(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
射出成形機の樹脂流動に係わる成形条件を推定する射出成形機の成形条件推定方法であって、予め、樹脂の種別に係わる情報に対して設定した特定成形情報を使用し、かつ異なる複数の数値を組合わせることにより、CAE処理部による樹脂流動解析処理を行い、この解析処理結果から所定の成形条件に対する複数のデータを取得することにより基礎データベースを構築し、この基礎データベースに対して、ニューラルネットワーク処理部による学習処理を行い、かつ成形条件推定モデルを構築して所定のモデル格納部に設定するとともに、前記所定の成形条件を求める際に、前記成形条件推定モデルを使用し、樹脂の種別に係わる情報及び前記特定成形情報を入力することにより、対応する成形条件を推定することを特徴とする射出成形機の成形条件推定方法。
前記特定成形情報として、樹脂温度,金型温度,射出速度,保圧力,金型のキャビティの手前に設けたゲートに係わる情報,の少なくとも一つ以上を使用するとともに、成形条件には、前記キャビティに樹脂を射出充填した後、前記ゲートに在留する樹脂が固化するまでのゲートシール時間を適用することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件推定方法。
前記特定成形情報として、樹脂温度,金型温度,製品部の最大厚,樹脂の熱伝導率,樹脂と金型の熱伝達係数,の少なくとも一つ以上を使用するとともに、前記成形条件には、樹脂を射出充填した後における金型の冷却時間を適用することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件推定方法。
前記特定成形情報として、樹脂温度,樹脂のPVT特性,目標収縮率,ランナ部の圧力損失,の少なくとも一つ以上を使用するとともに、前記成形条件には、金型に対する保圧力を適用することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件推定方法。
前記特定成形情報として、樹脂温度,樹脂粘度,ランナ部の圧力損失,製品部の投影面積,射出圧力,保圧力,の少なくとも一つ以上を使用するとともに、成形条件には、金型に対する型締力を適用することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件推定方法。
前記特定成形情報として、樹脂温度,金型温度,樹脂粘度,製品部の最小厚,金型内の流動長,樹脂の熱伝導率,樹脂と金型の熱伝達係数,の少なくとも一つ以上を使用するとともに、成形条件として、射出速度を適用することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件推定方法。
前記基礎データベースは、サーバコンピュータにおける登録部に設定し、少なくともユーザー側から収集した情報に基づいて更新可能にすることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件推定方法。
前記成形条件推定モデルは、サーバコンピュータにおけるモデル格納部に設定し、クライアントコンピュータからアクセス可能にすることを特徴とする請求項1,10又は11記載の射出成形機の成形条件推定方法。
前記成形条件推定モデルは、サーバコンピュータにおけるモデル格納部に設定し、クライアントコンピュータからダウンロード可能にすることを特徴とする請求項1,10又は11記載の射出成形機の成形条件推定方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0030】
まず、本実施形態に係る成形条件推定方法を実施できる射出成形機M及び全体システムAについて、
図2を参照して説明する。
【0031】
図2中、Mは射出成形機を示すとともに、Aは射出成形機Mを含むサーバコンピュータ11及びクライアントコンピュータ12を含む全体システムを示す。
【0032】
射出成形機Mは、機台Mbと、この機台Mbの上に搭載された射出装置Mi及び型締装置Mcを備える。射出装置Miは、加熱筒41を備え、この加熱筒41の内部には回転動作及び進退動作するスクリュを収容するとともに、加熱筒41の前端には図に現れない射出ノズルを備える。また、加熱筒41の後部には、成形材料(樹脂ペレット)を供給するホッパー42を備える。一方、型締装置Mcには可動型と固定型の組合わせからなる金型2を備えるとともに、機台Mb上には側面パネル44を起設し、この側面パネル44に液晶ディスプレイ等を用いたタッチパネル付のディスプレイ45を配設する。
【0033】
