特許第6779747号(P6779747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779747
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】飲料ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/07 20060101AFI20201026BHJP
   B67D 1/08 20060101ALI20201026BHJP
   B67D 3/00 20060101ALI20201026BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   B67D1/07
   B67D1/08 Z
   B67D3/00 Z
   G02B5/22
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-212920(P2016-212920)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2017-88246(P2017-88246A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2019年9月9日
(31)【優先権主張番号】特願2015-220674(P2015-220674)
(32)【優先日】2015年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】阿保 洋一
(72)【発明者】
【氏名】安達 陽平
(72)【発明者】
【氏名】長尾 瑞恵
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−160451(JP,U)
【文献】 特開2005−014979(JP,A)
【文献】 実開昭54−160450(JP,U)
【文献】 特開昭64−086825(JP,A)
【文献】 特開2000−085893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/07
B67D 1/08
B67D 3/00
G02B 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を供給する供給部であって、貯留された当該飲料を外部から視認可能な透過性を有するものと、
前記供給部を、外部に於ける上部に着脱自在に設置でき、前記飲料を排出する本体部とを少なくとも備え、
前記供給部が、
前記飲料を貯蔵するボトルと、
前記ボトルを被覆した状態で、前記本体部に着脱自在に設置可能なボトルカバーとを備え、
前記ボトル又はボトルカバーの少なくとも何れか一方が、400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の外光を遮断し、又は減衰させる光学フィルター機能を少なくとも一部に有する飲料ディスペンサ。
【請求項2】
前記ボトル又はボトルカバーの少なくとも何れか一方において、それらの表面及び/又は裏面には、前記光学フィルター機能を付与するためのカラーフィルターが設けられている請求項に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項3】
飲料を供給する供給部と、
前記供給部を着脱自在に設置でき、前記飲料を排出する本体部であって、当該飲料を外部から視認可能な透過性を有する部分を少なくとも一部に有しているものとを少なくとも備え、
前記本体部が、
前記飲料を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽内の前記飲料の水位を確認するための水位計と、
前記貯留槽及び水位計を収納する筐体とを少なくとも備え、
前記筐体の任意の位置には、前記視認可能な透過性を有する部分としての水位確認窓が、前記水位計を視認するために設けられており、
前記水位確認窓は、400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の外光を遮断し、又は減衰させる光学フィルター機能を有する飲料ディスペンサ。
【請求項4】
前記水位確認窓の表面及び/又は裏面には、前記光学フィルター機能を付与するためのカラーフィルターが設けられている請求項に記載の飲料ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料ディスペンサに関するものであり、より詳細には、微細藻類の繁殖を抑制することが可能な飲料ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料ディスペンサとしては、例えば、ミネラルウォーター等の飲料水、紅茶・コーヒー、ビール等の飲料を提供するものが挙げられる。これらの飲料ディスペンサのうち、飲料水ディスペンサ(又は飲料水サーバ)は、ミネラルウォーター等の飲料水を充填した大容量ボトル(7〜12L程度)を設置しておき、必要量を適時的にコップ等に採水して飲用されるものである。近年、このボトルを家庭や飲食店、病院、各種オフィスなどに配送して消費する形態が増えている。
【0003】
このような従来の飲料水ディスペンサとしては、例えば、下記特許文献1の図8に図示されたものが挙げられる。同図に示す飲料水ディスペンサによれば、ボトルから供給される飲料水は、飲料水ディスペンサ内に設けられた冷却機構により冷却されて冷水タンクに貯留されると共に、加熱機構により加熱されて温水タンクにも貯留される構造となっている。これにより、使用者は冷水と温水のいずれも採水可能となっている。
【0004】
