(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケース本体と、該ケース本体に対して着脱可能なドア部と、前記ケース本体に装着された前記ドア部を当該ケース本体に対して解除可能な状態で固定する固定機構とを有するケースを洗浄するケース洗浄装置であって、
洗浄槽と、
該洗浄槽に設けられ、前記ドア部を保持するドア保持部と、
前記ドア部が前記ケース本体に装着固定された状態の前記ケースを、前記ケース本体を把持して搬送するケース搬送機構と、
該ケース搬送機構が前記ケースを搬送して前記ドア部を前記ドア保持部に保持させた状態で、前記ドア部の前記ケース本体に対する固定を解除するように前記固定機構を動作させる固定解除機構と、
前記洗浄槽に設けられ、前記ケース搬送機構が前記ケース本体に対する固定が解除された状態で前記ドア保持部に保持された前記ドア部から分離して搬送してきた前記ケース本体を保持するケース本体保持部とを有するケース洗浄装置。
ケース本体と、該ケース本体に対して着脱可能なドア部と、前記ケース本体に装着された前記ドア部を当該ケース本体に対して解除可能な状態で固定する固定機構とを有するケースを洗浄するケース洗浄方法であって、
ケース搬送機構が、前記ドア部が装着固定された前記ケース本体を把持して前記ケースを搬送し、前記ドア部を洗浄槽に設けられたドア保持部に保持させるドア部セットステップと、
前記ドア部の前記ケース本体に対する固定を解除するように前記固定機構を動作させる固定解除ステップと、
前記ケース搬送機構が、前記ケース本体に対する固定が解除された状態で前記ドア保持部に保持された前記ドア部から分離して搬送してきた前記ケース本体を前記洗浄槽に設けられたケース本体保持部に保持させるケース本体セットステップと、
前記洗浄槽において、前記ドア保持部に保持された前記ドア部と前記ケース本体保持部に保持された前記ケース本体とを分離した状態で洗浄する洗浄ステップとを有するケース洗浄方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述したフープ洗浄乾燥装置では、FOUPを洗浄乾燥槽の外部に配置された仮置台で分離している。このため、ロボットは、分離されたフープ本体とドアとを洗浄乾燥槽に移動させるために、洗浄乾燥槽の外部に配置された仮置台と当該洗浄乾燥槽との間を2往復しなければならない。このため、2つに分離されフープ本体とドアとを、必ずしも効率的に洗浄乾燥槽にセットできるものではない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ケースをケース本体とドア部とに分離して、それらケース本体とドア部とを効率的に洗浄槽にセットすることのできるケース洗浄装置及びケース洗浄方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るケース洗浄装置は、ケース本体と、該ケース本体に対して着脱可能なドア部と、前記ケース本体に装着された前記ドア部を当該ケース本体に対して解除可能な状態で固定する固定機構とを有するケースを洗浄するケース洗浄装置であって、洗浄槽と、該洗浄槽に設けられ、前記ドア部を保持するドア保持部と、前記ドア部が前記ケース本体に装着固定された状態の前記ケースを、前記ケース本体を把持して搬送するケース搬送機構と、該ケース搬送機構が前記ケースを搬送して前記ドア部を前記ドア保持部に保持させた状態で、前記ドア部の前記ケース本体に対する固定を解除するように前記固定機構を動作させる固定解除機構と、前記洗浄槽に設けられ、前記ケース搬送機構が前記ケース本体に対する固定が解除された状態で前記ドア保持部に保持された前記ドア部から分離して搬送してきた前記ケース本体を保持するケース本体保持部とを有する構成となる。
【0009】
このような構成により、ドア部がケース本体に装着固定された状態のケースが、ケース本体を把持するケース搬送機構によって、洗浄槽まで搬送され、該洗浄槽に設けられたドア保持部に前記ドア部が保持される。この状態で、固定解除機構が固定機構を動作させて、ドア部のケース本体に対する固定が解除される。そして、ケース本体を把持するケース搬送機構により、当該ケース本体が、ドア保持部に保持されたドア部から分離されて搬送され、洗浄槽に設けられたケース本体保持部に保持される。これにより、洗浄槽において、ケース本体がケース本体保持部に、ドア部がドア保持部に、それぞれ分離した状態でセットされる。洗浄槽においては、ケース本体保持部に保持されたケース本体とドア保持部に保持されたドア部とを分離した状態で洗浄することができる。
