特許第6779841号(P6779841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6779841衝撃吸収パッド、衝撃吸収パッド成形金型、および衝撃吸収パッドの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779841
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】衝撃吸収パッド、衝撃吸収パッド成形金型、および衝撃吸収パッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/04 20060101AFI20201026BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20201026BHJP
   B29C 44/02 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   B60R21/04 330
   B29C44/00 G
   B29C44/02
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-158830(P2017-158830)
(22)【出願日】2017年8月21日
(65)【公開番号】特開2019-34695(P2019-34695A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2019年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 康裕
(72)【発明者】
【氏名】野呂 健太
【審査官】 鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−138838(JP,A)
【文献】 特開平09−207695(JP,A)
【文献】 特開2013−121746(JP,A)
【文献】 特開平08−156002(JP,A)
【文献】 特開平08−132453(JP,A)
【文献】 特開2011−121485(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/016158(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/02,21/04
B29C 44/00,44/02,44/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられる衝撃吸収パッドであって、
発泡体と、前記発泡体を支持するフレームとを備え、
前記フレームは、前記発泡体に埋まる埋設部と、前記発泡体から突出する突出部とを有し、前記突出部には、前記衝撃吸収パッドの成形において金型の第1フレーム支持部で支持される第1被支持部が設けられ、前記埋設部には、前記衝撃吸収パッドの成形において前記金型の第2フレーム支持部で支持される第2被支持部が設けられ、
前記発泡体は、前記フレームの前記第2被支持部にまで延びる孔を有する
衝撃吸収パッド。
【請求項2】
前記第2被支持部には、前記衝撃吸収パッドの成形時に金型の前記第2フレーム支持部と係合する係合部が設けられている
請求項1に記載の衝撃吸収パッド。
【請求項3】
前記係合部は、貫通孔として構成され、前記発泡体の孔は、前記フレームの前記第2被支持部まで達する主孔部と、前記主孔部から更に延びて前記貫通孔を挿通する挿通部とを有する
請求項2に記載の衝撃吸収パッド。
【請求項4】
前記第2被支持部には、前記貫通孔の横に、金型の前記第2フレーム支持部が当接する当接部が設けられる
請求項3に記載の衝撃吸収パッド。
【請求項5】
前記係合部は、前記第2被支持部におけるフレーム側面を含み、前記発泡体の孔は、前記第2被支持部まで達する主孔部と、前記主孔部から更に延びて前記第2被支持部におけるフレーム側面に沿う溝部とを有する
請求項2に記載の衝撃吸収パッド。
【請求項6】
前記フレームの前記埋設部は、分岐のない形状であり、前記第2被支持部は、前記埋設部と前記突出部との境界から、前記埋設部の長さの1/4よりも遠くに離れたところに設けられている
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の衝撃吸収パッド。
【請求項7】
前記第1被支持部は、前記突出部の根本に設けられ、前記突出部の根本の角度は、前記突出部が突出するところの面に垂直な線に対して−45度以上+45度以下である
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の衝撃吸収パッド。
【請求項8】
前記突出部は、前記衝撃吸収パッドを被固定部に固定するための第1締結部を有し、前記発泡体は、前記衝撃吸収パッドを被固定部に固定するための第2締結部を有する
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の衝撃吸収パッド。
【請求項9】
発泡体と、前記発泡体を支持するフレームとを備え、前記フレームは、前記発泡体に埋まる埋設部と、前記発泡体から突出する突出部とを有し、車両に取り付けられる衝撃吸収パッドを形成するための衝撃吸収パッド成形金型であって、