使用される飲料水としては、天然水や、RO(Reverse Osmosis)水と呼ばれるミネラルウォーター等が挙げられる。天然水とは、山麓由来の地下水等をくみ上げ、フィルターなどでろ過するなどして得られる飲料水である。国内では、食品衛生法に定める一般生菌及び大腸菌の検査基準を満たしたものが、一般消費者向けの製品として認められている。また、RO水とは、水道水を原水としており、逆浸透膜(RO膜)で濾過させて、カルキ等の不純物を除去した後に、人工的にミネラル成分を添加した飲料水である。
【0005】
ここで、前記のような従来の飲料水ディスペンサにおいては、飲料水ボトルをユーザー自身が交換する場合が多い。しかし、飲料水ボトルと本体部を接続する容器接続部は、当該飲料水ボトルが設置されていないときは、大気に開放された状態となっている。そのため、微量の微細藻類や細菌等が、容器接続部から装置内に侵入する可能性がある。また、飲料水ボトルの外側に微細藻類等が付着している場合も、同様である。そして、微細藻類が装置内部に侵入した場合には、たとえ天然水等が予め殺菌処理等されていても、ボトルの内部等で、太陽光などの照射により光合成を起こして増殖するという問題がある。飲料水ディスペンサ内部が微細藻類等により汚染されると、これらを除去するのは困難である。特に、微細藻類が増殖すると、水の変色を伴うため視認しやすく、使用者からの苦情になりやすい。
【0006】
このような問題に対し、例えば、下記特許文献2においては、水タンク内の空気及び飲料水を、紫外線殺菌装置で殺菌する方法が開示されている。しかし、下記非特許文献1に示されているように、紫外線照射した水はナチュラルミネラルウォーターを謳えず商品価値が低下する上、照射前と比較して味が変化するという問題がある。また、下記特許文献2には、飲料水ディスペンサの内部を循環する飲料水を、フィルターに透過させることにより、当該飲料水ディスペンサ内の細菌類(藻類を含む)の数を減少させる方法も開示されている。しかし、フィルターの材質によってはその劣化や目詰まりによる除菌能力の低下、飲料水への臭い移りなどの問題がある。
【0007】
また、下記特許文献3では、飲料水ディスペンサの配管及び冷水タンクを、加熱した水で加熱殺菌する方法が開示されている。しかし、配管又は冷水タンクを流れる熱水の流れが均一でないため、殺菌不足が生じる懸念がある。また、一度加熱した水はいわゆる湯冷ましと呼ばれ、加熱前と比較して味が変化し、商品価値が低下するという問題がある。
【0008】
下記特許文献4では、飲料水ディスペンサ内でオゾンを発生させ、飲料水中にディヒューザで拡散することで水を殺菌する方法が開示されている。しかし、飲料水にオゾンの臭いが移るという問題がある。また、飲料水ディスペンサの接水部には、耐オゾン性を有するものを用いる必要があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−255960号公報
【特許文献2】特開2000−85893号公報
【特許文献3】特開2014−189280号公報
【特許文献4】特表2005−521017号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン(農林水産省局長通達食流第1701号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、微細藻類の増殖を抑制することが可能な飲料ディスペンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題は、以下に述べる発明により解決される。
即ち、本発明に係る飲料ディスペンサは、前記の課題を解決する為に、飲料を供給する供給部であって、貯留された当該飲料を外部から視認可能な透過性を有するものと、前記供給部を着脱自在に設置でき、前記飲料を排出する本体部とを少なくとも備え、前記供給部が、400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の外光を遮断し、又は減衰させる光学フィルター機能を少なくとも一部に有することを特徴とする。
【0013】
例えば、藍藻等の光合成を行う微細藻類は、植物の葉緑体と同様、クロロフィルa及びクロロフィルbと呼ばれる色素を有しており、光合成を行うための光吸収を可能にする固有の波長域がある。具体的には、クロロフィルaは430nm(青系色)と660nm(赤系色)に、クロロフィルbは460nmと645nmにそれぞれ吸収ピークがあるため、藍藻等の微細藻類は、400nm〜500nmの波長域と、600nm〜700nmの波長域の光を吸収して光合成を行い、増殖する。
【0014】
本発明によれば、前記構成の通り、飲料を供給する供給部は、400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の外光を遮断し、又は減衰させる光学フィルター機能を少なくとも一部に有している。そのため、供給部に藍藻等の微細藻類が存在していても、光合成による増殖を抑制することができる。また、供給部の光学フィルター機能は、前記波長域の光を遮断又は減衰させるものであるので、少なくともその他の波長域の光は透過させることができる。これにより、供給部に貯留されている飲料を外部から視認することが可能であり、視認できない場合の取り扱い性の低下を防止することができる。
【0015】
また、前記の構成によれば、供給部に光学フィルター機能を付与するだけで微細藻類の増殖を防止又は抑制することができるので、飲料ディスペンサの大幅な設計変更を必要としない。そのため、容易に実施することができる。さらに、微細藻類の増殖を防止又は抑制するために、さらなる電力を必要とすることもないので、従来と同じ様に運用できる。
【0016】
尚、前記「外部から視認可能な透過性を有する」とは、光学フィルター機能により400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の外光が遮断又は減衰されていても、外部から供給部に貯留されている飲料の存在を目視で確認できる程度の透過性を有することを意味する。また、「外光」とは、供給部の外部から入射する光を意味する。また、前記「飲料」とは、水、ビール等の発泡性飲料、紅茶、コーヒー等を含む。
