(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記適応型システム制御部における機器制御手段は、上記情報検出手段により検出された情報を統計的に解析し、その解析結果に基づいて上記機器を制御し、又は上記機器との通信条件を設定すること
を特徴とする請求項1又は2記載の機器管理システム。
【背景技術】
【0002】
近年における日本の製造業では、グローバルマーケットの参入や価格競争への対応のため、国内製造から海外製造へのシフトが進んでいる。このため、国内の製造現場と製造技術の維持が国際競争力強化を図る上で大きな課題となる。特に製品製造のサイクルの短縮化や多品種少量生産化の要請の応えるようにするため、ラインの逐次組換えに対応でき、ラインの組換えに応じた検査機器の組換えにも対応できるシステムが求められる。ラインの組換えが発生するのは生産数の変化や製品の変更、工程改善等に基づく場合が多いが、生産性を向上させる観点から機器の配置やラインの構築に柔軟性が要求される。
【0003】
一方で、製造機器や検査機器は、制御信頼性の観点から従来より有線通信を介して管理されるのが一般的であった。しかしながら、この有線通信を介した管理では、ラインの組換えの都度、有線ネットワークの再配線の作業工程が発生することとなり、作業コスト、作業時間を要することとなる。このため、機器の配置やラインの構築において柔軟性を追求するためには、有線通信が主流であった工場内の製造機器や検査機器の制御や管理を、無線通信に切り替える必要がある。
【0004】
しかしながら、この製造機器や検査機器の無線管理は、個々の機器毎に進められているものの、現在及び将来において工場における製造現場全体を一つのシステムとして考え、そのシステム単位で最適な無線通信技術の利用や通信資源の配分をするところまでは殆ど実現できていないのが現状である。このため、個々の機器毎に別々に導入した無線管理システム間で同一の周波数帯域を使用している場合には通信干渉を起こしたり、障害を起こしてしまう場合もある。そして、このような状態の下では、新たに機器の無線管理化を思うように進めることができなくなるという問題点があった。
【0005】
また、有線通信が主流であった工場内の製造機器や検査機器の制御や管理を、無線通信に切り替えた場合、利用できる周波数帯に限りがあることから、システム間で同一の周波数を用いなければならず、これまで考える必要のなかった周波数の共用や相互干渉を考慮しなければならない。また今後、新たに製造現場全体で無線通信を使用して検出を試みたい情報は、数万倍となるものと予想される。製造現場における無人搬送車(AGV)の台数も今後増える見通しの中、無線通信に切り替えた際の通信周波数を柔軟に変えることができるシステムが望まれる。
【0006】
このため、製造現場においては、用途に応じて無線通信方式や周波数等を自在に選択することができ、更に用途に基づく製造機器及び検査機器の設計や管理が実現でき、時間と共に変化する環境に適応することが可能な柔軟性を持たせた機器管理システムを構築する必要があった。
【0007】
従来においては、上述した課題を解決するために、オン・デマンド・マニュファクチュアリング(On-Demand Manufacturing)というコンセプトが、例えば非特許文献1〜4において開示されている。このOn-Demand Manufacturingの機能を実現するために、上位層から順に、サービスマネージャー(SM:Service Manager)、フィールドマネージャー(FM:Field Manager)、フレキシブルシステムマネージャー(FSM:適応型システム制御部)の3層からなる構成要素でシステムを構成し、情報検出からデータ分析、制御等の一連の管理を各層間にて協働して行う。
【0008】
ここでSMは、システム全体における情報の開閉性と計量性をマネジメントする機能を持つ。このSMは、自身の管理下にある1以上のFMを管理する。FMは、現場の工場単位で開閉性と計量性を実現する機能を持つ。このFMは自身の管理下にあるFSMを制御する。
【0009】
FSMは、工場に設置される1または2以上の機器毎に割り当てられ、当該機器毎に開閉性と柔軟性を実現する機能を担う。即ち、このFSMは、割り当てられた機器からの各種情報を無線信号を介して検出し、また当該機器に対して無線信号を送信することによりこれを制御する。特にFSMは、FMより指示されたローカルサービスポリシーに基づいて機器の制御を行う。また、このFSMは、サービスタイプに応じたローカル通信ポリシーに基づいて、機器の制御を行うための通信方式や通信周波数等を決定する。実際に工場の製造現場において使用される機器が取り扱うデータサイズ、データ生成頻度、ノード数等は様々であり、通信環境のアプリケーションの特徴に合わせて、最適な通信方式や通信周波数等を選択することとなる。この通信方式等の選択は、予め複数種に亘り定義した各サービスタイプごとの通信ポリシーと、FSM又はFMにより機器から検出した情報とに基づいて、最適な方式を決定していくことになる。
【0010】
このようにして製造現場における用途に応じた無線通信方式や周波数等の選択を効率的に行うことができ、システム全体の柔軟性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を適用した機器管理システムの実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0027】
本発明を適用した機器管理システムは、オン・デマンド・マニュファクチュアリング(On-Demand Manufacturing)というコンセプトの下で動作する。このOn-Demand Manufacturingでは、必要なものに必要な時にアクセスできるが、外部に出したくないものは確実に守れる「開閉性」と、いつでもどこでも必要なものが作れ、レイアウト変更が容易である「柔軟性」、取りたい情報が必要な精度で収集でき、ポリシーに従った判断ができる「計量性」の3つの基本機能を実装する。
【0028】
本発明を適用した機器管理システム1は、On-Demand Manufacturingにおける「開閉性」、「柔軟性」、「計量性」の3つの基本機能を、
