(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0011】
(1)本発明の一態様に係るリアクトルは、
巻回部を有するコイルと、前記巻回部の内外に配置される磁性コアとを備えるリアクトルであって、
前記巻回部の外周面に取り付けられるセンサ本体部と、前記センサ本体部から引き出される配線とを有し、前記コイルの温度を測定する温度センサと、
前記温度センサの前記センサ本体部を収納するセンサ収納部とを備え、
前記センサ本体部は、前記巻回部に面する検出面と、前記検出面とは反対側の裏面から突出する少なくとも1つの突起部とを有し、
前記センサ収納部は、前記センサ本体部の前記検出面に交差する両側面に対向し、互いに間隔をあけて設けられた一対の側壁部を有し、
前記センサ本体部において、前記配線が引き出される方向を軸方向、前記検出面に直交する方向を縦方向、前記縦方向及び前記軸方向のいずれにも直交する方向を横方向とするとき、
前記センサ本体部の前記突起部を有する部分における縦方向の高さが、横方向の幅よりも長く、且つ、前記側壁部間の間隔よりも長い。
【0012】
上記リアクトルでは、温度センサのセンサ本体部の検出面がコイルの巻回部の外周面に向いた状態で、センサ収納部の側壁部間にセンサ本体部が配置されて取り付けられる。上記リアクトルに備える温度センサは、センサ本体部の検出面とは反対側の裏面に突起部を有しており、センサ本体部の突起部を有する部分における縦方向の高さが、横方向の幅よりも長く、且つ、側壁部間の間隔よりも長くなっている。上記リアクトルによれば、センサ本体部が突起部を有することで、検出面側と裏面側とを容易に識別できるため、センサ本体部を側壁部間に配置して温度センサを取り付ける際に温度センサの取付方向の間違いを防止できる。また、センサ本体部の突起部を有する部分における縦方向の高さが側壁部間の間隔よりも長くなっているので、センサ本体部を側壁部間に配置する際に検出面が巻回部に面するようにするには、検出面が巻回部に向いた状態でないと、センサ本体部を側壁部間に配置することができない。更に、縦方向の高さが側壁部間の間隔よりも長いため、センサ本体部が側壁部間に配置された状態で配線の捻れなどによってセンサ本体部が回転しようとしても、突起部が側壁部に当たることで、センサ本体部の回転が阻止される。したがって、上記リアクトルは、簡易な構成で、コイルの巻回部に対する温度センサの取付方向の間違いを防止でき、温度センサの取付作業性に優れる。また、巻回部の外周面にセンサ本体部の検出面が面するように温度センサが取り付けられるため、コイルの温度を精度よく測定できる。
【0013】
(2)上記リアクトルの一形態として、前記センサ収納部が前記センサ本体部の前記裏面側を覆う蓋部を有することが挙げられる。
【0014】
センサ収納部が側壁部と蓋部とを有することで、センサ本体部の両側面側だけでなく、裏面側も覆うことができ、センサ本体部を保護できる。また、コイルに液体冷媒を直接接触させて液体冷媒によりコイルを強制冷却するリアクトルの場合、センサ収納部によりセンサ本体部が覆われることによって、液体冷媒がセンサ本体部にかかることを抑制できる。そのため、液体冷媒による影響をできるだけ受けないようにして、コイルの温度を適切に精度よく測定できる。
【0015】
(3)前記センサ収納部に前記蓋部を有する上記リアクトルの一形態として、前記センサ本体部の前記裏面のうち、前記突起部を除く領域に平坦面を有し、前記平坦面と前記蓋部との間に介在され、前記センサ本体部を前記巻回部側に押圧する弾性部材を備えることが挙げられる。
【0016】
センサ本体部と蓋部との間に弾性部材を備え、弾性部材によりセンサ本体部を巻回部側に押圧することで、センサ本体部の検出面を巻回部の外周面に密着させ易く、測定精度を高めることができる。また、センサ本体部の裏面に形成された平坦面に弾性部材が配置されることになるため、センサ本体部を巻回部側へ安定して押圧できる。弾性部材としては、例えばコイルばねや板ばねなどが挙げられる。
【0017】
(4)上記リアクトルの一形態として、前記検出面と前記巻回部との間に放熱部材を備えることが挙げられる。
【0018】
検出面と巻回部との間に放熱部材を備えることで、放熱部材を介してセンサ本体部の検出面と巻回部の外周面とを密着させ易く、測定精度を高めることができる。放熱部材としては、例えば放熱シートや放熱グリスなどが挙げられる。
【0019】
(5)上記リアクトルの一形態として、前記磁性コアにおける前記巻回部の外側に配置される外側コア部と前記巻回部の端面との間に介される端面介在部材を備え、前記センサ収納部の前記側壁部が前記端面介在部材に一体に設けられていることが挙げられる。
【0020】
