【文献】
The Journal of Biological Chemistry,2010年,Vol.285, No.46,p.36049-36059
【文献】
Journal of the American Chemical Society,2014年,Vol.136,p.16844-16853
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記担体が、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド(DT)、ジフテリア毒素交差反応性材料197(CRM197)、TTの断片C、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、タンパク質D、外膜タンパク質(OMP)およびニューモリシンからなる群より選択されるタンパク質である、請求項7に記載の免疫原性組成物。
前記がん細胞が、脳がん細胞、肺がん細胞、乳がん細胞、口腔がん細胞、食道がん細胞、胃がん細胞、肝臓がん細胞、胆管がん細胞、膵臓がん細胞、結腸がん細胞、腎臓がん細胞、骨がん細胞、皮膚がん細胞、子宮頸がん細胞、卵巣がん細胞、および前立腺がん細胞からなる群より選択される、請求項14に記載の免疫原性組成物。
前記がんが、脳がん、肺がん、乳がん、口腔がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、膵臓がん、結腸がん、腎臓がん、骨がん、皮膚がん、子宮頸がん、卵巣がん、および前立腺がんからなる群より選択される、請求項21に記載の免疫原性組成物またはがんワクチン。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本開示は、ステージ特異的胚抗原(SSEA3およびSSEA4)を、ある特定の基で修飾すると、それぞれSSEA3およびSSEA4を特異的に認識する堅固なIgG抗体応答が誘発されたという驚くべき発見に基づく。
【0063】
いくつかの例では、SSEA3の修飾は、SSEA3のグルコースの1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO−フェニル基を含む。いくつかの例では、SSEA3の修飾は、非還元末端のガラクトースの1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO−フェニル基を含む。いくつかの例では、SSEA4の修飾は、SSEA4のグルコースの1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO−フェニル基を含む。いくつかの例では、SSEA4の修飾は、シアル酸残基の1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO−フェニル基を含む。
【0064】
本明細書では、還元および/または非還元末端において修飾を有するSSEA3類似体およびSSEA4類似体が記載される。このようなSSEA3類似体およびSSEA4類似体は、天然のSSEA3およびSSEA4と比較して、より強力な免疫応答を誘発し得る(例えば、SSEA3および/またはSSEA4に対するIgG抗体の誘導)。このような非天然グリカン部分を含む免疫原性組成物によって誘導された抗体は、腫瘍細胞に対する補体依存性細胞傷害を媒介することができる。
【0065】
化学的定義
特定の官能基および化学用語の定義を以下により詳細に説明する。化学元素は、the Periodic Table of the Elements, CAS version、Handbook of Chemistry and Physics、75版、内表紙に従って識別され、特定の官能基は一般に、その中に記載されているように定義される。さらに、有機化学の一般的原理、ならびに特定の機能性部分および反応性は、Thomas Sorrell、Organic Chemistry、University Science Books、Sausalito、1999年;SmithおよびMarch、March’s Advanced Organic Chemistry、5版、John Wiley & Sons, Inc.、New York、2001年;Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers, Inc.、New York、1989年;ならびにCarruthers、Some Modern Methods of Organic Synthesis、3版、Cambridge University Press、Cambridge、1987年に記載されている。さらに、例示的なグリカンおよび抗体方法論は、Wongら、US20100136042、US20090317837、およびUS20140051127に記載されており、それらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
本明細書に記載の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含むことができ、したがって、様々な立体異性体、例えば、異性体および/またはジアステレオマーで存在し得る。例えば、本明細書に記載の化合物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、もしくは幾何異性体の形態であり得、またはラセミ混合物および1種または複数の立体異性体に富む混合物を含めた、立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ならびにキラル塩の形成および結晶化を含めた当業者に公知の方法によって混合物から単離することができ、または好適な異性体を不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacquesら、Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience、New York、1981年);Wilenら、Tetrahedron、33巻:2725頁(1977年);Eliel、Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill、NY、1962年);およびWilen、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions、268頁(E.L. Eliel編、Univ. of Notre Dame Press、Notre Dame、IN、1972年)を参照。本発明は、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体としての化合物、および代わりに、様々な異性体の混合物としての本明細書に記載の化合物をさらに包含する。
【0067】
値の範囲が列挙されている場合、これは、その範囲内の各値およびサブ範囲を包含するように意図されている。例えば、「C
1〜6」は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6、C
1〜6、C
1〜5、C
1〜4、C
1〜3、C
1〜2、C
2〜6、C
2〜5、C
2〜4、C
2〜3、C
3〜6、C
3〜5、C
3〜4、C
4〜6、C
4〜5、およびC
5〜6を包含するように意図されている。
【0068】
「アルキル」は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素基のラジカル(「C
1〜20アルキル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜10個の炭素原子を有する(「C
1〜10アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜9個の炭素原子を有する(「C
1〜9アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜8個の炭素原子を有する(「C
1〜8アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜7個の炭素原子を有する(「C
1〜7アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する(「C
1〜6アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜5個の炭素原子を有する(「C
1〜5アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する(「C
1〜4アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜3個の炭素原子を有する(「C
1〜3アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜2個の炭素原子を有する(「C
1〜2アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個の炭素原子を有する(「C
1アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、2〜6個の炭素原子を有する(「C
2〜6アルキル」)。C
1〜6アルキル基の例としては、メチル(C
1)、エチル(C
2)、n−プロピル(C
3)、イソプロピル(C
3)、n−ブチル(C
4)、tert−ブチル(C
4)、sec−ブチル(C
4)、iso−ブチル(C
4)、n−ペンチル(C
5)、3−ペンタニル(C
5)、アミル(C
5)、ネオペンチル(C
5)、3−メチル−2−ブタニル(C
5)、3級アミル(C
5)、およびn−ヘキシル(C
6)がある。アルキル基の追加の例としては、n−ヘプチル(C
7)、n−オクチル(C
8)などがある。別段の指定のない限り、アルキル基の各事例は独立に、任意選択で置換されており、すなわち、非置換であるか(「非置換アルキル」)、または1つもしくは複数の置換基で置換されている(「置換アルキル」)。ある特定の実施形態では、アルキル基は、非置換C
1〜10アルキル(例えば、−CH
3)である。ある特定の実施形態では、アルキル基は、置換C
1〜10アルキルである。
【0069】
「アルケニル」は、2〜20個の炭素原子、および1つまたは複数の炭素間二重結合を有し、三重結合を有しない直鎖または分岐鎖炭化水素基のラジカル(「C
2〜20アルケニル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜10個の炭素原子を有する(「C
2〜10アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜9個の炭素原子を有する(「C
2〜9アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜8個の炭素原子を有する(「C
2〜8アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜7個の炭素原子を有する(「C
2〜7アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜6個の炭素原子を有する(「C
2〜6アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜5個の炭素原子を有する(「C
2〜5アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜4個の炭素原子を有する(「C
2〜4アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜3個の炭素原子を有する(「C
2〜3アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2個の炭素原子を有する(「C
2アルケニル」)。1つまたは複数の炭素間二重結合は、内部(2−ブテニル中など)または末端(1−ブテニル中など)であり得る。C
2〜4アルケニル基の例としては、エテニル(C
2)、1−プロペニル(C
3)、2−プロペニル(C
3)、1−ブテニル(C
4)、2−ブテニル(C
4)、ブタジエニル(C
4)などがある。C
2〜6アルケニル基の例としては、上述のC
2〜4アルケニル基、およびペンテニル(C
5)、ペンタジエニル(C
5)、ヘキセニル(C
6)などがある。アルケニルの追加の例としては、ヘプテニル(C
7)、オクテニル(C
8)、オクタトリエニル(C
8)などがある。別段の指定のない限り、アルケニル基の各事例は独立に、任意選択で置換されており、すなわち、非置換であるか(「非置換アルケニル」)、または1つもしくは複数の置換基で置換されている(「置換アルケニル」)。ある特定の実施形態では、アルケニル基は、非置換C
2〜10アルケニルである。ある特定の実施形態では、アルケニル基は、置換C
2〜10アルケニルである。
【0070】
「アルキニル」は、2〜20個の炭素原子、1つまたは複数の炭素間三重結合、および任意選択で1つまたは複数の二重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基のラジカル(「C
2〜20アルキニル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜10個の炭素原子を有する(「C
2〜10アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜9個の炭素原子を有する(「C
2〜9アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜8個の炭素原子を有する(「C
2〜8アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜7個の炭素原子を有する(「C
2〜7アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜6個の炭素原子を有する(「C
2〜6アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜5個の炭素原子を有する(「C
2〜5アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜4個の炭素原子を有する(「C
2〜4アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜3個の炭素原子を有する(「C
2〜3アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2個の炭素原子を有する(「C
2アルキニル」)。1つまたは複数の炭素間三重結合は、内部(2−ブチニル中など)または末端(1−ブチニル中など)にあり得る。C
2〜4アルキニル基の例としては、限定することなく、エチニル(C
2)、1−プロピニル(C
3)、2−プロピニル(C
3)、1−ブチニル(C
4)、2−ブチニル(C
4)などがある。C
2〜6アルケニル基の例としては、上述のC
2〜4アルキニル基、およびペンチニル(C
