【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年11月1日にウェブサイト(https://www.playdesign−lab.com/report/entry/1797)に掲載 令和2年2月12日にウェブサイト(https://godhandclimbingworks.com/2020/02/12/for−kids−thank−you−%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%83%84%E3%80%80il%E6%A7%98%E3%80%80%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E3%81%8D/)に掲載
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなクライミング用の人工壁に関して、子供がクライミングを体験するためのクライミング遊具がある。しかし、従来のクライミング遊具では、例えば1〜2歳の子供(低年齢児)にとって、ホールドに手を掛けることはできるものの、互いに離間して配置された複数のホールドを足掛かりとしてパネルの壁面に沿って移動することは難しい。そのため、従来のクライミング遊具では、上記の低年齢児はクライミングを体験することが困難であった。
【0005】
本発明は、そのような点に鑑みてなされたものであり、低年齢児であってもクライミングを体験可能なクライミング遊具およびクライミング遊具用パネルを、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明のクライミング遊具は、
壁面を有するパネルと、
前記壁面に、互いに離間して配置される複数のホールドと、
を備え、前記パネルを立設して用いることが可能なクライミング遊具であって、
前記パネルが立設されたときの前記壁面に沿った重力方向を該パネルの縦方向とし、該縦方向に対して直交し且つ前記壁面に沿う方向を前記パネルの幅方向とした場合、
前記パネルは、
前記縦方向の下方部分において、前記壁面から突出し且つ前記幅方向に沿って延びる突出部を有
し、
前記突出部は、
前記幅方向における一方の端部から他方の端部まで水平方向に連続するように延びており、前記ホールドに手を掛けつつ前記突出部に足を掛けて前記パネルの壁面に沿って移動する際に、前記幅方向における一方の端部から他方の端部まで水平移動できるように構成されてなる
ことを特徴とする。
【0007】
上記(1)のクライミング遊具によれば、パネルの縦方向の下方部分において、該パネルの壁面から突出し且つパネルの幅方向に沿って延びる突出部が、
幅方向における一方の端部から他方の端部まで水平方向に連続するように延びており、例えば複数のホールドを足掛かりとしてパネルの壁面に沿って移動することが困難な低年齢児にとっての足掛かりとなり得る。これにより、低年齢児であっても、ホールドに手を掛けつつ当該突出部に足を掛け
てパネルの壁面に沿って移動する
際に、幅方向における一方の端部から他方の端部まで水平移動することが可能となる。したがって、低年齢児であってもクライミングを体験可能なクライミング遊具を、提供することが可能となる。
【0008】
(2)本発明のクライミング遊具は、
壁面を有するパネルと、
前記壁面に、互いに離間して配置される複数のホールドと、
を備え、前記パネルを立設して用いることが可能なクライミング遊具であって、
前記パネルが立設されたときの前記壁面に沿った重力方向を該パネルの縦方向とし、該縦方向に対して直交し且つ前記壁面に沿う方向を前記パネルの幅方向とした場合、
前記パネルは、
前記縦方向の下方部分において、前記複数のホールドについての前記幅方向における間隔よりも狭い間隔で、前記幅方向に沿って配置される複数の突出部を有
し、
前記複数の突出部は、
それぞれ、前記ホールドに手を掛けつつ前記突出部に足を掛けて前記パネルの壁面に沿って移動する際に水平移動できるように構成されているとともに、
一の突出部から他の突出部に移動する際にも水平移動できるように構成されてなる
ことを特徴とする。
【0009】
上記(2)のクライミング遊具によれば、パネルの縦方向の下方部分において、複数のホールドについての該パネルの幅方向における間隔よりも狭い間隔で当該幅方向に沿って配置される複数の突出部が、例えば複数のホールドを足掛かりとしてパネルの壁面に沿って移動することが困難な低年齢児にとっての足掛かりとなり得る。これにより、低年齢児であっても、ホールドに手を掛けつつ各突出部に足を掛けて、パネルの壁面に沿って移動する