センサ収納部の側壁部が端面介在部材に一体に設けられていることで、リアクトルの組み立て時にコイルと磁性コアと端面介在部材とが組み付けられることによって、巻回部に対して所定の位置に側壁部が配置されることになる。そのため、センサ本体部を巻回部の外周面の所定の位置に取り付けることができる。また、側壁部が端面介在部材に一体に設けられていることで、部品点数を削減でき、作業性の向上を図ることができる。
【0021】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るリアクトルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
[実施形態1]
<リアクトルの構成>
図1〜
図6を参照して、実施形態1に係るリアクトル1を説明する。実施形態1のリアクトル1は、
図1、
図2に示すように、巻回部2cを有するコイル2と、巻回部2cの内外に配置される磁性コア3と、コイル2の温度を測定する温度センサ5とを備える。温度センサ5は、巻回部2cの外周面に取り付けられるセンサ本体部52と、センサ本体部52から引き出される配線54とを有する(
図3、
図4も参照)。リアクトル1の特徴の1つは、
図2、
図4に示すように、センサ本体部52が、巻回部2cに面する検出面521と、検出面521とは反対側の裏面522から突出する突起部52bpを有する点にある(
図5、
図6も参照)。
【0023】
更に、リアクトル1は、
図1、
図2に示すように、磁性コア3における巻回部2cの外側に配置される外側コア部32と巻回部2cの端面との間に介される端面介在部材4を備える。
【0024】
リアクトル1は、例えば、コンバータケースなどの設置対象(図示せず)に設置される。ここでは、リアクトル1(コイル2及び磁性コア3)において、
図1における紙面下側が、設置対象に面する設置側であり、設置側を「下」、その反対側を「上」とし、上下方向を縦方向(高さ方向)とする。また、巻回部2cの並び方向を横方向(幅方向)とする。
図5の上図は、センサ本体部52を裏面522側から見た概略上面図、下図はセンサ本体部52の概略側面図である。以下、リアクトル1の構成について詳しく説明する。
【0025】
(コイル)
コイル2は、
図1、
図2に示すように、2本の巻線をそれぞれ螺旋状に巻回してなる2つの巻回部2cを有し、両巻回部2cの一方の端部同士が接合部2rを介して接続されている。両巻回部2cは、互いの軸方向が平行するように横並び(並列)に配置されている。接合部2rは、各巻回部2cから引き出された巻線の一方の端部同士を溶接や半田付け、ロウ付けなどの接合方法によって接合することで形成されている。両巻回部2cの他方の端部は、各巻回部2cから巻線端部が適宜な方向(この例では上方)に引き出され、端子金具(図示せず)が取り付けられて、コイル2に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)に電気的に接続される。コイル2は、公知のものを利用でき、例えば、両巻回部2cが1本の連続する巻線で形成されたものでもよい。
【0026】
両巻回部2cは、同じ仕様の巻線からなり、形状・大きさ・巻回方向・ターン数が同じである。巻線には、平角線の導体(銅など)と、導体の外周を覆う絶縁被覆(ポリアミドイミドなど)とを有する被覆平角線(いわゆるエナメル線)が利用できる。この例では、各巻回部2cが被覆平角線の巻線をエッジワイズ巻きした四角筒状(具体的には、矩形筒状)のエッジワイズコイルであり、軸方向から見た巻回部2cの端面の輪郭形状が角部が丸められた矩形状である。巻線や巻回部2cの仕様は適宜変更でき、両巻回部2cの形状・大きさ・巻回方向・ターン数が異なっていてもよい。
【0027】
この例では、巻回部2cの外周面が樹脂などの被覆部材で覆われておらず、リアクトル1を構成したとき、
図1に示すように、巻回部2cの外周面が露出された形態になる。そのため、液体冷媒によりコイル2が強制冷却されるリアクトルの場合、巻回部2cの外周面に液体冷媒を直接接触させることが可能であり、液体冷媒によりコイル2を効率的に冷却することが可能である。
【0028】
(磁性コア)
磁性コア3は、
図1、
図2に示すように、巻回部2cの外側に配置される2つの外側コア部32と、巻回部2cの内側に配置される2つの内側コア部(図示せず)とを有する。内側コア部は、横並びに配置された巻回部2cの内側に位置し、コイル2が配置される部分である。つまり、両内側コア部は、巻回部2cと同様に、横並び(並列)に配置される。内側コア部の形状は、巻回部2cの内周面に対応した形状であり、この例では、内側コア部が四角柱状(具体的には、矩形柱状)に形成されている。外側コア部32は、巻回部2cの外側に位置し、コイル2が実質的に配置されない(即ち、巻回部2cから突出(露出)する)部分である。外側コア部32は、両内側コア部の各端部同士を接続するように設けられる。この例では、外側コア部32は、設置側の面(下面)とその反対側の上面が台形状の柱状体である。
