特許第6779646号(P6779646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779646
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】フッ素樹脂含有電着塗料
(51)【国際特許分類】
   C09D 127/12 20060101AFI20201026BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20201026BHJP
   C09D 5/44 20060101ALI20201026BHJP
   C08F 214/18 20060101ALI20201026BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20201026BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   C09D127/12
   C09D133/00
   C09D5/44
   C08F214/18
   B32B27/30 D
   B32B15/08 G
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-71051(P2016-71051)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-179209(P2017-179209A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年3月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大室 傑
(72)【発明者】
【氏名】海老原 守
(72)【発明者】
【氏名】井本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】川部 琢磨
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−162993(JP,A)
【文献】 特開2011−213799(JP,A)
【文献】 特開2011−144254(JP,A)
【文献】 特開2013−177536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
B32B 1/00− 43/00
C08F214/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーハロオレフィン単位と以下の一般式(1)で示される単量体単位とカルボキシ基含有ビニル単量体単位と水酸基含有ビニル単量体単位とを有する含フッ素共重合体と、
アクリル重合体と、を含み、
前記一般式(1)で示される単量体単位の含有量は、前記含フッ素共重合体中において0.1〜15モル%であり、
前記含フッ素共重合体及び前記アクリル重合体の全固形分中における前記含フッ素共重合体の固形分含有量は、30質量%以上70質量%以下である、電着塗料組成物。
CH2=CH−O−CO−R … (1)
(式中、Rは炭素数6以上の炭化水素基である)
【請求項2】
前記一般式(1)におけるRは、炭素数9以上の炭化水素基である請求項1に記載の電着塗料組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電着塗料組成物により形成される電着塗膜。
【請求項4】
基材と、請求項に記載の電着塗膜とを含む積層体。
【請求項5】
前記基材は、アルミニウムである請求項に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素樹脂を含有する電着塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐候性に優れるフッ素樹脂組成物を架橋型水性塗料として用いる技術が知られている。該架橋型水性塗料は、架橋型溶剤塗料と比較すると一般的に塗膜性能に劣るため様々な改良がなされている。しかし、フッ素樹脂組成物と硬化剤との相溶性が低いため、塗料としての貯蔵安定性が十分なものではなかった。
【0003】
そこで、上記問題点を解決するため、パーハロオレフィン単位と炭素数2〜4の非フッ素ビニル単量体単位とウンデシレン酸単位と水酸基含有ビニル単量体単位を含む含フッ素共重合体又はその中和物を含むフッ素樹脂水性分散体に関する発明が提案されている(例えば、後述の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−144254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたフッ素樹脂水性分散体を電着塗料として用いようとした場合、貯蔵安定性が未だ不十分であり、電着塗料として現実的に使用できるものではなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、電着塗料として用いた場合であっても十分な貯蔵安定性を有するフッ素樹脂含有電着塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、パーハロオレフィン単位と以下の一般式(1)で示される単量体単位とカルボキシ基含有ビニル単量体単位と水酸基含有ビニル単量体単位とを有する含フッ素共重合体と、アクリル重合体と、を含む電着塗料組成物を提供する。