図1に示すように、サービスマネージャー(SM:Service Manager)6、フィールドマネージャー(FM:Field Manager)4、フレキシブルシステムマネージャー(FSM:適応型システム制御部)2の3層で実現する。SM6、FM4、FSM2は、情報検出からデータ分析、制御等の一連の管理を各層間にて協働して行う。
【0029】
SM6は、機器管理システム1全体における情報の開閉性と計量性をマネジメントする機能を持つ。SM6は、顧客との契約に基づき、サービスレベルを監視する。SM6は、サービス提供や顧客との契約に基づく品質保証、情報の保護や測定、課金等の各種サービスを実行する。またSM6は、クラウド8に蓄積されている情報にアクセスすることができる。SM6は、クラウド8から取得した情報を、顧客との契約に基づいて他のSM6に提供すべき情報に加工して送信する。SM6は、自身の管理下にある1以上のFM4を管理し、このFM4による無線通信の通信方式を始めとする通信ポリシーや、通信周波数等を決定する。更にこのSM6は、状況に応じた適切な通信ポリシーで無線通信を行うことができるように、配下にあるFM4を制御し、サービス品質を監視する上で必要な情報を収集し、サービス品質のモニタリングも行う。
【0030】
FM4は、それぞれ上述したSM6により管理される。ちなみに、このFM4は、2以上のSM6により管理されるものであってもよい。FM4は、基本的には現場の工場単位で割り当てられ、自身が管理する工場単位で開閉性と計量性を実現する機能を持つ。FM4は、SM6により決定された通信ポリシー等に応じて、自身が管理する工場内における運用、制御スケジュールの策定、内部情報と外部情報との切り分け等を行う。またこのFM4は、自身が管理する現場の工場内に設置する1以上のFSM2を管理する。FM4は、SM6と連携し、このFSM2がサービス品質を考慮した機器制御を行うためのローカルサービスポリシーと、情報収集及び共有、機器や電源制御のための通信頻度や通信経路、通信パラメータ等の通信条件を制御するローカル通信ポリシーを生成する。このFM4は、この生成したローカルサービスポリシー、ローカル通信ポリシーを、必要に応じてFSM2に書き換えを指示する。FM4は、ローカルサービスポリシー、ローカル通信ポリシーをそれぞれ生成するための必要な情報の収集を工場単位で行い、工場内の機器の稼動状態や通信品質等のモニタリングを行う。
【0031】
FSM2は、工場に設置される1以上の機器15毎に割り当てられ、これを管理する。このFSM2は、FM4から指示されたローカルサービスポリシーに基づいて、機器15の制御を行う。FSM2は、FM4から指示されたローカル通信ポリシーに基づいて、機器15の制御等を行うための通信方式を決定する。FMS2は、ローカルサービスポリシー、ローカル通信ポリシーをそれぞれ生成するための必要な情報の収集を機器15単位で行うとともに、収集した情報に基づいた各種制御を機器15に対して実行する。
【0032】
機器15は、生産ライン上に設置される製造機器や、これら製造機器を検査するための検査機器、工場内を走行する無人搬送車、その他工場内において使用されるあらゆる機器を含む概念である。機器15は、FSM2により管理され、当該FSM2との間で無線通信を介して管理される。
【0033】
以下、本発明を適用した機器管理システム1の各層の詳細な構成について説明をする。
【0034】
図2は、FSM2のブロック構成を示している。FSM2は、大きく分類してシステム制御マネージャー(SCM)20aと、ターミナル通信マネージャー(TCM)20bにより構成される。FSM2は、SCM20a及びTCM20bに加え、このSCM20aにそれぞれ接続されるシステムコントローラー21並びにシステム測定部22と、このシステム測定部22にそれぞれ接続されるノーマル測定部23並びにイベント測定部24と、TCM20bにそれぞれ接続されるローカル通信コントローラ25並びに通信測定部26とを備えている。また、このTCM20bには、更に通信インターフェース27が接続されている。
【0035】
SCM20aは、ローカルサービス品質マネージャー28が中心になり、これに対してそれぞれ、システム制御部29、検出情報制御部30、情報処理部32が接続されている。この検出情報制御部30には更にバッファー31が接続されている。
【0036】
TCM20bは、ネットワークアクセス部34が中心となり、これに対してそれぞれターミナル通信決定部35、ローカル通信マネージャー36、ターミナル測定マネージャー37、第1のデータ伝播調整部38が接続されている。この第1のデータ伝播調整部38には更にバッファー39が接続されている。
【0037】
システムコントローラー21は、機器15との間で無線通信するための無線通信インターフェースである。このシステムコントローラー21は、システム制御部29による制御の下で、機器15を制御するための制御信号を無線通信により機器15に送信し、機器15はかかる制御信号に基づいて各種制御が行われる。このシステムコントローラー21から送信される制御信号の種類としては、機器15に対して電源を供給するための物理スイッチの開閉制御、機器15のあらゆる動作制御、緊急時における機器15の走行停止、動作停止等である。
【0038】
ノーマル測定部23は、システム測定部22による制御の下、機器15から各種情報を無線通信により検出するためのデバイスである。このノーマル測定部23は、特にイベントが発生していない通常時においては、機器15から定期的に各種情報を検出する。この検出する情報の種類としては、機器15の状態を示す情報としての例えばトルク値やトルク波形等、機器15の画像情報、機器15を構成するモーターのノイズや、機器15の振動数や消費電力に関する情報等、更には機器15から送信されてくる無線信号の信号強度や遅延時間等、機器15から発生するあらゆる情報が含まれる。ノーマル測定部23は、この検出した情報をシステム測定部22へ出力する。
【0039】
イベント測定部24は、ノーマル測定部23と同様に、システム測定部22による制御の下で機器15から各種情報を無線通信により検出するためのデバイスである。但し、このイベント測定部24は、例えば機器15に異常が検出された場合や停止してしまった場合等、通常時とは異なる何らかのイベントが発生した場合のみ、機器15から各種情報を測定する。このイベント測定部24による測定対象の情報は、ノーマル測定部23と同様であるが、その測定条件は、ノーマル測定部23と相違する場合もある。例えば、機器15に異常が発生した場合等では、通常時においてノーマル測定部23により10分間隔で検出されていたモーターの振動数を、このイベント測定部24により1分間隔で測定する等、測定のモードを異ならせるようにしてもよい。