さらに、射出成形機Mには、各種の制御処理及び演算処理を行うとともに、外部との通信処理を行うコンピュータ機能を有する成形機コントローラ51を内蔵する。したがって、成形機コントローラ51には、CPU等のハードウェアを有するコントローラ本体52及びコントローラ本体52に管理されるSSD等の内部メモリ53を備える。この内部メモリ53には、各種データを書込可能なデータエリア53dを有するとともに、各種プログラムを格納可能なプログラムエリア53pを有する。また、上述したディスプレイ45は、各種入力を行うタッチパネル部45tと各種表示を行うディスプレイ本体部45dを備え、このディスプレイ45は、表示インターフェイス54を介してコントローラ本体52に接続する。特に、任意の金型2を用いた射出成形機Mは、本実施形態に係る成形条件推定方法に関連して、成形条件の設定対象となり、成形機コントローラ51は、後述するスマートフォン等の携帯端末12s(クライアントコンピュータ12)に対する相互通信機能(データ授受機能)を備えている。
【0034】
一方、11はサーバコンピュータを示す。このサーバコンピュータ11は、ユーザーが所有する射出成形機Mに対する各種サービスを行うサービスセンター等に設置される。また、サーバコンピュータ11は、インターネット等のネットワークに接続して機能する通常のサーバ機能を備えるとともに、特に、本実施形態に係る成形条件推定方法に関連して、CAE(コンピュータ支援エンジニアリング)処理部3及びニューラルネットワーク処理部4を備えている。この場合、CAE処理部3は、樹脂流動解析処理を行う解析処理機能を備えるとともに、ニューラルネットワーク処理部4は、ニューラルネットワークにより各種データに基づく学習処理を行う学習処理機能を備えている。また、サーバコンピュータ11は、後述する基礎データベース5aを登録する登録部(内部記憶装置)6aを備えるとともに、後述する成形条件推定モデル(例示は、ゲートシール時間推定モデル)5bを格納するモデル格納部(内部記憶装置)6bを備える。
【0035】
他方、12はクライアントコンピュータを示す。クライアントコンピュータ12は、上述したサーバコンピュータ11を接続したネットワークと同じネットワークに接続し、サーバコンピュータ11に対してアクセス可能に構成する。したがって、クライアントコンピュータ12は、汎用的なパソコン(パーソナルコンピュータ)等を利用できるとともに、スマートフォン,携帯電話,ノートパソコン等の携帯端末12sを利用できる。特に、クライアントコンピュータ12として携帯端末12sを用いれば、何時でも何処でも、後述する成形条件推定モデル5bを利用可能になるため、必要となる成形条件を迅速に把握し、成形条件の迅速な設定に寄与できる。
【0036】
したがって、クライアントコンピュータ12には、本実施形態に係る成形条件推定方法を実施可能にするためのアプリケーションソフトウェアPaを予めインストールしておく。このアプリケーションソフトウェアPaを用いることにより、クライアントコンピュータ12において、成形条件(例示は、ゲートシール時間)推定モデルダウンロード機能Fd,ユーザー画面表示機能Fv,成形条件(例示は、ゲートシール時間)導出機能Fs,データ転送機能Fs等を含む主要な各種機能を実行することができる。
【0037】
次に、本実施形態に係る成形条件推定方法について、
図1〜
図11を参照して説明する。なお、本実施形態では、成形条件の一例として、ゲートシール時間Tsを適用した。
【0038】
最初に、本実施形態に係る成形条件推定方法を適用するゲートシール時間件推定方法の原理について説明する。本実施形態に係るゲートシール時間推定方法は、大別して、サーバコンピュータ11側における処理と、クライアントコンピュータ12側における処理に分けられる。
【0039】
この場合、サーバコンピュータ11側では、予め、ゲートシール時間Ts…に対する
基礎データベース5aを構築して登録部6aに設定する処理機能を備える。より具体的には、樹脂の種別に対して、ゲートに係わる情報及び設定した特定成形情報Csを使用し、かつ異なる複数の数値を組合わせることにより、CAE処理部3による樹脂流動解析処理を行う第一のステップと、この解析処理結果から複数のゲートシール時間Ts…を取得し、取得したゲートシール時間Ts…に対して、ニューラルネットワーク処理部4による学習処理を行う第二のステップとを経ることにより、ゲートシール時間Ts…をゲートシール時間推定モデル5bとして構築し、モデル格納部6bに設定する機能を備える。
【0040】
一方、クライアントコンピュータ12側では、使用する金型2を用いた射出成形機Mにおけるゲートシール時間Tsを求める際に、サーバコンピュータ11にアクセスし、サーバコンピュータ11内のゲートシール時間推定モデル5b又はダウンロードしたゲートシール時間推定モデル5bを利用して目的のゲートシール時間Tsを取得するための処理機能を備える。即ち、樹脂の種別及びゲートに係わる情報を含む特定成形情報Csを入力し、ゲートシール時間推定モデル5bを利用することにより、対応するゲートシール時間Tsを求めるとともに、求めたゲートシール時間Tsを任意の金型2に対するゲートシール時間Tsとして推定する処理機能を備える。
【0041】
