特許第6779384号(P6779384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779384
(24)【登録日】2020年10月15日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】表面弾性波電子たばこシステム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20201026BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20201026BHJP
   H03H 9/25 20060101ALI20201026BHJP
   H03H 9/145 20060101ALI20201026BHJP
   H03H 9/42 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   A24F40/46
   A24F47/00
   H03H9/25 C
   H03H9/145 Z
   H03H9/42
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-541334(P2019-541334)
(86)(22)【出願日】2018年10月25日
(65)【公表番号】特表2020-519233(P2020-519233A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(86)【国際出願番号】CN2018111769
(87)【国際公開番号】WO2019144659
(87)【国際公開日】20190801
【審査請求日】2019年11月11日
(31)【優先権主張番号】201810076941.1
(32)【優先日】2018年1月26日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519014899
【氏名又は名称】チャイナ タバコ ユンナン インダストリアル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, ティンホア
(72)【発明者】
【氏名】ハン, イー
(72)【発明者】
【氏名】ハン, チュンロン
(72)【発明者】
【氏名】チュー, トンライ
(72)【発明者】
【氏名】フー, ホン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ヨンコアン
(72)【発明者】
【氏名】ウー, チュン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ショウポー
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−513992(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0280771(US,A1)
【文献】 中国実用新案第206025224(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第108030153(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 47/00
H03H 9/145
H03H 9/25
H03H 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板(1)、誘導液キャビティ(2)、霧状化キャビティ(3)、及び給電ポート(4)を含み、前記誘導液キャビティ(2)と前記霧状化キャビティ(3)は前記圧電基板(1)の表面上に設けられ、前記誘導液キャビティ(2)と前記霧状化キャビティ(3)の中間には隔離板(13)が設けられ、前記給電ポート(4)は前記圧電基板(1)の外側に設けられ、前記誘導液キャビティ(2)は第1のインターデジタルトランスデューサー(51)、貯液槽(6)、及び微流道(8)を含み、前記第1のインターデジタルトランスデューサー(51)と前記微流道(8)は前記貯液槽(6)の両側に配置され、前記貯液槽(6)と前記微流道(8)は相互に連通し、前記貯液槽(6)の頂部には注液ポート(7)が有り、前記霧状化キャビティ(3)の底部には出液ポート(9)を介して前記微流道(8)に嵌入されたT字型繊維紙(10)が設けられ、T字型繊維紙(10)の両側に且つT字型繊維紙(10)とは接触しないで第2のインターデジタルトランスデューサー(52)と第3のインターデジタルトランスデューサー(53)が配置され、前記霧状化キャビティ(3)の側部に入気ポート(11)が設けられ、前記霧状化キャビティ(3)の頂部に吸引ノズル(12)設けられている、ことを特徴とする、表面弾性波電子たばこシステム。
