【実施例】
【0050】
下記の実施例では、DSC性能、部分放電のセルガス発生、無放電のセルガス発生及び貯蔵後の条件について電気化学セルを試験した。ゲル化負極は、本開示の改善に応じて調製された。
【0051】
ゲル粘度は、Brookfieldデジタル粘度計及びテフロン(登録商標)被覆スピンドル#06を使用して4rpmで測定される。測定時、粘度値を記録する前に読み取りに5分超安定化することを許容する。
【0052】
降伏応力値測定のために、ゲル粘度値を1.0rpm(R1)及び0.5rpm(R2)のそれぞれにおいて測定し、降伏応力値を次式、降伏応力値=(R2−R1)/100を使用して計算した。
【0053】
電気化学セルは、American National Standards Institute(ANSI)の方法に従って試験することができる。例えば、
図1及び
図5にグラフ化されたANSIデータは、ANSI C18.1M、パート1−2009に従って行われたテストに対応し、
図11及び
図18にグラフ化されたANSIデータは、ANSI C18.1M、パート1−2015に従って行われたテストに対応する。これらの試験は、とりわけ、セルパルス放電、間欠セル放電、またはデジタルスチルカメラ、DSC(すなわち、電圧が1.05Vの終点電圧に達するまで、毎時間5分の間2秒間に1500mW及び28秒間に650mWの印加を繰り返す)試験の様々な放電モード下でのセル性能/寿命を判定することを含む。試験はまた、玩具、大型ラジカセ及び重工業用懐中電灯(HIF)のような様々な装置においてセルを放電することによるセル性能/寿命を判定することを含む。AAセルに適用されるANSI C18.1Mパート1−2009試験は、既知の(対照)負極調製法を含むセルの性能に対して、定義された負極調製法を含む少なくとも4個のセルに対する試験から平均放電性能を測定することによって実行される9つのANSI試験を含む。次に、ANSI平均は、相対値として100%で記載された既知の負極調製法で対照セルの値に正規化される。したがって、DSC性能などのセル放電性能は、LiOH及びスズのような添加物の変化量に対してグラフ化される。C18.1Mパート1−2015では、AA ANSI試験は7つの試験で構成される。例示的な試験条件を以下の表に列挙し、本開示のセルの様々な試験の結果を以下に詳述する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0054】
図1に記載のLR6セルの負極ゲルは、28%のゲルKOH濃度を含み、かつゲルの重量に対して、対応する亜鉛負荷量は67.5%であった。亜鉛粉末は、主合金元素としてビスマス及びインジウムをそれぞれ約200ppm及び200ppmの濃度で含んでいた。LiOH・H
2Oとして添加された約500ppm及び1000ppmの濃度で水酸化リチウム(LiOH)を試験して、性能及び信頼性へのその影響を判定した。水酸化リチウムとともに、0ppm、1000ppm、及び1500ppmの濃度でスズ粉末を第2の添加物として添加した。水酸化リチウムの添加は、水酸化リチウムの性能効果を打ち消すために、セルガス発生及びスズの添加を抑制することを意図している。
図1に示すように、LiOHの存在の下では、スズ粉末の添加物が1000ppm及び1500ppmのセルのANSI性能は、スズ粉末の添加物が0ppmのセルに対して増加した。
図1は、スズなしでは、LiOHの存在の下でANSI性能が抑制されるが、LiOHの存在の下での性能は、スズの添加量が増加するにつれて増加することを示している。LiOH及びスズの存在に起因するDSC性能の傾向を
図2に示す。
図1に示されたANSI性能で観察される傾向に似ている。
図1のデータは、水酸化リチウムと組み合わせてスズのレベルを増加させると、スズを添加物として含まないセルと比較してANSI性能が改善する傾向があることを示している。
【0055】
上記の性能が記載されているセルに対応するセルガス発生の結果を
図3及び
図4に示す。
図3は、部分放電及び71.1℃で1週間の乾燥オーブン中での貯蔵後の上記のLR6(AA)アルカリセルからのセルガス発生データを示す。このセルサイズの部分放電は、250mAの定電流で1.80時間行った。対応する無放電のセルガス発生の結果を
図4に示す。この場合、セルガス発生は、無放電のセルを乾燥オーブンにおいて71.1℃で1週間貯蔵した後のものである。部分放電及び無放電の両方のセルガス発生は、500ppm及び1000ppmのレベルの水酸化リチウムの添加によって抑制される。