【0040】
システム測定部22は、SCM20aからの指示に基づき、接続されているノーマル測定部23、イベント測定部24をそれぞれ制御する。このシステム測定部22は、ノーマル測定部23、イベント測定部24による測定対象の情報を収集し、これをSCM20aにおける情報処理部32に提供する。システム測定部22は、かかる情報の収集を通じて機器15の不具合や各種イベントの発生を監視し、その結果をSCM20aに通知する。
【0041】
SCM20aにおけるローカルサービス品質マネージャー28は、FM4から通知されたローカルサービスポリシーに基づき、システム制御部29及び情報処理部32を制御するための指示を出す。このローカルサービス品質マネージャー28は、システム制御部29及び情報処理部32から通知されてくる各種情報を取得し、これをTCM20bにおけるローカル通信マネージャー36へ通知し、或いはこの取得した情報に基づいてシステム制御部29及び情報処理部32を制御する。
【0042】
システム制御部29は、ローカルサービス品質マネージャー28による指示に基づき、システムコントローラー21を制御する。このシステム制御部29は、ローカルサービス品質マネージャー28から通知されるローカルサービスポリシーを実現するために、実際に機器15をいかに制御するかを決定し、その具体的な制御方針をシステムコントローラー21に通知する。これによりシステムコントローラー21による具体的な機器15の制御を実行することができる。
【0043】
情報処理部32は、システム測定部22によって収集された全ての情報を受信する。この情報処理部32は、この受信した情報を検出情報制御部30へ送信する。この情報処理部32は、システム測定部22から送信された情報の全て又は一部を必要に応じて一時的に格納するようにしてもよい。情報処理部32は、ローカルサービス品質マネージャー28からの指示に基づいて、システム測定部22に対し、ノーマル測定部23並びにイベント測定部24による情報の測定方針を送信することも行う。更に情報処理部32は、システム制御部29に対しても直接接続されており、システムコントローラー21による機器15の制御と連動させつつ各種測定を行わせるようにシステム測定部22をコントロールすることも可能となる。
【0044】
検出情報制御部30は、情報処理部32を介して送信されてきた、機器15により検出された情報が、予め取得を意図している情報であるか否かの判断を行う。ここで機器15により検出された情報は、
図3に示すように、取得を意図している情報(以下、取得意図情報という。)と、取得を意図していない情報(以下、非取得意図情報という。)の2種に大別できる。取得意図情報は、例えばモーターのノイズや機器の振動数等、工場を経営する顧客側が取得を望んでいる情報であって、通常は顧客側の意向に基づいて予め定義される。これに対して、非取得意図情報は、取得意図情報以外の全ての情報である。検出情報制御部30は、検出された情報が取得意図情報である旨を判断した場合には、これをローカルサービス品質マネージャー28へ送信する。これに対して、検出情報制御部30は、検出された情報が非取得意図情報である旨を判断した場合には、これをローカルサービス品質マネージャー28へ送信しないようにする等、これを外部に漏らさないよう保護するための制御を行う。検出情報制御部30は、ローカルサービス品質マネージャー28へ送信する取得意図情報を一時的にバッファー31に格納するようにしてもよい。これにより、検出情報制御部30に情報が送られるタイミングと、取得意図情報をローカルサービス品質マネージャー28へ送信するタイミングを制御することが可能となる。
【0045】
ローカル通信コントローラ25は、TCM20bの指示に基づき、機器15の通信デバイスを制御して通信を行う。
【0046】
通信測定部26は、通信制御に必要な通信制御情報を収集し、TCM20bのターミナル測定マネージャー37に提供する。通信測定部26による通信制御情報の収集のポリシーについては、ターミナル測定マネージャー37から通知される。
【0047】
TCM20bは、FM4から提供されるローカル通信ポリシーに基づき、FSM2と外部との通信を制御する。このTCM20bにおけるターミナル測定マネージャー37は、通信測定部26から送信される通信制御情報をローカル通信マネージャー36及びネットワークアクセス部34へ送信する。また、このターミナル測定マネージャー37は、ローカル通信マネージャー36及びネットワークアクセス部34による制御の下、通信測定部26における通信制御情報の収集を制御する。
【0048】
TCM20bにおけるローカル通信マネージャー36は、ローカル通信ポリシーに応じて、通信の各種条件や方針をターミナル通信決定部35に通知する。ローカル通信マネージャー36は、必要に応じてターミナル測定マネージャー37から通知された通信制御情報に基づいて、ターミナル通信決定部35をコントロールするようにしてもよい。ローカル通信マネージャー36は、SCM20aにおける検出情報制御部30からローカルサービス品質マネージャー28を介して送信されてくる取得意図情報をネットワークアクセス部34へ送信する。
【0049】
ターミナル通信決定部35は、ローカル通信マネージャー36及びネットワークアクセス部34による制御に基づいて、ローカル通信コントローラ25による通信を制御する。
【0050】
ネットワークアクセス部34は、ローカル通信マネージャー36とともに、実際のFSM2と外部との通信を制御する。このネットワークアクセス部34は、実際にデータを送信するネットワークを選択する。ネットワークアクセス部34は、ローカル通信マネージャー36から送信されてくる取得意図情報を第1のデータ伝播調整部38へ送信する。
【0051】
第1のデータ伝播調整部38は、ネットワークアクセス部34から送信されてくる取得意図情報を含むデータをFSM2から外部へ送信する際において、その伝播経路を調整するためのデバイスである。この伝播経路の調整の際には必要に応じてネットワークアクセス部34と協働して行うようにしてもよい。第1のデータ伝播調整部38は、後述するFM4内のデータ伝播調整部と互いに協調して、取得意図情報を含むデータ外部に漏洩させることなく適切な通信経路にて伝播させるように制御する。第1のデータ伝播調整部38は、送信するデータを一時的にバッファー39に格納するようにしてもよいことは勿論である。
