(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポンプは、流体を供給するための手段として、様々な装置で使用される。一般的に、ポンプの寿命は、しばしばその運転時間に基づいて判断される場合がある。しかしながら、ある種のポンプ(例えば、ダイヤフラムポンプ)は、周期的な流体の送り出し動作によって圧力流体を送り、このような送り出し動作の頻度は、様々な要因(例えば、要求される流体の圧力)に応じて変化する場合がある。例えば、要求される圧力が高い場合には、圧力が低い場合に比して、高頻度の送り出し動作が必要となる。したがって、このようなポンプの寿命を単に運転時間に基づいて判断することは困難な場合がある。
【0006】
本開示は、上記の課題を考慮して、ポンプの寿命を正確に診断することができる流体供給装置を提供することを目的とする。また、本開示は、このような流体供給装置を備えるウォータジェットレーザ加工機にも関連する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、圧力流体を生成し、所望の機器に供給する流体供給装置において、周期的な流体の送り出し動作によって圧力流体を供給するポンプと、ポンプの送り出し動作を検出するための検出部と、検出部の検出結果に基づいて得られるポンプの送り出し動作の回数がしきい値を超えたときに通知を出す制御装置と、を具備する流体供給装置である。
【0008】
本開示の一態様に係る流体供給装置では、ポンプの送り出し動作の回数に基づいて、通知(例えば、ポンプの点検又は交換のための通知)が出されるか否かが判断される。したがって、流体の圧力等の要因に応じてポンプの送り出し動作の頻度が変化する場合であっても、ポンプの送り出し動作の回数を計数することによって、ポンプの部品にかかる負荷を正確に見積もることが可能である。よって、ポンプの寿命を正確に診断することができる。
【0009】
検出部は、圧力流体の脈動を検出する流量センサを含んでもよい。ポンプの送り出し動作は周期的であるため、圧力流体は脈動する。したがって、圧力流体の脈動に基づいて送り出し動作の回数を計数することができる。
【0010】
検出部は、ポンプの振動を検出するセンサであってもよい。ポンプの送り出し動作は周期的であるため、ポンプの振動のなかには送り出し動作に基づく振動成分が含まれる。したがって、ポンプの振動に基づいて送り出し動作の回数を計数することができる。
【0011】
本開示の他の態様は、水柱によってレーザビームを案内し、レーザビームをワークに対して照射することによってワークを加工するウォータジェットレーザ加工機において、水柱を噴射しかつ水柱の中にレーザビームを照射するノズルと、周期的な水の送り出し動作によってノズルに加圧された水を供給するポンプと、ポンプの送り出し動作を検出するための検出部と、検出部の検出結果に基づいて得られるポンプの送り出し動作の回数がしきい値を超えたときに通知を出す制御装置と、を具備するウォータジェットレーザ加工機である。
【0012】
ウォータジェットレーザ加工機では、例えばノズルの内径等の様々な要因に応じて、ポンプの送り出し動作の頻度が変化する。本態様のウォータジェットレーザ加工機では、ポンプの送り出し動作の回数に基づいて、通知(例えば、ポンプの点検又は交換のための通知)が出されるか否かが判断される。したがって、ポンプの送り出し動作の頻度が変化する場合であっても、ポンプの送り出し動作の回数を計数することによって、ポンプの部品にかかる負荷を正確に見積もることが可能である。よって、ポンプの寿命を正確に診断することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一態様によれば、ポンプの寿命を正確に診断することができる流体供給装置及びウォータジェットレーザ加工機を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る流体供給装置及びウォータジェットレーザ加工機を説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。理解を容易にするために、図の縮尺は変更されている場合がある。
