(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンベヤベルト(300)が無端状に回し掛けられる第1及び第2ローラ(110,120)を有する第1ユニット(51)と、前記第1ユニット(51)が着脱可能に取り付けられる第2ユニット(52)を備え、
前記第1及び第2ユニット(51,52)の一方は、前記コンベヤベルト(300)が外周の一部に回し掛けられる駆動ローラ(150)を含み、
前記第1及び第2ユニット(51,52)の他方は、前記第1ユニット(51)が前記第2ユニット(52)に取り付けられた状態において、前記駆動ローラ(150)に回し掛けられる前記コンベヤベルト(300)の部分(390)よりも前記コンベヤベルト(300)の進行方向に関して上流及び下流側の位置で前記コンベヤベルト(300)に接触し、かつ前記駆動ローラ(150)を両側から挟むように設けられる第3及び第4ローラ(130,140)を含み、
前記第3及び第4ローラ(130,140)の少なくとも一方は、前記第3及び第4ローラ(130,140)の間隔(W5)の減少が生じる向きに付勢された枢動部材(160)により回転可能に軸支され、
前記駆動ローラ(150)が前記第3及び第4ローラ(130,140)の少なくとも一方に与える押圧力に応じて前記第3及び第4ローラ(130,140)の間隔(W5)が増減可能であり、
前記駆動ローラ(150)は、前記駆動ローラ(150)と前記第3ローラ(130)の間で前記コンベヤベルト(300)の一部分が圧迫され、前記駆動ローラ(150)と前記第4ローラ(140)の間で前記コンベヤベルト(300)の別の部分が圧迫された駆動位置で回転駆動される、コンベヤ装置。
前記枢動部材(160)は、前記第1ユニット(51)が前記第2ユニット(52)に取り付けられた状態で、前記第3ローラ(130)から前記第1ローラ(110)に向けて延びる前記コンベヤベルト(300)の第1区間(310)に沿って延在し、又は、前記第4ローラ(140)から前記第2ローラ(120)に向けて延びる前記コンベヤベルト(300)の第2区間(320)に沿って延在する、請求項1に記載のコンベヤ装置。
前記枢動部材(160)は、前記第3ローラ(130)から前記第1ローラ(110)に向けて、又は、前記第4ローラ(140)から前記第2ローラ(120)に向けて延在するに応じて減少する厚みを有する、請求項2に記載のコンベヤ装置。
前記枢動部材(160)は、これにより軸支される前記第3又は第4ローラ(130,140)の外周の一部に回し掛けられた前記コンベヤベルト(300)の側縁部(305)が摺動する摺動面(168)を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンベヤ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1〜
図12を参照しつつ、本発明の非限定の実施形態について説明する。開示の1以上の実施形態及び実施形態に包含される各特徴は、個々に独立したものではない。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができる。また、当業者は、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている場合がある。
【0013】
図1は、コンベヤ装置50の概略的な分解斜視図であり、第1ユニット51と第2ユニット52が上下に分離した状態を示す。
図2は、コンベヤ装置50の概略的な模式図であり、第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられた状態における第1〜第4ローラ110,120,130,140と駆動ローラ150の位置関係を示す。
図3は、コンベヤ装置50において第3及び第4ローラ130,140の間に駆動ローラ150が導入された状態を示す模式図であり、第3及び第4ローラ130,140それぞれが枢動部材160により軸支され、枢動部材160が弾性部材170により付勢されることも示す。
図4は、コンベヤ装置50において第3及び第4ローラ130,140の間に駆動ローラ150が導入される前の状態を示す模式図であり、第3及び第4ローラ130,140の間隔W5が駆動ローラ150の直径よりも小さい。
【0014】
図1〜
図4に示すように、第1ユニット51は、コンベヤベルト300が無端状に回し掛けられる第1及び第2ローラ110,120を有する。コンベヤベルト300は、表面301と裏面302を有するシート材である。第2ユニット52は、第1ユニット51が着脱可能に取り付けられるユニットである。図示の場合、第1ユニット51が、第1及び第2ローラ110,120に加えて駆動ローラ150を含み、第2ユニット52が、第3及び第4ローラ130,140を含む。