CH=CH−O−CO−R … (1)
(式中、Rは炭素数6以上の炭化水素基である)
【0008】
前記一般式(1)におけるRは、炭素数9以上の炭化水素基であることが好ましい。
【0009】
前記含フッ素共重合体及び前記アクリル重合体の全固形分中における前記含フッ素共重合体の固形分含有量は、20質量%以上80質量%未満であることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、上記電着塗料組成物により形成される電着塗膜に関する。
【0011】
更に、本発明は、基材と、上記電着塗膜とを含む積層体に関する。
【0012】
前記基材は、アルミニウムであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電着塗料として用いた場合であっても十分な貯蔵安定性を有するフッ素樹脂含有電着塗料組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0015】
本実施形態に係る電着塗料組成物は、アニオン電着用の塗料組成物として用いられる。アニオン電着塗料の被塗物である基材としては、特に制限されないが、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金が挙げられる。これらは陽極酸化処理されたものであってもよい。
上記アニオン電着塗装されたアルミニウム等は、優れた耐候性を有するため、例えば、ビルディングや一般家屋等の建造物の建材として好ましく用いられる。具体的には、アルミサッシ、建具、ベランダ用基材、屋根材、ドア等の材料として好ましく用いられる。
【0016】
本実施形態に係る電着塗料組成物は、含フッ素共重合体と、アクリル重合体と、硬化剤と、を含む。
【0017】
<含フッ素共重合体>
含フッ素共重合体は、パーハロオレフィン単位と、以下の一般式(1)で示される単量体単位と、カルボキシ基含有ビニル単量体単位と、水酸基含有ビニル単量体単位と、を有する。
CH=CH−O−CO−R … (1)
(式中、Rは炭素数6以上の炭化水素基である)

以下、各単位を構成する各単量体について説明する。
【0018】
パーハロオレフィン単位を構成するパーハロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)等のフルオロオレフィンが挙げられる。これらのフルオロオレフィンは、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、TFE又はHFP、特にTFEを用いる事が好ましい。これらのフルオロオレフィンを用いる事で、含フッ素共重合体中のフッ素含有量を増加させることができ、耐薬品性、耐水性、耐溶剤性、耐汚染性、耐候性等に優れた塗膜が得られる。
【0019】
パーハロオレフィン単位の含有量は、30〜70モル%とすることが好ましい。この範囲とすることで、含フッ素共重合体と硬化剤との相溶性が良好となり、耐候性、耐溶剤性等の好ましい塗膜の特性が得られる。上記範囲を35〜60モル%とすることがより好ましく、40〜55モル%とすることが更に好ましい。
【0020】
また、本実施形態に係る含フッ素共重合体は、以下の一般式(1)で示される単量体単位を有する。
CH=CH−O−CO−R … (1)
(式中、Rは炭素数6以上の炭化水素基である)

なお、上記炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。
一般式(1)を満たす具体的な単量体としては、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル等が挙げられる。
上記単量体としては、耐候性、相溶性に優れる点からバーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル等を用いる事が好ましい。これらの中でも耐薬品性の点から、非芳香族系カルボン酸ビニルエステル、特にカルボン酸の炭素数が6以上のカルボン酸ビニルエステルを用いる事がより好ましい。また、カルボン酸の炭素数が9以上のカルボン酸ビニルエステルを用いる事が更に好ましい。カルボン酸ビニルエステルにおけるカルボン酸の炭素数の上限は20以下とすることが好ましく、15以下とすることがより好ましい。具体例としてはバーサチック酸ビニルが最も好ましい。
これらの単量体は、1種を用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
上記一般式(1)で示される単量体単位の含有量は、含フッ素共重合体中において0.1〜15モル%とすることが好ましい。この範囲とすることで、含フッ素共重合体と後述するアクリル重合体との相溶性が良好となる。0.2〜8モル%とすることがより好ましい。