【0016】
図1は、実施形態に係る流体供給装置を具備するウォータジェットレーザ加工機100を示す概略図である。ウォータジェットレーザ加工機(以下、単に「レーザ加工機」とも称され得る)100は、水柱(「水の層流層」とも称され得る)34によってレーザビームを案内し、レーザビームをワークWに対して照射することによってワークWを加工する。レーザ加工機100は、例えば、レーザヘッド10と、純水製造装置30と、高圧ポンプユニット(流体供給装置)40と、ワークテーブル36と、制御装置50と、を備えている。レーザ加工機100は、他の構成要素を更に備えてもよい。
【0017】
レーザヘッド10は、ワークWに対してレーザビームを照射する。例えば、レーザヘッド10は、ワークテーブル36に対して、直交する3軸方向(X、Y及びZ方向)の各々に直線的に移動可能である。レーザヘッド10の移動は、例えば制御装置50に組み込まれたNC装置によって制御されてもよい。レーザヘッド10では、ハウジング12の外部に(又は内部に)配置されたレーザ発信器14から、レーザビームが出射される。例えば、レーザ発信器14は、可視光レーザ(例えば、Nd:YAGレーザ)を出射する。レーザビームは、例えば光ファイバ等の導光部材14aを介して、レーザ照射ヘッド16によって受け取られる。レーザ照射ヘッド16は、レーザビームをコリメーションレンズ18へ向けて照射する。レーザ照射ヘッド16からのレーザビームは、コリメーションレンズ18によって平行光線に変換されて、第1のミラー20によって第2のミラー22に向けて反射され、第2のミラー22によってレーザフォーカスレンズ24へ向けて反射される。レーザフォーカスレンズ24によって絞られたレーザビームは、ノズル26のノズル孔26bを通して、ハウジング12の外部に照射される。
【0018】
第1及び第2のミラー20,22は、平面状の反射面を有しており、且つ、ミラー配向変更手段としてそれぞれ第1モータ20a及び第2モータ22aを有している。反射面の配向を第1モータ20a及び第2モータ22aによって調整することにより、レーザビームの焦点位置を水平な2方向(X方向及びY方向)に調整することができる。例えば、第1及び第2のミラー20,22、特に、レーザフォーカスレンズ24へ向けてレーザビームを反射する第2のミラー22は、誘電体多層膜を含んでもよい。誘電体多層膜は、レーザ発信器14から照射されるレーザビームの波長に適合され、レーザビームを反射し、且つ、レーザビームの波長以外の波長の光を透過する。このような誘電体多層膜は、例えば、ガラス板に蒸着によって形成されている。第2のミラー22が誘電体多層膜を含む場合、ノズル孔26bから照射されるレーザビームとノズル孔26bとの位置関係を、カメラ32によって監視することが可能である。例えば、カメラ32のピントは、ノズル孔26bの開口面と同一レベルのノズルヘッド26aの面に合わせられる。レーザヘッド10の構成要素(例えば、レーザ発信器14、第1モータ20a、第2モータ22a及びカメラ32等)の動作は、例えば制御装置50に組み込まれた機械制御装置によって制御されることができる。
【0019】
ノズル26は、水柱34を噴射しかつ水柱34の中にレーザビームを照射する。具体的には、ノズル26は、ノズルヘッド26aを有している。ノズルヘッド26aは、高圧ポンプユニット40から管路28を介して水の供給を受ける中空状の部材である。レーザフォーカスレンズ24に対面するノズルヘッド26aの上面には、ガラス等の透明な部材から形成された窓26cが設けられている。ノズルヘッド26aには、ノズル孔26bが設けられている。ノズルヘッド26aには、ノズルヘッド26aとは別体のノズル本体(不図示)が着脱可能に取付けられてもよく、ノズル孔26bは、このノズル本体に設けられていてもよい。この場合、異なる内径のノズル孔26bを有する複数のノズル本体のなかから、加工の条件に応じて、1つのノズル本体を選択することができる。このような構成によって、ノズル26の内径は変更可能である。
【0020】