【0052】
通信インターフェース27は、FSM2が他のFSM2やFM4との間で無線通信を行う上で必要な各種デバイスで構成されている。
【0053】
図4は、FM4のブロック構成を示している。FM4は、大きく分類してシステム制御マネージャー(SCM)40aにより構成されている。このFM4は、SCM40aにそれぞれ接続される通信インターフェース41と、ローカル通信ポリシーコントローラ42と、フィールド通信コントローラ43と、フィールド測定コントローラ46とを備え、さらに、このフィールド測定コントローラ46に対して接続されるノーマル測定部44並びにイベント測定部45とを備えている。
【0054】
SCM40aは、グローバル通信マネージャー52が中心となり、これに対してそれぞれネットワークアクセス部49、フィールド通信ポリシー決定部50、ローカル通信ポリシー決定部51、情報処理部53が接続されている。また、このネットワークアクセス部49には、更に第2のデータ伝播調整部47が接続され、さらに第2のデータ伝播調整部47には、バッファー48が接続されている。
【0055】
通信インターフェース41は、FM4が他のFM4や、FSM2、SM4との間で無線通信を行う上で必要な各種デバイスで構成されている。
【0056】
ローカル通信ポリシーコントローラ42は、FSM2に対してローカル通信ポリシーを提供すると共にその書き換えを指示する。このローカル通信ポリシーコントローラ42は、FSM2により検出される情報収集及びその共有、機器15や電源の制御のための通信頻度や通信経路の制御も行う。このローカル通信ポリシーコントローラ42は、ローカル通信ポリシー決定部51により提供されたローカル通信ポリシーを実現するために各種動作を実行することとなる。
【0057】
フィールド通信コントローラ43は、FSM2及びSM4との通信に係る通信方式・通信頻度などを制御する。フィールド通信コントローラ43は、フィールド通信ポリシー決定部50による管理下において各種動作を実行することとなる。
【0058】
ノーマル測定部44は、フィールド測定コントローラ46による制御の下、各種情報を無線通信により検出するためのデバイスである。上述したノーマル測定部23は機器15単位で情報を検出するのに対して、このノーマル測定部44は、工場単位で各種情報を検出する。ノーマル測定部44は、特にイベントが発生していない通常時においては、機器工場から定期的に各種情報を検出する。ノーマル測定部44は、この検出する情報として、工場全体の稼働状況を検出するが、これに加えて、工場内におけるモーターの回転の状態を一定時間毎に計測したり、或いは工場内の温度や湿度等を所定時間毎に測定したり、或いは工場内の各消耗品の消耗状況等を所定時間毎に測定等を行う。ノーマル測定部44は、この検出した情報をフィールド測定コントローラ46へ出力する。
【0059】
イベント測定部45は、ノーマル測定部44と同様に、フィールド測定コントローラ46による制御の下で工場から各種情報を無線通信により検出するためのデバイスである。但し、このイベント測定部45は、例えば工場内において何らかの異常が検出された場合や停止してしまった場合等、通常時とは異なる何らかのイベントが発生した場合のみ各種情報を測定する。このイベント測定部45による測定対象の情報は、ノーマル測定部44と同様である。
【0060】
フィールド測定コントローラ46は、SCM40aからの指示に基づき、接続されているノーマル測定部44、イベント測定部45をそれぞれ制御する。このフィールド測定コントローラ46は、ノーマル測定部44、イベント測定部45による測定対象の情報を収集し、これをSCM40aにおける情報処理部53に提供する。フィールド測定コントローラ46は、かかる情報の収集を通じて工場全体の状況や各種イベントの発生を監視し、その結果をSCM40aに通知する。
【0061】
第2のデータ伝播調整部47は、通信インターフェース41を介して各種データを受信し、必要に応じてこれをネットワークアクセス部49へ送信するとともに、ネットワークアクセス部49から送信されてくるデータを通信インターフェース41を介して外部へと送信する。第2のデータ伝播調整部47は、取得意図情報を含むデータがFSM2から送信されてきた場合において、これを外部へ送信する際に、その伝播経路を調整するためのデバイスである。第2のデータ伝播調整部47は、FSM2内の第1のデータ伝播調整部38と互いに協調して、取得意図情報を含むデータを外部に漏洩させることなく適切な通信経路にて伝播させるように制御する。第2のデータ伝播調整部47は、送信する取得意図情報を含むデータを一時的にバッファー48に格納するようにしてもよいことは勿論である。
【0062】
なお、この第2のデータ伝播調整部47は、上述したノーマル測定部44、イベント測定部45に対して接続されていてもよい。これにより、ノーマル測定部44、イベント測定部45から測定された情報に基づいて取得意図情報を含むデータの伝播経路を調整するように制御することができる。このとき第2のデータ伝播調整部47は、これらの動作をネットワークアクセス部49と協働して行うようにしてもよい。また第2のデータ伝播調整部47により取得された取得意図情報に基づいてノーマル測定部44、イベント測定部45による各種情報の測定方法を決定するようにしてもよい。
【0063】
ネットワークアクセス部49は、グローバル通信マネージャー52とともに、実際のFM4と外部との通信を制御する。このネットワークアクセス部49は、実際にデータを送信するネットワークを選択する。
【0064】
グローバル通信マネージャー52は、配下にあるFSM2におけるローカル通信ポリシー、ローカルサービスポリシーを当該FSM2毎に作成する。グローバル通信マネージャー52は、ローカルサービスポリシー、ローカル通信ポリシーをそれぞれ生成するための必要な情報を、状況に応じてフィールド測定コントローラ46から取得する。このフィールド測定コントローラ46により工場内の機器の稼動状態や通信品質等のモニタリングできた場合には、その情報を反映させたローカルサービスポリシー、ローカル通信ポリシーを生成することが可能となる。また、このグローバル通信マネージャー52は、SM6から通知されたサービスポリシーも、ローカルサービスポリシー、ローカル通信ポリシーに反映させるようにしてもよい。グローバル通信マネージャー52は、作成したローカル通信ポリシーをローカル通信ポリシー決定部51へ送信する。