前記フレームを支持する第1型と、前記第1型に嵌合する第2型とを備え、前記第1型は、前記フレームの前記突出部を支持する第1フレーム支持部と、前記フレームの前記埋設部を支持する第2フレーム支持部と、前記発泡体の一方の面を形成する第1形成部とを有し、前記第2型は、前記発泡体の他方の面を形成する第2形成部を備え、前記第2形成部は、第2形成本体部と、前記第2形成本体部に対して可動でありかつ前記第1フレーム支持部とともに前記フレームの前記突出部を挟持する第3フレーム支持部と、前記第3フレーム支持部を可動に保持する保持部とを備える
衝撃吸収パッド成形金型。
【請求項10】
前記フレームは、前記埋設部に貫通孔が設けられているものであって、
前記第1型の前記第2フレーム支持部は、前記貫通孔を囲む周囲部を支持する台部と、前記台部から突出して前記貫通孔に挿通する凸部とを有する
請求項9に記載の衝撃吸収パッド成形金型。
【請求項11】
前記第1型の前記第2フレーム支持部は、前記埋設部を支持する台部と、前記台部から突出して前記フレームの第2被支持部の周囲のフレーム側面に接触する壁部を有する
請求項9に記載の衝撃吸収パッド成形金型。
【請求項12】
前記第3フレーム支持部は、前記第2型の前記第2形成本体部に対して移動可能に設けられ、かつ前記フレームの突出部を押圧するように付勢される
請求項9〜請求項11のいずれか一項に記載の衝撃吸収パッド成形金型。
【請求項13】
請求項9〜請求項12のいずれか一項に記載の衝撃吸収パッド成形金型を用いて衝撃吸収パッドを形成する衝撃吸収パッドの製造方法であって、
前記第1型にフレームを配置する第1工程と、
前記第1型と前記第2型との間に隙間が形成されるように、前記第1型と前記第2型とを配置する第2工程と、
前記第1型と前記第2型との間に構成される充填空間に予備発泡ビーズを充填し、前記第1型と前記第2型との距離を近づける第3工程と、
予備発泡ビーズの充填後、前記予備発泡ビーズを発泡させる第4工程とを含む
衝撃吸収パッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体を有する衝撃吸収パッド、衝撃吸収パッド成形金型、および衝撃吸収パッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衝撃吸収パッドとして、特許文献1に記載の技術が知られている。
特許文献1に記載の衝撃吸収パッドは、パッド本体部と、パッド本体部に固定されるフレーム(同文献では、プレート)とを備える。パッド本体部は、ポリウレタンにより成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−121485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パッド本体部においてフレームの位置ずれは小さいことが望ましい。フレームの位置がずれると、車両に取り付けられない虞がある。本発明の目的は、フレームの位置ずれが小さい衝撃吸収パッド、衝撃吸収パッド成形金型、および衝撃吸収パッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する衝撃吸収パッドは、車両に取り付けられる衝撃吸収パッドであって、発泡体と、前記発泡体を支持するフレームとを備え、前記フレームは、前記発泡体に埋まる埋設部と、前記発泡体から突出する突出部とを有し、前記突出部には、前記衝撃吸収パッドの成形において金型の第1フレーム支持部で支持される第1被支持部が設けられ、前記埋設部には、前記衝撃吸収パッドの成形において前記金型の第2フレーム支持部で支持される第2被支持部が設けられ、前記発泡体は、前記フレームの前記第2被支持部にまで延びる孔を有する。
【0006】
上記構成の衝撃吸収パッドは、成形時にフレームの埋設部と突出部とでフレームが支持されて形成されたものである。このため、成形時においてフレームが突出部だけで支持されて形成された参考の衝撃吸収パッドに比べて、上記構成の衝撃吸収パッドにおいては、発泡体に対するフレームの位置ずれが小さい。
【0007】
(2)上記衝撃吸収パッドにおいて、前記第2被支持部には、前記衝撃吸収パッドの成形時に金型の前記第2フレーム支持部と係合する係合部が設けられている。
この構成の衝撃吸収パッドは、第2フレーム支持部とフレームの係合部とを係合させた状態で成形されたものである。このため、上記構成の衝撃吸収パッドによれば、このような係合部がないものに比べて、発泡体に対するフレームの位置ずれが小さい。
【0008】
(3)上記衝撃吸収パッドにおいて、前記係合部は、貫通孔として構成され、前記発泡体の孔は、前記フレームの前記第2被支持部まで達する主孔部と、前記主孔部から更に延びて前記貫通孔を挿通する挿通部とを有する。
【0009】
この構成の衝撃吸収パッドは、第2フレーム支持部とフレームの貫通孔とを係合させた状態で成形されたものである。このため、上記構成の衝撃吸収パッドによれば、このような孔がないものに比べて、発泡体に対するフレームの位置ずれは小さい。
【0010】
(4)上記衝撃吸収パッドにおいて、前記第2被支持部には、前記貫通孔の横に、金型の前記第2フレーム支持部が当接する当接部が設けられる。
この構成の衝撃吸収パッドは、第2フレーム支持部とフレームの当接部とが接触した状態で成形されたものである。このため、フレームの当接部と第2フレーム支持部とが当接する方向において、上記構成の衝撃吸収パッドにおいて発泡体に対するフレームの位置ずれは小さい。
【0011】
(5)上記衝撃吸収パッドにおいて、前記係合部は、前記第2被支持部におけるフレーム側面を含み、前記発泡体の孔は、前記第2被支持部まで達する主孔部と、前記主孔部から更に延びて前記第2被支持部におけるフレーム側面に沿う溝部とを有する。
【0012】