【0010】
本発明に係るケース洗浄装置において、前記洗浄槽は、上方に開放する槽本体と、該槽本体の開口を開閉する蓋部とを備え、前記ドア保持部は、前記蓋部の内側面に設けられており、前記固定解除機構は、前記蓋部の外側から当該蓋部の内側面に設けられた前記ドア保持部に保持された状態の前記ドア部の前記ケース本体に対する固定を解除するように前記固定機構を動作させる機構を有する構成とすることができる。
【0011】
このような構成により、ドア部がケース本体に装着固定された状態のケースが、ケース本体を把持するケース搬送機構によって、洗浄槽の蓋部まで搬送され、その蓋部の内側面に設けられたドア保持部に前記ドア部が保持される。この状態で、固定解除機構が前記蓋部の外側から固定機構を動作させて、ドア部のケース本体に対する固定が解除される。そして、ケース本体を把持するケース搬送機構により、当該ケース本体が、ドア保持部に保持されたドア部から分離されて搬送され、洗浄槽に設けられたケース本体保持部に保持される。これにより、洗浄槽において、ケース本体がケース本体保持部に、ドア部が洗浄槽の蓋部の内側面に設けられたドア保持部に、それぞれ分離した状態でセットされる。
【0012】
本発明に係るケース洗浄装置において、前記固定機構は、キー溝の形成された回転部と、前記回転部を回転させることによって動作し、当該回転部の回転方向に応じて、前記ドア部の前記ケース本体に対する固定及び固定解除を行う固定動作部とを有し、前記固定機構を動作させる機構は、前記回転部に形成された前記キー溝に嵌合可能なキーと、前記ドア部が前記ドア保持部に保持された状態で、前記キー溝に前記キーを嵌め込ませるキー嵌め込み機構と、該キー嵌め込み機構により前記キー溝に嵌め込まれた前記キーを回転させて前記回転部を回転させるキー回転機構とを有する構成となる。
【0013】
このような構成により、ドア部がケース本体に装着固定された状態のケースが、ケース本体を把持するケース搬送機構によって、洗浄槽の蓋部まで搬送され、その蓋部の内側面に設けられたドア保持部に前記ドア部が保持される。この状態で、キー嵌め込み機構により、キーが回転部に形成されたキー溝に嵌め込まれ、キー回転機構によって前記キー溝に嵌め込まれたキーが回転される。このキーの回転により回転部が回転され、その回転部の回転方向に応じた固定動作部の動作により、前記ドア部の前記ケース本体に対する固定が解除される。
【0014】
本発明に係るケース洗浄装置において、前記固定機構は、前記ケースの前記ドア部に設けられており、前記キー嵌め込み機構は、先端部に前記キーが設けられ、前記洗浄槽の前記蓋部を貫通して延びる軸体と、前記蓋部の外側面に設けられ、前記ドア保持部に保持された状態の前記ドア部に設けられた前記固定機構の前記回転部に形成された前記キー溝に前記キーが嵌り込むように前記軸体を進出させ、及び前記キー溝から前記キーが脱出するように前記軸体を後退させる軸体進退動機構とを有し、前記キー回転機構は、前記蓋部の前記外側面に設けられ、前記キーが前記キー溝に嵌り込んだ状態で前記軸体を回転させる軸体回転駆動機構を有する構成となる。
【0015】
このような構成により、ドア部がケース本体に装着固定された状態のケースが、ケース本体を把持するケース搬送機構によって、洗浄槽の蓋部まで搬送され、その蓋部の内側面に設けられたドア保持部に前記ドア部が保持される。この状態で、洗浄槽の蓋部の外側面に設けられた軸体進退動機構により、軸体が進出させられ、当該軸体の先端部に設けられたキーが、ドア保持部(蓋部の内側面に設けられた)に保持されたドア部に設けられた回転部のキー溝に嵌め込まれる。そして、軸体回転駆動機構によって軸体が回転させられることによりキー溝に嵌め込まれたキーが回転される。このキーの回転により回転部が回転され、その回転部の回転方向に応じた固定動作部の動作により、前記ドア部の前記ケース体に対する固定が解除される。
【0016】
