(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779587
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】竪型マッフル式熱処理炉
(51)【国際特許分類】
C21D 9/56 20060101AFI20201026BHJP
F27B 9/28 20060101ALI20201026BHJP
F27B 5/04 20060101ALI20201026BHJP
F27B 5/16 20060101ALI20201026BHJP
F27B 5/18 20060101ALI20201026BHJP
C21D 9/66 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
C21D9/56 101A
F27B9/28
F27B5/04
F27B5/16
F27B5/18
C21D9/66
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-194825(P2017-194825)
(22)【出願日】2017年10月5日
(65)【公開番号】特開2019-65372(P2019-65372A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2019年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】赤阪 素史
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 信幸
【審査官】
馳平 憲一
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭57−152427(JP,A)
【文献】
特開平02−038533(JP,A)
【文献】
特開平10−130741(JP,A)
【文献】
特開平01−215929(JP,A)
【文献】
特開昭56−077338(JP,A)
【文献】
特開平08−053715(JP,A)
【文献】
特開2003−313613(JP,A)
【文献】
特開平06−137766(JP,A)
【文献】
特開平05−295452(JP,A)
【文献】
特開平05−295449(JP,A)
【文献】
実開昭62−154397(JP,U)
【文献】
特開平02−277723(JP,A)
【文献】
特開昭56−139627(JP,A)
【文献】
特開平03−020418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に配置されて内部に処理用雰囲気ガスが収容されたマッフルの内部を金属ストリップが搬送され、前記のマッフルにおける金属ストリップの移動方向上流側にマッフルの外側からマッフルの内部を移動する金属ストリップを加熱する加熱帯と、前記の加熱帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置にマッフルの内部を移動する前記の加熱された金属ストリップを徐冷させる徐冷帯と、前記の徐冷帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置において徐冷された金属ストリップを冷却させる冷却帯と、を設けた竪型マッフル式熱処理炉において、
前記のマッフルと徐冷帯との間の徐冷用空間部に冷却用気体を導入させる導入口を設けると共に、前記の徐冷用空間部において加熱された冷却用気体を排気させる排気口を設け、前記の排気口を通して排気される加熱された冷却用気体の量を調整して、徐冷帯において徐冷させる金属ストリップの温度を制御する温度制御部を設けたことを特徴とする竪型マッフル式熱処理炉。
【請求項2】
請求項1に記載した竪型マッフル式熱処理炉において、マッフルと徐冷帯との間における徐冷用空間部内の温度を検知する温度検知装置を設け、この温度検知装置によって検知された徐冷用空間部内の温度に基づいて、前記の温度制御部を調整することを特徴とする竪型マッフル式熱処理炉。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した竪型マッフル式熱処理炉において、前記のマッフルを、前記の加熱帯内に設けられた加熱側マッフルと前記の徐冷帯内に設けられた徐冷側マッフルとに分離させ、前記の加熱側マッフルと徐冷側マッフルとを密封させた状態で伸縮可能な連結用筒体により連結させたことを特徴とする竪型マッフル式熱処理炉。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載した竪型マッフル式熱処理炉において、前記の冷却帯に対して、前記のマッフルを密封させた状態で伸縮可能に取り付けたことを特徴とする竪型マッフル式熱処理炉。