【0056】
図5及び
図6は、負極ゲル中に水酸化リチウムを含むかまたは含まない酸化セリウム(CeO
2)を添加したLR6セルの室温での3ヶ月の貯蔵後の遅延なし(ND)及びDSC性能におけるANSI性能をそれぞれ示す。
図7及び
図8は、
図5及び
図6に記載のLR6セルから測定した、それぞれ無放電(UD)のセルガス発生及び部分放電(PD)のセルガス発生を示している。それぞれのゲルKOH濃度は29%であり、亜鉛負荷は69%であった。亜鉛合金粒子は120ppmのビスマスと120ppmのインジウムを含んでいた。CeO
2及び水酸化リチウムの添加の影響を、亜鉛見掛け密度AD−1、AD−2及びAD−3を含む3つの亜鉛粉末、すなわち2.50、2.70、及び2.90g/ccでそれぞれ試験した。負極ゲルへの添加物は、600ppmの濃度の水酸化リチウム及び750ppmの濃度のCeO
2(添加物2)を含んでいた。
図5は、2.70及び2.90g/ccの見掛け密度の粉末に750ppmの酸化セリウムを添加することで、LR6性能が改善されることを示す。2.50g/ccの見掛け密度の粉末では、利得は見られなかった。添加物が存在しない場合、約2.50g/ccの見掛け密度の亜鉛粉末を含むセルの性能は、2.70及び2.90g/ccの密度の粉末で製造されたセルの性能と比較して最も良好であった。しかしながら、3ヶ月間保存した後、2.70g/ccの見かけ密度及び750ppmのCeO
2を単独で含むか、または750ppmのLiOHを含む亜鉛を有するセルの性能は、添加物を含まないセルと比較して改善した。DSCの改善は、2.90g/ccの見かけ密度及び750ppmのCeO
2を含む亜鉛を有するセルにおいても見られる。したがって、2.70g/ccの見掛け密度の亜鉛粉末を有するセルは、
図6に見られるように、貯蔵後に最も改善された。
【0057】
図7は、
図5及び
図6に従って記載されたセルの無放電のセルガス発生を表示する。有意な因子は観察されず、かつセルガス発生は、亜鉛の見掛け密度または酸化セリウムもしくは水酸化リチウムの添加に関わらず、0.22〜0.28ccの範囲である。
図8は、対応する部分放電のセルガス発生を示す。
図8は、最も低い見掛け密度の亜鉛粉末で部分放電のセルガス発生が最も高いことを示している。PDのセルガス発生は、酸化セリウムの存在によっては有意に影響を受けなかった。減少した部分放電のセルガス発生の傾向は、水酸化リチウムの存在下で、特に低い見掛け密度の粉末を含むセルでわずかに見られる。
【0058】
図9は、160°Fで1週間貯蔵したLR6セルから測定した部分放電(PD)のセルガス発生を提供する。それぞれのゲルKOH濃度は26.5%であり、亜鉛負荷は71%であった。セルは、2.77及び2.79g/ccの見掛け密度の亜鉛粉末で作製した。この図は、35ppmのRhodafac(登録商標)RM−510を750ppmの水酸化リチウムと組み合わせたセルが、部分放電のセルガス発生の抑制を実現することを示している。亜鉛粉末または添加物の存在にかかわらず、無放電のセルガス発生に有意な影響は観察されなかった。
図10は、3ヶ月間貯蔵した後の
図9に記載されたセルの対応するDSC性能を示す。水酸化リチウムの存在下でのDSC性能は、水酸化リチウムを添加していないセルの性能と少なくとも同等である。
【0059】
LR20セルの負極ゲルは、そのANSI性能を
図11に示すが、150ppmのビスマス及び150ppmのインジウムを含み、かつゲルの重量に対して64%の亜鉛負荷がある亜鉛合金を含んでいた。LiOH・H
2Oとして2000ppmの水酸化リチウム(LiOH)を含んでいるLR20セルと比較して、従来のLR20セルは添加物を含んでいなかった。対照阻害剤(CTRL)は、ゲルの重量で60ppmのRhodafac(登録商標)RM−510であり、かつ代替阻害剤は80ppmのCrodafos(登録商標)SG−LQであった。
図11は、水酸化リチウムの添加による性能がRhodafac(登録商標)RM−510にほとんど影響されなかったが、代替の阻害剤が水酸化リチウムと併用された場合には1%未満に抑制されたことを示す。
【0060】
図12及び
図13は、
図11に記載されたように、水酸化リチウム添加の影響を阻害するLR20セルの無放電及び部分放電のセルガス発生を示す。
図12及び
