特許第6779501号(P6779501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 藤村ヒューム管株式会社の特許一覧 ▶ 中日本建設コンサルタント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6779501-伸縮機能付き可撓継手 図000002
  • 特許6779501-伸縮機能付き可撓継手 図000003
  • 特許6779501-伸縮機能付き可撓継手 図000004
  • 特許6779501-伸縮機能付き可撓継手 図000005
  • 特許6779501-伸縮機能付き可撓継手 図000006
  • 特許6779501-伸縮機能付き可撓継手 図000007
  • 特許6779501-伸縮機能付き可撓継手 図000008
  • 特許6779501-伸縮機能付き可撓継手 図000009
  • 特許6779501-伸縮機能付き可撓継手 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779501
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】伸縮機能付き可撓継手
(51)【国際特許分類】
   E03F 3/04 20060101AFI20201026BHJP
【FI】
   E03F3/04 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-78100(P2017-78100)
(22)【出願日】2017年4月11日
(65)【公開番号】特開2018-178491(P2018-178491A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年10月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年度(第26回)建設コンサルタント業務技術発表会 発表概要集 主催:(一社)建設コンサルタンツ協会中部支部 平成28年10月12日発行
(73)【特許権者】
【識別番号】000224215
【氏名又は名称】藤村クレスト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592100131
【氏名又は名称】中日本建設コンサルタント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】吉本 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】栗本 和明
(72)【発明者】
【氏名】戸頃 幸広
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−096980(JP,A)
【文献】 実開平06−027982(JP,U)
【文献】 特開平10−196863(JP,A)
【文献】 特開2010−261485(JP,A)
【文献】 実開昭61−032886(JP,U)
【文献】 特開平08−109672(JP,A)
【文献】 実開昭52−099526(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結された管渠(1)間の継手部(2)に配置される伸縮機能付き可撓継手であって、
外管(11)と該外管(11)内に挿入された内管(12)とが互いに管軸方向に相対的に移動可能に設けられた二重管(10)と、前記内管(12)に連結部(P)を介して連結された後続管(20)とを有し、連結された一方の管渠(1A)内に前記外管(11)が固定され、他方の管渠(1B)内に前記後続管(20)が固定されていることを特徴とする伸縮機能付き可撓継手。
【請求項2】
連結部(P)は、内管(12)側に設けられたカラー部(13)の内側に、後続管(20)の差込み口(21)が挿入される構成である請求項1記載の伸縮機能付き可撓継手。
【請求項3】
内管(12)と後続管(20)とが、両者の間に架設された緊結プレート(30)を介して連結されている請求項1又は2記載の伸縮機能付き可撓継手。
【請求項4】
一方の管渠(1A)の内壁と外管(11)との間及び他方の管渠(1B)の内壁と後続管(20)との間に、充填材(70)が充填されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の管渠の伸縮機能付き可撓継手。
【請求項5】
管渠(1)が、円筒形状、箱型形状又は馬蹄形状である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の伸縮機能付き可撓継手。
【請求項6】
