特許第6779232号(P6779232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6779232ウイルス感染の治療又は予防のための新規オキサチオランカルボン酸と誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779232
(24)【登録日】2020年10月15日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】ウイルス感染の治療又は予防のための新規オキサチオランカルボン酸と誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 513/04 20060101AFI20201026BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20201026BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20201026BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20201026BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20201026BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   C07D513/04 351
   C07D513/04CSP
   A61P31/20
   A61P43/00 111
   A61P1/16
   A61K31/519
   A61K31/5377
【請求項の数】28
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2017-558025(P2017-558025)
(86)(22)【出願日】2016年5月4日
(65)【公表番号】特表2018-515503(P2018-515503A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】EP2016059949
(87)【国際公開番号】WO2016180691
(87)【国際公開日】20161117
【審査請求日】2019年4月26日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2015/078578
(32)【優先日】2015年5月8日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100203769
【弁理士】
【氏名又は名称】大沢 勇久
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ハイシア
(72)【発明者】
【氏名】ウー,グオローン
(72)【発明者】
【氏名】ユイン,ホーンイーン
【審査官】 池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/055553(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/016235(WO,A1)
【文献】 特開2011−079840(JP,A)
【文献】 特開2013−079250(JP,A)
【文献】 国際公開第03/020222(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中:
は、OHであり;
は、Hであり;
は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−又は−C(C1−6アルキル)−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はヘテロシクリルアミノである]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項2】
がOHであり;
は、Hであり;
は、H、メチル、エチル、ブチル、アリル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−又は−C(CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の式(Ia):
【化2】
[式中:
は、OHであり;
は、Hであり;
は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−又は−C(C1−6アルキル)−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はヘテロシクリルアミノである]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項4】
がOHであり;
は、Hであり;
は、H、メチル、エチル、ブチル、アリル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−又は−C(CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、請求項3に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項5】
が、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項6】
が、メチル、エチル、シクロプロピル、又はアリルである、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項7】
Wが−CH−である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項8】
がOHであり;
は、Hであり;
は、C1−6アルキル又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はモルホリニルである、請求項1〜請求項3、請求項5、および請求項7のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項9】
がOHであり;
は、Hであり;
は、メチル、エチル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項10】
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
5−アミノ−3−[(4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン;
5−アミノ−3−[(2S,4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシペンチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシブタ−3−エニル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(S)−シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(S)−シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−2−メチル−プロパン酸より選択される、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項11】
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
5−アミノ−3−[(4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン;
5−アミノ−3−[(2S,4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(S)−シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸より選択される、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項12】
式(II):
【化3】
[式中:
は、H、C1−6アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、又はC1−6アルキルフェニルカルボニルであり;
は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−又は−C(C1−6アルキル)−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はヘテロシクリルアミノである]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項13】
が、H、アセチル、フェニルカルボニル、又はメチルフェニルカルボニルであり;
は、H、メチル、エチル、ブチル、アリル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−又は−C(CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、請求項12に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の式(IIa):
【化4】
[式中:
は、H、C1−6アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、又はC1−6アルキルフェニルカルボニルであり;
は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−又は−C(C1−6アルキル)−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はヘテロシクリルアミノである]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項15】
が、H、アセチル、フェニルカルボニル、又はメチルフェニルカルボニルであり;
は、H、メチル、エチル、ブチル、アリル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−又は−C(CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、請求項14に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項16】
がフェニルカルボニルである、請求項12〜請求項15のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項17】
が、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルである、請求項12、請求項14、および請求項16のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項18】
が、メチル、エチル、シクロプロピル、又はアリルである、請求項12〜請求項17のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項19】
Wが−CH−である、請求項12〜請求項18のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項20】
がフェニルカルボニルであり;
は、C1−6アルキル又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はモルホリニルである、請求項12、請求項14、請求項16、請求項17、および請求項19のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項21】
がフェニルカルボニルであり;
は、メチル、エチル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、請求項12〜請求項20のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項22】
安息香酸[(1S)−1−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2−オキソ−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル]である、請求項12〜請求項21のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマー。
【請求項23】
以下の工程(a)〜工程(h):
(a)式(XI):
【化5】
[式中、Rは、H又はRである]の化合物の塩基との反応;
(b)式(XII):
【化6】
[式中、Rは、H又はRである]の化合物の塩基との反応;
(c)式(XIII):
【化7】
[式中、Rは、H又はRである]の化合物の、カップリング試薬の存在下でのRNHとの反応;
(d)式(P7):
【化8】
[式中、Rは、H又はRであり;Rは、R又はRである]の化合物の塩基との反応;
(e)式(XXVI):
【化9】
[式中、Rは、H又はRであり;Rは、R又はRである]の化合物の塩基との反応;
(f)式(XXVII):
【化10】
[式中、Rは、H又はRであり;Rは、R又はRである]の化合物の塩基との反応;
(g)式(XXVIII):
【化11】
[式中、Rは、H又はRであり;Rは、R又はRである]の化合物の、カップリング試薬の存在下でのRNHとの反応;
(h)式(XXV):
【化12】
[式中、Rは、R又はRである]の化合物の、シリルエーテル化剤及びルイス酸の存在下での化合物Xとの反応;
【化13】

[又は、式中、R、R、R、R、R、及びRは、請求項1〜請求項9、請求項12〜請求項22のいずれか1項に定義される通りであり;RとRは、HとC1−6アルキルより独立して選択されるか又は、それらが付く窒素と一緒にヘテロシクリルアミノを形成する]
のいずれかの方法を含んでなる、請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物の製造のための方法。
【請求項24】
請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物と治療不活性担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項25】
請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物の、B型肝炎ウイルス感染の治療又は予防用医薬品の製造への使用。
【請求項26】
請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物を含む、TLR7アゴニストとしての使用のための医薬組成物。
【請求項27】
請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物を含む、インターフェロン−αの産生を誘導するための使用のための医薬組成物。
【請求項28】
B型肝炎ウイルス感染の治療又は予防のための医薬組成物であって、請求項1〜請求項22のいずれか1項に定義される化合物の治療有効量を含む、前記医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Toll様受容体アゴニズム活性を有する、新規オキサチオランカルボン酸とそれらの対応する誘導体、及びそれらのプロドラッグ、並びに、それらの製造法、それらを含有する医薬組成物、並びに医薬品としての潜在的な使用に関する。
【0002】
本発明は、式(I)及び(Ia):
【0003】
【化1】
【0004】
の化合物とそれらのプロドラッグである、式(II)及び(IIa):
【0005】
【化2】
【0006】
の化合物[式中、R〜R、W、及びAは、下記に記載される]、又はそれらの医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーに関する。
【背景技術】
【0007】
Toll様受容体(TLR)は、広範囲の保存された病原体関連分子パターン(PAMP)を検出する。それらは、侵入病原体を感知することと後続の自然免疫応答の開始に重要な役割を担う。ヒトでは、TLRファミリーに10種のメンバーが知られていて、それらは、細胞外ロイシンリッチドメインと、保存性Toll/インターロイキン(IL)−1受容体(TIR)ドメインを含有する細胞質テールを特徴とするI型膜貫通タンパク質である。このファミリーでは、TLR3、TLR7、TLR8、及びTLR9がエンドソーム内に位置している。TLR7は、特定の低分子リガンド(即ち、TLR7アゴニスト)又はそのネイティブリガンド(即ち、一本鎖RNA、ssRNA)へ結合することによって活性化され得る。ssRNAのTLR7への結合に続いて、この受容体は、その二量体型での構造変化を受けて、続いて、骨髄分化一次応答遺伝子88(MyD88)が含まれる、アダプタータンパク質をその細胞質ドメインで動員すると考えられている。MyD88経路を介した受容体シグナル伝達カスケードの始動に続いて、インターフェロン調節因子7(IRF−7)及び核内因子κB(NF−κB)のような細胞質転写因子が活性化される。次いで、これらの転写因子は、核内へ移行して、様々な遺伝子、例えば、IFN−α遺伝子と他の抗ウイルス性サイトカイン遺伝子の転写を開始させる。TLR7は、形質細胞様細胞上で、そしてまたB細胞上で主に発現される。免疫細胞の応答変化が慢性ウイルス感染の間の自然免疫応答の低下へ寄与する場合がある。故に、アゴニスト誘発性のTLR7の活性化は、慢性ウイルス感染症の治療への新規アプローチとなる可能性がある(D. J Connolly and L. AJ O’Neill, Current Opinion in Pharmacology 2012, 12:510-518, P. A. Roethle et al, J. Med. Chem. 2013, 56, 7324-7333)。
【0008】
慢性HBV感染への現行の療法は、従来型の抗ウイルスヌクレオシ(チ)ド類似体とより最近のペグ化IFN−α(PEG−IFN−α)という、2種の異なるタイプの薬物に基づく。経口ヌクレオシ(チ)ド類似体は、HBV複製を抑制することによって作用する。これは、終生の治療コースであって、その間には、薬剤耐性がしばしば生じる。代替の選択肢として、一部の慢性感染HBV患者を一定の治療期間内で治療するのに、ペグ化IFN−α(PEG−IFN−α)が使用されてきた。これにより、少なくともごく数パーセントのHBV患者ではセロコンバージョンが達成されたが、その副作用により、それはほとんど忍容し得ない。注目すべきことに、HBsAgセロコンバージョンとして定義される機能的治癒は、現行のいずれの療法でもごく稀である。故に、HBV患者を機能的治癒に向けて治療するための新世代の治療オプションが喫緊に求められている。経口TLR7アゴニストでの治療は、より大きな効力をより良好な忍容性で提供する有望な解決法の代表となる。ペグ化IFN−α(PEG−IFN−α)は、慢性HBVを治療するのに現在使用されて、抗ウイルス性ヌクレオシ(チ)ド類似体を用いた潜在的に終生の治療法への代替法である。慢性HBV患者の亜集合では、PEG−IFN−α療法が一定期間の療法の後にウイルスの持続的な免疫学的制御を誘導する可能性がある。しかしながら、インターフェロン療法でセロコンバージョンを達成するHBV患者の百分率は低く(HBeAg陽性患者で27%まで)、その治療は、典型的には、ほとんど忍容し得ない。さらに、PEG−IFN−αとヌクレオシ(チ)ド治療のいずれでも、機能的治癒(HBsAg消失とセロコンバージョンとして定義される)は、ごく稀である。これらの限界に鑑みて、慢性HBVを治療してその機能的治癒を引き起こすための改善された治療オプションが喫緊に求められている。経口の低分子TLR7アゴニストでの治療は、より優れた有効性及び忍容性を提供する潜在可能性がある、有望なアプローチである(T. Asselah et al, Clin Liver Dis 2007, 11, 839-849)