図13のデータは、Crodafos(登録商標)SG−LQ(代替阻害剤)及び水酸化リチウムを含むセルの部分放電後に最も顕著な、水酸化リチウムの添加によるセルガス発生のいくらかの減少を示す。
【0061】
無放電セルの閉回路電圧(「CCV」、V)、アンペア数(A)、及びインピーダンス(オーム)におけるLR6セルへの水酸化リチウムの添加の影響を
図14、
図15、及び
図16にそれぞれ示す。対応するLR6ゲルは、26.5%のKOH及び2%のZnO溶液で作製し、亜鉛負荷は、70%のZnとした。ゲルのバリエーションは、Rhodafac(登録商標)RM−510阻害剤、Crodafos(登録商標)SG−LQ阻害剤、Rhodafac(登録商標)RM−510と組み合わせた水酸化リチウム、及び阻害剤のない水酸化リチウムを添加したゲルを含んでいた。阻害剤は、負極ゲルの35ppmの濃度で使用した。水酸化リチウムを含むセルは、この添加物の500または750ppm含有していた。
図14は、水酸化リチウムをRhodafac(登録商標)RM−510と結合してまたは単独で添加するとCCV電圧が増加することを示している。
図15は、水酸化リチウムの添加もアンペア数のわずかな増加を誘導することを示している。水酸化リチウムを添加する別の特質は、
図16に見られるように、この添加物を含有していないセルと比べてセルインピーダンスの低下もあった。
【0062】
図18に記載されたLR20セルの負極ゲルは、ゲルの重量に対して63%の亜鉛負荷であった。亜鉛粉末は、主要な合金元素としてビスマス及びインジウムを約200ppm及び200ppmの濃度でそれぞれ含有していた。ゲルKOH濃度を30.5%及び32%で試験した。水酸化リチウムを約0ppm及び1142ppmの濃度で試験し、対応するRhodafac(登録商標)RM−510濃度を性能及び信頼性への影響を判定するために60ppmで試験した。200Bi−200InのSTD(標準)亜鉛として標識された、従来の粉末の微粒子含有率より高い200Bi−200InのHF(高微粒子)として標識された亜鉛系粒子のタイプも試験した。両方の亜鉛粉末のインジウム及びビスマス含有量は、それぞれ200ppmであった。
図18に見られるように、LiOHの存在の下では、1142ppmのLiOHを含むセルのANSI性能は、LiOHを含まないセルと比較して増加した。
図18はまた、32%のKOH及び30.5%のKOHで性能がほぼ同じレベルであることを示している。さらに、HF Znを含むセルのANSI性能は、STD亜鉛を含むセルと比較して増加した。
図18のデータは、水酸化リチウムと組み合わせたSTD亜鉛またはHF亜鉛の存在が改善されたANSI性能を実現する傾向があることを示している。したがって、標準またはHF亜鉛及び水酸化リチウムの最適化されたレベルで改善されたANSI性能が期待される。
【0063】
LR20電池は、1.5オーム、15分のうち4分、8時間/日のASTM重工業の懐中電灯試験(HIFT)で放電された。電池はまた、2.2オーム、4時間/日の玩具タイプの試験で放電された。KOH濃度の変動ならびにLiOH及びHF Znの存在に起因して、室温(21℃)で3ヶ月後の玩具及びHIFTにおけるLR20電池の性能を
図19に示す。
図18に記載されたANSI性能で観察された傾向に似ている。
図20は、HIFT(71.1℃で1週間及び54.4℃で2週間)、玩具(54.4℃で2週間)、ならびに大型ラジカセ(54.4℃で2週間)で試験した場合、様々なKOH濃度ならびにLiOH及びHF Znの存在の下でのLR20電池の性能への影響を示す。
図19及び
図20は、室温及び高温の両方で、HF亜鉛及びLiOHによって性能が優位であることを示唆している。
【0064】
上記の性能のセルに対応するセルガス発生の結果を
図21及び
図22に示す。
図21は、乾燥オーブンにおいて160°Fで1週間貯蔵した後の無放電セルについての上記のLR20アルカリセルからのセルガス発生データを示す。対応する部分的なセルガス発生の結果を
図22に示す。このセルサイズの部分放電を600mAの定電流で11時間行った。部分放電セル及び無放電セルの両方は、LiOHの使用によりならびにHF亜鉛の使用により、低いp値によって示されるように、0.050より低いp値を有する両方の要因で、統計的に減少したセルガス発生を示す。
【0065】