純水製造装置30は、水柱34を形成するために使用される水(例えば、純水又は純水よりもさらに不純物の少ない超純水)を生成する。純水製造装置30は、給水源60(例えば、水道)に流体的に繋がれており、例えば、タンク、ポンプ及びフィルタ等の構成要素を含むことができる。高圧ポンプユニット40は、純水製造装置30から供給された水を加圧し、加圧された水を、管路28を介してノズル26に供給する。ノズル26に供給された水は、水柱34としてノズル孔26bからワークWに向けて噴射される。水柱34の圧力は、水の流量及びノズル孔26bの内径に応じて変化する。例えば、水の流量が20ml/min〜150ml/minで、ノズル孔26bの内径が30μm〜135μmの場合、水柱34の圧力は、概ね50MPa(500bar)〜5MPa(50bar)である。ノズル孔26bからハウジング12の外部に照射されるレーザビームは、水柱34によって包囲され、水柱34と周囲の空気との間の境界面で全反射しながら進む。したがって、レーザビームは水柱34に沿って進む。
【0021】
ワークテーブル36は、例えば、ベッド(不図示)上に配置され、ワークWを把持する。ワークテーブル36は、不図示の回転機構等の送り装置を有していてもよい。ワークテーブル36の動作は、例えば制御装置50に組み込まれたNC装置によって制御されてもよい。
【0022】
次に、高圧ポンプユニット40について詳細に説明する。
【0023】
高圧ポンプユニット40は、上記のように、純水製造装置30から供給された水から加圧された水を生成し、管路28を介してノズル26に供給する。高圧ポンプユニット40は、例えば、高圧ポンプ41と、振動センサ(検出部)42と、流量センサ(検出部)43と、パルセーションダンパ44と、フィルタ45と、を有している。また、高圧ポンプユニット40は、高圧ポンプユニット40の各構成要素を制御するための制御装置を有しており、本実施形態では、この制御装置は、レーザ加工機100の全体を制御するための制御装置50(詳しくは後述)に組み込まれている。高圧ポンプユニット40は、他の構成要素を更に有していてもよい。
【0024】
高圧ポンプ41は、周期的な流体の送り出し動作によって圧力流体を供給する。具体的には、本実施形態では、高圧ポンプ41は、エア駆動式のダイヤフラムポンプであることができる。他の実施形態では、高圧ポンプ41は、他のタイプの容積ポンプ(例えば、回転式又は往復式)であってもよい。
【0025】
図2は、
図1中の高圧ポンプ41を示す概略図である。高圧ポンプ41は、例えば、流体入口41aと、流路41bと、流体出口41cと、ダイヤフラム41dと、シリンダ41eと、を有している。流体入口41aは、純水製造装置30(
図2において不図示)に流体的に連通され、純水製造装置30からの水を受け入れる。流路41bは、流体入口41aと流体出口41cとを流体的に連通している。流体出口41cは、パルセーションダンパ44(
図2において不図示)に流体的に連通され、パルセーションダンパ44に加圧された水を送る。流体入口41aには逆止弁が設けられており、逆止弁は、流体入口41aから流路41bに流れる水が流体入口41aに逆流しないように構成されている。同様に、流体出口41cには逆止弁が設けられており、逆止弁は、流路41bから流体出口41cに流れる水が流路41bに逆流しないように構成されている。
【0026】
ダイヤフラム41dは、流路41bに設けられており、流路41bの内部に向かって変形するときに、流体出口41cから加圧された水を押し出し、流路41bの内部から離れて変形するときに、流体入口41aから水を吸い込むように構成されている。
【0027】
シリンダ41eは、ダイヤフラム41dを変形させるように構成されている。シリンダ41eは、ピストン41fと、ピストン41fによって仕切られた第1及び第2のチャンバ41g,41hと、を含んでいる。ピストン41fは、ダイヤフラム41dに連結されている。シリンダ41eには、第1及び第2のチャンバ41g,41hと流体的に連通する方向切換弁41iが接続されている。方向切換弁41iは、例えばソレノイドバルブであることができる。方向切換弁41iには、空気圧源70から空気が供給される。
【0028】
