特許第6779608号(P6779608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779608
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】液体化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20201026BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20201026BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   A61K8/64
   A61K8/19
   A61Q1/10
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-206502(P2015-206502)
(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公開番号】特開2017-78041(P2017-78041A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2017年5月29日
【審判番号】不服2019-1315(P2019-1315/J1)
【審判請求日】2019年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】502323885
【氏名又は名称】ケミコスクリエイションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094802
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 健兒
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 寿光
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 裕二
(72)【発明者】
【氏名】山田 三樹男
【合議体】
【審判長】 岡崎 美穂
【審判官】 光本 美奈子
【審判官】 冨永 みどり
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−128512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布手段として筆穂又はペン芯を用いるメイクアップ液体化粧料塗布具に使用される液体 化粧料組成物であって、前記液体化粧料組成物の成分として少なくとも
(A)着色剤、
(B)着色剤の分散剤、
(C)保湿剤、
(D)抗菌成分(但し、アイチュリン系ペプチドを除く。)及び
(E)水
を含み、
前記(A)着色剤として、無機顔料を用い、
前記(B)着色剤の分散剤として、サーファクチンナトリウムを用いることによりメイクアップ液体化粧料塗布具に使用される筆記性の優れた液体化粧料組成物。
【請求項2】
前記液体化粧料組成物が水性リキッドアイライナー用である請求項1記載の液体化粧料組
成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンデーション、マスカラ、アイライナー、美爪料などのメイクアップ化粧料の着色剤として好適な顔料、染料などの着色剤の分散液及びこれを用いた液体化粧料組成物に関する。
特に、本発明は塗布手段として筆穂又はペン芯を用いるアイライナーなどのメイクアップ化粧料塗布具に適した液体化粧料組成物に関する。
又、本発明に係る液体化粧料組成物は、メイクアップ化粧料用塗布具の容器に充填して化粧に供するのに適したものである。
本発明の液体化粧料組成物を用いた塗布具は人体に対する安全性が高く、且つ長期にわたる品質の安定性が極めて良好であり、肌密着性に優れている。
【背景技術】
【0002】
従来、塗布具を使用するタイプの液体化粧料において、着色剤としての染料を水及び水溶性有機溶剤などに溶解したものや、着色剤としての顔料を界面活性剤や水溶性の樹脂で水及び水溶性有機溶剤などに分散させたものが知られている。
【0003】
しかし、顔料を用いた場合は、分散剤である界面活性剤の皮膚安全性に問題があり、分散液の長期にわたる分散安定性が十分でなく使用時に掠れが発生するなどの課題があった。
更に、目詰まりや、使用時に掠れが生じるなど、その製品に求める機能を十分に発揮するものではなかった。
【0004】
そして、水性アイライナーの着色剤の分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等親水性の非イオン性界面活性剤や、ラウリル硫酸ナトリウムやジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤が多く用いられている。
【0005】
しかし、これらの分散剤は、分散力が不十分で、分散効果の安定性(持続性)が良くなく、日時がたつと目詰りなど生じ、書きづらくなった。又、長期にわたる分散安定性が不良、筆記距離が短いなどの問題点があり、さらに、これらの分散剤は、皮膚や眼粘膜などに対する刺激性が問題になったり、塗布部に滲みが生じたり、塗布部の耐水性が十分でないなど安全性や機能性の面で課題が指摘されている。