図23は、STD及びHF亜鉛で製造された32%のKOHを含有するLR20セルのポストドロップアンプデータを示す。負極ゲルへの1140ppmのLiOHの添加は、Ppk値の増加によって見られるように、特にHF亜鉛の存在の下でのセルポストドロップアンペア数分布の改善を誘導することが観察される。[Ppkは、全体標準偏差(δ)に基づくデータセットの統計的処理能力である。値が高いほど、分布は良好である。すなわち、Ppk=PPL=[(μ−LSL/3δ overall)]。
図24は、30.5%のKOHで製造されたLR20セルにLiOHを添加すると、アンペア数分布がより高い値に改善され、したがって、32%のKOHで示される結果と一致して、落下試験失敗に対する耐性を向上する。
図23及び24は、落下試験に合格するために3Aの低仕様限界(LSL)を基準として表示する。
【0066】
本技術は、アルカリ金属水酸化物、有機リン酸エステル界面活性剤、金属酸化物、及びスズからなる群から選択される1つ、2つ、またはそれ以上の添加物を使用することにより、セル電流、閉回路電圧が向上し、ならびにセルインピーダンスが低下する。また、部分放電後のような低減されたセルガス発生は、単独の水酸化リチウム、またはRhodafac(登録商標)RM−510もしくはSG−LQ阻害剤と結合した添加物によって見られる。理論に縛られることなく、水酸化リチウムは、亜鉛粒子表面上の不動態化層の組成を変え、アルカリ電池環境において、より良好な保護と亜鉛の腐食低減を生じさせると考えられている。しかしながら、水酸化リチウムを単独で使用すると、小さいセル(LR6)における高速性能(DSC)の効果が抑制される。これらの高速(DSC)性能は、酸化セリウム、スズ金属、または有機リン酸エステル界面活性剤などの他の添加物をゲル状負極に添加することによって改善することができる。これらの添加物は、放電中のゲル状負極における粒子接触に対する亜鉛粒子対をセルガス発生に悪影響を与えることなく改善することができる。これらの添加物、例えば酸化セリウム及び水酸化リチウムまたはスズ及び水酸化リチウムの組み合わせを負極ゲル中に添加することにより、これらの添加物を含まない対照セルと比較してセルガス発生がさらに抑制され、高温貯蔵期間のセルの信頼性を改善するように導き、かつ高速のDSC性能が維持される。
【0067】
本発明は、下記の実施形態によってさらに画定される。
【0068】
実施形態A. アルカリ電気化学セル用ゲル状負極であって、当該負極は、亜鉛系粒子、アルカリ電解質、ゲル化剤、ならびにアルカリ金属水酸化物、有機リン酸エステル系界面活性剤、金属酸化物、及びスズからなる群から選択される2つ以上の添加物を含む、ゲル状負極。
【0069】
実施形態B. 当該アルカリ金属水酸化物を含み、当該アルカリ金属水酸化物が水酸化リチウムである、実施形態Aに記載のゲル状負極。
【0070】
実施形態C. 当該アルカリ金属酸化物を含み、当該金属酸化物が酸化セリウムである、実施形態A〜Bのいずれか1つに記載のゲル状負極。
【0071】
実施形態D. 当該添加物は、水酸化リチウム及びリン酸エステル界面活性剤を含む、実施形態A〜Cのいずれか1つに記載のゲル状負極。
【0072】
実施形態E. 当該添加物は、水酸化リチウム及び酸化セリウムを含む、実施形態A〜Dのいずれか1つに記載のゲル状負極。
【0073】
実施形態F. 当該添加物は、水酸化リチウム及びスズを含む、実施形態A〜Eのいずれか1つに記載のゲル状負極。
【0074】
実施形態G. 当該添加物は、水酸化リチウム、酸化セリウム、及びスズを含む、実施形態A〜Fのいずれか1つに記載のゲル状負極。
【0075】
実施形態H. 当該有機リン酸エステル界面活性剤は、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、−a−(ジノニルフェニル)−w−ヒドロキシ−、リン酸塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸塩、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、−a−ヒドロ−w−ヒドロキシ−、C
8-10−アルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンイソトリデシルリン酸塩、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンセチルエーテル、C
10-C