本発明に係るケース洗浄方法は、ケース本体と、該ケース本体に対して着脱可能なドア部と、前記ケース本体に装着された前記ドア部を当該ケース本体に対して解除可能な状態で固定する固定機構とを有するケースを洗浄するケース洗浄方法であって、ケース搬送機構が、前記ドア部が装着固定された前記ケース本体を把持して前記ケースを搬送し、前記ドア部を洗浄槽に設けられたドア保持部に保持させるドア部セットステップと、前記ドア部の前記ケース本体に対する固定を解除するように前記固定機構を動作させる固定解除ステップと、前記ケース搬送機構が、前記ケース本体に対する固定が解除された状態で前記ドア保持部に保持された前記ドア部から分離して搬送してきた前記ケース本体を前記洗浄槽に設けられたケース本体保持部に保持させるケース本体セットステップと、前記洗浄槽において、前記ドア保持部に保持された前記ドア部と前記ケース本体保持部に保持された前記ケース本体とを分離した状態で洗浄する洗浄ステップとを有する構成となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るケース洗浄装置及びケース洗浄方法によれば、ケース本体とドア部とが、洗浄槽の外部ではなく、洗浄槽において分離され、その洗浄槽において、ケース本体がケース本体保持部に保持され、ドア部がドア保持部に保持されるようになるので、ケースをケース本体とドア部とに分離して、それらケース本体とドア部とを効率的に洗浄槽にセットすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0020】
本発明の実施の一形態に係るケース洗浄装置での洗浄の対象となるケースは、複数の半導体ウェハを収納するFOUPであって、例えば、
図1に示すような構造となっている。
【0021】
図1において、FOUP100は、前面全体に形成された開口部111を有するケース本体110と、ケース本体110に対して着脱可能なドア部120とを備えており、ドア部120が開口部111に嵌め込まれることにより、ケース本体110が閉鎖状態になる構造となっている。ケース本体110の両側壁内面に対となる多段の棚(図示されず)が形成されており、その各棚対にウェハWfの縁部が支持される。そして、ドア部120の内面にもケース本体110における前記両側壁内面の各棚対に対応するように多段の棚(図示されず)が形成され、ドア部120がケース本体110の開口部111に嵌め込まれた状態で、各ウェハWfの開口部111側の縁部がドア部120の対応する棚に支持される。このように、ドア部120のケース本体110への嵌め込みによって閉鎖状態となったFOUP100内に複数のウェハWfが収納される。
【0022】
ケース本体110の上面の略中央部にOHTヘッド112が設けられている。FOUP100(ケース本体110)は、このOHTヘッド112を、例えば、ロボットが把持することによって搬送することができる。
【0023】
FOUP100のドア部120には、当該ドア部120をケース本体110に対して解除可能な状態で固定するロック機構(固定機構)が設けられている。このロック機構は、例えば、
図2に示すように、ドア部120内において、回転可能であって、所定間隔をもって配置された2つのピニオン123、124(回転部)と、一方のピニオン123に対して設けられた2つの動作棒125a、125b(固定動作部)と、他方のピニオン124に対して設けられた2つの動作棒126a、126b(固定動作部)とを有している。
【0024】
各ピニオン123、124の中心部にはキー溝123a、124aが形成されている。各キー溝123a、123bには、
図1に示すようにドア部120の外側面に形成された孔127、128を通してドア部120内に挿入される後述するようなキーが嵌まり込むことができる。
【0025】
一方のピニオン123に対して設けられた2つの動作棒125a、125bは、ドア部120の上方向及び下方向にそれぞれ平行に延びており、動作棒125aの下端近傍から上方の所定範囲にラックが形成され、動作棒125bの上端近傍から下方の所定範囲にラックが形成されている。そして、動作棒125aのラックと動作棒125bのラックとがピニオン123を挟み込むようにして当該ピニオン123に噛み合っている。
図3に示すように、ピニオン123の回動により、2つの動作棒125a、125bがそれぞれ上下の反対方向に直動する。ドア部120の上端面には、上下に直動する動作棒125aが出没する孔121aが形成され、ドア部120の下端面には、上下に直動する動作棒125bが出没する孔121bが形成されている。
【0026】
