特許第6779246号(P6779246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6779246分級機能付き粉砕装置及び被処理物の粉砕方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779246
(24)【登録日】2020年10月15日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】分級機能付き粉砕装置及び被処理物の粉砕方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/08 20060101AFI20201026BHJP
   B02C 18/18 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   B02C18/08 Z
   B02C18/18 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-37625(P2018-37625)
(22)【出願日】2018年3月2日
(65)【公開番号】特開2019-150764(P2019-150764A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 貴之
(72)【発明者】
【氏名】河島 睦泰
(72)【発明者】
【氏名】赤瀬 幸助
(72)【発明者】
【氏名】山口 和也
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−112138(JP,A)
【文献】 特開2017−159215(JP,A)
【文献】 特開2017−196584(JP,A)
【文献】 特開2005−199126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00−25/00
B07B 1/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ケーシングと、
上記外部ケーシング内の仕切られた空間を形成する内部ケーシングと、
上記内部ケーシングの下方に設けられて被処理物を粉砕する粉砕刃及び粉砕用ライナを有する粉砕部を備えた粉砕室と、
上記粉砕室に気流を導入する気流導入口と、
上記内部ケーシングと上記外部ケーシングとの間に形成され、上記粉砕室で粉砕されて吹き上げられた被処理物を通過させる吹き上げ通路と、
上記内部ケーシングの上部に設けられ、上記吹き上げ通路から気流搬送された被処理物を分級する分級部と、
上記吹き上げ通路の内部に上記被処理物を投入する投入口とを備え、
上記投入口は、上記粉砕用ライナよりも上方の上記外部ケーシングに開口されており、
上記投入口から投入された被処理物は、上記吹き上げ通路において上記分級部に向かって吹き上げられて該分級部で分級され、粉砕が充分でない上記被処理物を上記分級部から上記内部ケーシングを通じて上記粉砕部へ還流するように構成されている
ことを特徴とする分級機能付き粉砕装置。
【請求項2】
外部ケーシングと、
上記外部ケーシング内の仕切られた空間を形成する内部ケーシングと、
上記内部ケーシングの下方に設けられて被処理物を粉砕する粉砕刃及び粉砕用ライナを有する粉砕部を備えた粉砕室と、
上記粉砕室に気流を導入する気流導入口と、
上記内部ケーシングと上記外部ケーシングとの間に形成され、上記粉砕室で粉砕されて吹き上げられた被処理物を通過させる吹き上げ通路と、
上記内部ケーシングの上部に設けられ、上記吹き上げ通路から気流搬送された被処理物を分級する分級部と、
上記吹き上げ通路の内部に上記被処理物を投入する投入口とを備え、該投入口が、上記粉砕用ライナよりも上方の上記外部ケーシングに開口された分級機能付き粉砕装置を用意し、
上記投入口から上記吹き上げ通路内に上記被処理物を投入し、
上記投入口から投入された被処理物を、まず、上記吹き上げ通路において上記分級部に向かって吹き上げて上記分級部に導入して該分級部で分級し、所定粒度の被処理物を通過させて上記内部ケーシングに設けた排出管から排出し、所定粒度に到達しない、粗い被処理物を内部ケーシングを通じて自重により粉砕室に落下させ、
上記粉砕室で粉砕した被処理物を再び上記吹き上げ通路において吹き上げて上記分級部へ上昇させる
ことを特徴とする被処理物の粉砕方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕が充分でない被処理物を分級部から内部ケーシングを通じて粉砕部へ還流する、分級機能付き粉砕装置及び被処理物の粉砕方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂や鉱物、食品原料を粉砕する、様々な粉砕装置が使用されている。この種の粉砕装置では、粉砕後の粒度を細かくするために分級機能を備えたものがある。例えば、特許文献1のように、外部ケーシングと、外部ケーシング内の仕切られた空間を形成する内部ケーシングと、この内部ケーシングに被処理物を投入する投入口と、内部ケーシングの下方に設けられて被処理物を粉砕する粉砕部を備えた粉砕室と、この粉砕室に気流を導入する気流導入口と、内部ケーシングと外部ケーシングとの間に形成され、粉砕室で粉砕されて吹き上げられた被処理物を通過させる吹き上げ通路と、内部ケーシングの上部に設けられ、吹き上げ通路から気流搬送された被処理物を分級する分級部とを備え、粉砕が充分でない被処理物を分級部から内部ケーシングを通じて粉砕部へ還流する分級機能付き粉砕装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−159267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような従来の分級部を有する粉砕装置では、投入された原料を効率よく粉砕部に導くために、投入口から投入された原料は、最初にすべて内部ケーシング内の粉砕室に導かれる。