際に、一の突出部から他の突出部への移動も含めて水平移動することが可能となる。したがって、低年齢児であってもクライミングを体験可能なクライミング遊具を、提供することが可能となる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)のクライミング遊具において、
前記突出部は、前記壁面に沿った重力方向における上面が
全面にわたって平面状に形成されている
ことを特徴とする。
【0011】
上記(3)のクライミング遊具によれば、突出部に足を掛けた際に足が安定するため、低年齢児であっても、より容易にクライミングを体験することが可能となる。
【0012】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかのクライミング遊具において、
前記パネルが立設されたときに該パネルが露出する部分の最下部を基底部とし、
前記パネルは、
該パネルが立設されたときに前記基底部との間に緩衝マットを配置可能な空隙が形成されるように、前記突出部を、
前記幅方向における前記突出部の一方の端部から他方の端部にわたって、前記基底部から前記縦方向に
略一定の長さである所定長さ離れた部位に有
し、
さらに、前記クライミング遊具は、
前記突出部の下面と接触するように前記空隙に嵌め込まれ、前記突出部との境界部分を視覚的に区別できるように前記突出部と異なる色で構成された緩衝マットを備える
ことを特徴とする。
【0013】
上記(4)のクライミング遊具によれば、落下時等における安全性を担保するための緩衝マットを、利用者が落下したときに該緩衝マットの先端部分と突出部との間に足が入り込む隙間が生じないように配置することができ
るとともに、突出部との境界部分を視覚的に区別できるため、より安全なクライミング遊具を提供することが可能となる。
【0014】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかのクライミング遊具において、
前記突出部は、
足掛け部として機能するものであって、足を掛けたときに足の一部がはみ出る
ように突出長さ
が5〜15cmである
ことを特徴とする。
【0015】
上記(5)のクライミング遊具によれば、利用者が突出部に足を掛けてパネルの壁面に沿って移動する際に足の一部が突出部からはみ出ることにより、クライミングを体験している感覚をより増大させることが可能となる。
【0016】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかのクライミング遊具において、
前記突出部は、前記壁面に沿った重力方向における上面に複数の粒状突起を有する
ことを特徴とする。
【0017】
上記(6)のクライミング遊具によれば、突出部の上面における複数の粒状突起が滑り止めとして機能し、より安全なクライミング遊具を提供することが可能となる。
【0018】
(7)本発明のクライミング遊具用パネルは、
立設して用いることが可能であり、複数のホールドを互いに離間して配置可能な壁面を有するクライミング遊具用パネルであって、
前記クライミング遊具用パネルが立設されたときの前記壁面に沿った重力方向を該クライミング遊具用パネルの縦方向とし、該縦方向に対して直交し且つ前記壁面に沿う方向を前記クライミング遊具用パネルの幅方向とした場合、
前記縦方向の下方部分において、前記壁面から突出し且つ前記幅方向に沿って延びる突出部を有
し、
前記突出部は、
前記幅方向における一方の端部から他方の端部まで連続するように延びており、前記ホールドに手を掛けつつ前記突出部に足を掛けて前記パネルの壁面に沿って移動する際に、前記幅方向における一方の端部から他方の端部まで水平移動できるように構成されてなる
ことを特徴とする。
【0019】
上記(7)のクライミング遊具用パネルによれば、パネルの縦方向の下方部分において、パネルの壁面から突出し且つ該パネルの幅方向に沿って延びる突出部が、
前記幅方向における一方の端部から他方の端部まで連続するように延びており、例えば複数のホールドを足掛かりとしてパネルの壁面に沿って移動することが困難な低年齢児にとっての足掛かりとなり得る。これにより、低年齢児であっても、ホールドに手を掛けつつ当該突出部に足を掛け