他方のピニオン124に対して設けられた2つの動作棒126a、126bも、同様に、ドア部120の上方向及び下方向にそれぞれ平行に延びており、動作棒126aの下端近傍から上方の所定範囲にラックが形成され、動作棒126bの上端近傍から下方の所定範囲にラックが形成されている。そして、動作棒126aのラックと動作棒126bのラックとがピニオン124を挟み込むようにして当該ピニオン124に噛み合っており、ピニオン123の場合(
図3参照)と同様に、ピニオン124の回動により、2つの動作棒126a、126bがそれぞれ上下の反対方向に直動する。ドア部120の上端面には、上下に直動する動作棒126aが出没する孔122aが形成され、ドア部120の下端面には、上下に直動する動作棒126bが出没する孔122bが形成されている。
【0027】
ドア部120がケース本体110の開口部111に嵌め込まれた(装着された)状態で、ドア部120の上端面の2つの孔121a、122aから動作棒125a、126aの先端部が進出するとともにドア部120の下端面の2つの孔121b、122bから動作棒125b、126bの先端部が進出すると(
図2参照)、各動作棒125a、125b、126a、126bのそれぞれの先端部がケース本体110に設けられたロック孔(図示略)に嵌まり込む。これにより、ドア部120がケース本体110に固定(ロック)される。一方、ドア部120の上端面の2つの孔121a、122aに動作棒125a、126aの先端部が没入するとともにドア部120の下端面の2つの孔121b、122bに動作棒125b、126bの先端部が没入すると(
図3参照)、各動作棒125a、125b、126a、126bのそれぞれの先端部がケース本体110に設けられたロック孔(図示略)から抜かれた状態になる。これにより、ドア部120のケース本体110に対する固定(ロック)が解除(アンロック)される。
【0028】
上述したような構造のFOUP100(
図1〜
図3参照)を洗浄するケース洗浄装置は、
図4に示すように構成される。
【0029】
図4において、このケース洗浄装置は、FOUP100を搬送するロボット10(ケース搬送機構)と、FOUP100をケース本体110とドア部120とに分離した状態で洗浄する洗浄槽20とを有している。ロボット10は、基台11と、基台11上に固定設置された多関節のロボットアーム12と、ロボットアーム12の先端部に多軸方向に回動自在に設けられた把持ハンド13とを備えている。洗浄槽20は、上方に開放する槽本体21と、槽本体21の開口を開閉する蓋部22とを備えている。洗浄槽20には、ロッドを進退動させる油圧(エア)シリンダを含む開閉駆動機構24が設けられており、前記ロッドの進退動により、蓋部22がヒンジ23を支点に槽本体21に対する開閉動を行う。
【0030】
蓋部22の内側面には、FOUP100のドア部120を保持するドア保持板25(ドア保持部)が設けられている。ドア保持板25の内側面には複数の吸着器26が設けられており(
図4では単一の吸着器26しか表れていない)、これら複数の吸着器26にドア部120を吸着させることにより、ドア部120をドア保持板25に保持させることができる。槽本体21の底部にはFOUP100のケース本体110を保持するケース本体保持部27が設けられている。
【0031】
蓋部22の外側面にはロック動作機構30が設けられている。ロック動作機構30は、FOUP100におけるドア部120のケース本体110に対するロックを解除する(アンロック)ようにロック機構(固定機構:
図2及び
図3参照)を動作させる(固定解除機構)。また、ロック動作機構30は、ケース本体110の開口部111に嵌め込まれたドア部120をケース本体110に対してロック(固定)するように上記ロック機構を動作させることができる。このロック動作機構30は、キー機構31、キー嵌め込み機構32及びキー回転機構33を有しており、
図4とともに
図5に拡大して示すように構成されている。
【0032】
キー機構31は、蓋部22及びドア保持板25を回転自在に貫通する軸体311を有している。軸体311の先端部には、
図6に示すように、前述したロック機構におけるピニオン123に形成されたキー溝123aに嵌合可能なキー312が設けられている。軸体311は、その後端部が軸受313に回転自在に支持されるとともに、蓋体22の外側面に設けられた軸受314及びドア保持板25の蓋体22に対向する面(外側面)に設けられた軸受315に回転自在に支持されている。