5)、ヘキシニル(C
6)などがある。アルキニルの追加の例としては、ヘプチニル(C
7)、オクチニル(C
8)などがある。別段の指定のない限り、アルキニル基の各事例は独立に、任意選択で置換されており、すなわち、非置換であるか(「非置換アルキニル」)、または1つもしくは複数の置換基で置換されている(「置換アルキニル」)。ある特定の実施形態では、アルキニル基は、非置換C
2〜10アルキニルである。ある特定の実施形態では、アルキニル基は、置換C
2〜10アルキニルである。
【0071】
「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、環炭素原子、ならびに各ヘテロ原子が独立に、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リンおよびケイ素から選択される、1〜4個の環ヘテロ原子を有する3〜10員非芳香族環系のラジカル(「3〜10員ヘテロシクリル」)を指す。ある特定の実施形態では、ヘテロ原子は、独立に、窒素、硫黄および酸素から選択される。1つまたは複数の窒素原子を含有するヘテロシクリル基では、付着点は、結合価が許容する場合、炭素または窒素原子であり得る。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)または縮合環系、架橋環系、もしくはスピロ環系、例えば、二環系(「二環式ヘテロシクリル」)であり、飽和または部分的に不飽和であり得る。ヘテロシクリル二環式環系は、一方または両方の環中に1つまたは複数のヘテロ原子を含むことができる。また「ヘテロシクリル」には、先に定義の複素環が、1つもしくは複数のカルボシクリル基と縮合しており、その付着点が、カルボシクリルもしくは複素環のいずれかの上にある環系、または先に定義の複素環が、1つもしくは複数のアリールもしくはヘテロアリール基と縮合しており、その付着点が、複素環上にある環系が含まれ、このような場合、環員の数は、継続して複素環系中の環員の数を示す。別段の指定のない限り、ヘテロシクリルの各事例は独立に、任意選択で置換されており、すなわち、非置換であるか(「非置換ヘテロシクリル」)、または1つもしくは複数の置換基で置換されている(「置換ヘテロシクリル」)。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリル基は、非置換3〜10員ヘテロシクリルである。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリル基は、置換3〜10員ヘテロシクリルである。
【0072】
「アリール」は、6〜14個の環炭素原子を有し、芳香族環系内のヘテロ原子がゼロである単環式または多環式(例えば、二環式もしくは三環式)4n+2芳香族環系(例えば、環アレイ内に6、10、または14個のπ電子が共有された)のラジカル(「C
6〜14アリール」)を指す。いくつかの実施形態では、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(「C
6アリール」;例えば、フェニル)。いくつかの実施形態では、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(「C
10アリール」;例えば、1−ナフチルおよび2−ナフチルなどのナフチル)。いくつかの実施形態では、アリール基は、14個の環炭素原子を有する(「C
14アリール」;例えば、アントラシル)。「アリール」は、上記に定義したアリール環が1つもしくは複数のカルボシクリルもしくはヘテロシクリル基と縮合されており、ラジカルもしくは付着点がアリール環上にある環系も含み、このような事例では、炭素原子の番号は、アリール環系の炭素原子の数を指定するように続く。別段の指定のない限り、アリール基の各事例は独立に、任意選択で置換されており、すなわち、非置換であるか(「非置換アリール」)、または1つもしくは複数の置換基で置換されている(「置換アリール」)。ある特定の実施形態では、アリール基は、非置換C
6〜14アリールである。ある特定の実施形態では、アリール基は、置換C
6〜14アリールである。
【0073】
二価の架橋基である本明細書で定義のアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は、さらに、接尾辞−エンを使用して、例えばアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、カルボシクリレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンを指す。
【0074】
用語「アルコキシ」または「アルキルオキシ」は、−O−アルキルラジカルを指し、ここでアルキルは、本明細書で定義の任意選択で置換されているアルキルである。アルコキシの例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、およびtert−ブトキシが挙げられるが、それらに限定されない。
【0075】
用語「アリールオキシ」は、−O−アリールを指し、ここでアリールは、本明細書で定義の任意選択で置換されているアリールである。
【0076】
本明細書で使用される用語「任意選択で置換されている」は、置換または非置換部分を指す。
【0077】
本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は、任意選択で置換されている(例えば、「置換」もしくは「非置換」アルキル、「置換」もしくは「非置換」アルケニル、「置換」もしくは「非置換」アルキニル「置換」もしくは「非置換」カルボシクリル、「置換」もしくは「非置換」ヘテロシクリル、「置換」もしくは「非置換」アリール、または「置換」もしくは「非置換」ヘテロアリール基)。一般に、用語「置換された」は、用語「任意選択で」が前に付くかどうかによらず、基(例えば、炭素原子または窒素原子)に存在する少なくとも1個の水素が、許容できる置換基、例えば、置換すると安定化合物、例えば、転位、環化、脱離、または他の反応などによる変換を自発的に起こさない化合物をもたらす置換基と置き換えられていることを意味する。別段の指定のない限り、「置換された」基は、その基の1つまたは複数の置換可能な位置で置換基を有し、任意の所与の構造中で1つを超える位置が置換されている場合、置換基は、各位置で同じであり、または異なっている。用語「置換された」は、有機化合物のすべての許容できる置換基、安定化合物の形成をもたらす本明細書に記載の置換基のいずれかとの置換を含むように企図されている。本発明は、安定化合物に到達するための任意かつすべてのこのような組合せを企図する。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たし、安定部分の形成をもたらす本明細書に記載の任意の適当な置換基を有し得る。
【0078】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)、またはヨウ素(ヨード、−I)を指す。
【0079】
本明細書で使用される「アシル」は、−C(=O)Raa、−CHO、−CO2Raa、−C(=O)N(Rbb)2、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb)2、−C(=O)NRbbSO2Raa、−C(=S)N(Rbb)2、−C(=O)SRaa、および−C(=S)SRaaからなる群より選択される部分を指し、ここでRaaおよびRbbは、本明細書で定義の通りである。
【0080】
窒素原子は、価数によって可能な限り、置換または非置換であってよく、窒素原子には、第一級、第二級、第三級、および第四級窒素原子が含まれる。例示的な窒素原子置換基として、水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc)2、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc)2、−CO2Raa、−SO2Raa、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc)2、−SO2N(Rcc)2、−SO2Rcc、−SO2ORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc)2、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−P(=O)2N(Rcc)2、−P(=O)(NRcc)2、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、または窒素原子に結合した2個のRcc基は、接合されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立に、0、1、2、3、4、もしくは5個のRdd基と置換されており、ここで、Raa、Rbb、RccおよびRddは、上で定義された通りである。
【0081】
ある特定の実施形態では、酸素原子上に存在する置換基は、酸素保護基(ヒドロキシル保護基とも呼ばれる)である。酸素保護基としては、それだけに限らないが、−Raa、−N(Rbb)2、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−CO2Raa、−C(=O)N(Rbb)2、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb)2、−S(=O)Raa、−SO2Raa、−Si(Raa)3、−P(Rcc)2、−P(Rcc)3、−P(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−P(=O)(ORcc)2、−P(=O)2N(Rbb)2、および−P(=O)(NRbb)2があり、式中、Raa、Rbb、およびRccは、本明細書で定義した通りである。酸素保護基は、当技術分野で周知であり、本明細書に組み込まれているProtecting Groups in Organic Synthesis、T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts、3版、John Wiley & Sons、1999年に記載されたものを含む。
【0082】
例示的な酸素保護基としては、それだけに限らないが、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアイアコルメチル(guaiacolmethyl)(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4”−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4’,4”−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンゾイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート、アダマントエート、クロトネート、4−メトキシクロトネート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート(メシトエート)、炭酸メチル、9−フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、炭酸エチル、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、炭酸イソブチル、炭酸ビニル、炭酸アリル、t−ブチルカーボネート(BOC)、p−ニトロフェニルカーボネート、炭酸ベンジル、p−メトキシベンジルカーボネート、3,4−ジメトキシベンジルカーボネート、o−ニトロベンジルカーボネート、p−ニトロベンジルカーボネート、S−ベンジルチオカーボネート、4−エトキシ−1−ナフチル(napththyl)カーボネート、メチルジチオカーボネート、2−ヨードベンゾエート、4−アジドブチレート、4−ニトロ−4−メチルペンタノエート、o−(ジブロモメチル)ベンゾエート、2−ホルミルベンゼンスルホネート、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)ブチレート、2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート、(E)−2−メチル−2−ブテノエート、o−(メトキシアシル)ベンゾエート、α−ナフトエート、ニトレート、アルキルN,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミデート、アルキルN−フェニルカルバメート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェネート、スルフェート、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネート、およびトシレート(Ts)がある。
【0083】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、状況によって別段明示されない限り、複数の参照物を含むことに留意しなければならない。同様に、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたは複数の」および「少なくとも1つの」は、本明細書では交換可能に使用することができる。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」も、交換可能に使用することができる。
【0084】
本発明の実施では、そうでないことが指し示されない限りにおいて、当該分野の技量の範囲内にある、分子生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来の技法を使用する。このような技法については、文献中で十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,ed.by Sambrook,Fritsch and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989);DNA Cloning, Volumes I and II(D.N.Glover ed.,1985);Culture Of Animal Cells(R.I.Freshney,Alan R.Liss,Inc.,1987);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press,1986);B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);論文、Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.);Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells(J.H.Miller and M.P.Calos eds.,1987,Cold Spring Harbor Laboratory);Methods In Enzymology, Vols.154 and 155(Wuら、eds.),Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Mayer and Walker,eds.,Academic Press,London,1987);Antibodies:A Laboratory Manual,by Harlow and Lane s(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988);およびHandbook Of Experimental Immunology,Volumes I−IV(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.,1986)を参照のこと。