この構成の衝撃吸収パッドは、第2フレーム支持部とフレーム側面とを係合させた状態で成形されたものである。このため、従来品に比べ、衝撃吸収パッドにおいて発泡体に対するフレームの位置ずれが小さい。
【0013】
(6)上記衝撃吸収パッドにおいて、前記フレームの前記埋設部は、分岐のない形状であり、前記第2被支持部は、前記埋設部と前記突出部との境界から、前記埋設部の長さの1/4よりも遠くに離れたところに設けられている。
【0014】
この構成によれば、突出部にある第1被支持部と埋設部にある第2被支持部との間の距離は、埋設部の長さの1/4よりも長くなる。このように、第1被支持部と第2被支持部の間の距離が確保されることにより、成形時に、当該距離が境界から埋設部の長さの1/4よりも短い場合に比べて、発泡体に対するフレームの位置ずれが小さくなる。したがって、従来品に比べて、この衝撃吸収パッドにおいて発泡体に対するフレームの位置ずれは小さい。
【0015】
(7)上記衝撃吸収パッドにおいて、前記第1被支持部は、前記突出部の根本に設けられ、前記突出部の根本の角度は、前記突出部が突出するところの面に垂直な線に対して−45度以上+45度以下である。
【0016】
第1被支持部の角度が+45度よりも大きい場合、または−45度よりも小さい場合、衝撃吸収パッドの成形時の型閉めにおいて第1被支持部が第1フレーム支持部に対して滑るおそれがあり、滑りが生じるとフレームが変形する。この点、上記構成によれば、このような滑りが生じ難い。したがって、比較参考例に比べて、上記構成の衝撃吸収パッドにおいてフレームの変形は小さい。
【0017】
(8)上記衝撃吸収パッドにおいて、前記突出部は、前記衝撃吸収パッドを被固定部に固定するための第1締結部を有し、前記発泡体は、前記衝撃吸収パッドを被固定部に固定するための第2締結部を有する。この構成によれば、突出部の第1締結部と発泡体の第2締結部との2か所で衝撃吸収パッドを被固定部に締結できる。
【0018】
(9)上記課題を解決する衝撃吸収パッド成形金型は、発泡体と、前記発泡体を支持するフレームとを備え、前記フレームは、前記発泡体に埋まる埋設部と、前記発泡体から突出する突出部とを有し、車両に取り付けられる衝撃吸収パッドを形成するための衝撃吸収パッド成形金型であって、前記フレームを支持する第1型と、前記第1型に嵌合する第2型とを備え、前記第1型は、前記フレームの前記突出部を支持する第1フレーム支持部と、前記フレームの前記埋設部を支持する第2フレーム支持部と、前記発泡体の一方の面を形成する第1形成部とを有し、前記第2型は、前記発泡体の他方の面を形成する第2形成部を備え、前記第2形成部は、第2形成本体部と、前記第2形成本体部に対して可動でありかつ前記第1フレーム支持部とともに前記フレームの前記突出部を挟持する第3フレーム支持部と、前記第3フレーム支持部を可動に保持する保持部とを備える。
【0019】
この構成によれば、フレームは2か所で支持される。具体的には、フレームの突出部は第1フレーム支持部と第3フレーム支持部とで挟持され、フレームの埋設部は第2フレーム支持部で支持される。このように、フレームは、突出部だけでなく埋設部でも支持されるため、フレームが埋設部で支持されないものに比べて、フレームの支持が安定する。これにより、フレームの位置ずれが小さい衝撃吸収パッドを成形できる。
【0020】
(10)上記衝撃吸収パッド成形金型において、前記フレームは、前記埋設部に貫通孔が設けられているものであって、前記第1型の前記第2フレーム支持部は、前記貫通孔を囲む周囲部を支持する台部と、前記台部から突出して前記貫通孔に挿通する凸部とを有する。
【0021】
この構成によれば、フレームの貫通孔に第2フレーム支持部の凸部が挿通する。これにより、フレームは、凸部の突出方向に交差する方向で位置規制される。これによって、フレームの位置ずれが小さい衝撃吸収パッドが成形される。
【0022】
(11)上記衝撃吸収パッド成形金型において、前記第1型の前記第2フレーム支持部は、前記埋設部を支持する台部と、前記台部から突出して前記フレームの第2被支持部の周囲のフレーム側面に接触する壁部を有する。
【0023】
この構成によれば、フレーム側面に壁部を接触させることができる。これにより、フレームは、フレーム側面に交差する方向に位置規制される。これによって、フレームの位置ずれが小さい衝撃吸収パッドを成形できる。
【0024】
(12)上記衝撃吸収パッド成形金型において、前記第3フレーム支持部は、前記第2型に対して移動可能に設けられ、かつ、前記フレームの突出部を押圧するように付勢される。
【0025】
この構成によれば、金型のクラッキング状態において、第3フレーム支持部はフレームの突出部を押圧し続ける。第3フレーム支持部の付勢構造がない場合、クラッキング状態においてフレームの周辺に隙間が形成されるが、上記構成によれば、このような隙間を狭くできる。これにより、充填時の発泡ビーズの漏れを抑制できる。
【0026】
(13)上記課題を解決する衝撃吸収パッドの製造方法は、上記いずれかの衝撃吸収パッド成形金型を用いて衝撃吸収パッドを形成する衝撃吸収パッドの製造方法であって、前記第1型にフレームを配置する第1工程と、前記第1型と前記第2型との間に隙間が形成されるように、前記第1型と前記第2型とを配置する第2工程と、前記第1型と前記第2型との間に構成される充填空間に予備発泡ビーズを充填し、前記第1型と前記第2型との距離を近づける第3工程と、予備発泡ビーズの充填後、前記予備発泡ビーズを発泡させる第4工程とを含む。
【0027】
この構成によれば、上記構造の衝撃吸収パッド成形金型が用いられるため、発泡体に対してフレームの位置ずれを抑制できる。
