【実施例】
【0051】
すべての部及びパーセンテージは、他に指示がない限り重量による。
【0052】
試験方法
密度は、ASTM D792に従って測定する。結果は、1立方センチメートル当たりのグラム(g)、またはg/cm
3で報告される。
【0053】
メルトインデックス(I
2)は、ASTM D−1238(190℃;2.16kg)に従って測定される。結果は、グラム/10分で報告される。
【0054】
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238(230℃;2.16kg)に従って測定される。結果は、グラム/10分で報告される。
【0055】
多軸衝撃延性−脆性遷移温度は、ASTM D3763(本明細書ではM−DBTTとも呼ばれる)に従って測定される。低温延性のレベルは、6.7m/sの多軸衝撃試験における延性−脆性遷移温度によって定義され、ここで、25部のサンプルセットの40〜60%が延性モードで破損する。試験ディスクを射出成形し、次いで23℃/50%相対湿度で成形した後40時間エージングさせた。次いで部品は、周囲温度より低い温度で試験する場合、試験温度で冷凍庫に最低4時間置かれた。部品を10℃刻みで試験した。サンプルは、MTS材料試験システム(Model 319)で試験した。ラムは一定速度で駆動され、打金直径は0.5インチであり、環境チャンバは±2℃に制御された。
【0056】
ノッチ付きアイゾット衝撃延性−脆性遷移温度は、ASTM D256(本明細書ではN−DBTTとも呼ばれる)に従って測定される。射出成形の1〜16時間後にサンプルをノッチングした。23℃/50%相対湿度でノッチングした後、バーを40時間エージングさせた。次いで部品は、周囲温度より下で試験する場合、試験温度で冷凍庫に最低4時間置かれた。部品を10℃刻みで試験した。アイゾット試験装置には環境チャンバはなかった。個々のサンプルを冷凍庫から取り出し、試験した。延性−脆性遷移温度は、サンプルセット全体の平均アイゾット衝撃強さがノッチ内で4〜6ft lbs/inであった点と、サンプルセット全体の様々な破壊モードが混ざった場合と定義された。
【0057】
示差走査熱量測定(DSC)は、ポリマー(例えば、エチレン系(PE)ポリマー)の結晶化度を測定するために使用される。約5〜8mgのポリマーサンプルを秤量し、DSCパンに入れる。蓋は閉じた環境を確保するためにパンにクリンプされている。サンプルパンをDSCセルに入れ、約10℃/分の速度で、PEに対して180℃(ポリプロピレンまたは「PP」の場合は230℃)の温度まで加熱する。サンプルをこの温度で3分間保持する。その後、サンプルをPEに対して10℃/分の速度で−60℃(PPは−40℃)まで冷却し、その温度で3分間等温に保つ。次に、サンプルを完全に溶融するまで、10℃/分の速度で加熱する(第2の加熱)。パーセント結晶化度は、第2の熱曲線から決定された融解熱(H
f)をPEに対する理論融解熱292J/g(165J/g、PPについて)で割り、この量に100を掛けて計算される(例えば、%触媒=(H
f/292J/g)×100(PEについて))。
【0058】
他の記載がない限り、各ポリマーの融点(複数可)(T
m)は第2の熱曲線(ピークTm)から決定され、結晶化温度(T
c)は第1の冷却曲線(ピークTc)から決定される。DSCに関しては、線形ベースラインに対する最大熱フローレートでの温度が融点として使用される。線形ベースラインは、融解の開始点(ガラス転移温度より上)〜融解ピークの終点から構築される。例えば、温度を室温から200℃まで10℃/分で上昇させ、200℃で5分間維持し、10℃/分で0℃に低下させ、0℃で5分間維持してもよい。その後、10℃/分で0℃から200℃まで温度を上げ、この第2の熱サイクルからデータを取り出すことができる。
【0059】