事実、いくつかの同定されたTLR7アゴニストが治療目的のために考慮されてきた。これまでのところ、イミキモド(Imiquimod)(ALDARATM)は、ヒト乳頭腫ウイルスによる皮膚病変を治療するための局所使用に米国FDAが承認した、TLR7アゴニスト薬である。TLR7/8のデュアルアゴニストであるレジキモド(resiquimod)(R−848)とTLR7アゴニストの852Aについては、ヒト性器ヘルペスと化学療法抵抗性転移性メラノーマを治療することについてそれぞれ評価されてきた。ANA773は、慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染と慢性B型肝炎ウイルス感染のある患者の治療用に開発された、経口プロドラッグTLR7アゴニストである。GS−9620は、経口で利用可能なTLR7アゴニストである。第Ib相試験では、慢性B型肝炎患者において、GS−9620での治療が安全で十分に忍容されて、用量依存的なISG15 mRNA誘導をもたらすことが実証された(E. J. Gane et al, Annu Meet Am Assoc Study Liver Dis (November 1-5, Washington, D.C.) 2013, Abst 946)。故に、より多くの治療解決法を提供するか又は既存の部分的に有効な治療法を置き替えるための新たなHBV治療法として、強力で安全なTLR7アゴニストを開発することへの高い未充足の臨床ニーズが存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、Toll様受容体アゴニズム活性を有する、一連の新規3位置換5−アミノ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン化合物とそれらのプロドラッグを提供する。本発明はまた、TLR7受容体のようなToll様受容体を活性化することによってSEAPレベルの増加を誘導するこのような化合物の生物活性、ヒト肝細胞の存在下でのプロドラッグの親化合物への代謝的変換、並びにそのような化合物と、これらの化合物とそれらのプロドラッグを含んでなるそれらの医薬組成物の、HBV又はHCVのような感染性疾患を治療又は予防するための療法的又は予防的な使用を提供する。本発明はまた、優れた活性のある化合物を提供する。
【0010】
本発明は、式(I)及び(Ia):
【0011】
【化3】
【0012】
[式中:
は、OHであり;
は、Hであり;
は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−又は−C(C1−6アルキル)−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はヘテロシクリルアミノである]の新規化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーに関する。
【0013】
本発明はまた、式(II)及び(IIa):
【0014】
【化4】
【0015】
[式中、
は、H、C1−6アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、又はC1−6アルキルフェニルカルボニルであり;
は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−又は−C(C1−6アルキル)−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はヘテロシクリルアミノである]のプロドラッグ、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーに関する。
【0016】
本発明はまた、それらの製造、本発明に準拠した化合物に基づく医薬品とそれらの生産、並びに式(I)又は(Ia)の化合物又はそれらのプロドラッグ、式(II)又は(IIa)の、TLR7アゴニストとしての使用に関する。従って、式(I)及び(Ia)の化合物又は式(II)及び(IIa)のそれらのプロドラッグは、Toll様受容体アゴニズムを用いた、HBV及び/又はHCV感染の治療又は予防に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
他に定義しなければ、本明細書に使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。さらに、以下の諸定義について説明するのは、本発明について記載するために使用される様々な用語の意味及び範囲を明示して定義するためである。
【0018】
諸定義
本明細書に使用されるように、「C1−6アルキル」という用語は、1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を含有する、飽和した直鎖又は分岐鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、等を意味する。特別な「C1−6アルキル」基は、メチル、エチル、及びn−プロピルである。
【0019】
「ヘテロシクリル」という用語は、N、O、及びSより選択される1〜5個の環ヘテロ原子を含んでなり、残る環原子が炭素である、3〜10個の環原子の一価で飽和又は部分不飽和の単環式又は二環式の環系を意味する。特別な態様において、ヘテロシクリルは、N、O、及びSより選択される1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含んでなり、残る環原子が炭素である、4〜7個の環原子の一価で飽和した単環式の環系である。単環式飽和ヘテロシクリルの例は、アジリジニル、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキソチオモルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル、又はオキサゼパニルである。二環式の飽和ヘテロシクリルの例は、アザビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、オキサアザビシクロ[3.2.1]オクチル、アザビシクロ[3.3.1]ノニル、オキサアザビシクロ[3.3.1]ノニル、又はチアアザビシクロ[3.3.1]ノニルである。部分不飽和ヘテロシクリルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロオキサゾリル、テトラヒドロピリジニル、又はジヒドロピラニルである。
【0020】
「ヘテロシクリルアミノ」という用語は、そのヘテロシクリル環に窒素原子があるアミノ基を意味する。ヘテロシクリルアミノの例は、ピロリジニル、ピペリジニル、又はモルホリニルである。
【0021】
「C2−6アルケニル」という用語は、2〜6個、特に2〜4個の炭素原子を含有する、不飽和の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、例えば、ビニル、プロぺニル、アリル、ブテニル、等を意味する。特別な「C2−6アルケニル」基は、アリルとビニルである。
【0022】
「C3−7シクロアルキル」という用語は、単独で、又は組合せにおいて、3〜7個の炭素原子、特に3〜6個の炭素原子を含有する飽和炭素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、等を意味する。特別な「C3−7シクロアルキル」基は、シクロプロピルである。
【0023】
「C1−6アルコキシ」という用語は、C1−6アルキル−O−基を意味し、ここで「C1−6アルキル」は、上記に定義される通りである。特別な「C1−6アルコキシ」基は、メトキシ又はエトキシである。
【0024】
「カルボニル」という用語は、単独で、又は組合せにおいて、−C(O)−基を意味する。
「C1−6アルキルカルボニル」という用語は、C1−6アルキル−C(O)−基を意味し、ここで「C1−6アルキル」は、上記に定義される通りである。特別な「C1−6アルキルカルボニル」基は、アセチルである。
【0025】
「エナンチオマー」という用語は、互いに重ね合わせることができない鏡像である、化合物の2つの立体異性体を意味する。
「ジアステレオマー」という用語は、2個以上のキラル中心があって、それらの分子が互いの鏡像ではない立体異性体を意味する。ジアステレオマーは、異なる物理特性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性、及び反応性を有する。
【0026】
「医薬的に許容される塩」という用語は、生物学的にも他の点でも望ましくないわけではない塩を意味する。医薬的に許容される塩には、酸付加塩と塩基付加塩の両方が含まれる。
【0027】
「医薬的に許容される酸付加塩」という用語は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸のような無機酸と、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、及びサリチル酸のような、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸、及びスルホン酸の類の有機酸群より選択される有機酸とともに生成される医薬的に許容される塩を意味する。
【0028】
「医薬的に許容される塩基付加塩」という用語は、有機塩基又は無機塩基とともに生成される医薬的に許容される塩を意味する。許容される無機塩基の例には、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、及びアルミニウムの塩が含まれる。医薬的に許容される非毒性の有機塩基より誘導される塩には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン類、、ピペリジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、及びポリアミン樹脂のような、一級、二級、及び三級アミン、天然に存在する置換アミンが含まれる置換アミン、環式アミンと塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。
【0029】
1個又は数個のキラル中心を含有する一般式(I)又は(Ia)の化合物とそれらのプロドラッグは、ラセミ化合物、ジアステレオマー混合物、又は光学活性がある単一異性体として存在し得る。ラセミ化合物は、既知の方法に従って、エナンチオマーへ分割することができる。特に、結晶化によって分割され得るジアステレオマー塩は、ラセミ混合物より、例えば、D若しくはL−酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、又はカンファースルホン酸のような光学活性酸との反応によって生成される。
【0030】
本発明の化合物は、互変異性の現象を示す場合がある。化学式では、すべての可能な互変異性型を明確に図示することができないが、それらは、図示される化合物のどの互変異性型も表すように企図されていて、化学式によって図示される特定の化合物型にのみ限定されることを企図しないと理解されたい。例えば、式(III)では、その置換基がそれらのエノール型又はそれらのケト型で示されるかどうかに拘らず、それらが同じ化合物(下記の例に示されるような)を表すものと理解される。
【0031】
【化5】
【0032】
[Rは、実現可能なあらゆる置換基を意味する]
本発明の化合物の中には、単一の立体異性体(即ち、本質的に他の立体異性体を含まない)、ラセミ化合物、及び/又はエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物として存在し得るものがある。すべてのそのような単一の立体異性体、そのラセミ化合物及び混合物が本発明の範囲内にあると企図される。好ましくは、光学活性のある本発明の化合物は、光学的に純粋な形態で使用される。当業者に一般的に理解されているように、1つのキラル中心(即ち、1個の不斉炭素原子)を有する光学的に純粋な化合物とは、2種の可能なエナンチオマーの1つから本質的になる(即ち、鏡像異性的に純粋である)化合物であって、1より多いキラル中心を有する光学的に純粋な化合物とは、ジアステレオ異性的に純粋であって鏡像異性的にも純粋である化合物である。好ましくは、本発明の化合物は、少なくとも90%は光学的に純粋である形態、即ち、少なくとも90%(80%鏡像体過剰率(「e.e.」)又はジアステレオマー過剰率(「d.e.」))、より好ましくは少なくとも95%(90% e.e.又はd.e.)、さらにより好ましくは少なくとも97.5%(95% e.e.又はd.e.)、そして最も好ましくは少なくとも99%(98% e.e.又はd.e.)の単一異性体を含有する形態で使用される。付言すると、本発明の式(I)及び(Ia)の化合物とそれらのプロドラッグ、式(II)及び(IIa)、並びに他の化合物には、同定された構造の非溶媒和型だけでなく溶媒和型も含まれると企図される。例えば、式(I)又は(Ia)には、その指定構造の化合物が水和型と非水和型の両方で含まれる。他の溶媒和物の例には、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、又はエタノールアミンと複合した構造が含まれる。
【0033】
「プロドラッグ」という用語は、投与後に生体内で、例えば、対象の生体液又は酵素によって該化合物の薬理活性型へ代謝されて所望される薬理効果を産生する、化合物の型又は誘導体を意味する。プロドラッグについては、例えば、「The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action(医薬設計及び医薬作用の有機化学)」、Richard B.Silverman(著)、アカデミック・プレス、サンディエゴ(2004)、第8章、Prodrugs and Drug Delivery System(プロドラッグとドラッグデリバリーシステム)」(497-558 頁)に記載されている。
【0034】
「医薬活性代謝産物」とは、特定の化合物又はその塩の身体中での代謝により産生される薬理活性産物を意味すると企図される。身体中へのエントリーの後で、ほとんどの薬物は、それらの物理特性及び生物学的効果を変化させ得る化学反応の基質となる。これらの代謝変換は、通常、本発明の化合物の極性に影響を及ぼして、薬物が身体中に分布してそこから排出されるやり方を変化させる。しかしながら、ある場合には、薬物の代謝が治療効果のために必要とされる。
【0035】
「治療有効量」という用語は、対象へ投与される場合に、本明細書に記載される、(i)特別な疾患、状態、又は障害を治療するか又は予防する、(ii)特別な疾患、状態、又は障害の1以上の症状を緩和する、改善する、又は消失させる、又は(iii)特別な疾患、状態、又は障害の1以上の症状の発現を予防するか又は遅延させる、本発明の化合物又は分子の量を意味する。治療有効量は、該化合物、治療される病態、治療される疾患の重症度、対象の年齢と相対健常性、投与の経路及び形態、担当医師又は担当獣医師の判断、及び他の要因に依存して変動するものである。
【0036】
「医薬組成物」という用語は、治療有効量の医薬有効成分を医薬的に許容される賦形剤と一緒に含んでなり、それを必要とする哺乳動物(例、ヒト)へ投与される、混合物又は溶液剤を意味する。
【0037】
TLR7アゴニストとプロドラッグ
本発明は、式(I):
【0038】
【化6】
【0039】
[式中:
は、OHであり;
は、Hであり;
は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−又は−C(C1−6アルキル)−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はヘテロシクリルアミノである]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーに関する。
【0040】
本発明のさらなる態様は、(ii)RがOHであり;
は、Hであり;
は、H、メチル、エチル、ブチル、アリル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−又は−C(CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0041】
本発明のさらなる態様は、(iii)式(Ia):
【0042】
【化7】
【0043】
[式中、
は、OHであり;
は、Hであり;
は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−又は−C(C1−6アルキル)−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はヘテロシクリルアミノである]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0044】
本発明のさらなる態様は、(iv)RがOHであり;
は、Hであり;
は、H、メチル、エチル、ブチル、アリル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−又は−C(CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、式(Ia)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0045】
本発明のさらなる態様は、(v)Rが、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルである、式(I)又は(Ia)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0046】
本発明のさらなる態様は、(vi)Rが、メチル、エチル、シクロプロピル、又はアリルである、式(I)又は(Ia)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0047】
本発明のさらなる態様は、(vii)Wが−CH−である、式(I)又は(Ia)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。 本発明のさらなる態様は、(viii)RがOHであり;
は、Hであり;
は、C1−6アルキル又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はモルホリニルである、式(I)又は(Ia)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0048】
本発明のさらなる態様は、(ix)RがOHであり;
は、Hであり;
は、メチル、エチル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、式(I)又は(Ia)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0049】
本発明の別の態様は、(x)以下:
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
5−アミノ−3−[(4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン;
5−アミノ−3−[(2S,4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシペンチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシブタ−3−エニル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(S)−シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(S)−シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−2−メチル−プロパン酸である、式(I)又は(Ia)の特別な化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0050】
本発明の別の態様は、(xi)以下:
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド;
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド;
5−アミノ−3−[(4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン;
5−アミノ−3−[(2S,4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸;
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(S)−シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸である、式(I)又は(Ia)のより特別な化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0051】