【発明の効果】
【0028】
衝撃吸収パッド、衝撃吸収パッド成形金型、および衝撃吸収パッドの製造方法によれば、フレームの位置ずれが小さい衝撃吸収パッドを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】衝撃吸収パッドの斜視図。
図2】フレームの斜視図。
図3図1の視点とは別の視点からみた衝撃吸収パッドの斜視図。
図4】衝撃吸収パッドの側面図。
図5】衝撃吸収パッド成形金型の模式図。
図6】衝撃吸収パッド成形金型の部分斜視図。
図7】第1型の部分斜視図。
図8】第2型の部分斜視図。
図9図6の9−9線に沿う断面図。
図10】フレームが配置された第1型の斜視図。
図11】変形例の衝撃吸収パッドの斜視図。
図12】変形例の衝撃吸収パッド成形金型について、第1型の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<衝撃吸収パッド>
図1図4を参照して、衝撃吸収パッド1について説明する。
衝撃吸収パッド1は、車体に取り付けられる。例えば、サイドドアの内部、バックドアの内部等に取り付けられる。衝撃吸収パッド1は、衝撃吸収パッド1が外力を受けて自身が変形することにより、衝撃を分散し、または衝撃吸収パッド1よりも内側に伝わる力を低下させる。
【0031】
図1に示されるように、衝撃吸収パッド1は、発泡体10と、発泡体10を支持するフレーム20とを備える。
発泡体10は、熱可塑性の発泡樹脂により形成される。例えば、熱可塑性の発泡樹脂として、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。ポリエステル系樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリ乳酸等が挙げられる。
【0032】
図2に示されるように、フレーム20は、発泡体10に埋まる埋設部23と、発泡体10から突出する突出部21とを有する。突出部21は、発泡体10から露出する。
フレーム20の突出部21には、第1被支持部21aが設けられている。第1被支持部21aは、衝撃吸収パッド1の成形時、衝撃吸収パッド成形金型30の第1フレーム支持部33(後述参照)により支持される部分である。
【0033】
フレーム20は、発泡体10よりも剛性が高い。フレーム20は、鉄、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属により形成される。また、フレーム20は、剛性の高い樹脂により形成されてもよい。
【0034】
突出部21には、衝撃吸収パッド1を被固定部に固定するための第1締結部22が設けられている。被固定部は、フレーム20が取り付けられる部分を示す。例えば、被固定部は、サイドドアのベース部材に設けられている。第1締結部22は、例えば、ボルト、リベット等が挿通する孔として構成され、ボルト等の締結部材により被固定部に固定される。
【0035】
突出部21の突出角度は、次のように構成されることが好ましい。
図4に示されるように、突出部21が突出するところである発泡体10の側面に垂直な線L1と、突出部21に沿う線L2との間の角度Aは、−45度以上+45度以下であることが好ましい。より好ましくは、当該角度Aは、−30度以上+30度以下である。さらに好ましくは、当該角度は、−20度以上+20度以下である。当該角度Aがこのような大きさに設定される理由は、当該角度Aが小さいことにより、衝撃吸収パッド1を成形するときの突出部21を挟持する金型部分(後述の第3フレーム支持部39)のずれを抑制できるからである。ずれが抑制されることにより、成形時におけるフレーム20の固定が安定し、衝撃吸収パッド1におけるフレーム20のずれに起因する発泡体10内の歪みを抑制できるようになる。
【0036】
フレーム20の埋設部23には、第2被支持部24が設けられている。第2被支持部24は、衝撃吸収パッド1の成形時、衝撃吸収パッド成形金型30の第2フレーム支持部34(後述参照)により支持される部分である。第2被支持部24は露出する。第2被支持部24には係合部24aが設けられている。係合部24aは、衝撃吸収パッド1を成形するときに第2フレーム支持部34と係合する。係合部24aは、例えば、貫通孔24bとして構成される。
【0037】
第2被支持部24は、埋設部23と突出部21との境界20aから遠くに離れたところに設けられることが好ましい。例えば、本実施形態のように、フレーム20の埋設部23が分岐のない形状である場合、第2被支持部24は、埋設部23と突出部21との境界20aから、埋設部23の長さの1/4よりも遠くに離れたところに設けられることが好ましい。
【0038】
また、第2被支持部24には、貫通孔24bの横に当接部24dが設けられる。当接部24dは、衝撃吸収パッド1の成形時、衝撃吸収パッド成形金型30の第2フレーム支持部34に当接する。当接部24dは、例えば、平坦に構成される。
【0039】
図3および図4に示されるように、発泡体10は、孔14を有する。孔14は、発泡体10の表面からフレーム20の埋設部23まで延びる。孔14の底は、フレーム20により構成される。発泡体10の孔14は、フレーム20の第2被支持部24まで達する主孔部14aと、主孔部14aから更に延びてフレーム20の貫通孔24bを挿通する挿通部14bとを有する。孔14は、衝撃吸収パッド1の成形時にフレーム20の第2被支持部24を支持する第2フレーム支持部34(後述参照)により、形成されるものである。
【0040】