方向切換弁41iの動作(すなわち、高圧ポンプ41の送り出し動作)は、制御装置50(
図2において不図示)によって制御される。具体的には、流体出口41cから加圧された水を押し出すときには、方向切換弁41iは、第1のチャンバ41gに空気を供給しかつ第2のチャンバ41hから空気を引き出すように制御され、これによって、ピストン41fがダイヤフラム41dに向かって移動し、ダイヤフラム41dを流路41bの内部に向かって変形させる。続いて、流体入口41aから水を吸い込むときには、方向切換弁41iは、第1のチャンバ41gから空気を引き出しかつ第2のチャンバ41hに空気を供給するように制御され、これによって、ピストン41fがダイヤフラム41dから離れるように移動し、ダイヤフラム41dを流路41bの内部から離れるように変形させる。以上のような動作を繰り返すことによって、高圧ポンプ41は、周期的な送り出し動作によって圧力流体を供給するように構成されている。
【0029】
方向切換弁41iには、切換回数カウンタ(検出部)41jが接続されている。切換回数カウンタ41jは、方向切換弁41iの切換回数(すなわち、高圧ポンプ41の送り出し動作の回数)を検出するように構成されている。切換回数カウンタ41jは制御装置50に接続されており、検出された「送り出し動作の回数」を制御装置50に送る。切換回数カウンタ41jは、例えば、方向切換弁41iが動作するときに、方向切換弁41iから入力される信号の数を計数することができる電子カウンタであることができる。
【0030】
図1を参照して、振動センサ42は、高圧ポンプ41の振動を検出するように構成されている。振動センサ42は制御装置50に接続されており、検出された振動データを制御装置50に送る。上記のように、高圧ポンプ41の送り出し動作は周期的であるため、高圧ポンプ41の振動データのなかには、送り出し動作に基づく振動成分が含まれる。したがって、制御装置50は、高圧ポンプ41の振動データを解析することによって、高圧ポンプ41の振動データのなかから送り出し動作に基づく振動成分を割り出すことができる。制御装置50は、この振動成分の数を計数することによって、高圧ポンプ41の「送り出し動作の回数」を得ることができる。
【0031】
流量センサ43は、高圧ポンプ41から送り出される加圧された水の流量を検出するように構成されている。流量センサ43は制御装置50に接続されており、検出された流量データを制御装置50に送る。上記のように、高圧ポンプ41の送り出し動作は周期的であるため、高圧ポンプ41から送り出される加圧された水は、脈動する。したがって、制御装置50は、高圧ポンプ41の流量データを解析することによって、高圧ポンプ41の流量データのなかから送り出し動作に基づく脈動を割り出すことができる。制御装置50は、この脈動の数を計数することによって、高圧ポンプ41の「送り出し動作の回数」を得ることができる。
【0032】
パルセーションダンパ44は、高圧ポンプ41から送り出される加圧された水の脈動を除去するように構成されている。加圧された水の脈動は、加工品質に影響を与える可能性がある。したがって、加圧された水がノズル26に供給される前に、加圧された水から脈動が除去される。フィルタ45は、加圧された水がノズル26に供給される前に、加圧された水から異物を除去するように構成されている。フィルタ45を通過した水は、管路28を介してノズル26に送られる。
【0033】
制御装置50は、レーザ加工機100のなかの様々な構成要素と有線又は無線によって接続されており、これらの構成要素を制御するように構成されている。制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ハードディスクドライブ、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)等の記憶装置、並びに、入力装置及び出力装置(例えば、マウス、キーボード、液晶ディスプレイ及び/又タッチパネル等)等の要素を有することができる。これらの要素は、バス(不図示)等を介して互いに接続されることができる。制御装置50は、他の要素を更に備えてもよい。制御装置50は、例えば上記のNC装置及び機械制御装置を組み込んでいてもよい。