本発明の別の態様は、(xii)式(II):
【0052】
【化8】
【0053】
[式中、
は、H、C1−6アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、又はC1−6アルキルフェニルカルボニルであり;
は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−又は−C(C1−6アルキル)−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はヘテロシクリルアミノである]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0054】
本発明のさらなる態様は、(xiii)Rが、H、アセチル、フェニルカルボニル、又はメチルフェニルカルボニルであり;
は、H、メチル、エチル、ブチル、アリル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−又は−C(CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、式(II)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0055】
本発明の別の態様は、(xiv)式(IIa):
【0056】
【化9】
【0057】
[式中、
は、H、C1−6アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、又はC1−6アルキルフェニルカルボニルであり;
は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−又は−C(C1−6アルキル)−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はヘテロシクリルアミノである]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0058】
本発明のさらなる態様は、(xv)Rが、H、アセチル、フェニルカルボニル、又はメチルフェニルカルボニルであり;
は、H、メチル、エチル、ブチル、アリル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−又は−C(CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、式(IIa)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0059】
本発明のさらなる態様は、(xvi)Rがフェニルカルボニルである、式(II)又は(IIa)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0060】
本発明のさらなる態様は、(xvii)Rが、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC3−7シクロアルキルである、式(II)又は(IIa)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0061】
本発明のさらなる態様は、(xviii)Rが、メチル、エチル、シクロプロピル、又はアリルである、式(II)又は(IIa)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0062】
本発明のさらなる態様は、(xix)Wが−CH−である、式(II)又は(IIa)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0063】
本発明のさらなる態様は、(xx)Rがフェニルカルボニルであり;
は、C1−6アルキル又はC3−7シクロアルキルであり;
Wは、−CH−であり;
Aは、OH、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルNH−、(C1−6アルキル)N−、又はモルホリニルである、式(II)又は(IIa)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0064】
本発明のさらなる態様は、(xxi)Rがフェニルカルボニルであり;
は、メチル、エチル、又はシクロプロピルであり;
Wは、−CH−であり;
Aは、OH、メトキシ、CHNH−、(CHN−、又はモルホリニルである、式(II)又は(IIa)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0065】
本発明の別の態様は、(xxii)安息香酸[(1S)−1−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2−オキソ−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル]である、式(II)又は(IIa)の特別な化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
【0066】
合成
本発明の化合物は、どの慣用の手段によっても製造することができる。下記のスキームと実施例では、これらの化合物並びにそれらの出発材料を合成するのに適した方法を提供する。すべての置換基、特にR〜Rは、他に示さなければ、上記に定義した通りである。さらに、そして他に明確に述べなければ、すべての反応、反応条件、略語、及び記号は、有機化学の当業者によく知られた意味を有する。
【0067】
スキーム1:
【0068】
【化10】
【0069】
スキーム1に図示されるように、本発明の合成は、ベンゾイルオキシアセトアルデヒド(IV)とメルカプトコハク酸(V)より出発し、これらをトルエンのような有機溶媒において触媒量のp−TsOHのような酸とともに還流させて、カルボン酸(VI)を得る。CDIのようなカップリング試薬の存在下に、又はTMSCHNとともにカルボン酸(VI)のエステル化を達成して、エステル(VII)を得る。エステル(VII)をLiAlH(Ot−Bu)のような還元剤でさらに還元して、ヘミアセタール(VIII)を得る。ヘミアセタール(VIII)を無水酢酸のような酸無水物でアシル化して、化合物IXを得る。N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)のような適切なシリルエーテル化剤とTMSIのようなルイス酸の存在下での化合物IXの化合物Xとのカップリングによって、化合物XIを得る。MeOH中のKCOのような塩基性条件下で化合物XIの脱保護化を達成して化合物XIIを得て、これを分取用HPLCによってさらに分離させて、化合物P1と化合物P2を得る。LiOH水溶液のような塩基性条件下での化合物XIIの加水分解によってカルボン酸(XIII)を得て、これを分取用HPLCによってさらに分離させて、化合物P3と化合物P4を得る。HATUのようなカップリング試薬の存在下にカルボン酸(XIII)をRNHとカップリングさせてアミド化合物XIVを得て、これを分取用HPLCによってさらに分離させて、化合物P5と化合物P6を得る。
【0070】
スキーム2:
【0071】
【化11】
【0072】
スキーム2に明示されるように、この合成も、アルデヒド(XV)(合成については、J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 3450-3451 を参照のこと)とメルカプトコハク酸(V)より出発してよく、これらをトルエンのような有機溶媒において触媒量のp−TsOHのような酸とともに還流させて、化合物XVIを得る。CDIのようなカップリング試薬の存在下に、又はTMSCHNとともに化合物XVIのカルボン酸のエステル化を達成して、エステル(XVII)を得る。エステル(VII)をLiAlH(Ot−Bu)のような還元剤でさらに還元して、ヘミアセタール(XVIII)を得る。このヘミアセタールを無水酢酸のような酸無水物でアシル化して、化合物XIXを得る。N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)のような適切なシリルエーテル化剤とTMSIのようなルイス酸の存在下での化合物XIXの化合物Xとのカップリングによって、化合物XXを得る。MeOH中のKCOのような塩基性条件下で化合物XXの脱保護化を達成して化合物P7を得る。LiOH水溶液のような塩基性条件下での化合物P7の加水分解によって、カルボン酸(P8)を得る。
【0073】
スキーム3:
【0074】
【化12】
【0075】
あるいは、スキーム3に図示されるように、この合成は、アルデヒド(XV)(合成については、J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 3450-3451 を参照のこと)と(S)−2−メルカプトコハク酸(XXI)より出発してもよく、これらをトルエンのような有機溶媒において触媒量のp−TsOHのような酸とともに還流させて、化合物XXIIを得る。CDIのようなカップリング試薬の存在下に、又はTMSCHNとともにカルボン酸(XXII)のエステル化を達成して、エステル(XXIII)を得る。エステル(XXIII)をLiAlH(Ot−Bu)のような還元剤でさらに還元して、ヘミアセタール(XXIV)を得る。ヘミアセタール(XXIV)を無水酢酸のような酸無水物でアシル化して、化合物XXVを得る。N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)のような適切なシリルエーテル化剤とTMSIのようなルイス酸の存在下での化合物XXVの化合物Xとのカップリングによって、化合物XXVIを得る。MeOH中のKCOのような塩基性条件下で化合物XXVIの脱保護化を達成して化合物XXVIIを得て、これを分取用HPLCによってさらに分離させて、化合物P9と化合物P10を得る。LiOH水溶液のような塩基性条件下での化合物XXVIIの加水分解によってカルボン酸(XXVIII)を得て、これを分取用HPLCによってさらに分離させて、化合物P11と化合物P12を得る。HATUのようなカップリング試薬の存在下にカルボン酸(XXVIII)をRNHとカップリングさせてアミド化合物XXIXを得て、これを分取用HPLCによってさらに分離させて、化合物P13と化合物P14を得る。
【0076】
本発明はまた、以下の反応を含んでなる、式(I)、(Ia)、(II)又は(IIa)の化合物の製造のための方法に関する:
(a)式(XI):
【0077】
【化13】
【0078】
[式中、Rは、H又はRである]の化合物の塩基との反応;
(b)式(XII):
【0079】
【化14】
【0080】
[式中、Rは、H又はRである]の化合物の塩基との反応;
(c)式(XIII):
【0081】
【化15】
【0082】
[式中、Rは、H又はRである]の化合物の、カップリング試薬の存在下でのRNHとの反応;
(d)式(P7):
【0083】
【化16】
【0084】
[式中、Rは、H又はRであり;Rは、R又はRである]の化合物の塩基との反応;
(e)式(XXVI):
【0085】
【化17】
【0086】
[式中、Rは、H又はRであり;Rは、R又はRである]の化合物の塩基との反応;
(f)式(XXVII):
【0087】
【化18】
【0088】
[式中、Rは、H又はRであり;Rは、R又はRである]の化合物の塩基との反応;
(g)式(XXVIII):
【0089】
【化19】
【0090】
[式中、Rは、H又はRであり;Rは、R又はRである]の化合物の、カップリング試薬の存在下でのRNHとの反応;
(h)式(XXV):
【0091】
【化20】
【0092】
[式中、Rは、R又はRである]の化合物の、シリルエーテル化剤及びルイス酸の存在下での化合物Xとの反応
[又は、式中、R、R、R、R、R、R、R、及びRは、上記に定義される]。
【0093】
工程(a)及び(e)において、塩基は、例えば、KCOであり得る。
工程(b)、(d)、及び(f)において、塩基は、例えば、LiOHであり得る。
工程(c)及び(g)において、カップリング試薬は、例えば、HATUであり得る。
【0094】
工程(h)において、シリルエーテル化剤は、例えばBSAであり得て、ルイス酸は、例えばTMSIであり得る。
式(I)、(Ia)、(II)、及び(IIa)の化合物も、上記の方法に従って製造される場合、本発明の目的である。
【0095】
医薬組成物と投与
別の態様は、本発明の化合物と治療上不活性な担体、希釈剤、又は賦形剤を含有する医薬組成物又は医薬品、並びに、本発明の化合物を使用してそのような組成物及び医薬品を製造する方法を提供する。1つの例では、式(I)又は(Ia)の化合物又はそれらのプロドラッグを、周囲温度で、適切なpHで、そして所望される度合いの純度で、生理学的に許容される担体(即ち、製剤投与形態へ利用される投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性である担体)と混合することによって製剤化し得る。製剤のpHは、化合物の特別な使用とその濃度に主に依存するが、好ましくは、約3〜約8の範囲に亘る。1つの例では、式(I)又は(Ia)の化合物又はそれらのプロドラッグを酢酸塩緩衝液においてpH5で製剤化する。別の態様において、式(I)又は(Ia)の化合物又はそれらのプロドラッグは、無菌である。該化合物は、例えば、固形性又は非晶性の組成物として、凍結乾燥製剤として、又は水溶液剤として保存し得る。
【0096】
組成物は、良好な医療行為に一致したやり方で製剤化、投薬、及び投与される。この状況において考慮すべき要因には、治療される特別な障害、治療される特別な哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与の方法、投与の計画、及び医師に知られた他の要因が含まれる。投与される化合物の「有効量」は、そのような考慮事項によって支配されるものであって、TLR7受容体を活性化してIFN−αと他のサイトカインを産生することをもたらすのに必要な最小量であり、限定されないが、B型及び/又はC型肝炎ウイルス感染患者の治療又は予防にこれを使用し得る。
【0097】
1つの例において、非経口的に投与される本発明の化合物の投薬当たりの医薬有効量は、患者の体重1kgにつき、1日当たり約0.1〜50mg、あるいは約0.1〜30mgの範囲にあって、使用される化合物の典型的な初回範囲は、0.3〜15mg/kg/日であろう。別の態様では、錠剤及びカプセル剤のような経口の単位剤形は、好ましくは、本発明の化合物の約20〜約1000mgを含有する。
【0098】
本発明の化合物は、経口、局部(頬内及び舌下が含まれる)、直腸、膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、髄腔内、及び硬膜外、及び鼻腔内と(局所治療が所望されるならば)病巣内の投与が含まれる、どの好適な手段によっても投与し得る。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下の投与が含まれる。
【0099】
本発明の化合物は、例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、溶液剤、分散液剤、懸濁液剤、シロップ剤、スプレー剤、坐剤、ゲル剤、乳液剤、パッチ剤、等といったどの都合の良い投与形態でも投与してよい。そのような組成物は、医薬品製剤に慣用の成分、例えば、希釈剤、担体、pH調整剤、甘味剤、増嵩剤、及びさらなる有効成分を含有してよい。
【0100】
典型的な製剤は、本発明の化合物と担体又は賦形剤を混合することによって調製される。好適な担体及び賦形剤は、当業者によく知られていて、例えば、Ansel, Howard C., et al.「Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(アンセルの医薬剤形と薬物送達系)」フィラデルフィア:リッピンコット、ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス(2004);Gennaro, Alfonso R., et al.「Remington: The Science and Practice of Pharmacy(レミントン:調剤の科学及び実践)」フィラデルフィア:リッピンコット、ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス(2000);及び、Rowe, Raymond C.「Handbook of Pharmaceutical Excipients(医薬賦形剤ハンドブック)」シカゴ、ファーマシューティカル・プレス(2005)に詳しく記載されている。この製剤には、薬物(即ち、本発明の化合物又はその医薬組成物)の洗練された提示を提供するか又はその医薬製品(即ち、医薬品)の製造に役立てるために、1以上の緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、抗酸化剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、香味剤、希釈剤、及び他の既知の添加剤も含めてよい。
【0101】
好適な経口剤形の例は、約20〜1000mgの本発明の化合物を約30〜90mgの無水乳糖、約5〜40mgのクロスカルメロースナトリウム、約5〜30mgのポリビニルピロリドン(PVP)K30、及び約1〜10mgのステアリン酸マグネシウムと配合して含有する錠剤である。最初に、粉末化した成分を一緒に混合して、次にPVPの溶液剤と混合する。生じる組成物は、慣用の機器を使用して、乾燥させ、造粒し、ステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤の形態へ圧縮することができる。本発明の化合物(例えば、20〜1000mg)を好適な緩衝溶液(例、リン酸塩緩衝液)に溶かし、所望されるならば等張化剤(例、塩化ナトリウムのような塩)を加えることによって、エアロゾル製剤の例を調製することができる。この溶液剤は、例えば、0.2ミクロンのフィルターを使用して濾過して、不純物や混在物を除去してよい。
【0102】
故に、ある態様には、式(I)又は(Ia)の化合物又はそれらのプロドラッグ、式(II)又は(IIa)、又はそれらの医薬的に許容される塩、又はエナンチオマー又はジアステレオマーを含んでなる医薬組成物が含まれる。
【0103】
さらなる態様には、式(I)又は(Ia)の化合物又はそれらのプロドラッグ、式(II)又は(IIa)、又はそれらの医薬的に許容される塩、又はエナンチオマー又はジアステレオマーを医薬的に許容される担体又は賦形剤と一緒に含んでなる医薬組成物が含まれる。
【0104】
別の態様には、式(I)又は(Ia)の化合物又はそれらのプロドラッグ、式(II)又は(IIa)、又はそれらの医薬的に許容される塩、又はエナンチオマー又はジアステレオマーを含んでなる、B型肝炎ウイルス感染症の治療において使用するための医薬組成物が含まれる。
【0105】
適応症と治療の方法
本発明は、B型肝炎ウイルス感染及び/又はC型肝炎ウイルス感染を治療するか又は予防することの必要な患者においてそれをするための方法を提供する。
【0106】
さらに本発明は、B型及び/又はC型肝炎ウイルス感染の治療及び/又は予防において、式(I)又は(Ia)の化合物又はそれらのプロドラッグ、又は本発明の他の化合物の治療有効量を患者の血流へ導入するための方法を提供する。
【0107】
本発明の方法は、ヒト患者に特によく適している。特に、本発明の方法及び用量は、限定されないが、HBV及び/又はHCV感染患者に有用であり得る。本発明の方法及び用量は、他の抗ウイルス治療を受けている患者にも有用である。本発明の予防方法は、ウイルス感染のリスクがある患者に特に有用である。これらの患者には、限定されないが、医療従事者(例えば、医師、看護師、ホスピス介護者);軍人;教師;保育士;海外現地(特に、第三世界の現地)へ旅行するか又はそこで暮らす患者(社会支援ワーカー、宣教師、及び外交官が含まれる)が含まれる。最後に、本発明の方法及び組成物には、難治性の患者、又は治療抵抗性(逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、等に対する抵抗性のような)の患者の治療が含まれる。
【0108】
別の態様には、B型肝炎ウイルス感染及び/又はC型肝炎ウイルス感染を治療するか又は予防するような治療の必要な哺乳動物においてそれをする方法が含まれ、ここで該方法は、式(I)又は(Ia)の化合物又はそのプロドラッグ、又はそれらのエナンチオマー、ジアステレオマー、プロドラッグ、又は医薬的に許容される塩の治療有効量を前記哺乳動物へ投与することを含む。