【0017】
前記の構成に於いては、前記供給部が、前記飲料を貯蔵するボトルと、前記ボトルを被覆した状態で、前記本体部に着脱自在に設置可能なボトルカバーとを備え、前記ボトル又はボトルカバーの少なくとも何れか一方が前記光学フィルター機能を有することが好ましい。
【0018】
前記の構成によれば、ボトルカバーが光学フィルター機能を有している場合、ボトルが400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の光を透過させるものであっても、微細藻類の増殖を防止又は抑制することができる。さらに、ボトルカバーはボトルを覆う様に設置するので、本体部に設置された状態の当該ボトルを保護することができる。また、ボトルが光学フィルター機能を有している場合にも、本体部への設置後に外部から侵入した微細藻類の増殖を防止又は抑制することができる。
【0019】
さらに、前記ボトル又はボトルカバーの少なくとも何れか一方において、それらの表面及び/又は裏面には、前記光学フィルター機能を付与するためのカラーフィルターが設けられていることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る他の飲料ディスペンサは、前記の課題を解決する為に、飲料を供給する供給部と、前記供給部を着脱自在に設置でき、前記飲料を排出する本体部であって、当該飲料を外部から視認可能な透過性を有する部分を少なくとも一部に有しているものとを少なくとも備え、前記視認可能な透過性を有する部分の少なくとも一部に、400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の外光を遮断し、又は減衰させる光学フィルター機能を有することを特徴とする。
【0021】
前記の構成によれば、本体部は、飲料を外部から視認可能な透過性を有する部分を少なくとも一部に有しており、さらに、当該視認可能な透過性を有する部分の少なくとも一部に、前記光学フィルター機能が付与されているので、藍藻等の微細藻類の光合成による増殖を抑制することができる。また、本体部の光学フィルター機能は、前記波長域の光を遮断又は減衰させるものであるので、少なくともその他の波長域の光は透過させることができる。これにより、飲料を本体部の外部から視認することが可能であり、視認できない場合の取り扱い性の低下を防止することができる。
【0022】
また、前記の構成によれば、本体部に光学フィルター機能を付与するだけで微細藻類の増殖を防止又は抑制することができるので、飲料ディスペンサの大幅な設計変更を必要としない。そのため、容易に実施することができる。さらに、微細藻類の増殖を防止又は抑制するために、さらなる電力を必要とすることもないので、従来と同じ様に運用できる。
【0023】
前記の構成に於いては、前記本体部が、前記飲料を貯留する貯留槽と、前記貯留槽内の前記飲料の水位を確認するための水位計と、前記貯留槽及び水位計を収納する筐体とを少なくとも備え、前記筐体の任意の位置には、前記視認可能な透過性を有する部分としての水位確認窓が、前記水位計を視認するために設けられており、前記水位確認窓は前記光学フィルター機能を有していることが好ましい。
【0024】
前記の構成によれば、本体部の貯留槽には水位計が設けられ、筐体には水位確認窓が設けられているので、当該水位確認窓から筐体内部にある水位計を視認することにより、貯留槽内の飲料の水位を確認することができる。ここで、水位確認窓は光学フィルター機能を有しているので、400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の外光が、当該水位確認窓を介して本体部の内部に進入するのを遮断し、又は減衰させる。その結果、本発明は、たとえ本体部の設置後に外部から微細藻類等が侵入したとしても、その増殖を防止又は抑制することができる。
【0025】
さらに、前記の構成に於いては、前記水位確認窓の表面及び/又は裏面には、前記光学フィルター機能を付与するためのカラーフィルターが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明の飲料ディスペンサによれば、飲料を供給する供給部は、400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の外光を遮断し、又は減衰させる光学フィルター機能を少なくとも一部に有しているので、供給部に微細藻類が存在していても、光合成による増殖を抑制することができる。また、本発明の飲料ディスペンサは、供給部に光学フィルター機能を付与するだけであるので、従来の飲料ディスペンサから大幅な設計変更を行う必要がない。そのため、容易に実施することができる。さらに、微細藻類の増殖を防止又は抑制するために、さらなる電力を必要とすることもないので、従来と同じ様に運用できる。
【0027】
また、本発明の他の飲料ディスペンサによれば、飲料が本体部の外部から視認可能な状態であっても、当該本体部には、視認可能な透過性を有する部分の少なくとも一部に、400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の外光を遮断し、又は減衰させる光学フィルター機能を有しているので、本体部に微細藻類が存在していても、光合成による増殖を抑制することができる。また、本発明の他の飲料ディスペンサは、本体部の外部から視認可能な部分に光学フィルター機能を付与するだけであるので、従来の飲料ディスペンサから大幅な設計変更を行う必要がない。そのため、容易に実施することができる。さらに、微細藻類の増殖を防止又は抑制するために、さらなる電力を必要とすることもないので、従来と同じ様に運用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態1に係る飲料ディスペンサの全体構成を示す断面模式図である。