てパネルの壁面に沿って移動する
際に、幅方向における一方の端部から他方の端部まで水平移動することが可能となる。したがって、低年齢児であってもクライミングを体験可能なクライミング遊具用パネルを、提供することが可能となる。
【0020】
(8)本発明のクライミング遊具用パネルは、
立設して用いることが可能であり、複数のホールドを互いに離間して配置可能な壁面を有するクライミング遊具用パネルであって、
前記クライミング遊具用パネルが立設されたときの前記壁面に沿った重力方向を該クライミング遊具用パネルの縦方向とし、該縦方向に対して直交し且つ前記壁面に沿う方向を前記クライミング遊具用パネルの幅方向とした場合、
前記縦方向の下方部分において、前記複数のホールドについての前記幅方向における間隔よりも狭い間隔で、前記幅方向に沿って配置される複数の突出部を有
し、
前記複数の突出部は、
それぞれ、前記ホールドに手を掛けつつ前記突出部に足を掛けて前記パネルの壁面に沿って移動する際に水平移動できるように構成されているとともに、
一の突出部から他の突出部に移動する際にも水平移動できるように構成されてなる
ことを特徴とする。
【0021】
上記(8)のクライミング遊具用パネルによれば、パネルの縦方向の下方部分において、複数のホールドについてのパネルの幅方向における間隔よりも狭い間隔で当該幅方向に沿って配置される複数の突出部が、例えば複数のホールドを足掛かりとしてパネルの壁面に沿って移動することが困難な低年齢児にとっての足掛かりとなり得る。これにより、低年齢児であっても、ホールドに手を掛けつつ当該突出部に足を掛けて、パネルの壁面に沿って移動する
際に、一の突出部から他の突出部への移動も含めて水平移動することが可能となる。したがって、低年齢児であってもクライミングを体験可能なクライミング遊具用パネルを、提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低年齢児であってもクライミングを体験可能なクライミング遊具およびクライミング遊具用パネルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、クライミング遊具10の全体概要図の一例である。クライミング遊具10は、子供がクライミングを体験するための遊具である。
図1に示されるように、クライミング遊具10は、パネル20と複数のホールド30と突出部40と緩衝マット50とを備え、当該パネル20を立設して用いることが可能である。以下、これらの構成について説明する。
【0025】
なお、本実施形態では、クライミング遊具10を構成する要素に緩衝マット50が含まれているが、これに限定されない。例えば、クライミング遊具10に緩衝マット50が含まれておらず、クライミング遊具10が設置される施設等において予め準備されたマットが利用されてもよい。
【0026】
<パネルの構成>
図2は、パネル20の正面図であり、
図3は、パネル20の側面図である。なお、
図3においては、便宜上、ホールド30の図示を省略している。
【0027】
パネル20は、壁面22を有しており、クライミング遊具10を設置する施設等における設置面(床面)15に対して立設して用いられる。本実施形態では、パネル20は、例えば、水平な設置面15に対して壁面22が略直交するように、すなわち、壁面22が鉛直方向に延びるように立設されている。なお、
図2等では便宜上図示が省略されているが、パネル20は、例えば、該パネル20を支持する支持部材(例えば、支柱)を地中に埋め込むこと等によって設置面15(
図3参照)に設置される。
【0028】
パネル20が立設されたときの壁面22に沿った重力方向を、当該パネル20の縦方向とし、該縦方向に対して直交し且つ壁面22に沿う方向を、パネル20の幅方向とする。例えば、本実施形態のようにパネル20が鉛直方向に立設されている場合、鉛直方向(壁面22に沿った重力方向)と平行な方向を、パネル20の縦方向とする。また、例えば、パネル20が鉛直方向に対して所定の角度で傾斜して立設されている場合、鉛直方向に対して該所定の角度傾斜した方向(壁面22に沿った重力方向)を、パネル20の縦方向とする。また、パネル20の壁面22は、表(おもて)面と裏面とを有し、壁面22の表面に複数のホールド30が取り付けられる。なお、ホールド30の詳細については、後述する。
【0029】