【0022】
カルボキシ基含有ビニル単量体としては、ウンデシレン酸であることが好ましい。
ウンデシレン酸は、炭素数11の直鎖の不飽和カルボン酸であり、含フッ素共重合体にカルボキシ基を導入する。ウンデシレン酸によって導入されるカルボキシ基は、含フッ素共重合体に水分散性を付与すると共に、架橋反応にも用いられ得る。
ウンデシレン酸は、クロトン酸等に比べて炭化水素鎖が長く硬化剤との相溶性を大きく改善できる。また、トリメリット酸を用いてカルボキシ基を導入した場合に生じるようなエステル結合を生じないので、エステルの開裂による貯蔵安定性の低下も生じない。また、単独重合体ができにくく、重合反応性が良好で難加水分解性である等の点で好ましい。
【0023】
ウンデシレン酸単位の含有量は、得られる含フッ素共重合体の酸価を10〜100mgKOH/gの範囲にする量が好ましい。この範囲の場合、硬化剤との相溶性と水分散性とのバランスが良好となる。中でも、酸価を30〜100mgKOH/g、特に40〜80mgKOH/gの範囲にする量が好ましい。
【0024】
水酸基含有ビニル単量体としては、例えば以下の一般式(2)で表される水酸基含有アルキルビニルエーテルや水酸基含有アルキルアリルエーテルが挙げられる。
CH=CHR … (2)
(式中、Rは−OR又は−CHOR(ただし、Rは水酸基を有するアルキル基である))
上記一般式(2)におけるRとしては、例えば炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基に1〜3個、好ましくは1個の水酸基が結合したものである。これらの例としては、例えば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルが重合反応性、硬化性が優れる点で好ましい。
【0025】
他の水酸基含有ビニル単量体としては、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
【0026】
水酸基含有ビニル単量体単位の含有量は、得られる含フッ素共重合体の水酸基価を10〜200mgKOH/gの範囲にする量が好ましい。この範囲の場合、耐溶剤性、耐汚染性等の好ましい特性が得られる。水酸基価としては、10mgKOH/g以上、更には30mgKOH/g以上、特に50mgKOH/g以上の水酸基価を有することで、架橋密度が高く、耐汚染性、耐候性、硬度に優れる塗膜が得られる点で好ましい。また水酸基価の上限は200mgKOH/g、好ましくは150mgKOH/gであることが塗膜に可撓性を付与する点で有利である。
【0027】
また、上記に加え、本発明の目的を阻害しない範囲で更に他の単量体を共重合してもよい。共重合可能な他の単量体としては、例えば芳香族ビニル単量体、水酸基非含有ビニルエステル、水酸基非含有ビニルエーテル等が挙げられる。芳香族ビニル単量体は共重合体のガラス転移温度を上げる効果があり、塗膜の硬度や耐汚染性を向上させる効果がある。また、水酸基非含有ビニルエステル、水酸基非含有ビニルエーテルは、塗膜のガラス転移温度の調整や光沢の向上という効果がある。
【0028】
本実施形態に係る含フッ素共重合体の数平均分子量は、溶液重合性の観点から100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましい。また、耐候性、耐久性に優れた塗膜が得られる観点から、数平均分子量は4,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましい。
【0029】
本実施形態に係る含フッ素共重合体の製造方法としては、溶液重合法により製造することが好ましい。溶液重合法を用いる事で簡便に含フッ素共重合体樹脂の数平均分子量が上記範囲内のものを得ることができる。
溶液重合法においては、例えば、重合開始剤を用い、有機溶剤中で重合温度10〜90℃で1〜20時間重合反応を行う。
【0030】
上記有機溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、tert−ブタノール、iso−プロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;ジメチルスルホキシド等、又はこれらの混合物等が挙げられる。中でも、フッ素樹脂の溶解性の観点から、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルを用いる事が好ましい。
【0031】