高温液体クロマトグラフィー(HTLC):高温液体クロマトグラフィー実験方法機器はHTLC実験であり、これは公表された方法に従ってわずかな変更を加えて行われる(Lee,D.;Miller,M.D.;Meunier,D.M.;Lyons,J.W.;Bonner,J.M.;Pell,R.J.;Shan,C.L.P.;Huang,T.J.Chromatogr.A 2011,1218,7173)。2つのShimadzu(Columbia,MD,USA)LC−20ADポンプをそれぞれデカン及びトリクロロベンゼン(TCB)の供給に使用する。各ポンプは、10:1の固定フロースプリッターに接続される(Part #:620−PO20−HS,Analytical Scientific Instruments Inc.,CA,USA)。スプリッターは、製造業者によると、H
2O中0.1mL/分で1500psiの圧力降下を有する。両方のポンプの流量を0.115mL/分に設定する。分離後、マイナーフローは、デカン及びTCBの両方について0.01mL/分であり、収集された溶媒を30分超秤量して測定される。収集された溶離液の体積は、室温での溶媒の質量及び密度によって決定される。マイナーフローは、分離のためにHTLCカラムに送達される。メインフローは、溶媒貯蔵器に送り返される。50μLのミキサー(Shimadzu)をスプリッターの後に接続し、Shimadzuポンプから溶媒を混合する。次いで、混合溶媒をWaters(Milford,MA,USA)GPCV2000のオーブン内のインジェクターに送達する。Hypercarb(商標)カラム(2.1×100mm、5μm粒径)をインジェクターと10ポートVICIバルブ(Houston,TX,USA)の間に接続する。バルブには60μLのサンプルループが2つ装備されている。バルブは、第1次元(D1)HTLCカラムから第2次元(D2)SECカラムへの溶離液の連続的なサンプリングに使用される。Waters GPCV2000及びPLgel Rapid(商標)−Mカラム(10×100mm、5μm粒径)のポンプをD2サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)のVICIバルブに接続する。対称的な構成は、文献(Brun,Y.;Foster,P.J.Sep.Sci.2010,33,3501)に記載されているような接続のために使用される。デュアルアングル光散乱検出器(PD2040,Agilent,Santa Clara,CA,USA)及びIR5推測吸光度検出器を、SECカラムの後に接続して、濃度、組成及び分子量を測定する。
【0060】
HTLCのための分離:バイアルを160℃で2時間穏やかに振盪することにより、約30mgを8mLのデカンに溶解する。デカンは、ラジカルスカベンジャーとして400ppmのBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)を含有する。次いで、サンプルバイアルを注入用のGPCV2000のオートサンプラーに移す。オートサンプラー、インジェクター、HypercarbカラムとPLgelカラム、10ポートVICIバルブ、LSとIR5検出器の温度は、分離の間140℃に維持される。
【0061】
注入前の初期状態は以下の通りである。HTLCカラムのフローレートは0.01mL/分である。D1ハイパーカーブカラム中の溶媒組成は100%デカンである。SECカラムのフローレートは、室温で2.51mL/分である。D2 PLgelカラム中の溶媒組成は100%TCBである。D2 SECカラム中の溶媒組成は、分離中に変化しない。
【0062】
サンプル溶液の311μLアリコートをHTLCカラムに注入する。注入は、以下に説明する勾配を引き起こす。
0〜10分、100%デカン/0%TCB;
10〜651分の間、TCBは0%TCB〜80%TCBまで直線的に増加する。
注入はまた、EZChrom(商標)クロマトグラフィーデータシステム(Agilent)を使用して、IR5検出器(IR
測定及びIR
メチル)からの15°の角度(LS15)及び「測定」及び「メチル」信号での光散乱信号の収集を誘発する。検出器からのアナログ信号は、SS420Xアナログツーデジタル変換器を介してデジタル信号に変換される。収集頻度は10Hzである。注入により、10ポートVICIバルブのスイッチも誘発される。バルブのスイッチは、SS420X変換器からのリレー信号によって制御される。バルブは3分ごとに切り替わる。クロマトグラムは0〜651分で収集される。各クロマトグラムは、651/3=217 SECクロマトグラムからなる。