図3に示されるように、パネル20の壁面22の上方部分(縦方向の上方部分)は、壁面22に対して表面側(ホールド30が取り付けられる側)に所定の角度(例えば、10度)傾斜している。表面側(利用者が移動する側)に傾斜した部分は、オーバーハング部分などとも称される。このような傾斜部分を設けることにより、クライミング遊具10の難易度を高めることが可能である。特に、本実施形態に係るクライミング遊具10では、パネル20の壁面22の全体が表面側に傾斜しているのではなく、壁面22の縦方向の途中部分までは鉛直方向に延び、壁面22の縦方向の上方部分だけが表面側に傾斜している。これにより、段階的な難易度を設けることができ、利用者(子供)がこのような傾斜部分へとのぼることを繰り返すことで、チャレンジ精神を養うことが可能である。なお、パネル20の形状はこれに限定されるものではない。例えば、パネル20の壁面22の全体が鉛直方向に延びて設けられていてもよく、逆に、パネル20の壁面22の全体が鉛直方向に対して表面側あるいは裏面側に傾斜して設けられていてもよい。
【0030】
パネル20は、例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastics)等の材質で形成されている。なお、これに限定されず、パネル20の材質は、例えば、強化プラスチック、木製またはコンクリート等であってもよい。
【0031】
また、
図1に示されるように、パネル20の壁面22には、複数のホールド30とは別に、三角錐状あるいは四角錐状の隆起部25が壁面22から突出して設けられている。これにより、パネル20の壁面22に起伏が設けられ、クライミングの難易度を高めることができる。
【0032】
<ホールドの構成>
ホールド30は、利用者がクライミング遊具10においてパネル20の壁面22に沿って移動する際に当該利用者による手掛かりまたは/および足掛かりとされる部材である。
【0033】
図1に示されるように、複数のホールド30は、パネル20の壁面22に、所定距離以上の間隔を開けて互いに離間して(すなわち、間隔を開けて)不均一に配置されている。なお、各ホールド30の配置形態は、これに限定されるものではなく、例えば、複数のホールド30が、所定の間隔で均等に配置されていてもよい。
【0034】
また、ホールド30は、樹脂製であり、表面が不規則な凹凸状に形成されている。なお、ホールド30の表面粗さは、特に限定されるものではないが、表面粗さを大きくすると利用者が手等を掛け易くなり、表面粗さを小さくすると利用者が手等を掛け難くなる。また、各ホールド30は、単一種類ではなく、表面形状が互いに異なる複数種類とすることが好ましい。
【0035】
また、本実施形態に係るクライミング遊具10では、ホールド30は、パネル20とは別部材であり、所定の取付部材(例えばボルト等)によってパネル20の壁面22に取り付けられている。ホールド30がパネル20に対して着脱可能に構成されていることによれば、ホールド30を変更するだけでクライミングの難易度を容易に変えることが可能である。なお、ホールド30が、パネル20の壁面22と一体成型されていてもよい。
【0036】
<突出部の構成>
突出部40は、パネル20(より詳細には、パネル20のうち、設置面15(
図3)上に露出している部分)の縦方向の下方部分において、パネル20の壁面22から突出して設けられている。詳細には、突出部40は、基底部28(次述)からパネル20の縦方向に所定長さ(例えば、平均的な緩衝マットの厚み)離れた部位において、壁面22から凸状に突出して設けられている。なお、基底部28(
図3参照)は、パネル20が立設されたときに該パネル20が設置面15から露出する部分の最下部である。
【0037】
また、突出部40は、パネル20の幅方向に沿って所定範囲にわたって延びて形成されている。
図1および
図2に示されるように、本実施形態では、突出部40は、パネル20の幅方向に沿って、パネル20の全幅(パネル20の幅方向において複数のホールド30が取り付けられている範囲と略同一の範囲)にわたって(言い換えれば、パネル20の全幅と略同一の長さ)延びて形成されている。なお、これに限定されず、突出部40が、パネル20の全幅よりも短い範囲にわたって形成されていてもよい。
【0038】