発泡体10は、衝撃吸収パッド1を被固定部に固定するための第2締結部15を有する。第2締結部15は、例えば、ボルト、リベット、プラスチック製の締結部材等が挿通する孔として構成される。第2締結部15の配置は、自由に設定されうる。本実施形態では、第2締結部15は、発泡体10においてフレーム20の突出部21の反対側に設けられる。
【0041】
本実施形態では、衝撃吸収パッド1は、フレーム20の第1締結部22と発泡体10の第2締結部15との2か所で、被固定部に固定され得る。衝撃吸収パッド1が2か所で固定されることにより、1か所で固定される場合に比べて、取り付け状態が安定する。
【0042】
本実施形態では、フレーム20の一方の端部は突出部21として露出し、他方の端部は、発泡体10に埋設される。そして、第1締結部22および第2締結部15のうち1つはフレーム20の突出部21に設けられ、他の1つは発泡体10に設けられている。この構造により、フレーム20の両端部を発泡体10から突出させる構造に比べてフレーム20の長さを短くでき、この結果、衝撃吸収パッド1を軽くできる。
【0043】
<衝撃吸収パッド成形金型>
図5図10を参照して、衝撃吸収パッド成形金型30について説明する。
衝撃吸収パッド成形金型30は、上記構成の衝撃吸収パッド1を成形する。衝撃吸収パッド1のフレーム20は、上述のように、係合部24aとしての貫通孔24bを有する。衝撃吸収パッド1は、衝撃吸収パッド成形金型30を用いて、予備発泡ビーズのクラッキング充填および予備発泡ビーズの発泡により、形成される。
【0044】
図5に示されるように、衝撃吸収パッド成形金型30は、第1型31と、第1型31に嵌合する第2型36を備える。本実施形態では、第1型31は、雄型として構成され、第2型36は、雌型として構成される。
【0045】
図6は、図5に示される衝撃吸収パッド成形金型30のB部を示す。図7は、図6に示される部分のうちで第1型31に含まれる部分を示す。図8は、図6に示される部分のうちで第2型36に含まれる部分を示す。図9は、図6に示される部分の断面図である。図10は、第1型31にフレーム20が配置されている様子を示す。
【0046】
図9および図10に示されるように、第1型31は、フレーム20を支持する。
図7に示されるように、第1型31は、発泡体10の一方の面(以下、「第1面11」。図4参照)を形成する第1形成部32と、フレーム20の突出部21を支持する第1フレーム支持部33と、フレーム20の埋設部23を支持する第2フレーム支持部34と、を有する。第1型31は、第1形成部32を有する本体部31aと、本体部31aから延びる延長部31bとを有する。第1フレーム支持部33は、延長部31bに設けられる。第1フレーム支持部33は、フレーム20に接触する接触部33aを有する。延長部31bは、型閉め方向DAに延びる。第1フレーム支持部33は、延長部31bの根本に設けられる。根本とは、延長部31bにおいて第1形成部32に近い部分を示す。
【0047】
第2フレーム支持部34は、第1形成部32に設けられる。第2フレーム支持部34は、型閉め方向DAに沿う方向に突出する。第2フレーム支持部34は、発泡体10の孔14を形成する。
【0048】
第2フレーム支持部34は、フレーム20の貫通孔24bを囲む周囲部24cを支持する台部34aと、台部34aから突出して貫通孔24bに挿通する凸部34bとを有する。
【0049】
図8に示されるように、第2型36は、少なくとも、発泡体10の他方の面(以下、第2面12)を形成する第2形成部37を備える。第2面12は、発泡体10の第1面11とは反対側にある面を示す(図4参照)。本実施形態では、第2形成部37は、第2形成本体部38と、第3フレーム支持部39と、第3フレーム支持部39を可動に保持する保持部41とを有する。
【0050】
第2形成本体部38には、第3フレーム支持部39が嵌る凹部38aが形成されている。第2形成本体部38と、第3フレーム支持部39とが組み合わされた金型は、発泡体10の第2面12を形成する。
【0051】
第3フレーム支持部39は、型閉め時に、第1型31の第1フレーム支持部33とともにフレーム20を挟持する。また、第3フレーム支持部39は、第2形成本体部38に対して移動可能である。
【0052】
第3フレーム支持部39は、発泡体10の第2面12の一部を形成するための面形成部39aと、摺接部39bと、フレーム20に接触する接触部39cとを有する。面形成部39aは、第2形成本体部38の凹部38aに嵌る。摺接部39bは、面形成部39aから延びて保持部41の案内部41cに摺接する。摺接部39bが案内部41cによって型閉め方向DAに沿う方向に案内されることによって、第3フレーム支持部39は、第2形成本体部38に対して移動可能となっている。接触部39cは、第1型31の第1フレーム支持部33の接触部33aと対向するように位置する。第3フレーム支持部39は、コイルばね40bにより、型閉め方向DAでかつ第1型31に向かうように付勢される。第3フレーム支持部39の接触部39cは、クラッキング状態および型閉め状態のとき、フレーム20に接触する。
【0053】
第2型36の保持部41は、上述したように、第3フレーム支持部39を保持する。保持部41は、第1型31の延長部31bに嵌合する嵌合部41aと、第3フレーム支持部39を支持する支持部41bとを有する。
【0054】