【0085】
本明細書で使用される「グリカン」という用語は、多糖またはオリゴ糖を指す。本明細書では、グリカンはまた、糖タンパク質、糖脂質、グリコペプチド、糖プロテオーム、ペプチドグリカン、リポ多糖、またはプロテオグリカンなど、複合糖質の炭水化物部分を指すのにも使用される。グリカンは通例、単糖間のO−グリコシド連結だけからなる。例えば、セルロースとは、β−1,4連結D−グルコースから構成されるグリカン(または、より具体的には、グルカン)であり、キチンとは、β−1,4連結N−アセチル−D−グルコサミンから構成されるグリカンである。グリカンは、単糖残基のホモポリマーの場合も、ヘテロポリマーの場合もあり、直鎖状の場合も、分枝状の場合もある。グリカンは、糖タンパク質内およびプロテオグリカン内の場合と同様に、タンパク質に付着して見出される場合もある。グリカンは一般に、細胞の外部表面上で見出される。真核生物では、O連結型グリカンおよびN連結型グリカンが非常に一般的であるが、原核生物でも、それほど一般的ではないが、見出されうる。N連結型グリカンは、シークオン(sequon)内のアスパラギンのR基窒素(N)に付着して見出される。シークオンとは、Asn−X−Ser配列またはAsn−X−Thr配列[配列中、Xは、プロリン(praline)を除く任意のアミノ酸である]である。
【0086】
本明細書で使用される「抗原」という用語は、免疫応答を誘発することが可能な任意の物質と定義される。
【0087】
本明細書で使用される「免疫原性」という用語は、免疫原、抗原、またはワクチンが、免疫応答を刺激する能力を指す。
【0088】
本明細書で使用される「CD1d」という用語は、多様なヒト抗原提示細胞の表面上で発現する、糖タンパク質のCD1(表面抗原分類(cluster of differentiation)1)ファミリーのメンバーを指す。CD1dを提示した脂質抗原は、ナチュラルキラーT細胞を活性化させる。CD1dは、糖脂質抗原が結合する、深い抗原結合溝を有する。樹状細胞上で発現するCD1d分子は、C34など、アルファGalCer類似体を含む糖脂質に結合し、これらを提示しうる。
【0089】
本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、抗体またはT細胞受容体の抗原結合性部位に接触する、抗原分子の部分と定義される。
【0090】
本明細書で使用される「ワクチン」という用語は、全病原生物(死滅させるかまたは弱毒化した)、またはこのような生物の構成要素であって、生物が引き起こす疾患に対する免疫を付与するのに使用される、タンパク質、ペプチド、または多糖などの構成要素からなる抗原を含有する調製物を指す。ワクチン調製物は、天然、合成、または組換えDNA技術により導出される場合がある。
【0091】
本明細書で使用される「抗原特異的」という用語は、特定の抗原または抗原の断片を供給する結果として、特異的細胞増殖がもたらされるような細胞集団の特性を指す。
【0092】
本明細書で使用される「特異的に結合すること」という用語は、結合対(例えば、抗体および抗原)の間の相互作用を指す。多様な場合において、特異的に結合することは、約10〜6モル/リットル、約10〜7モル/リットル、もしくは約10〜8モル/リットル、またはそれ未満のアフィニティー定数により具体化することができる。
【0093】
本明細書で使用される糖酵素という用語は、グロボ系生合成経路における酵素を少なくとも部分的に指す。例示的な糖酵素として、アルファ−4GalT、ベータ−4GalNAcT−I、またはベータ−3GalT−V酵素が挙げられる。
【0094】
本明細書で使用される用語「グロボ系経路」は、
図1に記載の生合成および酵素経路を含む。
【0095】
「単離」抗体とは、その天然環境の構成要素から同定および分離ならびに/または回収された抗体である。その天然環境の夾雑構成要素は、抗体の研究的使用、診断的使用、または治療的使用に干渉する物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性溶質または非タンパク質性溶質を含みうる。一実施形態では、抗体を(1)例えば、ローリー法により決定される通り、抗体の95重量%超まで精製し、一部の実施形態では、99重量%超まで精製するか(2)例えば、スピニングカップ型シークェネーターを使用することにより、N末端のアミノ酸配列もしくは内部アミノ酸配列のうちの少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで精製するか、または(3)例えば、クーマシーブルーもしくは銀染色を使用して、還元条件下もしくは非還元条件下で、SDS−PAGEにより、均質性まで精製する。抗体の天然環境の少なくとも1つの構成要素が存在しないので、単離抗体は、組換え細胞内のin situの抗体を含む。しかし、通常、単離抗体は、少なくとも1つの精製ステップにより調製する。
【0096】
「結合アフィニティー」とは一般に、分子(例えば、抗体)の単一の結合性部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との非共有結合的相互作用の総合計の強さを指す。そうでないことが指し示されない限りにおいて、本明細書で使用される「結合アフィニティー」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体および抗原)の間の1:1の相互作用を反映する、固有の結合アフィニティーを指す。分子Xの、そのパートナーYに対するアフィニティーは一般に、解離定数(Kd)で表すことができる。アフィニティーは、本明細書で記載される方法を含む、当技術分野で公知の一般的な方法により測定することができる。低アフィニティー抗体は一般に、抗原への結合が緩徐であり、たやすく解離する傾向があるのに対し、高アフィニティー抗体は一般に、抗原への結合が迅速であり、結合を長く維持する傾向がある。当技術分野では、結合アフィニティーを測定する様々な方法が公知であり、これらのうちのいずれかを、本発明の目的で使用することができる。具体的な例示的実施形態について、以下で記載する。
【0097】
「抗体断片」は、無傷抗体の一部分だけを含み、この場合、部分は、無傷抗体内に存在する場合にその部分と通常関連する機能のうちの少なくとも1つであり、多ければ、これらの大半または全てを保持する。一実施形態では、抗体断片は、無傷抗体の抗原結合性部位を含み、これにより、抗原に結合する能力を保持する。別の実施形態では、抗体断片、例えば、Fc領域を含む抗体断片は、FcRnへの結合、抗体半減期のモジュレーション、ADCC機能、および補体への結合など、無傷抗体内に存在する場合にFc領域と通常関連する生物学的機能のうちの少なくとも1つを保持する。一実施形態では、抗体断片は、in vivo半減期が無傷抗体と実質的に同様の一価抗体である。例えば、このような抗体断片は、in vivoにおける安定性を断片に付与することが可能なFc配列に連結された抗原結合性アームを含みうる。
【0098】
本明細書のモノクローナル抗体は具体的に、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同である一方で、鎖の残りの部分は、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体のほか、それらが、所望の生物学的活性を呈示する限りにおいて、このような抗体の断片(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81巻:6851〜6855頁(1984年))も含む。
【0099】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。一実施形態では、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域に由来する残基を、所望の特異性、アフィニティー、および/または能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長動物など、非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域に由来する残基で置きかえた、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によって、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基を、対応する非ヒト残基で置きかえる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体内またはドナー抗体内で見出されない残基を含みうる。これらの修飾は、抗体の性能をさらに精緻化するように施す。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループのうちの全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRのうちの全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のFRである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインのうちの実質的に全てを含む。ヒト化抗体はまた、任意選択で、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部分も含む。さらなる詳細については、Jonesら、Nature 321:522−525(1986);Riechmannら、Nature 332:323−329(1988);およびPresta, Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照のこと。また、以下の総説記事およびその中の参考文献を参照のこと:Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma & Immunol.1:105−115(1998);Harris, Biochem.Soc.Transactions 23:1035−1038(1995);Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428−433(1994)。
【0100】
「遮断」抗体または「アンタゴニスト」抗体とは、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害または低減する抗体である。ある特定の遮断抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的または完全に阻害する。
【0101】
本明細書で使用される「アゴニスト抗体」とは、目的のポリペプチドの機能的活性のうちの少なくとも1つを模倣する抗体である。
【0102】
「障害」とは、本発明の抗体による処置から利益を得る任意の状態である。これは、哺乳動物に、問題の障害への素因を与える病理学的状態を含む、慢性障害および急性障害または慢性疾患および急性疾患を含む。本明細書で処置される障害の非限定的な例は、がんを含む。
【0103】
「細胞増殖性障害」および「増殖性障害」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖と関連する障害を指す。一実施形態では、細胞増殖性障害は、がんである。
【0104】
本明細書で使用される「腫瘍」とは、悪性であれ、良性であれ、全ての新生物性細胞成長および増殖を指し、全ての前がん性細胞および前がん性組織ならびにがん性細胞およびがん性組織を指す。本明細書で言及される通り、「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、および「腫瘍」という用語は、相互に除外的ではない。
【0105】
「がん」および「がん性」という用語は、典型的には、未調節の細胞成長/増殖によって特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を指すか、またはこれについて記載する。がんの例は、癌腫、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、および白血病を含むがこれらに限定されない。このようながんのより具体的な例は、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮癌、腹膜がん、肝細胞がん、消化器がん、膵臓がん、神経膠芽腫、子宮頸がん(cervical cancer)、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、ヘパトーマ、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓がん、肝臓がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝癌、白血病、および他のリンパ増殖性障害、ならびに多様な種類の頭頸部がんを含む。
【0106】
用語「グロボ系に関係する障害」は、典型的に、経路の異常な機能または提示によって特徴付けられる、またはそれらが起因する障害を指し、または説明する。このような障害の例として、がんを含む過剰増殖疾患が挙げられるが、それらに限定されない。
【0107】
免疫不全症候群の例として、毛細血管拡張性運動失調症、白血球接着不全症候群、リンパ球減少症、異常ガンマグロブリン血症、HIVまたはデルタレトロウイルス感染症、分類不能免疫不全症、重症複合免疫不全症、貪食殺菌機能障害、無ガンマグロブリン血症、ディジョージ症候群、およびウィスコット−アルドリッチ症候群が挙げられるが、それらに限定されない。過敏症の例として、アレルギー、喘息、皮膚炎、蕁麻疹、アナフィラキシー、ヴィスラー症候群、および血小板減少性紫斑病が挙げられるが、それらに限定されない。
【0108】
本明細書で使用される「処置」とは、処置される個体または細胞の自然経過を改変しようとする試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理の経過中に実施することができる。処置の望ましい効果は、疾患の発症または再発の防止、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的帰結の減殺、炎症および/または組織/器官損傷の防止または低減、疾患の進行速度の低減、疾患状態の回復または軽減、および寛解または予後の改善を含む。一部の実施形態では、本発明の抗体を使用して、疾患または障害の発症を遅延させる。