このように、本実施形態に係るクライミング遊具10においては、パネル20の縦方向の下方部分において、壁面22から突出し且つ壁面22の幅方向に沿って延びる突出部40が設けられている。そのため、当該突出部40が、複数のホールド30を足掛かりとしてパネル20の壁面22に沿って移動することが困難な低年齢児にとっての足掛かりとなり得る。これにより、低年齢児であっても、ホールド30に手を掛けつつ当該突出部40に足を掛けて、パネル20の壁面22に沿って移動(詳細には、水平移動)することが可能となる。したがって、低年齢児であってもクライミングを体験することが可能となる。
【0039】
詳細には、仮にクライミング遊具において突出部40が設けられていない場合において、上記のような低年齢児が当該クライミング遊具を利用するときには、ホールド30を手掛かりとしつつ緩衝マット50上または設置面15上を歩きながらパネル20の壁面22に沿って水平移動することとなる。このような利用形態(言い換えれば、足が緩衝マット50または設置面15についた状態での水平移動)では、クライミングを体験している感覚を得ることが難しい。これに対して、上記の突出部40を備えるクライミング遊具10によれば、低年齢児であっても、クライミングを体験している感覚を得ることが可能となる。
【0040】
突出部40は、例えば壁面22に離間配置されたホールド30に足を掛けて当該壁面22に沿って移動することが困難な子供(例えば、1〜2歳の低年齢児)にとっての足掛け部として機能する。なお、突出部40は、このような低年齢児(幼児)にとって「ホールド代わり」となるものであることから、「幼児用(幼児向け)ホールド」などとも称される。また、突出部40は、低年齢児であってもクライミングに挑戦できるように設けられるものであり、
図1のように踏み台状に形成されていることから、「チャレンジステップ」などとも称される。
【0041】
突出部40の上面(壁面22に沿った重力方向における上面)41の形状は、平面状に形成されていることが好ましい。これによれば、例えば、凹凸状に形成された表面を有するホールド30と比較して、足を掛けた際に足が安定するため、低年齢児であっても、より容易にクライミングを体験することが可能となる。なお、突出部40の上面41の形状は、これに限定されるものではなく、例えば、不規則な凹凸状に形成されていてもよい。
【0042】
また、突出部40の上面41は、例えば、パネル20の壁面22に対して直交する方向(本実施形態では、水平方向)に突出して形成されていることが好ましい。なお、突出部40の上面41とパネル20の壁面22とは、厳密な意味で直交している必要はなく、利用者が「直交している」と感じる程度であればよい。
【0043】
また、突出部40は、利用者(例えば、1〜2歳の低年齢児)が突出部40に足を掛けたときに足の一部が当該突出部40からはみ出る突出長さ(例えば、5〜15cm程度、より好ましくは10cm程度の突出長さ)である。言い換えれば、突出部40の壁面22に対する突出長さは、利用者が突出部40に足を掛けたときに足の一部が突出部40に掛かる程度の長さである。
【0044】
これによれば、利用者(例えば、所定年齢の子供)が突出部40に足を掛けてパネル20の壁面22に沿って移動する際に足の一部が突出部40からはみ出る(
図1参照)ことにより、クライミングを体験している感覚をより増大させることが可能となる。
【0045】
また、突出部40の縦方向の長さは、緩衝マット50が配置されたときに低年齢児が該緩衝マット50から突出部40へとのぼることが可能な長さであり、例えば、5〜15cm程度、より好ましくは10cm程度の長さである。
【0046】
また、図示されていないが、突出部40の上面(壁面22に沿った重力方向における上面)41には、滑り止め機能を有するように、比較的小さい複数(詳細には、多数)の粒状突起が点在して設けられている。なお、当該粒状突起は、突出部40と一体成形されることによって突出部40の上面41に設けられてもよく、あるいは、成形後の突出部40に対して加工処理が施されることによって突出部40の上面41に設けられてもよい。
【0047】
これによれば、突出部40の上面41における当該複数の粒状突起が滑り止めとして機能し、より安全なクライミング遊具10を提供することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態に係るクライミング遊具10では、突出部40は、パネル20と一体成型されており、パネル20と同じ材質(例えば、FRP)で形成されている。なお、突出部40がパネル20とは別部材として設けられ、パネル20の壁面22に対して取付可能に構成されていてもよい。例えば、突出部40が、パネル20と複数のホールド30とを備えるクライミング遊具10に取り付けられるクライミング遊具用部材として、当該パネル20の壁面22に対して取付可能(着脱可能)に構成されていてもよい。