図11に示すように、第1ユニット51が、第1及び第2ローラ110,120に加えて第3及び第4ローラ130,140を含み、第2ユニット52が駆動ローラ150を含む形態も想定され、また、後述と同様の利益を奏し得る。
【0015】
幾つかの場合、第1ユニット51が一対の側板61,62を有し、第1ローラ110及び第2ローラ120それぞれが一対の側板61,62により軸支され得る。第1ユニット51が駆動ローラ150を含む場合、一対の側板61,62により駆動ローラ150が軸支される。幾つかの場合、第2ユニット52が基材71を有し、第3及び第4ローラ130,140が平板材といった基材71に実装される。
【0016】
第1及び第2ローラ110,120は、平行に配列され得る。第1及び第2ローラ110,120として様々な種類の回転体が採用され得る。例えば、ローラ110,120は、回転軸である芯棒と、芯棒に対してベアリングを介して組み付けられた円筒部材を含み得る。円筒部材の外周面の一部にコンベヤベルトが回し掛けられる。コンベヤベルト300の蛇行を防止するため、円筒部材の外周面の一部には滑り止め部材が貼り付けられ得る。各ローラは、防塵や防水性のためのシール構造を有し得る。ローラ110,120は、駆動ローラ150から提供される又は別の駆動源から提供される回転力に応じて回転し得る。
【0017】
駆動ローラ150は、コンベヤベルト300が外周の一部に回し掛けられる。駆動ローラ150は、不図示の駆動源、例えば、電気モーターから供給される回転力に応じて回転し、第1及び第2ローラ110,120に回し掛けられたコンベヤベルト300の進行及び循環を生じさせる。電気モーターの出力軸に駆動ローラ150を同軸に連結させる他、タイミングベルトを介して電気モーターと駆動ローラ150が動力伝達可能に連結される。コンベヤベルト300の進行方向が電気モーターの回転方向に依存する。駆動ローラ150は、第1及び第2ローラ110,120と同様、様々な種類の回転体であり得、例えば、回転軸である芯棒と、芯棒に対してベアリングを介して組み付けられた円筒部材を含む。
【0018】
第3及び第4ローラ130,140は、駆動ローラ150に回し掛けられるコンベヤベルト300の部分390よりもコンベヤベルト300の進行方向に関して上流及び下流側の位置でコンベヤベルト300に接触する又は接触するべきローラである。駆動ローラ150に回し掛けられるコンベヤベルト300の部分390は、駆動ローラ150に直に接触する部分であり得る。コンベヤベルト300が
図2の矢印D1方向に進行及び循環する時、第3ローラ130が駆動ローラ150の上流側に配され、第4ローラ140が駆動ローラ150の下流側に配され、各ローラ130,140が、駆動ローラ150に回し掛けられるコンベヤベルト300の部分390よりもコンベヤベルト300の進行方向に関して上流及び下流側の位置、端的には、駆動ローラ150を両側から挟む位置でコンベヤベルト300に接触する。コンベヤベルト300が
図2の矢印D2方向に進行及び循環する時、第3ローラ130が駆動ローラ150の下流側に配され、第4ローラ140が駆動ローラ150の上流側に配され、各ローラ130,140が、駆動ローラ150に回し掛けられるコンベヤベルト300の部分390よりもコンベヤベルト300の進行方向に関して上流及び下流側の位置、端的には、駆動ローラ150を両側から挟む位置でコンベヤベルト300に接触する。なお、第3及び第4ローラ130,140が駆動ローラ150を挟む位置にある時、第3又は第4ローラ130,140と駆動ローラ150がコンベヤベルト300を介して直に隣接していることは必須ではない。
【0019】
第3ローラ130は、第1ローラ110と駆動ローラ150の間を延びるコンベヤベルト300の部分に接触する。第4ローラ140は、駆動ローラ150と第2ローラ120の間を延びるコンベヤベルト300の部分に接触する。第3及び第4ローラ130,140は、平行に配置され得る。第3及び第4ローラ130,140は、同一径のローラであり得る。第3及び第4ローラ130,140の直径は、第1及び第2ローラ110,120の直径以下であり得る。第3及び第4ローラ130,140は、第1及び第2ローラ110,120と同様、様々な種類の回転体であり得、例えば、回転軸である芯棒と、芯棒に対してベアリングを介して組み付けられた円筒部材を含み得る。
【0020】