【0109】
「個体」または「対象」は、脊椎動物である。ある特定の実施形態では、脊椎動物は、哺乳動物である。哺乳動物は、農場動物(ウシなど)、競技動物、ペット(ネコ、イヌ、およびウマなど)、霊長動物、マウス、およびラットを含むがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、脊椎動物は、ヒトである。
【0110】
処置を目的とする「哺乳動物」とは、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなど、飼育動物および農場動物、ならびに動物園の動物、競技動物、またはペット動物を含む、哺乳動物として分類される任意の動物を指す。ある特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
【0111】
「有効量」とは、所望の治療的結果または予防的結果を達成するための、投与量において、かつ必要な時間にわたる、有効な量を指す。
【0112】
本発明の物質/分子の「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する物質/分子の能力などの因子に従い変化しうる。治療有効量はまた、物質/分子の任意の毒性効果または有害効果を、治療的に有益な効果が凌駕するときの量でもある。「予防有効量」とは、所望の予防的結果を達成するための、投与量において、かつ必要な時間にわたる、有効な量を指す。予防用量は、対象において、疾患の発症の前またはその早期に使用されるので、予防有効量は、治療有効量未満となることが典型的であろうが、必ずしもそうではない。
【0113】
本明細書で使用される「細胞傷害剤」という用語は、細胞の機能を阻害もしくは防止し、かつ/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。用語は、放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、およびLuの放射性同位元素)、化学療法剤(例えば、メトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロランブシル、ダウノルビシン、または他の挿入剤、核酸分解酵素などの酵素およびその断片、抗生剤、ならびに細菌由来、真菌由来、植物由来、または動物由来の低分子毒素または酵素的に活性な毒素などの毒素であって、それらの断片および/または改変体を含む毒素、ならびに下記で開示される多様な抗腫瘍剤または抗がん剤を含むことを意図する。他の細胞傷害剤については、下記に記載する。殺腫瘍剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
【0114】
「化学療法剤」とは、がんの処置において有用な化学化合物である。化学療法剤の例は、チオテパおよびシクロホスファミド(cyclosphosphamide)であるCYTOXAN(登録商標)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド(triethiylenethiophosphoramide)、およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含めたエチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamines);アセトゲニン(とりわけ、ブラタシンおよびブラタシノン(bullatacinone));デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコン(lapachone);ラパコール(lapachol);コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体であるトポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレチン(scopolectin)、および9−アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン合成類似体、カルゼレシン合成類似体、およびビゼレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体である、KW−2189およびCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);クロランブシル、クロルナファジン(chlomaphazine)、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビキン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどの窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン(ranimnustine)などのニトロソウレア(nitrosureas);エンジイン抗生剤(例えば、カリケアマイシン、とりわけ、カリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンオメガI1(例えば、Agnew、Chem. Intl. Ed. Engl.、33巻:183〜186頁(1994年)を参照されたい);ジネミシン(dynemicin)Aを含むジネミシン;エスペラミシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団、および関連の色素タンパク質である、エンジイン抗生剤(antiobiotic)発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシンであるADRIAMYCIN(登録商標)(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生剤;メトトレキセートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤(anti−adrenal);フォリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキセート;デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エフロルニチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシンおよびアンサミトシン(ansamitocin)などのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン(rhizoxin);シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(とりわけ、T−2毒素、ベルカリンA(verracurin A)、ロリジンA(roridin A)、およびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセルであるTAXOL(登録商標)(Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、パクリタキセルのCremophor非含有アルブミン操作ナノ粒子製剤であるABRAXANE(商標)(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Ill.)、およびドセタキセル(doxetaxel)であるTAXOTERE(登録商標)(Rhone−Poulenc Rorer、Antony、France);クロランブシル;ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボリン(leucovovin);ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤であるRFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン(XELODA(登録商標));上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;ならびにシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンによる組み合わせ療法の略号であるCHOP、ならびにオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を5−FUおよびロイコボリンと組み合わせた処置レジメンの略号であるFOLFOXなど、上記のうちの2つまたはそれ超の組み合わせを含む。
【0115】
そうでないと定義されない限りにおいて、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載される方法および材料と類似または同等な任意の方法および材料が、本発明の実施および検査において使用されうるが、好ましい方法および材料が本明細書に記載される。本明細書中で具体的に言及される全ての刊行物および特許は、本発明に関連して使用されうる刊行物中で報告されている化学物質、細胞株、ベクター、動物、機器、統計解析および方法論を記載および開示することを含む全ての目的のために、参照により組み込まれる。本明細書中で引用される全ての参考文献は、当該分野の技量レベルを示すものと解釈すべきである。先行発明を理由として、本発明がそのような開示に先行する資格がないことの承認として解釈すべきものは、本明細書中には存在しない。
【0116】
一態様では、本開示は、ステージ特異的胚抗原(SSEA3およびSSEA4)を、ある特定の基で修飾すると、それぞれSSEA3およびSSEA4を特異的に認識する堅固なIgG抗体応答が誘発されたという驚くべき発見に基づく。
【0117】
いくつかの例では、SSEA3の修飾は、SSEA3のグルコースの1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO−フェニル基を含む。いくつかの例では、SSEA3の修飾は、非還元末端のガラクトースの1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO−フェニル基を含む。いくつかの例では、SSEA4の修飾は、SSEA4のグルコースの1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO−フェニル基を含む。いくつかの例では、SSEA4の修飾は、シアル酸残基の1つまたは複数の位置にフルオロ、アジドまたはO−フェニル基を含む。
【0118】
ある特定の態様では、本開示は、還元および/または非還元末端において修飾を有するSSEA3類似体およびSSEA4類似体を提供する。このようなSSEA3類似体およびSSEA4類似体は、天然のSSEA3およびSSEA4と比較して、より強力な免疫応答を誘発し得る(例えば、SSEA3および/またはSSEA4に対するIgG抗体の誘導)。このような非天然グリカン部分を含む免疫原性組成物によって誘導された抗体は、腫瘍細胞に対する補体依存性細胞傷害を媒介することができる。
【0120】
したがって、本発明はまた、修飾された糖鎖抗原(SSEA3およびSSEA4)からなる新規な化合物、このような化合物を含むグリカンコンジュゲート、ならびにそれらの免疫原性組成物およびワクチンを特徴とする。
【0122】
【化9】
の化合物、またはその塩を提供し、
【0124】
X1は、−ORまたは−SRであり、Rは、水素、酸素もしくは硫黄保護基、任意選択で置換されているC1〜10アルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているアシル、または任意選択で置換されているイミドイルであり、
【0125】
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびLの各事例は独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、任意選択で置換されているアリール、−N3、−NO2、−N(RB)2、−N(RA)C(O)RA、−ORA、−OC(O)RA、−SRA、−C(O)N(RB)2、−CN、−C(O)RA、−C(O)ORA、−S(O)RA、−SO2RA、−SO2N(RB)2、および−NHSO2RBから選択され、
【0126】
RAの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、および任意選択で置換されているアリールから選択され、
【0127】
RBの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、および任意選択で置換されているアリールから選択され、
【0129】
【化10】
のものではないことを条件とする。
【0130】
ある特定の実施形態では、X1は、アルファ立体配置である。ある特定の実施形態では、X1は、ベータ立体配置である。
【0131】
一部の実施形態では、X1は、−ORAである。一部の実施形態では、X1は、−OHである。一部の実施形態では、X1は、−O(保護基)である。一部の実施形態では、X1は−ORAであり、ここで、RAは、非置換C1−10アルキルである。一部の実施形態では、X1は−ORAであり、ここで、RAは、置換されているC1−10アルキルである。一部の実施形態では、X1は−ORAであり、ここで、RAは、非置換アリールである。一部の実施形態では、X1は−ORAであり、ここで、RAは、置換されているアリールである。一部の実施形態では、X1は−ORAであり、ここで、RAは、非置換アシルである。一部の実施形態では、X1は−ORAであり、ここで、RAは、置換されているアシルである。一部の実施形態では、X1は−ORAであり、ここで、RAは、非置換イミドイルである。一部の実施形態では、X1は−ORAであり、ここで、RAは、置換されているイミドイルである。
【0132】
一部の実施形態では、X1は、−SRAである。一部の実施形態では、X1は、−SHである。一部の実施形態では、X1は、−S(保護基)である。一部の実施形態では、X1は−SRAであり、ここで、RAは、非置換C1−10アルキルである。一部の実施形態では、X1は−SRAであり、ここで、RAは、置換されているC1−10アルキルである。ある特定の実施形態では、X1は、−SCH3である。一部の実施形態では、X1は−SRAであり、ここで、RAは、非置換アリールである。一部の実施形態では、X1は−SRAであり、ここで、RAは、置換されているアリールである。一部の実施形態では、X1は−SRAであり、ここで、RAは、非置換アシルである。一部の実施形態では、X1は−SRAであり、ここで、RAは、置換されているアシルである。一部の実施形態では、X1は−SRAであり、ここで、RAは、非置換イミドイルである。一部の実施形態では、X1は−SRAであり、ここで、RAは、置換されているイミドイルである。
【0133】
一部の実施形態では、X1は、C1−10アルコキシである。一部の実施形態では、X1は、C1−3アルコキシである。
【0134】