【0006】
一方で、環状ペプチドは、直鎖状のペプチドに比べて機能面で優れており、抗腫瘍活性、鎮痛作用、酵素阻害、抗菌性などの生理活性を示すものが多い。最近では、医薬品の重要な候補化合物の一つになっているばかりか、化粧品・食品、化学品、材料などの分野での利用も進められている。
【0007】
そして、環状ペプチドの一種であるサーファクチンは7つのアミノ酸からなる環状ペプチドをいい、納豆菌などによって各種の資源から量産できる。環状ペプチドは生分解性に優れ、皮膚への刺激も少ないことに加え、血液凝固阻害、血栓溶解、抗菌性などの多くの生理活性を示す薬剤として近年注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2003−128512号公報
アイチュリン系ペプチドとサーファクチン系ペプチドとの各々少なくとも1種以上を有効成分として含有することを特徴とする化粧料用抗菌性組成物。
【非特許文献】
【0009】
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2006/pr20060907/pr20060907.html
【0010】
産業技術総合研究所及び株式会社カネカによって共同開発された納豆菌が作り出す環状ペプチド(サーファクチン)によって、合成界面活性剤の働きが大きく増強されることがわかった。石油由来の合成界面活性剤に微量のサーファクチンを添加するだけで、合成界面活性剤の量を100分の1に減らしても、同等以上の界面活性効果を維持できることを実証した。今回発見した効果を活用すれば、洗剤やシャンプーなどの日用品や、広範な化学製品で利用されている合成界面活性剤の使用量を大幅に低減できると期待された。
【0011】
上記サーファクチンは、アミノ酸が環状につながったペプチドであり、環境や生体に対して低負荷であるだけでなく、合成界面活性剤(直鎖状)と大きく違い、特異な機能を発揮すると予想されていた。
【0012】
一般に、界面活性剤は、水の表面に規則的に並んで飽和に達すると、水溶液中に移行し、ミセルと呼ばれる集合体を形成することで洗浄力を発揮する。従って、ミセルを形成する濃度(ミセル形成濃度)が低いほど、界面活性剤の使用量を低減させることができる。サーファクチンは、合成界面活性剤に比べて、分子1個のサイズが3〜5倍程度も大きいことに加えて、水の表面に並びやすいため、サーファクチンと合成界面活性剤を併用した場合、水の表面がサーファクチンで優先的に覆われて飽和するため、ミセル形成が促進され、合成界面活性剤のミセル形成濃度を大きく低減できる。実際に、微量のサーファクチンを、洗剤の主成分である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムに添加して界面活性効果を調べた結果、合成界面活性剤に対して、サーファクチンを1 %添加すると、ミセル形成濃度は10分の1となり、合成界面活性剤の使用量をもとの濃度から10分の1に減らしても、同等以上の界面活性効果(表面張力低下能)が維持されていた。また、合成界面活性剤にサーファクチンを10 %添加した場合では、合成界面活性剤の使用量を100分の1に減らしても、同等以上の界面活性効果が見られたと報告されている。
【0013】
カネカ・サーファクチン(Sodium Surfactin) は、乳化、水溶化、ゲル化に効果があることは公知であるが、カーボンブラックなどの顔料や染料などの着色剤に対する分散効果については良く知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
水性アイライナーの着色剤の分散剤の重要な課題としては、時間がたっても、目詰まりがないアイライナーを開発することである。
又、従来の液体化粧料は、染料を使用した場合には耐水性が不十分であったり、希に皮膚に対して色素沈着を起こすなどの問題があった。
【0015】
このためには、着色剤の分散力、長期にわたる分散安定性、筆記距離などが重要であり、さらに、皮膚や眼粘膜などに対する刺激性、塗布部に滲みが生じたり、塗布部の耐水性が十分でないなど安全性や機能性の面の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者等は上記課題点を解決すべく、環状ペプチドの上記作用に注目し、着色剤、分散剤、保湿剤、抗菌成分、水を含む液体化粧料組成物において、従来の合成界面活性剤(直鎖状)に替えて、或いは従来の合成界面活性剤(直鎖状)と共に環状ぺプチドを着色剤の分散剤として使用することにより意外にも分散性能が優れ、特に持続効果が優れていたことを発見し、本発明の液体化粧料組成物を開発することに成功した。
【0017】
本発明に係る液体化粧料組成物は、塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に内蔵される液体化粧料組成物として好適なものである。
【0018】
又、液体化粧料組成物塗布具として好適なものは、アイライナー又はアイブロウ等のメイクアップ化粧料である。
【0019】