図2】本発明の実施の形態2に係る飲料ディスペンサの要部構成を示す部分断面模式図である。
図3】前記飲料水ディスペンサの全体構成を示す斜視図である。
図4】同図(a)は、本発明の実施例1に係るカラーフィルターの透過光における波長と相対光強度の関係を表すグラフであり、同図(b)は、微細藻類を1週間培養したときのコロニーの様子を表す図面代用写真である。
図5】前記実施例1で使用した白色LED光の波長と相対光強度の関係を表すグラフである。
図6】同図(a)は、本発明の実施例2に係るカラーフィルターの透過光における波長と相対光強度の関係を表すグラフであり、同図(b)は、微細藻類を1週間培養したときのコロニーの様子を表す図面代用写真である。
図7】比較例1において、微細藻類を1週間培養したときのコロニーの様子を表す図面代用写真である。
図8】同図(a)は、比較例2において、遮光したときのシャーレ内部での光の波長と相対光強度の関係を表すグラフであり、同図(b)は、微細藻類を1週間培養したときのコロニーの様子を表す図面代用写真である。
図9】同図(a)は、比較例3に係る白色樹脂板の透過光における波長と相対光強度の関係を表すグラフであり、同図(b)は、微細藻類を1週間培養したときのコロニーの様子を表す図面代用写真である。
図10】同図(a)は、比較例4に係るカラーフィルターの透過光における波長と相対光強度の関係を表すグラフであり、同図(b)は、微細藻類を1週間培養したときのコロニーの様子を表す図面代用写真である。
図11】同図(a)は、比較例5に係るカラーフィルターの透過光における波長と相対光強度の関係を表すグラフであり、同図(b)は、微細藻類を1週間培養したときのコロニーの様子を表す図面代用写真である。
図12】同図(a)は、比較例6に係るカラーフィルターの透過光における波長と相対光強度の関係を表すグラフであり、同図(b)は、微細藻類を1週間培養したときのコロニーの様子を表す図面代用写真である。
図13】同図(a)は、比較例7に係るカラーフィルターの透過光における波長と相対光強度の関係を表すグラフであり、同図(b)は、微細藻類を1週間培養したときのコロニーの様子を表す図面代用写真である。
図14】同図(a)は、比較例8に係るカラーフィルターの透過光における波長と相対光強度の関係を表すグラフであり、同図(b)は、微細藻類を1週間培養したときのコロニーの様子を表す図面代用写真である。
図15】同図(a)は、比較例9に係るカラーフィルターの透過光における波長と相対光強度の関係を表すグラフであり、同図(b)は、微細藻類を1週間培養したときのコロニーの様子を表す図面代用写真である。
図16】波長664nmにおける吸光度と、コロニー数との関係を示す検量線を表すグラフである。
図17】静置培養の経過日数と菌数との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、ミネラルウォーター等の飲料水に用いられる飲料水ディスペンサを例にして、図1に基づき以下に説明する。
図1は、飲料水ディスペンサの全体構成を示す断面模式図である。
【0030】
同図に示すように、本実施の形態の飲料水ディスペンサ10は、飲料水15を供給するための供給部11と、当該供給部11を着脱自在に設置することが可能な本体部12とを少なくとも備える構成である。
【0031】
供給部11は、飲料水15を貯蔵するボトル13と、本体部12に着脱自在に設置可能なボトルカバー14とを備える。
【0032】
ボトル13は、本体部12に着脱自在に設置されている。より詳細には、ボトル13は、図1に示すように、注水口16が下向きとなる状態で、本体部12の上部における注水口受け17に取り付けられる。注水口受け17の中央部には、ボトル13の注水口16に差し込み、飲料水15を取り入れるための取水管18が立設されている。取水管18によって取り込まれた飲料水15は、貯留槽21に貯留される。
【0033】
ボトル13は、内部に貯留されている飲料水15を外部から視認可能な透過性を有している。外部から視認可能な透過性とは、ボトル13の外部から飲料水15の存在を目視で確認できる程度の透過性を意味する。ボトル13の構成材料としては特に限定されず、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0034】
ボトル13の厚さは特に限定されず、硬質容器とするか軟質容器とするか等の理由により、適宜設定することができる。ボトル13として硬質容器を用いる場合、その厚さは、機械的強度や形状保持性が確保され、破損しない範囲内であれば特に限定されない。これにより、飲料水15の供給により、当該飲料水15が減少し、ボトル13内部の圧力が低下しても、当該ボトル13は減容しない。そのため、大気圧と、飲料水の重力及びボトル13内の空気の圧力とのバランスを取りやすく、取水管18の下端に貯留槽21(詳細については後述する。) の水位が達したときに、ボトル13から貯留槽21への飲料水の供給を速やかに停止することができる。また、ボトル13として軟質容器を用いる場合においても、その厚さは、硬質容器よりも薄く、かつ、機械的強度や形状保持性が確保され、破損しない範囲内であれば特に限定されない。
【0035】
ボトル13のサイズについては特に限定されず、飲料水15の貯蔵量等に応じて、適宜設定することができる。
【0036】
ボトルカバー14は、本体部12の筐体19の上部に着脱自在に載置されている。また、ボトルカバー14は、ボトル13を外嵌被覆することで、当該ボトル13を保護している。さらに、ボトルカバー14の形状及びサイズは、少なくともボトル13を外嵌被覆することができれば、特に限定されない。本実施の形態では、ボトルカバー14の全体形状は、略立方体状となっており、かつ、その外面が筐体19の外面と面一となる様にサイズ設定されている。
【0037】