【0034】
図3は、
図1中の制御装置50に表示される操作画面300の一例を示す。
図3の操作画面300は、例えば、制御装置50のタッチパネルに表示されてもよい。操作画面300は、レーザ加工機100に関する様々な項目を含むことができる。オペレータは、タッチパネルをタッチすることによって、項目を選択又は入力することができる。例えば、「ステータス」タブを選択すると、「消耗品管理」を含む様々な項目がセクション301に表示される。セクション301から「消耗品管理」を選択すると、レーザ加工機100に含まれる消耗品のリストがセクション302に表示される。セクション302から所望の消耗品を選択すると、選択された消耗品に関する情報がセクション303に表示される。
図3では、セクション302においてエア駆動高圧ポンプ(高圧ポンプ41に相当)が選択されており、高圧ポンプ41に関する情報がセクション303に表示されている。
【0035】
セクション303に示されるように、各消耗品に関して、制御装置50は、例えば、「前回点検日」及び「次回点検予定日」、「運転時間」、並びに、「経過時間」を記憶しており、これらを操作画面300に表示することができる。「運転時間」とは、部品が実際に稼働した時間を示し、「経過時間」とは、部品がレーザ加工機100に取り付けられてからの時間(すなわち、部品が実際には稼働していない時間を含む)を示す。特に、
図3に示されるように、高圧ポンプ41に関しては、制御装置50は、「送り出し動作の回数」を更に記憶しており、これを操作画面300に表示する。
【0036】
制御装置50は、各部品に関して、「運転時間」又は「経過時間」の少なくとも1つについてしきい値を記憶しており、該当する項目がしきい値を超えた場合に、制御装置50は、その部品について点検又は交換が必要と判断する。
図3に示されるように、例えば、制御装置50は、高圧ポンプ41に関して、「運転時間」についてしきい値(例えば、4000時間)を記憶しており、「経過時間」についてしきい値(例えば、12月)を記憶している。
【0037】
また、制御装置50は、高圧ポンプ41に関しては、「送り出し動作の回数」についてしきい値(例えば、1800000回)を更に記憶しており、「送り出し動作の回数」がしきい値を超えた場合に、制御装置50は、高圧ポンプ41の交換が必要と判断する。これは、高圧ポンプ41の寿命は、レーザ加工機100中の他の消耗品の寿命と異なり、単に「運転時間」又は「経過時間」に基づいて判断できないためである。具体的には、高圧ポンプ41の送り出し動作の頻度は、レーザ加工機100が使用される条件(例えば、ノズル26及びパルセーションダンパ44における圧損等)に応じて変化する可能性があり、単に「運転時間」又は「経過時間」に基づいて高圧ポンプ41の部品にかかる負荷を見積もることが困難なためである。したがって、レーザ加工機100では、高圧ポンプ41の「送り出し動作の回数」を計数することによって、高圧ポンプ41の部品(例えば、ダイヤフラム41d又はピストン41f)にかかる負荷を正確に見積もることが意図されている。
【0038】
また、制御装置50は、「送り出し動作の回数」のしきい値を、ノズル26の内径に応じて記憶又は算出可能であってもよい。上記のように、ノズル26の内径は、加工の条件に応じて変更可能である。例えば、ノズル26の内径が大きい場合、高圧ポンプ41は、より高頻度及び高圧力の送り出し動作を必要とし得る。この場合、高圧ポンプ41は、ノズル26の内径が小さい場合に比して、より少ない回数の送り出し動作で交換を必要とする可能性がある。したがって、制御装置50は、ノズル26の内径に応じた「送り出し動作の回数」のしきい値を使用するように構成されていてもよい。
【0039】
図3に示されるように、セクション303から「ガイド」タブを選択すると、選択された部品について、点検及び/又は交換に関する情報が表示される。セクション303から「点検履歴」タブを選択すると、選択された部品について、レーザ加工機100に現在取り付けられている部品についての過去の点検に関する情報(例えば、点検日、並びに、点検が行われた時点での運転時間、経過時間及び送り出し動作の回数等)が表示される(