本発明の液体化粧料組成物は着色剤の分散力が大きいこと、又、長期にわたって分散安定性が良好であること、容器を上向き、横向き、下向きにしても長期にわたって安定に中身を吐出することができること、筆記距離が長いことを実験により確認でき本発明にいたった。
【0020】
即ち、本発明は、
【0021】
(1)塗布手段として筆穂又はペン芯を用いるメイクアップ液体化粧料塗布具に使用される液体化粧料組成物であって、前記液体化粧料組成物の成分として少なくとも
(A)着色剤、
(B)着色剤の分散剤、
(C)保湿剤、
(D)抗菌成分(但し、アイチュリン系ペプチドを除く。)及び
(E)水
を含み、
前記(A)着色剤として、無機顔料を用い、
前記(B)着色剤の分散剤として、サーファクチンナトリウムを用いることによりメイクアップ液体化粧料塗布具に使用される筆記性の優れた液体化粧料組成物を提供する。
【0022】
(2)前記液体化粧料組成物が水性リキッドアイライナー用である前記に記載のメイクアップ化粧料組成物を提供する。
【0024】
本発明において用いられる着色剤としては、酸化鉄、カーボンブラック等の顔料、紺青等が用いられる。それぞれ主として茶色、黒色及び紺色の着色剤である。
上記以外にも、黒酸化鉄、黄酸化鉄、ベンガラ、コンジョウ、群青、酸化チタン、カルミン、コチニール、雲母、カオリン、アスタキサンチン、カカオ色素、カロチン、クロロフィル、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、マンガンバイオレット、シリカ、タルク、マイカ、魚鱗泊、水溶性染料、油溶性染料、等を着色剤として用いることができる。
【0025】
又、本明細書において、環状ペプチドとは、複数のアミノ酸が環状につながったものをいい、特に、アイチュリンやサーファクチンのような環状のものをいい、又、サーファクチンナトリウムのような塩も含む。
【0026】
本発明で用いられる環状ぺプチドとしては、一般名サーファクチンナトリウムが好適に使用できる。好ましくは、産業技術総合研究所及び株式会社カネカによって共同開発された、納豆菌が作り出す環状ペプチド(商品面はカネカサーファクチン)を用いることができる。
【0027】
又、アイチュリンは一般式(1)
【0028】
【化1】
【0029】
(式(1)中、Rは、炭素鎖3〜10の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。)で示される化合物である。
【0030】
又、サーファクチンは次の一般式(2)
【0031】
【化2】
【0032】
(式(2)中、X、Y、Z、は、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、セリン、アラニン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン、4−ヒドロキシプロリン及びホモセリンからなる群から選ばれるアミノ酸残基を表し、Rは炭素数が8〜14のノルマルアルキル基、イソアルキル基またはアンテイソアルキル基を表す。)で示される化合物である。
【0033】
前記化粧料組成物は油性アイライナーにも使用できるが、水性リキッドアイライナーに好適に使用できる。
【0034】
なお、本明細書において、%は特に断りのない限り、重量%を意味する。
【0035】
本明細書において、アイライン(eyeline)とは、目元に施す化粧(アイメイク)の一つをいい、目の縁(睫毛の生え際辺り)に線を描くことであり、これによって目の形をくっきり大きく見せる効果がある。また、アイラインにマスカラ、アイシャドーを加えた三点をアイメイクと呼ぶ。
【0036】
又、アイライナーとはアイラインの線を描くための化粧品であり、色は黒・ブラウン・ブルーなどの暗色がほとんどであるが、最近は赤や緑といった派手めな色も使われてきている。また、目の上側を暗い色、下側を白っぽい色で囲んで目を大きく見せる効果を強めることもある。
【0037】
アイライナーとしては形態面で分けると、ペンシルタイプ鉛筆状になっているタイプ(文房具の鉛筆のような形状のもの)で、芯の入ったカートリッジをホルダーにセットして使うタイプのものがある。このタイプは穏やかな発色で、目もとを自然に強調するのに適している。また、色や質感によっては、広くぼかしてアイシャドー代わりに使うこともできる。
【0038】
液状になっているタイプは、リキッドアイライナーと呼ばれ、マニキュアのようにボトルに入った液を内蔵のブラシで塗布するもの、筆ペン型になっているものなどがある。発色が良く、目もとをくっきりと強調するのに適している。また、ペンシルタイプよりも耐水性や耐油性が高く、にじみにくい。
【0039】
又、ジェルタイプは、小さなボトルに入ったジェルを、付属のブラシで塗布するもの。リキッドタイプのように発色がよく、また半固形であるため乾きが早く、落ちにくくにじみにくい。
【0040】
本発明の液体化粧料には、この他必要に応じて液状油、油性ワックス成分、分散安定剤、粘度調整剤、抗酸化剤等の安定化剤、香料、薬効成分などを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0041】