【0029】
この例に示す磁性コア3は、内側コア部を両端から挟むように外側コア部32がそれぞれ配置され、両内側コア部の各端面が外側コア部32の内端面にそれぞれ対向して接続されることによって環状に構成されている。磁性コア3には、コイル2に通電して励磁した際に磁束が流れ、閉磁路が形成される。
【0030】
磁性コア3(内側コア部及び外側コア部32)は、軟磁性材料を含有する材料で形成されている。軟磁性材料としては、例えば、鉄又は鉄合金(Fe−Si合金、Fe−Si−Al合金、Fe−Ni合金等)といった軟磁性金属などが挙げられる。磁性コア3は、軟磁性材料からなる軟磁性粉末や絶縁被覆を有する被覆軟磁性粉末などを圧縮成形した圧粉成形体や、軟磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体などで構成することが挙げられる。複合材料中の樹脂の含有量は、例えば10体積%以上70体積%以下、更に20体積%以上50体積%以下である。磁性コア3の仕様は適宜変更できる。
【0031】
この例では、
図1に示すように、外側コア部32の外形に沿って外側コア部32の外周面を覆う樹脂モールド部9を備える。この樹脂モールド部9は、リアクトル1を設置対象に固定するための取付部92を有する。取付部92は、各外側コア部32の両側面にあたる位置にそれぞれ設けられており、計4つある。取付部92には、金属製のカラー94が埋設されており、カラー94の貫通孔にボルトなどの締結部材(図示せず)を挿通することで、リアクトル1を設置対象に固定することが可能である。
【0032】
樹脂モールド部9は、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6やナイロン66といったポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂などの熱可塑性樹脂で形成されている。その他、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂で形成することも可能である。
【0033】
(端面介在部材)
端面介在部材4は、コイル2(巻回部2c)と外側コア部32との間の電気的絶縁を確保する部材であり、
図2に示すように、外側コア部32と巻回部2cの端面との間に介在され、コイル2(巻回部2c)の両端に個別に配置されている。2つの端面介在部材4のうち、一方の端面介在部材4には、後述するセンサ収納部6(側壁部61)が設けられている。他方の端面介在部材4は、センサ収納部6が設けられていない点を除いて、一方の端面介在部材4と同様の構成である。
【0034】
端面介在部材4は、巻回部2c側に、巻回部2cの端部が収納される溝状のコイル収納部42と、内側コア部の端部が挿入される筒状の内コア挿入部44とを有する。コイル収納部42は、巻回部2cの端面及び巻線の引出端部に沿って形成されている。内コア挿入部44は、内側コア部の外周面に対応した形状、具体的には、内側コア部の端面の輪郭形状に対応した角部が丸められた四角形状(矩形状)に形成されている。また、端面介在部材4は、外側コア部32側に、外側コア部32の内端面側が嵌合される凹状の外コア嵌合部46を有する。外コア嵌合部46は、外側コア部32の内端面の周縁に沿った形状、具体的には、外側コア部32の内端面の輪郭形状に対応した四角形状(矩形状)に形成されている。
【0035】
巻回部2c内に内側コア部が挿入されたコイル2の両端に端面介在部材4を組み付けたとき、コイル収納部42に巻回部2cの端部が収納されると共に、内コア挿入部44に内側コア部の端部が挿入される。これにより、端面介在部材4に対して内側コア部が位置決めされると共に、巻回部2c内に内側コア部が位置決めされる。更に、端面介在部材4に外側コア部32を組み付けたとき、外側コア部32の内端面側が外コア嵌合部46に嵌合され、端面介在部材4に対して外側コア部が位置決めされ、結果的に、端面介在部材4を介して内側コア部と外側コア部32とが位置決めされる。また、コイル2(巻回部2c)と一方の端面介在部材4とが組み付けられることによって、巻回部2cに対してセンサ収納部6(側壁部61)が所定の位置に配置される。センサ収納部6の構成については後述する。
【0036】
端面介在部材4は、電気絶縁性を有する樹脂で形成され、例えば、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、PA樹脂、PBT樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、などの熱硬化性樹脂で形成されている。
【0037】
(温度センサ)
温度センサ5は、
図2〜
図4に示すように、コイル2の巻回部2cの外周面に取り付けられる棒状のセンサ本体部52と、センサ本体部52から引き出される配線54とを有する。センサ本体部52は、センサ素子52aと、センサ素子52aの外周を覆う保護部52bとで構成されている(