支持部41bは、第3フレーム支持部39の摺接部39bを案内する案内部41cを有する。案内部41cは、摺接部39bを収容する。案内部41cには、支持部41bを貫通するポール40aが挿入されている。ポール40aの先端部は、第3フレーム支持部39に接続される。案内部41cには、ポール40aで支持されるコイルばね40bが収容されている。コイルばね40bは、クラッキング状態から型閉め状態(後述参照)までの間にわたって、第3フレーム支持部39がフレーム20を押すように、第3フレーム支持部39を付勢する。
【0055】
次に、衝撃吸収パッド成形金型30による衝撃吸収パッド1の製造方法について説明する。
第1型31及び第2型36は相対移動する。金型の状態としては、発泡成形品を成形するときの状態である型閉め状態と、両型の間に隙間(この隙間は、「クラッキング」とも呼ばれる。)が設けられるクラッキング状態と、フレーム20の配置が可能であるように第1型31と第2型36とが離間する型開き状態とがある。
【0056】
第1工程では、衝撃吸収パッド成形金型30を型開き状態にして、第1型31にフレーム20を配置する。
第2工程では、第1型31および第2型36のうち一方を移動させて、第1型31と第2型36との間に隙間が形成されるように、第1型31と第2型36とを配置する。すなわち、第1型31と第2型36とをクラッキング状態にする。隙間は、予備発泡ビーズが抜けない大きさであることが好ましい。
【0057】
第3工程では、第1型31と第2型36との間の充填空間に予備発泡ビーズを充填する。そして、第1型31と第2型36との距離を近づけて、衝撃吸収パッド成形金型30を型閉め状態にする。なお、予備発泡ビーズは、発泡ビーズを予備的に発泡させたものである。
【0058】
第4工程では、予備発泡ビーズを充填し型閉めした後、型内に蒸気を入れ、予備発泡ビーズを蒸気で発泡させる。
その後、第1型31および第2型36を冷却し、成形品を取り出す。
【0059】
衝撃吸収パッド1の作用を説明する。
衝撃吸収パッド1は、成形時にフレーム20が2か所で支持された状態で、形成されたものである。成形時に、フレーム20が突出部21だけで支持された状態で形成されたもの(以下、「参考の衝撃吸収パッド」という。)は、成形時のフレーム20の位置ずれによって、発泡体10に対してフレーム20の位置にばらつきが生じる。すなわち、発泡体10に対するフレーム20の位置精度が低い。この点、実施形態に係る衝撃吸収パッド1は、成形時にフレーム20が2か所で支持された状態で形成されたものであり、発泡体10に対するフレーム20の位置ずれは、参考の衝撃吸収パッドに比べて、小さい。
【0060】
このように衝撃吸収パッド1は、フレーム20の位置精度が高いものであることから、被固定部に対して所定の位置に適切に固定できる。
フレーム20の位置精度が低い場合、フレーム20を被固定部に固定したときに、発泡体10の一部が被固定部における所定のエリアから食み出るおそれがある。このような発泡体10の食み出しが生じると、発泡体10の端面が車両のベース部材に接触して変形し、これによって、衝撃吸収パッド1を介して被固定部に応力が加わり、被固定部の劣化を促進させる虞がある(以下、「第1の課題」という。)。また、フレーム20の位置精度が低い場合、フレーム20を被固定部に固定したときに、発泡体10の一部が被固定部の所定の位置に配置されないことにより、発泡体10の一部が接触するべきところに接触しない状態で固定されるおそれがある。このような場合、衝撃吸収パッド1の緩衝の機能が十分に発揮できないようになる(以下、「第2の課題」という。)。これに対して、本実施形態に係る衝撃吸収パッド1は、フレーム20の位置精度が高いため、第1の課題や第2の課題の発生を抑制できる。
【0061】
本実施形態の効果を説明する。
(1)衝撃吸収パッド1のフレーム20は、発泡体10に埋まる埋設部23と、発泡体10から突出する突出部21とを有する。突出部21には、第1被支持部21aが設けられる。埋設部23には、第2被支持部24が設けられる。発泡体10は、フレーム20の第2被支持部24にまで延びる孔14を有する。
【0062】
衝撃吸収パッド1は、成形時にフレーム20の埋設部23と突出部21とでフレーム20が支持されて形成されたものである。このため、成形時においてフレーム20が突出部21だけで支持されて形成された参考の衝撃吸収パッドに比べて、衝撃吸収パッド1において発泡体10に対するフレーム20の位置ずれが小さい。
【0063】
また、本実施形態の衝撃吸収パッド1では、フレーム20の突出部21は1つである。この構成は、従来品に対して次のメリットがある。従来品では、成形時にフレームを2か所で支持することを目的として、フレーム20の両端部を発泡体10から突出させている。これに対し、本実施形態の衝撃吸収パッド1では、フレーム20の一方の端部だけが発泡体10から突出し、他方の端部は発泡体10に埋設されている。この構成により、従来品に比べて、フレーム20が短くなっている。このため、本実施形態の衝撃吸収パッド1は、従来品に比べて、軽量である。
【0064】
(2)第2被支持部24には、衝撃吸収パッド1の成形時に衝撃吸収パッド成形金型30の第2フレーム支持部34と係合する係合部24aが設けられている。
この構成の衝撃吸収パッド1は、第2フレーム支持部34とフレーム20の係合部24aとを係合させた状態で成形されたものである。このため、上記構成の衝撃吸収パッド1によれば、このような係合部24aがないものに比べて、発泡体10に対するフレーム20の位置ずれが小さい。
【0065】
(3)係合部24aは、貫通孔24bとして構成される。発泡体10の孔14は、フレーム20の第2被支持部24まで達する主孔部14aと、主孔部14aから更に延びて貫通孔24bを挿通する挿通部14bとを有する。この構成の衝撃吸収パッド1は、第2フレーム支持部34とフレーム20の貫通孔24bとを係合させた状態で成形されたものである。このため、上記構成の衝撃吸収パッド1によれば、このような孔14がないものに比べて、発泡体10に対するフレーム20の位置ずれが小さい。