【0005】
しかし、この方式では、粉砕しなくてもすでに小さな粒度の原料も例外なく粉砕される。このため、粉砕エネルギーを無駄に使用することになり、効率が悪い。
【0006】
また、微粉の発生(過粉砕)を極力防止したい粉砕用途も多くあり、この場合は、先に原料を分級し、粗い粒度の原料のみ粉砕することで対応している。しかしながら、この場合は、前工程のために分級設備が必要となり、設備のコスト及び工程の増加につながるという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、粉砕が必要な原料のみを粉砕するようにして効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、投入口から投入された原料をまずは分級部に送り込むようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、分級機能付き粉砕装置は、
外部ケーシングと、
上記外部ケーシング内の仕切られた空間を形成する内部ケーシングと、
上記内部ケーシングの下方に設けられて被処理物を粉砕する粉砕部を備えた粉砕室と、
上記粉砕室に気流を導入する気流導入口と、
上記内部ケーシングと上記外部ケーシングとの間に形成され、上記粉砕室で粉砕されて吹き上げられた被処理物を通過させる吹き上げ通路と、
上記内部ケーシングの上部に設けられ、上記吹き上げ通路から気流搬送された被処理物を分級する分級部と、
上記吹き上げ通路の内部に上記被処理物を投入する投入口とを備え、
粉砕が充分でない上記被処理物を上記分級部から上記内部ケーシングを通じて上記粉砕部へ還流するように構成されている。
【0010】
また、第2の発明では、上記第1の発明と同様の分級機能付き粉砕装置を用意し、
上記投入口から上記吹き上げ通路内に上記被処理物を投入し、
上記被処理物を上記分級部に導入し、所定粒度の被処理物を通過させて上記内部ケーシングに設けた排出管から排出し、所定粒度に到達しない、粗い被処理物を内部ケーシングを通じて自重により粉砕室に落下させ、
上記粉砕室で粉砕した被処理物を再び上記吹き上げ通路において吹き上げて上記分級部へ上昇させるように構成されている。
【0011】
これらの構成によると、投入口から投入された被処理物は、粉砕室にすぐに向かうのではなく、まず、分級部に向かって分級されるので、粉砕が必要でない粒度の小さい被処理物の無駄な粉砕作業が避けられる。このため、投入されたときにすでに粒度の小さい被処理物は、分級部において分級され、必要以上に小さく粉砕されないので、微粉が発生しない。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、投入口から投入されたすべての被処理物を吹き上げ通路内に投入して分級部に向かわせるようにしたことにより、粉砕が必要な原料のみを粉砕するようにして効率を高めることができると共に、不要な微粉の発生を抑制して製品粒度分布のシャープ化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】分級機能付き粉砕装置を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る分級機能付き粉砕装置を含む粉砕システムを示す概略図である。
図3】分級機能付き粉砕装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
−粉砕システムの構成−
図2は本発明の実施形態の分級機能付き粉砕装置1を含む粉砕システム10の概要を示し、この粉砕システム10は、粉砕装置1に原料を供給する供給機2を備えている。供給機2から供給される被処理物としての原料は、供給用ロータリバルブ3を介し、粉砕装置1の投入口11aに供給されるように構成されている。一方、粉砕装置1で粉砕された被処理物は、排気ファン6による気流と共にバグフィルタ4に搬送される。そして、バグフィルタ4内で気流と粉砕製品が分離され、バグフィルタ用ロータリバルブ5を運転して粉砕製品を取り出すことができるようになっている。排気ファン6は、バグフィルタ4の下流側に接続されており、粉砕システム10内の空気が大気中に排出されるように構成されている。
【0016】
図1及び図3に示すように、粉砕装置1は、円筒状の外部ケーシング1aを有し、その内部に、それよりも小径の円筒状の内部ケーシング1bが同軸上に固定されている。内部ケーシング1bの下方に粉砕室11が、同じく同軸に結合されている。例えば粉砕室11の接線方向に、気流導入口11bが中心軸に対称に2箇所形成されている。また、気流導入口11bとロータ12との間には、中心に孔の空いた隔壁(図示せず)が形成されている。なお、気流導入口11bは1箇所でもよく、必ずしも接線方向に形成する必要もない。