上記重合開始剤としては、例えばオクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;イソプロポキシカルボニルパーオキサイド、tert−ブトキシカルボニルパーオキサイド等のジアルコキシカルボニルパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等のアルキルパーオキシエステル類;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩類(更に必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン等の還元剤も併用できる);酸化剤(例えば過酸化アンモニウム、過酸化カリウム等)と還元剤(例えば亜硫酸ナトリウム等)及び遷移金属塩(例えば硫酸鉄等)からなるレドックス開始剤類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、4,4’−アゾビス(4−シアノペンテン酸)等のアゾ系化合物等が使用できる。
【0032】
更に必要に応じて、分子量調整剤としてメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類等も使用してもよい。
【0033】
<アクリル重合体>
アクリル重合体は、ラジカル重合性不飽和モノマーを共重合させることによって得られ、1分子中にカルボキシ基及び水酸基を有する。ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、カルボキシ基含有ラジカル重合性不飽和モノマー、水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが挙げられる。また、これら以外にアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、ビニル芳香族化合物等が含まれていてもよい。
【0034】
カルボキシ基含有ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
【0035】
水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
【0037】
ビニル芳香族化合物等としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン、ビニルピリジン等が挙げられる。
【0038】
また、上記に示したもの以外のラジカル重合性不飽和モノマーが含まれていてもよい。例えば、アルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体とラクトン類化合物との反応物等が含まれていてもよい。
【0039】
アクリル重合体の製造は、上記含フッ素共重合体の製造と同様、溶液重合法により行うことができる。
【0040】
得られたアクリル重合体の重量平均分子量は4,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましい。また、同様に酸価は5〜180mgKOH/gであることが好ましく、10〜80mgKOH/gであることがより好ましい。また、同様に水酸基価は3〜150mgKOH/gであることが好ましく、10〜80mgKOH/gであることがより好ましい。
【0041】
本実施形態に係る電着塗料組成物において、含フッ素共重合体及びアクリル重合体の全固形分中における含フッ素共重合体の固形分含有量は、20質量%以上80質量%未満である。含フッ素共重合体の固形分含有量が20質量%未満である場合、形成される塗膜の十分な耐候性が得られず、80質量%以上である場合、電着塗料組成物の好ましい貯蔵安定性が得られない。上記含フッ素共重合体の固形分含有量は、30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
【0042】
<硬化剤>
本実施形態のアニオン電着用の電着塗料組成物に用いられる硬化剤としては、特に制限されず、従来から公知の化合物を使用できる。硬化剤として、例えば、メラミン樹脂やブロック型イソシアネート化合物等が挙げられる。
【0043】
メラミン樹脂としては、完全アルキル型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、メチロール基型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、イミノ型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂、イミノ基型メチル化メラミン樹脂が挙げられる。
中でも、完全アルキル型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂又は完全アルキル型メチル化メラミン樹脂を用いる事が、電着塗料組成物の貯蔵安定性が良好となる観点から好ましい。
【0044】
ブロック型イソシアネート化合物におけるポリイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上の遊離のイソシアネート基を有する化合物である。このような化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトカプロエート、3−イソシアナトメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート等の3価以上の有機ポリイソシアネート化合物が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は環化重合体又はビュレット体であってもよい。なお、これらの化合物は1種を用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