14アルコールエトキシレートリン酸エステル、トリデシルアルコールエトキシレートリン酸エステル、及びノニルフェノールエトキシレートリン酸エステルからなる群から選択される、実施形態F〜Gのいずれか1つに記載のゲル状負極。
【0076】
実施形態I. 当該水酸化リチウムは、ゲル状負極混合物の総重量に対して約0.02重量%〜約0.2重量%の濃度で存在する、実施形態F〜Hのいずれか1つに記載のゲル状負極。
【0077】
実施形態J. 当該酸化セリウムは、ゲル状負極混合物の総重量に対して約0.05重量%〜約0.2重量%の濃度で存在する、実施形態A〜Iのいずれか1つに記載のゲル状負極。
【0078】
実施形態K. 当該有機リン酸エステル界面活性剤は、ゲル状負極混合物の総重量に対して約0.001重量%〜約0.015重量%の濃度で存在する、実施形態A〜Jのいずれか1つに記載のゲル状負極。
【0079】
実施形態L. スズは、ゲル状負極混合物の総重量に対して約0.05重量%〜約0.2重量%の濃度で存在する、実施形態A〜Kのいずれか1つに記載のゲル状負極。
【0080】
実施形態M. 当該亜鉛系粒子は、亜鉛合金粒子である、実施形態A〜Lのいずれか1つに記載のゲル状負極。
【0081】
実施形態N. 当該亜鉛合金は、約100ppm〜約280ppmのビスマス、及び約100ppm〜約280ppmのインジウムを含む、実施形態Mに記載のゲル状負極。
【0082】
実施形態O. 亜鉛合金の総重量に対して約20重量%〜約50重量%が、約75マイクロメートルよりも小さい粒径を有する、実施形態MまたはNに記載のゲル状負極。
【0083】
実施形態P. 当該亜鉛合金の総重量に対して約20重量%〜約40重量%が、約75ミクロンより小さい粒径を有し、当該亜鉛合金の総重量に対して約8重量%〜約20重量%が、150マイクロメートルより大きい粒径を有する、実施形態Oに記載のゲル状負極。
【0084】
実施形態Q. アルカリ電気化学セルであって、正集電体と、当該正集電体と接触する正極と、亜鉛系粒子、アルカリ電解質、ゲル化剤、ならびにアルカリ金属水酸化物、有機リン酸エステル界面活性剤、金属酸化物、及びスズからなる群から選択される2つ以上の添加物を含むゲル状負極と、当該正極と当該負極との間のセパレータと、当該負極に電気的に接触する負集電体と、を備える、アルカリ電気化学セル。
【0085】
実施形態R. 当該アルカリ電解質は、水酸化カリウムを含む、実施形態Qに記載のアルカリ電気化学セル。
【0086】
実施形態S. 当該アルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウムである、実施形態QまたはRに記載のアルカリ電気化学セル。
【0087】
実施形態T. 当該酸化金属は、酸化セリウムである、実施形態Q〜Sのいずれか1つに記載のアルカリ電気化学セル。
【0088】
実施形態T’. 当該添加物は、水酸化リチウム及びリン酸エステル界面活性剤を含む、実施形態Q〜T’のいずれか1つに記載のアルカリ電気化学セル。
【0089】
実施形態U. 当該添加物は、水酸化リチウム及び酸化セリウムを含む、実施形態Q〜Tのいずれか1つに記載のアルカリ電気化学セル。
【0090】
実施形態V. 当該添加物は、水酸化リチウム及びスズを含む、請求項Q〜Uのいずれか1つに記載のアルカリ電気化学セル。
【0091】
実施形態W. 当該添加物は、水酸化リチウム、酸化セリウム、及びスズを含む、請求項Q〜Vのいずれか1つに記載のアルカリ電気化学セル。
【0092】
実施形態X. 当該リン酸エステル界面活性剤は、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、−a−(ジノニルフェニル)−w−ヒドロキシ−、リン酸塩である、請求項Q〜Wのいずれか1つに記載のアルカリ電気化学セル。
【0093】
実施形態Y. アルカリ金属水酸化物、有機リン酸エステル界面活性剤、金属酸化物、及びスズからなる群から選択される2つ以上の添加物を前記ゲル状負極の中に有しないアルカリ電気化学セルと比較して、約10%〜約60%のガス発生の減少を示す、実施形態Q〜Xのいずれか1つに記載のアルカリ電気化学セル。
【0094】
実施形態Z. 当該亜鉛系粒子は、亜鉛合金粒子である、実施形態Q〜Yのいずれか1つに記載のアルカリ電気化学セル。
【0095】
実施形態AA. 当該亜鉛合金は、約100ppm〜約280ppmのビスマス、及び約100ppm〜約280ppmのインジウムを含む、実施形態Zに記載のアルカリ電気化学セル。
【0096】
