ、パターン形状の変化が少なく、透過率が優れた硬化膜を有するデバイスを製造することができる。
【実施例】
【0060】
以下に、本発明のいくつかの態様を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0061】
<組成物の調製>
表1及び表2に示すように各成分を配合し、組成物サンプル1〜37を調製する。表1〜表4記載の成分A〜Nは具体的には下記に示すものである。表中、配合割合は質量基準である。
【0062】
【化13】
【0063】
<組成物サンプルの評価>
得られた各組成物サンプルに対し、下記のようにして耐熱性試験及び耐光性試験を行う。
【0064】
(耐熱性試験:高さ3μmのパターン)
2cm
2の無アルカリガラス(厚み360μm)の上に組成物を適量のせ、その上に石英モールド(製品名:NIM−PH3000、NTTアドバンステクノロジ(株)製)をのせ、石英モールドのパターンに組成物を充填し、窒素雰囲気下、Hg−Xeランプで20mW/cm
2(波長365nm)、50秒間露光して行う。
その後、得られた硬化物を石英モールドから離型し、硬化物のパターン高さを共焦点レーザ顕微鏡(製品名:OLS3100、オリンパス(株)製)で測定する。パターン高さ測定は、凸部の高さが3μm、線幅が5μmのライン及びスペースの箇所で測定する。
得られた硬化物を卓上リフロー炉(製品名:STR−3000RC、(株)シンアペックス製)に入れ、空気雰囲気中で室温から260℃まで5分かけ昇温し、260℃で5分間保持し、その後30分かけ室温に冷却する。加熱後の樹脂成形体のパターン高さを加熱前と同様にして測定し、加熱前後の樹脂成形体のパターン高さから減少率を求める。結果を表1〜3に示す。
【0065】
(耐熱性試験:高さ200nmのパターン)
3cm
2の無アルカリガラス(厚み700μm)の上に組成物を適量のせ、その上に石英モールド(厚み6.35mmで、面積25mm□で、凹部の深さが200nm、凹部の線幅が500nmのライン及びスペースのパターンを有するモールド、凸版印刷(株)製)をのせ、石英モールドのパターンに組成物を充填し、窒素雰囲気下、Hg−Xeランプで20mW/cm
2(波長365nm)、50秒間露光して行う。
その後、得られた硬化物を石英モールドから離型し、硬化物のパターン高さを原子間力顕微鏡(製品名:NANOPICS1000、セイコーインスツルメンツ(株)製)で測定する。パターン高さ測定は、凸部の高さが200nm、線幅が500nmのライン及びスペースの箇所で測定する。
得られた硬化物を上記(耐熱性試験:高さ3μmのパターン)で使用した卓上リフロー炉に入れ、空気雰囲気中で室温から260℃まで5分かけ昇温し、260℃で5分間保持し、その後30分かけ室温に冷却する。加熱後の樹脂成形体のパターン高さを加熱前と同様にして測定し、加熱前後の樹脂成形体のパターン高さから減少率を求める。結果を表1〜3に示す。
【0066】
(耐光性試験:高さ3μmのパターン)
上記(耐熱性試験:高さ3μmのパターン)で作製した硬化物に対し、耐光性試験機(製品名:SUSTEST CPS+、ATLAS社製)に入れ、下記の条件で60日間光照射をする。耐光性試験機の設定は、光学フィルター:Special window glass、Black Standard Temperature:60℃、照度:キセノンランプにて765W/m
2(300−800nm)。
光照射前後の硬化物のパターン高さを共焦点レーザ顕微鏡(製品名:OLS3100、オリンパス(株)製)で測定する。結果を表4に示す。
【0067】
(耐光性試験:高さ200nmのパターン)
上記(耐熱性試験:高さ200nmのパターン)で作製した硬化物に対し、耐光性試験機(製品名:SUSTEST CPS+、ATLAS社製)に入れ、下記の条件で60日間光照射をする。耐光性試験機の設定は、光学フィルター:Special window glass、Black Standard、温度:60℃、照度:キセノンランプにて765W/m
2(300−800nm)。
光照射前後の硬化物のパターン高さを原子間力顕微鏡(製品名:NANOPICS1000、セイコーインスツルメンツ(株)製)で測定する。結果を表4に示す。
【0068】
(硬化膜の外観)
耐熱性試験又は耐光性試験の後、硬化膜の外観を目視にて下記の指標にて評価した。
○:ほぼ着色なし。
△:若干着色あり。
×:着色あり。
【0069】
(耐熱性試験:加熱前後の透過率)
加熱前後の透過率は、凹凸パターン付の硬化物を260℃で5分間加熱した加熱前後の波長450nmの透過率を測定することで行う。
