特許第6779265号(P6779265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6779265スルホニルハライド化合物をフッ素化するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779265
(24)【登録日】2020年10月15日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】スルホニルハライド化合物をフッ素化するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 303/02 20060101AFI20201026BHJP
   C07C 309/80 20060101ALI20201026BHJP
   C07C 309/81 20060101ALI20201026BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20201026BHJP
   B01J 23/26 20060101ALN20201026BHJP
【FI】
   C07C303/02
   C07C309/80
   C07C309/81
   !C07B61/00 300
   !B01J23/26 Z
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-174520(P2018-174520)
(22)【出願日】2018年9月19日
(62)【分割の表示】特願2016-522623(P2016-522623)の分割
【原出願日】2014年7月3日
(65)【公開番号】特開2019-31499(P2019-31499A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2018年10月18日
(31)【優先権主張番号】1301593
(32)【優先日】2013年7月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】メッツ, フランソワ
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−531612(JP,A)
【文献】 特開2008−146917(JP,A)
【文献】 特開2004−213991(JP,A)
【文献】 特開2012−159621(JP,A)
【文献】 特開2006−339635(JP,A)
【文献】 米国特許第02276097(US,A)
【文献】 特開2008−127354(JP,A)
【文献】 特開平08−081436(JP,A)
【文献】 西独国特許第00936090(DE,B)
【文献】 西独国特許第00907775(DE,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 303/00
C07C 309/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の−SOF官能基を含む式(I)のフッ素化化合物を調製するための非電気化学的方法であって、式(I)の化合物が、式(II)の化合物を少なくとも1種のフッ素化剤と反応させることにより調製され、方法が、アンチモン系フッ素化触媒を使用してフッ化水素酸の存在下液相中で実施され、アンチモン系フッ素化触媒が、SbF、SbFCl、SbFおよびこれらの混合物から選択され、アンチモン系フッ素化触媒が、式(II)の化合物の重量に対して0.01重量%〜10重量%の範囲の量で用いられ、反応が、50℃〜150℃の範囲の温度において実施される:
R−SOF(I)
[式中、Rは、以下の基R1、R2およびR3:
R1=−C(n=1、a=0、b=3);
R2=−C−SOF(x=1、y=0、z=2);
R3=Φ−C(c=1;h=0、f=2;Φは、フェニル基を意味する)
から選択される];
R’−SOX (II)
[式中、R’は、以下の基R’1、R’2およびR’3:
R’1=−C(n=1、a=0、b=3);
R’2=−C−SOX(x=1、y=0、z=2);
R’3=Φ−C(c=1;h=0、f=2;Φは、フェニル基を意味する)
から選択され;
Xは、塩素および臭素から選択されるハロゲン原子である]
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
式(II)の化合物が、式R’−SOX(式III)の化合物のラジカルハロゲン化によって得られる、調製方法であって、R’が、以下の基R’1、R’2およびR’3:
R’1=−C2n+1(n=1);
R’2=−C2x−SOX(x=1);
R’3=Φ−C2c(c=1)
から選択され;
Xが、塩素および臭素から選択されるハロゲン原子である、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
スルホンイミド化合物(R−SONH、その塩(R−SONMe、およびスルホン酸官能基−SOOHを有し、かつ式R−SOOH(Rは、請求項1からの定義を有する)を有するフッ素化化合物からなる群から選択される化合物を調製する方法であって、
− 請求項1または2に記載の式(I)の化合物R−SOFを調製する工程と、