また、ボトルカバー14は、光学フィルター機能を有している。光学フィルター機能は、ボトルカバー14を透過する光の反射、透過、屈折等の現象を制御するフィルターであって、400nm〜500nm、好ましくは420nm〜470nmの波長域及び600nm〜700nm、好ましくは640nm〜690nmの波長域の外光を遮断し、又は減衰させる機能を有している。微細藻類は、430nm及び660nmの波長の光に対し吸収ピークを有するクロロフィルaと、460nm及び645nmの波長の光に対し吸収ピークを有するクロロフィルbとを有しており、400nm〜500nmの波長域と、600nm〜700nmの波長域の光を吸収して光合成を行うので、前記の光学フィルター機能により、当該光合成が行われるのを防止し、微細藻類の増殖を抑制することができる。
【0038】
ボトルカバー14の構成材料としては特に限定されず、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0039】
本実施の形態に於いて、光学フィルター機能は、ボトルカバー14を着色することにより付与されている。着色する色については、400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の光が有する色に対して、それらの補色に相当するものを選択するのが好ましい。具体的には、赤色(R)の補色はシアン(C)であり、青色の(B)補色は黄色(Y)である。そして、シアン(C)と黄色(Y)を合成すると緑色になる。従って、赤色の波長域(600nm〜700nm)の光と青色の波長域(400nm〜500nm)の光を同時にカットするには、500nm〜600nmの範囲内にピークを有する色に着色するのがより好ましいと考えられる。微細藻類の増殖を防止する観点からは、ボトルカバー14を黒色に着色して、可視光域の全ての波長の外光を遮光する方法も考えられる。しかし、その場合、ボトル13内部の飲料水15を視認することが困難になり、取り扱い性が低下するので好ましくない。尚、ボトルカバー14への着色は、全面に行うのが好ましいが、本実施の形態は、当該ボトルカバー14の表面の一部を着色する場合や、ボトルカバー14の表面の一部を除いて着色する場合を除外するものではない。後者の場合、着色しない部分からボトルカバー14の内部を視認することで、充填されている飲料水の残量を確認することが可能になる。
【0040】
ボトルカバー14の着色方法については特に限定されず、例えば、カラーフィルターをボトルカバー14の表面及び/又は裏面に貼り付けることにより、光学フィルター機能を付与することが可能である。また、ボトルカバー14の高分子材料に着色剤を溶融混練することによっても着色可能である。着色剤としては特に限定されず、例えば、プラスチック等に一般に使用される染料や有機又は無機顔料を用いることができる。また、着色剤の添加量は、外部から視認可能な透過性を確保できる範囲内で、後述の光なる様に適宜設定することができる。さらに、ボトルカバー14の着色は、成形された透明なボトルカバー14の表面及び/又は裏面に、前記着色剤を含む塗布液を塗布することによっても着色可能である。尚、ボトルカバー14の製造方法としては特に限定されず、例えば、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、ブロー成形、射出ブロー成形、延伸ブロー成形、押出し成形、回転成形、RIM成形、トランスファー成形等の従来公知の成形方法が挙げられる。
【0041】
ボトルカバー14の光透過率は、例えば、ボトルカバー14が緑色に着色され、これにより400nm〜470nmの波長域及び640nm〜700nmの波長域の外光を遮断する光学フィルター機能を備えている場合、10%〜90%の範囲内が好ましく、12%〜65%の範囲内がより好ましい。また、ボトルカバー14の光透過率は、例えば、ボトルカバー14が濃黄色に着色され、これにより400nm〜490nmの波長域の外光を遮断し、かつ、630nm〜680nmの波長域の外光を減衰させる光学フィルター機能を備えている場合、35%〜90%の範囲内が好ましく、35%〜65%の範囲内がより好ましい。ボトルカバー14の着色を緑色とし供給部の光透過率を10%以上とした場合、又は濃黄色とし光透過率を35%以上とした場合、ボトルカバー14内にあるボトル15を視認することができる。従って、前述の「外部から視認可能な透過性」とは、ボトルカバー14の着色が緑色である場合には、光透過率が10%以上であり、濃黄色である場合には光透過率が35%以上であると言い換え得る。その一方、ボトルカバー14の着色を緑色又は黄色とし、ボトルカバー14の光透過率を90%以下とした場合、微細藻類の発生を抑制することができる。尚、前記光透過率とは、JIS K 7361−1(1997(ISO 13468−1に対応))の「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率をいう。また、ボトルカバー14の光透過率は、着色量(フィルターを用いる場合は当該フィルターを重ねて使用するときの枚数等)により制御可能である。
【0042】
ボトルカバー14の厚さは、外光の透過率を考慮して適宜設定することができる。具体的には、1mm〜5mmの範囲内が好ましく、2mm〜3mmの範囲内がより好ましい。
【0043】
本体部12は、すでに前述した通り、筐体19と、注水口受け17と、ボトル13から供給される飲料水15を冷却し冷却水として貯留する貯留槽21と、当該飲料水15を加熱し、温水として貯留する温水槽22と、当該冷却水及び温水を給水するための給水部23とを少なくとも備える。
【0044】
貯留槽21の内部にはセパレータ24が設けられており、当該貯留槽21で貯留されている飲料水15を、常温で貯留する常温水層24aと、冷却して貯留する冷却水層24bに区分している。常温水層24aの飲料水15は温水槽22に供給され、設定された温度に加熱されて温水として貯留される。また、冷却水層24bの飲料水15は、貯留槽21において、冷却管25により、設定された温度に冷却されて冷却水として貯留される。
【0045】