Niモールド(製品名:ARモールド2(特別品)Ni製2200055088、(株)協同インターナショナル製、厚み0.3mm、面積3cm×3cmで、凹部の形状が円錐形状で、パターンピッチ250nm、深さが250nmのパターンを有する)の上に組成物を約0.05gのせ、その上に5cm×5cmの無アルカリガラス(厚み700μm)をのせ、Niモールドのパターンに組成物を充填し、窒素雰囲気下、Hg−Xeランプで10mW/cm
2(波長365nm)、100秒間露光して行う。
その後、得られた硬化物をNiモールドから離型し、無アルカリガラス上に凹凸パターンを有する硬化物を得る。得られた無アルカリガラス及び硬化物の波長450nmの透過率を分光光度計(紫外可視分光光度計、製品名:V−550、日本分光(株)製)で測定し、加熱前の透過率を得る。この際、分光光度計の光が、硬化物の凹凸パターンを有する側から入射するようにした。その後、得られた無アルカリガラス及び硬化物を260℃に設定したホットプレート(ホットプレート、製品名:HT−900、アズワン(株)製)上に5分置く。5分経過後にホットプレートから外し、10分かけ室温に冷却する。室温に冷却後、加熱後の無アルカリガラス及び硬化物の波長450nmの透過率を分光光度計で測定し、加熱後の透過率を得る。加熱前後の波長450nmの透過率の測定結果を表1〜3に示す。
【0070】
(耐光性試験:耐光性試験前後の透過率)
耐光性試験前後の透過率は、凹凸パターン付の硬化物を光照射前後の波長450nmの透過率を測定することで行う。
上記(耐熱性試験:加熱前後の透過率)で作製した硬化物に対し、下記のようにして耐光性試験を行い、光照射前後の透過率を測定する。得られた無アルカリガラス及び硬化物の波長450nmの透過率を分光光度計(紫外可視分光光度計、製品名:V−550、日本分光(株)製)で測定し、光照射前の透過率を得る。この際、分光光度計の光が、硬化物の凹凸パターンを有する側から入射するようにした。その後、得られた無アルカリガラス及び硬化物を耐光性試験機(製品名:SUSTEST CPS+、ATLAS社製)に入れ、下記の条件で60日間光照射をする。耐光性試験機の設定は、光学フィルター:Special window glass、Black Standard、温度:60℃、照度:キセノンランプにて765W/m
2(300−800nm)。光照射後の無アルカリガラス及び硬化物の波長450nmの透過率を分光光度計で測定し、光照射後の透過率を得る。耐光性試験前後の波長450nmの透過率の測定の結果を表4に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
表1〜表3に示されるように、酸化防止剤としてヒンダードアミン化合物及び分子量700以上のヒンダードフェノール化合物の少なくともいずれかを含む組成物をサンプル2〜11、13〜23、25〜27及び31は、耐熱性に優れ、パターン減少率を抑制できることがわかる。また、ヒンダードアミン化合物の重合性基の有無及びヒンダードフェノール化合物において、それぞれに好ましい含有量を有することも表よりわかる。ヒンダードアミン化合物及び分子量700以上のヒンダードフェノール化合物の併用したサンプル11及び31は、どちらか一方の酸化防止剤を含むサンプルよりも耐熱性に優れ、パターン減少率を抑制できることがわかる。
一方、酸化防止剤としてヒンダードアミン化合物及び分子量700以上のヒンダードフェノール化合物のいずれも含まないサンプル1、12、24及び28〜30は、パターン減少率が大きく耐熱性に劣ることが示される。
【0076】
表4に示されるように、酸化防止剤としてヒンダードアミン化合物を適量含む組成物をサンプル33〜37は、耐光性に優れ、パターン減少率を抑制できることがわかる。一方、酸化防止剤としてヒンダードアミン化合物を含まないサンプル32は、パターン減少率が大きく耐光性に劣ることが示される。また、ヒンダードアミン化合物の配合量が少ないサンプル33は、耐光性が十分でないことが示される。ヒンダードアミン化合物及び分子量700以上のヒンダードフェノール化合物の併用したサンプル37は、どちらか一方の酸化防止剤を含むサンプルより耐光性に優れ、パターン減少率を抑制できることがわかる。
以上のことから、ヒンダードアミン化合物及び/又は特定のヒンダードフェノール化合物は組成物に含有させてパターン形成をすると、得られる硬化物の耐熱性及び耐光性を向上させることがわかる。
なお、耐熱性試験及び耐光性試験ともサンプルのパターン高さ3μmでのパターン減少率の結果が良好なものは、サンプルのパターン高さ200nmでのパターン減少率の結果も同様に良好な傾向が見られた。