第3及び第4ローラ130,140の間に駆動ローラ150が挿入及び配置される。幾つかの場合、駆動ローラ150が回転駆動される位置において、第3ローラ130と駆動ローラ150がコンベヤベルト300を介して直に隣接し、また第4ローラ140と駆動ローラ150がコンベヤベルト300を介して直に隣接する。つまり、駆動ローラ150は、駆動ローラ150と第3ローラ130の間でコンベヤベルト300の一部分が挟まれ、駆動ローラ150と第4ローラ140の間でコンベヤベルト300の別の部分が挟まれる駆動位置で回転駆動される。
【0021】
幾つかの場合、駆動ローラ150の直径が、第1及び第2ローラ110,120の直径以下である。駆動ローラ150の直径を大きくすることにより駆動ローラ150とコンベヤベルト300の接触面積が大きくなり、駆動ローラ150からコンベヤベルト300への力の伝達がより十分になる。しかし、この場合、コンベヤ装置50の小型化又は薄型化が困難になる。本開示の幾つかの特徴によれば、コンベヤ装置50の小型化又は薄型化と、駆動ローラ150からコンベヤベルト300への十分な力の伝達が両立される。
【0022】
本実施形態では、第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられる時、第3及び第4ローラ130,140の少なくとも一方の付勢に抗した第3及び第4ローラ130,140の間隔W5の増加を介して第3及び第4ローラ130,140の間に駆動ローラ150が導入される。これにより、第1ユニット51と第2ユニット52の組立又はメンテナンスの容易化が促進される。
【0023】
幾つかの場合、第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられる時、第3及び第4ローラ130,140の少なくとも一方の付勢に抗した第3及び第4ローラ130,140の間隔W5の増加に続いて、第3及び第4ローラ130,140の少なくとも一方の付勢に従う(付勢に準じた)第3及び第4ローラ130,140の間隔W5の減少が生じる。これにより、駆動ローラ150とコンベヤベルト300がより密に接触することが促進される。
【0024】
なお、第1ユニット51を第2ユニット52に実装した後、側板61,62に対する第1ローラ110及び/又は第2ローラ120の回転軸の位置が調整され、これにより、コンベヤ装置50のコンベヤベルト300のテンションが最適化、例えば、目標値まで高められ得る。
【0025】
第3及び第4ローラ130,140の少なくとも一方の付勢は、第3又は第4ローラ130,140を軸支する少なくとも一つの枢動部材160の付勢により生じる。これにより第3又は第4ローラ130,140がコンベヤベルト300を押す力が高められる。例えば、これにより、小径の駆動ローラ150の採用に伴う駆動ローラ150からコンベヤベルト300への力の伝達の低下が補償される。枢動部材160は、各ローラ130,140の回転軸が軸着した部材であり得る。枢動部材160は、ローラ130,140の回転軸が回転可能に挿通される又は回転不能に固定される軸孔が設けられ得る。枢動部材160は、ローラ130,140の両端に設けられ、又は一端のみに設けられ、或いは、両端の間の中間部に設けられ得る。枢動部材160の配置位置は、ローラ130,140の軸方向における任意の位置であり得る。
【0026】
枢動部材160は、枢動可能に設けられる。従って、枢動部材160により軸支された各ローラ130,140は、枢動部材160の枢動軸AX6,AX7回りに揺動することができる。駆動ローラ150により第3ローラ130が押される時、第3ローラ130は、枢動軸AX6回りに第1方向(
図4を正面視して反時計回り)に枢動して駆動ローラ150から逃げることができる。駆動ローラ150から第3ローラ130への押圧力の低下に応じて、第3ローラ130は、枢動軸AX6回りに第2方向(
図4を正面視して時計回り)に枢動して初期位置又は初期位置側の位置に戻ることができる。駆動ローラ150により第4ローラ140が押される時、第4ローラ140は、枢動軸AX7回りに第2方向(
図4を正面視して時計回り)に枢動して駆動ローラ150から逃げることができる。駆動ローラ150から第4ローラ140への押圧力の低下に応じて、第4ローラ140は、枢動軸AX7回りに第1方向(
図4を正面視して反時計回り)に枢動して初期位置又は初期位置側の位置に戻ることができる。
【0027】
枢動部材160は、第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられた状態で、第3ローラ130から第1ローラ110に向けて延びるコンベヤベルト300の第1区間310に沿って延在し、又は、第4ローラ140から第2ローラ120に向けて延びるコンベヤベルト300の第2区間320に沿って延在する。かかる場合、コンベヤ装置50の薄型化が好適に促進される。