以上の通り、本実施の形態の飲料水ディスペンサ10によれば、供給部11におけるボトルカバー14は、400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の外光を遮断し、又は減衰させる光学フィルター機能を少なくとも一部に有しているので、たとえ内部に微細藻類が存在したとしても、光合成による増殖を防止又は抑制することができる。
【0046】
尚、本実施の形態に於いては、ボトルカバー14が光学フィルター機能を有する場合を例にして説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、ボトル13が光学フィルター機能を有していてもよい。あるいは、ボトル13及びボトルカバー14の両方が、光学フィルター機能を有していてもよい。これらの場合においても、供給部11としては、ボトル13の内部に貯留されている飲料水15を外部から視認可能な程度に透過性を有していることが好ましい。すなわち、例えば、ボトル13が光学フィルター機能を有する場合、ボトル13及びボトルカバー14の両方を透過する光の光透過率は、着色が緑色の場合では10%〜90%の範囲内が好ましく、12%〜65%の範囲内がより好ましい。また、着色が濃黄色の場合では、前記光透過率は、35%〜90%の範囲内が好ましく、35%〜65%の範囲内がより好ましい。尚、ボトル13及びボトルカバー14の両方が、緑色又は黄色の光学フィルター機能を有している場合についても、供給部11の光透過率は、前記数値範囲内であることが好ましい。
【0047】
ボトル13に対する光学フィルター機能の付与は、ボトルカバー14の場合と同様、その高分子材料に着色剤を溶融混練することにより着色可能である。また、着色剤を含む塗布液を塗布したり、カラーフィルターを貼り付けたりすることによっても光学フィルター機能を付与することができる。但し、塗布液の塗布やカラーフィルターの貼り付けは、ボトル13の外側に行うのが好ましい。
【0048】
前記カラーフィルターとしては、400nm〜500nmの波長域及び600nm〜700nmの波長域の外光を遮断し、又は減衰させる光学フィルター機能を有するものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、ポリカーボネート、セロファン等からなるものが挙げられる。カラーフィルターの厚さも特に限定されず、適宜設定することができる。
【0049】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る飲料水ディスペンサについて、図2及び図3に基づき以下に説明する。図2は、本発明の実施の形態2に係る飲料ディスペンサの要部構成を示す部分断面模式図である。図3は、前記飲料水ディスペンサの全体構成を示す斜視図である。尚、前記実施の形態1の飲料水ディスペンサと同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0050】
図2及び図3に示すように、本実施の形態の飲料水ディスペンサ30は、前記実施の形態1の飲料水ディスペンサ10と比較して、本体部31の少なくとも一部が光学フィルター機能を有している点が異なる。
【0051】
より具体的には、本体部31の筐体32における側面部36の任意の位置に水位確認窓35が設けられており、当該水位確認窓35の表面の全面にはカラーフィルターが設けられている。
【0052】
水位確認窓35は平面視において長方形状となっており、外部から視認可能な程度に透過性を有している。水位確認窓35に設けられるカラーフィルターとしては、前記実施の形態1において述べたものと同様のものを用いることができる。尚、水位確認窓35の形状、大きさ及び位置については特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。また、カラーフィルターは、水位確認窓35の裏面、又は表面及び裏面の両方に設けられていてもよい。
【0053】
一方、本体部31の貯留槽33の側部には、当該貯留槽33内に貯留されている飲料水15の水位を確認するための水位計34が設けられている。水位計34は、貯留槽の下層部38及び上層部39と連通し一部が透明な連通管34aで構成される。連通管34aは、側面視で縦長形状の略コの字状であり、その下端が貯留槽33の下層部38と連通し、上端が貯留槽33の上層部39と連通している。
【0054】
連通管34aは、少なくとも、貯留槽33の側壁と略平行な部分において、鉛直方向に、ガラス管等の透明管を用いられていることが好ましい。また、連通管34aにおける前記略平行な部分は、水位確認窓35の長辺方向に対しても、略平行となる様に対抗配置されており、これにより、当該水位確認窓35を介して、連通管34aを外部から視認することができる。そして、連通管34aにおける略平行な部分を、水位確認窓35を介して外部から視認することにより、貯留槽33内の飲料水の水位を確認することができる。また、水位確認窓35には、前述の通り、カラーフィルターが設けられているので、貯留槽33等内において微細藻類が増殖するのを抑制することができる。
【0055】
本実施の形態において、連通管34aは、その全体が透明管からなるものであってもよい。また、透明管には、水位を読み取るための目盛りが付されていてもよい。さらに、連通管34aの直径及び長さは特に限定されず、貯留槽33や水位確認窓35の大きさ等に応じて、適宜設定することができる。
【0056】
尚、本実施の形態に於いては、本体部31の筐体32における側面部36の一部に水位確認窓35を設けた態様について説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、筐体32の正面部37の任意の位置に水位確認窓35を設けてもよい。また、水位確認窓35は複数であってもよい。この場合、全ての水位確認窓35にカラーフィルター等の光学フィルター機能を設けるのが好ましい。これらの態様においては、水位確認窓35の設置位置に応じて、貯留槽21に設けられる水位計34も適宜配置される。