一部の実施形態では、X1は、アルファ−チオメチル、ベータ−チオメチル、アルファ−チオクレシル、ベータ−チオクレシル、アルファ−t−ブチルジフェニルシリルオキシ、ベータ−t−ブチルジフェニルシリルオキシおよびアルファ−メトキシからなる群から選択される。
【0135】
一部の実施形態では、R1は−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R1は、−N3である。ある特定の実施形態では、R1は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R1は、−NH2である。ある特定の実施形態では、R1は−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R1は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R1は、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3、および−N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R1は、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R1は、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R1は、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R1は、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R1は、−N(C(O)CH3)2である。
【0136】
一部の実施形態では、R2は−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R2は、−N3である。ある特定の実施形態では、R2は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R2は、−NH2である。ある特定の実施形態では、R2は−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R2は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R2は、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3、および−N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R2は、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R2は、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R2は、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R2は、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R2は、−N(C(O)CH3)2である。
【0137】
一部の実施形態では、R3は−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R3は、−N3である。ある特定の実施形態では、R3は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R3は、−NH2である。ある特定の実施形態では、R3は−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R3は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R3は、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3、および−N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R3は、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R3は、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R3は、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R3は、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R3は、−N(C(O)CH3)2である。
【0138】
一部の実施形態では、R4は−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R4は、−N3である。ある特定の実施形態では、R4は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R4は、−NH2である。ある特定の実施形態では、R4は−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R4は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R4は、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3、および−N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R4は、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R4は、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R4は、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R4は、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R4は、−N(C(O)CH3)2である。
【0139】
一部の実施形態では、R5は−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R5は、−N3である。ある特定の実施形態では、R5は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R5は、−NH2である。ある特定の実施形態では、R5は−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R5は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R5は、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3、および−N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R5は、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R5は、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R5は、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R5は、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R5は、−N(C(O)CH3)2である。
【0140】
一部の実施形態では、R6は−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R6は、−N3である。ある特定の実施形態では、R6は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R6は、−NH2である。ある特定の実施形態では、R6は−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R6は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R6は、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3、および−N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R6は、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R6は、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R6は、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R6は、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R6は、−N(C(O)CH3)2である。
【0141】
一部の実施形態では、R1、R2およびR3は同じである。一部の実施形態では、R1、R2およびR3は−OHである。一部の実施形態では、R4、R5およびR6同じである。一部の実施形態では、R4、R5およびR6は−OHである。
【0142】
ある特定の実施形態では、Lは、−OHである。
【0143】
ある特定の実施形態では、Lは、−OHであり、R1は−N3である。ある特定の実施形態では、Lは−OHであり、R1は−N3であり、R2、R3、R4、R5およびR6の各事例は、−OHである。
【0144】
ある特定の実施形態では、Lは−OHであり、R2は、−N3である。ある特定の実施形態では、Lは−OHであり、R2は−N3、であり、R1、R3、R4、R5およびR6の各事例は、−OHである。
【0145】
ある特定の実施形態では、Lは−OHであり、R3は、−N3である。ある特定の実施形態では、Lは−OHであり、R3は−N3であり、R1、R2、R4、R5およびR6の各事例は、−OHである。
【0146】
ある特定の実施形態では、Lは−OHであり、R4は、−N3である。ある特定の実施形態では、Lは−OHであり、R4は−N3であり、R1、R2、R3、R5およびR6の各事例は、−OHである。
【0147】
ある特定の実施形態では、Lは−OHであり、R5は−N3である。ある特定の実施形態では、Lは−OHであり、R5は−N3であり、R1、R2、R3、R4およびR6の各事例は、−OHである。
【0148】
ある特定の実施形態では、Lは−OHであり、R6は、−N3である。ある特定の実施形態では、Lは−OHであり、R6は−N3であり、R1、R2、R3、R4およびR5の各事例は、−OHである。
【0149】
ある特定の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびLの各事例は、−Fである。ある特定の実施形態では、R1は、−Fである。ある特定の実施形態では、R2は、−Fである。ある特定の実施形態では、R3は、−Fである。ある特定の実施形態では、R4は、−Fである。ある特定の実施形態では、R5は、−Fである。ある特定の実施形態では、R6は、−Fである。ある特定の実施形態では、Lは、−Fである。
【0150】
ある特定の実施形態では、Lは、以下の構造である:
【0154】
R8、R9、R10およびR11の各事例は、独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、任意選択で置換されているアリール、−N3、−NO2、−N(RB)2、−N(RA)C(O)RA、−ORA、−OC(O)RA、−SRA、−C(O)N(RB)2、−CN、−C(O)RA、−C(O)ORA、−S(O)RA、−SO2RA、−SO2N(RB)2、および−NHSO2RBから選択され;
【0155】
RNは、−N3、−NO2、−N(RB)2、−N(RA)C(O)RA、−ORA、−OC(O)RA、−SRA、−C(O)N(RB)2、−CN、−C(O)RA、−C(O)ORA、−S(O)RA、−SO2RA、−SO2N(RB)2、および−NHSO2RBから選択され;
【0156】
RAの各事例は、独立に、水素、任意選択で置換されている
アルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリルおよび任意選択で置換されているアリールから選択され;
【0157】
RBの各事例は、独立に、水素、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、および任意選択で置換されているアリールから選択される。
【0158】
一部の実施形態では、化合物は、式(II):
【0160】
のものであり、式中、R1、R2、R3、R8、R9、R10、R11およびRNおよびX1は、本明細書に記載の通りであり、
【0162】
【化13】
のものではないことを条件とする。
【0163】
一部の実施形態では、R8は−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R8は、−N3である。ある特定の実施形態では、R8は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R8は、−NH2である。ある特定の実施形態では、R8は−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R8は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R8は、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3、および−N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R8は、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R8は、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R8は、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R8は、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R8は、−N(C(O)CH3)2である。
【0164】
一部の実施形態では、R9は−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R9は、−N3である。ある特定の実施形態では、R9は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R9は、−NH2である。ある特定の実施形態では、R9は−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R9は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R9は、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3、および−N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R9は、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R9は、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R9は、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R9は、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R9は、−N(C(O)CH3)2である。