図4参照)。配線54は、センサ素子52aから延び、センサ素子52aによって検出した温度情報に基づく電気信号を制御装置などの外部装置(図示せず)に伝達する。この例では、巻回部2cの上面にセンサ本体部52が取り付けられ、センサ本体部52の軸方向が巻回部2cの軸方向に沿うようにセンサ本体部52が配置されている。ここでは、配線54が引き出される方向(
図4の紙面左右方向)をセンサ本体部52の軸方向とする。センサ本体部52の取付位置は、適宜変更することが可能であり、巻回部2cの外周面の上面以外にも、側面にセンサ本体部52を取り付けることも可能である。
【0038】
図4に示すセンサ素子52aは、コイル2(巻回部2c)の温度を検出可能な素子であり、例えば、サーミスタ、熱電対、焦電素子などの感熱素子が挙げられる。この例では、センサ素子52aがサーミスタである。
【0039】
図4に示す保護部52bは、センサ素子52aを覆い、センサ本体部52の外形を構成する。保護部52bは、例えば、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、PA樹脂、PBT樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、などの熱硬化性樹脂で形成されている。これらの樹脂は、電気絶縁性を有するため、保護部52bによりコイル2(巻回部2c)とセンサ素子52aとの間の電気的絶縁を確保できる。保護部52bの形成は、例えば、金型内にセンサ素子52aをセットし樹脂を流し込むことで、センサ素子52aの外周に樹脂を一体成形するインサート成形が利用できる。これにより、センサ素子52aと保護部52bとを一体化し、保護部52bにセンサ素子52aを埋め込むことができる。
【0040】
〈センサ本体部〉
センサ本体部52(保護部52b)は、
図2、
図5に示すように、センサ素子52a(
図4参照)により温度を検出する検出面521と、検出面521とは反対側に位置する裏面522と、検出面521に交差し、軸方向に沿う左右の側面523と、検出面521に交差し、配線54が引き出される配線引出面525と、配線引出面525とは反対側に位置する端面526とを有する。この例では、検出面521が巻回部2cの上面に面するように検出面521を下側に向け、検出面521が巻回部2cの上面に向いた状態でセンサ本体部52が配置される(
図6も参照)。ここでは、センサ本体部52において、検出面521に直交する方向を縦方向、縦方向及び軸方向のいずれにも直交する方向(即ち、一方の側面523から他方の側面523に向かう方向)を横方向とする。
【0041】
本実施形態では、
図5に示すように、センサ本体部52(保護部52b)が検出面521とは反対側の裏面522から突出する突起部52bpを有する。この例では、突起部52bpが保護部52bに一体成形されている。ここで、センサ本体部52において、突起部52bpを除く部分を基部520とするとき、この例では、基部520の形状が四角棒状(具体的には、矩形棒状)であり、軸方向から見た基部520の輪郭形状が角部が丸められた矩形状である(
図6参照)。そのため、基部520における上記各面(検出面521、裏面522、両側面523、配線引出面525及び端面526)が実質的に平面で形成されている。よって、センサ本体部52における巻回部2cに面する検出面521が平面であり、検出面521を巻回部2cの外周面に密着させ易い(
図4、
図6参照)。また、この例では、センサ本体部52の両側面523が検出面521に直交する平面であるが、側面523は、曲面であってもよいし、検出面521に対して傾斜する傾斜面であってもよい。センサ本体部52は、検出面521が平面を含むように形成されていることが好ましく、基部520の輪郭形状(軸方向に直交する断面形状)としては、矩形状の他、例えば、台形状、長円状(レーストラック状)、六角形や八角形といった多角形状などであってもよい。
【0042】
〈突起部〉
突起部52bpは、センサ本体部52の裏面522に突出して設けられ、この例では、裏面522から上方向に向かって突出する(
図2、
図4参照)。この例に示す突起部52bpの位置は、センサ本体部52の軸方向の一端側(配線引出面525側)であり、センサ本体部52を側面523側から見たときのセンサ本体部52の形状がL字状である(
図5の下図参照)。この例では、突起部52bpの配線引出面525側の面は、配線引出面525の上方に連続して形成され、面一になっている。また、突起部52bpの側面523側の面は、側面523の上方に連続して形成され、面一になっている。突起部52bpの形成位置は、適宜変更することが可能であり、センサ本体部52の軸方向の他端側(端面526側)であってもよく、軸方向の中間位置であってもよい。また、突起部52bpの数は、1つに限定されず、センサ本体部52の軸方向に複数の突起部52bpを設けることも可能である。