【0063】
勾配分離の後、0.2mLのTCB及び0.3mLのデカンを使用して、次の分離のためにHTLCカラムを洗浄及び再平衡化する。この工程のフローレートは0.2mL/分であり、ミキサーに接続されたShimadzu LC−20 ABポンプによって供給される。
【0064】
HTLCのデータ解析:651分の粗クロマトグラムをまず展開して217 SECクロマトグラムを得る。各クロマトグラムは、2D溶出量の単位で0〜7.53mLである。積分限界が設定され、SECクロマトグラムはスパイク除去、ベースライン補正、及び平滑化を受ける。このプロセスは、従来のSECにおける複数のSECクロマトグラムのバッチ分析と同様である。すべてのSECクロマトグラムの合計を検査して、ピークの左側(上限積分限度)及び右側(下限積分限度)の両方がゼロとしてベースラインにあることを確認する。そうでなければ、積分限度を調整してプロセスを繰り返す。
【0065】
1〜217の各SECクロマトグラムnは、HTLCクロマトグラムでX−Yペアを生成し、ここで、nは分数である。
X
n=溶出量(mL)=D1フローレート×n×t
スイッチ
式中、t
スイッチ=3分は、10ポートVICIバルブのスイッチ時間である。
【0066】
【数1】
【0067】
上記の式は、例としてIR
測定信号を使用する。得られたHTLCクロマトグラムは、分離されたポリマー成分の濃度を溶出量の関数として示す。正規化されたIR
測定HTLCクロマトグラムは、溶出量に対する正規化された重量分率を意味するdW/dVで表されるYである。
【0068】
X−Yデータ対は、IR
メチル及びLS15信号からも得られる。IR
メチル/IR
測定の比は、較正後の組成を計算するために使用される。LS15/IR
測定の比は、較正後の重量平均分子量(M
w)を計算するために使用される。
【0069】
較正は、Lee et al.,の同書の手順に従う。プロピレン含有量が20.0、28.0、50.0、86.6、92.0及び95.8重量%Pの高密度ポリエチレン(HDPE)、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、及びエチレン−プロピレンコポリマーを、IR
メチル/IR
測定較正の基準物質として使用する。標準物質の組成はNMRによって決定される。標準はIR5検出器を備えたSECによって実行される。得られた標準物質のIR
メチル/IR
測定比を組成物の関数としてプロットし、検量線を得る。
【0070】
HDPE基準は、ルーチンLS15較正に使用される。基準のM
wは、LS及びRI(屈折率)検出器を用いてGPCにより104.2kg/molとして予め決定される。GPCは、GPCの標準物質としてNBS 1475を使用する。この規格は、NISTにより52.0kg/molの認証値を有する。7〜10mgの標準物質を8mLデカンに160℃で溶解させる。溶液を100%TCB中のHTLCカラムに注入する。ポリマーを0.01mL/分で一定の100%TCB下で溶出する。したがって、ポリマーのピークは、HTLCカラム空隙体積で現れる。較正定数Ωは、合計LS15信号(A
LS15)と全IR
測定信号(A
IR,測定)から求められる。
【0071】
【数2】
【0072】
次いで、実験的なLS15/IR
測定比は、M
wを介してΩに変換される。
【0073】
原子間力顕微鏡法(AFM)は、形態決定のためのものである。射出成形されたASTM伸張バーのコアからの断片は、サンプルから試験片を打ち抜き、保持器に取り付けることによって調製される。サンプリングは、フローの方向を見下ろして、部品のコアで行われる。台形は、〜−120℃でクライオミルに面して粉砕される。次いで、サンプルを、−120℃において凍結切片法で研磨する。2つのAFM法が利用され、1つの試験片は、位相検出を伴うタッピングモードのBruker dimension Icon AFMでスキャンされる。PointProbe NCLプローブ(〜40N/m)は、Ao 1〜5.5Vと係合設定値0.85で使用される。解像度のラインは1024で、スキャンサイズはゴムのドメインサイズによって異なる。