− 式(I)の前記フッ素化化合物が、スルホンイミド化合物(R−SONHおよびその塩(R−SONMeの合成のため、またはスルホン酸官能基−SOOHを有し、かつ式R−SOOH(Rは、請求項1からの定義を有する)を有するフッ素化化合物の合成のための、反応性化合物として使用される工程と
を含む方法。
【請求項4】
式(CFSONHのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、および式(CFSONLi(LiTFSI)のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成のため、または式(F−SONHのビス(フルオロスルホニル)イミドおよび式(F−SONLi(LiFSI)のリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの合成のための、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式CFSOOHのトリフルオロメタンスルホン酸の合成のための、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Xがフッ素以外のハロゲンである&#8211;SOX官能基を持つ、ハロゲン化化合物のフッ素化、概して、塩素化化合物のフッ素化の分野に関する。本発明の1つの主題は、特に、アルキルスルホニルフルオリドまたはベンジルスルホニルフロオリドなどのスルホニルフルオリドタイプの化合物の調製である。より具体的には、本発明の1つの主題は、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド(CFSOF)を調製するための方法である。
【0002】
スルホニルフルオリド化合物は、高付加価値製品である、スルオンイミド化合物およびスルホン酸官能基を持つ化合物の合成に特に有利である中間体である。
【背景技術】
【0003】
メシルフルオリドCHSOF(米国特許第4927962号)の電解フッ素化または一価カチオンのトリフルオロフルフィネートのフッ素化によって、スルホニルフルオリドタイプの化合物、特にトリフルオロメタンスルホニルフルオリドを調製することは公知である。これらの従来方法は、それらが満足な性能をもたらすとしても、複雑で費用のかかる(電解フッ素化の場合)および/またはCMR(発がん性、変異原性および生殖毒性)溶媒、特にDMFを伴う工程が導入されることを必要とする実施という欠点をもつ。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の1つの目的は、従来技術方法の欠点を回避することを可能にするスルホニルフルオリド化合物の調製方法を提供することである。特に、本発明の1つの目的は、関与する化学薬品の毒性の点でより清浄であり、かつより経済的である、スルホニルフルオリドタイプの化合物を調製する簡単化された方法を提案することである。本発明の別の目的は、非電気化学的方法を提案することである。さらに他の目的は、以下に続く本発明を読んだ後に明らかになる。
【0005】
本発明の1つの主題は、少なくとも1個の−SOF官能基を含む式(I)のフッ素化化合物を調製するための非電気化学的方法であって、式(I)の化合物が、式(II)の化合物を、フッ化水素酸および一価または二価カチオンのイオン性フッ化物から選択される少なくとも1種のフッ素化剤と反応させることによって調製される:
R−SOF(I)
[式中、Rは、以下の基R1、R2およびR3:
R1=−C(n=1〜10、a+b=2n+1、b≧1;好ましくは、n=1、a=0、b=3)
R2=−C−SOF(x=1〜10、y+z=2x、z≧1);
R3=Φ−C(c=1〜10;h+f=2c、f≧1;Φは、フェニル基を意味する)
から選択される];
R’−SOX(II)
[式中、R’は、以下の基R’1、R’2およびR’3:
R’1=−C(n=1〜10、a+b=2n+1、b≧1);
R’2=−C−SOX(x=1〜10、y+z=2x、z≧1);
R’3=Φ−C(c=1〜10;h+f=2c、f≧1;Φはフェニル基を意味する)
から選択され;
Xは、塩素および臭素から選択されるハロゲン原子である]
ことを特徴とする方法である。
【0006】
本発明による調製方法は、非電気化学的フッ素化法である。したがって、電解フッ素化法は、本発明から除外される。
【0007】
本発明による方法によれば、基R1およびR’1は、有利には1〜5の間、非常に好ましくは1〜3の間のnの値を有する。好ましくは、nは1に等しい。好ましくは、基R1およびR’1は、b=3であり、かつa=0であるようにパーハロゲン化される。基R2およびR’2は、有利には1〜5の間、非常に好ましくは1〜3の間のxの値を有する。好ましくは、xは1に等しい。基R3およびR’3は、有利には1〜5の間、好ましくは1〜3の間のcの値を有する。好ましくは、cは1に等しい。基R3およびR’3に存在するフェニル基Φは、1個以上のヒドロキシル、アルキル、アルコール、チオール、アミドもしくはハロゲン基で、および/または基−C−SOX(x=1〜10であり、y+z=2xであり、z≧1であり、Xは、塩素および臭素から選択されるハロゲン原子である)で置換されてもよい。