【0066】
(4)第2被支持部24には、貫通孔24bの横に、衝撃吸収パッド成形金型30の第2フレーム支持部34が当接する当接部24dが設けられる。
この構成の衝撃吸収パッド1は、第2フレーム支持部34とフレーム20の当接部24dとが接触した状態で成形されたものである。このため、上記構成の衝撃吸収パッド1は、フレーム20の当接部24dと第2フレーム支持部34とが当接する方向において、発泡体10に対するフレーム20の位置ずれが小さい。
【0067】
(5)フレーム20の埋設部23は、分岐のない形状に構成される。第2被支持部24は、埋設部23と突出部21との境界20aから、埋設部23の長さの1/4よりも遠くに離れたところに設けられることが好ましい。なお、埋設部23の長さとは、埋設部23の中心線C(図2参照)の長さを示す。
【0068】
この構成によれば、突出部21にある第1被支持部21aと埋設部23にある第2被支持部24との間の距離は、埋設部23の長さの1/4よりも長くなる。フレーム20において支持される2か所の距離が短くなると、フレーム20の端部の位置ずれが大きくなるおそれがある。この点、上記構成のように、第1被支持部21aと第2被支持部24の間の距離が確保されることにより、成形時に、当該距離が境界20aから埋設部23の長さの1/4よりも短い場合に比べて、発泡体10に対するフレーム20の位置ずれが小さくなる。したがって、このような構造を有する衝撃吸収パッド1によれば、発泡体10に対するフレーム20の位置ずれが小さい。
【0069】
(6)第1被支持部21aは、突出部21の根本に設けられ、突出部21の根本の角度Aは、突出部21が突出するところの面に垂直な線L1に対して−45度以上+45度以下であることが好ましい。
【0070】
この構成によれば、第1被支持部21aの角度が+45度よりも大きい場合、または−45度よりも小さい場合(以下、これらの例を「比較参考例」という。)、衝撃吸収パッド1の成形時の型閉めにおいて第1被支持部21aが第1フレーム支持部33に対して滑るおそれがある。このような滑りが生じるとフレーム20が変形する。この点、上記構成によれば、このような滑りが生じ難い。したがって、比較参考例に比べて、衝撃吸収パッド1においてフレーム20の変形が小さい。なお、ここで、フレーム20の変形とは、突出部21の第1被支持部21aの角度について、設計上の規定角度範囲(寸法公差を含む角度範囲)から外れていることを示す。
【0071】
(7)フレーム20の突出部21は、衝撃吸収パッド1を被固定部に固定するための第1締結部22を有する。発泡体10は、衝撃吸収パッド1を被固定部に固定するための第2締結部15を有する。
【0072】
フレーム20の突出部21にだけ締結部がある場合、衝撃吸収パッド1を被固定部に固定した場合、被固定部の振動により衝撃吸収パッド1が徐々に回転して衝撃吸収パッド1が当初の位置から大きくずれる虞がある。上記構成によれば、衝撃吸収パッド1は、突出部21の第1締結部22と発泡体10の第2締結部15との2か所で被固定部に締結され得る。これにより、当初の取付位置から衝撃吸収パッド1が大きくずれることが抑制される。
【0073】
(8)衝撃吸収パッド成形金型30は、フレーム20を支持する第1型31と、第1型31に嵌合する第2型36とを備える。第1型31は、フレーム20の突出部21を支持する第1フレーム支持部33と、フレーム20の埋設部23を支持する第2フレーム支持部34とを有する。第2型36の第2形成部37は、第2形成本体部38と、第3フレーム支持部39とを備える。第3フレーム支持部39は、第2形成本体部38に対して可動でありかつ第1フレーム支持部33とともに突出部21を挟持する。
【0074】
この構成によれば、フレーム20は2か所で支持される。具体的には、フレーム20の突出部21は第1フレーム支持部33と第1フレーム支持部33とにより挟持される。フレーム20の埋設部23は第2フレーム支持部34で支持される。このように、フレーム20は、突出部21だけでなく埋設部23でも支持されるため、フレーム20が埋設部23で支持されないものに比べて、フレーム20の支持が安定する。これにより、フレーム20の位置ずれが小さい衝撃吸収パッド1を形成できる。
【0075】
特に、実施形態に記載のように蒸気で予備発泡ビーズを発泡させる場合、蒸気の圧力によってフレーム20の位置がずれる虞があるが、上記衝撃吸収パッド成形金型30によれば、このような位置ずれが抑制される。
【0076】
(9)上記衝撃吸収パッド成形金型30は、貫通孔24bが設けられているフレーム20に発泡体10を形成する。第1型31の第2フレーム支持部34は、フレーム20において貫通孔24bを含む部分を支持する。第2フレーム支持部34は、貫通孔24bを囲む周囲部24cを支持する台部34aと、台部34aから突出して貫通孔24bに挿通する凸部34bとを有する。
【0077】
この構成によれば、フレーム20の貫通孔24bに第2フレーム支持部34の凸部34bが挿通する。これにより、フレーム20は、凸部34bの突出方向に交差する方向で位置規制される。これによって、フレーム20の位置ずれが小さい衝撃吸収パッド1が成形される。
【0078】
(10)上記衝撃吸収パッド成形金型30において、第3フレーム支持部39は、第2型36に対して移動可能に設けられ、かつフレーム20の突出部21を押圧するように付勢される。