2回目のAFM実験では、Bruker Dimension icon上でPeakforceタッピング(PFQNM)モードが使用される。Bruker Scanasyst−エアプローブ(〜3N/m)が使用される。典型的な走査パラメータは、0.5Vピーク力設定値、0.5nmのノイズ閾値、300nmに設定されたピーク力振幅、4μmのZ−範囲、及び0.15Vのピーク力設定値を含む。解像度のラインは1024である。両方の方法のためのスキャンソフトウェアは、バージョンが変化するNanoscopeである。画像の後処理及びパーティクル分析は、様々なバージョンのImage Metrology SPIPソフトウェアで生成される。0次のLMSでの2次の平均面の当てはめと、0平面による当てはめに設定された最小が使用される。
【0074】
キシレン可溶分分別分析:は、2時間の還流条件下で200mlのo−キシレンに溶解された秤量した樹脂を使用して行われる。次いで、溶液を温度制御された水浴中で25℃に冷却して、キシレン不溶性(XI)画分を結晶化させる。溶液が冷却され、不溶性画分が溶液から沈殿すると、キシレン不溶性画分からのキシレン可溶分(XS)画分の分離は、濾紙による濾過によって行われる。残りのo−キシレン溶液を濾液から蒸発させる。XS画分とXI画分の両方を真空オーブンで100℃で60分間乾燥させ、次いで秤量する。
【0075】
13C核磁気共鳴(NMR)は以下を含む。
【0076】
サンプルの調製:サンプルは、クロムアセチルアセトネート(緩和剤)中の0.025Mであるテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物約2.7gを、10mmのNMRチューブ中の0.21gのサンプルに添加することによって調製される。サンプルは、チューブ及びその内容物を150℃に加熱することによって溶解され、均質化される。
【0077】
データ取得パラメータ:データは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker 400MHz分光器を使用して収集される。データは、データファイル当たり320トランジェント、7.3秒のパルス繰り返し遅延(6秒の遅延+1.3秒の捕そく時間)、90度のフリップ角度、及び125℃のサンプル温度での逆ゲートデカップリングを使用して取得される。すべての測定はロックされたモードの回転していないサンプルで行われる。加熱した(130℃)NMRサンプルチェンジャーに挿入する直前にサンプルを均質化し、データ取得前に15分間プローブ中で熱平衡させる。
【0078】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC):ゲル透過クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220計器からなる。カラム及びカルーセル区画は、140℃で操作される。3つのPolymer Laboratories 10−ミクロン Mixed−Bカラムが使用される。溶媒は1,2,4トリクロロベンゼンである。サンプルは、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中に0.1グラムのポリマーの濃度で調製される。サンプルは、160℃で2時間軽く撹拌することによって調製される。使用した注入量は100マイクロリットルであり、フローレートは1.0ml/分である。
【0079】
GPCカラムセットの較正は、個々の分子量間の少なくとも10年の分離を有する6つ「カクテル」混合物中に置かれた580〜8,400,000の分子量を有する21の狭い分子量分布ポリスチレン標準物質で行われる。標準物質は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入される。ポリスチレン標準物質は、分子量が1,000,000以上の場合は50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、1,000,000未満の分子量の場合は50ミリリットルの溶媒中に0.05グラムで調製される。ポリスチレン標準物質を80℃で穏やかに攪拌しながら30分間溶解する。狭い標準物質混合物を最初に流し、分解を最小限にするために最も高い分子量成分を減少させる順序で行う。ポリスチレン標準物質ピーク分子量は、以下の式を用いてポリエチレン分子量に変換される(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載される):M