【請求項5】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載した竪型マッフル式熱処理炉において、前記の徐冷用空間部に冷却用気体を導入させる前記の導入口を徐冷帯の下部側位置に設ける一方、徐冷用空間部において加熱された冷却用気体を排気させる前記の排気口を、前記の導入口よりも徐冷帯の上部側位置に設けたことを特徴とする竪型マッフル式熱処理炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪型マッフル式熱処理炉に関するものである。特に、上下方向に配置されて内部に処理用雰囲気ガスが収容されたマッフルの内部を金属ストリップが搬送され、前記のマッフルにおける金属ストリップの移動方向上流側にマッフルの外側からマッフルの内部を移動する金属ストリップを加熱する加熱帯と、前記の加熱帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置においてマッフルの内部を移動する前記の加熱された金属ストリップを徐冷させる徐冷帯と、前記の徐冷帯よりも金属ストリップの移動方向下流側において徐冷された金属ストリップを冷却させる冷却帯とを備えた竪型マッフル式熱処理炉において、加熱帯においてマッフルの内部を通過して加熱された金属ストリップを、前記の徐冷帯において徐冷させて冷却帯に導くにあたり、加熱帯において加熱された金属ストリップを徐冷帯において適切な温度に簡単に徐冷できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼帯などの金属ストリップを熱処理するにあたり、従来から竪型マッフル式熱処理炉が使用されている。
【0003】
そして、このような竪型マッフル式熱処理炉として、従来においては、特許文献1に示されるように、上下方向に配置されて内部に処理用雰囲気ガスが収容されたマッフルの内部において、金属ストリップを下から上に搬送させて熱処理するにあたり、金属ストリップの移動方向上流側にマッフルの外側からマッフルの内部を移動する金属ストリップを加熱する加熱帯を設け、このように加熱帯において加熱された金属ストリップを、金属ストリップの移動方向下流側に設けた冷却帯において冷却させるようにしたものが用いられていた。
【0004】
しかし、前記のように加熱帯においてマッフルの内部で加熱された金属ストリップを、すぐに冷却帯に導いて冷却させると、金属ストリップの温度が急激に低下して、金属ストリップが変形したりするという問題があった。
【0005】
そして、このように加熱帯において加熱された金属ストリップが、冷却帯において急激に冷却されて変形したりするのを防止するため、特許文献2、3等に示されるように、前記の加熱帯と冷却帯との間に徐冷帯を設け、加熱帯において加熱された金属ストリップを冷却帯に導く前に、この徐冷帯において徐冷させるようにしたものが使用されるようになっている。
【0006】
ここで、特許文献2に示されるものにおいては、前記の徐冷帯を前記の加熱帯と連続するようにして設けており、また特許文献3に示されるものにおいては、前記の徐冷帯を前記の加熱帯と上下方向に伸縮可能な筒状体によって連続するように設けている。
【0007】
このため、特許文献2、3に示されるものにおいては、加熱帯からの熱が下流側おける徐冷帯にそのまま導かれ、加熱帯において加熱された金属ストリップを、この徐冷帯において適切に冷却させることが困難になり、加熱された金属ストリップを徐冷帯において十分に冷却させるためには、徐冷帯の長さを長くしたりすることが必要になって、製造コストが高くつくと共に、装置が大型化するなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公平3−32517号公報
【特許文献2】特開平5−295449号公報
【特許文献3】特開平5−295452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上下方向に配置されて内部に処理用雰囲気ガスが収容されたマッフルの内部を、金属ストリップを搬送させるようにし、前記のマッフルにおける金属ストリップの移動方向上流側に加熱帯を設け、この加熱帯においてマッフルの外側からマッフルの内部を移動する金属ストリップを加熱させ、また前記の加熱帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置に徐冷帯を設け、マッフルの内部を移動する前記の加熱された金属ストリップを徐冷させ、さらに前記の徐冷帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置において徐冷された金属ストリップを冷却させる冷却帯と、を設けた竪型マッフル式熱処理炉における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0010】