【0008】
非常に好ましくは、本発明の方法によって調製される化合物(I)の基Rは、基R1であって、n=1、a=0、b=3、またはn=1、a=1、b=2、またはn=1、a=2、b=1である。したがって、式CFSOF、式CHFSOFおよび式CHFSOFの化合物は、それぞれ、式CXSOX(R’1において、n=1、a=0、b=3)、式CHXSOX(R’1において、n=1、a=1、b=2)および式CHXSOX(R’1において、n=1、a=2、b=1)(ここで、Xは、臭素または塩素、好ましくは塩素である)を有する、式(II)の化合物から、それぞれ調製される。
【0009】
さらに、式SOの化合物をフッ化水素酸および一価または二価のイオン性フッ化物から選択される少なくとも1種のフッ素化剤と反応させることによって調製され、Xは、塩素および臭素から選択されるハロゲン原子であることを特徴とする、式SOのフッ素化化合物を調製するための非電気化学的方法が記述される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による方法は、気相または液相中で実施され得る。好ましくは、前記方法は、気相中で実施される。
【0011】
本発明の方法の好ましい実施態様によれば、気相中で実施されることにより、式(II)の化合物と反応させるために使用されるフッ素化剤は、フッ化水素酸である。
【0012】
フッ化水素酸の存在下気相中で実施される、本発明による調製方法は、少なくとも1種のフッ素化触媒を使用する。気相フッ素化方法で使用される前記フッ素化触媒は、特にクロム、亜鉛、ニッケル、クロムと亜鉛の混合物、もしくはクロムとニッケルの混合物を含む、またはそれらからなる触媒から選択される。
【0013】
フッ素化触媒は、特にクロム系触媒であってもよい。使用される触媒は、バルクの酸化クロム(すなわち、金属元素および酸素のみを含む触媒)であるか、または好ましくは、任意選択により、例えば、ニッケル、コバルト、マグネシウムおよび亜鉛などの金属元素でドーピングされた、クロムの酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物または無機塩を含む。それは、好ましくは酸化クロム、フッ化クロムまたはオキシフッ化クロムであり、これらは、任意選択により、金属元素、例えば、ニッケルまたは亜鉛でドーピングされてもよい。
【0014】
フッ素化触媒は、熱処理による活性化に供せられてもよい。特に、活性化は、フッ素化プロセスの間に行われてもよい。温度は、有利には100℃〜400℃の間、好ましくは200℃〜300℃の間である。
【0015】
特に、種々の酸化度の酸化物の形態および/または粉末もしくはゲル形態での水酸化物の形態のクロムが使用される。
【0016】
例えば、水酸化アンモニウムの水溶液、またはアルカリ金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムの水溶液を使用して、水溶性クロム(III)塩、例えば、塩化物、硝酸塩、酢酸塩または硫酸塩などの沈殿によって調製される活性クロム(III)酸化物を使用することが可能である。沈殿物は、ほぼ110℃で乾燥され、700℃未満、好ましくは200℃〜600℃の間の温度で焼成される。クロム(III)は、(III)酸化状態のクロムを意味すると理解される。
【0017】
無水酸化クロムは、無機クロム塩、例えば、クロム酸アンモニウムもしくは硝酸アンモニウム、または有機クロム酸塩、例えば、シュウ酸クロムもしくはギ酸クロムを、窒素雰囲気下200℃〜500℃の間、好ましくは250℃〜450℃の間、より好ましくは250℃〜400℃の間で焼成することによって得られてもよい。
【0018】
フッ素化触媒はまた、2〜6の間のクロムの原子価、および0〜2の間のニッケルの原子価を有し、ニッケルの量が、原子百分率として表して、0.1%〜50%に相当するCr−Ni型の触媒であってもよい。この触媒の調製方法は、1種以上の有機クロム塩(例えば、シュウ酸塩)、およびニッケルの塩もしくはいくつかの塩(例えば、シュウ酸塩)を、別個にまたは混合物として、熱分解させ、混合物を成形することにある。熱分解は、一般に不活性ガス雰囲気、例えば、窒素雰囲気下200℃〜600℃の間で行われる。
【0019】
得られた触媒の成形は、非酸化性条件下で、例えば、押出しによって実施されてもよく、次いで、成形された生成物は、ほぼ80℃〜150℃で乾燥され、次いで、不活性性雰囲気下200℃〜600℃で焼成される。
【0020】
Cr−Mg型の触媒がまた、使用されてもよい。それは、特に、溶液中、クロム塩(例えば、硝酸塩)を、酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムと、例えば、100℃で12〜24時間の間長期乾燥させることによって得られてもよい。
【0021】
フッ素化触媒はまた、クロムおよび亜鉛をベースとした触媒であってもよい。使用される触媒は、バルク亜鉛であるか、または好ましくは、任意選択により、例えば、ニッケル、コバルトもしくはマグネシウムなどの金属元素でドーピングされた、亜鉛の酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物または無機塩を含む。
【0022】