【0017】
粉砕室11の下部には、ロータ12が回転するようになっている。ロータ12は、粉砕室11の下方に設けた駆動部7で駆動されるようになっている。具体的には、粉砕用電動モータ13(図2にのみ示す)の下端に設けた駆動側プーリ(図示せず)に掛けられたVベルトに駆動された従動側プーリによって回転軸14が回転され、この回転軸14に回転一体に連結されたロータ12が回転されるように構成されている。そして、粉砕室11の内周面には、粉砕部としての円筒状(リング状)の粉砕用ライナ15が固定されている。一方、ロータ12の外周には、先端が粉砕用ライナ15に近接するように、同じく粉砕部としての複数の粉砕刃16が取り付けられている。
【0018】
また、内部ケーシング1bの上部には、例えば、分級用電動モータ17aで駆動され、粉砕された被処理物を分級する分級部17が配置されている。
【0019】
そして、内部ケーシング1bと外部ケーシング1aとの間には、粉砕室11で粉砕されて吹き上げられた被処理物を通過させる吹き上げ通路1cが形成されている。分級部17と粉砕室11の間において、外部ケーシング1a内に連通するように、被処理物を投入する投入口11aが設けられている。投入口11aは、外部ケーシング1aに対して適度な投入角を有するように挿入された円筒体の内部に形成され、外部ケーシング1aの吹き上げ通路1cの内部と連通している。
【0020】
一方、分級部17の下面からは被処理物を排出する排出管11cが、内部ケーシング1bを貫通して外部ケーシング1aの外側まで延びている。
【0021】
気流導入口11bからの気流は、粉砕室11の底面と隔壁との間を通って回転軸14に向かい、隔壁中央の孔を通過した後、ロータ12の円盤12aと隔壁との間を通って粉砕室11へ向かい、被処理物を舞い上げながら外部ケーシング1aとその内部を区切る内部ケーシング1bとの間に形成した吹き上げ通路1cを通るようになっている。
【0022】
このため、投入口11aから吹き上げ通路1c内に投入されたすべての被処理物は、まず最初に吹き上げられて上方の分級部17へ気流搬送され、所定の粒度の被処理物が排出管11cを通って装置外へ排出されるようになっている。一方、所定の粒度に達していないものは、内部ケーシング1bへと落下し、粉砕室11で粉砕されるようになっている。
【0023】
−粉砕システムの作動−
このように構成した粉砕システム10では、図2に示すように、供給機2に投入された被処理物は、供給機2より粉砕室11上部の投入口11aへ投入される。この投入工程において、被処理物には、すでに粉砕の必要のない粒度の小さいものも含まれる。
【0024】
次いで、投入口11aから内部ケーシング1bと外部ケーシング1aとの隙間の吹き上げ通路1cに投入されたすべての被処理物は、吹き上げ通路1c内の上昇気流によって吹き上げられる。
【0025】
次いで、吹き上げられた被処理物は、分級部17に到る。この分級部17では、所定粒度の被処理物は分級部17を通過し、内部ケーシング1bの排出管11cから排出される。投入されたときにすでに粒度の小さい被処理物は、分級部17において分級され、必要以上に小さく粉砕されないので、過粉砕が発生しない。一方、所定粒度に到達しない、粗い被処理物は、分級部17を通過せず、内部ケーシング1b内を自重により落下して粉砕室11に到る。
【0026】
次いで、排出管11cから排出された被処理物は、排気ファン6による気流と共にバグフィルタ4に搬送される。そして、バグフィルタ4内で気流と粉砕製品が分離され、バグフィルタ用ロータリバルブ5を運転して粉砕製品が取り出される。
【0027】
一方、粉砕室11に落下してきた被処理物は、粉砕刃16及び粉砕用ライナ15によって細かく粉砕された後、粉砕室11の底部から導入された気流によって舞い上げられ、吹き上げ通路1cを通って再び分級部17へと導入される。
【0028】
したがって、本実施形態に係る分級機能付き粉砕装置1によると、投入口11aから投入されたすべての被処理物を吹き上げ通路1c内に投入して最初に分級部17に向かわせるようにしたことにより、粉砕が必要な原料のみを粉砕するようにして効率を高めることができると共に、不要な微粉の発生を抑制して製品粒度分布のシャープ化を図ることができる。
【0029】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0030】
すなわち、上記実施形態では、分級用電動モータ17aに駆動される分級部17を設け、分級用電動モータ17aの回転数によって分級する粒度を調整するようにしたが、動力を使わないで流入する風速を調整することにより、粒度を調整するサイクロン式分級部としてもよい。
【0031】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0032】
1 分級機能付き粉砕装置
1a 外部ケーシング
1b 内部ケーシング
1c 吹き上げ通路
2 供給機
3 供給用ロータリバルブ
4 バグフィルタ
5 バグフィルタ用ロータリバルブ
6 排気ファン
7 駆動部
10 粉砕システム
11 粉砕室
11a 投入口
11b 気流導入口
11c 排出管
12 ロータ
12a 円盤
13 粉砕用電動モータ
14 回転軸
15 粉砕用ライナ(粉砕部)
16 粉砕刃(粉砕部)
17 分級部
17a 分級用電動モータ
図1
図2
図3