したがって、構築するゲートシール時間推定モデル5b(基礎データベース5a)には、樹脂の種別及びゲートに係わる情報を含む特定成形情報Csに対応するゲートシール時間Tsが含まれているため、ゲートシール時間推定モデル5bに、入力する、樹脂の種別及びゲートに係わる情報を含む特定成形情報Csに対応する、正確なゲートシール時間Tsが担保されれば、目的とする正確なゲートシール時間Tsを推定できることになる。
【0042】
以下、本実施形態に係るゲートシール時間推定方法の有効性についての検証結果について説明する。
【0043】
検証は、本実施形態に係るゲートシール時間推定方法に用いる基礎データベース5aを構築するためのCAE処理部3による樹脂流動解析処理により求めたゲートシール時間Tsの解析処理結果と射出成形機Mによる実成形により得られた実情に近いゲートシール時間Tsの検出結果を対比することにより行った。
【0044】
最初に、本実施形態に係るゲートシール時間推定方法に用いる基礎データベース5aを構築するためのCAE処理部3による樹脂流動解析処理によりゲートシール時間Tsを求める処理方法及び解析結果について、
図3〜
図6を参照して説明する。
【0045】
まず、特定成形情報Csを設定する。例示は、特定成形情報Csとして、樹脂温度Thr,金型温度Thc,射出速度Vs及び保圧力Phを設定した場合を示す。このように、特定成形情報Csとして、樹脂温度Thr,金型温度Thc,射出速度Vs及び保圧力Phの四項目を用いれば、ゲートシール時間Tsに大きく影響する主要な成形条件として確保できるため、推定を行うに際しての十分な情報を得つつ多情報により煩雑になる不具合を回避できる利点がある。
【0046】
また、ゲートに係わる情報としてゲート形状を用いた。この場合のゲート形状には、ゲート自身の寸法的なディメンションをはじめ、必要に応じてゲートの位置やゲートの数量を含めることができる。本実施形態では、ゲート形状として、
図8に示すキャビティパターンEを想定した。このように、ゲートに係わる情報として、ゲート形状を用いれば、情報として入手しやすく、かつゲートシール時間Tsに大きく影響する要素となるため、ゲートシール時間Tsの推定に際し、的確で信頼性の高い情報として利用できる利点がある。さらに、樹脂の種別として、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン495F(商品名))を想定した。
【0047】
そして、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理を行うに際しては、樹脂の種別及びゲートに係わる情報は固定し、特定成形情報Csとなる、樹脂温度Thr,金型温度Thc,射出速度Vs及び保圧力Phは、それぞれ
図4に示す樹脂流動解析処理に用いる特定成形情報Csの一覧表のように、異なる複数の数値を組合わせることにより、経過時間に対する樹脂温度Thrの下降状況を、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理によりシミュレーションした。
【0048】
図3は、CAE処理部3による樹脂流動解析処理によりゲートシール時間Tsを求める手順を説明するためのフローチャートを示す。
【0049】
処理を実行するに際し、まず、CAE処理部3に、上述した樹脂の種別に係わるデータ及びゲート形状に係わるデータを入力するとともに、サンプルW1の実施条件、即ち、樹脂温度200〔℃〕,金型温度40〔℃〕,射出速度10〔mm/s〕,保圧力50〔MPa〕となる特定成形情報Csに係わるデータ入力を行う(ステップS31)。
【0050】
データ入力が終了したなら、これらの条件の下に、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理を行う(ステップS32)。この場合、CAE技術を用いる樹脂流動解析処理については、現在、様々なソフトウェアがアプリケーションソフトウェアとして提供されているため、これらのソフトウェアを選定し、サーバコンピュータ11にインストールして用いることができる。
【0051】
これにより、対応するゲートシール時間Tsを取得できる(ステップS33)。即ち、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理により、経過時間に対する樹脂温度Thrの下降状況をシミュレーションするため、特定の樹脂温度Thrに低下するまでの経過時間を求めることができる。設定した樹脂(HIPS)の場合、固化温度は98〔℃〕(メーカー公表値)であり、また、金型取出温度は88〔℃〕(メーカー公表値)である。したがって、この場合、樹脂温度Thrが、98〔℃〕に低下した時点の経過時間を取り込めば、この経過時間をゲートシール時間Tsとすることができる。
【0052】
このようなCAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理によるシミュレーションを、サンプルW2−W9まで同様に行う(ステップS34,S31…)。これにより、各サンプルW1−W9における九つのゲートシール時間Ts…を取得することができる。そして、全サンプルW1−W9に対するゲートシール時間Ts…の取得が終了したなら、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理を終了させる(ステップS34)。
【0053】
得られた結果(ゲートシール時間Ts…)を
図5における「CAE」の欄に示す。なお、比較例として、現在、一般に用いられているゲートシール時間の計算式により求めたゲートシール時間Tsを
図5における「一般式」の欄に示した。また、
図6は、
図5のゲートシール時間Ts…をグラフで示したものであり、グラフ線Tiは、CAE処理部3により得たゲートシール時間Ts…、グラフ線Trは、一般の計算式により得たゲートシール時間Ts…を、それぞれ示す。なお、参考までに、一般に用いられている計算式を[数1]に示す。
図5における「一般式」の欄に示したゲートシール時間Ts…は[数1]により算出した数値である。
【0054】
【数1】
【0055】
[数1]において、tSRはゲートシール時間〔s〕,λは樹脂の熱伝導率〔kcal/m・h・℃〕,cは樹脂の比熱〔kcal/kg・℃〕,ρは樹脂の密度〔kg/立法メートル〕,θrは溶融樹脂温度〔℃〕,θeは成形品取出温度〔℃〕,θmはキャビティ表面温度〔℃〕,kはゲートの深さ〔mm〕,bはゲートの幅〔mm〕,Lはゲートのランド長さ〔mm〕である。
【0056】
次に、射出成形機Mの実成形によりゲートシール時間Tsを求める実施方法及び実施結果について、
図7〜
図9を参照して具体的に説明する。
【0057】
図7は、実成形によりゲートシール時間Ts…を求める手順を説明するためのフローチャートを示す。また、使用する金型2のキャビティパターンEを
図8に示す。このキャビティパターンEにより成形する成形品(製品)はプラモデルの一部であり、
図8中、2g…がゲートを示す。その他、2mは製品部、2r…はランナ、2sはスプルをそれぞれ示している。
【0058】
実成形に際しては、まず、使用する金型2を含む射出成形機Mに対する成形条件の設定を行う(ステップS51)。この場合、成形条件には、少なくとも前述した特定成形情報Csを含むとともに、その他、成形に必要な通常の成形条件を設定する。また、前述したサンプルW1−W9の全サンプルに対応した成形を行うことが望ましいが、本実施形態では、樹脂温度Thrが異なる代表的なサンプルW1,W5,W9の三サンプルについて実成形を行った。
【0059】
一方、成形条件の設定が終了したなら、サンプルW1に対応する最初の成形工程を実施する(ステップS52)。具体的には、型締工程,計量工程,射出工程を順次行う。また、同時に、工程の進行状態を監視する(ステップS53)。そして、保圧工程に移行、即ち、速度制御領域となる射出工程から圧力制御領域となる保圧工程への切換点となるV−P切換点に達したなら経過時間を監視、即ち、計時を開始する(ステップS54,S55)。経過時間を監視し、設定時間(N)に達したなら、保圧工程を停止し、成形品の取出しを行う(ステップS56,S57)。この場合、最初の設定時間(N)は、固化が想定される時間よりも十分に手前となる時間を選定する。例示の場合、2.3〔s〕を設定時間(保圧時間)とした。成形品の取出しが終了したなら成形品の重量測定を行う(ステップS58)。
【0060】
次いで、設定時間を若干長くなる方向、即ち、設定時間(N)を新たな設定時間(N+n)に変更して同様の成形工程を実施する(ステップS59,S60,S52…)。例示の場合、「n」は、0.3〔s〕程度に設定した。なお、「n」の値は、必ずしも一定である必要はなく、最初は比較的長い時間間隔を設定し、重量測定の結果、重量変化が少なくなってきたら、徐々に短い時間間隔に設定するなど任意に設定できる。この後、設定時間(N+n)を順次変更して同様の成形工程を繰り返し、成形した成形品の重量変化(増加)が生じなくなり、いわばピークを過ぎたと判断できる状態になったら成形処理を終了させる(ステップS59)。
【0061】
これにより、サンプルW1に対応する成形処理が終了するため、次に、サンプルW5に対応する成形処理を、サンプルW1の場合と同様に行う。また、サンプルW5に対応する成形処理が終了したなら、次に、サンプルW9に対応する成形処理をサンプルW1の場合と同様に行う(ステップS61,S51…)。そして、サンプルW1,W5,W9に対応する全ての成形処理が終了したなら、成形品重量の最大値を選出する(ステップS61,S62)。
図9は、成形処理により得られた成形品重量と設定時間(保圧時間)の関係を示した変化グラフであり、グラフ線Q1はサンプルW1、グラフ線Q5はサンプルW5、グラフ線Q9はサンプルW9をそれぞれ示す。
図9に示すように、成形品重量の最大値が、点線t1,t5,t9により示す時間で生じていることを確認できる。
【0062】