フッ素化触媒はまた、ニッケル系触媒であってもよい。使用される触媒は、バルクニッケルであるか、または好ましくは、任意選択により、例えば、亜鉛、コバルトもしくはマグネシウムなどの金属元素でドーピングされた、ニッケルの酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物もしくは無機塩を含む。
【0023】
本発明のフッ素化触媒において、活性相は、微粉化形態でまたは担体上に成形もしくは堆積されて導入されてもよい。担体の例として、シリカ、アルミナ、部分もしくは完全フッ素化アルミナ、ジルコニアまたは酸化チタンが挙げられてもよい。好ましくは、触媒は、触媒の重量の0.2%〜15%の比率で担体上に堆積される。担持触媒は、当業者に周知の方法によって、特に適当容量の水に溶解させた金属前駆体の担体上への初期湿式含浸または共含浸によって調製される。
【0024】
触媒は、本発明の方法において異なる形態、すなわち、押出し、ペレット化、鋳造、粉末成形または公知のプロセスの任意の他のタイプにより得られる、粉末、成形品、例えば、顆粒(例えば、押出し物またはビーズ)またはペレットであってもよい。実際に、工業的レベルで、それは、効率性および使用の利便性の両方に関して、最も有利である顆粒またはビーズである。
【0025】
フッ化水素酸の存在下気相中で行われる実施態様によれば、フッ化水素酸と式(II)の化合物との比は、広範に変わってもよい。一般に、フッ化水素酸の量が、過剰である。したがって、フッ化水素酸のモル数と式(II)のハロゲン化化合物のモル数との比は、通常1〜30の間で変わる。有利には、6から12の間で選択される。
【0026】
気相中で行われる本発明の方法は、原則として50℃を超える、高温で行われる。50℃〜400℃の間、好ましくは100℃〜300℃の間の温度で働くことが推奨される。
【0027】
簡単のために、本発明の方法は、大気圧で行われる。しかしながら、より低いまたはより高い圧力で働くことも可能である。
【0028】
実際的な観点から、気相中で行われる本発明の方法は、バッチ式または連続式で実施されてもよい。
【0029】
一般に、出発点は、いずれの方式であっても、式(II)のハロゲン化化合物とフッ化水素酸との混合である。したがって、前記反応物質を混合ゾーンで混合し、次いで、得られた混合物を触媒床に送ることが可能である。
【0030】
方法がバッチ式で行われる場合、使用されるフッ素化触媒の量は、式(II)のハロゲン化化合物の重量当たり触媒の重量として表して、例えば、0.1%〜20%の間、好ましくは0.5%〜5%の間で変化してもよい。
【0031】
本発明の他の変形は、固定床として配置された固体触媒を含む管式または多管式反応器で、連続式で反応を行なうことにある。使用されるフッ素化触媒の量は、式(II)のハロゲン化化合物の重量当たり触媒の重量として表して、好ましくは0.1重量%未満である。
【0032】
式(II)のハロゲン化化合物およびフッ化水素酸は、反応器に別個にまたは混合物として導入されてもよい。上述の通り、それらを混合ゾーンで混合して、次いで、得られた混合物を触媒床に送ることが可能である。
【0033】
反応混合物は、好ましくは底部から上方に触媒床を通過する。
【0034】
触媒のかさ容積とガス流の流量との比と定義される接触時間は、広範に変化してもよく、通常0.2〜100秒の間である。接触時間は、好ましくは5〜50秒の間から選択される。
【0035】
触媒の重量および時間当たりの基質の重量は、一般に0.01h−1〜2h−1の間、好ましくは0.05h−1〜0.5h−1の間で変化する。
【0036】
反応の最後に、過剰のフッ化水素酸、反応により形成された塩酸、および任意選択により、その沸点に依存して式(I)のフッ素化化合物を含む、気相が回収される。前記式(I)の化合物は、それが高い沸点を有する場合、凝縮を介して液相中に見出される。好ましくは、前記式(I)の化合物は、特にそれがトリフルオロメタンスルホニルフルオリドである場合、気相中に存在する。
【0037】
式(I)の化合物は、当業者に公知の慣用技術のいずれかによって反応混合物から回収される。例えば、式(I)の化合物を含むガス流は、水と接触し、ここで、HFおよびHClが吸収される。前記式(I)の化合物は、凝縮により液体形態で容易にかつ好ましく回収される。
【0038】
本発明の方法の別の好ましい実施態様によれば、それが液相中で実施されることにより、式(II)の化合物と反応させるために使用されるフッ素化剤は、フッ化水素酸または一価もしくは二価カチオンの少なくともあるイオン性フッ化物である。
【0039】
本発明の方法がフッ化水素酸の存在下液相中で実施される実施態様によれば、前記方法は、アンチモン系フッ素化触媒を使用して行われる。特に、前記触媒は、フッ化アンチモンSbF、SbFClおよびSbFから、単独でまたは混合物として選択される。好ましくは、前記触媒は、化学種SbFから本質的になるか、または化学種SbFおよびSbFの混合物である。前記触媒は、バルクの触媒、またはカーボンブラック、グラファイト、アルミナもしくはフッ素化アルミナなどの担体上に担持された触媒であってもよい。使用されるフッ素化触媒の量は、式(II)のハロゲン化化合物の重量当たり触媒の重量として表して、好ましくは0.01重量%〜10重量%の間未満、好ましくは0.1重量%〜5重量%の間である。