【0043】
本実施形態では、
図6に示すように、センサ本体部52を軸方向(
図6では、配線引出面525側)からその輪郭形状を見たとき、センサ本体部52の突起部52bpを有する部分における縦方向の高さ(H)が横方向の幅(W)よりも長い(W<H)。つまり、センサ本体部52の突起部52bpを有する部分では、縦長になっている。この例では、突起部52bpがない部分(即ち、基部520の部分)では、縦方向の高さが横方向の幅よりも短く、横長になっている。
【0044】
(センサ収納部)
センサ収納部6は、
図1〜
図4に示すように、温度センサ5のセンサ本体部52を収納する部分であり、センサ本体部52を取り付ける位置(この例では、巻回部2cの上面)に設けられる。センサ収納部6は、
図2、
図3に示すように、互いに間隔をあけて設けられた一対の側壁部61を有し、両側壁部61は、センサ本体部52の両側面523に対向するように配置される(
図6参照)。
【0045】
この例では、センサ収納部6の側壁部61が端面介在部材4と一体成形されており、端面介在部材4と同じ樹脂で形成されている。側壁部61は、端面介在部材4の上面から巻回部2c側に向かって張り出して設けられ、巻回部2cの上面に配置される。側壁部61は、センサ本体部52の側面523に沿って形成され、側面523全体を覆うことができる大きさを有する。また、この例では、側壁部61の外側コア部32側に、側壁部61間を塞ぐ端壁部62が一体に形成されており、この端壁部62は、センサ本体部52の端面526に対向するように配置される。これにより、センサ本体部52の両側面523側だけでなく、端面526側も覆うことができる。
【0046】
一方、端壁部62が形成された側と反対側となる側壁部61の一端側は、配線54が引き出される配線引出側であり、側壁部61間が開口しており、センサ本体部52の配線引出面525が配置される。コイル2と端面介在部材4とを組み付けたとき、これら側壁部61及び端壁部62と巻回部2cの外周面(ここでは上面)とでセンサ本体部52が配置される収納空間が形成されることになる。センサ本体部52は、検出面521が巻回部2cの上面に向いた状態で側壁部61間に挿入して配置される。側壁部61間にセンサ本体部52を配置したとき、配線54は、側壁部61の一端側(配線引出側)から巻回部2cの軸方向内方に向かって引き出されることになる(
図1参照)。この例では、側壁部61が端面介在部材4に一体に設けられているが、側壁部61は、端面介在部材4とは別体として取り付けられていてもよい。
【0047】
図6に示すように、側壁部61間の間隔(D)はセンサ本体部52の横方向の幅(W)よりも長く、側壁部61間にセンサ本体部52を配置したとき、側壁部61と側面523との間には所定のクリアランスが形成される。この例では、側壁部61間の間隔(D)が基部520の輪郭形状の対角長さ(L)よりも長くなるように設定されている。これにより、側壁部61とセンサ本体部52の側面523との間に十分なクリアランスが確保され、センサ本体部52を側壁部61間に挿入し易い。
【0048】
更に、本実施形態では、センサ本体部52の突起部52bpを有する部分における縦方向の高さ(H)が側壁部61間の間隔(D)よりも長い(D<H)。つまり、縦方向の高さ(H)が、横方向の幅(W)よりも長く、且つ、側壁部61間の間隔(D)よりも長くなっている(W<D<H)。そのため、例えば、センサ本体部52を側壁部61の上方から挿入して側壁部61間に配置する際、検出面521が巻回部2cに面するようにするには、検出面521が巻回部2cに向いた状態でないと、センサ本体部52を側壁部61間に配置することができなくなっている。
図6において、検出面521を横方向に向けた状態のセンサ本体部52を二点鎖線で示しており、この状態では、センサ本体部52を側壁部61間に挿入できないようになっている。また、縦方向の高さ(H)が側壁部61間の間隔(D)よりも長いため、センサ本体部52が側壁部61間に配置された状態で配線54の捻れなどによってセンサ本体部52が回転しようとしても、突起部52bpが側壁部61に当たることになるため、センサ本体部52の回転が阻止される。この例では、
図4に示すように、突起部52bpの検出面521とは反対側(裏面522側)の頂面が後述する蓋部64の内面に接するように、突起部52bpの高さが設定されている。
【0049】
この例に示すセンサ収納部6は、
図2〜