【0033】
キー嵌め込み機構32は、ロッド322を、蓋体22及びドア保持板25に対して直交する方向に、進退動させる油圧またはエアで動作するシリンダ321(軸体進退動機構)と、ロッド322の先端部とキー機構31における軸体311の後端部を回転自在に支持する軸受313とを連結する連結板323とを備えている。シリンダ321にロッド322が引き込まれると、連結板323を介して軸体311がその軸方向に押し込まれ、軸体311の先端に設けられたキー312(
図6参照)がドア保持板25から突出する。初期状態において、ロック機構におけるピニオン123に形成されたキー溝123aの向きと、軸体311の先端に設けられたキー312の向きとは、例えば、ともに上下方向であって、合致している。従って、前述したような軸体311の進出によりドア保持板25から突出したキー312は、ドア保持板25に保持されるドア部120に設けられたロック機構のピニオン123のキー溝123aに嵌まり込む。一方、キー312がキー溝123aに嵌り込んだ状態で、シリンダ321からロッド322が進出すると、連結板323を介して軸体311がその軸方向に引かれ、それより、キー312がピニオン123のキー溝123aから引き抜かれる。
【0034】
キー回転機構33は、モータ331、モータ331により回転される駆動プーリ332、軸体311に軸方向に摺動自在に嵌め込まれた従動プーリ333、及び駆動プーリ332と従動プーリ333とに巻き掛けられたベルト334を備えている。モータ331により駆動プーリ332が回転されると、その回転がベルト334を介して従動プーリ333に伝達し、従動プーリ333の回転により、軸体311が回転する(軸体回転駆動機構)。前述したようにキー嵌め込み機構32によりロック機構のピニオン123に形成されたキー溝123aにキー312が嵌まり込んだ状態で、軸体311が回転されると、その回転に伴ってキー312が回転し、そのキー312の回転によりロック機構のピニオン123(
図6参照)が回転する。そして、モータ331の回転方向(軸体311及びキー312の回転方向)に対応するピニオン123の回転方向に応じて、動作棒125aが上下動してドア部120の孔121aから出没するとともに、動作棒125bが上下動してドア部120の孔121bから出没する。モータ331を動作棒125a、125bがドア部120の孔121a、121bに没入する方向に回転させることにより、即ち、ロック機構(ピニオン123、動作棒125a、125b)をそのように動作させることにより、ケース本体120に嵌り込んでロック(固定された)状態にあるドア部120の当該ロックが解除される。一方、モータ331を動作棒125a、125bがドア部120の孔121a、121bから突出する方向に回転させることにより、即ち、ロック機構(ピニオン123、動作棒125a、125b)をそのように動作させることにより、ケース本体120の開口部111に嵌め込まれたドア部120がロック(固定)される。
【0035】
なお、軸体311が後退してキー312がピニオン123に形成されたキー溝123aから抜け、更に、軸体311が所定の退避位置まで後退すると、ドア保持板25が蓋部22に対向した状態で回転可能になる。この状態で、モータ331の駆動に伴った駆動プーリ332及びベルト334を介した従動プーリ333の回転が、所定の機構(図示略)を介してドア保持板25に伝達する。これにより、軸体311を退避位置まで後退させた状態で、モータ331の駆動により、軸体311に妨げられることなく、ドア保持体25を回転させることができる。
【0036】
図示されてはいないが、ロック動作機構30において、前述したのと同様の構成のキー機構31、キー嵌め込み機構32及びキー回転機構33が、ロック機構(
図2、
図3及び
図6参照)におけるピニオン124に対しても設けられている。なお、ピニオン123に対するキー機構31の軸体311(軸受313)とピニオン124に対するキー機構31の軸体311(軸受313)とを連結板323により連結することにより、2つのピニオン123、124(ロック機構)に対してキー嵌め込み機構32を共通化することができる。
【0037】
なお、