【0065】
ローカル通信ポリシー決定部51は、ローカルサービスポリシーを満足する上で好適なローカル通信ポリシーを決定する。このローカル通信ポリシー決定部51により決定されたローカル通信ポリシーは、ローカル通信ポリシーコントローラ42へ提供する。
【0066】
フィールド通信ポリシー決定部50は、FSM2及びSM4との通信に係る通信ポリシーを決定する。またフィールド通信ポリシー決定部50は、生成した通信ポリシーをフィールド通信コントローラ43へ通知する。
【0067】
情報処理部53は、フィールド測定コントローラ46によって収集された全ての情報を受信する。この情報処理部53は、この受信した情報をグローバル通信マネージャー52等に送信する。情報処理部53は、フィールド測定コントローラ46から送信された情報の全て又は一部を必要に応じて一時的に格納するようにしてもよい。情報処理部53は、グローバル通信マネージャー52からの指示に基づいて、フィールド測定コントローラ46に対し、ノーマル測定部44、イベント測定部45の情報の測定方針を送信することも行う。更に情報処理部53は、ローカル通信ポリシー決定部51に対しても直接接続されており、収集した情報をローカル通信ポリシー決定部51によるローカル通信ポリシーの決定に反映させるようにしてもよい。
【0068】
図5は、FM4及びこれと無線通信するSM6のブロック構成を示している。SM6は、大きく分類してクラウドサービスマネージャー(CSM)60aにより構成されている。このSM6は、CSM60aにそれぞれ接続される通信インターフェース61と、サービスポリシーコントローラ62と、通信コントローラ63と、サービス品質測定コントローラ66とを備えている。
【0069】
CSM60aは、グローバルサービス品質マネージャー72が中心となり、これに対してそれぞれサービスポリシー決定部74、通信マネージャー70、情報処理部73が接続されている。この通信マネージャー70には、通信ネットワーク決定部71と、ネットワークアクセス部69が接続されている。ネットワークアクセス部69には、更に第3のデータ伝播調整部67が接続され、さらに第3のデータ伝播調整部67には、バッファー68が接続されている。
【0070】
通信インターフェース61は、SM6がFM4との間で無線通信を行う上で必要な各種デバイスで構成されている。
【0071】
サービスポリシーコントローラ62は、FSM2に対してサービスポリシーを提供すると共にその書き換えを指示する。サービスポリシーコントローラ62は、サービスポリシー決定部74により提供されたサービスポリシーを実現するために各種動作を実行することとなる。
【0072】
通信コントローラ63は、FM4の指示に応じた通信方式を設定して通信する。通信コントローラ63は、通信ネットワーク決定部71による管理下において各種動作を実行することとなる。
【0073】
サービス品質測定コントローラ66は、機器管理システム1が提供するサービス品質の状態を測定し、これをCSM60aに提供する。サービス品質測定コントローラ66は、システム全体を一つの単位として各種情報を検出する。サービス品質測定コントローラ66により検出される情報としては、サービス提供中の回線において送受信されるデータのエラー率、損失率、受信信号強度、受信信号の遅延量や、データの送受信間隔等である。サービス品質測定コントローラ66は、この検出した情報を情報処理部73へ出力する。
【0074】
第3のデータ伝播調整部67は、通信インターフェース61を介して各種データを受信し、必要に応じてこれをネットワークアクセス部69へ送信するとともに、ネットワークアクセス部69から送信されてくるデータを通信インターフェース61を介して外部へと送信する。第3のデータ伝播調整部67は、取得意図情報を含むデータがSM6から送信されてくる場合において、その伝播経路を調整するためのデバイスである。第3のデータ伝播調整部67は、FM4内の第2のデータ伝播調整部47と互いに協調して、取得意図情報を含むデータ外部に漏洩させることなく適切な通信経路にて伝播させるように制御する。第3のデータ伝播調整部67は、これらの動作を行う上でネットワークアクセス部69と協働して実行するようにしてもよい。第3のデータ伝播調整部67は、送信する取得意図情報を含むデータを一時的にバッファー68に格納するようにしてもよいことは勿論である。
【0075】
ネットワークアクセス部69は、通信マネージャー70とともに、実際のSM6と外部との通信を制御する。このネットワークアクセス部69は、実際にデータを送信するネットワークを選択する。
【0076】
通信マネージャー70は、配下にあるFM4における通信の状態を監視する。また通信マネージャーは、システム全体のサービスポリシー(通信手段や通信頻度等を含む)を決定する。
【0077】
通信ネットワーク決定部71は、通信経路の決定、並びにその経路における通信方式の決定等を行う。
【0078】
情報処理部73は、サービス品質測定コントローラ66によって収集されたサービス品質の状態に関する情報を受信する。この情報処理部73は、この受信した情報をグローバルサービス品質マネージャー72に送信する。情報処理部73は、サービス品質測定コントローラ66から送信された情報の全て又は一部を必要に応じて一時的に格納するようにしてもよい。情報処理部73は、グローバルサービス品質マネージャー72からの指示に基づいて、サービス品質測定コントローラ66に対し、サービス品質に関する情報の測定方針を随時変更することもできる。
【0079】
グローバルサービス品質マネージャー72は、配下のFM4の状態に基づき、サービスポリシー決定部74に最適なサービスポリシーの作成を指示する。このとき、情報処理部73を介して送られてくるサービス品質の状態に関する情報に基づいてサービスポリシーの作成を指示するようにしてもよい。また、グローバルサービス品質マネージャー72は、第3のデータ伝播調整部67、ネットワークアクセス部69を介して送信されてくる取得意図情報に基づいてサービスポリシーの作成を指示するようにしてもよい。グローバルサービス品質マネージャー72は、サービスポリシー決定部74において作成されたサービスポリシーを通信マネージャー70、ネットワークアクセス部69、第3のデータ伝播調整部67を介してFM4へ送信する。