この場合、成形品重量が最大値を示すことは、充填が停止、即ち、樹脂が流動しなくなったことを意味するため、この点を固化時点とした。例示の場合、サンプルW1における時間t1は、約2.5〔s〕、サンプルW5における時間t5は、約3.6〔s〕、サンプルW9における時間t9は、約4.2〔s〕となる。得られた各時間をゲートシール時間Ts…とした。また、得られたゲートシール時間Ts…は、
図5に「実成形」として示した。これにより、CAE処理部3による樹脂流動解析処理による処理結果と対比することができる。
【0063】
以上の結果から明らかなように、特に、サンプルW5とW9については、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理に基づく処理結果と実成形を行うことにより得られた実施結果の間には、強い近似性が担保されていることを確認できた。したがって、このようなCAE処理部3による樹脂流動解析処理に基づく結果をデータベース化すれば、樹脂の種別,ゲートに係わる情報及び特定成形情報Csが、一致した場合、正確なゲートシール時間Tsを推定できることを示している。
【0064】
以下、このような検証結果を踏まえ、本実施形態に係るゲートシール時間推定方法について、
図1〜
図12を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るゲートシール時間推定方法を実施する手順を説明するためのフローチャートを示す。
【0065】
最初に、サーバコンピュータ11側(メーカー側)の処理について説明する。サーバコンピュータ11では、まず、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理によりゲートシール時間Ts…を取得する(ステップS1)。この場合、前述した検証時に実施した処理手順と同様に、樹脂の種別に対して、ゲートに係わる情報を含む設定した特定成形情報Csを使用し、かつ異なる複数の数値を組合わせることにより、CAE処理部3による樹脂流動解析処理を行う。これにより、複数のゲートシール時間Ts…を取得することができる。また、樹脂の種別とゲート形状(ゲートに係わる情報)を変更することにより、同様の処理を行い、様々な条件に対応するゲートシール時間Ts…を取得する。そして、得られた多数のゲートシール時間Ts…(データ群)から基礎データベース5aを構築して登録部(内部記憶装置)6aに登録する(ステップS2,S3)。
【0066】
ところで、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理を行うことにより、取得したゲートシール時間Ts…に対して、樹脂流動解析処理で用いた処理条件と一致する情報を入力した場合には、前述した検証結果から明らかなように、正確なゲートシール時間Tsを推定することができる。しかし、一致しない情報を入力した場合であっても、近似できる、より正確なゲートシール時間Tsを推定できるようにするため、本実施形態に係るゲートシール時間推定方法では、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理による結果、即ち、上述した基礎データベース5aをニューラルネットワーク処理部4を用いたニューラルネットワークにより学習処理させるようにした(ステップS4)。
【0067】
なお、ニューラルネットワーク処理部4を用いたニューラルネットワークによる学習処理は、通常、実際に得られる実測値に対して適用させるものであるが、本実施形態に係るゲートシール時間推定方法では、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理による処理結果であるゲートシール時間Ts…の推定値に対して適用させた点が今回の着目すべき技術の一つとなる。特に、ニューラルネットワーク処理部4による計算処理(学習処理)は、CAE処理部3による計算処理に比べ、計算時間を大幅に短縮できるため、ユーザー側においては、CAE処理を行うための別途の製品モデルの用意は不要となる。
【0068】
そして、ニューラルネットワーク処理部4を用いたニューラルネットワークによる学習処理により、ゲートシール時間推定モデル5bを構築し、サーバコンピュータ11における記憶処理機能を有するモデル格納部(内部記憶装置)6bに格納する(ステップS7,S8)。このゲートシール時間推定モデル5bは、データテーブルとして構築してもよいし、関数式や変換式等を含む演算式により構築してもよい。このように、ゲートシール時間推定モデル5bに、データテーブル又は演算式を含ませれば、射出成形機Mの種別やグレード或いはデータ内容等に合わせた的確なゲートシール時間推定モデル5bを構築できる。
【0069】