ポリプロピレン=0.645(M
ポリスチレン)。
【0080】
Viscotek TriSECソフトウェアバージョン3.0を使用して、ポリプロピレン等価分子量計算を行う。
【0081】
ブロック複合材料の調製
ブロック複合材料1(BC−1)及びブロック複合材料2(BC−2)は、2つの反応器に同時に供給される触媒を用いて製造される。BC−1及びBC−2の各々は、(i)エチレン−プロピレンポリマー、(ii)アイソタクチックプロピレンポリマー、ならびに(iii)エチレン−プロピレンポリマーと同じ組成を有するエチレン−プロピレンソフトブロック及びアイソタクチックプロピレンポリマーと同じ組成を有するアイソタクチックポリプロピレンハードブロックを含むブロックコポリマーを含む。BC−1及びBC−2のブロックコポリマーに関しては、エチレン−プロピレンソフトブロックが第1の反応器で生成され、アイソタクチックプロピレンハードブロックが第2の反応器で生成される。BC−1のブロックコポリマーにおけるソフトブロックとハードブロックとの間の分割は、約60/40である。BC−2のブロックコポリマーにおけるソフトブロックとハードブロックとの間の分割は、約50/50である。
【0082】
BC−1及びBC−2は、直列に接続された2つの連続撹拌タンク反応器(CSTR)を使用し、両方の反応器に同時に供給される触媒を使用して調製される。ソフトブロックは第1の反応器で生成され、ハードブロックは第2の反応器で生成される。各反応器は液圧的に満ちており、定常状態の条件で動作するように設定されている。特に、BC−1及びBC−2は、モノマー、触媒、共触媒−1、共触媒−2及びSA(鎖シャトリング剤として)を以下の表1に概要を示すプロセス条件に従って流動させることによって調製される。触媒、共触媒−1、共触媒−2、及びSA(シャトリング剤)−1を反応器に別々に供給するために、2つのポート注入器が使用される。BC−1及びBC−2の調製のために、触媒は(([rel−2’,2’’’−[(1R,2R)−1,2−シクロヘキサンジイルビス(メチレンオキシ−κO)]ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)−5−メチル[1,1’−ビフェニル]−2−オラト−κO]](2−)]ジメチル−ハフニウム)である。共触媒−1は、長鎖トリアルキルアミン(Akzo−Nobel、Inc.から入手可能なArmeen(商標)M2HT)が使用される反応によって調製されたテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのメチルジ(C
14−18アルキル)アンモニウム塩の混合物である。共触媒−2は、ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマン)−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C
14−18アルキルジメチルアンモニウム塩であり、これは米国特許第6,395,671号の実施例16に従って調製される。SAは、Akzo Nobel Chemicalsからの1〜3mol%の変性メチルアルモキサン(MMAO−3A)を含有し得るジエチル亜鉛(DEZ)の溶液である。反応器を出る際に、水及び/または添加剤をポリマー溶液に注入し得る。
【0083】
ブロック複合材料1及びブロック複合材料2を製造するためのプロセス条件は以下の通りである。
【0084】
【表1】
【0085】
得られたBC−1及びBC−2は、エチレンプロピレン(EP)ポリマー、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)ポリマー及びEP−iPPブロックコポリマーを含む。
【0086】
BC−1及びBC−2の特性を以下の表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】