【0080】
サービスポリシー決定部74は、グローバルサービス品質マネージャー72による指示に基づき、最適なサービスポリシーを作成する。サービスポリシー決定部74は、作成したサービスポリシーを、グローバルサービス品質マネージャー72へ通知する。
【0081】
図6は、SM6及びこれと無線通信するクラウド8のブロック構成を示している。上述したSM6の説明において、同一の構成要素、部材に関しては同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
【0082】
クラウド8における各サーバー80a、80b、・・・、80nには、ERP(Enterprise Resource Planning)、生産管理、製造機器制御、電力供給情報、気象情報等が格納されている。
【0083】
SM6は、クラウド8にアクセスする際には、ネットワークアクセス部69を介して行うこととなる。
【0084】
SM6におけるグローバルサービス品質マネージャー72は、サービス品質評価部101と、製造プロセスモニタリング部102と、リスク評価部103と、財務評価部104と、これらに接続されるデータアクセス制御部105とを有している。
【0085】
サービス品質評価部101は、情報処理部73を介して送られてくるサービス品質の状態に関する情報を取得し、これを評価する。具体的には、このサービス品質評価部101は、サービス提供中の回線において送受信されるデータのエラー率、損失率、受信信号強度、到着遅延量、データの送受信間隔の分散等、実際に提供しているサービスのレベルを満たしているか否かの評価を行う。
【0086】
製造プロセスモニタリング部102は、各種データを解析することにより、実際に工場内において行われている製造状況を把握する。
【0087】
リスク評価部103は、各種データを解析することにより、製造現場におけるリスクの大きさ、その頻度等を解析、予測する。
【0088】
財務評価部104は、各種データを分析することにより、工場における財務状態を評価する。
【0089】
またデータアクセス制御部105は、これらサービス品質評価部101、製造プロセスモニタリング部102、リスク評価部103、財務評価部104が各種評価を行う上で適切な情報を取得するために、クラウド8におけるいかなるサーバー80a、80b、・・・、80nにアクセスするかを決定する。データアクセス制御部105は、かかる方針の決定後、ネットワークアクセス部69を介してクラウド8にアクセスし、必要な情報を取得する。
【0090】
次に上述した構成からなる機器管理システム1の動作について説明をする。
【0091】
SM6は、顧客との契約に基づく品質保証、情報の保護や測定、課金等の各種サービスを実行するべくサービスポリシーを上述したサービスポリシー決定部74において作成する。サービスポリシー決定部74は、作成されたサービスポリシーを、サービスポリシーコントローラ62経由でFM4に通知する。
【0092】
FM4は、このSM6から送られてきたサービスポリシーを受信し、指示された内容に基づいて、配下のFSM2を制御する。
図7は、これらSM6、FM4、FSM2間の通信シーケンスの概要を示している。SM6は、選定したFM4に対してクエリーを送信する(ステップS11)。このクエリーは、作成したサービスポリシーが実行可能か否かを現状に基づいて判断することを要求するものである。FM4は、現状に基づき、ローカルサービスポリシーを実行可能である旨を判断した場合には、かかるクエリーを受諾する旨の応答をSM6に対して送信する(ステップS12)。一方、FM4は、現状に基づき、サービスポリシーを実行不可能である旨を判断した場合には、特に何ら応答をSM6に対して送信しない。
【0093】
SM6は、ステップS12における応答を受信した場合には、各種制御に関するスケジュール、必要な通信資源等に関する情報をFM4へ送信する(ステップS13)。FM4は、ステップS13において通知された情報並びにSM6から通知されたサービスポリシーを必要に応じて参照し、グローバル通信マネージャー52により、配下にあるFSM2におけるローカル通信ポリシー、ローカルサービスポリシーを当該FSM2毎に作成する。このときグローバル通信マネージャー52は、ローカルサービスポリシー、ローカル通信ポリシーをそれぞれ生成するための必要な情報を必要に応じてフィールド測定コントローラ46により検出される工場等の稼動情報から取得するようにしてもよい。またFM4は、ローカルサービスポリシー、ローカル通信ポリシーをそれぞれ作成する上で、FSM2から送信されてくるあらゆるデータを参照するようにしてもよい。
【0094】
FM4は、この新たに作成したローカル通信ポリシー、ローカルサービスポリシーをFSM2に送信する(ステップS14)。
【0095】
FSM2は、受信したローカル通信ポリシー、ローカルサービスポリシーへの書き換え完了時に、応答としてのACKをFM4に送信する(ステップS15)。FM4は、かかるACKを受信した場合には、SM6に対して対応完了のACKを送信する(ステップS16)。FSM2は、書き換えられた新しいローカル通信ポリシー及びローカルサービスポリシーに基づいて、それぞれが管理する機器15を制御する。FSM2は、TCM20bを介してローカル通信ポリシーに基づき通信を制御し、SCM20aを介してローカルサービスポリシーに基づきサービスを制御していくこととなる。
【0096】
表1は、SM6によって作成されたローカル通信ポリシーの例を示している。ローカル通信ポリシーは、サービスタイプ毎に、最大パケット送信回数、許容パケットロス(%)、最低許容受信信号強度(dBm)、受信可能性(%、dBm)がそれぞれ定義されている。例えばサービスタイプ1の場合には、最大パケット送信回数は1回限りで、許容パケットロスが10%以下である場合に、90%以上のパケットが−65dBm以上で受信できることがサービス提供にあたり通信に求められる要件となる。また、例えばサービスタイプ2の場合には、最大パケット送信回数は2回であり、許容パケットロスが20%以下であればよい一方で、最低許容受信信号強度が−85dBmであることが求められる。