二重管及(10)及び後続管(20)が、円筒形状、箱型形状又は馬蹄形状である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の伸縮機能付き可撓継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐震性に優れた管渠(函渠)を構築するための伸縮機能付き可撓継手に関する。
【背景技術】
【0002】
管渠(函渠)は、地盤の沈下・変形、さらには地震に伴う動的変位・液状化または過剰間隙水圧の上昇によって大きな地盤変位の影響を受ける。このため、例えば特許文献1や特許文献2に示すような継手構造によってその変形を吸収する方法が取られている。
【0003】
特許文献1に示す発明は、ボックスカルバート2どうしを4本のPC鋼棒6によって連結すると共に、各ボックスカルバート2間の継手部(連結部3)に設けられているアーチ部7aと直線部7bを備えた止水部7が継手部(連結部3)を塞いで止水しており、継手部に変位が起こると、止水部7の直線部7bが切れてアーチ部7aが変形することにより、ボックスカルバート2の設置位置の変位に追従すると共に、アーチ部7aでの継手部(連結部3)の止水性を維持するというものである。
【0004】
また特許文献2に示す発明は、連設された2個の函渠12の壁部間に緊張材2,2をX字状に張設させる構成である。緊張材2,2が函軸方向バネ及び剪断バネとして働くことになり、函渠12は、軟弱地盤での大きな圧密沈下や側方変位、あるいは地震時の液状化に伴う大きな地盤変位に耐えるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−60099号公報
【特許文献2】特開2001−303653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載のものではアーチ部7aが変形可能な範囲は、精々20〜30cm程度であり、それ以上の大きな地盤変位に追従して変位することは不可能である。特に、複数のPC鋼棒6は径寸法が比較的小さなシース管9内に配置されており、管軸に対して直交する方向へ変形が生じた場合には、PC鋼棒6がシース管9に当接してその変位が制限されることから、地盤変位に追従して変位するということは不可能となるので管渠(函渠)の機能を維持することは極めて難しいという問題がある。
【0007】
また上記特許文献2に記載のものではX字状に張設された緊張材2,2により、地盤変位に起因する各管渠(函渠)どうし継手部の位置ずれを強制的に抑え込むだけの構成であり、想定以上の大きな地盤変位が起きて継手部に目開きが発生した場合には、管渠(函渠)から外部への漏水と共に土砂の流入により管渠(函渠)が閉塞されてしまうことへの対応には不十分であるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、管渠(函渠)間を連結する継手部に目開きが起きても、従来以上に大きな変位量を有して追従することにより、管渠(函渠)としての機能を維持することを可能とした伸縮機能付き可撓継手を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
連結された管渠間の継手部に配置される伸縮機能付き可撓継手であって、
外管と外管内に挿入された内管とが互いに管軸方向に相対的に移動可能に設けられた二重管と、内管に連結部を介して連結された後続管とを有し、連結された一方の管渠内に外管が固定され、他方の管渠内に後続管が固定されていることを特徴とする、と云うものである。
【0010】
本発明の主たる手段では、地震等により管渠間の継手部に目開きが起きても、その目開きに追従して内管と後続管の連結部が管軸に対して水平方向及び垂直方向の変位に対応し、二重管が管軸方向の変位に対応し得る。
【0011】
また本発明の他の手段は、主たる手段に、連結部は、内管側に設けられたカラー部の内側に、後続管の差込み口が挿入される構成である、との手段を加えたものである。
【0012】
上記手段では、ヒンジ機能による屈曲が可能となることから、管軸に対して水平方向及び垂直方向に作用する変位を吸収し得る。
【0013】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、内管と後続管とが、両者の間に架設された緊結プレートを介して連結されている、との手段を加えたものである。
【0014】
上記手段では、内管から後続管が脱落することを防止し得ると共に、二重管の内管が緊結プレートを介して後続管に追従して抜け出すことを達成し得る。
【0015】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、一方の管渠の内壁と外管との間及び他方の管渠の内壁と後続管との間に、充填材が充填されている、との手段を加えたものである。