【0057】
さらに、筐体32の両側面部36及び/又は正面部37の全面が、外部から視認可能な程度に透過性を有するものであってもよい。この場合、両側面部36及び/又は正面部37の全面が、光学フィルター機能を有するものであることが好ましい。また、ボトルカバー14が着色されることにより、ボトル13を外部から視認することができない場合でも、水位確認窓35を介して飲料水15の水位を確認することができ、かつ、微細藻類の増殖も防止することができる。
【0058】
(その他の事項)
各実施の形態においては、飲料水ディスペンサを例にして説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、ビールサーバー等にも使用可能である。
【実施例】
【0059】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、下記の実施例に記載されている材料等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
【0060】
(実施例1)
本実施例においては、微細藻類として、環境から分離した藍藻類を用いた。先ず、微細藻類を標準寒天培地(BD)に塗抹し、室温にて1週間培養した。培養の際には、シャーレ(直径8.7cm)の底面にカラーフィルター(商品名;ウルトラカラー、厚さ100μm、日本コーバン(株)製)を2重に貼付し、当該カラーフィルターを介して、シャーレに白色LED光を連続照射した。
【0061】
カラーフィルターとしては、図4(a)に示す様に、400nm〜470nmの波長域及び640nm〜700nmの波長域の外光を遮断する光学フィルター機能を備えた緑色のものを用いた。同図(a)に示す光波長と相対光強度の関係は、透過光の波長を分光放射測定器(型番MK−350、UPRtek(株)製)で測定して求めたものである。尚、照射する白色LED光としては、図5に示す波長域の光を有し、かつ、放射照度が8289ルクス(lx)のものを用いた。
【0062】
また、本実施例で使用したカラーフィルターに白色LED光を照射したときの透過光の照度及び光透過率は、下記表1に示す通りである。尚、照度は、分光放射測定器(型番MK−350、UPRtek(株)製)を用いて測定した値である。また、光透過率(%)は、(2枚のカラーフィルター透過後の照度)/(カラーフィルターなしの照度)×100の式により算出した値である。
【0063】
続いて、1週間後の培地における微細藻類の増殖の程度を評価した。具体的には、シャーレの底面積に対する微細藻類のコロニーの面積の割合(藻占有率(%))を算出した。また、シャーレの面積及び微細藻類のコロニーの面積は、PhotoShop(登録商標)CS3(Adobe Systems Incorporated製)を用いて算出した。結果を下記表2及び図4(b)に示す。
【0064】
(実施例2)
本実施例においては、カラーフィルターとして、下記表1に示す光透過率を有し、かつ、図6(a)に示す様に、400nm〜485nmの波長域の外光を遮断し、かつ、 640nm〜690nmの波長域の外光を減衰させる光学フィルター機能を備えたものを用いた。それ以外は実施例1と同様にして、微細藻類の増殖の程度を評価した。結果を下記表2及び図6(b)に示す。
【0065】
(比較例1)
本比較例においては、カラーフィルターを用いなかった。それ以外は実施例1と同様にして、微細藻類の増殖の程度を評価した。結果を下記表2及び図7に示す。
【0066】
(比較例2)
本比較例においては、シャーレ全体をアルミホイルで包み、白色LED光が内部を照射しない様にした。それ以外は実施例1と同様にして、微細藻類の増殖の程度を評価した。尚、アルミホイルで被覆された内部での光の波長と相対光強度の関係を図8(a)に示す。また、本比較例の結果を下記表2及び図8(b)に示す。
【0067】
(比較例3)
本比較例においては、カラーフィルターに代えて、前記表1に示す光透過率を有し、かつ、図9(a)に示す波長域の外光を遮断又は減衰させる白色樹脂板(テフロン(登録商標)、厚さ1mm)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、微細藻類の増殖の程度を評価した。結果を下記表2及び図9(b)に示す。
【0068】
(比較例4〜9)
比較例4〜9においては、カラーフィルターとして、前記表1に示す光透過率を有し、かつ、図10(a)〜図15(a)にそれぞれに示す波長域の外光を遮断又は減衰させる光学フィルター機能を備えたものを用いた。それ以外は実施例1と同様にして、微細藻類の増殖の程度を評価した。結果を下記表2、表3及び図10(b)〜図15(b)に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
(吸光度とコロニー数の検量線の作成)
吸光度とコロニー数の検量線の作成は、微細藻類として、環境から単離した藍藻類を用いて行った。すなわち、先ず、ガラス瓶に充填した滅菌天然水に、微細藻類を添加した。ガラス瓶は予め滅菌しており、外径40mm、開口部までの高さ120mmの寸法のものを用いた。
【0073】
次に、白色LEDを用いて藍藻類の静置培養を行い、培養液を作成した。静置培養は、温度25℃の環境下で、滅菌天然水が緑色に変色し、藍藻類が視認できる程度まで行った。また、照射する白色LED光としては、図5に示す波長域の光を有し、かつ、放射照度が6800ルクス(165μmol/m・sec)のものを用いた。
【0074】
次に、作成した培養液の一部を採取し、当該培養液に滅菌した天然水加えて、1倍、10倍及び100倍に希釈した希釈液をそれぞれ作成した。これらの希釈液について、藍藻類の最大吸収波長である664nmでの吸光度を、吸光光度計(商品名:スペクトロナビMK−350、UPRtek製)を用いてそれぞれ計測した。結果を下記表4に示す。