図4に示すように、センサ本体部52の裏面522側を覆う蓋部64を有する。蓋部64は、側壁部61とは別個に設けられており、例えば、側壁部61(端面介在部材4)と同じ樹脂で形成されている。蓋部64は、センサ本体部52の突起部52bpを含む裏面522全体を覆うことができる大きさを有する。センサ収納部6が蓋部64を有することで、裏面522側も覆うことができ、センサ本体部52を保護できる。例えば、巻回部2cに液体冷媒を直接接触させてコイル2を強制冷却する場合、センサ収納部6によりセンサ本体部52が覆われることによって、液体冷媒がセンサ本体部52にかかることを抑制できる。そのため、液体冷媒による影響をできるだけ受けないようにして、コイル2(巻回部2c)の温度を適切に精度よく測定できる。
【0050】
この例では、側壁部61と蓋部64とがスナップフィット構造により結合されることで、側壁部61に対して蓋部64が取り付けられている(
図4参照)。蓋部64は、側壁部61及び端壁部62と巻回部2cの上面とで形成される収納空間にセンサ本体部52を配置した後、側壁部61の上側に取り付けられ、センサ本体部52の裏面522に対向するように配置される。
【0051】
図4に例示するスナップフィット構造は、端壁部62の内面に形成された係合溝62sと、この係合溝62sに係合する蓋部64に形成された係合爪64sとを備える。端壁部62の内面には、蓋部64が取り付けられる上側から係合溝62sに至るガイド溝62gが形成されている。ガイド溝62gは、係合爪64sを係合溝62sに案内する溝であり、係合溝62sよりも深さが浅い。蓋部64の端壁部62側には、巻回部2c側(下側)に向かって延びる延出部64eが設けられ、延出部64eの先端部に端壁部62側に突出する係合爪64sが形成されている。係合爪64sは、延出部64eの先端部から突出方向に向かって細くなるテーパ形状を有している。
【0052】
更に、この例では、
図3に示すように、側壁部61の端壁部62が形成された側とは反対側(配線引出側)の端部に、蓋部64側(上側)に突出する突出部61pが設けられている。突出部61pは、蓋部64の厚みと同等程度の突出量を有する。側壁部61を側面側(横方向)から見たとき、突出部61pは、上方が長辺、下方が短辺、端壁部62側が斜辺となる直角台形状に形成されている。また、蓋部64には、突出部61pに対応する箇所に、突出部61pに嵌め込まれる切欠き部64cが形成されている(
図2も参照)。突出部61pの上記斜辺に対向する切欠き部64cの面は斜面になっている。側壁部61に蓋部64を取り付けたとき、側壁部61の突出部61pに蓋部64の切欠き部64cが係合し、突出部61pの斜辺に切欠き部64cの斜面が接することで、蓋部64の配線引出側が上方に外れることなく固定される。
【0053】
また、この例では、
図4に示すように、センサ本体部52と蓋部64との間に後述する弾性部材7(コイルばね72)を備えており、蓋部64の内面には、センサ本体部52の裏面522側に向かって突出して弾性部材7を支持する柱状の支持部64fを有する。この支持部64fに、例えばコイルばね72が軸支されることで、コイルばね72の位置ずれを抑制できる。
【0054】
(弾性部材)
弾性部材7は、
図4に示すように、センサ本体部52と蓋部64との間に圧縮状態で介在され、センサ本体部52を巻回部2c側に付勢して押圧する。これにより、センサ本体部52の検出面521を巻回部2cの外周面に密着させ易く、測定精度を高めることができる。この例では、弾性部材7として、コイルばね72が用いられているが、その他にも、板ばねやゴムなどの弾性体であってもよい。また、この例では、センサ本体部52の軸方向に2つのコイルばね72を並べて配置している。このように複数のコイルばね72を用いることで、センサ本体部52の軸方向の全長に亘って均一的に押圧力を作用させ易い。コイルばね72は1つでもよく、その場合、センサ本体部52の軸方向の中間位置に配置することが好ましい。
【0055】
本実施形態では、上述したように、センサ本体部52(基部520)の裏面522が平面で形成されており(
図5参照)、センサ本体部52の裏面522のうち、突起部52bpを除く領域に平坦面を有する。そして、
図4に示すように、弾性部材7(コイルばね72)は、センサ本体部52の裏面522に形成された平坦面と蓋部64との間に介在されるように配置されている。センサ本体部52の裏面522のうち、平坦面に弾性部材7が配置されることで、センサ本体部52を巻回部2c側へ安定して押圧できる。
【0056】
(放熱部材)
更に、
図4に示すように、センサ本体部52の検出面521と巻回部2cとの間に放熱部材8を備えていてもよい。放熱部材8としては、例えば放熱シートや放熱グリスなどが挙げられる。この放熱部材8により検出面521と巻回部2cとの間に形成される隙間を埋めることができ、放熱部材8を介してセンサ本体部52の検出面521と巻回部2cの外周面とを密着させ易く、測定精度を高めることができる。放熱部材8は、市販のものを適宜用いることができ、放熱シートとしては、例えばシリコーンゲルシートなどが挙げられ、放熱グリスとしては、例えばシリコーングリスなどが挙げられる。放熱部材8の検出面521側の面や巻回部2c側の面に粘着層を有する場合、放熱部材8を検出面521や巻回部2cの外周面に密着状態で強固に固定できる。