すなわち、本発明は、前記のような竪型マッフル式熱処理炉において、加熱帯内におけるマッフルの内部を通過して加熱された金属ストリップを、前記の徐冷帯において徐冷させて冷却帯に導くにあたり、徐冷帯の長さを長くしたりすることなく、加熱帯において加熱された金属ストリップを、徐冷帯において適切な温度に徐冷させることが簡単に行えるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、前記のような課題を解決するため、上下方向に配置されて内部に処理用雰囲気ガスが収容されたマッフルの内部を金属ストリップが搬送され、前記のマッフルにおける金属ストリップの移動方向上流側にマッフルの外側からマッフルの内部を移動する金属ストリップを加熱する加熱帯と、前記の加熱帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置にマッフルの内部を移動する前記の加熱された金属ストリップを徐冷させる徐冷帯と、前記の徐冷帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置において徐冷された金属ストリップを冷却させる冷却帯と、を設けた竪型マッフル式熱処理炉において、前記のマッフルと徐冷帯との間の徐冷用空間部に冷却用気体を導入させる導入口を設けると共に、前記の徐冷用空間部において加熱された冷却用気体を排気させる排気口を設け、前記の排気口を通して排気される加熱された冷却用気体の量を調整して、徐冷帯において徐冷させる金属ストリップの温度を制御する温度制御部を設けた。
【0012】
そして、本発明における竪型マッフル式熱処理炉のように、加熱帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置において、金属ストリップを冷却帯に導く前に、前記のマッフルの内部を移動する加熱された金属ストリップを徐冷させる徐冷帯を設けるにあたり、マッフルと徐冷帯との間の徐冷用空間部に冷却用気体を導入させる導入口を設けると共に、前記の徐冷用空間部において加熱された冷却用気体を排気させる排気口を設け、前記の排気口を通して排気される加熱された冷却用気体の量を温度制御部により調整して、徐冷帯において徐冷させる金属ストリップの温度を制御するようにしたため、加熱帯において加熱された金属ストリップを冷却帯に導く前に徐冷帯において適切な温度に徐冷させることが簡単に行えるようになる。
【0013】
ここで、本発明における竪型マッフル式熱処理炉においては、マッフルと徐冷帯との間における徐冷用空間部内の温度を検知する温度検知装置を設け、この温度検知装置によって検知された徐冷用空間部内の温度に基づいて、前記の温度制御部を調整することが好ましい。このようにすると、前記の温度検知装置により検知された徐冷用空間部内の温度に基づいて、加熱帯において加熱された金属ストリップを徐冷帯においてより適切な温度に徐冷させることが簡単に行えるようになる。
【0014】
また、本発明における竪型マッフル式熱処理炉においては、前記のマッフルを、前記の加熱帯内に設けられる加熱側マッフルと、前記の徐冷帯内に設けられる徐冷側マッフルとに分離させ、前記の加熱側マッフルと徐冷側マッフルとを密封させた状態で伸縮可能な連結用筒体により連結させることが好ましい。このようにすると、加熱帯内において高温に加熱される加熱側マッフルと、徐冷帯内において徐冷される徐冷側マッフルとに用いる材料などの種類を変更させ、徐冷側マッフルとして、加熱側マッフルよりも耐熱性の低い安価なものを用いることができるようになる。また、加熱側マッフルと徐冷側マッフルとを密封させた状態で伸縮可能な連結用筒体により連結させることにより、加熱側マッフルや徐冷側マッフルにおける熱による伸びの変化に対応できるようになる。
【0015】
また、本発明における竪型マッフル式熱処理炉においては、前記の冷却帯に対して、前記のマッフルを密封させた状態で伸縮可能に取り付けることが好ましい。このようにすると、冷却帯に対してマッフルを設ける場合において、熱による冷却帯の案内管の伸びの変化に対応できるようになる。
【0016】
また、本発明における竪型マッフル式熱処理炉においては、前記の徐冷用空間部に冷却用気体を導入させる前記の導入口を徐冷帯の下部側位置に設ける一方、徐冷用空間部において加熱された冷却用気体を排気させる前記の排気口を、前記の導入口よりも金属ストリップの移動方向下流側における徐冷帯の上部側位置に設けることが好ましい。このようにすると、徐冷帯の下部側位置における導入口から徐冷用空間部に導入された冷却用気体により、徐冷帯におけるマッフルの内部を移動する金属ストリップを冷却させることができると共に、これにより温度が上昇された冷却用気体が、徐冷用空間部内において徐冷帯の上部側に導かれ、徐冷帯の上部側位置に設けた前記の排気口を通して徐冷用空間部から外部に適切に排出されるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における竪型マッフル式熱処理炉においては、前記のように加熱帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置において、金属ストリップを冷却帯に導く前に、前記のマッフルの内部を移動する前記の加熱された金属ストリップを徐冷させる徐冷帯を設けるにあたり、マッフルと徐冷帯との間の徐冷用空間部に冷却用気体を導入させる導入口を設けると共に、前記の徐冷用空間部において加熱された冷却用気体を排気させる排気口を設け、前記の排気口を通して徐冷用空間部から排気される加熱された冷却用気体の量を、前記の温度制御部により調整して、徐冷帯において徐冷させる金属ストリップの温度を制御するようにしたため、徐冷帯の長さを長