図3において不図示)。セクション303から「部品情報」タブを選択すると、選択された部品についての情報(例えば、部品番号、型式及び/又は必要な数等)が表示される(
図3において不図示)。
【0040】
続いて、高圧ポンプユニット40の動作について説明する。
【0041】
図4は、高圧ポンプユニット40の動作を示すフローチャートである。
図4に示される動作は、例えば、所定時間(例えば、1時間、数時間、1日、数日、1週間、又は、数週間等)毎に開始されてもよく、又は、オペレータが制御装置50に指令を入力したときに開始されてもよい。動作が開始されると、制御装置50は、高圧ポンプ41の「運転時間」がしきい値を超えたか否かを判断する(ステップS100)。
【0042】
ステップS100において「運転時間」がしきい値を超えたと判断された場合、制御装置50は、高圧ポンプ41が点検を必要としていることを示す通知を出す(ステップS102)。
図3を参照して、例えば、通知は、操作画面300に表示されるテキスト304(例えば、「定期点検もしくは交換を行ってください」等)であってもよく、又は、音声であってもよい。
【0043】
図4を参照して、続いて、制御装置は、オペレータから点検の完了が入力されたか否かを判断する(ステップS104)。
図3を参照して、例えば、操作画面300は、点検完了を入力するためのボタン305を含んでいてもよく、オペレータは、ボタン305を押してもよい。
【0044】
図4を参照して、ステップS104においてオペレータから点検の完了が入力されたと判断された場合、制御装置50は、「運転時間」をゼロに変更する(ステップS106)。ステップS104においてオペレータから点検の完了が入力されないと判断された場合、制御装置50は、例えば所定時間(例えば、1秒、数秒、1分又は数分)後に、ステップS104を再度実行する。
【0045】
ステップS106の後に、制御装置50は、「前回点検日」を今日の日付に書き換える(ステップS108)。続いて、制御装置50は、「次回点検予定日」を所定の期間(例えば、1月、数月、1年又は数年)後の日付に書き換え(ステップS110)、一連の動作を終了する。上記のように、高圧ポンプ41が点検を必要としているか否かは、高圧ポンプ41が実際に稼働した時間である「運転時間」に基づいて判断されるため(ステップS100)、「時間点検予定日」は、単におおまかな予定日であり得る。したがって、「運転時間」が実際にしきい値に近付いたときに、制御装置50は、「次回点検予定日」をより正確な日付にさらに修正してもよい。
【0046】
ステップS100において「運転時間」がしきい値を超えていないと判断された場合、制御装置50は、高圧ポンプ41の「送り出し動作の回数」がしきい値を超えたか否かを判断する(ステップS112)。制御装置50は、上記の切換回数カウンタ41j、振動センサ42又は流量センサ43の少なくとも1つからの検出結果に基づいて、ステップS112で使用される「送り出し動作の回数」を決定してもよい。
【0047】
ステップS112において高圧ポンプ41の「送り出し動作の回数」がしきい値を超えたと判断された場合、制御装置50は、高圧ポンプ41が交換を必要としていることを示す通知を出す(ステップS114)。
図3を参照して、例えば、通知は、操作画面300に表示されるテキスト304(例えば、「定期点検もしくは交換を行ってください」等)であってもよく、又は、音声であってもよい。
図4を参照して、ステップS112において高圧ポンプ41の「送り出し動作の回数」がしきい値を超えていないと判断された場合、制御装置50は、例えば所定時間(例えば、1時間、数時間、1日、数日、1週間、又は、数週間等)後に、ステップS100を再度実行する。
【0048】
ステップS114の後に、制御装置50は、オペレータから高圧ポンプ41の交換の完了が入力されたか否かを判断する(ステップS116)。例えば、操作画面300が交換完了を入力するためのボタンを更に含んでいてもよく、オペレータは、このボタンを押してもよい。代替的又は付加的に、高圧ポンプ41に交換の完了を入力するためのボタンが設けられていてもよく、オペレータがこのボタンを押すと、交換の完了が制御装置50に入力されてもよい。