【0028】
第1区間310は、第3ローラ130から第1ローラ110に向けて延びるに応じて、第1ローラ110と第2ローラ120の間を平坦に延びるコンベヤベルト300の平坦区間330から離間する。第2区間320は、第4ローラ140から第2ローラ120に向けて延びるに応じて、第1ローラ110と第2ローラ120の間を平坦に延びるコンベヤベルト300の平坦区間330から離間する。
【0029】
枢動部材160は、第3ローラ130から第1ローラ110に向けて、又は、第4ローラ140から第2ローラ120に向けて延在するに応じて減少する厚みを有する。枢動部材160とコンベヤベルト300の接触が回避され、又は、弾性部材170により枢動部材160をより十分な力で付勢することが促進される。枢動部材160は、第1又は第2ローラ120側の端部において弾性部材170により押圧される。第3又は第4ローラ130,140は、てこの原理に基づいて、弾性部材170が枢動部材160を押す力よりも大きい力でコンベヤベルト300を押すことができる。弾性部材170としては、圧縮バネが採用され得る。
【0030】
枢動部材160の枢動軸AX6,AX7は、第3又は第4ローラ130,140の回転軸AX3,AX4に対して平行であり、また第3又は第4ローラ130,140の回転軸AX3,AX4から(回転軸AX3,AX4に関する)径方向外側にオフセットして位置付けられる。弾性部材170が枢動部材160を押圧する位置は、枢動部材160の枢動軸AX6,AX7よりも第3又は第4ローラ130,140の回転軸AX3,AX4から(回転軸AX3,AX4に関する)径方向外側に離れて位置付けられる。
【0031】
幾つかの場合、枢動部材160は、基材71上に枢動可能に実装される。これによりコンベヤ装置50の組立がより簡単になり得る。枢動部材160は、第3ローラ130又は第4ローラ140が軸着した第1端部161と、この第1端部161とは反対側の第2端部162を有する。枢動部材160の第2端部162が弾性部材170により押圧され、枢動部材160の第1端部161に軸着した第3又は第4ローラ130,140が基材71又は凹部72の底面側に付勢される。第3ローラ130と駆動ローラ150の間でコンベヤベルト300を圧迫し、また第4ローラ140と駆動ローラ150の間でコンベヤベルト300を圧迫することが達成される。なお、弾性部材170による枢動部材160の押圧方向と、第3及び第4ローラ130,140間への駆動ローラ150の挿入方向は、お互いに反対である。
【0032】
枢動部材160は、第1端部161と第2端部162の間の位置で基材71に設けられた枢支部材180により枢支される。コンベヤ装置50の薄型化のため、枢支部材180が基材71の凹部72の底面上に配置され得、従って枢動部材160が基材71の凹部72の底面上に設けられる。コンベヤ装置50の薄型化のため、枢動部材160を付勢する弾性部材170が、基材71の貫通孔又は凹部に設けられる。弾性部材170として圧縮バネが用いられる場合、圧縮バネは、枢動部材160の第2端部162に接触する第1バネ端と、この反対側の第2バネ端を有する。幾つかの場合、圧縮バネの第2バネ端の位置が調整可能であり、これにより、圧縮バネによる枢動部材160の押圧力が調整される。圧縮バネの第2バネ端の位置は、基材71に対して取り付けられたネジの位置により調整され得る。
【0033】
幾つかの場合、第3ローラ130の軸方向両端に一対の枢動部材160が設けられ、第4ローラ140の軸方向両端に一対の枢動部材160が設けられる。各ローラ130,140が軸方向両端の一対の枢動部材160の間で軸支される。駆動ローラ150の回転軸と各ローラ130,140の回転軸が平行に維持される。
【0034】
図5は、コンベヤ装置50において第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられる過程を示す模式図である。
図5は、第1ユニット51が第2ユニット52側に動かされることを示すが、第2ユニット52が第1ユニット51側に動かされ、この結果、第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられることも同様に理解できよう。第1ユニット51において、コンベヤベルト300は、第1ローラ110と第2ローラ120に緩く回し掛けられている(従って、コンベヤベルト300の取り付けや交換が簡単である)。第2ユニット52において、第3及び第4ローラ130,140は、各々、初期位置にある。第3及び第4ローラ130,140の初期位置は、例えば、弾性部材170の最大長に基づいて設定される。