【請求項2】
前記第1のインターデジタルトランスデューサー(51)、貯液槽(6)、微流道(8)、第2のインターデジタルトランスデューサー(52)、第3のインターデジタルトランスデューサー(53)、及びT字型繊維紙(10)が、何れも圧電基板(1)の表面に取り付けられている、ことを特徴とする、請求項1に記載の表面弾性波電子たばこシステム。
【請求項3】
前記圧電基板(1)の材料が、石英、圧電セラミックス、タンタル酸リチウム、又はニオブ酸リチウムのうちの1つである、ことを特徴とする、請求項1に記載の表面弾性波電子たばこシステム。
【請求項4】
前記圧電基板(1)は、YカットXが128.68°の方向のニオブ酸リチウムであり、その厚さ、機械電気結合係数、温度係数、及び表面弾性波の伝播速度が、それぞれ、0.5mm、5.5%、−72×10−6/℃、及び3992m/sである、ことを特徴とする、請求項3に記載の表面弾性波電子たばこシステム。
【請求項5】
前記第1のインターデジタルトランスデューサー(51)が励起した進行波パターンの表面弾性波が、貯液槽(6)内に入れられたたばこ液を、前記微流道(8)の出液ポート(9)まで主導してポンピングし、前記第2のインターデジタルトランスデューサー(52)と前記第3のインターデジタルトランスデューサー(53)が共同作用して生成した定常波パターンの表面弾性波が、前記T字型繊維紙(10)上のたばこ液の液膜を霧状化しエアロゾルを生成する、ことを特徴とする、請求項1に記載の表面弾性波電子たばこシステム。
【請求項6】
前記貯液槽(6)及び前記微流道(8)の材料が、高ホウケイ酸ガラス又はポリジメチルオキソシランであり、前記T字型繊維紙(10)が、有機多孔材料である、ことを特徴とする、請求項1に記載の表面弾性波電子たばこシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タバコの技術領域に属し、具体的には、表面弾性波電子たばこシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近来、たばこを制限する全世界的な情勢と健康を賛助する世論との二つ重い圧力の下で、従来の巻きたばこの発展はますます制約され、電子たばこが巻きたばこの危害の少ない新型代替品の1つとなっており、今日ますます多くの消費者から広く歓迎されており、全世界的な電子たばこ市場は現在持続的に発展する情勢を見せている。
【0003】
現在の電子たばこは、主として電熱式で霧状化するものが大多数であり、超音波で霧状化するものは一部である。電熱式の霧状化は熱伝導原理に基づき、気流センサ、機械式ボタン、又は接触式ボタンを介して電子たばこを動作させ、導通回路がニクロム、ステンレス合金、ニッケル200合金、又はチタン合金線を巻き付けた発熱コイルにより給電し、たばこ液を加熱して霧状化しエアロゾルを生成してユーザに供給して吸引させる。電熱式霧状化電子たばこの伝熱速度は速く、霧状化効率は高いが、電子たばこの連続吸引プロセス中に、発熱コイルは摂氏500〜600度まで持続的に温度上昇し、潜在的に安全性を危険に晒すことがあると同時に、たばこ液が高温で熱分解しアルデヒド類などの有害物質を放出することがあり、健康を侵す可能性がある。超音波霧状化は超音波変換器の高周波振動を利用して振動片が高周波共振することをもたらし、更に超音波指向性圧力を生成し、たばこ液の表面を隆起させ、隆起した液面の周囲にキャビテーション作用を生成し、たばこ液を霧状化してエアロゾルを生成する。電熱式霧状化電子たばこと比べると、超音波霧状化電子たばこの非高熱特性は安全性を高め、有害物質の放出量を低減させるが、超音波はバルク弾性波の一種なので、エネルギーの伝播プロセス中に四方に向かって拡散することを制御することができず、たばこ液霧状化の作業率の損失をもたらし、速度が遅く、効率が低く、連続的に安定的に粒径分布が均一なエアロゾルを生成することが難しく、且つ高粘度のたばこ液にとっては霧状化の効果が良好ではない。この他に言及する価値があることとして、前述の2つの霧状化方式の電子たばこに基づいて、まだ普遍的に存在する以下の共通の問題がある。(1)誘導液材料の毛細管現象によって誘導液が受動的に進行し、誘導液の速度は制御することができず、不安定であり、誘導液の速度が霧状化速度よりも小さいときに、容易に煮詰まって変な匂いがし、吸引の品質と感覚的な体験に深刻な影響を与える。(2)接触式の霧状化に属するものでは、たばこ液と発熱コイル又は振動片とが直接接触し、容易に焼結粘着し、更に発熱コイル又は振動片の霧状化性能に影響を与え、その使用寿命を短くする。したがって、現有技術の改善とブレークスルーが急がれる。