【0079】
この構成によれば、衝撃吸収パッド成形金型30のクラッキング状態において、第3フレーム支持部39はフレーム20の突出部21を押圧し続ける。第3フレーム支持部39の付勢構造がない場合、クラッキング状態においてフレーム20の周辺に隙間が形成されるが、上記構成によれば、このような隙間を狭くできる。これにより、充填時の発泡ビーズの漏れを抑制できる。
【0080】
(11)衝撃吸収パッド1の製造方法は次の構成を含む。第1工程において、第1型31にフレーム20を配置する。第2工程において、第1型31と第2型36との間に隙間が形成されるように、第1型31と第2型36とを配置する。第3工程において、充填空間に予備発泡ビーズを充填し、第1型31と第2型36との距離を近づける。第4工程において、予備発泡ビーズの充填後、予備発泡ビーズを発泡させる。この構成によれば、上記構造の衝撃吸収パッド成形金型30が用いられるため、発泡体10に対するフレーム20の位置ずれを抑制できる。
【0081】
ところで、本実施形態では、第1工程において第1型31におけるフレーム20の装着は、次のように行われる。すなわち、第1型31の第1フレーム支持部33にある突起33b(図10参照)とフレーム20の側面とを係合し、さらに、第1型31の第2フレーム支持部34の凸部34bとフレーム20の貫通孔24bとの係合することにより、フレーム20を第1型31に装着する。この装着では、摩擦力によって、フレーム20が第1型31の所定位置に位置決めされる。
【0082】
一方、発泡体10の成形時にフレーム20が型閉め方向DAにずれる虞がある。例えば、発泡体10の形成において型内に蒸気が注入されるとき、蒸気の圧力でフレーム20が第1フレーム支持部33または第2フレーム支持部34から浮く虞がある。このような事態を回避するために、第1フレーム支持部33または第2フレーム支持部34の台部34aに、磁石が取り付けられ得る。台部34aの磁石は、フレーム20の当接部24dを吸着する。これにより、フレーム20がより安定してセットできる。
【0083】
<変形例>
衝撃吸収パッド1の構成は上記実施形態の構成に限定されない。以下、衝撃吸収パッド1について、いくつかの変形例を挙げる。
【0084】
図11に示されるように、変形例にかかる衝撃吸収パッド1xは、次の構成を有する。フレーム20の係合部24aは、第2被支持部24におけるフレーム側面25を含む。発泡体10の孔44は、第2被支持部24まで達する主孔部44aと、主孔部44aから更に延びて第2被支持部24におけるフレーム側面25に沿う溝部44bとを有する。この構造によれば、図12に示されるように、成形時に、フレーム側面25でフレーム20の幅方向にフレーム20が位置決めされる。
【0085】
この構成の衝撃吸収パッド1xは、衝撃吸収パッド成形金型30の第2フレーム支持部34とフレーム側面25とを係合させた状態で成形されたものである。このため、上記構成の衝撃吸収パッド1xによれば、このような係合構造がないものに比べて、発泡体10に対するフレーム20の位置ずれが小さい。
【0086】
図12に示されるように、衝撃吸収パッド1xを形成する衝撃吸収パッド成形金型30は、次の構成を有する。第1型31の第2フレーム支持部34は、埋設部23を支持する台部34aと、台部34aから突出してフレーム20の第2被支持部24の周囲のフレーム側面25に接触する壁部34xを有する。さらに、好ましくは、第1型31は、フレーム20の突出部21の端面に接触する壁部34yを有する。
【0087】
この構成によれば、フレーム側面25に壁部34xを接触させることができる。これにより、フレーム20は、フレーム側面25に交差する方向(フレーム20の幅方向)に位置規制される。これによって、フレーム20の位置ずれが小さい衝撃吸収パッドを成形できる。
【0088】
・上記実施形態では、第1型31は、雄型として構成され、第2型36は、雌型として構成されているが、いずれを雄型としてもよい。具体的には、第1型31は、雌型として構成され、第2型36は、雄型として構成され得る。この場合、雌型としての第1型31には、フレーム20を支持する上記構成の第1フレーム支持部33および第2フレーム支持部34が設けられる。また、このような衝撃吸収パッド成形金型30で形成される衝撃吸収パッド1では、孔14は、雌型で形成される面からフレーム20に向かって延びる。
【符号の説明】
【0089】
A…角度、C…中心線、DA…方向、L1…線、L2…線、1…衝撃吸収パッド、1x…衝撃吸収パッド、10…発泡体、11…第1面、12…第2面、14…孔、14a…主孔部、14b…挿通部、15…第2締結部、20…フレーム、20a…境界、21…突出部、21a…第1被支持部、22…第1締結部、23…埋設部、24…第2被支持部、24a…係合部、24b…貫通孔、24c…周囲部、24d…当接部、25…フレーム側面、30…衝撃吸収パッド成形金型、31…第1型、31a…本体部、31b…延長部、32…第1形成部、33…第1フレーム支持部、33a…接触部、33b…突起、34…第2フレーム支持部、34a…台部、34b…凸部、34x…壁部、34y…壁部、36…第2型、37…第2形成部、38…第2形成本体部、38a…凹部、39…第3フレーム支持部、39a…面形成部、39b…摺接部、39c…接触部、40a…ポール、40b…コイルばね、41…保持部、41a…嵌合部、41b…支持部、41c…案内部、44…孔、44a…主孔部、44b…溝部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12