【0049】
また、突出部40は、緩衝マット50との境界部分を利用者が容易に判断できるように、緩衝マット50と視覚的に区別可能に構成されていることが好ましい。詳細には、突出部40と緩衝マット50とが互いに異なる色で形成されている。例えば、緩衝マット50は、青色で構成され、突出部40は、黄色あるいは白色で構成されている。
【0050】
<緩衝マットの構成>
緩衝マット50は、ポリウレタンなどの発泡樹脂素材により形成されており、落下時等における人体の安全性を担保するために設けられる部材である。なお、本実施形態では、パネル20の幅方向に沿って複数の緩衝マット50が配列されているが、これに限らず、パネル20の幅方向長さと同じ長さの単一の緩衝マット50が配置されてもよい。
【0051】
次述するように、緩衝マット50の端部は、突出部40の下方に嵌め込まれて配置される。
【0052】
具体的には、突出部40は、パネル20が立設されたときに突出部40の下面42と基底部28(
図4参照)との間に緩衝マット50を配置可能な空隙が形成されるように、該基底部28からパネル20の縦方向に所定長さ離れた部位に設けられている。
図4は、緩衝マット50が取り除かれた状態のクライミング遊具10の全体概要図の一例である。これによれば、落下時等における安全性を担保するための緩衝マット50を、利用者が落下したときに該緩衝マット50の先端部分と突出部40との間に足が入り込む隙間が生じないように配置する(
図1参照)ことができ、より安全なクライミング遊具10を提供することが可能となる。
【0053】
突出部40の下方の当該空隙は、例えば、緩衝マット50の高さ(厚み)と略同一または僅かに大きい高さとなるように形成されるとよい。そして、緩衝マット50は、その端部が突出部40の下方に形成された当該空隙に嵌め込まれて設置される。これにより、突出部40の下面42と緩衝マット50の上面とが接触する。すなわち、突出部40は、緩衝マット50が突出部40の下方に配置されたときに突出部40の下面42と緩衝マット50の上面とが接触するように、基底部28からパネル20の縦方向に緩衝マット50の厚みと略同一の長さ離れた部位に設けられるとよい。これによれば、突出部40と下面42と緩衝マット50の上面との間に利用者の足が入り込むことが抑制され、更に安全なクライミング遊具10を提供することが可能となる。
【0054】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
【0055】
図5は、変形例に係るクライミング遊具101の全体概要図の一例である。なお、
図5においては、緩衝マット50は取り除かれた状態が示されている。以下、
図5を参照しつつ、変形例に係る態様について説明する。なお、変形例に係るクライミング遊具101は、以下の点以外については、上記の実施形態に係るクライミング遊具10と同様の構成を有しており、以下では、その説明を省略する。
【0056】
上記の実施形態では、クライミング遊具10において、突出部40(詳細には、パネル20の全幅に亘って延びる突出部40)が、パネル20の縦方向の下方部分において、壁面22から突出し且つパネル20の幅方向に沿って延びて形成されている(
図1参照)が、これに限定されない。例えば、クライミング遊具101において、複数の突出部401が、パネル20の縦方向の下方部分において、複数のホールド30についてのパネル20の幅方向における間隔D1(
図5参照)よりも狭い間隔D2(<D1)で、その上面411が壁面22に対して直交して突出するように、該幅方向に沿って配置されてもよい。「間隔D2」は、例えば、所定年齢の子供(例えば、1〜2歳の低年齢児)であっても各突出部401に足を掛けて壁面22に沿って移動(詳細には、水平移動)できる程度のものとすることが好ましい。また、このような複数の突出部401のそれぞれの重力方向における上面411が、パネル20の幅方向において略同一の高さとなるように設けられることが好ましい。
【0057】
これによれば、当該複数の突出部401が、例えば複数のホールド30を足掛かりとして壁面22に沿って移動することが困難な低年齢児にとっての足掛かりとなり得る。これにより、低年齢児であっても、ホールド30に手を掛けつつ各突出部401に足を掛けて、パネル20の壁面22に沿って移動することが可能となる。したがって、低年齢児であってもクライミングを体験することが可能となる。