なお、本実施形態では、サーバコンピュータ11側において、ユーザー側の利用履歴や成形品データ等の情報を収集し、学習対象に含めることにより、ゲートシール時間推定モデル5bを随時一括して更新する(進化させる)ことができるようにした。このため、収集した情報が存在する場合、即ち、更新事由が存在する場合には、基礎データベース5aを随時更新し、更新した基礎データベース5aに対してニューラルネットワークによる学習処理を行っている(ステップS5,S6)。これにより、サーバコンピュータ11側においては、基礎データベース5aを一括して更新し、基礎データベース5aを最新の状態にできるため、システムの効率的な最適化に寄与できる利点がある。
【0070】
この場合、ニューラルネットワーク処理部4を用いたニューラルネットワーク処理、即ち、ニューラルネットワーク処理部4における処理プログラムは、CAE処理部3に基づいて得られた基礎データベース5aを学習処理し、パターン認識させることにより、ある物理現象を疑似的にモデル化し、実際に射出成形機Mを運転させることなく、前述した特定成形情報Cs等の入力パラメータにより、成形状態をシミュレーションするものであり、
図10及び
図11に、ニューラルネットワーク処理部4による学習結果の一例を示している。
【0071】
図10は、ゲートシール時間Tsに対して金型温度Thcがプロット(プロットの図示は省略)されることにより、疑似的な相関曲線Qcが得られることを示している。即ち、
図10により、ゲートシール時間Tsは、金型温度Thcに、ほぼ比例することを示している。同様に、
図11は、ゲートシール時間Tsに対して樹脂温度Thrがプロット(プロットの図示は省略)されることにより、疑似的な相関曲線Qrが得られることを示している。即ち、
図11により、ゲートシール時間Tsは、樹脂温度Thrに、ほぼ比例することを示している。
【0072】
また、ゲートシール時間推定モデル5bは、基本的に、サーバコンピュータ11側に設定することが望ましい。このように、ゲートシール時間推定モデル5bを、サーバコンピュータ11に設定すれば、後述するクライアントコンピュータ12…からアクセス可能又はダウンロード可能になり、最新の成形条件推定モデル5bを利用できる利点がある。
【0073】
次に、クライアントコンピュータ12側(ユーザー側)の処理について説明する。前述したように、クライアントコンピュータ12としては、スマートフォン等の携帯端末12sを用いることが望ましい。したがって、実施形態は、携帯端末12sを用いた場合について説明する。最初に、本実施形態に係るゲートシール時間推定方法を実施するためのアプリケーションソフトウェアPaを、ダウンロード等により取得し、携帯端末12sに予めインストールしておく(ステップS9)。
【0074】
今、ユーザーは、任意の金型2を用いた射出成形機Mの成形条件の設定や生産計画を立てる状況下にあり、ゲートシール時間Tsの把握が必要になった場合を想定する。この場合、ユーザーは、携帯端末12sを使用し、アプリケーションソフトウェアPaを起動させる(ステップS10)。これにより、携帯端末12sのディスプレイには、ユーザー画面表示機能Fvにより、
図12に示すユーザー画面61が表示される(ステップS11)。また、起動により自動で、又はダウンロードキーを操作すれば、ゲートシール時間推定モデルダウンロード機能Fdにより、サーバコンピュータ11にアクセスし、最新のゲートシール時間推定モデル5bを、携帯端末12sの登録部にダウンロードする(ステップS12)。
【0075】
一方、ユーザーは、ユーザー画面61に、ゲートシール時間Tsの推定を行う前提となる必要な情報を入力する(ステップS13)。即ち、樹脂の種別.ゲート形状,特定成形情報Csに係わる各情報を入力する。例示の場合、樹脂選択部62を用いた樹脂の種別の選択(例示は「PP」)、樹脂温度設定部63を用いた樹脂温度Thrの入力(例示は「220」℃)、金型温度設定部64を用いた金型温度Thcの入力(例示は「40」℃)、充填時間設定部65を用いた充填時間の入力(例示は「2」秒)、保圧力設定部66を用いた保圧力Phの入力(例示は「60」MPa)を行う。この場合、充填時間は、スクリュの射出ストローク用いて射出速度Vsに変換される。また、ゲート形状設定部67を用いて、ゲート形状の種類(例示は「サイド」)及び数量等の設定を行う。
【0076】
情報の入力が終了したなら、計算キー68をタッチする。これにより、ゲートシール時間導出機能Fsにより、ゲートシール時間推定モデル5bと入力した情報に基づいて、対応するゲートシール時間Tsの導出処理が行われる(ステップS14)。そして、導出されたゲートシール時間Tsは、推定したゲートシール時間Tsとして設定されるとともに、
図12に示すゲートシール時間表示部69に表示される(ステップS15)。また、ゲートシール時間Tsが得られたことにより、必要な成形条件が設定される(ステップS16)。具体的には、ゲートシール時間Tsを直接的に利用できる保圧時間の設定を行うことができるとともに、他の成形条件も考慮して全体の成形サイクル時間を把握することができる。このように、本実施形態では、携帯端末12sを用いて必要なゲートシール時間Tsを得ることができるため、成形条件(保圧時間等)の迅速な設定に寄与できるとともに、成形サイクル時間の把握による的確な生産計画等も効率的に立てることができる。