くしたりすることなく、加熱帯において加熱された金属ストリップを、徐冷帯において早く適切な温度に徐冷させることが簡単な構造で行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る竪型マッフル式熱処理炉において、金属ストリップを上下方向に配置されたマッフルの内部を下から上に搬送させ、金属ストリップの移動方向上流側における加熱帯においてマッフルの外側からマッフルの内部を移動する金属ストリップを加熱させ、加熱帯よりも金属ストリップの移動方向下流側の位置における徐冷帯においてマッフルの内部を移動する加熱された金属ストリップを徐冷させ、徐冷帯よりも金属ストリップの移動方向下流側における冷却帯において徐冷された金属ストリップを冷却させる状態を示した部分概略断面説明図である。
【
図2】前記の実施形態に係る竪型マッフル式熱処理炉において、使用するマッフルを変更させた変更例の部分概略断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る竪型マッフル式熱処理炉を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る竪型マッフル式熱処理炉は下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0020】
この実施形態に係る竪型マッフル式熱処理炉においては、
図1に示すように、上下方向に配置されて内部に水素ガス等の還元性ガスや窒素ガス等の処理用雰囲気ガスが収容されたマッフル10の内部を通して、金属ストリップSを下から上に搬送させるようにしている。
【0021】
そして、前記のマッフル10における金属ストリップSの移動方向上流側にマッフル10の外側からマッフル10の内部を移動する金属ストリップSを加熱させる加熱帯20と、前記の加熱帯20よりも金属ストリップSの移動方向下流側の位置においてマッフル10の内部を移動する前記の加熱された金属ストリップSを徐冷させる徐冷帯30と、前記の徐冷帯30よりも金属ストリップSの移動方向下流側において徐冷された金属ストリップSを冷却させる冷却帯40とを設けるようにしている。
【0022】
ここで、この実施形態においては、前記のマッフル10として、金属ストリップSを加熱する加熱帯20内に設ける加熱側マッフル11と、加熱された金属ストリップSを徐冷させる徐冷帯30に設ける徐冷側マッフル12とに分離させたものを用い、前記の加熱側マッフル11と徐冷側マッフル12とを密封させた状態で伸縮可能な連結用筒体13により連結させるようにしている。
【0023】
このように、マッフル10を、加熱帯20内に設ける加熱側マッフル11と、加熱された金属ストリップSを徐冷させる徐冷帯30に設ける徐冷側マッフル12とに分離させるようにすると、温度が高くなる加熱側マッフル11と徐冷されて温度が低下する徐冷側マッフル12とに、同じような耐熱性の高い材料で構成されたものを用いる必要がなく、徐冷されて温度が低くなる徐冷帯30に設ける徐冷側マッフル12を加熱側マッフル11よりも耐熱性の低い安価な材料で構成することができるようになり、製造コスト等を低減させることができるようになる。
【0024】
そして、前記の加熱側マッフル11の上側フランジ11aを加熱帯20の上面に設けた加熱側支持部材21の上に保持させ、加熱側マッフル11が熱によって伸縮できるように保持させると共に、前記の徐冷側マッフル12の上側フランジ12aを徐冷帯30の上面に設けた徐冷側支持部材31の上に保持させて、徐冷側マッフル12が熱によって前記の伸縮可能な連結用筒体13を介して伸縮できるように保持させている。なお、前記の加熱側マッフル11と徐冷側マッフル12とを連結用筒体13により連結させるにあたっては、前記の加熱側マッフル11の上側フランジ11aと連結用筒体13の下側フランジ13aとをボルト等の連結部材(図示せず)によって連結させると共に、徐冷側マッフル12の下側フランジ12bと連結用筒体13の上側フランジ13bとをボルト(図示せず)等で連結させている。
【0025】
また、徐冷帯30において徐冷された金属ストリップSを前記の徐冷側マッフル12から冷却帯40に導くにあたっては、冷却帯40の下面から下方に向けて案内管41を延出させ、前記の徐冷側マッフル12とこの案内管41とを密封させた状態で伸縮可能な冷却側連結筒体42により連結させるようにしている。
【0026】
ここで、前記の徐冷側マッフル12と冷却帯40から下方に延出された案内管41とを冷却側連結筒体42により連結させるにあたっては、前記の徐冷側マッフル12の上側フランジ12aと冷却側連結筒体42の下側フランジ42aとをボルト等の連結部材(図示せず)によって連結させると共に、案内管41の下側フランジ41aと冷却側連結筒体42の上側フランジ42bとをボルト(図示せず)等で連結させている。
【0027】
そして、マッフル10の内部を移動する金属ストリップSを加熱する加熱帯20においては、マッフル10における前記の加熱側マッフル11の外周側に設けた断熱体22と加熱側マッフル11との間における加熱用空間部23内に電熱ヒーター等の加熱装置24を設け、この加熱装置24により前記の加熱側マッフル11の内部を移動する金属ストリップSを加熱させるようにしている。