【0058】
また、上記の実施形態では、クライミング遊具10において、突出部40の上面41が、パネル20の壁面22に対して直交して突出している(
図1、
図3参照)が、これに限定されない。例えば、クライミング遊具10,101において、突出部40,401の上面41,411が、パネル20の壁面22に対して傾斜して突出していてもよい。なお、
図5では、変形例に係るクライミング遊具101において各突出部401の上面411がパネル20の壁面22に対して傾斜して突出している態様が、示されている。
【0059】
以上説明した実施形態によれば、以下のような発明を提供することができる。
【0060】
第1の発明は、
壁面(例えば、壁面22)を有するパネル(例えば、パネル20)と、
前記壁面に、互いに離間して配置される複数のホールド(例えば、複数のホールド30)と、
を備え、前記パネルを立設して用いることが可能なクライミング遊具(例えば、クライミング遊具10)であって、
前記パネルが立設されたときの前記壁面に沿った重力方向を該パネルの縦方向とし、該縦方向に対して直交し且つ前記壁面に沿う方向を前記パネルの幅方向とした場合、
前記パネルは、
前記縦方向の下方部分において、前記壁面から突出し且つ前記幅方向に沿って延びる突出部(例えば、突出部40)を有する
ことを特徴とするクライミング遊具である。
【0061】
上記の第1の発明によれば、パネルの縦方向の下方部分において、該パネルの壁面から突出し且つパネルの幅方向に沿って延びる突出部が、例えば複数のホールドを足掛かりとしてパネルの壁面に沿って移動することが困難な低年齢児にとっての足掛かりとなり得る。これにより、低年齢児であっても、ホールドに手を掛けつつ当該突出部に足を掛けて、パネルの壁面に沿って移動することが可能となる。したがって、低年齢児であってもクライミングを体験可能なクライミング遊具を、提供することが可能となる。
【0062】
第2の発明は、
壁面(例えば、壁面22)を有するパネル(例えば、パネル20)と、
前記壁面に、互いに離間して配置される複数のホールド(例えば、複数のホールド30)と、
を備え、前記パネルを立設して用いることが可能なクライミング遊具(例えば、クライミング遊具101)であって、
前記パネルが立設されたときの前記壁面に沿った重力方向を該パネルの縦方向とし、該縦方向に対して直交し且つ前記壁面に沿う方向を前記パネルの幅方向とした場合、
前記パネルは、
前記縦方向の下方部分において、前記複数のホールドについての前記幅方向における間隔よりも狭い間隔で、前記幅方向に沿って配置される複数の突出部(例えば、複数の突出部401)を有する
ことを特徴とするクライミング遊具である。
【0063】
上記の第2の発明によれば、パネルの縦方向の下方部分において、複数のホールドについての該パネルの幅方向における間隔よりも狭い間隔で当該幅方向に沿って配置される複数の突出部が、例えば複数のホールドを足掛かりとしてパネルの壁面に沿って移動することが困難な低年齢児にとっての足掛かりとなり得る。これにより、低年齢児であっても、ホールドに手を掛けつつ各突出部に足を掛けて、パネルの壁面に沿って移動することが可能となる。したがって、低年齢児であってもクライミングを体験可能なクライミング遊具を、提供することが可能となる。
【0064】
第3の発明は、上記の第1の発明または第2の発明において、
前記突出部は、前記壁面に沿った重力方向における上面(例えば、上面41,411)が平面状に形成されている
ことを特徴とするクライミング遊具(例えば、クライミング遊具10,101)である。
【0065】
上記の第3の発明によれば、突出部に足を掛けた際に足が安定するため、低年齢児であっても、より容易にクライミングを体験することが可能となる。
【0066】
第4の発明は、上記の第1の発明〜第3の発明のいずれかにおいて、
前記パネルが立設されたときに該パネルが露出する部分の最下部を基底部(例えば、基底部28)とし、
前記パネルは、
該パネルが立設されたときに前記基底部との間に緩衝マット(例えば、緩衝マット50)を配置可能な空隙が形成されるように、前記突出部を、前記基底部から前記縦方向に所定長さ離れた部位に有する
ことを特徴とするクライミング遊具(例えば、クライミング遊具10,101)である。