【0016】
上記手段では、外管及び後続管を管渠(函渠)内に固定することができると共に、既設の管渠(函渠)を補強することができる。
【0017】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、管渠が、円筒形状、箱型形状又は馬蹄形状である、との手段を加えたものである。
【0018】
上記手段では、様々な管渠(函渠)に対して耐震性に優れた伸縮機能付き可撓継手とし得る。
【0019】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、二重管及び後続管が、円筒形状、箱型形状又は馬蹄形状である、との手段を加えたものである。
【0020】
上記手段では、様々な形状からなる二重管及び後続管を使用して耐震性に優れた伸縮機能付き可撓継手を構築し得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の伸縮機能付き可撓継手では、管渠(函渠)の継手部の目開きに合わせて、管渠(函渠)の内側にて連結された二重管を構成する内管と後続管との連結部が水平方向及び鉛直方向の変位に追従して屈曲することができる。
また二重管を構成する内管と後続管とは緊結プレートを介して連結されているため、地震等の地盤変位の際には内管が後続管に追従して外管内を移動してその外部に抜け出ることができる。加えて、地震等によって後続管が内管から脱落することを効果的に防止することができ、結果として土砂流入による管渠(函渠)の閉塞を防止し、例えば上下水道の流下機能、あるいは地下通路や共同溝などの空間利用としての機能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明を構成する二重管の一方である外管を示し、Aは縦断面図、BはAのa−a線における断面図である。
図2】本発明を構成する二重管の他方である内管を示し、Aは縦断面図、BはAのb−b線における断面図である。
図3】本発明を構成する後続管を示し、Aは半断面図、BはAのc−c線における断面図である。
図4】本発明の伸縮機能付き可撓継手を構成として、二重管に後続管を連結させた状態を示す断面図である。
図5】本発明の伸縮機能付き可撓継手を構成として、二重管及び後続管を管渠(函渠)内に施工した状態を示す概略断面図である。
図6図5のd−d線における断面図である。
図7】地震等による地盤変位後の管渠(函渠)内の二重管及び後続管の状態を示す断面図である。
図8】管渠(函渠)内に架台を設置した状態を示す概略の正面図である。
図9図8のe−e線における概略の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明を構成する二重管の一方である外管を示し、Aは縦断面図、BはAのa−a線における断面図、図2は本発明を構成する二重管の他方である内管を示し、Aは縦断面図、BはAのb−b線における断面図、図3は本発明を構成する後続管を示し、Aは半断面図、BはAのc−c線における断面図、図4は本発明の伸縮機能付き可撓継手を構成として、二重管に後続管を連結させた状態を示す断面図である。
【0024】
本発明の伸縮機能付き可撓継手は、二重管10、後続管20及びこれらを連結する連結部Pを有して構成され、さらには後述する緊結プレート30を有して構成される。
【0025】
二重管10は、図1に示すような外管11と、図2に示すような内管12とにより構成され、外管11の内側に内管12が挿入された二重構造の管である(図4参照)。
【0026】
外管11は例えば円筒状の鋼管などから構成され、内管12は外側を鋼管で覆ったプレキャスト製鉄筋コンクリート管などで構成される。内管12の複数の位置にはゴム輪14が周設されており、一端(図2Aでは右端)には内管12本体と一体に又は別部材から成る円筒状のカラー部13が設けられている。
後続管20は、例えば図3に示すようなプレキャスト製の推進工法用の鉄筋コンクリート管などで構成され、図3Aに示すように、後続管20の左端には細口段差状に形成された差込み口21の周囲にゴム輪22が周設される構成である。
【0027】
尚、外管11と内管12から構成される二重管10及び後続管20は上記のような円筒形状に限られるものではなく、その他例えば箱型形状、馬蹄形状で構成することも可能である。
また外管11は鋼管に限定されるものではなく、内管12及び後続管20もプレキャスト製鉄筋コンクリート管に限定されるものではない。外管11、内管12及び後続管20は、その他例えば塩ビ管、レジン管、FRPM管、鋼管など様々な材質からなる管を使用できる場合がある。
【0028】