【0057】
<リアクトルの製造方法>
実施形態1のリアクトル1の製造方法の一例を説明する。リアクトル1は、例えば、コイル2と磁性コア3と端面介在部材4との組合体を組み立てる組合体組立工程→コイル2に温度センサ5を取り付けるセンサ取付工程、という手順によって製造することができる。
【0058】
(組合体組立工程)
組合体組立工程では、コイル2と磁性コア3と端面介在部材4とを組み付ける(主に
図2参照)。
巻回部2c内に内側コア部を挿入したコイル2の両端に端面介在部材4を配置して組み付けた後、内側コア部を両端から挟むように外側コア部32を配置して端面介在部材4に組み付ける。このとき、端面介在部材4におけるコイル収納部42に巻回部2cの端部を収納すると共に内コア挿入部44に内側コア部の端部を挿入し、外コア嵌合部46に外側コア部32の端部を嵌合する。これにより、内側コア部と外側コア部32とで環状の磁性コア3が構成され、コイル2と磁性コア3と端面介在部材4との組合体が作製される。このとき、端面介在部材4に一体に設けられたセンサ収納部6の側壁部61が巻回部2cの上面に配置され、側壁部61及び端壁部62と巻回部2cの上面とでセンサ本体部52の収納空間が形成される。
【0059】
(センサ取付工程)
センサ取付工程では、センサ収納部6の側壁部61間に温度センサ5のセンサ本体部52を配置して、コイル2の巻回部2cにセンサ本体部52を取り付ける(主に
図4参照)。
センサ本体部52の検出面521が巻回部2cの上面に面するように検出面521を下側にして、センサ本体部52を側壁部61間に上方から挿入して配置することにより、巻回部2cの上面にセンサ本体部52を取り付ける。このとき、センサ本体部52を配置する前に巻回部2cの上面に放熱部材8を配置しておくなどして、検出面521と巻回部2cとの間に放熱部材8を介在させる。
【0060】
センサ本体部52を側壁部61間に配置した後、側壁部61の上側に蓋部64を取り付ける。このとき、蓋部64の内面に設けられた支持部64fに弾性部材7(コイルばね72)を軸支させておき、センサ本体部52の裏面522と蓋部64との間に弾性部材7を介在させる。蓋部64は、側壁部61に対してスナップフィット構造により取り付ける。具体的には、側壁部61の突出部61pに蓋部64の切欠き部64cを係合させた後、その状態で蓋部64の係合爪64sが係合溝62sに係合されるまで蓋部64を上方から押し込む。これにより、センサ本体部52の外周面のうち、両側面523、端面526及び裏面522が覆われる。また、センサ本体部52と蓋部64との間に介在させた弾性部材7により、センサ本体部52が巻回部2c側に押圧される。
【0061】
{作用効果}
実施形態1のリアクトル1は、次の作用効果を奏する。
【0062】
温度センサ5のセンサ本体部52が、検出面521とは反対側の裏面522に突起部52bpを有しており、センサ本体部52の突起部52bpを有する部分における縦方向の高さ(H)が、横方向の幅(W)よりも長く、且つ、側壁部61間の間隔(D)よりも長い。センサ本体部52が突起部52bpを有することで、検出面521側を容易に識別できるため、センサ本体部52を側壁部61間に配置して巻回部2cの外周面に取り付ける際に取付方向の間違いを防止できる。また、センサ本体部52の突起部52bpを有する部分における縦方向の高さ(H)が側壁部61間の間隔(D)よりも長くなっているので、センサ本体部52を側壁部61間に配置する際に検出面521が巻回部2cに向いた状態でないと、センサ本体部52を側壁部61間に配置することができない。更に、縦方向の高さ(H)が側壁部61間の間隔(D)よりも長いことから、センサ本体部52が側壁部61間に配置された状態で配線54の捻れなどによってセンサ本体部52が回転しようとしても、突起部52bpが側壁部61に当たることで、センサ本体部52の回転が阻止される。したがって、リアクトル1は、コイル2の巻回部2cに対する温度センサ5(センサ本体部52)の取付方向の間違いを防止でき、温度センサ5の取付作業性に優れる。また、巻回部2cの外周面にセンサ本体部52の検出面521が面するように取り付けられるため、コイル2(巻回部2c)の温度を精度よく測定できる。
【0063】
センサ収納部6の側壁部61が端面介在部材4に一体に設けられていることで、リアクトル1の組み立て時にコイル2と磁性コア3と端面介在部材4とが組み付けられることによって、巻回部2cに対して所定の位置に側壁部61が配置されることになる。そのため、センサ本体部52を巻回部2cの外周面の所定の位置に取り付けることができる。また、側壁部61が端面介在部材4に一体に設けられていることで、部品点数を削減でき、作業性の向上を図ることができる。