【実施例】
【0109】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されよう。しかしながら、それらは、本発明の範囲を制限するものと解釈してはならない。
略語:
ACN: アセトニトリル
HATU: 3−オキシドヘキサフルオロリン酸1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム
DMAP: 4−ジメチルアミノピリジン
DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン
p−TsOH:4−メチルベンゼンスルホン酸
DMSO−d:重水素化ジメチルスルホキシド
DCM: ジクロロメタン
FBS: 胎仔ウシ血清
rt: 室温
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
LiAlH(Ot−Bu):水素化リチウムトリtert−ブトキシアルミニウム
v/v: 容量比
SFC: 超臨界流体クロマトグラフィー
MS(ESI):質量分析法(電子スプレーイオン化)
BSA: N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド
obsd.: 実測値
EC50: アゴニストの可能な最大応答の50%をもたらす、該アゴニストのモル濃度
TEA: トリエチルアミン
TMSCHN:トリメチルシリルジアゾメタン
TMSI: ヨウ化トリメチルシリル
CDI: 1,1‘−カルボニルジイミダゾール
TMSCl: 塩化トリメチルシリル
NBS: N−ブロモスクシンイミド
全般的な実験条件
中間体と最終化合物は、以下の機器の1つを使用して、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した:i)Biotage SP1 システム及び Quad 12/25 Cartridge モジュール。ii)ISCO combi-フラッシュクロマトグラフィー機器。シリカゲルのブランド及び孔径:i)KP-SIL 60A(オングストローム)、粒径:40〜60μm;ii)CAS登録番号:Silica Gel:63231-67-4、粒径:47〜60ミクロンシリカゲル;iii)ZCX(Qingdao Haiyang Chemical 株式会社製)、空孔:200〜300又は300〜400。
【0110】
中間体と最終化合物は、XBridgeTMPerp C18(5μm,OBDTM 30x100mm)カラム又はSunFireTMPerp C18(5μm,OBDTM 30x100mm)カラムを使用する逆相カラムでの分取用HPLCによって精製した。
【0111】
LC/MSスペクトルは、Waters UPLC-SQD Mass を使用して入手した。標準的なLC/MS条件は、以下の通りであった(操作時間:3分):
酸性条件:A:HO中0.1%ギ酸及び1%アセトニトリル;B:アセトニトリル中0.1%ギ酸;
塩基性条件:A:HO中0.05% NH・HO;B:アセトニトリル;
質量スペクトル(MS):全般的には、親質量を示すイオンだけを報告して、他に述べなければ、引用される質量イオンは、陽性の質量イオン(M+H)である。
【0112】
NMRスペクトルは、Bruker Avance 400 MHz を使用して入手した。
空気感受性の試薬が関わるすべての反応は、アルゴン雰囲気下で実施した。他に述べなければ、試薬は、市販の供給業者より受け取ったままで、さらに精製せずに使用した。
【0113】
製造の実施例
実施例1
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル
【0114】
【化21】
【0115】
2−[2−(ベンゾイルオキシメチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(化合物1a)の製造
【0116】
【化22】
【0117】
ベンゾイルオキシアセトアルデヒド(1.97g,12ミリモル)とメルカプトコハク酸(1.5g,10ミリモル)の混合物をトルエン(50mL)中において触媒量のp−TsOH(0.23g,1.3ミリモル)下に60℃で4時間撹拌した。反応が完了した後で、この混合物を室温へ冷やしてEtOAc(50mL)で希釈し、飽和NaHCOと塩水(brine)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィーによって精製して、2−[2−(ベンゾイルオキシメチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(化合物1a)(2.5g)を白色の粉末として得た。
【0118】
化合物1a:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm: 12.78 (brs, 1H), 7.99 (m, 2H), 7.70 (m, 1H), 7.57 (m, 2H), 5.92 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 4.53-4.65 (m, 2H), 4.42-4.53 (m, 1H), 2.72-3.06 (m, 2H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 297。
【0119】
安息香酸[4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物1b)の製造
【0120】
【化23】
【0121】
2−[2−(ベンゾイルオキシメチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(化合物1a)(1.5g,5.1ミリモル)のDCM(20mL)溶液へCDI(1.23g,7.6ミリモル)を加えた。この混合物を室温で3時間撹拌してから、MeOH(0.62mL,15ミリモル)を加えた。この混合物を室温でさらに16時間撹拌した。反応が完了した後で、この反応混合物を飽和NHClでクエンチし、DCMで抽出した。合わせた有機層を飽和NHClと塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィーによって精製して、安息香酸[4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物1b)(0.83g)を黄色がかったオイルとして得た。
【0122】
化合物1b:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.05 (m, 2H), 7.62 (m, 1H), 7.48 (m, 2H), 5.74-5.86 (m, 1H), 4.60 (m, 2H), 4.30-4.40 (m, 1H), 3.77 (m, 3H), 2.97- 3.24 (m, 2H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 311。
【0123】
安息香酸[5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物1c)の製造
【0124】
【化24】
【0125】
安息香酸[4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物1b)(600mg,1.9ミリモル)の無水THF(10mL)溶液へLiAlH(Ot−Bu)(THF中1M,2.9mL,2.9ミリモル)を−78℃で滴下した。室温で2時間撹拌した後で、ピリジン(0.78mL,9.6ミリモル)、無水酢酸(0.91mL,9.6ミリモル)、及びDMAP(0.71g,5.8ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌してから、飽和NHClでクエンチした。この溶液をDCM(50mL)で3回抽出した。有機層を合わせ、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して粗生成物を得て、これをフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、安息香酸[5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物1c)(0.34g)を黄色がかったオイルとして得た。
【0126】
化合物1c:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.08 (m, 2H), 7.59 (m, 1H), 7.47 (m, 2H), 6.42-6.73 (m, 1H), 5.65-5.77 (m, 1H), 4.50-4.70 (m, 1H), 4.34-4.42 (m, 1H), 3.90-4.03 (m, 1H), 3.67-3.78 (m, 3H), 2.58-2.91 (m, 2H), 2.06-2.18 (m, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 355。
【0127】
安息香酸[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物1d)の製造
【0128】
【化25】
【0129】
5−アミノ−7−ヒドロキシ−3H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2−オン(368mg,2.0ミリモル)のACN(15mL)溶液へBSA(1.42g,7.0ミリモル)を加えた。この混合物を、澄明な溶液が生成されるまで60℃で加熱した。溶媒を減圧下に除去した。残渣をDCM(20mL)に溶かした。上記の溶液へ安息香酸[5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物1c)(700mg,2.0ミリモル)とTMSI(0.61mL,4.4ミリモル)を加えた。室温で一晩撹拌した後で、この反応混合物を飽和NaHCO溶液でクエンチした。この混合物をDCM(100mL)で3回抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCOと塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して粗生成物を得て、これをシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、安息香酸[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物1d)(0.22g)を淡黄色の粉末として得た。MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 479。
【0130】
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル(実施例1)の製造
【0131】
【化26】
【0132】
安息香酸[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物1d)(180mg,0.38ミリモル)のMeOH(10mL)溶液へKCO(0.21g,1.5ミリモル)を加えた。この混合物を室温で撹拌した。反応が完了した後で、この混合物をHOAcでpH7へ中和してから濃縮して粗生成物を得て、これを分取用HPLCによって精製して、2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル(実施例1−P1)(2mg)と2−[(cis−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル(実施例1−P2)(4mg)を白色の粉末として得た。実施例1−P1と実施例1−P2の相対配置は、実施例2に類似して決定した。
【0133】
実施例1−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm:5.96 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.29 (dd, J = 5.5, 4.3 Hz, 1H), 4.86 (m, 1H), 3.83 (m, 1H), 3.75 (m, 1H), 3.61 (s, 3H), 2.76 (d, J = 7.3 Hz, 2H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 375。
【0134】
実施例1−P2:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.14 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.78 (dd, J = 5.3, 4.0 Hz, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.75 (m, 2H), 3.61 (s, 3H), 2.82 (m, 2H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 375。
【0135】
実施例2
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸
【0136】
【化27】
【0137】
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(実施例2)の製造
粗製の2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル(実施例1)(168mg,0.45ミリモル)のTHF(10mL)溶液へLiOH水溶液(2M,5mL,1.0ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で撹拌した。反応が完了した後で、この混合物をHOAcでpH7へ中和し、濃縮して粗生成物を得て、これを分取用HPLCによって精製して、2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(実施例2−P1)(8mg)と2−[(cis−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(実施例2−P2)(17mg)を白色の粉末として得た。化合物:実施例2−P1と実施例2−P2の相対配置は、NOESYによって決定した。
【0138】
実施例2−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.96 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.28 (dd, J = 5.5, 4.0 Hz, 1H), 4.85 (m, 1H), 3.83 (m, 1H), 3.75 (m, 1H), 2.67 (m, 2H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 361。
【0139】
実施例2−P2:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.13 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.77 (dd, J = 5.5, 4.3 Hz, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.75 (m, 2H), 2.77 (m, 1H), 2.66 (m, 1H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 361。
【0140】
【化28】
【0141】
実施例2−P1では、C1’−HとC4’−H、C1’−HとC6’−HのNOESY相関を観測し、C2’−HとC4’−Hの相関を観測しなかった。実施例2−P2では、C2’−HとC4’−H、C1’−HとC6’−HのNOESY相関を観測し、C1’−HとC4’−Hの相関を観測しなかった。
【0142】
実施例3
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド
【0143】
【化29】
【0144】
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミドの製造
粗製の2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(実施例2)(133mg,0.37モル)、ジメチルアミン(0.22mL,0.45モル)、及びDIPEA(0.3mL,1.5ミリモル)のDMF(5mL)溶液へHATU(214mg,0.56ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で1時間撹拌し、飽和NHClでクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して粗生成物を得て、これを分取用HPLCによって精製して、2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド(実施例3−P1)(6mg)と2−[(cis−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド(実施例3−P2)(10mg)を白色の粉末として得た。化合物:実施例3−P1と実施例3−P2の相対配置は、実施例2に類似して決定した。
【0145】
実施例3−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.96 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.28 (dd, J = 5.3, 4.02 Hz, 1H), 4.95 (m, 1H), 3.79 (m, 2H), 3.03 (s, 3H), 2.88 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 2.76 (m, 1H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 388。
【0146】
実施例3−P2:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.13 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.76 (t, J = 4.6 Hz, 1H), 4.86 (m, 1H), 3.75 (m, 2H), 3.05 (s, 3H), 2.95 (m, 1H), 2.86 (s, 3H), 2.83 (m, 1H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 388。
【0147】
実施例4
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル
【0148】
【化30】
【0149】
2−[(4S)−2−[(1S)−1−ベンゾイルオキシプロピル]−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(化合物4a)の製造
【0150】
【化31】
【0151】
安息香酸[(1S)−1−ホルミルプロピル](4.6g,24ミリモル)(合成については、J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 3450-3451 を参照のこと)、(S)−2−メルカプトコハク酸(3.59g,24ミリモル)、及びp−TsOH(455mg,2.4ミリモル)のトルエン(200mL)中の混合物を60℃で4時間撹拌した。反応が完了した後で、この混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、飽和NaHCOと塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮した。この残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:10〜1:3を溶出液とする)によって精製して、2−[(4S)−2−[(1S)−1−ベンゾイルオキシプロピル]−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(化合物4a)(3.9g)を茶褐色のオイルとして得た。