【0035】
図5(a)の時、第1ユニット51が第2ユニット52側に動かされる。
図5(b)の時、駆動ローラ150が、コンベヤベルト300を挟んで第3ローラ130に隣接し、同様、コンベヤベルト300を挟んで第4ローラ140に隣接する。第3及び第4ローラ130,140は、未だその初期位置にある。駆動ローラ150の回転軸AX5と第3ローラ130の回転軸AX3を結ぶ直線L1よりも枢動部材160の枢動軸AX6が基材71側に位置する。他方の枢動部材160の枢動軸AX7についても同様である。
【0036】
図5(c)の時、駆動ローラ150が、コンベヤベルト300を挟んで第3ローラ130を押圧し、同様、コンベヤベルト300を挟んで第4ローラ140を押圧する。駆動ローラ150が第3ローラ130に与える押圧力は、弾性部材170の押圧に基づく枢動部材160の付勢力よりも大きく、従って、第3ローラ130は、弾性部材170による付勢方向に抗する方向に枢動軸AX6回りに枢動する。第4ローラ140も同様、弾性部材170による付勢方向に抗する方向に枢動軸AX7回りに枢動する。
図5(b)から
図5(c)に推移する間、第3ローラ130が軸着した枢動部材160と第4ローラ140が軸着した枢動部材160が、お互いに反対方向に枢動する。各ローラ130,140の枢動に伴い、第3ローラ130と第4ローラ140の間隔W5が増加する。
図5(c)における基材71上の駆動ローラ150の高さは、
図5(b)における基材71上の駆動ローラ150の高さよりも低い。
図5(c)における第3ローラ130の回転軸AX3は、
図5(b)における第3ローラ130の回転軸AX3よりも駆動ローラ150の回転軸AX5から離間した位置にある(この点は、破線L2との比較からより良く理解される)。
【0037】
図5(d)の時、駆動ローラ150の回転軸AX5が、第3ローラ130の回転軸AX3と第4ローラ140の回転軸AX4と同一平面にある。第3ローラ130と第4ローラ140の間隔W5が最大値になる。
図5(c)から
図5(d)に推移する間、第3ローラ130が軸着した枢動部材160と第4ローラ140が軸着した枢動部材160が、お互いに反対方向に更に枢動し、両者の間隔W5が増加する。
図5(d)における基材71上の駆動ローラ150の高さは、
図5(c)における基材71上の駆動ローラ150の高さよりも低い。
図5(d)の時、弾性部材170として用いられた圧縮バネの圧縮量が最大である。
【0038】
図5(e)の時、第2ユニット52に対する第1ユニット51の取り付けが完了しており、駆動ローラ150が回転駆動される位置にある。
図5(e)の時、第3ローラ130は、コンベヤベルト300を介して駆動ローラ150を押圧し、第4ローラ140は、コンベヤベルト300を介して駆動ローラ150を押圧する。この結果、コンベヤベルト300が駆動ローラ150の外周面に密着することが促進され、駆動ローラ150の駆動力がコンベヤベルト300に良好に伝達される。
図5(d)から
図5(e)に推移する間、第3及び第4ローラ130,140が駆動ローラ150により押圧される程度が小さくなり、第3及び第4ローラ130,140は、それぞれ、初期位置に向けて枢動することを開始する。駆動ローラ150が下方に移動するに応じて、枢動部材160が弾性部材170による付勢に従う方向に枢動し、第3及び第4ローラ130,140が初期位置側に枢動し、結果として、第3及び第4ローラ130,140の間隔W5が減少する。第3及び第4ローラ130,140それぞれがコンベヤベルト300を駆動ローラ150側に押圧し、コンベヤベルト300と駆動ローラ150がより密に接触することが促進される。第2ユニット52に対する第1ユニット51の取り付けが完了する時、駆動ローラ150により押されて第3及び第4ローラ130,140が初期位置からずれた位置を取り得る。
【0039】
図6Aは、コンベヤ装置50において第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられる直前の状態を示す模式図であり、各ローラの回転軸と枢動部材の枢動軸の位置関係を示す。駆動ローラ150と第3ローラ130の間にコンベヤベルト300が単に挟まれた状態ではコンベヤベルト300に張力が掛からない。駆動ローラ150の基材71側への移動に応じて、第3ローラ130は、駆動ローラ150の回転軸AX5と第3ローラ130の回転軸AX3を結ぶ方向のベクトルP4に沿って駆動ローラ150により押される。この時、枢動部材160の枢動軸AX6の位置が、ベクトルP4よりも基材71側にあるため、枢動部材160は、枢動軸AX6を中心として反時計回りに枢動し、第3ローラ130も同様に反時計回りに枢動する。第4ローラ140を軸支する他方の枢動部材160についても同様、枢動軸AX7を中心とした時計回りの第4ローラ140の枢動に帰結する。これらの結果から、第3及び第4ローラ130,140の間隔W5が増加し、駆動ローラ150が第3及び第4ローラ130,140間を通過することができる。