【0040】
液相中で実施される本発明のフッ素化プロセスは、バッチ式または連続式で行われてもよい。それは、1種以上の溶媒、特に過剰のフッ化水素酸の存在下で行われる。
【0041】
フッ化水素酸の存在下で、本発明による調製方法の、液相中における実施は、0℃〜300℃の間、好ましくは50℃〜150℃の間の温度で行われる。この実施は、自生圧力下で行われる。フッ化水素酸のモル数と式(II)のハロゲン化化合物のモル数との比は、通常1〜20の間で変わる。有利には、3〜10の間で選択される。
【0042】
本発明の方法が、一価または二価カチオンのイオン性フッ化物の存在下液相中で行われる実施態様によれば、前記一価イオン性フッ化物は、アルカリ金属フッ化物、またはオニウムカチオンのフッ化物であってもよく、二価カチオンの前記イオン性フッ化物は、好ましくはアルカリ土類金属フッ化物、または元素の周期律表のIIB族に属するカチオンのフッ化物である。式(II)の化合物を、前記式(II)の化合物中に存在する前記ハロゲン原子X(Xは、フッ素以外である)とイオン性フッ化物により導入されたフッ素との間の交換反応に供することによって、式(I)の化合物が調製される。
【0043】
好ましくは、前記一価カチオンのイオン性フッ化物は、前記一価カチオンが、リチウム、ナトリウム、カリウムおよびセシウムから選択されるアルカリ金属カチオンであるようなものである。非常に好ましくは、それはカリウムである。前記一価カチオンのイオン性フッ化物はまた、オニウムカチオンのフッ化物、すなわち、カチオンが式N(Rに相当するフッ化アンモニウムまたはカチオンが式P(Rに相当するフッ化ホスホニウムであってもよく、R、R、RおよびRは、同一かまたは異なり、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基、およびベンジル基から選択される。
【0044】
より具体的な例として、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化メチルトリ(n−ブチル)アンモニウム、フッ化N−メチル−N,N,N−トリオクチルアンモニウム、フッ化トリメチルフェニルホスホニウム、フッ化テトラブチルホスホニウム、フッ化メチルトリ(n−ブチル)ホスホニウム、フッ化メチルトリ(イソブチル)ホスホニウム及びフッ化ジイソブチル−n−オクチルメチルホスホニウムが挙げられてもよい。好ましくは、フッ化テトラブチルアンモニウムおよびフッ化テトラブチルホスホニウムが選択される。
【0045】
好ましくは、前記二価カチオンのイオン性フッ化物は、前記カチオンが、好ましくはマグネシウムおよびカルシウムから選択される金属アルカリ土類金属カチオン、または元素の周期律表のIIB族に属するカチオン、好ましくは亜鉛であるようなものである。
【0046】
液相中で行われる本発明の方法よれば、上で定義されたとおりのイオン性フッ化物の混合物を使用することが有利である。特に、一価カチオンのフッ素化物の混合物、好ましくはフッ化カリウムと前に定義されたとおりのオニウムフッ化物との混合物を使用することが有利である。
【0047】
式(II)の化合物の量に対して使用される(一価および/または二価)イオン性フッ化物の量は、好ましくは化学量論よりも大きい。フッ化物のモル数と、化合物(II)から交換されるハロゲン原子の数との比は、有利には1〜20の間、好ましくは4〜10の間である。
【0048】
液相中で行われる本発明による方法は、水性媒体、水性有機媒体、または有機媒体中で実施される。
【0049】
水性有機媒体または無水有機媒体中に存在する有機溶媒は、好ましくは、特にジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド溶媒中、ジメチルホルムアミド(DMF)などのN,N−二置換アミン溶媒中、アセトニトリルもしくはアジポニトリルなどのニトリル溶媒中、酢酸エチルなどのエステル溶媒中、トリエチルアミンなどの第三級アミン溶媒中、ピリジンなどの窒素含有ヘテロ環溶媒中、アセトンもしくはブタノンなどのケトン溶媒中、またはスルホランなどの有機硫黄溶媒中極性非プロトン性溶媒である。
【0050】
液相中で行われる本発明による方法は、80℃〜400℃の温度で行われる。それは、制御された圧力下または自生圧力下で実施される。
【0051】
それは、連続式またはバッチ式で実施されてもよい。
【0052】
液相中で行われる本発明による方法で使用される反応物質は、種々の変形によって任意の順序で導入されてもよい。
【0053】
本発明による方法が水性または水性有機媒体中で行われる場合、1つの好ましい実施態様は、有機溶媒が任意選択により添加された水を、本明細書上で定義されたとおりの少なくとも1種のイオン性フッ化物、特にフッ化カリウムと混合することにある。この混合物は、特に80〜250℃の間、好ましくは100〜180℃の間の所望の反応温度まで加熱され、次いで、前記式(II)の化合物が前記混合物中に導入される。反応混合物は有利には、加熱が維持される間の期間を通して撹拌される。式(II)の化合物は、純粋に、水中もしくは前記有機溶媒中または水−溶媒混合物中に溶解して導入される。前記式(II)の化合物は、一度にすべてまたは分量で徐々導入され得る。水性または水性有機媒体中で行われる、本発明による方法の別の好ましい実施態様は、少なくとも1種のイオン性フッ化物および前記式(II)の化合物を、有機溶媒が任意選択により添加された水中に同時に導入され、次いで、前記反応混合物を所望の反応温度に加熱することにある。反応混合物の加熱は、可変期間の間維持される。好ましくは、反応混合物の加熱は、30分〜48時間、より好ましくは1〜10時間、さらにより好ましくは1〜5時間の間の期間維持される。