【0165】
一部の実施形態では、R10は−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R10は、−N3である。ある特定の実施形態では、R10は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R10は、−NH2である。ある特定の実施形態では、R10は−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R10は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R10は、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3、および−N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R10は、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R10は、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R10は、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R10は、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R10は、−N(C(O)CH3)2である。
【0166】
一部の実施形態では、R11は−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R11は、−N3である。ある特定の実施形態では、R11は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R11は、−NH2である。ある特定の実施形態では、R11は−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R11は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R11は、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3およびN(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R11は、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R11は、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R11は、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R11は、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R11は、−N(C(O)CH3)2である。
【0167】
一部の実施形態では、R12は−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R12は、−N3である。ある特定の実施形態では、R12は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R12は、−NH2である。ある特定の実施形態では、R12は−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R12は−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、R12は、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3、および−N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R12は、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、R12は、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、R12は、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、R12は、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、R12は、−N(C(O)CH3)2である。
【0168】
一部の実施形態では、RNは−N3または−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、RNは、−N3である。ある特定の実施形態では、RNは−N(RW)2であり、ここで、各RWは、独立に、水素または窒素保護基である。ある特定の実施形態では、RNは、−NH2である。ある特定の実施形態では、RNは−NHRWであり、ここで、RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、RNは−N(RW)2であり、ここで、各RWは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、RNは、−N3、−NH(Cbz)、−NH(Boc)、−NH(Fmoc)、−NHC(O)CCl3、−NHC(O)CH3、および−N(C(O)CH3)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、RNは、−NH(Cbz)である。ある特定の実施形態では、RNは、−NH(Fmoc)である。ある特定の実施形態では、RNは、−NHC(O)CCl3である。ある特定の実施形態では、RNは、−NHC(O)CH3である。ある特定の実施形態では、RNは、−N(C(O)CH3)2である。
【0170】
別の態様では、本発明は、(a)担体および1つまたは複数のグリカンを含むグリカンコンジュゲート、ならびに任意選択で(b)アジュバントを含む免疫原性組成物を提供し、
【0171】
ここで1つまたは複数のグリカンのそれぞれは、リンカーを介して担体とコンジュゲートし、式(III)または(IV):
【0174】
を有し、式中、X1、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、LおよびRNは、本明細書に記載の通りである。
【0175】
ある特定の実施形態では、リンカーは、ヘテロ二官能性またはホモ二官能性リンカーである。
【0176】
ある特定の実施形態では、リンカーは、ホモ二官能性p−ニトロフェニルリンカーである。
【0177】
ある特定の実施形態では、リンカーは、少なくとも1つの硫黄原子、カルボキシレート基、アミド基、カルバメート基、カーボネート基、チオカルバメート基、チオカーボネート基、チオエーテル基、スクシンアミド基、n−ヒドロキシスクシンアミド基、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0178】
ある特定の実施形態では、リンカーは、−L1−L2−であり、L1は、結合、−O−、−S−、−NRL1a−、−C(=O)−、−NRL1aC(=O)−、−NRL1aC(=O)O−、−C(=O)NRL1a−、−OC(=O)NRL1a−、−SC(=O)−、−C(=O)S−、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−NRL1aC(=S)−、−C(=S)NRL1a−、trans−CRL1b=CRL1b−、cis−CRL1b=CRL1b−、−C≡C−、−OC(RL1b)2−、−C(RL1b)2O−、−NRL1aC(RL1b)2−、−C(RL1b)2NRL1a−、−SC(RL1b)2−、−C(RL1b)2S−、−S(=O)2O−、−OS(=O)2−、−S(=O)2NRL1a−、−NRL1aS(=O)2−、または任意選択で置換されているC1〜20炭化水素鎖であり、任意選択で炭化水素鎖の1つまたは複数の炭素単位は、−O−、−S−、−NRL1a−、−C(=O)−、NRL1aC(=O)−、−NRL1aC(=O)O−、−C(=O)NRL1a−、−OC(=O)NRL1a−、−SC(=O)−、−C(=O)S−、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−NRL1aC(=S)−、−C(=S)NRL1a−、trans−CRL1b=CRL1b−、cis−CRL1b=CRL1b−、−C≡C−、−S(=O)2O−、−OS(=O)2−、−S(=O)2NRL1a−、または−NRL1aS(=O)2−で置き換えられており、RL1aは、水素、任意選択で置換されているC1〜6アルキル、もしくは窒素保護基であり、またはRL1aは、隣接する炭素原子と接合して、任意選択で置換されている複素環を形成し、RL1bは、出現するごとに独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されているC1〜10アルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているカルボシクリル、任意選択で置換されているヘテロシクリル、任意選択で置換されているアリール、および任意選択で置換されているヘテロアリールからなる群より選択され、またはRL1bは、隣接する炭素もしくは窒素もしくは酸素原子と接合して、任意選択で置換されている炭素環もしくは複素環を形成し、または2つのRL1b基は、接合して、任意選択で置換されている炭素環もしくは任意選択で置換されている複素環を形成し、L2は、担体およびL1を架橋することができる架橋試薬から導出された部分である。
【0179】
担体は、タンパク質、脂質、脂肪分解された(lipolized)タンパク質、ウイルス、ペプチド、またはグリコペプチドのデンドリマーであり得る。ある特定の実施形態では、担体は、T細胞エピトープを含むペプチドである。
【0180】
本発明で使用され得る担体タンパク質の例は、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド(DT)、ジフテリア毒素交差反応性材料197(CRM197)、TTの断片C、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、タンパク質D、外膜タンパク質(OMP)およびニューモリシン、ジフテリア毒素交差反応性材料197(CRM197)または他のDT点変異体、例えばCRM176、CRM228、CRM45(Uchidaら、J. Biol. Chem. 218巻;3838〜3844頁、1973年);CRM9、CRM45、CRM102、CRM103およびCRM107、ならびに当技術分野で説明されている他の変異である。
【0181】
ある特定の実施形態では、グリカンコンジュゲートは、式(IV−a)または(IV−b):
【0185】
のものであり、式中、mは、両端を含み1〜40の整数である。
【0186】
ある特定の実施形態では、mは、両端を含み1〜30の整数である。本明細書で一般に定義されている通り、mは、両端を含み1〜20の整数である。ある特定の実施形態では、mは、1である。ある特定の実施形態では、mは、2である。ある特定の実施形態では、mは、4である。ある特定の実施形態では、mは、6である。ある特定の実施形態では、mは、8である。ある特定の実施形態では、mは、10である。ある特定の実施形態では、mは、15である。ある特定の実施形態では、mは、20である。ある特定の実施形態では、mは、30である。ある特定の実施形態では、mは、40である。
【0187】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のグリカンコンジュゲートの少なくとも2つを含むグリカンコンジュゲート混合物を提供する。ある特定の実施形態では、グリカン混合物のwの平均値は、約1.0〜約40.0である。ある特定の実施形態では、グリカン混合物のwの平均値は、約1.0〜10.0である。ある特定の実施形態では、グリカン混合物のwの平均値は、約5.7、4.9、2.9、2.8、または3.1である。ある特定の実施形態では、グリカン混合物のwの平均値は、約4.9、2.9、2.8、または3.1である。
【0188】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物は、免疫原性的に有効な量の本発明のグリカンコンジュゲートを含む。ある特定の実施形態では、免疫原性組成物は、薬学的に有効な量の本発明のグリカンコンジュゲートを含む。
【0189】
本発明の化合物は、本明細書に記載の手順を使用して合成することができ、米国特許出願公開第20140051127号も参照のこと。
【0190】
本発明の免疫原性コンジュゲートは、同じまたは異なるSSEA3および/またはSSEA4類似体および/または関係する誘導体の1つまたは複数の分子(例えば1〜40個、1〜20個、1〜25個、1〜30個)を含むことができる。グリカンコンジュゲートを生成するための追加の説明および関係する手順は、以下に記載される。参照によって内容が本明細書に組み込まれる米国特許第8,268,969号も参照のこと。
【0191】
ある特定の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、1種または複数のアジュバントを含むことができる。適切なアジュバントには、例えばC34、7DW8−5、C17、C23、C−30、アルファ−ガラクトセラミド、Gluco−C34、アルミニウム塩、スクアレン、MF59、およびQS−21が含まれ得る。
【0192】
本明細書で使用される用語「ミョウバン(alum)アジュバント」は、免疫アジュバント活性を有するアルミニウム塩を指す。この薬剤は、溶液中でタンパク質抗原に吸着し、沈殿させる。得られた沈殿物は、接種部位において形成されたワクチンデポーからの抗原の徐放を容易にすることによって、ワクチン免疫原性を改善する。
【0193】
本明細書で使用される用語「免疫アジュバント」は、免疫原に対する免疫応答を増強または改変する、免疫原と併用される物質を指す。本開示のα−GalCer類似体は、ワクチンにより激しく応答するように、ワクチンを投与される患者の免疫系を刺激することによって、ワクチンの効果を改変または増強する免疫アジュバントとして使用される。例示的な実施では、類似体C34は、アジュバントとして使用される。C34および他のアルファ−ガラクトシルセラミド類似体の構造、ならびにアジュバントとしてのそれらの使用は、米国特許第7,928,077号に詳細に開示されている。