【0040】
図6Bは、コンベヤ装置50において第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられた後、駆動ローラ150を回転させた状態を示す模式図であり、各ローラの回転軸と枢動部材の枢動軸の位置関係を示す。
図6Bに示すように、駆動ローラ150の回転に応じてコンベヤベルト300が進行する時、コンベヤベルト300に張力が掛かる。第3ローラ130の回転軸AX3を起点としたコンベヤベルト300に掛かる張力ベクトルをP1,P2とすると、張力ベクトルP1,P2の合成ベクトルP3よりも枢動部材160の枢動軸AX6が基材71側に位置し、合成ベクトルP3に対する枢動軸AX6の垂線沿いの間隔L6が短い。従って、枢動軸AX6を中心として枢動部材160を反時計回りに枢動させて第3ローラ130を駆動ローラ150から遠ざけるモーメントM1が小さくなる。弾性部材170により枢動部材160が反時計回りに押されて第3ローラ130が駆動ローラ150を押し付けるモーメントM2が生じる。モーメントM2は、モーメントM1よりも大きく、従って、第3ローラ130がコンベヤベルト300を介して駆動ローラ150を十分な力で押し付け、駆動ローラ150とコンベヤベルト300の間の良好な力伝達が促進される。第4ローラ140についても同様の説明が当てはまる。
【0041】
図7は、コンベヤ装置50においてコンベヤベルト300の側縁部305が摺動する摺動面168が枢動部材160に設けられることを示す模式図である。幾つかの場合、枢動部材160は、コンベヤベルト300の側縁部305が摺動する摺動面168を有する。コンベヤベルト300により枢動部材160を被覆することができる。幾つかの場合、枢動部材160の摺動面168の縁部に弧状面169が形成され、コンベヤベルト300の走行安定性が高められる。これらの特徴は、コンベヤベルト300の蛇行防止に貢献し得る。
【0042】
第1ユニット51と第2ユニット52の結合は、第3ローラ130と第4ローラ140の間への駆動ローラ150の導入のみにより達成され得る。幾つかの場合、第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられる時、第1及び第2ユニット51,52の一方に設けられた係合部69が、第1及び第2ユニット51,52の他方に設けられた被係合部79に係合する。係合部69は、側板61,62から突出した突出片を有する爪部材であり得る。被係合部79は、基材71に設けられた開口部であり得る。爪部材が開口に挿入され、爪部材の突出片が基材71の下面又は裏面に係止する。基材71又は他の部材に第1及び第2ローラ110,120を軸支する機構を実装することも想定される。
【0043】
図8は、車椅子20の座部として車体フレーム29にコンベヤ装置50が実装された車椅子20の概略的な斜視図である。
図9は、車椅子20の座部として車体フレーム29にコンベヤ装置50が実装された車椅子20の概略的な正面模式図であり、リニアアクチュエーター(シリンダー21)の作動に基づいて座部が左右方向に移動可能であることを示す。
図10は、リニアアクチュエーター(シリンダー21)とコンベヤ装置50の連結態様を示す模式図である。
【0044】
車椅子20の座部として本開示のコンベヤ装置50を用いる時、車椅子20の組立効率が高められ得る。例えば、第2ユニット52を車椅子20側に取り付けた後、第2ユニット52に対して第1ユニット51を取り付けることが可能である。コンベヤベルト300の最終的なテンションは、側板61,62に対する第1及び第2ローラ110,120の軸位置合わせにより調整可能である。また、薄型化されたコンベヤ装置50は、車椅子特有の空間制約の要求にも上手く適合する。第1ユニット51を第2ユニット52から取り外すことができ、車椅子の使用過程でコンベヤベルト300を交換するニーズにも上手く適合する。
【0045】
図8及び