ブロック型イソシアネート化合物におけるブロック剤としては、メチルエチルケトオキシム、メチルアミルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾール等のフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノール等の脂肪族アルコール類;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール等の芳香族アルキルアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系化合物;ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム系化合物等が挙げられる。
【0046】
本実施形態に係る電着塗料組成物には、上記含フッ素共重合体、アクリル重合体及び硬化剤に加え、必要に応じて他の成分が含まれていてもよい。
例えば、電着塗料組成物の貯蔵安定性を向上させるため、界面活性剤を使用してもよい。好ましい界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0047】
アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステルのナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスクシネートスルホン酸のナトリウム塩又はアルキルジフェニルエーテルスルホン酸のナトリウム塩等を使用することができる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルキルフェニル)エーテルスルホネート等を用いる事が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等を使用することができる。具体的には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等を用いる事が好ましい。
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン等が好ましく例示される。カチオン性界面活性剤としては、例えばアルキルピリジニウムクロリド、アルキルアンモニウムクロリド等を使用することができる。また、単量体と共重合性の乳化剤、例えばスチレンスルホン酸ナトリウム、アルキルアリールスルホン酸ナトリウム等も使用することができる。
【0048】
本実施形態に係る電着塗料組成物の調製方法は、上記含フッ素共重合体、アクリル重合体及び硬化剤等を混合し、撹拌下に水中に投入するか、撹拌下に水を加えることによって行われる。
【0049】
上記調製方法中又は調製方法の前後において、フッ素共重合体やアクリル重合体の有するカルボキシ基をアルカリで中和してもよい。これにより、より一層電着塗料組成物の水分散性が向上する。例えば、アルカリによる中和によって、カルボキシ基をアンモニウム塩、アミン塩又はアルカリ金属塩等とすることが好ましい。
【0050】
上記中和に用いる中和剤としては、アンモニア;ジエチルアミン、エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、エチルアミノエチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルアミン等の有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。これらのうちアンモニア、トリエチルアミン、ジエタノールアミンが入手の利便性、水分散性等の点で好ましく、特にアンモニアとトリエチルアミンが取り扱い性容易の点で有利である。
【0051】
中和剤は、水溶液の形態で使用することが好ましいが、ガス又は固形分の形態で使用してもよい。
【0052】
中和剤による中和は、含フッ素共重合体及びアクリル重合体が有するカルボキシ基に対して0.3以上1.2以下の中和当量の範囲で行うことができ、0.5以上〜0.9以下の中和当量の範囲で行うことが好ましい。
【0053】
本実施形態の電着塗料組成物の固形分濃度は、塗装効率の点から通常5質量%以上とし、8質量%以上とすることが好ましい。また、貯蔵安定性の点から通常50質量%以下とし、40質量%以下とすることが好ましい。
【0054】
<電着塗膜形成方法>