【発明の概要】
【0004】
上述の現有技術の不足に鑑みて、本発明は表面弾性波技術の固有の利点と電子たばこの機能の特徴を、性能に対するニーズと有機的に結合し、表面弾性波の弾性流れ効果(音響流れ効果)と定常波の表面弾性波の霧状化メカニズムに基づいて、表面弾性波により実現された主導的な誘導液、表面弾性波の非接触霧状化、及び表面弾性波の電子たばこシステムを提供し、電熱式霧状化の快速高熱が引き起こす潜在的な安全健康への危険、超音波霧状化の高損失低効率、エアロゾル粒径分布の不均一、使い道に合わない高粘度たばこ液霧状化の欠陥を有効に克服し、且つ現有技術の中の電子たばこの受動的な誘導液が吸引の品質に不良をもたらすこと、接触式霧状化が発熱コイル又は振動片の霧状化の性能又は使用寿命に影響を与えるという問題を合理的に解決する。
【0005】
本発明は表面弾性波電子たばこシステムを開示し、該システムは、圧電基板1、誘導液キャビティ2、霧状化キャビティ3、及び高周波信号を印加するための給電ポート4を含む。前記誘導液キャビティ2と前記霧状化キャビティ3は前記圧電基板1の表面上に設けられ、前記誘導液キャビティ2と前記霧状化キャビティ3の中間には隔離板13が設けられ、前記給電ポート4は前記圧電基板1の外側に設けられ、外部の高周波信号源に接続しており、前記誘導液キャビティ2は第1のインターデジタルトランスデューサー51、貯液槽6、及び微流道8を含み、前記第1のインターデジタルトランスデューサー51と微流道8は前記貯液槽6の両側に配置され、前記貯液槽6と前記微流道8は相互に連通し、前記貯液槽6の頂部には注液ポート7が有り、前記霧状化キャビティ3の底部には出液ポート9を介して微流道8に嵌入されたT字型繊維紙10が設けられ、T字型繊維紙10の両側に且つT字型繊維紙10とは接触しないで第2のインターデジタルトランスデューサー52と第3のインターデジタルトランスデューサー53が配置され、前記霧状化キャビティ3の側部と頂部とに入気ポート11と吸引ノズル12とが個別に設けられている。
【0006】
有利なことには、前記第1のインターデジタルトランスデューサー51、貯液槽6、微流道8、第2のインターデジタルトランスデューサー52、第3のインターデジタルトランスデューサー53、及びT字型繊維紙10が、何れも圧電基板1の表面に緊密に取り付けられている。
【0007】
有利なことには、前記圧電基板1の材料が、石英、圧電セラミックス、タンタル酸リチウム、又はニオブ酸リチウムのうちの1つである。
【0008】
有利なことには、前記圧電基板1が、YカットXが128.68°の方向のニオブ酸リチウムであり、その厚さ、機械電気結合(カップリング)係数、温度係数、及び表面弾性波の伝播速度が、それぞれ、0.5mm、5.5%、−72×10−6/℃、及び3992m/sである。
【0009】
有利なことには、前記第1のインターデジタルトランスデューサー51が励起した進行波パターンの表面弾性波が、貯液槽6内に入れられたたばこ液を、前記微流道8の出液ポート9まで主導してポンピングし、前記第2のインターデジタルトランスデューサー52と前記第3のインターデジタルトランスデューサー53が共同作用して生成した定常波パターンの表面弾性波が、前記T字型繊維紙10上のたばこ液の液膜を霧状化しエアロゾルを生成する。
【0010】
有利なことには、前記貯液槽6及び前記微流道8の材料が、高ホウケイ酸ガラス又はポリジメチルオキソシランであり、前記T字型繊維紙10が、有機多孔材料である。
【0011】
有利なことには、前記第1のインターデジタルトランスデューサー51、前記第2のインターデジタルトランスデューサー52、及び前記第3のインターデジタルトランスデューサー53の形状がどれも皆、手の指を交差したような形状であり、金属薄膜である。
【0012】
有利なことには、前記金属薄膜が、アルミニウム、銅、又は金の薄膜である。
【0013】
既存の技術と比較すると、本発明は以下のような有利な効果を有する。すなわち、