【0054】
本発明による方法が有機媒体中で行われる場合、1つの好ましい実施態様は、純粋な、または前記極性非プロトン性溶媒中に溶解して存在する、式(II)の化合物を、前記溶媒中の少なくとも1種のイオン性フッ化物の、選択された温度、好ましくは200℃〜400℃の間に前もって加熱された懸濁液中に導入することにある。反応混合物の加熱は、2〜20時間の間、好ましくは2〜10時間の間で変わる期間維持される。
【0055】
液相中で行われる本発明の方法によって得られる式(I)の化合物は、当業者に公知の慣用技術のいずれによって、例えば、液−液抽出、続いて、結晶化または蒸留による精製によって反応媒体から回収される。
【0056】
本発明による方法の1つの特定の実施態様によれば、フッ化水素酸および一価または二価カチオンのイオン性フッ化物から選択されるフッ素化剤は、第2のフッ素化剤、例えば、Fガス、四フッ化硫黄、SF六フッ化硫黄SFまたはフッ化チオニルSOFと組み合わせて使用される。本発明の方法は、単にFガス、四フッ化硫黄SF、SF六フッ化および/またはフッ化チオニルSOFを使用して行なうこともできる。
【0057】
気相または液相中で行われる本発明の方法は、有利には反応媒体の腐食に耐えることができる装置で行われる。例えば、グラファイト材料またはフルオロポリマー(特に、ポリテトラフルオロエチレンPTFE、ポリフッ化ビニリデンPVDFおよびパーフルオロアルキル樹脂PFA)から選択される。装置は、Hastelloy(登録商標)ブランドで販売される、モリブデン、クロム、コバルト、鉄、銅、マンガン、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、炭素及びタングステンをベースとした合金、またはInconel(登録商標)の名称で販売される、銅及び/またはモリブデンが添加されている、ニッケル、クロム、鉄及びマンガンの合金、より詳細にはHastelloy C276またはInconel600、625もしくは718から形成されてもよい。ステンレス鋼、例えばオーステナイト鋼[Robert H.Perry et al., Perry’s Chemical Engineers’ Handbook,Sixth Edition(1984,pages 23〜44]そしてより詳細には304、304L、316または316Lステンレス鋼を選択することも可能である。
【0058】
本発明の方法によれば、式(II)の化合物は、有利には式R’−SOX(式III)[式中、R’は、以下の基R’1、R’2およびR’3:
R’1=−C2n+1(n=1〜10;好ましくはn=1〜5、非常に好ましくはn=1);
R’2=−C2x−SOX(x=1〜10;好ましくはx=1〜5、非常に好ましくはx=1);
R’3=Φ−C2c(c=1〜10;好ましくはc=1〜5、非常に好ましくはc=1)
から選択され;
Xは、塩素および臭素から選択されるハロゲン原子である]の化合物の、ラジカルハロゲン化、好ましくはラジカル塩素化によって得られる。
【0059】
より詳細には、R’1−SOXのラジカル塩素化は、式R’1−SOX(R’1は上で定義されたとおりである)の化合物が得られることをもたらす。R’2−SOXのラジカル塩素化は、式R’2−SOX(R’2は上で定義されたとおりである)の化合物が得られることをもたらす。R’3−SOXのラジカル塩素化は、式R’3−SOX(R’3は上で定義されたとおりである)の化合物が得られることをもたらす。Xは、塩素および臭素から選択されるハロゲン原子である。
【0060】
ラジカルハロゲン化、好ましくはラジカル塩素化は、当業者に公知のプロセスである。当業者は、例えば、米国特許第2674620号に記載された教示からラジカルハロゲン化プロセスを容易に行なうことができる。ラジカルハロゲン化、好ましくはラジカル塩素化は、光ハロゲン化、好ましくは光塩素化によって行われる。
【0061】
式(II)の化合物は、より有利には、イオン性ハロゲン化、より詳細にはイオン性塩素化によって得られる。当業者は、例えば、米国特許第2832803号に記載された教示からイオン性ハロゲン化プロセスを容易に行なうことができる。
【0062】
好ましくは、式(III)の化合物は、式R’1−SOX[R’1=−C2n+1(n=1である)であり、X=Clである]の化合物である。したがって、CCl−SOClの調製は、式
CH−SOClのメシルクロリドのラジカル塩素化によって行われる。
【0063】
本発明の方法によって調製される式(I)のフッ素化化合物は、有利にはスルホンイミド化合物(R−SONHおよびその塩(R−SONMe(Meは、アルカリ金属を表す)、またはスルホン酸官能基−SOOHを有し、かつ式R−SOOH(Rは、本明細書上で特定された定義を有する、すなわち、基R1、R2およびR3から選択される)を有するフッ素化化合物の合成のための、反応性化合物として使用される。