ブロック複合材料1のブロック複合材料指数(BCI)は0.470である。ブロック複合材料2のBCIは0.444である。BCIという用語は、本明細書では、ブロックコポリマーの重量百分率を100%で割ったもの(すなわち、重量分率)に等しいと定義される。ブロック複合材料指数の値は、0〜1.0の範囲であり得るが、1.0はブロックコポリマーの100%に等しく、ゼロは従来のブレンドまたはランダムコポリマーのような材料に対するものである。言い換えれば、不溶性画分について、BCIは1.000であり、可溶性画分についてはBCIにはゼロの値が割り当てられる。
【0089】
特に、BCIは、不溶性画分が、ポリマーが単にiPPホモポリマーとEPコポリマーとのブレンドである場合には存在しないであろうかなりの量のエチレンを含有することを示すことに基づく。この「余分なエチレン」を説明するために、キシレン不溶性及び可溶性画分の量ならびに各画分中に存在するエチレンの重量%からブロック複合材料指数を推定するために質量バランス計算が行われ得る。この「余分なエチレン」を説明するために、キシレン不溶性及び可溶性画分の量ならびに各画分中に存在するエチレンの重量%からブロック複合材料指数を推定するために質量バランス計算が行われ得る。
【0090】
式1による各画分からのエチレンの重量%の合計は、(ポリマー中の)全重量%のエチレンをもたらす。この質量バランス式は、二元ブレンド中の各成分の量を定量化するために使用され得、または3元もしくはn成分ブレンドに拡張され得る。
【0091】
【数3】
【0092】
式2〜4を適用して、不溶性画分中に存在するソフトブロック(余分なエチレンの供給源を提供する)の量を計算する。式2の左辺の不溶性画分の重量%C
2を代入することにより、式3及び式4を用いてiPPハード重量%及びEPソフト重量%が計算され得る。EPソフト中のエチレンの重量%は、キシレン可溶性画分中のエチレンの重量%に等しくなるように設定されることに留意されたい。iPPブロック中のエチレンの重量%はゼロに設定されるか、またはそのDSC融点もしくは他の組成測定値から分かっている場合、その値をその場所に入れることができる。
【0093】
【数4】
【0094】
【数5】
【0095】
【数6】
【0096】
不溶性画分中に存在する「追加の」エチレンを考慮した後、不溶性画分中に存在するEPコポリマーを有する唯一の方法では、EPポリマー鎖はiPPポリマーブロックに連結されなければならない(あるいは、そうでなければキシレン可溶性画分に抽出される)。したがって、iPPブロックが結晶化すると、EPブロックの可溶化の可能性が低下し、及び/またはEPブロックが可溶化するのを防ぐことができる。
【0097】
特に、本明細書で使用されるブロック複合材料1及びブロック複合材料2について、BCI値は、以下の表3に示すように計算される。
【0098】
【表3】
【0099】
BCIを推定するには、各ブロックの相対量を考慮する必要がある。これを近似するために、EPソフトとiPPハードとの間の比が使用される。EPソフトポリマー対iPPハードポリマーの比は、ポリマー中で測定した全エチレンの質量バランスから式2を用いて計算され得る。あるいはまた、重合中のモノマーとコモノマー消費量の質量バランスから推定することもできる。EPソフトの重量分率とEPソフトの重量分率は、式2を使用して計算され、iPPハードにはエチレンが含まれていないと仮定している。EPソフトのエチレンの重量%は、キシレン可溶性画分中に存在するエチレンの量である。
【0100】
例えば、iPP−EPポリマーが全体的に47重量%のC
2を含み、67重量%のC
2を含むEPソフトポリマー及びエチレンを含有しないiPPホモポリマーを製造する条件下で製造される場合、EPソフト及びPPハードは、それぞれ70重量%及び30重量%である。EPのパーセントが70重量%であり、iPPが30重量%である場合、EPDM:iPPブロックの相対比は2.33:1として表され得る。したがって、当業者がポリマーのキシレン抽出を実施し、40重量%の不溶性及び60重量%の可溶性を収集する場合、これは予想外の結果であり、これはブロックコポリマーの画分が存在したという結論を導くであろう。不溶性画分のエチレン含有量がその後25重量%のC