【0152】
化合物4a:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm: 12.78 (brs, 1H), 7.98 (m, 2 H), 7.71 (m, 1H), 7.57 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 5.81-5.91 (m, 1H), 5.19-5.39 (m, 1H), 4.21-4.50 (m, 1H), 2.63-3.00 (m, 2H), 1.63-1.88 (m, 2H), 0.93 (t, J = 7.4 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 325。
【0153】
安息香酸[(1S)−1−[(4S)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4b)の製造
【0154】
【化32】
【0155】
2−((4S)−2−((S)−1−(ベンゾイルオキシ)プロピル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル)酢酸(化合物4a)(3.6g,12ミリモル)のEtO/MeOH(v/v=4:1,100mL)溶液へTMSCHN(ヘキサン中2M,8.3mL,17ミリモル)を室温で加えた。次いで、この反応混合物を室温で2時間撹拌してから、水(50mL)でクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮した。その残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:10〜1:1を溶出液とする)によって精製して、安息香酸[(1S)−1−[(4S)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4b)(3.6g)をcis/trans混合物として得た。安息香酸[(1S)−1−[(4S)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4b)(2.1g,6.2ミリモル)をSFCによってさらに分割して、安息香酸[(1S)−1−[(2S,4S)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4b1)(0.87g)と安息香酸[(1S)−1−[(2R,4S)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4b2)(0.9g)を黄色がかったオイルとして得た。化合物4b1と化合物4b2の絶対配置は、NOESYによって決定した。
【0156】
化合物4b:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 8.05 (m, 2H), 7.66 (m, 1H), 7.52 (m, 2H), 5.81 (m, 1H), 5.26-5.44 (m, 1H), 4.23-4.50 (m, 1H), 3.62-3.77 (m, 3H), 2.79-3.12 (m, 2H), 1.77-1.99 (m, 2H), 0.99-1.09 (m, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 339。
【0157】
化合物4b1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 8.05 (dd, J = 8.3, 1.3 Hz, 2H), 7.67 (m, 1H), 7.53 (m, 2H), 5.80 (dd, J = 4.3, 0.8 Hz, 1H), 5.31 (m, 1H), 4.27 (m, 1H), 3.70 (s, 3H), 3.06-2.92 (m, 2H), 1.91 (m, 2H), 1.03 (t, J = 7.5 Hz, 3H)。
【0158】
化合物4b2:1H NMR (400MHz, CD3OD) δ ppm: 8.06 (dd, J = 1.3, 8.3 Hz, 2H), 7.66 (m, 1H), 7.53 (m, 2H), 5.82 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 5.39 (td, J = 8.8, 4.4 Hz, 1H), 4.47 (dd, J = 8.5, 4.3 Hz, 1H), 3.73 (s, 3H), 3.07 (dd, J = 17.2, 4.4 Hz, 1H), 2.91-2.80 (m, 1H), 2.00-1.77 (m, 2H), 1.03 (t, J = 7.5 Hz, 3H)。
【0159】
【化33】
【0160】
化合物4b1では、C2’−HとC5’−HのNOESY相関を観測した。化合物4b2では、C2’−HとC4’−HのNOESY相関を観測した。
安息香酸[(1S)−1−[(4S)−5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4c)の製造
【0161】
【化34】
【0162】
安息香酸[(1S)−1−[(4S)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4b)(3.3g,9.8ミリモル)の無水THF(60mL)溶液へLiAlH(Ot−Bu)(THF中1M,14.6mL,15ミリモル)を−78℃で滴下した。この反応混合物を温めて、室温で2時間撹拌した。次いで、ピリジン(3.86g,3.9mL,49ミリモル)、無水酢酸(4.98g,4.6mL,49ミリモル)、及びDMAP(3.57g,29ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌してから、飽和NHClでクエンチした。この溶液をDCM(50mL)で3回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮した。この残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:10〜3:1を溶出液とする)によって精製して、安息香酸[(1S)−1−[(4S)−5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4c)(3.7g)を黄色がかったオイルとして得た。
【0163】
化合物4c:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 8.05 (m, 2 H), 7.64 (m, 1H), 7.51 (m, 2H), 6.34-6.50 (m, 1H), 5.42-5.67 (m, 1H), 5.23-5.36 (m, 1H), 3.83-4.16 (m, 1H), 3.64-3.73 (m, 3H), 2.59-2.92 (m, 2H), 2.01-2.38 (m, 3H), 1.57-1.93 (m, 2H), 0.92-1.04 (m, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 383。
【0164】
安息香酸[(1S)−1−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4d)の製造
【0165】
【化35】
【0166】
5−アミノ−7−ヒドロキシチアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2(3H)−オン(1.4g,7.6ミリモル)の無水CHCN(50mL)溶液へBSA(5.71g,28ミリモル)を加えた。この混合物を60℃で、この溶液が澄明になるまで加熱した。溶媒を減圧下に除去した。この残渣を無水DCM(100mL)に再び溶かした。この溶液へ安息香酸[(1S)−1−[(4S)−5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4c)(2.9g,7.6ミリモル)とTMSI(3.34g,2.3mL,17ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌してから、飽和NaHCOでクエンチした。この溶液をDCM(100mL)で3回抽出して、飽和NaHCOと塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させてから濃縮した。この残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH=20:1を溶出液とする)によって精製して、安息香酸[(1S)−1−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4d)(1.7g)を黄色がかった固形物として得た。MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 507。
【0167】
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル(実施例4)の製造
【0168】
【化36】
【0169】
安息香酸[(1S)−1−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4d)(0.25g,0.49ミリモル)のMeOH(10mL)溶液へKCO(0.13g,0.94ミリモル)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後で、この反応混合物をHOAcでpH7へ中和した。この混合物を真空で濃縮した。この残渣を分取用HPLCによって精製して、2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル(実施例4−P1)(3mg)と2−[(2R,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル(実施例4−P2)(4mg)を白色の粉末として得た。実施例4−P1と実施例4−P2の絶対配置は、NOESYによって決定した。
【0170】
実施例4−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.94 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.17 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 4.81 (m, 1H), 3.65 (ddd, J = 8.9, 5.1, 3.5 Hz, 1H), 3.60 (s, 3H), 2.76 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 1.64 (m, 1H), 1.50 (m, 1H), 1.02 (t, J = 7.4 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 403。
【0171】
実施例4−P2:1H NMR (400MHz, CD3OD) δppm: 6.14 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.67 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 4.79 (q, J = 7.1 Hz, 1H), 3.68 (ddd, J = 8.8, 5.2, 3.8 Hz, 1H), 3.61 (s, 3H), 2.81 (m, 2H), 1.66 (m, 1H), 1.41 (m, 1H), 1.01 (t, J = 7.4 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 403。
【0172】
【化37】
【0173】
実施例4−P1では、C2’−HとC5’−H、C1’−HとC4’−HのNOESY相関を観測した。実施例4−P2では、C2’−HとC4’−HのNOESY相関を観測し、C1’−Hは、C4’−Hと相関しなかった。
【0174】
実施例5
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸
【0175】
【化38】
【0176】
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(実施例5)の製造
THF(10mL)中の粗製の2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル(実施例4)(400mg,1.0ミリモル)へLiOH水溶液(1M,5mL,5ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌してから、1N HClでpH7へ中和して濃縮して粗生成物を得て、これを分取用HPLCによって精製して、2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(実施例5−P1)(3mg)と2−[(2R,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(実施例5−P2)(4mg)を白色の粉末として得た。実施例5−P1と実施例5−P2の絶対配置は、NOESYによって決定した。
【0177】
実施例5−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.93 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.14 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 4.82 (m, 1H), 3.65 (m, 1H), 2.63 (m, 2H), 1.64 (m, 1H), 1.49 (m, 1H), 1.02 (t, J = 7.4 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 389。
【0178】
実施例5−P2:1H NMR (400MHz, CD3OD) δ ppm: 6.13 (d, J = 7.0 Hz, 1 H), 5.66 (d, J = 5.5 Hz, 1 H), 4.79 (m, 1 H), 3.67 (ddd, J = 8.9, 5.3, 3.6 Hz, 1 H), 2.75 (m, 1 H), 2.66 (m, 1 H), 1.68 (m, 1 H), 1.42 (m, 1 H), 1.01 (t, J = 7.4 Hz, 3 H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 389。
【0179】
【化39】
【0180】
実施例5−P1では、C1’−HとC4’−HのNOESY相関を観測し、C2’−Hは、C4’−Hと相関しなかった。実施例5−P2では、C2’−HとC4’−HのNOESY相関を観測し、C1’−Hは、C4’−Hと相関しなかった。
【0181】
実施例6
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド
【0182】
【化40】
【0183】
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド(実施例6)の製造
DMF(5mL)中の粗製の2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(実施例5)(200mg,0.51ミリモル)へ塩酸メチルアミン(70mg,1.03モル)、DIPEA(0.36mL,2.1ミリモル)、及びHATU(294mg,0.77ミリモル)を加えた。この反応物を室温で2時間撹拌してから飽和NHClでクエンチして、EtOAcで抽出した。有機層を濃縮して粗生成物を得て、これを分取用HPLCによってさらに精製して、2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド(実施例6−P1)(2mg)と2−[(2R,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N−メチル−アセトアミド(実施例6−P2)(5mg)を白色の粉末として得た。絶対配置は、実施例5の帰属決定(assignment)に類似して決定した。
【0184】
実施例6−P1:1H NMR (400MHz, CD3OD) δ ppm: 5.91 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.15 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 4.84 (m, 1H), 3.65 (m, 1H), 2.62 (s, 3H), 2.55 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 1.64 (m, 1H), 1.50 (m, 1H), 1.02 (t, J = 7.4 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 402。
【0185】
実施例6−P2:1H NMR (400MHz, CD3OD) δ ppm: 6.10 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 5.69 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.68 (m, 1H), 2.64 (s, 3H), 2.57 (m, 2H), 1.68 (m, 1H), 1.42 (m, 1H), 1.01 (t, J = 7.4 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 402。
【0186】
実施例7
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド
【0187】
【化41】
【0188】
2−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド(7)の製造
表題化合物は、塩酸メチルアミンの代わりにジメチルアミンを使用することによって、実施例6に類似して製造した。実施例7を分取用HPLCによってさらに精製して、2−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド(実施例7−P1)(4mg)と2−[(2R,4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]−N,N−ジメチル−アセトアミド(実施例7−P2)(9mg)を白色の粉末として得た。実施例7−P1と実施例7−P2の絶対配置は、実施例5の帰属決定に類似して決定した。
【0189】
実施例7−P1:1H NMR (400MHz, CD3OD) δ ppm: 5.93 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.14 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 4.91 (m, 1H), 3.66 (m, 1H), 3.04 (s, 3H), 2.89 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 2.77 (m, 1H), 1.65 (m, 1H), 1.50 (m, 1H), 1.02 (t, J = 7.4 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 416。
【0190】
実施例7−P2:1H NMR (400MHz, CD3OD) δ ppm: 6.14 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.65 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.84 (m, 1H), 3.69 (ddd, J = 8.8, 5.0, 3.8 Hz, 1H), 3.06 (s, 3H), 2.94 (m, 1H), 2.82 (m, 4H), 1.67 (m, 1H), 1.41 (m, 1H), 1.01 (t, J = 7.4 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 416。