本発明の液体化粧料組成物は通常の機器により製造することができ、その製造法は特に限定されない。分散液を調製する際に、例えばプロペラ撹拌、アンカー撹拌、ホモミキサー撹拌、パドル撹拌、ディスパーミキサー撹拌、アジホモミキサー撹拌、コロイドミルなどを用いることができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係る液体化粧料は、
・分散力が大きい。具体的には、分散粒子が小さく粒径分布が狭い。
・長期にわたって分散安定性が良好である。
・容器を上向き、横向き、下向きにしても長期にわたって安定に中身が吐出する。
・筆記距離が長い。
・皮膚に対する安全性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に本発明の液体化粧料組成物の実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例等により、本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0044】
実施例1
【0045】
分散剤としてサーファクチンナトリウムを0.8%、着色剤として酸化鉄5%及びカーボンブラック15パーセント、pH調整剤として2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール0.06パーセント、保湿剤として1,3−ブチレングリコール6パーセント、
同じく保湿剤としてポリオキシエチレン(9モル)ポリオキシプロピレン(12モル)グリセリルエーテル、皮膜形成剤として(スチレン/アクリル酸アルキル)コポリマーアンモニウム(固形分45%)15パーセント、安定剤としてアクリル酸アルキルコポリマー(固形分40%)10パーセント、その他、メチルパラベンナトリウム0.1パーセント、エチルパラベン0.1パーセント、フェノキシエタノール0.4パーセント、クエン酸適量、クエン酸ナトリウム適量、キレート剤適量を配合し、残量を精製水とした化粧料組成物を作製した。
【0046】
この作製した液体化粧料を液体化粧料塗布具に充填し性能を確認した。その結果を表1に示す。
【0047】
分散組成物の25℃における粘度は、5mPa・sで良好であった。又、筆ペン型の塗布具に分散組成物を充填したアイライナーの連続筆距離(以下、連続筆記距離という。)は50mで優秀であった。筆ペン型の塗布具に分散組成物を充填したアイライナーの45℃、6ヶ月保存下における筆記性(以下、筆記性という。)は、ペン先方向の如何に関わらず優秀であった。即ち、掠れや色斑、にじみがなく綺麗に描けた。眼刺激性試験の結果は非刺激であった。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2
【0050】
実施例1で使用した分散剤であるサーファクチンナトリウムの配合量を0.5パーセントに変更し、ポリオキシエチレン(40モル)ベヘニルエーテルを0.4パーセント配合し、着色剤には酸化鉄20%を配合した。
【0051】
その結果、液体化粧料組成物の粘度が28mPa・sと変化したが良好であり、液体組成物を充填したアイライナーの連続筆距離は60mに伸び優秀であった。
【0052】
筆記性はペン先方向の如何に関わらず優秀であった。
【0053】
実施例3
【0054】
実施例1で使用した分散剤であるサーファクチンナトリウムの配合量を0.9パーセントに変更し、着色剤として酸化鉄3%、カーボンブラック17パーセントを配合した。
【0055】
その結果、液体化粧料組成物の粘度が4mPa・sと変化し良好であり、液体組成物を充填したアイライナーの連続筆記距離が48mと良好であった。
【0056】
比較例1
【0057】
分散剤としてサーファクチンナトリウムではなくポリオキシエチレン(20モル)ラウリルエーテルの配合量を1.5パーセントを用い、他の成分は実施例1と同じである。
【0058】
その結果、連続筆記距離は28mで実施例の半分程度と大部劣り、筆記性は、ペン先方向の如何に関わらず筆記不能であった。眼刺激性試験の結果は中程度の刺激があった。
【0059】
比較例2
【0060】
分散剤としてサーファクチンナトリウムではなくポリオキシエチレン(25モル)オレイルエーテルの配合量を1.2パーセント及びラウリル硫酸カリウム0.8パーセントを用い、着色剤はカーボンブラック20パーセント及び紺青3%を用い、他の成分は実施例1と同じである。
【0061】
その結果、粘度は、78mPa・sとなり、不良であり、連続筆距離は14mで実施例とは大部劣り、筆記性は、ペン先方向の上向き及び横向きでは、筆記初期から掠れがみられ、描線に著しい色の濃淡が生じた。下向きでは筆記不能であった。眼刺激性試験の結果は弱い刺激があった。
【0062】
比較例3
【0063】
分散剤としてサーファクチンナトリウムではなくポリオキシエチレン(15モル)ラウリン酸エステルの配合量を1パーセント及びジエチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム1.5パーセントを用い、他の成分は実施例1と同じである。
【0064】
その結果、粘度は、325mPa・sとなり、不良であり、連続筆距離は8mで実施例とは大部劣り、筆記性は、ペン先方向の上向き横向きでは、筆記初期から掠れがみられ、描線に著しい色の濃淡が生じた。下向きでは筆記不能であった。眼刺激性試験の結果は弱い刺激があった。