本実施形態の電着塗料組成物を用いた電着塗膜形成方法は、該電着塗料組成物を、基材としてのアルミニウム又はアルミニウム合金等に電着塗装することで、電着塗膜を形成する。電着塗装方法としては、特に制限されず、従来から公知の方法を用いる事ができる。具体的には、本実施形態の電着塗膜形成方法は、該電着塗料組成物の浴中に基材を浸漬する工程と、基材を陽極として陰極との間に電圧を印加することで、基材の表面に電着塗膜を析出させる工程と、析出した電着塗膜を必要に応じて水洗した後、所定温度で焼付けて塗膜を完成する工程と、を含む。
【0055】
電着塗料組成物の浴温は、10〜40℃であることが好ましい。また、印加電圧は、50〜300Vであることが好ましく、通電時間は30〜600秒であることが好ましい。焼付け温度は130〜220℃であることが好ましい。また、形成された電着塗膜の乾燥膜厚は、2〜25μmであることが好ましい。
なお、本実施形態の電着塗料組成物により形成される電着塗膜は、優れた耐候性を有するため、膜厚の減耗量が少ない。従って乾燥膜厚を通常よりも薄く設定することが可能であり、材料コストや製造コストを低減できると考えられる。
【0056】
上記のようにして形成された電着塗膜に対し、必要に応じて上塗塗料を塗装してもよい。上塗塗料としては、樹脂及び硬化剤を主成分とする従来から公知のものを用いる事ができる。上塗塗料は上記電着塗膜後の焼付け後に塗布してもよいが、焼付け前の塗膜上に上塗塗膜を塗布して両塗膜を同時に焼付け硬化させる、いわゆる2コート1ベーク塗装としてもよい。
【0057】
<積層体>
本実施形態の積層体は、基材と電着塗膜とを含み、具体的には上記電着塗膜形成方法により、基材上に電着塗膜が形成されたものである。基材としては、電着塗装が可能なものであればその種類を問わないが、特にアルミニウム又はアルミニウム合金を用いる事が好ましい。また、基材と電着塗膜とを含む積層体は、電着塗料組成物が基材に直接塗装されたものであってもよいが、基材と塗膜との間に陽極酸化皮膜等の別層を設けてもよい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0059】
[含フッ素共重合体ワニス1の作製]
反応容器中に溶媒としてのアセトンを81質量部仕込み、テトラフルオロエチレン12.7質量部、酢酸ビニル2.6質量部、バーサチック酸ビニル0.4質量部、ヒドロキシブチルビニルエーテル1.4質量部、ウンデシレン酸1.9質量部、及び開始剤としての10時間半減期温度が50℃程度の過酸化物を適量加えた混合物を、60℃まで昇温し、反応を続けた。反応終了後、冷却し含フッ素共重合体ワニス1を得た。
【0060】
[含フッ素共重合体ワニス2の作製]
テトラフルオロエチレンを12.5質量部、酢酸ビニルを1.8質量部、バーサチック酸ビニルを0.4質量部、ヒドロキシブチルビニルエーテルを2.4質量部、ウンデシレン酸を1.9質量部としたこと以外は、上記と同様の条件で作製し、含フッ素共重合体ワニス2を得た。
【0061】
[含フッ素共重合体ワニス3の作製]
テトラフルオロエチレンを8.7質量部、イソブチレンを3.4質量部、安息香酸ビニルを1.6質量部、ピバリン酸ビニルを2.2質量部、ヒドロキシブチルビニルエーテルを6.6質量部、ウンデシレン酸を5.4質量部としたこと以外は、上記と同様の条件で作製し、含フッ素共重合体ワニス3を得た。
得られた含フッ素共重合体ワニス1〜3の組成、水酸基価、酸価及び数平均分子量は、表1に示すものであった。なお、水酸基価、酸化及び数平均分子量の算出方法は以下の方法による。
【0062】
(水酸基価算出方法)
生成したポリマー、ポリマー溶液、残存モノマー量の分析及びモノマー仕込み量から、ポリマー中のモノマー組成を算出する。次に、その全モノマー組成と水酸基含有モノマーの組成からポリマー中の水酸基価を算出する。
【0063】
(酸価算出方法)
生成したポリマー、ポリマー溶液、残存モノマー量の分析及びモノマー仕込み量から、ポリマー中のモノマー組成を算出する。次に、その全モノマー組成とカルボキシ基含有モノマーの組成からポリマー中の酸価を算出する。
【0064】
(数平均分子量算出方法)
測定装置:昭和電工(株)製Shodex GPC−104
測定条件:溶離液としてはテトラヒドロフランを使用し、分子量の標準サンプルとしては分子量既知のポリスチレンを使用する。
【0065】
[アクリル重合体ワニス1の作製]
反応容器中に溶媒としてのイソプロピルアルコールを55質量部仕込み80℃に保持した中へ、メタクリル酸メチル33質量部、アクリル酸nブチル20質量部、アクリル酸エチル10質量部、スチレン15質量部、アクリル酸ヒドロキシエチル15質量部、アクリル酸7質量部、及び開始剤としてのアゾビスメチルバレロニトリル1質量部の混合物を、3時間を要して滴下し、滴下終了後1時間この温度に保ち、次いで開始剤としてのアゾビスメチルバレロニトリル0.5質量部及び溶媒としてのブチルセロソルブ13質量部を1時間を要して滴下し、その後1時間80℃に保ち反応を続けた。反応終了後、ベンジルアルコールを加え、固形分を50%に調整し、アクリル重合体ワニス1を得た。
【0066】
[アクリル重合体ワニス2の作製]
メタクリル酸メチル35質量部、アクリル酸nブチル18質量部とし、スチレンの代わりにメタクリル酸シクロヘキシル15質量部を用いたこと以外は上記と同様の条件で作製し、アクリル重合体ワニス2を得た。