【0067】
上記の第4の発明によれば、落下時等における安全性を担保するための緩衝マットを、利用者が落下したときに該緩衝マットの先端部分と突出部との間に足が入り込む隙間が生じないように配置することができ、より安全なクライミング遊具を提供することが可能となる。
【0068】
第5の発明は、上記の第1の発明〜第4の発明のいずれかにおいて、
前記突出部は、
足掛け部として機能するものであって、足を掛けたときに足の一部がはみ出る突出長さである
ことを特徴とするクライミング遊具(例えば、クライミング遊具10,101)である。
【0069】
上記の第5の発明によれば、利用者が突出部に足を掛けてパネルの壁面に沿って移動する際に足の一部が突出部からはみ出ることにより、クライミングを体験している感覚をより増大させることが可能となる。
【0070】
第6の発明は、上記の第1の発明〜第5の発明のいずれかにおいて、
前記突出部は、前記壁面に沿った重力方向における上面(例えば、上面41,411)に複数の粒状突起を有する
ことを特徴とするクライミング遊具(例えば、クライミング遊具10,101)である。
【0071】
上記の第6の発明によれば、突出部の上面における複数の粒状突起が滑り止めとして機能し、より安全なクライミング遊具を提供することが可能となる。
【0072】
第7の発明は、
立設して用いることが可能であり、複数のホールド(例えば、複数のホールド30)を互いに離間して配置可能な壁面(例えば、壁面22)を有するクライミング遊具用パネル(例えば、パネル20)であって、
前記クライミング遊具用パネルが立設されたときの前記壁面に沿った重力方向を該クライミング遊具用パネルの縦方向とし、該縦方向に対して直交し且つ前記壁面に沿う方向を前記クライミング遊具用パネルの幅方向とした場合、
前記縦方向の下方部分において、前記壁面から突出し且つ前記幅方向に沿って延びる突出部(例えば、突出部40)を有する
ことを特徴とするクライミング遊具用パネルである。
【0073】
上記の第7の発明によれば、パネルの縦方向の下方部分において、パネルの壁面から突出し且つ該パネルの幅方向に沿って延びる突出部が、例えば複数のホールドを足掛かりとしてパネルの壁面に沿って移動することが困難な低年齢児にとっての足掛かりとなり得る。これにより、低年齢児であっても、ホールドに手を掛けつつ当該突出部に足を掛けて、パネルの壁面に沿って移動することが可能となる。したがって、低年齢児であってもクライミングを体験可能なクライミング遊具用パネルを、提供することが可能となる。
【0074】
第8の発明は、
立設して用いることが可能であり、複数のホールド(例えば、複数のホールド30)を互いに離間して配置可能な壁面(例えば、壁面22)を有するクライミング遊具用パネル(例えば、パネル20)であって、
前記クライミング遊具用パネルが立設されたときの前記壁面に沿った重力方向を該クライミング遊具用パネルの縦方向とし、該縦方向に対して直交し且つ前記壁面に沿う方向を前記クライミング遊具用パネルの幅方向とした場合、
前記縦方向の下方部分において、前記複数のホールドについての前記幅方向における間隔よりも狭い間隔で、前記幅方向に沿って配置される複数の突出部(例えば、複数の突出部401)を有する
ことを特徴とするクライミング遊具用パネルである。
【0075】
上記の第8の発明によれば、パネルの縦方向の下方部分において、複数のホールドについてのパネルの幅方向における間隔よりも狭い間隔で当該幅方向に沿って配置される複数の突出部が、例えば複数のホールドを足掛かりとしてパネルの壁面に沿って移動することが困難な低年齢児にとっての足掛かりとなり得る。これにより、低年齢児であっても、ホールドに手を掛けつつ当該突出部に足を掛けて、パネルの壁面に沿って移動することが可能となる。したがって、低年齢児であってもクライミングを体験可能なクライミング遊具用パネルを、提供することが可能となる。
【解決手段】クライミング遊具10は、壁面22を有するパネル20と、当該壁面22に、互いに離間して配置される複数のホールド30と、を備え、当該パネル20を立設して用いることが可能である。パネル20が立設されたときの該壁面22に沿った重力方向を該パネル20の縦方向とし、該縦方向に対して直交し且つ壁面22に沿う方向をパネル20の幅方向とした場合、当該パネル20は、パネル20の縦方向の下方部分において、壁面22から突出し且つ該幅方向に沿って延びる突出部40を有する。