【0194】
本明細書で使用される用語「糖脂質」は、細胞を認識するためのマーカーとして働く、糖質に付着した脂質を指す。
【0195】
糖脂質C34、Gluco−C34、C23および7DW8−5は、以下の構造:
【0198】
免疫原性組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物は、薬学的に有効な量の本発明のグリカンコンジュゲートを含む。
【0199】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の免疫原性組成物および薬学的に許容される賦形剤を含むがんワクチンを提供する。
【0200】
本発明のがんワクチンは、単回用量または複数回用量の本発明のグリカンコンジュゲート、それらのグリカンコンジュゲート混合物、またはそれらの免疫原性組成物を含み得る。提供されるがんワクチンは、がんを処置し、またはがんの危険性を低減するのに有用となり得る。がんワクチンはまた、対象または医療従事者のために使用または処方情報を説明するパッケージ情報を含み得る。このような情報は、米国食品医薬局(FDA)などの規制当局によって必要とされる場合がある。またがんワクチンは、任意選択で、化合物または組成物を投与するためのデバイス、例えば非経口投与のためのシリンジを含むことができる。
【0202】
免疫組成物は、投与製剤と適合性の様式で、治療有効量、保護的量および免疫原性量で、投与される。投与される量は、例えば抗体を合成し、必要に応じて細胞媒介性の免疫応答をもたらす個体の免疫系の能力を含めて、処置される対象に応じて決まる。投与が必要な有効成分の正確な量は、実施者の判断に依存する。しかし、適切な投与量範囲は、当業者により容易に決定可能である。初回投与および追加免疫用量に適したレジメンもまた可変的であるが、その後の投与が後に続く初回投与を含みうる。ワクチンの投与量もまた、投与経路に依存しえ、宿主サイズにしたがって変動する。
【0203】
また、本発明の免疫組成物を、動物において抗体を産生するために使用して、抗体を生成することができ、それらの抗体は、がんの処置および診断の両方に使用することができる。当技術分野では、動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、またはウマ)においてモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体ならびにこれらの断片を作製する方法が周知である。例えば、HarlowおよびLane(1988年)、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New Yorkを参照されたい。「抗体」という用語は、無傷の免疫グロブリン分子のほか、Fab、F(ab’)
2、Fv、scFv(単鎖抗体)、およびdAb(ドメイン抗体;Wardら(1989年)、Nature、341巻、544頁)など、これらの断片を含む。
【0204】
本明細書で開示される組成物は、本開示を読んだ当業者に同定可能な、さらなる活性剤、担体、ビヒクル、賦形剤、または補助剤と併せて、医薬組成物中に含むことができる。
【0205】
医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含むことが好ましい。このような医薬組成物中で、本明細書で開示される組成物は、「活性剤」とも称する「活性化合物」を形成する。本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という表現は、医薬品の投与と適合性の、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。また、補助的な活性化合物も、組成物に組み込むことができる。医薬組成物は、その意図された投与経路と適合性となるように製剤化する。投与経路の例は、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口(例えば、吸入)投与、経皮(局所)投与、経粘膜投与、および直腸投与を含む。非経口適用、皮内適用、または皮下適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の構成要素:注射用水、食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌希釈液;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;アセテート、シトレート、またはホスフェートなどの緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはテキストロースなど、張度を調整するための薬剤を含みうる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。非経口調製物は、アンプル内、使い捨て型のシリンジ内、またはガラス製もしくはプラスチック製の複数用量バイアル内に封入することができる。
【0207】
本発明は、対象における増殖性疾患、例えば、がん(例えば、肺がん、大腸がん、膵臓がん、胆管がん、または子宮内膜がん)、良性新生物、または血管新生の処置のために有用なグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンを提供する。
【0208】
また、本明細書に記載の免疫原性組成物またはワクチンを、ヒトまたは動物において抗体を産生するために使用して、抗体を生成することができ、それらの抗体は、がんの処置および診断の両方に使用することができる。また、一部の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物またはワクチンを、GloboH、SSEA3および/またはSSEA4抗体を産生するために使用することができる。当技術分野では、ヒトおよび/または動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、またはウマ)においてモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体ならびにこれらの断片を作製する方法が周知である。例えば、HarlowおよびLane(1988年)、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New Yorkを参照されたい。「抗体」という用語は、無傷の免疫グロブリン分子のほか、Fab、F(ab’)
2、Fv、scFv(単鎖抗体)、およびdAb(ドメイン抗体;Wardら(1989年)、Nature、341巻、544頁)など、これらの断片を含む。
【0209】
少なくとも1つの抗SSEA3/SSEA4/GloboH抗体、または抗SSEA3/SSEA4/GloboH抗体をコードする配列を含む、少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、組成物は、医薬組成物でありうる。本明細書で使用される、組成物は、1つもしくは複数のSSEA3/SSEA4/GloboHに結合する1つもしくは複数の抗体、および/または1つもしくは複数のSSEA3/SSEA4/GloboHに結合する1つもしくは複数の抗体をコードする配列を含む、1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む。これらの組成物は、当技術分野で周知の緩衝剤を含む、薬学的に許容される賦形剤などの適切な担体もさらに含みうる。
【0210】
単離抗体ならびにポリヌクレオチドもまた提供される。ある特定の実施形態では、単離抗体およびポリヌクレオチドは、実質的に純粋である。
【0211】
一実施形態では、抗SSEA3/SSEA4/GloboH抗体は、モノクローナル抗体である。別の実施形態では、抗SSEA3/SSEA4/GloboH抗体の断片(例えば、Fab断片、Fab’−SH断片、およびF(ab’)2断片)が提供される。これらの抗体断片は、酵素的消化など、従来の手段により創出することもでき、組換え技法により作り出すこともできる。このような抗体断片は、キメラ抗体断片、ヒト化抗体断片、またはヒト抗体断片の場合がある。これらの断片は、下記に示される診断目的および治療目的に有用である。
医薬製剤
【0212】
本発明の薬剤を含む治療用製剤は、所望の程度の純度を有する抗体を、任意選択の、生理学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences、16版、Osol, A.編(1980年))と、水溶液、凍結乾燥製剤、または他の乾燥製剤の形態で混合することにより、保管用に調製する。許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤は、使用される投与量および濃度で、レシピエントに対して非毒性であり、ホスフェート、シトレート、ヒスチジン、および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸;単糖、二糖、および、グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む、他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);ならびに/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0213】
本明細書の製剤はまた、処置される特定の適応症に対する必要に応じて、1つを超える活性化合物であって、互いに対して有害な影響を及ぼし合わない相補的活性を伴う活性化合物を含むがこれらに限定されない活性化合物も含有しうる。このような分子は、意図される目的に有効な量で組み合わせの中に適切に存在する。
【0214】
有効成分はまた、例えば、コアセルベーション技法により、または界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)内、またはマクロエマルジョン中の、ヒドロキシメチルセルロースマイクロカプセル内またはゼラチンマイクロカプセル内およびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内に捕らえることもできる。このような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、16版、Osol, A.編(1980年)において開示されている。
【0215】
in vivoにおける投与のために使用される製剤は、滅菌製剤でなければならない。これは、滅菌濾過膜を介する濾過によりたやすく達成される。
【0216】
持続放出調製物を調製することができる。適切な持続放出調製物の例は、本発明の免疫グロブリンを含有する固体の疎水性ポリマーによる半透性マトリックスを含み、このマトリックスは、成型品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態にある。持続放出マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーと、酢酸ロイプロリドとから構成される注射用マイクロスフェア)などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーが、100日間超にわたり分子の放出を可能とするのに対し、ある特定のヒドロゲルは、タンパク質を放出する期間が短い。封入された免疫グロブリンは、長時間体内にとどまる場合、37℃の水分に曝露される結果として、変性または凝集し、生物学的活性の喪失および可能な免疫原性の変化を結果としてもたらす場合がある。関与する機構に応じた、安定化のための妥当な戦略を案出することができる。例えば、凝集機構は、チオール−ジスルフィド交換を介する、分子間S−S結合の形成であることがわかっていれば、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥させ、水分含量を制御し、適切な添加剤を使用し、特異的なポリマーマトリックス組成物を開発することにより達成することができる。
【0217】
本発明の医薬組成物を使用して、SSEA3/SSEA4/GloboHおよびSSEA3/SSEA4/GloboH関連タンパク質の異常な発現および/または活性と関連する疾患、障害、または状態であって、がん、筋障害、ユビキチン経路関連の遺伝子障害、免疫/炎症性障害、神経障害、および他のユビキチン経路関連障害を含むがこれらに限定されない疾患、障害、または状態を処置するか、阻害するか、進行を遅延させるか、再発を防止する/遅延させるか、回復させるか、または防止することができる。
【0218】
一態様では、本発明の遮断抗体は、SSEA3/SSEA4/GloboHに特異的である。
【0219】
本発明の医薬組成物は、治療において、単独で、または他の組成物と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体は、別の抗体および/またはアジュバント/治療剤(例えば、ステロイド)と共に共投与することができる。例えば、本発明の抗体は、処置スキームにおいて、例えば、がん、筋障害、ユビキチン経路関連の遺伝子障害、免疫/炎症性障害、神経障害、および他のユビキチン経路関連障害を含む、本明細書で記載される疾患のうちのいずれかの処置において、抗炎症剤および/または消毒薬と組み合わせることができる。上で言及された、このような組み合わせ療法は、組み合わせ投与(2つまたはこれを超える薬剤が、同じ製剤中または個別の製剤中に含まれる場合)と、個別投与とを含み、個別投与の場合、本発明の抗体の投与は、1つまたは複数の補助療法の投与の前、および/またはこれらの後で施すことができる。
【0220】
本発明の医薬組成物(および補助療法剤)は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、および鼻腔内、ならびに、局所的処置に所望の場合、病変内投与を含む任意の適切な手段により投与することができる。非経口注入は、筋内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または皮下投与を含む。加えて、医薬組成物は、特に、抗体の用量を減じるパルス注入により投与するのに適し得る。投薬は、任意の適切な経路によって、例えば、投与が短期であるのか、長期であるのかに部分的に応じて、静脈内または皮下注射などの注射を介することが可能である。
【0221】