【0098】
FM4は、この表1におけるローカル通信ポリシーの例と、例えば通信測定部26により測定された通信制御情報等に基づいて、機器15とFSM2との通信条件を設定する上での候補を作成する。そしてFM4は、最終的に表2に示すような具体的な通信条件を設定し、これに基づいて機器15との通信を実現していくこととなる。
【0100】
本発明を適用した機器管理システム1では、このようなローカル通信ポリシー、ローカルサービスポリシーを介してSM6、FM4、FSM2の3層により、情報検出からデータ分析、制御等の一連の管理を協働して行うことで、いわゆるOn-Demand Manufacturingの機能を実現していくこととなる。
【0101】
ちなみに、顧客側の意向に基づいて取得意図情報を定義した場合においてSM2は、これについてもサービスポリシーに含めてFM4、FSM2を管理していくこととなる。取得意図情報の設定は、SM6におけるグローバルサービス品質マネージャーによる制御の下で実行し、設定した取得意図情報はサービスポリシーに含められることでFM4、FSM2へと通知することができる。実際にそのサービスポリシーがFM4からFSM2に通知された場合、ローカルサービス品質マネージャー28は、検出情報制御部30に対して取得意図情報の判別を指示する。検出情報制御部30は、かかる指示を受けて、機器15により検出された情報が取得意図情報か、非取得意図情報かの判別を行う。その結果、検出された情報が取得意図情報である旨が検出情報制御部30により判別された場合には、顧客側から要求されている情報が検出されたことを意味する。つまり検出された情報が取得意図情報である旨が検出情報制御部30により判別されたということは、顧客が取得を望まない情報を取得していないことが確認されたことを意味する。かかる場合において検出情報制御部30は、この取得意図情報をローカルサービス品質マネージャー28へ送信し、ローカルサービス品質マネージャー28は、これをTCM20bへと送信する。
【0102】
一方、検出された情報が非取得意図情報である旨が検出情報制御部30により判別された場合には、顧客側から要求されている情報以外のものが検出されたことを意味する。換言すれば顧客が取得を望まない情報を取得してしまったことを意味する。このような非取得意図情報の取得は顧客との間で契約違反に繋がる恐れもあることから、この機器管理システム1の運営側としては極力回避したい事象と言える。かかる場合には、検出情報制御部30は、非取得意図情報をローカルサービス品質マネージャー28へ送信しない。その結果、検出された非取得意図情報が外部へ漏洩するのを防止することができることは勿論であるが、システム側において検出情報検出情報制御部30は、非取得意図情報をそのまま消去するようにしてもよい。
【0103】
上述の如き検出情報制御部30による制御を行うことにより、本来検出したくない非取得意図情報を外部に転送するのを防止し、本来検出を望んでいた取得意図情報のみを外部へ転送することが可能となる。
【0104】
検出情報制御部30による上述した制御を実行することにより、取得意図情報のみが取得されていることが保証されることとなる。なお、検出情報制御部30による動作は、上述に限定されるものではなく、取得意図情報のみが取得されていることを保証するように制御するものであればいかなる方法により具現化されるものであってもよい。
【0105】
また、検出された取得意図情報を含むデータは、ローカルサービス品質マネージャー28、ローカル通信マネージャー36、ネットワークアクセス部34を介して第1のデータ伝播調整部38へと送られる。第1のデータ伝播調整部38は、この取得意図情報を含むデータをFSM2から外部へと送信する上でその伝播経路を調整する。この伝播経路の調整は、FM4における第2のデータ伝播調整部47、更にはSM6における第3のデータ伝播調整部67との間で協働しつつ進める。例えば
図1に示すSM6に対して水平方向に伸びるルートが自社又は自社の関連会社のみアクセスできるルートである場合には、この取得意図情報を含むデータの伝播経路を当該水平方向のルート辿るように制御することとなる。これにより取得意図情報が当該水平方向のルート以外に外れてしまうのを防止でき、当該取得意図情報がFM4やSM6を介してアクセスされてしまっても、当該水平方向のルート内であれば自社内等であるため、外部に漏洩してしまうのを防止することができる。これにより、本発明によれば、検出された取得意図情報を含むデータが特定の経路でしか流されていないことを顧客に対して保証することが可能なシステム構成とすることが可能となる。
【0106】
図8は、第1のデータ伝播調整部38、第2のデータ伝播調整部47との間における伝播経路の調整のシーケンスを示している。
【0107】
先ずデータを送信する第1のデータ伝播調整部38側から、調整開始クエリーを送信する(ステップS21)。この調整開始クエリーを受信した第2のデータ伝播調整部47は、これを受けて調整開始が実現可能である場合には、クエリー応答を第1のデータ伝播調整部38へ返信する。
【0108】
第1のデータ伝播調整部38は、かかるクエリー応答を受信した場合には、候補ルート情報を第2のデータ伝播調整部47へ送信する(ステップS23)。この候補ルート情報には、データを送信する伝播経路の候補が1以上に亘り記述されている。この候補ルート情報を受信した第2のデータ伝播調整部47は、ACKを第1のデータ伝播調整部38へ送信する(ステップS24)。
【0109】
第2のデータ伝播調整部47は、ステップS25において候補ルート情報に含められていた伝播経路の中から一の伝播経路を選択する。第2のデータ伝播調整部47は、この伝播経路を選択する上で、自社又は自社の関連会社のみアクセスできるルートであるか否かに基づいて判断する。
【0110】
次に第2のデータ伝播調整部47は、自身が選択した伝播経路が記述されたルート情報の割り当てを第1のデータ伝播調整部38へ送信する(ステップS26)。第1のデータ伝播調整部38は、かかるルート情報の割り当てを受けた場合には、ACKを第2のデータ伝播調整部47へ送信する(ステップS27)。
【0111】