図4に示すように、二重管10を構成する外管11と内管12とは、相対的に管軸Oに沿って縦方向(管軸方向ともいう)に移動可能に構成されており、内管12の端部に後続管20が連結されることにより、伸縮機能付き可撓継手が構成されている。
より詳しくは、内管12は、内管12の外周面に周設された複数のゴム輪14を介して外管11の内周面に接しており、このゴム輪14が外管11の内周面上を管軸方向に滑動することで移動することが可能となっている。また内管12と後続管20とは、内管12の端部に設けられたカラー部13と後続管20の差込み口21とで構成される連結部Pにおいて嵌合的に連結されている。すなわち、連結部Pは、内管12側のカラー部13の内側に後続管20側の差込み口21の外周面に周設されたゴム輪22が嵌合的に挿入される構成である。このような連結部Pは、内管12と後続管20とを連結する機能と共に、管軸Oに対して直交する方向(水平方向及び垂直方向、以下同様)に対する屈曲性(可撓性ともいう。)を備えたヒンジ機能を有する。
【0029】
次に、上記伸縮機能付き可撓継手を有する管渠(函渠)を施工する一実施例について説明する。
図5は発明の伸縮機能付き可撓継手を構成として、二重管及び後続管を管渠(函渠)内に施工した状態を示す概略断面図、図6図5のd−d線における断面図、図7は地震等による地盤変位後の管渠(函渠)内の二重管及び後続管の状態を示す断面図である。尚、図7では地盤変位後の二重管10の管軸をO10で示し、後続管20の管軸をO20で示している。
【0030】
以下の説明では管渠の一例としてボックスカルバート(函渠)の場合を示して説明するが、円筒形状、馬蹄形状などその他の形状から成る渠に用いる場合も同様である。このように本発明における管渠は、ボックスカルバート(函渠)を始め、その他の円筒形状、馬蹄形状などの形状から成る渠を含むものである。
図5及び図6に示す管渠1(1A及び1B)は、例えば中央に矩形状の空間部を備えたコンクリート製のボックスカルバート(函渠)であり、このような管渠1は、例えばコンクリート打設時に止水板を埋め込んで施工される公知の継手部2を介して縦方向(管軸方向)に複数連設されることにより上下水道、共同溝等の管路施設が構築されている。
尚、このような管渠1は工事現場で型枠を作った後に、その型枠の中にコンクリートを流し込んで作ったものでも良いし、予め工場にて生産したプレキャストコンクリート製の管渠1を工事現場に運び込んでつなぎ合わせるものであってもよい。
【0031】
二重管10及び後続管20は連結された状態で、管渠1間を連結する継手部2を前後に跨ぐように設置されており、外管11は一方の管渠1Aに対してアンカー41によって固定され、後続管20は他方の管渠1Bに対してアンカー41によって固定されている。
【0032】
ここで、内管12と後続管20とを連結する連結部Pは、管軸に対して直交する方向に屈曲性を備えたヒンジ機能を有する構造ではあるが、この構造のみの場合には地震等によって、継手部2にて連結されている管渠1Aと管渠1Bとの間に目開きが発生すると、これに追従して内管12側のカラー部13に嵌合していた後続管20の差込み口21が抜け落ちて脱落する可能性がある。
そこで、本発明では、連結部Pを跨いで前後する内管12の内周壁と後続管20の内周壁とを、管軸対称となる左右2箇所の位置において、ステンレス等の腐食に強い金属製のプレート板からなる緊結プレート30を介して連結することにより、ヒンジ機能を付与すると共に連結部Pにおける脱落を効果的に防止している。
【0033】
具体的には、すなわち、内管12及び後続管20の各内周壁に設置された各ボルト42(図2及び図3参照)に、緊結プレート30の両端に設けられた長穴31を夫々挿通させると共に、各ボルト42の先端に取り付けたナット43を螺着し、連結部Pを跨いで前後する内管12と後続管20との間に緊結プレート30を架設させた状態で各内周壁に強固に固定している。また緊結プレート30は、その両端に穿設する孔を長穴31としてこの長穴31内をボルト42が移動できるように構成してある。緊結プレート30は連結部Pにおける屈曲性能(ヒンジ機能)をある程度拘束することになるが、この連結部Pには後続管20の差込み口21が内管12のカラー部13から抜け落ちない範囲で自由な挙動を確保する余裕が設けられている。
【0034】
図7に示すように、地震等の地盤変位によって、連結された管渠1に対して管軸Oに対して直交する方向の変位が作用して管渠1間を連結する継手部2(図5参照)に目開きが発生した場合には、二重管10及び後続管20はその動きに追従してヒンジ機能を備えた連結部Pにおいて屈曲する。すなわち、二重管10及び後続管20は、緊結プレート30によって拘束されている連結部Pにおいて、嵌合していた後続管20の差込み口21が内管12のカラー部13から抜け落ちない範囲において自由に屈曲して、その地盤変位を吸収する。また管軸Oに沿って互いに離れる方向の地盤変位が作用して管渠1間を連結する継手部2に目開きが発生した場合には、二重管10及び後続管20はその動きに追従して二重管10を構成する内管12がアンカー41で固定された状態にある外管11内を移動して外管11の外部に突出することで伸長し、その地盤変位を吸収する。