実施形態BB. 亜鉛合金の総重量に対して約20重量%〜約50重量%が、約75マイクロメートルよりも小さい粒径を有する、実施形態AAに記載のアルカリ電気化学セル。
【0097】
実施形態CC. 亜鉛合金の総重量に対して約20重量%〜約40重量%が、約75ミクロンよりも小さい粒径を有し、かつ亜鉛合金の総重量に対して約8重量%〜約20重量%が、約150マイクロメートルよりも大きい粒径を有する、実施形態BBに記載のアルカリ電気化学セル。
【0098】
特定の実施形態を図示して記載してきたが、下記の特許請求の範囲に定義されているような広範な態様の技術から逸脱することなく、当業者によってこの明細書の中に変更及び修正を加えることができることを理解されたい。
【0099】
本明細書に例示的に記載された実施形態は、本明細書に明確に開示されていない、任意の単一要素または複数要素の欠落、単一の限定及び複数の限定において適切に実施され得る。したがって、例えば、「備える」、「含む」、「含有する」等の用語は、広く、非限定的に読み取られるべきである。さらに、本明細書に用いられる用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定に使用されるものではなく、図示され記載された特徴、またはその部分の任意の同等物を除外することを、この用語及び表現の使用において意図するものではなく、種々の変形が、特許請求された技術の範囲内で可能であることが認識される。さらに、「実質的になる」の句は、明確に列挙された要素を含むと共に、特許請求された技術の基本的及び新規の特徴に重大な影響を及ぼさない追加の要素を含むように理解されるであろう。「なる」の句は、明記されていない、あらゆる要素を除外する。
【0100】
本開示は、本出願に記載の特定の実施形態に関して限定されるものではない。当業者には明らかであるように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形が可能である。本明細書に列挙したものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び構成は、前述の記載から当業者には明らかであろう。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に含まれる。本開示は、添付の特許請求の範囲、及びそのような特許請求の範囲が権利を与えられるものと等価な全範囲によってのみ限定されるべきである。この開示は特定の方法、試薬、化合物組成物または生物学的系に限定されず、当然のことながら変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0101】
さらに、本開示の特徴または態様は、マーカッシュグループの用語において記載されており、当業者は、本開示が、これによって、マーカッシュグループの任意の個々の部材または部材のサブグループの用語において記載されることを認識するであろう。
【0102】
当業者には理解されるように、任意の及び全ての目的のために、特に書面による説明を提供する観点から、本明細書に開示される全ての範囲は、その可能な部分範囲及び部分範囲の組み合わせをも包含する。列挙された範囲は、十分に記述されており、同じ範囲を少なくとも半分、三分の一、四分の一、五分の一、十分の一などに分解できると容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で説明する各範囲は、下三分の一、中三分の一及び上三分の一などに容易に分解することができる。当業者であれば理解するように、「〜まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などの全ての言葉は列挙された数字を含み、その後、上述のように部分範囲に分解される範囲を指す。結局、当業者には理解されるように、範囲は各個々の部材を含む。
【0103】
本明細書において参照される全ての刊行物、特許出願、発行済み特許、及び他の文献は、各々の個々の刊行物、特許出願、発行済み特許、または他の文献が、明示的及び個別的にその全体において参照によって組み込まれることを示されるように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる文書に含有される定義は、本開示における定義と矛盾する範囲に対して除外される。
【0104】
他の実施形態は、以下の請求項において記載される。