【0064】
本発明の別の主題は、スルホンイミド化合物(R−SONH、その塩(R−SONMe(Meは、アルカリ金属を表す)、およびスルホン酸官能基−SOOHを有し、かつ式R−SOOH(Rは、本明細書上で特定された定義を有する)を有するフッ素化化合物からなる群から選択される化合物を調製する方法であって、
−上に記載された方法によって式(I)の化合物R−SOFを調製する工程と;
−前記式(I)のフッ素化化合物が、スルホンイミド化合物(R−SONHおよびその塩(R−SONMe(Meは、アルカリ金属である)、またはスルホン酸官能基−SOOHを有し、かつ式R−SOOH(Rは、本明細書上で特定された定義を有する)を有するフッ素化化合物の合成のための、反応性化合物として使用される工程と
を含む方法である。
【0065】
したがって、本発明の別の主題は、式(I)のフッ素化化合物から式(R−SONMeのスルホンイミド化合物の塩を調製する方法であって、
a)上に記載された方法によって式(I)の化合物R−SOFを調製する工程と;
b)R−SOFをアンモノリシスして、(R−SONH、NR’’を得る工程と;
c)(R−SONH、NR’’を酸性化して(R−SONHを得る工程と;
d)(R−SONHをアルカリ金属で中和して、(R−SONMeを得る工程と;
e)任意選択により、(R−SONMeを乾燥させる工程と
を含み、
ここで、Rは、上で定義された基R1,R2およびR3から選択され、R’’は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を表し、Meは、アルカリ金属を表す、方法である。好ましくは、Meはリチウムである。
【0066】
工程b)、工程c)、工程d)および工程e)は、当業者に公知である。特に、アンモノリシスの工程は、特許米国特許第5723664号に記載されている。酸性化、中和および乾燥の工程は、当業者に公知の条件下で行われ得る慣用工程である。
【0067】
好ましくは、式(I)のフッ素化化合物は、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド(CFSOF)であり、その結果、式(CFSONHのビス(トリフルオロメタンスルホニルイミドおよび式(CFSONLi(LiTFSI)のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成にそれを使用することができる。
【0068】
式(I)のフッ素化化合物が、スルホニルフルオリド(F−SOF)である場合、それは、式(F−SONHのビス(フルオロスルホニル)イミドおよび式(F−SONLi(LiFSI)のリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの合成に使用され得る。
【0069】
上に記載した方法によって調製されるスルホンイミド化合物およびその塩は、有利には電解質塩、帯電防止剤前駆体または界面活性剤前駆体として使用されてもよい。特に、前記化合物は、有利には、エレクトロクロニズム、エレクトロニクスおよび電気化学の分野で、電池の製造のための電解質として使用されてもよい。それらは、有利には、感圧接着剤(PSA)の製造のための帯電防止剤として使用される。帯電防止剤として、それらはまた、潤滑剤の成分として使用されてもよい。それらは、エレクトロルミネッセンス素子などの光学材料で使用され、太陽光発電パネルの構成中に組み込まれる。これらの使用も、本発明の主題である。特に、本発明の1つの主題は、電気化学的装置、好ましくは電池、を製造する方法であって、上に記載された方法によってスルホンイミド化合物またはその塩を調製する工程と、スルホンイミド化合物またはその塩が電解質として使用される電気化学的装置を製造する工程とを含む方法である。
【0070】
本発明の方法により調製される式(I)の化合物は、より有利には、Rが上で定義された基R1、R2およびR3から選択される式R−SO−OHのフッ素化化合物の、加水分解を介しての、調製に使用される。このために、気相中で行われる、本発明の方法から生じた式(I)のフッ素化化合物を含むガス流は、例えば、アルカリ水溶液と接触させられ、次いで、酸性化工程が、例えば、強鉱酸、例えば、硫酸または塩酸の溶液を使用することにより、化合物R−SO−OHを遊離させるために行われる。
【0071】
好ましくは、式(I)のフッ素化化合物は、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド(CFSOF)であり、その結果、式CFSOOHのトリフルオロメタンスルホン酸(トリフリン酸としても知られる)の合成にそれを使用することができる。
【0072】
したがって、得られた化合物R−SO−OHは、有利には式(R−SOOの無水物に変換される。無水化反応は、当業者に公知であり、特に米国特許第8222450号に記載されている。好ましくは、式(I)のフッ素化化合物は、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド(CFSOF)であり、その結果、トリフリン酸の無水化は、式(CFSOOのトリフルオロメタンスルホン酸無水物の生成をもたらす。