【0077】
そして、得られたゲートシール時間Tsや成形条件等のデータは、データ転送機能Fsにより、成形機コントローラ51に転送(送信)できる(ステップS17)。また、成形機コントローラ51では受信したデータを内部メモリ53に設定することができる(ステップS18)。なお、携帯端末12sに表示されるユーザー画面61を利用して情報の入力を行うことができるため、前述したゲートシール時間推定モデル5bをサーバコンピュータ11に残したまま携帯端末12sから入力した情報をサーバコンピュータ11に送信してもよい。これにより、サーバコンピュータ11側において、ステップS14における、対応するゲートシール時間Tsの導出処理を行い、得られたゲートシール時間Tsを、携帯端末12sに送信してもよい。
【0078】
したがって、このようなゲートシール時間推定方法によれば、予め、樹脂の種別に係わる情報に対して設定した特定成形情報Csを使用し、かつ異なる複数の数値を組合わせることにより、CAE処理部3による樹脂流動解析処理を行い、この解析処理結果から所定のゲートシール時間に対する複数のデータ(Ts…)を取得することにより基礎データベース5aを構築し、この基礎データベース5aに対して、ニューラルネットワーク処理部4による学習処理を行い、かつゲートシール時間推定モデル5bを構築して所定のモデル格納部6bに設定するとともに、所定のゲートシール時間を求める際に、ゲートシール時間推定モデル5bを使用し、樹脂の種別に係わる情報及び特定成形情報Csを入力することにより、対応するゲートシール時間Tsを推定するようにしたため、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理によるシミュレーション、更にはこのシミュレーションに対してニューラルネットワーク処理部4を用いた学習処理によるブラシアップの組合わせにより、必要なゲートシール時間Tsを求める(推定する)ことができる。これにより、時間のかかる実成形を繰り返す作業が不要となるため、目的のゲートシール時間Tsを迅速かつ容易に求める(推定する)ことができ、この結果、生産能率及び生産性を飛躍的に高めることができる。
【0079】
また、射出成形機を稼働して繰り返す実成形が不要になることから実成形に伴う成形材料や消費電力を無駄を排除できる。この結果、資材節減及び省エネルギ性、更にはコスト削減を図ることができる。しかも、実成形に伴う作業労力を排除できるとともに、人為的な作業により生じるバラツキ要因も排除できるため、正確性及び安定性に優れたゲートシール時間Ts(保圧時間)を確保できる。加えて、ニューラルネットワーク処理部4による計算処理(学習処理)は、CAE処理部3による計算処理に比べ、計算時間を大幅に短縮できるため、ユーザー側においては、CAE処理を行うための別途の製品モデルの用意は不要となる利点がある。
【0080】
以上、成形条件の一例として、ゲートシール時間Tsを推定する場合について説明したが、本発明に係る成形条件推定方法は、射出成形機Mにおける、少なくとも樹脂流動に係わる成形条件を推定する際に利用することができる。樹脂流動に係わる成形条件としては、金型2の冷却時間,金型2に対する保圧力,型締力,射出速度を適用できる。
【0081】
図13は、前述したゲートシール時間Ts…に係わる基礎データベース5aを構築する際における、特定成形情報Cs,CAE処理部3,基礎データベース5aの関係を示したものである。したがって、他の成形条件を推定する場合にも、同様の原理により、CAE処理部3を用いて基礎データベース5aを構築し、目的の成形条件を推定することができる。
【0082】
図14a〜
図14dは、上述した成形条件、即ち、金型2の冷却時間,金型2に対する保圧力,型締力,射出速度の各成形条件を推定する際に用いる特定成形情報Csと構築する基礎データベース5aの関係を示す。
【0083】
図14aは、冷却時間を推定する場合の関係図であり、この場合、特定成形情報Csには、樹脂温度,金型温度,製品部の最大厚,樹脂の熱伝導率,樹脂と金型2の熱伝達係数,の一又は二以上を組合わせて使用でき、これにより、樹脂を射出充填した後における金型2の冷却時間(成形条件)を推定することができる。このように、特定成形情報Csに、樹脂温度,金型温度,製品部の最大厚,樹脂の熱伝導率,樹脂と金型2の熱伝達係数,の少なくとも一つ以上を使用するとともに、成形条件に、金型2の冷却時間を適用すれば、当該冷却時間に大きく影響する主要な特定成形情報Csを確保できるため、推定を行うに際しての十分な情報を得つつ多情報により煩雑になる不具合を回避できる。したがって、冷却時間推定方法として利用することができ、目的とする的確な冷却時間の設定を迅速かつ容易に行うことができる。
しかも、目的とする的確な冷却時間の設定も迅速かつ容易に行うことができる。
【0084】