2であると測定された場合、式2〜式4は、この追加のエチレンを説明するために解かれ得、37.3重量%のEPソフトポリマーと、62.7重量%のiPPハードポリマーが不溶性画分に存在することになる。
【0101】
全ポリマー組成物の推定ならびにハード及びソフトブロックの組成を評価するために使用される分析測定値の誤差に応じて、ブロック複合材料指数の計算値において5〜10%の相対誤差があり得る。そのような推定には、DSC融点、NMR分析、またはプロセス条件から測定されるiPPハードブロック中の重量%C2;キシレン可溶物の組成から、またはNMRにより、またはソフトブロックのDSC融点(検出された場合)により推定されるソフトブロック中の平均重量%C2が含まれる。しかし、総合的に、ブロック複合材料指数計算は、不溶性画分中に存在する「追加の」エチレンの予期しない量を合理的に説明し、不溶性画分中に存在するEPコポリマーを有する唯一の方法では、EPDMポリマー鎖はiPPポリマーブロックに連結されなければならない(あるいは、そうでなければキシレン可溶性画分に抽出される)。
【0102】
BC−1及びBC−2は、後述するように、改質剤を調製するためにさらにブレンドされる。
【0103】
改質剤の調製
改質剤は、BC−1またはBC−2と高メルトフローポリオレフィンコポリマーとのブレンドである。
【0104】
特に、主に使用される材料は以下の通りである。
【0105】
[表]
【0106】
第1の改質剤は、第1の改質剤の総重量に基づいて20重量%のブロック複合材料1及び80重量%のポリオレフィンエラストマー1を用いて調製される。第2の改質剤は、第2の改質剤の総重量に基づいて20重量%のブロック複合材料1及び80重量%のポリオレフィンエラストマー2を用いて調製される。第3の改質剤は、第3の改質剤の総重量に基づいて10重量%のブロック複合材料2及び90重量%のポリオレフィンエラストマー1を用いて調製される。
【0107】
第1の比較改質剤は、第1の比較改質剤の総重量に基づいて20重量%のブロック複合材料1及び80重量%のポリオレフィンエラストマーAを用いて調製される。第2の比較改質剤は、第2の比較改質剤の総重量に基づいて20重量%のブロック複合材料1及び80重量%のポリオレフィンエラストマーBを用いて調製される。
【0108】
特に、第1、第2及び第3の改質剤ならびに第1及び第2の比較改質剤は、30mmのZSK Werner Pleiderer二軸スクリュー押出機で250RPMのスクリュー速度で溶融ブレンドすることによって調製される。成分は、個々の損失/重量フィーダーを使用して押出機に供給される。抗酸化添加剤は、配合の前にエラストマーとタンブルブレンドされる。配合押出機の供給速度は、25lbs/hrであり、溶融温度範囲は200℃〜220℃(430°F)である。さらに、温度プロファイルは以下の通りである。
【0109】
[表]
【0110】
実施例及び比較例の調製
実施例については、ブレンド組成物は、表4及び5の配合に従って形成される。次いで、それぞれのブレンド組成物を使用して調製した試験片を、多軸衝撃延性脆性遷移温度(以下、M−DBTTと称する)及び/またはノッチ付きアイゾット延性−脆性遷移温度(以下、N−DBTTと称する)について評価する。
【0111】
特に、主に使用される材料は以下の通りである。
【0112】
[表]
【0113】
実施例1及び2ならびに比較例A〜Fは、TPOブレンドが比較的高いMFRのポリプロピレンホモポリマーを使用する以下の表4の配合に従って調製される。
【0114】
【表4】
【0115】
実施例1を参照すると、比較例Aのブロック複合材料1を含まないポリオレフィンエラストマー1の包含と比較して、ブロック複合材料1及びポリオレフィンエラストマー1を含む第1の改質剤の包含は、十分に高いブレンドMFR(及び低いMFR比)が維持され、M−DBTTを減少させることが分かる。実施例2を参照すると、比較例Bのブロック複合材料1を含まないポリオレフィンエラストマー2の包含と比較して、ブロック複合材料1及びポリオレフィンエラストマー2を含む第2の改質剤の包含は、十分に高いブレンドMFR(及び低いMFR比)が維持され、M−DBTTを減少させることが分かる。比較例C、D、E及びFを参照すると、ブロック複合材料1の有無にかかわらず比較的低いメルトフローレートエラストマー(異なる密度で)を使用すると、ブレンドMFRは十分に高くなく、MFR比は非常に高いことが分かる。