【0049】
ステップS116においてオペレータから高圧ポンプ41の交換の完了が入力されたと判断された場合、制御装置50は、全ての時間及び回数(すなわち、「運転時間」及び「経過時間」、並びに、「送り出し動作の回数」)をゼロに変更する(ステップS118)。ステップS116においてオペレータから交換の完了が入力されないと判断された場合、制御装置50は、例えば所定時間(例えば、1秒、数秒、1分又は数分)後に、ステップS116を再度実行する。
【0050】
ステップS118の後に、制御装置50は、「前回点検日」を今日の日付に書き換える(ステップS120)。続いて、制御装置50は、「次回点検予定日」を所定の期間(例えば、1月、数月、1年又は数年)後の日付に書き換え(ステップS122)、一連の動作を終了する。
【0051】
図5は、実施形態に係るレーザ加工機100を含むシステム400を示す概略図である。
図5に示されるように、レーザ加工機100の制御装置50は、例えば、インターネット等のネットワークNを介して、レーザ加工機100のユーザの集中管理室401、スマートフォン402、及び/又は、タブレット403に接続されていてもよい。さらに、制御装置50は、ネットワークNを介して、レーザ加工機100の製造者のサービスセンタ404に接続されていてもよい。制御装置50は、上記の点検又は交換のための通知を、ネットワークNを介してこれらに送信するように構成されていてもよい。このような構成によって、交換又は点検を迅速に完了することができる。
【0052】
以上のような実施形態に係るレーザ加工機100では、例えばノズル26及びパルセーションダンパ44における圧損等の様々な要因に応じて、高圧ポンプ41の送り出し動作の頻度が変化し得る。しかしながら、以上のような実施形態に係る高圧ポンプユニット40では、高圧ポンプ41の送り出し動作の回数に基づいて、高圧ポンプ41を交換するための通知304が出されるか否かが判断される。したがって、高圧ポンプ41の送り出し動作の頻度が変化する場合であっても、高圧ポンプ41の送り出し動作の回数を計数することによって、高圧ポンプ41の部品(例えば、ダイヤフラム41d又はピストン41f)にかかる負荷を正確に見積もることが可能である。よって、高圧ポンプ41の寿命を正確に診断することができる。
【0053】
また、高圧ポンプユニット40では、検出部は、加圧された水の脈動を検出する流量センサ43を含んでいる。高圧ポンプ41の送り出し動作は周期的であるため、加圧された水は脈動する。したがって、加圧された水の脈動に基づいて送り出し動作の回数を計数することができる。
【0054】
また、高圧ポンプユニット40では、検出部は、高圧ポンプ41の振動を検出する振動センサ42を含んでいる。高圧ポンプ41の送り出し動作は周期的であるため、高圧ポンプ41の振動のなかには送り出し動作に基づく振動成分が存在する。したがって、高圧ポンプ41の振動に基づいて送り出し動作の回数を計数することができる。
【0055】
流体供給装置及びウォータジェットレーザ加工機の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解するだろう。また、当業者であれば、上記の制御装置50が実行するステップは、上記の順番で実施される必要はなく、矛盾が生じない限り、他の順番で実施可能であることを理解するだろう。
【0056】
例えば、上記の実施形態では、高圧ポンプユニット40は、検出部として、切換回数カウンタ41j、振動センサ42及び流量センサ43を含んでいる。しかしながら、他の実施形態では、高圧ポンプユニット40は、これらのうちの1つ又は2つのみを含んでいてもよい。
【解決手段】流体供給装置40は、周期的な流体の送り出し動作によって圧力流体を供給するポンプ41と、ポンプ41の送り出し動作を検出するための検出部42,43と、検出部42,43の検出結果に基づいて得られるポンプ41の送り出し動作の回数がしきい値を超えたときに通知を出す制御装置50と、を具備する。