図14bは、金型2に対する保圧力を推定する場合の関係図であり、この場合、特定成形情報Csには、樹脂温度,樹脂のPVT特性,目標収縮率,ランナ部の圧力損失,の一又は二以上を組合わせて使用でき、これにより、金型2に対する保圧力(成形条件)を推定することができる。このように、特定成形情報Csに、樹脂温度,樹脂のPVT特性,目標収縮率,ランナ部の圧力損失,の少なくとも一つ以上を使用するとともに、成形条件に、金型2に対する保圧力を適用すれば、当該保圧力に大きく影響する主要な特定成形情報Csを確保できるため、推定を行うに際しての十分な情報を得つつ多情報により煩雑になる不具合を回避できる。したがって、保圧力推定方法として利用することができ、目的とする的確な保圧力の設定を迅速かつ容易に行うことができる。
【0085】
図14cは、型締力を推定する場合の関係図であり、この場合、特定成形情報Csには、樹脂温度,樹脂粘度,ランナ部の圧力損失,製品部の投影面積,射出圧力又は保圧力,の一又は二以上を組合わせて使用でき、これにより、型締力(成形条件)を推定することができる。このように、特定成形情報Csに、樹脂温度,樹脂粘度,ランナ部の圧力損失,製品部の投影面積,射出圧力又は保圧力,の少なくとも一つ以上を使用するとともに、成形条件に、金型2に対する型締力を適用すれば、当該型締力に大きく影響する主要な特定成形情報Csを確保できるため、推定を行うに際しての十分な情報を得つつ多情報により煩雑になる不具合を回避できる。したがって、型締力推定方法として利用することができ、目的とする的確な型締力の設定を迅速かつ容易に行うことができる。
【0086】
図14dは、射出速度を推定する場合の関係図であり、この場合、特定成形情報Csには、樹脂温度,金型温度,樹脂粘度,製品部の最小厚,金型内述の流動長,樹脂の熱伝導率,樹脂と金型2の熱伝達係数,の一又は二以上を組合わせて使用でき、これにより、射出速度(成形条件)を推定することができる。このように、特定成形情報Csに、樹脂温度,金型温度,樹脂粘度,製品部の最小厚,金型内の流動長,樹脂の熱伝導率,樹脂と金型2の熱伝達係数,の少なくとも一つ以上を使用するとともに、成形条件に、射出速度を適用すれば、当該射出速度に大きく影響する主要な特定成形情報Csを確保できるため、推定を行うに際しての十分な情報を得つつ多情報により煩雑になる不具合を回避できる。したがって、射出速度推定方法として利用することができ、目的とする的確な射出速度の設定を迅速かつ容易に行うことができる。
【0087】
その他の処理については、
図1〜
図12に基づいて説明したゲートシール時間推定方法に準じて同様に行うことができる。特に、特定成形情報Csとしては、例示した全ての情報を組合わせることが望ましいが、必要に応じて一部の情報を他の情報と置換したり、或いは他の情報を追加的に付加してもよい。したがって、例えば、ゲートに係わる情報として、ゲート形状を例示したが、必要により特殊形態のゲート等を含めてもよい。
【0088】
よって、このような本実施形態に係る成形条件推定方法によれば、基本的な手法として、予め、樹脂の種別に係わる情報に対して設定した特定成形情報Csを使用し、かつ異なる複数の数値を組合わせることにより、CAE処理部3による樹脂流動解析処理を行い、この解析処理結果から所定の成形条件に対する複数のデータを取得することにより基礎データベース5aを構築し、この基礎データベース5aに対して、ニューラルネットワーク処理部4による学習処理を行い、かつ成形条件推定モデル5bを構築して所定のモデル格納部6bに設定するとともに、所定の成形条件を求める際に、成形条件推定モデル5bを使用し、樹脂の種別に係わる情報及び特定成形情報Csを入力することにより、対応する成形条件を推定するようにしたため、CAE処理部3を用いた樹脂流動解析処理によるシミュレーション、更にはこのシミュレーションに対してニューラルネットワーク処理部4を用いた学習処理によるブラシアップの組合わせにより、必要な成形条件を求める(推定する)ことができる。これにより、時間のかかる実成形を繰り返す作業が不要となるため、目的の成形条件を迅速かつ容易に求める(推定する)ことができる。
【0089】
また、射出成形機を稼働して繰り返す実成形が不要になることから実成形に伴う成形材料や消費電力を無駄を排除できる。この結果、資材節減及び省エネルギ性、更にはコスト削減を図ることができる。しかも、実成形に伴う作業労力を排除できるとともに、人為的な作業により生じるバラツキ要因も排除できるため、正確性及び安定性に優れた成形条件を確保できる。さらに、ニューラルネットワーク処理部4による計算処理(学習処理)は、CAE処理部3による計算処理に比べ、計算時間を大幅に短縮できるため、ユーザー側においては、CAE処理を行うための別途の製品モデルの用意は不要となる。
【0090】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、クライアントコンピュータ12として携帯端末12s例示したが、クライアントコンピュータ12としてのコンピュータ機能を、成形機コントローラ51に内蔵する形態であってもよい。