【0191】
実施例8
5−アミノ−3−[(4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン
【0192】
【化42】
【0193】
5−アミノ−3−[(4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン(化合物8)の製造
表題化合物は、塩酸メチルアミンの代わりにモルホリンを使用することによって、実施例6に類似して製造した。実施例8を分取用HPLCによってさらに精製して、5−アミノ−3−[(2S,4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン(実施例8−P1)(4mg)と5−アミノ−3−[(2R,4S,5R)−2−[(1S)−1−ヒドロキシプロピル]−4−(2−モルホリノ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン(実施例8−P2)(10mg)を白色の粉末として得た。実施例8−P1と実施例8−P2の絶対配置は、実施例5の帰属決定に類似して決定した。
【0194】
実施例8−P1:1H NMR (400MHz, CD3OD) δ ppm: 5.93 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.14 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 4.94 (m, 1H), 3.65 (m, 3H), 3.59 (m, 2H), 3.48 (m, 4H), 2.84 (m, 2H), 1.65 (m, 1H), 1.50 (m, 1H), 1.02 (t, J = 7.4 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 458。
【0195】
実施例8−P2:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.13 (m, 1H), 5.65 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.93 (m, 1H), 3.68 (m, 3H), 3.60 (m, 2H), 3.52 (m, 2H), 3.48 (m, 2H), 2.92 (m, 1H), 2.86 (m, 1H), 1.67 (m, 1H), 1.41 (m, 1H), 1.01 (m, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 458。
【0196】
実施例9
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル
【0197】
【化43】
【0198】
安息香酸[(1S)−1−メチル−2−オキソ−エチル](化合物9a)の製造
【0199】
【化44】
【0200】
プロピオンアルデヒド(5.0g,86ミリモル)、[ジフェニル−[(2S)−ピロリジン−2−イル]メトキシ]−トリメチル−シラン(2.8g,8.6ミリモル)、及びヒドロキノン(948mg,8.6ミリモル)のTHF(200mL)中の混合物を0℃で撹拌した。次いで、この混合物へ過酸化ベンジル(22.9g,95ミリモル)を加えた。0℃〜室温で4時間撹拌した後で、この反応混合物を1N HCl水溶液(200mL)へ注いでEtOAcで抽出し、飽和NaHCOと塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮した。この残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:10〜1:3を溶出液とする)によって精製して、安息香酸[(1S)−1−メチル−2−オキソ−エチル](化合物9a)(4.5g)を黄色がかったオイルとして得た。
【0201】
化合物9a:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm: 9.64 (m, 1H), 8.03(m, 2H), 7.71 (m, 1H), 7.62 (m, 2H), 4.99 (m, 1H), 1.48 (m, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 179。
【0202】
2−[2−[(1S)−1−ベンゾイルオキシエチル]−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(化合物9b)の製造
【0203】
【化45】
【0204】
安息香酸[(1S)−1−メチル−2−オキソ−エチル](化合物9a)(3.0g,17ミリモル)、2−メルカプトコハク酸(2.53g,17ミリモル)、及びp−TsOH(320mg,1.7ミリモル)のトルエン(150mL)中の混合物を60℃で4時間撹拌した。反応が完了した後で、この反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、飽和NaHCOと塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮した。この残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:10〜1:3を溶出液とする)によって精製して、2−[2−[(1S)−1−ベンゾイルオキシエチル]−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(化合物9b)(4.7g)を黄色がかったオイルとして得た。
【0205】
化合物9b:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm: 12.76 (brs, 1H), 7.95 (m, 2H), 7.70 (m, 1H), 7.56 (t, J = 7.7, 2H), 5.78-5.86 (m, 1H), 5.24-5.40 (m, 1H), 4.28-4.54 (m, 1H), 2.57-3.02 (m, 2H), 1.33-1.42 (m, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 311。
【0206】
安息香酸[(1S)−1−[4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]エチル](化合物9c)の製造
【0207】
【化46】
【0208】
2−[2−[(1S)−1−ベンゾイルオキシエチル]−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(化合物9b)(1.7g,5.5ミリモル)のEtO/MeOH(v/v=4:1,50mL)溶液へTMSCHN(ヘキサン中2M,4.1mL,8.2ミリモル)を室温で加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌してから水(50mL)でクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮した。この残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:10〜1:1を溶出液とする)によって精製して、安息香酸[(1S)−1−[4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]エチル](化合物9c)(1.5g)を黄色がかったオイルとして得た。
【0209】
化合物9c:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm: 7.96 (m, 2H), 7.71 (m, 1H), 7.57 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 5.77-5.90 (m, 1H), 5.21-5.44 (m, 1H), 4.34-4.59 (m, 1H), 3.55-3.67 (m, 3H), 2.74-3.09 (m, 2H), 1.38 (q, J = 6.4 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 325。
【0210】
安息香酸[(1S)−1−[5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]エチル](化合物9d)の製造
【0211】
【化47】
【0212】
安息香酸[(1S)−1−[4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]エチル](化合物9c)(1.5g,4.6ミリモル)の無水THF(60mL)溶液へLiAlH(Ot−Bu)(THF中1M,6.9mL,6.9ミリモル)を−78℃で滴下した。この反応混合物を温めて、室温で2時間撹拌した。次いで、ピリジン(1.87mL,23ミリモル)、無水酢酸(2.2mL,23ミリモル)、及びDMAP(1.69g,14ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌してから、飽和NHClでクエンチした。この溶液をDCM(50mL)で3回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮した。この残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:10〜1:3を溶出液とする)によって精製して、安息香酸[(1S)−1−[5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]エチル](化合物9d)(1.1g)を黄色がかったオイルとして得た。
【0213】
化合物9d:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 8.03 (m, 2H), 7.63 (m, 1H), 7.50 (m, 2H), 6.36-6.54 (m, 1H), 5.43-5.60 (m, 1H), 5.22-5.42 (m, 1H), 3.85-4.16 (m, 1H), 3.67-3.75 (m, 3H), 2.58-2.95 (m, 2H), 1.94-2.15 (m, 3H), 1.29-1.47 (m, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 369。
【0214】
安息香酸[(1S)−1−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]エチル](化合物9e)の製造
【0215】
【化48】
【0216】
5−アミノ−7−ヒドロキシチアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2(3H)−オン(550mg,3.0ミリモル)の無水ACN(50mL)溶液へBSA(2.7mL,11ミリモル)を加えた。この混合物を、この溶液が澄明になるまで60℃で加熱した。溶媒を除去して、残渣を無水DCM(100mL)に再び溶かした。この溶液へ安息香酸[(1S)−1−[5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]エチル](化合物9d)(1.1g,3.0ミリモル)とTMSI(0.91mL,6.6ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌してから飽和NaHCOでクエンチした。この溶液をDCM(100mL)で3回抽出して、飽和NaHCOと塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させて濃縮した。この残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/メタノール=20:1を溶出液とする)によって精製して、安息香酸[(1S)−1−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]エチル](化合物9e)(600mg)を黄色がかった固形物として得た。MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 493。 2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル(実施例9)の製造
【0217】
【化49】
【0218】
安息香酸[(1S)−1−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]エチル](化合物9e)(0.6g,1.2ミリモル)のMeOH(10mL)溶液へKCO(253mg,1.8ミリモル)を加えた。室温で一晩撹拌した後で、この反応混合物を1N HCl水溶液でpH7へクエンチしてから濃縮して粗生成物を得て、これを分取用HPLCによってさらに精製して、実施例9−P1(trans−1’,2’−ジアステレオマー1)(8mg)、実施例9−P2(trans−1’,2’−ジアステレオマー2)(5mg)、実施例9−P3(trans−1’,2’−ジアステレオマー3)(2mg)、及び実施例9−P4(trans−1’,2’−ジアステレオマー4)(2.5mg)を白色の粉末として得た。
【0219】
実施例9−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.14 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.62 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 4.80 (q, J = 7.3 Hz, 1H), 3.92 (m, 1H), 3.61 (s, 3H), 2.82 (m, 2H), 1.23 (d, J = 6.3 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 389。
【0220】
実施例9−P2:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.14 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.60 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.83 (q, J = 7.3 Hz, 1H), 3.89 (quin, J = 6.3 Hz, 1H), 3.61 (s, 3H), 2.81 (m, 2H), 1.21 (d, J = 6.5 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 389。
【0221】
実施例9−P3: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.94 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.11 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.98 (m, 1H), 3.61 (s, 3H), 2.76 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 1.23 (d, J = 6.3 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 389。
【0222】
実施例9−P4: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.95 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.14 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 4.75 (m, 1H), 4.02 (dd, J = 6.4, 4.1 Hz, 1H), 3.60 (s, 3H), 2.75 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 1.21 (d, J = 6.5 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 389。
【0223】
実施例10
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸
【0224】
【化50】
【0225】
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(実施例10)の製造
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル(実施例9,280mg,0.72ミリモル)のTHF(10mL)中の粗製混合物へLiOH水溶液(1M,5mL,5.0ミリモル)を加えた。室温で2時間撹拌した後で、この反応混合物をHCl水溶液でpH6〜7へクエンチしてから、濃縮した。この残渣を分取用HPLCによって精製して、実施例10−P1(trans−1’,2’−ジアステレオマー1)(23mg)、実施例10−P2(trans−1’,2’−ジアステレオマー2)(20mg)、実施例10−P3(trans−1’,2’−ジアステレオマー3)(9mg)、及び実施例10−P4(trans−1’,2’−ジアステレオマー4)(9mg)を白色の粉末として得た。
【0226】
【化51】
【0227】
実施例10−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.12 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.57 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.88 (quin, J = 6.3 Hz, 1H), 2.73 (m, 1H), 2.61 (m, 1H), 1.20 (d, J = 6.3 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 375。
【0228】
実施例10−P2: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.13 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.60 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.80 (m, 1H), 3.91 (m, 1H), 2.74 (m, 1H), 2.65 (m, 1H), 1.24 (d, J = 6.5 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 375。
【0229】
実施例10−P3: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.94 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.10 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.97 (quin, J = 6.3 Hz, 1H), 2.68 (m, 2H), 1.23 (d, J = 6.3 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 375。
【0230】
実施例10−P4: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.95 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.13 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 4.74 (m, 1H), 4.02 (m, 1H), 2.67 (m, 2H), 1.21 (d, J = 6.3 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 375。
【0231】
実施例11
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシペンチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸
【0232】
【化52】
【0233】
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシペンチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(実施例11)の製造
表題化合物は、プロピオンアルデヒドの代わりにヘキサンアルデヒドを使用することによって、実施例10に類似して製造した。実施例11を分取用HPLCによってさらに精製して、実施例11−P1(trans−1’,2’−ジアステレオマー1)(13mg)、実施例11−P2(trans−1’,2’−ジアステレオマー2)(21mg)、実施例11−P3(trans−1’,2’−ジアステレオマー3)(10mg)、及び実施例11−P4(trans−1’,2’−ジアステレオマー4)(18mg)を白色の粉末として得た。
【0234】
【化53】
【0235】
実施例11−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.10 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.61 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 4.84 (m, 1H), 3.66 (m, 1H), 2.65 (dd, J = 15.1, 5.8 Hz, 1H), 2.48 (dd, J = 15.3, 9.3 Hz, 1H), 1.50 (m, 3H), 1.39 (m, 3H), 0.94 (t, J = 7.2 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 417。
【0236】
実施例11−P2:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.10 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 5.64 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 4.80 (dt, J = 8.8, 6.5 Hz, 1H), 3.73 (m, 1H), 2.64 (dd, J = 14.9, 5.6 Hz, 1H), 2.47 (dd, J = 14.8, 9.0 Hz, 1H), 1.65 (m, 1H), 1.51 (m, 1H), 1.38 (m, 4H), 0.94 (t, J = 7.2 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 417。
【0237】
実施例11−P3: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.90 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.09 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.72 (m, 1H), 2.58 (m, 1H), 2.45 (dd, J = 15.6, 9.3 Hz, 1H), 1.59 (m, 1H) ,1.51 (m, 1H), 1.38 (m, 4H), 0.94 (t, J = 7.2 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 417。
【0238】
実施例11−P4: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.91 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.14 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 4.75 (td, J = 9.0, 5.1 Hz, 1H), 3.85 (m, 1H), 2.55 (m, 1H), 2.41 (dd, J = 15.1, 9.0 Hz, 1H), 1.46 (m, 6 H), 0.94 (t, J = 7.2 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 417。
【0239】
実施例12
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシブタ−3−エニル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸
【0240】
【化54】
【0241】
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(1S)−1−ヒドロキシブタ−3−エニル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(12)の製造
表題化合物は、プロピオンアルデヒドの代わりに4−メチルヘキサ−5−エナールを使用することによって、実施例10に類似して製造した。実施例12を分取用HPLCによってさらに精製して、実施例12−P1(trans−1’,2’−ジアステレオマー1)(23mg)、実施例12−P2(trans−1’,2’−ジアステレオマー2)(22mg)、実施例12−P3(trans−1’,2’−ジアステレオマー3)(16mg)、及び実施例12−P4(trans−1’,2’−ジアステレオマー4)(28mg)を白色の粉末として得た。
【0242】
【化55】
【0243】
実施例12−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.13 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 5.91 (ddt, J = 17.0, 10.1, 7.0 Hz, 1H), 5.65 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 5.10 (m, 2H), 4.83 (m, 1H), 3.74 (m, 1H), 2.73 (m, 1H), 2.63 (m, 1H), 2.31 (m, 2H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 401。
【0244】
実施例12−P2: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.11 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.90 (ddt, J = 17.2, 10.1, 6.9 Hz, 1H), 5.65 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 5.10 (m, 2H), 4.80 (m, 1H), 3.78 (m, 1H), 2.64 (dd, J = 14.7, 5.6 Hz, 1H), 2.44 (m, 2H), 2.22 (m, 1H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 401。
【0245】
実施例12−P3: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.93 (m, 2H), 5.10 (m, 3H), 4.83 (m, 1H), 3.81 (m, 1H), 2.56 (m, 1H), 2.42 (m, 2H), 2.30 (m, 1H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 401。
【0246】
実施例12−P4: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.89 (m, 2H), 5.17 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 5.04-5.16 (m, 2H), 4.75 (m, 1H), 3.94 (m, 1H), 2.56 (m, 2H), 2.31 (m, 2H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 401。
【0247】
実施例13
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(S)−シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル
【0248】
【化56】
【0249】
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(S)−シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸メチル(実施例13)の製造
表題化合物は、プロピオンアルデヒドの代わりに2−シクロプロピルアセトアルデヒドを使用することによって、実施例9に類似して製造した。実施例13を分取用HPLCによってさらに精製して、実施例13−P1(trans−1’,2’−ジアステレオマー1)(11mg)、実施例13−P2(trans−1’,2’−ジアステレオマー2)(8mg)、実施例13−P3(trans−1’,2’−ジアステレオマー3)(7mg)、及び実施例13−P4(trans−1’,2’−ジアステレオマー4)(6mg)を白色の粉末として得た。
【0250】
【化57】
【0251】
実施例13−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.17 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.76 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.80 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 3.61 (s, 3H), 3.27 (dd, J = 7.5, 4.8 Hz, 1H), 2.83 (dd, J = 7.3, 1.0 Hz, 2H), 0.90 (m, 1H), 0.52 (m, 2H), 0.39 (m, 2H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 415。
【0252】
実施例13−P2: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.15 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.77 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.61 (s, 3H), 3.02 (dd, J = 8.5, 6.3 Hz, 1H), 2.81 (m, 2H), 0.98 (m, 1H), 0.56 (m, 2H), 0.42 (m, 2H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 415。
【0253】
実施例13−P3:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.95 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 5.26 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.61 (s, 3H), 3.15 (dd, J = 8.0, 5.5 Hz, 1H), 2.78 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 0.96 (m, 1H), 0.54 (m, 2H), 0.46 (m, 1H), 0.39 (m, 1H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 415。
【0254】
実施例13−P4: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.96 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.33 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 4.74 (m, 1H), 3.60 (s, 3H), 3.27 (dd, J = 8.0, 3.8 Hz, 1H), 2.76 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 0.92 (m, 1H), 0.52 (m, 2H), 0.42 (m, 1H), 0.35 (m, 1H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 415。
【0255】
実施例14
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(S)−シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸
【0256】
【化58】
【0257】
2−[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−[(S)−シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3−オキサチオラン−4−イル]酢酸(実施例14)の製造
表題化合物は、プロピオンアルデヒドの代わりに2−シクロプロピルアセトアルデヒドを使用することによって、実施例10に類似して製造した。実施例14を分取用HPLCによってさらに精製して、実施例14−P1(trans−1’,2’−ジアステレオマー1)(49mg)、実施例14−P2(trans−1’,2’−ジアステレオマー2)(38mg)、実施例14−P3(trans−1’,2’−ジアステレオマー3)(12mg)、及び実施例14−P4(trans−1’,2’−ジアステレオマー4)(15mg)を白色の粉末として得た。
【0258】
【化59】
【0259】
実施例14−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.16 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.75 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.02 (dd, J = 8.5, 6.3 Hz, 1H), 2.75 (m, 2H), 0.99 (m, 1H), 0.56 (m, 2H), 0.41 (m, 2H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 401。
【0260】
実施例14−P2: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.18 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.75 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.80 (q, J = 7.1 Hz, 1H), 3.27 (dd, J = 7.5, 4.8 Hz, 1H), 2.77 (m, 2H), 0.90 (m, 1H), 0.52 (m, 2H), 0.39(m, 2H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 401。
【0261】
実施例14−P3: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.95 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 5.26 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 4.82 (m, 1H), 3.15 (dd, J = 8.0, 5.8 Hz, 1H), 2.71 (m, 2H), 0.96 (m, 1H), 0.53 (m, 2H), 0.46 (m, 1H), 0.40 (m, 1H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 401。
【0262】
実施例14−P4: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 5.97 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.33 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 4.73 (m, 1H), 3.27 (dd, J = 8.0, 3.8 Hz, 1H), 2.71 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 0.93 (m, 1H), 0.53 (m, 2H), 0.43 (m, 1H), 0.35 (m, 1H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 401。
【0263】
実施例15
安息香酸[(1S)−1−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2−オキソ−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル]
【0264】
【化60】
【0265】
安息香酸[(1S)−1−[(2S,4S,5R)−5−(5−アミノ−2−オキソ−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](実施例15)の製造
表題化合物(400mg)は、安息香酸[(1S)−1−[(4S)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4b)と5−アミノ−3,7a−ジヒドロチアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオンの代わりに安息香酸[(1S)−1−[(2S,4S)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4b1)と5−アミノ−3H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2−オンを使用することによって、安息香酸[(1S)−1−[(4S,5R)−5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]プロピル](化合物4d)に類似して、白色の粉末として製造した。
【0266】
実施例15:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 8.22 (s, 1H), 8.08 (m, 2H), 7.63 (m, 1H), 7.50 (m, 2H), 6.07 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.55 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 5.33 (dt, J = 8.8, 4.4 Hz, 1H), 4.95 (q, J = 7.3 Hz, 1H), 3.55 (s, 3H), 2.79 (m, 2H), 1.93 (m, 2H), 1.00 (t, J = 7.4 Hz, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 491。
【0267】
実施例16
2−[5−(5−アミノ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−2−メチル−プロパン酸
【0268】
【化61】
【0269】
2,2−ジメチルブタン二酸ジメチル(化合物16a)の製造
【0270】
【化62】
【0271】