【0028】
また、前記のように加熱帯20において加熱されてマッフル10の内部を移動する金属ストリップSを徐冷させる徐冷帯30においては、マッフル10における前記の徐冷側マッフル12の外周側に断熱体32を取り付けた徐冷帯本体を設け、この断熱体32と徐冷側マッフル12との間に徐冷用空間部33を形成するようにしている。
【0029】
そして、前記の断熱体32の下部側に冷却用気体を徐冷用空間部33内に導入させる導入口34を設ける一方、前記の徐冷用空間部33において加熱された冷却用気体を排気させる排気口35を前記の断熱体32の上部側に設け、この排気口35を通して、徐冷用空間部33において加熱された冷却用気体を排出経路36に導くようにしている。また、この排出経路36に徐冷帯30における徐冷側マッフル12内において徐冷させる金属ストリップSの温度を調整する温度制御部として流量制御用バルブ37を設けている。
【0030】
また、徐冷用空間部33は加熱帯20において加熱された金属ストリップSの熱が徐冷側マッフル12に熱伝導して温度が上昇しているため、導入口34と排気口35を開放状態にすると上昇気流が生じ、冷却用気体(ここでは、炉外の空気)が下部側の導入口34から自然に流入し、上部側の排気口35から自然に排出される。
【0031】
そして、前記の徐冷帯30における徐冷用空間部33内において加熱された冷却用気体の温度を検知する温度検知装置38を設け、この温度検知装置38によって検知された徐冷用空間部33内の温度を制御装置39に出力し、この制御装置39により前記の流量制御用バルブ37を制御して、徐冷用空間部33において加熱された冷却用気体を、前記の排気口35から排出経路36を通して排出させる量を調整すると共に、前記の導入口34から徐冷用空間部33内に導入させる冷却用気体の量を制御し、これにより、徐冷帯30における徐冷側マッフル12内において徐冷させる金属ストリップSの温度を制御するようにしている。
【0032】
このようにすると、前記のように徐冷帯30において金属ストリップSを十分に徐冷させるために、徐冷帯30の長さを長くしたりすることなく、加熱帯20において加熱された金属ストリップSを徐冷帯30において適切な温度に徐冷させることが簡単に行えるようになる。
【0033】
なお、ここでは、温度制御部として流量制御用バルブ37を排気口35側に設け、上昇気流で通気させるようにしたが、温度制御部として、送風機(図示せず)設けて強制気流で通気させ、その回転数を変化させて流量を制御してもよい。また、それらは導入口34側に設けてもよい。
【0034】
また、この実施形態においては、前記のようにマッフル10として、金属ストリップSを加熱する加熱帯20内に設ける加熱側マッフル11と、加熱された金属ストリップSを徐冷させる徐冷帯30に設ける徐冷側マッフル12に分離させたものを用いるようにしたが、
図2に示すように、マッフル10を分離させないようにし、金属ストリップSを加熱する加熱帯20と加熱された金属ストリップSを徐冷させる徐冷帯30とにおけるマッフル10を1つの筒体で構成することもできる。
【0035】
そして、このようにマッフル10を1つの筒体で構成した場合には、
図2に示すように、前記のマッフル10の上側フランジ10aを徐冷帯30の上面に設けた徐冷側支持部材31の上に保持させるようにし、前記のように冷却帯40の下面から下方に向けて案内管41を延出させ、前記のマッフル10と案内管41とを密封させた状態で伸縮可能な冷却側連結筒体42により連結させるようにしている。ここで、前記のマッフル10と冷却帯40から下方に延出された案内管41とを冷却側連結筒体42により連結させるにあたっては、前記のマッフル10の上側フランジ10aと冷却側連結筒体42の下側フランジ42aとをボルト等の連結部材(図示せず)によって連結させると共に、案内管41の下側フランジ41aと冷却側連結筒体42の上側フランジ42bとをボルト(図示せず)等で連結させるようにする。
【0036】
また、ここでは金属ストリップSが下から上に移動される例を示したが、金属ストリップSの移動方向の上流側から加熱帯20、徐冷帯30、冷却帯40の順番になっていれば、金属ストリップSの移動する向きは、上から下や、水平方向や、傾斜した方向であっても構わない。
【符号の説明】
【0037】
10 :マッフル
10a :上側フランジ
11 :加熱側マッフル
11a :上側フランジ
12 :徐冷側マッフル
12a :上側フランジ
12b :下側フランジ
13 :連結用筒体
13a :下側フランジ
13b :上側フランジ
20 :加熱帯
21 :加熱側支持部材
22 :断熱体
23 :加熱用空間部
24 :加熱装置
30 :徐冷帯
31 :徐冷側支持部材
32 :断熱体
33 :徐冷用空間部
34 :導入口
35 :排気口
36 :排出経路
37 :流量制御用バルブ(温度制御部)
38 :温度検知装置
39 :制御装置
40 :冷却帯
41 :案内管
41a :下側フランジ
42 :冷却側連結筒体
42a :下側フランジ
42b :上側フランジ
S :金属ストリップ