【0035】
このように本発明では、地震等による非常に大きな地盤変位によって管渠1間を連結する継手部2に目開きが発生しても、管渠1の内側に伸縮機能付き可撓継手を設けることにより、目開きに追従してこの伸縮機能付き可撓継手を構成する連結部Pにおいて屈曲が行われ、またはこれに加えて、あるいは単独で二重管10を構成する内管12が突出してそれらの地盤変位を吸収して管渠1としての機能を維持する。よって、管渠1の耐震性を向上させることができ、土砂流入による閉塞を防止することが可能である。
【0036】
次に上記伸縮機能付き可撓継手の施工方法について説明する。
図8は管渠内に架台を設置した状態を示す概略の正面図、図9図8のe−e線における概略の平断面図である。
管渠1の上流側または下流側の開放箇所に後続管20(二重管10も同様)を吊り降ろし、計画される所定の位置まで夫々けん引機50、ワイヤー51、立込み反力52及び反力部材53等を駆使して引き込むことで施工する。後続管20の引き込みに際しては、これらの管を滑動させる架台(ガイドレール)60が使用される。
架台60は、H鋼61や平鋼(FL)62等により構成され、管の吊り降ろしを行う位置から所定の設置位置まで段差が生じないようにした状態で管渠1の中まで連続して配置される。尚、管渠1には、円形、矩形、馬蹄形など各種の内空断面を有するものが存在するが、それぞれの内空断面形状に合わせた架台60が施工されている。
【0037】
まず、二重管10と後続管20を連結された管渠1間の継手部2の近傍の位置まで別々に引き込み、二重管10を構成する内管12と後続管20との連結部Pにおける連結作業を行う。
次に、二重管10を構成する内管12と後続管20の内壁同士を緊結プレート30で連結する。
次に、二重管10を構成する外管11を一方の管渠1Aの内壁にアンカー41で固定し、後続管20を他方の管渠1Bの内壁にアンカー41で固定する。
次に、二重管10を構成する外管11及び後続管20と管渠1の内壁との隙間69にコンクリートなどの充填材70を充填する。これにより、外管11及び後続管20を管渠1内に固定することができると共に、既設の管渠1を補強することができる。
尚、充填材70の充填は、管渠1の区間中に挿入した管(二重管10と後続管20)の周りを含め区間全域に渡るように行ってもよいし、二重管10と後続管20が挿入された部分の周りだけに行ってもよい。また充填材70としては、コンクリートの他にモルタルやエポキシ系樹脂などを使用することができる。
【0038】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記実施例では、内管12と後続管20との間に架設される緊結プレート30を、管軸対称となる左右2箇所の位置に設けた例を示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の位置に設けた構成であっても良い。
【0039】
また上記においては、最も好ましい実施例として、地震等の地盤変位が発生したときに、外管11から内管12が突出する構成と、緊結プレート30に拘束されつつ連結部Pで屈曲する構成の双方を備える場合を示して説明したが、本発明の伸縮機能付き可撓継手はこれに限定されるものではなく、いずれか一方の構成のみを有するものとすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の伸縮機能付き可撓継手は、耐震性が求められる管渠の分野における用途展開をさらに広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 : 管渠
2 : 継手部
10 : 二重管
11 : 外管
12 : 内管
13 : カラー部
14 : ゴム輪
20 : 後続管
21 : 差込み口
22 : ゴム輪
30 : 緊結プレート
31 : 長穴
41 : アンカー
42 : ボルト
43 : ナット
50 : けん引機
51 : ワイヤー
52 : 立込み反力
53 : 反力部材
60 : 架台
61 : H鋼
62 : 平鋼(FL)
69 : 隙間
70 : 充填材
O : 管軸
10 : 変位後の二重管の管軸
20 : 変位後の後続管の管軸
P : 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9