【0075】
【表4】
【0076】
その後、各希釈液から1mlずつを取り出し、それぞれR2A寒天培地に塗布し、前記白色LEDを用いて培養を行った。培養条件は、温度25℃、培養時間72時間とした。培養後、それぞれのR2A寒天培地の生菌数(コロニー)を計測した。さらに、それぞれ測定した波長664nmでの吸光度と、コロニー数から検量線を作成した(図16参照)。
【0077】
(実施例3)
先ず、滅菌した天然水(エア・ウォーター(株)製)70mlに、検量線作成の際に用いた藍藻類を30個/mlになるように添加し、滅菌瓶に充填した。次に、実施例2で使用した濃黄色のカラーフィルターを4枚重ね、これを滅菌瓶の側面に巻き付け、試験サンプルとした。さらに、4枚のカラーフィルターを介して、滅菌瓶に白色LED光を連続照射して、25℃で静置培養を行った。
【0078】
静置培養においては、下記表5に示す経過日数毎に、波長664nmでの吸光度を経時的に測定し、図16に示す検量線から微細藻類の細胞数を算出した。結果を下記表6及び図17に示す。
【0079】
尚、照射する白色LED光としては、図5に示す波長域の光を有し、かつ、放射照度が6800ルクス(165μmol/m・sec)のものを用いた。また、濃黄色のカラーフィルターを4枚重ねたときの光透過率(%)は、実施例1の場合と同様の方法にて算出した結果、64.1%であった(下記表5参照)。また、表6中の視認性の評価については、屋内通常光下で、外部から滅菌瓶内部の液面を視認できる場合を○とし、できない場合を×とした。
【0080】
(実施例4)
本実施例においては、濃黄色のカラーフィルターの使用枚数を5枚に変更した。それ以外は、前記実施例3と同様の方法にて、波長664nmでの吸光度を経時的に測定し、図16に示す検量線から微細藻類の細胞数を算出した。結果を下記表6及び図17に示す。尚、濃黄色のカラーフィルターを5枚重ねたときの光透過率(%)は、実施例1の場合と同様の方法にて算出した結果、59.0%であった(下記表5参照)。
【0081】
(比較例10)
本比較例においては、実施例1で使用した緑色のカラーフィルターを5枚重ねたものに変更した。それ以外は、前記実施例3と同様の方法にて、波長664nmでの吸光度を経時的に測定し、図18に示す検量線から微細藻類の細胞数を算出した。結果を下記表6及び図19に示す。尚、濃黄色のカラーフィルターを5枚重ねたときの光透過率(%)は、実施例1の場合と同様の方法にて算出した結果、7.1%であった(下記表5参照)。
【0082】
(比較例11)
本比較例においては、比較例4で使用した黒色のカラーフィルターを2枚重ねたものに変更した。それ以外は、前記実施例3と同様の方法にて、波長664nmでの吸光度を経時的に測定し、図16に示す検量線から微細藻類の細胞数を算出した。結果を下記表6及び図17に示す。尚、濃黄色のカラーフィルターを5枚重ねたときの光透過率(%)は、実施例1の場合と同様の方法にて算出した結果、10.7%であった(下記表5参照)。
【0083】
(比較例12)
本比較例においては、カラーフィルターを用いずに、滅菌瓶に対し直接白色LED光を照射した。それ以外は、前記実施例3と同様の方法にて、波長664nmでの吸光度を経時的に測定し、図16に示す検量線から微細藻類の細胞数を算出した。結果を下記表6及び図17に示す。
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】
【0086】
(結果)
図4図15及び表2、表3の結果から、微細藻類の増殖速度を抑制する効果は、アルミホイルによる遮光の場合が最も大きく、次いで、黄色のカラーフィルター、緑色のカラーフィルターが、順次、微細藻類の増殖を抑制することが分かった。
【0087】
クロロフィルaは430nm(青系色)と660nm(赤系色)に、クロロフィルbは460nmと645nmにそれぞれ吸収ピークがある。そのため、420nm〜470nmの波長域と、640nm〜690nmの波長域の光の透過を遮断し、又は減衰させるカラーフィルター、具体的には、緑色及び濃黄色のカラーフィルターを用いることで、微細藻類の光合成量を抑制できることが、各実施例及び比較例から確認された。尚、比較例1では、多くの細菌類が増殖可能な栄養素を含む標準寒天培地上で行っているため、遮光しても微細藻類が従属栄養的に増殖したものと考えられる。
【0088】
また、表6及び図17の結果から分かる通り、微細藻類の増殖は、カラーフィルターを用いなかった比較例12の場合を除けば、緑色、黒色、黄色、青色の順に抑制されていることが確認された。また、実施例3及び4の場合では、光透過率が小さい実施例4において、微細藻類の増殖が一層抑制されていた。しかし、比較例11の黒色及び比較例10の緑色のカラーフィルターについては視認性に乏しく、これらのカラーフィルターを本発明の飲料ディスペンサに適用した場合には、飲料水を外部から視認することが困難になる。そのため、比較例11の黒色及び比較例10の緑色のカラーフィルターは実用に耐えることができない。一方、実施例3及び4の濃黄色のカラーフィルターの場合では、視認性を確保しながら、概ね、光透過率が11〜65%の範囲で、微細藻類の増殖を抑制できることが確認された。しかし、視認性を損なわない範囲内で、濃黄色のカラーフィルターと同じ波長域の光を遮断ないし減衰させる光学フィルター機能を備えた、光透過率の小さいカラーフィルターを用いれば、微細藻類の増殖抑制効果は一層向上するものと考えられる。
【符号の説明】
【0089】
10 飲料水ディスペンサ(飲料ディスペンサ)
11 供給部
12 本体部
13 ボトル
14 ボトルカバー
15 飲料水
16 注水口
17 注水口受け
18 取水管
19 筐体
21 貯留槽
22 温水槽
23 給水部
24 セパレータ
24a 常温水層
24b 冷却水層
25 冷却管


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17