【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者等は上記課題点を解決すべく、環状ペプチドの上記作用に注目し、着色剤、分散剤、保湿剤、抗菌成分、水を含む液体化粧料組成物において、従来の合成界面活性剤(直鎖状)に替えて、或いは従来の合成界面活性剤(直鎖状)と共に環状ぺプチドを着色剤の分散剤として使用することにより意外にも分散性能が優れ、特に持続効果が優れていたことを発見し、本発明の液体化粧料組成物を開発することに成功した。
【0017】
本発明に係る液体化粧料組成物は、塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に内蔵される液体化粧料組成物として好適なものである。
【0018】
又、液体化粧料組成物塗布具として好適なものは、アイライナー又はアイブロウ等のメイクアップ化粧料である。
【0019】
本発明の液体化粧料組成物は着色剤の分散力が大きいこと、又、長期にわたって分散安定性が良好であること、容器を上向き、横向き、下向きにしても長期にわたって安定に中身を吐出することができること、筆記距離が長いことを実験により確認でき本発明にいたった。
【0020】
即ち、本発明は、
【0021】
(1)塗布手段として筆穂又はペン芯を用いるメイクアップ液体化粧料塗布具に使用される液体化粧料組成物であって、前記液体化粧料組成物の成分として少なくとも
(A)着色剤、
(B)着色剤の分散剤、
(C)保湿剤、
(D)抗菌成分(但し、アイチュリン系ペプチドを除く。)及び
(E)水
を含み、
前記(A)着色剤として、無機顔料を用い、
前記(B)着色剤の分散剤として、サーファクチンナトリウムを用いることによりメイクアップ液体化粧料塗布具に使用される筆記性の優れた液体化粧料組成物を提供する。
【0022】
(2)前記液体化粧料組成物が水性リキッドアイライナー用である前記に記載のメイクアップ化粧料組成物を提供する。
【0024】
本発明において用いられる着色剤としては、酸化鉄、カーボンブラック等の顔料、紺青等が用いられる。それぞれ主として茶色、黒色及び紺色の着色剤である。
上記以外にも、黒酸化鉄、黄酸化鉄、ベンガラ、コンジョウ、群青、酸化チタン、カルミン、コチニール、雲母、カオリン、アスタキサンチン、カカオ色素、カロチン、クロロフィル、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、マンガンバイオレット、シリカ、タルク、マイカ、魚鱗泊、水溶性染料、油溶性染料、等を着色剤として用いることができる。
【0025】
又、本明細書において、環状ペプチドとは、複数のアミノ酸が環状につながったものをいい、特に、アイチュリンやサーファクチンのような環状のものをいい、又、サーファクチンナトリウムのような塩も含む。
【0026】
本発明で用いられる環状ぺプチドとしては、一般名サーファクチンナトリウムが好適に使用できる。好ましくは、産業技術総合研究所及び株式会社カネカによって共同開発された、納豆菌が作り出す環状ペプチド(商品面はカネカサーファクチン)を用いることができる。
【0027】
又、アイチュリンは一般式(1)
【0028】
【化1】
【0029】
(式(1)中、Rは、炭素鎖3〜10の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。)で示される化合物である。
【0030】
又、サーファクチンは次の一般式(2)
【0031】
【化2】
【0032】
(式(2)中、X、Y、Z、は、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、セリン、アラニン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン、4−ヒドロキシプロリン及びホモセリンからなる群から選ばれるアミノ酸残基を表し、Rは炭素数が8〜14のノルマルアルキル基、イソアルキル基またはアンテイソアルキル基を表す。)で示される化合物である。
【0033】
前記化粧料組成物は油性アイライナーにも使用できるが、水性リキッドアイライナーに好適に使用できる。
【0034】
なお、本明細書において、%は特に断りのない限り、重量%を意味する。
【0035】
本明細書において、アイライン(eyeline)とは、目元に施す化粧(アイメイク)の一つをいい、目の縁(睫毛の生え際辺り)に線を描くことであり、これによって目の形をくっきり大きく見せる効果がある。また、アイラインにマスカラ、アイシャドーを加えた三点をアイメイクと呼ぶ。
【0036】
又、アイライナーとはアイラインの線を描くための化粧品であり、色は黒・ブラウン・ブルーなどの暗色がほとんどであるが、最近は赤や緑といった派手めな色も使われてきている。また、目の上側を暗い色、下側を白っぽい色で囲んで目を大きく見せる効果を強めることもある。
【0037】
アイライナーとしては形態面で分けると、ペンシルタイプ鉛筆状になっているタイプ(文房具の鉛筆のような形状のもの)で、芯の入ったカートリッジをホルダーにセットして使うタイプのものがある。このタイプは穏やかな発色で、目もとを自然に強調するのに適している。また、色や質感によっては、広くぼかしてアイシャドー代わりに使うこともできる。
【0038】
液状になっているタイプは、リキッドアイライナーと呼ばれ、マニキュアのようにボトルに入った液を内蔵のブラシで塗布するもの、筆ペン型になっているものなどがある。発色が良く、目もとをくっきりと強調するのに適している。また、ペンシルタイプよりも耐水性や耐油性が高く、にじみにくい。
【0039】
又、ジェルタイプは、小さなボトルに入ったジェルを、付属のブラシで塗布するもの。リキッドタイプのように発色がよく、また半固形であるため乾きが早く、落ちにくくにじみにくい。
【0040】
本発明の液体化粧料には、この他必要に応じて液状油、油性ワックス成分、分散安定剤、粘度調整剤、抗酸化剤等の安定化剤、香料、薬効成分などを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0041】
本発明の液体化粧料組成物は通常の機器により製造することができ、その製造法は特に限定されない。分散液を調製する際に、例えばプロペラ撹拌、アンカー撹拌、ホモミキサー撹拌、パドル撹拌、ディスパーミキサー撹拌、アジホモミキサー撹拌、コロイドミルなどを用いることができる。