【0116】
また、
図1は、実施例1の形態を示す原子間力顕微鏡画像を示し、ここでは、比較例Aの原子間力顕微鏡画像を示す
図2と比べて、非常に低いマトリックス粘度を有する熱可塑性ポリオレフィン化合物にブロック複合材料1を添加すると著しく小さいゴムドメインサイズ及び改善された分散が達成される。また、
図3は、実施例2の原子間力顕微鏡画像を示し、
図4は、比較例Bの原子間力顕微鏡画像を示す。また、
図5は、実施例5の原子間力顕微鏡画像を示し、
図6は、比較例Iの原子間力顕微鏡画像を示す。
【0117】
実施例3〜5及び比較例G〜Iは、TPOブレンドが比較的より高いMFRのポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレン衝撃コポリマーを使用する以下の表5の配合に従って調製される。
【0118】
【表5】
【0119】
実施例3を参照すると、比較例Gのブロック複合材料1を含まないポリオレフィンエラストマー1の包含と比較して、ブロック複合材料1及びポリオレフィンエラストマー1を含む第1の改質剤の包含は、十分に高いブレンドMFR(及び低いMFR比)が維持され、M−DBTT及びN−DBTTの両方を減少させることが分かる。実施例4を参照すると、比較例Hのブロック複合材料1を含まないポリオレフィンエラストマー2の包含と比較して、ブロック複合材料1及びポリオレフィンエラストマー2を含む第2の改質剤の包含は、十分に高いブレンドMFR(及び低いMFR比)が維持され、M−DBTT及びN−DBTTの両方を減少させることが分かる。実施例5を参照すると、比較例Iのブロック複合材料2を含まないポリオレフィンエラストマー1の包含と比較して、ブロック複合材料2及びポリオレフィンエラストマー1を含む第3の改質剤の包含は、十分に高いブレンドMFR(及び低いMFR比)が維持され、M−DBTTを減少させることが分かる。
【0120】
表4及び表5を参照すると、プロピレンベースポリマーの粘度が低下し、プロピレンベースポリマーのメルトフローレートが増加するにつれて、より低いDBTTを達成する能力に対して、ブロック複合材料の存在がより重要になる。
【0121】
実施例1〜5及び比較例A〜Iの試験片は、第1の溶融ブレンド及びその後の射出成形によって調製される。特に、改質剤、ポリプロピレンホモポリマー、及びタルクは、30mmのZSK Werner Pleiderer二軸スクリュー押出機で350RPMの速度で溶融ブレンドすることによって調製される。成分は、ペレット及び粉末のための個々の損失/重量供給機を使用して押出機供給ホッパーに供給される。抗酸化剤及び潤滑添加剤は、配合の前にタルクとタンブルブレンドされる。配合押出機の供給速度は、40〜50lbs/時間であり、溶融温度範囲は240℃〜270℃(430°F)である。さらに、温度プロファイルは以下の通りである。
【0122】
[表]
【0123】
さらに、射出成形された試験片は、Toyo110トン電気射出成形機で製造される。すべての試行において90トンのクランプトン数が使用されている。充填からパックへの移送はスクリュー位置で行われる。成形はASTM 3641に従って行われる。アイゾット試験片の場合、金型は2キャビティASTMタイプ1伸張バーであり、アイゾット試験片はN−DBTT測定のために切断される。次に、得られた部品をジップロックバッグに入れ、ノッチングする前に73°F/50%湿度室内に調整室に入れる。ノッチングは、成形後1〜16時間以内に起こる。
【0124】
M−DBTTは、厚さ3.175mmの直径4インチの射出成形ディスク上で試験される。直径4’’のディスク金型はシングルキャビティ金型である。冷却水と外部のMatsui金型コントローラを使用して、金型を32℃に加熱する。部品は1つのタブゲートを用いて塗りつぶされる。N−DBTT試験片の射出成形条件は以下の通りである。
【0125】
【表6】
【0126】
M−DBTT試験片の射出成形条件は以下の通りである。
【0127】
【表7】