2,2−ジメチルコハク酸(15.0g,0.10モル)のMeOH(200mL)溶液へ塩化アセチル(7.1mL,0.10モル)を0℃で加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下に除去して、粗製の2,2−ジメチルブタン二酸ジメチル(化合物16a)(18.0g)を無色のオイルとして得た。
【0272】
化合物16a:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm: 3.72 (s, 3H), 3.68 (s, 3H), 2.62 (s, 2H), 1.29 (s, 6H)。
3−ブロモ−2,2−ジメチル−ブタン二酸ジメチル(化合物16b)の製造
【0273】
【化63】
【0274】
ジイソプロピルアミン(8.3mL,59ミリモル)のTHF(200mL)溶液へn−BuLi(ヘキサン中1.6M,37mL,59ミリモル)をアルゴン下に−78℃で加えた。−78℃で30分間撹拌した後で、THF(50mL)中の2,2−ジメチルブタン二酸ジメチル(化合物16a)(8.0g,45ミリモル)を滴下した。さらに30分間撹拌した後で、TMSCl(10.4mL,82ミリモル)を滴下した。この反応混合物を−78℃で30分間撹拌し続けてから、NBS(9.7g,54ミリモル)を加えた。この反応混合物を−78℃でさらに2時間撹拌し続けてから、飽和NHClでクエンチした。この反応混合物をEtOAc(100mL)で3回抽出した。合わせた有機層を飽和NHCl、HO、及び塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して粗製の3−ブロモ−2,2−ジメチル−ブタン二酸ジメチル(化合物16b)(11.0g)を黄色がかったオイルとして得た。
【0275】
化合物16b:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm: 4.74 (s, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.74 (s, 3H), 1.44 (s, 3H), 1.42 (s, 3H)。
3−アセチルスルファニル−2,2−ジメチル−ブタン二酸ジメチル(化合物16c)の製造
【0276】
【化64】
【0277】
3−ブロモ−2,2−ジメチル−ブタン二酸ジメチル(化合物16b)(11.0g,62ミリモル)のDMF(100mL)溶液へチオ酢酸カリウム(8.54g,75ミリモル)を加えた。この反応混合物を60℃で16時間撹拌した。室温へ冷やした後で、この反応物を飽和NHClでクエンチしてから、EtOAc(300mL)で希釈した。有機層を飽和NHCl、HO、及び塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して、粗製の3−アセチルスルファニル−2,2−ジメチル−ブタン二酸ジメチル(化合物16c)(11.0g)を茶褐色のオイルとして得た。
【0278】
化合物16c:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm: 4.66 (s, 1H), 3.71 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 2.40 (s, 3H), 1.31 (s, 3H), 1.27 (s, 3H)。
2,2−ジメチル−3−スルファニル−ブタン二酸(化合物16d)の製造
【0279】
【化65】
【0280】
3−アセチルスルファニル−2,2−ジメチル−ブタン二酸ジメチル(化合物16c)(5.0g,20ミリモル)を6N HCl/ジオキサン(v/v=1:1,40mL)に溶かした。この反応混合物を90℃で16時間加熱してから、溶媒を減圧下に除去して、粗製の2,2−ジメチル−3−スルファニル−ブタン二酸(化合物16d)(4.5g)を茶褐色のオイルとして得た。
【0281】
化合物16d:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm: 3.76 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 1.43 (s, 3H), 1.41 (s, 3H)。
2−[2−(ベンゾイルオキシメチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル]−2−メチル−プロパン酸(16e)の製造
【0282】
【化66】
【0283】
ベンゾイルオキシアセトアルデヒド(3.4g,20ミリモル)と2,2−ジメチル−3−スルファニル−ブタン二酸(化合物16d)(3.6g,20ミリモル)の混合物をトルエン(50mL)中において触媒量のp−TsOH(300mg,1.7ミリモル)の下に60℃で4時間撹拌した。反応が完了した後で、この混合物を室温へ冷やしてEtOAc(100mL)で希釈し、飽和NaHCOと塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィーによって精製して、2−[2−(ベンゾイルオキシメチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル]−2−メチル−プロパン酸(化合物16e)(4.0g)を無色のオイルとして得た。
【0284】
化合物16e:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.08 (m, 2H), 7.62 (m, 1H), 7.49 (m, 2H), 5.72 (m, 1H), 4.58 (m, 3H), 1.39-1.49 (m, 6H)。
安息香酸[4−(2−メトキシ−1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物16f)の製造
【0285】
【化67】
【0286】
2−[2−(ベンゾイルオキシメチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−4−イル]−2−メチル−プロパン酸(化合物16e)(1.8g,5.5ミリモル)のDMF(30mL)溶液へCDI(1.8g,11ミリモル)と触媒量のDMAP(180mg,1.5ミリモル)を加えた。この混合物を55℃で1.5時間撹拌してから、MeOH(0.88mL,22ミリモル)を加えた。この混合物を55℃で3時間撹拌した。反応が完了した後で、この反応物を飽和NHClでクエンチして、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を飽和NHCl、HO、及び塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィーによって精製して、安息香酸[4−(2−メトキシ−1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物16f)(1.0g)を無色のオイルとして得た。
【0287】
化合物16f:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.07 (m, 2H), 7.61 (m, 1H), 7.49 (m, 2H), 5.71 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 4.51-4.61 (m, 3H), 3.77 (m, 3H), 1.36-1.45 ppm (m, 6H)。
【0288】
安息香酸[5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物16g)の製造
【0289】
【化68】
【0290】
安息香酸[4−(2−メトキシ−1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−5−オキソ−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物16f)(600mg,1.8ミリモル)の無水THF(10mL)溶液へLiAlH(Ot−Bu)(THF中1M,2.7mL,2.7ミリモル)を−78℃で滴下した。室温で2時間撹拌した後で、ピリジン(0.7mL,8.7ミリモル)、無水酢酸(0.85mL,8.7ミリモル)、及びDMAP(0.66g,5.1ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で5時間撹拌してから、飽和NHClでクエンチした。この溶液をDCM(30mL)で3回抽出した。有機層を合わせ、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して粗生成物を得て、これをフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、安息香酸[5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物16g)(630mg)を黄色がかったオイルとして得た。MS obsd. (ESI+) [(M+ H)+]: 383。
【0291】
安息香酸[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物16h)の製造
【0292】
【化69】
【0293】
5−アミノ−7−ヒドロキシ−3H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2−オン(470mg,2.6ミリモル)のACN(20mL)懸濁液へBSA(1.82g,2.2mL,8.9ミリモル)を加えた。この混合物をアルゴン下に70℃で0.5時間撹拌すると、澄明な溶液を生成した。次いで、この溶液を減圧下に濃縮すると白色の固形物を生成して、この固形物をDCM(20mL)に溶かした。このDCM溶液へ安息香酸[5−アセトキシ−4−(2−メトキシ−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物16g)(650mg,1.7ミリモル)とTMSI(680mg,472μL,3.4ミリモル)を加えてから、この反応混合物を室温で14時間撹拌した。反応が完了した後で、この混合物を濃縮して、その残渣をEtOAc(50mL)と飽和NaHCO溶液(15mL)の間に分配した。有機層を分離して、水相をEtOAc(25mL)で2回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄して、NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して、粗製の安息香酸[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物16h)(860mg)を茶褐色の固形物として得た。MS obsd. (ESI+) [(M+ H)+]: 507。
【0294】
2−[5−(5−アミノ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−2−メチル−プロパン酸(実施例16)の製造
【0295】
【化70】
【0296】
安息香酸[5−(5−アミノ−2,7−ジオキソ−6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−4−(2−メトキシ−1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−1,3−オキサチオラン−2−イル]メチル(化合物16h)(400mg,790μモル)のTHF(10mL)溶液へ水(10mL)中のLiOH(227mg,9.5ミリモル)を加えた。次いで、この混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後で、この混合物をHOAcでpH7へ調整した。この混合物を濃縮して分取用HPLCによって精製して、2−[(cis−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−2−メチル−プロパン酸(実施例16−P1、ジアステレオマー1)(12mg)と2−[(trans−2,4−trans−4,5)−5−(5−アミノ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−4−イル]−2−メチル−プロパン酸(実施例16−P2、ジアステレオマー2)(8mg)を白色の粉末として得た。実施例16−P1と実施例16−P2の相対配置は、NOESYによって決定した。
【0297】
実施例16−P1:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.28 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 5.22 (m, 1H), 5.00 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.83 (m, 1H), 3.74 (m, 1H), 1.31 (m, 6H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 389。
【0298】
実施例16−P2: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm: 6.42 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 5.76 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 4.96 (m, 1H), 3.77 (m, 1H), 3.70 (m, 1H), 1.31 (s, 3H), 1.29 (s, 3H). MS obsd. (ESI+) [(M+H)+]: 389。
【0299】
【化71】
【0300】
実施例16−P1では、C4’−HとC1’−HのNOESY相関を観測し、C4’−HとC6’−HとC6’’−Hの相関を観測した。実施例16−P2では、C4’−HとC2’−Hの相関を観測し、C5’−HとC1’−Hの相関を観測した。
【0301】
実施例17
HEK293−Blue−hTLR−7細胞アッセイ:
Invivogen(カタログ番号:hkb−htlr7,カリフォルニア州サンディエゴ、アメリカ)より、安定したHEK293−Blue−hTLR−7細胞系を購入した。これらの細胞は、NF−κBの活性化をモニターすることによってヒトTLR7の刺激について検討するために設計された。5つのNF−κB及びAP−1結合部位へ融合したIFN−β最小プロモーターの制御下にSEAP(分泌型胚性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子を置いた。HEK−Blue hTLR7細胞をTLR7リガンドで刺激することを介してNF−κBとAP−1を活性化することによって、SEAPを誘導した。故に、そのレポーターの発現は、ヒトTLR7の刺激時のNF−κBプロモーターによって調節された。アルカリホスファターゼの存在下で紫色〜青色になる検出媒体である、QUANTI−BlueTMキット(カタログ番号:rep−qb1,Invivogen,カリフォルニア州サンディエゴ、アメリカ)を640nmの波長で使用して、細胞培養上清のSEAPレポーター活性を定量した。
【0302】
HEK293−Blue−hTLR7細胞を、96ウェルプレートにおいて、4.5g/l グルコース、50U/ml ペニシリン、50mg/ml ストレプトマイシン、100mg/ml ノルモシン(Normocin)、2mM L−グルタミン、10%(v/v)熱不活性化胎仔ウシ血清を含有するダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)中180μLの容量において250,000〜450,000個の細胞/mLの密度で24時間インキュベートした。次いで、このHEK293−Blue−hTLR−7細胞を、最終DMSOが1%で存在する系列希釈液中20μLの試験化合物を加えてインキュベートし、COインキュベーターにおいて37℃で20時間のインキュベーションを実施した。次いで、各ウェルからの上清の20μLを180μLのQuanti−blue基質溶液とともに37℃で1〜3時間インキュベートして、分光光度計を使用して620〜655nmで吸光度を読み取った。TLR7活性化が下流のNF−κB活性化をもたらすシグナル伝達経路については広く受け入れられているので、TLR7アゴニストについて評価するために類似のレポーターアッセイも広く使用されてきた(Tsuneyasu Kaisho and Takashi Tanaka, Trends in Immunology, Volume 29, Issue 7, July 2008, Pages 329.sci; Hiroaki Hemmi et al, Nature Immunology 3, 196-200 (2002))。
【0303】
本明細書に記載のように、本発明の化合物について、そのTLR7アゴニズム活性を上記のアッセイにおいて試験して、結果を表1に収載する。本実施例は、約3μM〜約470μMのEC50を有することがわかった。特別な式(I)又は(Ia)の化合物は、約3μM〜約42μMのEC50を有することがわかった。
【0304】
表1:HEK293−hTLR−7アッセイにおける化合物の活性
【0305】
【表1】
【0306】
実施例18
プロドラッグ:式(II)の化合物の代謝
ある試験を行って、プロドラッグである式(II)又は(IIa)の化合物の、本発明の式(I)又は(Ia)の化合物への代謝変換について評価した。プロドラッグである式(II)又は(IIa)の化合物は、それらがプロドラッグとして供される場合、身体中で本発明の式(I)又は(Ia)の活性化合物や他の化合物へ代謝され得る。動物又はヒトの身体中でのプロドラッグの代謝変換の度合いについて評価するには、肝細胞がしばしば使用される。
【0307】
ある試験を行って、ヒト肝細胞の存在下での、プロドラッグの実施例15の対応する活性型、実施例5−P1への代謝変換について評価した。この試験では、活性型、実施例5−P1の生成をモニターした。比較用に、ファンシクロビルからペンシクロビルへの代謝変換についても評価した。
【0308】
肝細胞懸濁液
RILD Research Institute for Liver Diseases(上海)社より、凍結保存された肝細胞播種培地(カタログ番号:PY−HMD−03)を購入した。BioreclamationIVT(メリーランド州ボルチモア)より、凍結保存されたヒト肝細胞(カタログ番号:X008005,ロット番号:VRR)を購入した。
【0309】
播種培地中の凍結保存肝細胞より、ストック肝細胞懸濁液を1.8x10個の細胞/mLの濃度で調製した。
化合物の希釈標準溶液(working solutions)
化合物をDMSOに溶かして、10mMのストック溶液を作製した。このストック溶液の10μLを990μLの播種培地へ希釈して、100μMの希釈標準溶液を得た。
【0310】
インキュベーション
24ウェル細胞培養プレートにおいて、200μLの肝細胞懸濁液(ヒト)と200μLの希釈標準溶液を混合することによって、反応懸濁液を調製した。この最終インキュベーション液は、0.9x10個の細胞/mLと50μMの化合物を含有した。上記の混合物を加湿した5% COの雰囲気において、900rpmで振り混ぜながら、37℃でインキュベートした。
【0311】
分析用試料の調製
180分のインキュベーションの後で、このインキュベーション混合物の200μLを1.5mL試験管へ移して、400μLの停止溶液(内部標準として0.2μMのトルブタミドを含む、氷冷アセトニトリル)でクエンチした。この試料を14000rpmで10分間遠心分離させて、生じる上清をLC−MS/MS分析へ処した。
【0312】
検量線は、以下のやり方で作成した。200μLの細胞懸濁液(180万個の細胞/mLの細胞密度)へ198μLの肝細胞播種培地と2μLの適切な濃度の化合物のDMSO溶液を加えた。試料を徹底的に混合して、この混合物の200μLを400μLの停止溶液(上記参照)へ移した。この標準曲線の範囲は、1μM〜25μMである。
【0313】
生物分析
化合物は、API5500 LC−MC/MC機器においてESI−ポジティブMRMモードで定量した。プロドラッグ変換と代謝物産生の結果を表2に要約する。
【0314】
表2:50μMのプロドラッグの3時間のインキュベーション後にヒト肝細胞において生成した代謝産物の濃度
【0315】
【表2】
【0316】
ヒト肝細胞において、実施例15の化合物、並びにファンシクロビルは、代謝されて、対応する活性代謝産物、実施例5−P1とペンシクロビルをそれぞれ生じた。