【0073】
本発明はこれから、非限定的実施例を使用して説明される。
【実施例】
【0074】
実施例1〜実施例7:気相中HFとのフッ素化反応によるTFSFの調製
あらかじめ一定重量に乾燥させた酸化クロム(〜150g)をベースとする触媒で充填され、60cmの長さおよび2.5cmの外径を有する管からなるHastelloy C276反応器中に、純粋なまたは溶媒に溶解したトリクロロメタンスルホニルクロリド(TCSC)を、0.05モル/時間の流量および無水HFを、10g/時間の流量で導入し、フッ素化する。溶媒は、トリフルオロメチルベンゼン(TFMB)、トリフルオロメトキシベンゼン(TFMxB)、またはトルエンである。
【0075】
温度は、試験に依存して、等温線として200℃〜300℃に設定する。これらの条件下で、滞留時間tは、10〜25秒の間で変化する。
【0076】
反応後、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド、HFおよびHClからなる流出ストリームを、直列に取り付けられた水酸化カリウムバブラー中で加水分解し、種々の酸をイオンクロマトグラフィーによるカリウム塩の形態で分析する。TFSF(CFSOF)は、カリウムトリフレート(CFSOK)の形態で分析する。
【0077】
得られた結果を表(I)に示す。
【0078】
変換度DCは、変換されたTCSC基質のモル数と、用いられたTCSCのモル数との比に相当する。
【0079】
収率RYは、形成されたトリフルオロメタンスルフォニルフルオリドTFSF生成物のモル数と、用いられたTCSC基質のモル数との比に相当する。
【0080】
収率CYは、形成されたTFSF生成物のモル数と、変換されたTCSC基質のモル数との比に相当する。
【0081】
【0082】
実施例8:液相中HFとのフッ素化反応によるTFSFの調製
−TCSC: 110g(0.5モル)
−HF: 40g(2モル、すなわち、〜4当量)
−SbCl: 5g(0.02モル、すなわち、HFに対して〜1モル%)
を、280mlの限度容量のHastelloy C276オートクレーブに投入する。
【0083】
オートクレーブを自生圧力下3時間120℃にし、次いで、20℃に冷却し、直列に取り付けた水酸化カリウムバブラーで脱気し;残留反応媒体を抜き取り、水酸化カリウム水溶液中で洗浄する。
水酸化カリウム水相は合わせられ、19F NMRにより分析し;カリウムトリフレート(式CFSOK)のTAK)の形態で分析したトリフルオロメタンスルホニルフルオリド(TFSF)を、23%の収率で得る。
【0084】
実施例9:KFとのフッ素化反応によるTFSFの調製
実施例9.1:極性非プロトン溶媒中
−KF: 29g
−TCSC: 22g
−アジポニトリル: 60ml
を、グレード316Lのステンレス鋼から作られており、150mlの限度容量を有するオートクレーブ中に導入する。
オートクレーブを密封し、自生圧力下4時間230℃にし、次いで、20℃に冷却し、直列に取り付けた水酸化カリウムバブラーで脱気し;残留反応媒体を抜き取り、水酸化カリウム水溶液中で洗浄する。
【0085】
水酸化カリウム水相は合わせられ、19F NMRにより分析し;カリウムトリフレート(TAK)の形態で分析した、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドを、47%の収率で得る。
【0086】
実施例9.2:水中
−KF: 32.6g
−TCSC: 12g
−水: 20ml
を、100mlの限度容量を有する、完全に撹拌したガラス製反応器中に導入した。
媒体を、撹拌しながら1時間沸騰し、次いで、冷却し、水酸化カリウム水溶液の添加により中性pHにする。
【0087】
19F NMRによる媒体の分析は、カリウムトリフレート(TAK)が、63%の収率で形成されたことを示す。
【0088】
実施例10:気相中HFとのフッ素化反応によるDFSF(CHFSOF)の調製
反応を、以下の投入および条件:
−DCSC(CHClSOCl):0.05モル/h
−HF:10g/h(HF/DCSC比:10)
で、実施例1と同じ条件下で行なう。
温度を等温線として250℃に設定し、滞留時間tは、22秒である。
【0089】
DCSCの変換度DCは65%であり、DFSFの収率RYは42%である。
【0090】
実施例11:液相中HFとのフッ素化反応によるジフルオロメタンジスルフォニルジフルオリド(DFDS:(CF(SOF))の調製
反応を、以下の投入および条件:
−(CCl(SOCl)):100g(0.35mol)
HF:40g(2モル、すなわち、約6当量)
で、実施例8と同じ条件下で行なう。
120℃で3時間反応後、反応媒体を実施例8に従って処理する。DFDSを28%の収率で得る。
【0091】
実施例12:液相中HFとのフッ素化反応によるα,α−ジフルオロベンジルスルホニルフルオリド(DFBSF:(CCFSOF)の調製
反応を、以下の投入および条件:
−CCClSOCl: 100g(0.4モル)
−HF :40g(2モル、すなわち、約5当量)
で、実施例8と同じ条件下で行なう。
150℃で4時間反応後、反応媒体を実施例8に従って処理する。DFBSFを、19%の収率で得る。