図4には示されていないが、洗浄槽20の槽本体21には、洗浄液を噴出させる機構、乾燥エアを噴出させる機構等、FOUP100の洗浄、乾燥に必要な種々の機構が設けられている。また、ロボット10、蓋部22の開閉を行う開閉駆動機構24、洗浄槽20における洗浄、乾燥に必要な機構、ドア保持板22に設けられた吸着器26、及びロック動作機構30(キー嵌め込み機構32、キー回転機構33)それぞれの動作制御は、図示外の駆動制御装置によって行われる。
【0038】
前述した構造のケース洗浄装置の動作について説明する。
【0039】
ドア部120がケース本体110の開口部111に嵌め込まれて、ロック機構(
図2、
図3参照)によってロック(固定)された状態のFOUP100が、所定の載置台に載置される。この状態でFOUP100の洗浄処理が開始される。
【0040】
ロボット10のロボットアーム12が前記載置台まで延びて、把持ハンド13によって載置台に載置されたFOUP100のケース本体110のOHTヘッド112を把持する。ロボットアーム12は、把持ハンド13によってOHTヘッド112が把持されたFOUP100を洗浄槽20に向けて搬送する。そして、ロボット10は、把持ハンド13の向きを調整することにより、
図4に示すように、開いて立ち上がった状態の蓋部22(ドア保持部25)にFOUP100のドア部120を正対させる。
【0041】
この状態で、ロボットアーム12は、洗浄槽20の蓋部22に向けて延び、
図7に示すように、ドア部120を蓋部22に設けられたドア保持板25の複数の吸着器26に吸着させる。これにより、FOUP100のドア部120がドア保持板25に保持される(ドア部セットステップ)。
【0042】
次いで、
図8に示すように、ロック動作機構30のキー嵌め込み機構32が、キー機構31の軸体311を蓋部22の内側方向に押し込む。これにより、軸体311の先端に設けられたキー312がドア部120の孔127、128(
図1参照)を通して各ピニオン123、124(ロック機構)のキー溝123a、124aに嵌まり込む。そして、キー回転機構33が軸体311を回動させることにより各ピニオン123、124を回動させる。これにより、一方のピニオン123にラックが噛み合った動作棒125aが下方向に直動するとともにそのピニオン123にラックが噛み合った動作棒125bが上方向に直動して、各動作棒125a、125bの先端部がドア部120の孔121a、121bに没入する(
図2、
図3参照)。また、同様に、他方のピニオン124にラックが噛み合った動作棒126aが下方向に直動するとともにピニオン124にラックが噛み合った動作棒126bが上方向に直動して、各動作棒126a、126bの先端部がドア部120の孔122a、122bに没入する。これにより、ドア保持部25に保持されたドア部120のケース体110に対するロック(固定)が解除される(固定解除ステップ)。
【0043】
この状態で、ロボットアーム12は、
図9に示すように、把持ハンド13によってOHTヘッド112が把持されたケース本体110をドア保持部25に保持されたドア部120から離れる方向に移動させる。そして、ロック動作機構30のキー回転機構33によりキー機構31の軸体311が初期状態まで戻るように回動させられ、その後、キー嵌め込み機構32により軸体311が蓋部22の外側方向に引き出され、軸体311の先端部に設けられたキー312が各ピニオン123、124のキー溝123a、124aから引き抜かれる。このとき、キー312は、孔127、128(
図1参照)を通してドア部120の外部まで引き出される。そして、軸体311は退避位置まで後退する。
【0044】
次いで、ロボット10は、
図10に示すように、ドア部120から分離されたケース本体110の開口部111がドア保持部25に保持されたドア部120と反対の方向を向くように把持ハンド13を回転させる。その後、ロボット10は、ロボットアーム12を
図11及び
図12に示すように順次動作させて、把持ハンド13によってOHTヘッド112が把持されるケース本体110を、開口部l11を下側に向けて、槽本体21の底部に設けられたケース本体保持部27に保持させる(ケース本体セットステップ)。
【0045】
ケース本体110が槽本体21のケース本体保持部27に保持されると、ロボット10は、把持ハンド13によるOHTヘッド112の把持を解除して、ロボットアーム12を槽本体21から脱出させる。そして、開閉駆動機構24の動作により蓋部22がヒンジ23を支点に回動させられ、