(1)表面弾性波は、弾性媒体の表面上に沿って伝播する機械波であり、エネルギーの大部分は媒体表面に集中し、深度が深くなるに従って減衰する指数を表す。そのエネルギーの指向的集中特性が、霧状化効率を高め、連続的に安定して粒径が均一な所望のエアロゾルを生成することができ、超音波と比較して更に適合した高粘度のたばこ液を霧状化する。これ以外に、表面弾性波の励振周波数は、通常10MHz〜500MHzであり、超音波の20kHz〜3MHzより一桁以上高い程度の数量である。エアロゾルの粒径と周波数との関係式d=0.34×√(8πλ/ρf)(ここで、dはエアロゾルの粒径であり、λはたばこ液の表面張力であり、ρはたばこ液の密度であり、fは励振周波数である)を知ることによって、エアロゾルの粒径は励振周波数の2/3乗に反比例することとなる。このために、超音波霧状化と比較して、表面弾性波の霧状化が生成するエアロゾルの粒径は更に小さく、口腔粘膜或いは舌面の上に残留しにくく、吸引の快適性が更に強く、香りの純正な繊細さをまた更に加える。
【0014】
(2)表面弾性波は回折入射してたばこ液に入る弾性エネルギー(音響エネルギー)を介して霧状化を実現することができ、駆動効率は一般的に0.5Wから3Wであり、発熱量が小さく、加えて圧電基板が一定の散熱効果を有し、たとえ連続的に吸引しても、熱量はまた累積しにくく、温度は素早く上昇することができず、高温での熱分解の可能性を大幅に低減させる。これによって、表面音声波霧状化の安全性は良好であり、且つ有害物質の放出量もまた電熱式霧状化と比べて確実に低減させることができる。
【0015】
(3)本発明の電子たばこシステムアセンブリは誘導液キャビティを有し、表面弾性波の弾性流れ効果に基づいて、第1のインターデジタルトランスデューサーが生成した進行波パターンの表面弾性波が提供する駆動力を利用してたばこ液を主導するポンピングを実現し、駆動効率を調節することによってたばこ液の誘導液速度を正確に制御し、それを霧状化速度と適合させ、たばこ液の持続安定的なポンピングを確保し且つ適時に十分霧状化を行い、受動的な誘導液が存在するという技術的欠陥を解決し、煮詰まるという現象が発生することを免れ、それによって吸引の品質を改善し、ユーザの体験を向上させる。
【0016】
(4)本発明の電子たばこシステムの第2のインターデジタルトランスデューサー52と第3のインターデジタルトランスデューサー53は、前記T字型繊維紙10と接触せず、第2のインターデジタルトランスデューサーと第3のインターデジタルトランスデューサーが共同作用して定常波パターンの表面弾性波を励振することによってT字型繊維紙上のたばこ液の液膜に対して非接触霧状化を実現する。これによってたばこ液とトランスデューサーは直接接触せず、トランスデューサー上で焼結粘着するたばこ液が存在しないと共にトランスデューサーの動作性能又は使用寿命に影響を与える問題が存在しない。これ以外に、定常波パターンの表面弾性波のエネルギー基数が大きく、たばこ液の霧状化に対する能力が高く、これにより本発明の電子たばこシステムは単位時間内に十分なたばこ霧の量を生成することができ、ユーザは吸引の満足感を迅速に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の表面弾性波を介して実現した主導誘導液及び非接触霧状化の電子たばこシステムの構造を示す図である。
図2】本発明の電子たばこシステムの誘導液キャビティの局部拡大図である。
図3】本発明の電子たばこシステムの霧状化キャビティの局部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を説明する目的で、技術方法及び有利な点を更に明瞭にするために、以下、図面と実施例を併せて、本発明に対して更に詳細な説明を行う。
【0019】
本発明の実施例の表面弾性波電子たばこシステムの構造を示す図1を参照すると、該システムは、圧電基板1、誘導液キャビティ2、霧状化キャビティ3、及び給電ポート4を含む。前記誘導液キャビティ2と前記霧状化キャビティ3は前記圧電基板1の上方に設けられ、両方のキャビティはすぐ隣に配置され、中間には隔離板13が設けてある。誘導液キャビティと霧状化キャビティの拡大図がそれぞれ図2図3である。前記給電ポート4は前記圧電基板1の外側に設けられ、外部の高周波信号源に接続している。前記誘導液キャビティ2は、第1のインターデジタルトランスデューサー51、貯液槽6、貯液槽6の頂部に設けられた注液ポート7、及び貯液槽6と連通した微流道8により構成されている。前記霧状化キャビティ3の底部にはT字型繊維紙10、第2のインターデジタルトランスデューサー52、及び第3のインターデジタルトランスデューサー53が設けてあり、霧状化キャビティ3の側部と頂部とに入気ポート11と吸引ノズル12とが個別に設けられている。
【0020】