【0067】
上記含フッ素共重合体ワニス及びアクリル重合体ワニスの各成分割合及び、各物性値(分子量、酸価、水酸基価)について表1及び表2に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
[実施例1]
上記含フッ素共重合体ワニス2と、アクリル重合体ワニス1を、固形分質量比率で70:30になるように混合した。得られた混合ワニス120質量部(固形分として60質量部)、トリエチルアミン4.5質量部(混合ワニス酸価に対して0.8当量)、100%フルエーテル化メラミン樹脂(ニカラックMX−45、三和ケミカル株式会社製)40質量部を混合し、撹拌下で脱イオン水835.5質量部を投入し、実施例1の電着塗料組成物を調製した。
【0071】
[実施例2〜4、6、参考例1、比較例1〜6]
それぞれ表3及び表4に示す種類の含フッ素共重合体ワニス及びアクリル重合体ワニスを、表3及び表4に示す割合で混合して用いた他は、実施例1と同様の物質及び方法を用いて実施例2〜4、6、参考例1、比較例1〜6の電着塗料組成物を調製した。
得られた各実施例及び比較例の電着塗料組成物を用いて、以下に示す塗料性状評価を行った。
【0072】
[塗料安定性試験(静置24時間)]
上記塗料組成物作成後、24時間静置した後の塗料組成物の外観を目視にて以下の基準に従って評価し、評価Bを合格とし、評価C、Dを不合格と評価した。結果を表3及び表4に示す。
(評価基準)
B:異常は認められない
C:一部樹脂の沈降が観察される
D:樹脂が完全に沈降している
【0073】
[塗料安定性試験(撹拌1か月)]
上記塗料組成物作成後、磁気撹拌子にて20℃60%RH下で撹拌(500rpm)し続けた。1か月経過後の塗料組成物の外観を目視にて以下の基準に従って評価し、評価Bを合格とし、評価Cを不合格と評価した。結果を表3及び表4に示す。
(評価基準)
B:異常は認められない
C:樹脂が完全に沈降している
【0074】
[試験板の作製]
各実施例及び比較例の電着塗料組成物を用い、以下の条件で基材上に電着塗膜を形成し、試験板を作製した。
基材としては皮膜厚約10μmの陽極酸化皮膜処理を施した6063−T5アルミニウム合金基板(60mm×150mm板厚2mm)を用い、乾燥塗膜厚が10μmとなるように電着塗装を行った。水洗後、180℃で30分間焼付けて試験板を得た。得られた各試験板を用いて以下に示す塗膜性状評価試験を行った。
【0075】
[耐候性試験(光沢保持)]
メタルウエザー試験機(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)による促進耐候性試験を750時間行い、試験後の光沢を、光沢計(村上色彩技術研究所製GMX−102、測定角60度)を用いて測定した。測定値を用い、促進耐候性試験前に予め測定しておいたサンプルの初期光沢を100%として光沢保持率(%)を算出した。算出した数値を以下の評価基準に従って評価し、評価A、Bを合格とし、評価C、Dを不合格と評価した。また、塗料作製時と塗料作製1週間後の電着塗料を用いてそれぞれ試験板を作成し評価試験を行った。結果を表3及び表4に示す。
(評価基準)
A:光沢保持率90%以上
B:光沢保持率80%以上90%未満
C:光沢保持率70%以上80%未満
D:光沢保持率70%未満
【0076】
[耐候性試験(膜厚保持)]
メタルウエザー試験機(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)による促進耐候性試験を750時間行い、試験後の膜厚を、膜厚計(フィッシャー・インストルメンツ製FMP−30)を用いて測定した。測定値を用い、促進耐候性試験前に予め測定しておいたサンプルの初期膜厚からの変化量(減耗量)を算出した。算出した数値を以下の評価基準に従って評価し、評価Bを合格とし、評価C、Dを不合格と評価した。また、塗料作製時と塗料作製1週間後の電着塗料を用いてそれぞれ試験板を作成し評価試験を行った。結果を表3及び表4に示す。
(評価基準)
B:膜厚変化量3μm未満
C:膜厚変化量3μm以上5μm未満
D:膜厚変化量5μm以上
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
実施例3及び6と、比較例5及び6の比較から、実施例3及び6の電着塗料組成物の方が塗料安定性及び耐候性の評価結果に優れることが分かった。この結果から、本発明のパーハロオレフィン単位と炭素数5以上の非フッ素含有カルボン酸ビニルエステル単量体単位とを有する含フッ素共重合体を用いた電着塗料組成物によれば、塗料組成物の貯蔵安定性に優れ、且つ耐候性の高い電着塗膜を形成できることが確認された。
【0080】
実施例1〜4、6と、比較例1〜4との比較から、実施例1〜4、6の電着塗料組成物の方が塗料安定性及び耐候性の評価結果に優れることが分かった。この結果から、本発明に係る含フッ素共重合体ワニスとアクリル重合体を共に含む電着塗料組成物を用いる事で、塗料組成物の貯蔵安定性に優れ、且つ耐候性の高い電着塗膜を形成できることが確認された。