図13に示すように、蓋部22が閉じられる。この状態で、洗浄槽20(槽本体21)内に洗浄液が噴出させられ、槽本体21のケース本体保持部27に保持されたケース本体110と蓋部22に設けられたドア保持部25に保持されたドア部120とが分離した状態で洗浄される(洗浄ステップ)。なお、この洗浄に際して、ドア保持部25が回転させられ、ドア保持部25に保持されたドア部120は、洗浄槽20において回転させられながら洗浄液により洗浄される。洗浄の終了後、洗浄槽20(槽本体21)内に、例えば、エアが噴出され、洗浄後されたケース本体110及びドア部120の乾燥が行われる。
【0046】
なお、洗浄槽20(槽本体21)において、分離した状態のケース本体110及びドア部120の洗浄及び乾燥が終了すると、
図13に示す状態から、洗浄槽20の蓋部22が開けられ、ロボット10が、前述した手順と逆の手順に従って、即ち、
図12に示す状態、
図11に示す状態、
図10に示す状態、
図9に示す状態、
図8に示す状態となるように、順次動作する。ここで、ロボット12により搬送されるケース本体110の開口部111にドア保持部25に保持されたドア部120が嵌め込まれる前に、ロック動作機構30(キー機構31、キー嵌め込み機構32、キー回転機構33)が、ドア部120に設けられた4つの動作棒125a、125b、126a、126bが孔121a、121b、122a、122b(
図2、
図3参照)に没入するようにロック機構(2つのピニオン123、124)を動作させる。その後、ロボット12により搬送されるケース本体110の開口部111にドア保持部25に保持されたドア部120が嵌め込まれる。そして、ロック動作機構30が、ドア保持部25に保持されたドア部120がロボットアーム12(把持ハンド13)によって支持されるケース本体110に対してロックされるように、ロック機構(
図2、
図3参照)を動作させる(
図7に示す状態)。
【0047】
このようにして、ドア保持部25に保持されたドア部120がロボットアーム12に支持されるケース本体110に対して装着固定されると、ドア保持部25の各吸着器26の吸着作用が解除される。その後、ロボット10は、例えば、
図4に示す状態を経て、ケース本体110とドア部120とが一体となったFOUP100を所定の場所まで搬送する。これにより、洗浄済みのケース本体110とドア部120とが一体となったFOUP100が所定の場所に置かれる。
【0048】
上述したようなケース洗浄装置及びケース洗浄方法によれば、ケース本体110とドア部120とが、洗浄槽20の外部ではなく、洗浄槽20の蓋部22(ドア保持板25)において分離され、その洗浄槽20において、ケース本体110が槽本体21に設けられたケース本体保持部27に保持され、ドア部120がドア保持板25に保持されるようになるので、FOUP100をケース本体110とドア部120とに分離して、それらケース本体110とドア部120とを効率的に洗浄槽にセットすることができる。
【0049】
ところで、この種のケース洗浄装置では、複数の洗浄槽20を設けることが考えられる。この場合、従来のように、1か所の仮置台で分離したフープ本体110及びドア部120の組を、複数の洗浄槽20に振り分けるようにすると、ケース本体110に対するドア部120のロック(固定)を解除する機構(ロック解除機構)が故障等してフープ本体110とドア部120との分離ができなくなった場合、全ての洗浄槽20での処理ができなくなってしまうという不具合がある。しかし、上述したようなケース洗浄装置では、各洗浄槽20においてFOUP100がケース本体110とドア部120とに分離されるので、1つの洗浄槽20においてロック解除機構(ロック動作機構30)の故障等によりケース本体110とドア部120とが分離できなくなったとしても、他の洗浄槽20においては、FOUP100をケース本体110とドア部120とを分離して継続的に洗浄することができる。
【0050】
なお、上述したケース洗浄装置では、ドア部120は、洗浄槽20の蓋部22に設けられたドア保持部25に保持されるものであったが、これに限定されない。ドア部120を、洗浄槽20の側壁面、底面等、洗浄槽20のいずれの部位にでも保持させることが可能である。
【0051】
以上、本発明のいくつかの実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。