図9に示す車椅子20は、車体フレーム29と、車体フレーム29に取り付けられた一対の車輪27と、車体フレーム29に取り付けられた背もたれ26を有する。車椅子20は、オプションとして、アームレスト25、補助輪24等を有する。車椅子20は、車体フレーム29に対して昇降機28を介して実装された座部を有する。座部は、昇降機28のシリンダー上端に連結したベースプレート22と、ベースプレート22の下面に配置されたシリンダー(リニアアクチュエーター)21と、ベースプレート22の上面にリニアガイドを介して実装されたコンベヤ装置50を有する。コンベヤ装置50の基材71が、ベースプレート22上にリニアガイドを介して実装される。シリンダー21の本体21mから延びるロッド21nの先端がコンベヤ装置50の基材71に対して結合する。従って、シリンダー21の本体21mに対するロッド21nの移動によってベースプレート22に対するコンベヤ装置50の位置を変えることができる(
図9の破線参照)。
【0046】
第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられる時、第1ユニット51に含まれる駆動ローラ150と第2ユニット52に含まれる第3及び/又は第4ローラ130,140の少なくとも一方の付勢に抗した及び従う枢動を介してコンベヤベルト300のテンションが高められることが普遍的な個別の特徴として理解される。本開示には、次の付記に係る発明も開示されている。コンベヤ装置50に関して記述した各特徴が、付記1に記載の車椅子に対する追加の特徴として理解され、その全列挙が省略される。
−付記1−
車体フレーム29と、
車体フレーム29に対して座部として実装されたコンベヤ装置50を備える車椅子であって、
コンベヤ装置50は、コンベヤベルト300が無端状に回し掛けられる第1及び第2ローラ110,120を有する第1ユニット51と、車体フレーム29側に設けられると共に、第1ユニット51が着脱可能に取り付けられる第2ユニット52を備え、
第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられる時、第1ユニット51に含まれる少なくとも一つの追加のローラ150と第2ユニット52に含まれる少なくとも一つのローラ130,140の少なくとも一方の付勢に抗した及び従う枢動を介してコンベヤベルト300にテンションが付与され又はテンションが高められる。
−付記2−
第1ユニット51が、少なくとも一つの追加のローラ150として、コンベヤベルト300が外周の一部に回し掛けられる駆動ローラ150を含み、
第2ユニット52が、少なくとも一つのローラ130,140として、駆動ローラ150に回し掛けられるコンベヤベルト300の部分390よりもコンベヤベルト300の進行方向に関して上流及び下流側の位置でコンベヤベルト300に接触するべき第3及び第4ローラ130,140を含み、
第1ユニット51が第2ユニット52に取り付けられる時、第3及び第4ローラ130,140の少なくとも一方の付勢に抗した及び従う第3及び第4ローラ130,140の間隔W5の増加及び減少を介して第3及び第4ローラ130,140の間に駆動ローラ150が導入される、付記1に記載の車椅子。
【0047】
なお、薄型化されたコンベヤ装置50の用途は様々であり、図示例の車椅子の用途に限定されるべきではない。医療用ベッド等の他の用途にもコンベヤ装置50は有用である。シリンダーの他、リニアアクチュエーターとして、ぼーるネジ等が採用可能である。
【0048】
図11は、第1ユニット51に第3及び第4ローラ130,140が含められ、第2ユニット52に駆動ローラ150が含められる変形例を示す。この場合においても、第3及び第4ローラ130,140の間への駆動ローラ150の挿入を介して第1及び第2ユニット51,52が結合可能である。
【0049】
図12は、第4ローラ140が固定位置で回転する変形例を示す模式図である。
図12のように第4ローラ140が固定位置で回転する形態も想定される。第3及び第4ローラ130,140が基材71の上面に平行な横方向に付勢される形態も想定される。各ローラ130,140の付勢方向も様々であり、図示例に限定されるべきではない。枢動部材160として駆動ローラ150の挿入方向に沿って長く延びる枢動部材も採用され得る。ローラは、軸方向に延びる円柱形状のものに限られず、軸方向に1以上の円板部が配されたものであっても良い。幾つかの場合、ローラは、同軸に配置された個々に独立して回転可能な複数の円板部を含む。
【0050】
上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。請求の範囲に盛り込まれた符号は、参考のためであり、請求の範囲を限定解釈する目的で参照されるべきものではない。