次にステップS28に移行し、第1のデータ伝播調整部38は、ステップS26において割り当てを受けた伝播経路につき、FSM2とFM4との間で無線通信リンクを確立する。次にステップS29へ移行し、第1のデータ伝播調整部38は、無線通信リンクを確立した伝播経路に関する情報を第2のデータ伝播調整部47へ送信する。第2のデータ伝播調整部47は、これを受信した場合に、ACKを第1のデータ伝播調整部38へ送信する。
【0112】
なお、第2のデータ伝播調整部47と、第3のデータ伝播調整部67間の伝播経路の確立においても同様の手順に基づいて実行していくこととなる。
【0113】
本発明においては、仮に検出情報制御部30において、非取得意図情報を取得位置情報と万一判別してしまった場合においても、第1のデータ伝播調整部38、第2のデータ伝播調整部47、第3のデータ伝播調整部67により、当該情報を含むデータの伝播経路が調整させるため、外部に漏洩してしまうことを防止できる。
【0114】
このため、本発明によれば、この非取得意図情報の外部への漏洩を、検出情報制御部30に加え、第1のデータ伝播調整部38、第2のデータ伝播調整部47、第3のデータ伝播調整部67により、2段階で防止することが可能となる。
【0115】
なお、第1のデータ伝播調整部38、第2のデータ伝播調整部47、第3のデータ伝播調整部67により、上述した動作を実行する上では、送信すべきデータに取得位置情報が含まれているか否かを判別する必要がある。かかる場合において、第1のデータ伝播調整部38、第2のデータ伝播調整部47、第3のデータ伝播調整部67は、データそのもの、又はその情報のタグ付けを分析し、送信すべき情報のカテゴリを特定することとなる。そして、この特定したカテゴリ毎のサービスポリシーや、電波環境に依存した通信方式の選定ポリシーに従い、どの通信デバイス(FSM2、FM4、SM6)を使用してどのように送信を行うかを決定していくこととなる。
【0116】
更に本発明を適用した機器管理システム1によれば、ノーマル測定部23や、イベント測定部24により機器15から測定された各種情報を統計的に解析し、その解析結果を、上述した機器15の制御や通信条件の設定に反映させるようにしてもよい。
【0117】
実際には、ノーマル測定部23や、イベント測定部24により機器15から測定された各種情報を統計解析する上では、FSM2のみならず、FM4、必要に応じてSM6と協働して行うようにしてもよい。以下の例ではFM4側において統計解析を行う例について説明をする。
【0118】
測定された情報は、情報処理部32、ローカルサービス品質マネージャー28、ネットワークアクセス部34、第1のデータ伝播調整部38等を経て、通信インターフェース27へと送られる。通信インターフェース27は送られてきた情報をFM4における通信インターフェース41へ無線通信により送信する。当該情報は、第2のデータ伝播調整部47、ネットワークアクセス部49を介してグローバル通信マネージャー52へと送られる。このグローバル通信マネージャー52は、この送信されてきた情報につき、統計解析を実行する。
【0119】
例えば、送られてきた情報が機器15から受信した信号の強度等である場合、
図9に示すように感度(dBm)の分布を統計的に解析するようにしてもよい。実際にこのような統計解析を行う上では、一回のデータ取得では十分ではなく、また、解析方法も状況に応じて変更が必要であるため、情報を複数回に分けて取得してこれを蓄積し、解析していく必要がある。
【0120】
実際の統計解析を行った結果、
図9に示すような統計的分布が求められた後、グローバル通信マネージャー52は、かかる統計的分布に基づいて各種判断を行う。この判断の種類としては、例えば
図9に示す感度が所定値を超えるものの割合を求め、その割合が閾値以上であるか否かを判断するようにしてもよい。
【0121】
次にグローバル通信マネージャー52は、この判断の結果に応じて、機器15に対していかなる制御を行うか、又はいかなる通信条件で通信を行うかを決定する。この制御の方針については、上述したローカルサービスポリシー、ローカル通信ポリシーに含めてFSM2へと送信する。この送信ルートは、上述した情報が送られてくるルートと逆方向となる。
【0122】
FSM2は、かかる制御方針が反映されたローカルサービスポリシー、ローカル通信ポリシーに基づいて、機器15を制御し、又は通信条件の設定を行う。これにより、機器15から検出した情報に基づく統計解析結果を、機器15の制御や通信条件の設定に反映させることが可能となる。
【0123】
ちなみに、この統計解析並びに判断、更には新たな制御方針や通信条件の決定は、FSM2内において完了させるようにしてもよい。かかる場合には、ローカルサービス品質マネージャー28が中心となって、これらを実行していくこととなる。
【0124】
なお、この統計解析は、上述した例に限定されるものではない。例えば
図10に示すように、パケットの遅延時間に対する割合を統計的に解析するようにしてもよい。この
図10において、横軸はパケットの遅延時間を示しており、縦軸はその割合を示している。周波数3・通信方式Cにおいては、0.4ms遅延するパケットが98%であるのに対して、周波数1・通信方式Aにおいては、4ms遅延するパケットが98%であることが示されている。かかる場合においても、例えば遅延量に対する割合について予め閾値を設定し、これを超えるか否かで機器15の制御方針や通信条件を調整するようにしてもよいことは勿論である。
【0125】
また統計解析の例としては、上述した遅延時間や信号強度以外に、受信時間間隔の揺らぎ等を対象にしてもよく、これらの長時間平均、最大値および最小値、標準偏差、分散等、統計上のいかなる項目に基づいて解析を行うようにしてもよい。また、解析対象の機器15から検出された情報に基づくものであればいかなるものを対象としてもよい。
【0126】
このような統計解析結果に応じた機器15の制御機能をうまく活用することにより、工場に設置される機器15、ひいては工場全体における作業工程の改善提案を行うと共に、その提案した改善策に基づいて新たに機器15を管理することも可能となる。例えば、機器15における制御変更や機器15の不具合が生産性に与えるインパクトを統計的に解析し、これに基づいて顧客側に機器15の停止や消耗品取替えを促す等、生産性の維持及び向上につなげることも可能となる。