前記第1のインターデジタルトランスデューサー51、貯液槽6、微流道8、第2のインターデジタルトランスデューサー52、第3のインターデジタルトランスデューサー53、及びT字型繊維紙10は、圧電基板1の表面に垂直且つ緊密に取り付けられている。前記圧電基板1は、圧電特性を備える材料、例えば石英、圧電セラミックス、タンタル酸リチウム、又はニオブ酸リチウムにより構成されている。有利であるのはYカットXが128.68°の方向のニオブ酸リチウムであり、その厚さ、機械電気結合係数、温度係数、及び表面弾性波の伝播速度が、それぞれ、0.5mm、5.5%、−72×10−6/℃、及び3992m/sである。前記第1のインターデジタルトランスデューサー51、第2のインターデジタルトランスデューサー52、及び第3のインターデジタルトランスデューサー53は、微加工の生産加工技術を採用し、表面研磨後の圧電基板上に手の指を交差したような形状のアルミニウム、銅、又は金などの金属薄膜をスパッタ堆積して形成し、圧電基板の外側に設けた給電ポート4を介して高周波信号源と接続する。前記貯液槽6の一方の側に第1のインターデジタルトランスデューサー51が配置され、前記貯液槽6は他方の側にある微流道8と連通している。貯液槽6及び微流道8の材料は、高ホウケイ酸ガラス又はポリジメチルオキソシランを選んで使用する。前記第1のインターデジタルトランスデューサー51は進行波パターンの表面弾性波を励起して、貯液槽6内に入れられたたばこ液に駆動力を提供し、たばこ液を主導して微流道8までポンピングする。前記T字型繊維紙10は出液ポート9を介して微流道8に嵌入され、たばこ液を均一に分散させ且つ素早く液膜を形成するのに用いられ、材料はポリエステル繊維又はその他の有機多孔材料を選んで使用する。前記第2のインターデジタルトランスデューサー52と第3のインターデジタルトランスデューサー53は、T字型繊維紙の両側に対向して配置され、距離において一定の位相を形成し、共同作用して定常波パターンの表面弾性波を生成しT字型繊維紙上のたばこ液の液膜を霧状化してエアロゾルを生成する。
【0021】
電子たばこシステムを使用する前に、注液ポート7を介してたばこ液を貯液槽6に注入して、たばこ液の液面が一定の高さに到達するに至る。標準大気圧の下で、たばこ液の表面張力と貯液槽6内壁及び微流道8内壁の粘性係数とが不変であるために、たばこ液は自ずから流れることができない。高周波信号源を起動すると、第1のインターデジタルトランスデューサー51、第2のインターデジタルトランスデューサー52、及び第3のインターデジタルトランスデューサー53が給電ポート4を介して交流電気信号を与えられ且つ励振され、トランスデューサーが圧電基板本体の逆圧電効果を利用して電気信号を弾性信号(音響信号)に変換し、外部から加えられた信号と同じ周波数であり且つ圧電基板の表面に沿って伝播する表面弾性波を形成する。第1のインターデジタルトランスデューサー51が生成した進行波パターンの表面弾性波が貯液槽6内に至るまで伝播したときに、弾性エネルギーがたばこ液に回折入射し、弾性流れ結合効果を生成し、貯液槽6と出液ポート9のところで圧力差を形成することができ、貯液槽6の圧力場の平衡が打破され、たばこ液の微流道8の水路の流れを主導して出液ポート9までポンピングし、T字型繊維紙10上に素早くたばこ液を均一に分散させて液膜を形成する。駆動効率を調節することによって圧力差を改変することができ、誘導液速度の数量化制御を実現し、たばこ液の持続安定的なポンピングを確保し適時に十分な霧状化を行う。第2のインターデジタルトランスデューサー52と第3のインターデジタルトランスデューサー53が励起した進行波パターンの表面弾性波が、互いに向かい合って伝播干渉して重なった後でエネルギー基数がより高い定常波パターンの表面弾性波を形成することができる。定常波パターンの表面弾性波とT字型繊維紙10上の液膜が相互に接触したときに、それに伴うエネルギーが液膜の自由表面生成を強烈にかき乱し、液膜自身の表面張力を不足させることによって幾何学的形態の安定を保持することができ、エアロゾルを破裂生成させる。
【0022】
上述したことは本発明の有利な実施例のみであり、本発明を限定するものではない。当業者にとっては、創造性を発揮する労力なしという前提で、概ね本発明が開示した技術的な提案又は技術的な特徴に基づいて行われた如何なる改修、変換、及び改良も同等とみなされる。
【符号の説明】
【0023】
1:圧電基板
2:誘導液キャビティ
3:霧状化キャビティ
4:給電ポート
51:第1のインターデジタルトランスデューサー
52:第2のインターデジタルトランスデューサー
53:第3のインターデジタルトランスデューサー
6:貯液槽
7:注液ポート
8:微流道
9:出液ポート
10:T字型繊維紙
11:入気ポート
12:吸引ノズル
13:隔離板
図1
図2
図3