【0064】
〈用途〉
実施形態1のリアクトル1は、例えば、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC−DCコンバータ)や、空調機のコンバータなど種々のコンバータ、並びに電力変換装置の構成部品に好適に利用可能である。
【0065】
[実施形態2]
実施形態2では、
図7を参照して、センサ収納部6が抜け止め部64pを有する構成のリアクトルを説明する。実施形態2のリアクトルの基本的な構成は、
図1〜
図6を参照して説明した実施形態1と同様であり、実施形態2では、センサ収納部6の蓋部64に抜け止め部64pが設けられている点が実施形態1と主に異なる。したがって、ここでは、実施形態2のセンサ収納部6(蓋部64)の構成を中心に説明し、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
実施形態2における蓋部64は、配線引出側(端壁部62側とは反対側)に、センサ本体部52の突起部52bpにおける配線引出面525側の面を覆うように、巻回部2c側(下側)に向かって延びる抜け止め部64pを有する。これにより、配線54が引っ張られてセンサ本体部52が配線54の引き出し方向に移動するようなことがあっても、抜け止め部64pに突起部52bpが当て止めされ、センサ本体部52が側壁部61の配線引出側から抜け出ることを防止できる。
【0067】
[実施形態3]
実施形態3では、
図8を参照して、センサ本体部52が検出面521側に脚部52bqを有する構成のリアクトルを説明する。実施形態3のリアクトルの基本的な構成は、
図1〜
図6を参照して説明した実施形態1と同様であり、実施形態3では、センサ本体部52(保護部52b)に検出面521から突出する脚部52bqが形成されている点が実施形態1と主に異なる。したがって、ここでは、実施形態3のセンサ本体部52の構成を中心に説明し、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
実施形態3におけるセンサ本体部52(保護部52b)は、センサ本体部52の軸方向の一端側(配線引出面525側)と他端側(端面526側)に、検出面521から突出する脚部52bqを有する。この脚部52bqにより、センサ本体部52(検出面521)と巻回部2cとの間に空間が形成される。この空間には、放熱部材8を配置してもよいし、放熱部材8を介在させずに空間(図示せず)としておくこともできる。液体冷媒によりコイル2が強制冷却されるリアクトルの場合、この空間に液体冷媒を充填することが挙げられる。この場合、検出面521と巻回部2cとの間に液体冷媒が浸入かつ充填可能な大きさの空間が形成されるように、脚部52bqの突出量を設定する。センサ本体部52の検出面521と巻回部2cとの間に空間が形成されていることで、リアクトルの動作時に液体冷媒が浸入する。空間に浸入した液体冷媒は、その空間に充填された状態が維持され、時間が経つと吸熱効果を有しなくなる。そのため、空間に充填された液体冷媒によって、センサ本体部52と巻回部2cとの間に形成される隙間を埋めることができ、この液体冷媒が伝熱部材として機能するため、コイル2(巻回部2c)の温度を精度よく測定できる。検出面521のうち、脚部52bqを除く領域は平面としておくとよい。
【0069】
[実施形態4]
実施形態4では、
図9を参照して、センサ収納部6の側壁部61と蓋部64とを結合するスナップフィット構造の別の構成例を説明する。実施形態4のリアクトルの基本的な構成は、実施形態1と同様であり、実施形態4では、スナップフィット構造がセンサ収納部6の外側に設けられている点が実施形態1と主に異なる。したがって、ここでは、実施形態4のスナップフィット構造の構成を中心に説明し、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
実施形態4におけるスナップフィット構造は、側壁部61の外面に形成された係合突起61iと、この係合突起61iに係合する蓋部64に形成された係合孔64hとを備える。係合突起61iは、側壁部61の外面から突出し、巻回部2c側(下側)から蓋部64側(上側)に向かって突出量が小さくなる突起状に形成されている。係合孔64hは、蓋部64から巻回部2c側に延出するU字状体によって構成されている。側壁部61に対する蓋部64の取り付けは、蓋部64の係合孔64hが側壁部61の係合突起61iに係合されるまで、蓋部64を上方から押し込むことで行う。この例では、両側壁部61の各外面と蓋部64の両側にそれぞれ、係合突起61iと係合孔64hの組を1組ずつ設けているが、複数組設けることも可能である。また、
図9に例示するスナップフィット構造では、実施形態1で説明した側壁部61の突出部61p及び蓋部64の切欠き部64c(
図2、
図3参照)が形成されていない。