抗体の調製および投与では、本発明の抗体の結合標的の位置を考慮する場合がある。結合標的が、細胞内分子である場合、本発明のある特定の実施形態は、結合標的が位置する細胞に導入される抗体またはその抗原結合性断片を提供する。一実施形態では、本発明の抗体は、細胞内でイントラボディー(intrabody)として発現させることができる。本明細書で使用される「イントラボディー」という用語は、Marasco、Gene Therapy、4巻:11〜15頁(1997年);Kontermann、Methods、34巻:163〜170頁(2004年);米国特許第6,004,940号および同第6,329,173号;米国特許出願公開第2003/0104402号;ならびにPCT公開第WO2003/077945号において記載されている通り、細胞内で発現し、標的分子に選択的に結合することが可能な、抗体またはその抗原結合性部分を指す。イントラボディーの細胞内発現は、所望の抗体またはその抗原結合性部分をコードする核酸(その抗体または抗原結合性断片をコードする遺伝子と通常関連する、野生型のリーダー配列および分泌シグナルを欠く)を、標的細胞に導入することによりなされる。核酸を細胞に導入する、任意の標準的な方法であって、微量注射、遺伝子銃注射、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、リポソーム、および、目的の核酸を保有するレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、およびワクシニアベクターによるトランスフェクションを含むがこれらに限定されない方法を使用することができる。
【0222】
本発明の医薬組成物は、「医薬品の製造および品質管理に関する基準(good medical practice)」に準拠する方式で、製剤化、投薬および投与される。この文脈で検討される因子は、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与法、投与のスケジュール指定、および医療従事者に公知の他の因子を含む。抗体は、問題の障害を防止または処置するのに現在使用されている、1つまたは複数の薬剤と共に製剤化する必要はないが、任意選択で、これらと共に製剤化される。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する本発明の抗体の量、障害または処置の種類、および上で論じた他の因子に依存する。これらは、一般に、本明細書で記載される通り同じ投与量および投与経路で、または本明細書で記載される投与量の約1〜99%で、または経験的/臨床的に適切であると決定される任意の投与量および任意の経路で使用される。
【0223】
疾患を防止または処置するために、本発明の医薬組成物の適切な投与量(単独で、または、化学療法剤など、他の薬剤と組み合わせて使用する場合)は、処置される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度および経過、抗体が予防目的で投与されるのか、治療目的で投与されるのか、以前の治療、患者の臨床歴および抗体への応答、ならびに主治医の判断に依存する。抗体は、患者に一度に、または一連の処置にわたり投与するのに適する。疾患の種類および重症度に応じて、抗体約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.1mg/kg〜10mg/kg)が、例えば、1回または複数回の個別投与によるのであれ、連続注入によるのであれ、患者に投与するための初期の候補投与量でありうる。典型的な毎日の1回分の投与量は、上で言及した因子に応じて、約1μg/kg〜100mg/kgまたはこれを超える範囲でありうる。数日間またはこれを超えて長期にわたる繰返し投与では、状態に応じて、処置は一般に、疾患症状の所望される抑制が生じるまで持続される。1つの例示的な抗体の投与量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲である。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または10mg/kgのうちの1つまたは複数の用量(またはこれらの任意の組み合わせ)を、患者に投与することができる。このような用量は、間欠的に、例えば、毎週または3週間ごとに(例えば、患者が抗体の、約2〜約20用量、または例えば、約6用量を受けるように)投与することができる。初期の高負荷用量に続き、1回または複数回の低用量を投与することができる。例示的な投薬レジメンは、初期負荷用量約4mg/kgに続いて、毎週の維持用量約2mg/kgの抗体を投与することを含む。しかし、他の投与レジメンも、有用でありうる。この治療の進捗状況は、従来の技法およびアッセイにより、容易にモニタリングされる。
【0225】
本発明の別の態様では、上で記載した障害の処置、防止、および/または診断に有用な材料を含有する製品が提供される。製品は、容器、および容器上における標識もしくはパッケージ添付文書、または容器と関連する標識もしくはパッケージ添付文書を含む。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジなどを含む。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成することができる。容器は、それ自体で、または別の組成物と組み合わされると、状態を処置、防止、および/または診断するのに有効な組成物を保持し、滅菌アクセスポートを含みうる(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針で穿刺可能な止栓を有するバイアルの場合がある)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本発明の抗体である。標識またはパッケージ添付文書は、組成物が、選択した状態を処置するために使用されることを指し示す。さらに、製品は、(a)組成物がその中に含有された第1の容器であって、組成物が本発明の抗体を含む、容器と;(b)組成物がその中に含有された第2の容器であって、組成物がさらなる細胞傷害性またはこれ以外の治療剤を含む、容器とを含みうる。本発明のこの実施形態における製品は、組成物を使用して、特定の状態を処置しうることを指し示す、パッケージ添付文書もさらに含みうる。代替的に、または加えて、製品は、静菌性注射用水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、およびテキストロース溶液など、薬学的に許容される緩衝液を含む第2の(または第3の)容器もさらに含みうる。製品は、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジを含む、商業上のおよび使用者の観点から望ましい他の材料もさらに含む。
【0226】
以下は、本発明の方法および組成物の例である。上で提供される一般記載を考慮して、種々の他の実施形態が実施され得ることが理解される。
【0227】
一部の実施形態では、提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、聴神経腫瘍、腺癌、副腎がん、肛門がん、血管肉腫(angiosarcoma)(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、血管肉腫(hemangiosarcoma))、虫垂がん、良性単クローン性高ガンマグロブリン血症、胆道がん(biliary cancer)(例えば、胆管癌)、膀胱がん、乳がん(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳腺がん(mammary cancer)、乳房の髄様癌)、脳がん(例えば、髄膜腫;神経膠腫、例えば、星状細胞腫、希突起神経膠腫;髄芽腫)、気管支がん、カルチノイド腫瘍、子宮頸がん(例えば、子宮頸部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸がん(例えば、結腸がん、直腸がん、結腸直腸腺癌)、上皮癌、上衣腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫(multiple idiopathic hemorrhagic sarcoma))、子宮内膜がん(例えば、子宮がん、子宮肉腫)、食道がん(例えば、食道の腺癌、バレット腺癌(Barrett’s adenocarinoma))、ユーイング肉腫、眼がん(例えば、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫)、家族性過好酸球増加症、胆嚢がん、胃がん(例えば、胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮癌、口腔がん(例えば、口腔扁平上皮癌(OSCC)、咽頭(throat)がん(例えば、喉頭がん、咽頭(pharyngeal)がん、上咽頭がん、中咽頭がん))、造血性がん(例えば、白血病、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)、および慢性リンパ性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL);リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)(例えば、B細胞HL、T細胞HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、B細胞NHL、例えば、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL))、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫(nodal marginal zone B−cell lymphoma)、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫(splenic marginal zone B−cell lymphoma))、縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(primary mediastinal B−cell lymphoma)、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち、「ワルデンシュトレームマクログロブリン血症」)、ヘアリーセル白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫および原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫;ならびにT細胞NHL、例えば、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫(precursor T−lymphoblastic lymphoma)/白血病、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉症(mycosis fungiodes)、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫(extranodal natural killer T−cell lymphoma)、腸症型T細胞リンパ腫(enteropathy type T−cell lymphoma)、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫);上記1つまたは複数の白血病/リンパ腫の混合;ならびに多発性骨髄腫(MM))、重鎖病(例えば、アルファ鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病)、血管芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor)、免疫球性アミロイドーシス(immunocytic amyloidosis)、腎臓がん(例えば、ウィルムス腫瘍としても知られる腎芽腫、腎細胞癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞がん(HCC)、悪性へパトーマ)、肺がん(例えば、気管支原性癌、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺の腺癌)、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖性障害(MPD)(例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、骨髄線維症(MF)としても知られる原発性骨髄線維症(AMM)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES))、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1型または2型、神経鞘腫症)、神経内分泌がん(例えば、胃腸膵神経内分泌腫瘍(gastroenteropancreatic neuroendoctrine tumor)(GEP−NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣がん(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、乳頭腺癌、膵臓がん(例えば、膵臓腺癌(pancreatic andenocarcinoma)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、島細胞腫瘍)、陰茎がん(例えば、陰茎および陰嚢のパジェット病)、松果体腫、未分化神経外胚葉性腫瘍(PNT)、前立腺がん(例えば、前立腺腺癌)、直腸がん、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん(例えば、扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、小腸がん(例えば、虫垂がん)、軟組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、皮脂腺癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣がん(例えば、セミノーマ、精巣胎児性癌)、甲状腺がん(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様がん)、尿道がん、膣がんおよび外陰部がん(例えば、外陰部のパジェット病)を含むがこれらに限定されないがんを処置または診断するのに有用である。ある特定の実施形態では、提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、脳がん、肺がん、乳がん、口腔がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、膵臓がん、結腸がん、腎臓がん、骨がん、皮膚がん、子宮頸がん、卵巣がん、および前立腺がんを処置するために有用である。
【0228】
本明細書で記載される処置方法を実施するために、本明細書で記載されるグリカンコンジュゲート、または免疫原性組成物またはワクチンのいずれかの有効量が、上記のように、適切な経路を介して処置を必要とする対象に投与されうる。ヒト対象などの対象は、がんを有するか、がんを有することが疑われるか、またはがんに対して感受性の患者でありうる。対象に投与されたグリカンコンジュゲートまたは免疫原性組成物の量は、コンジュゲートまたは組成物中のグリカン部分に対して特異的な免疫応答を誘発するのに有用となり得る。一部の実施形態では、グリカンコンジュゲートまたは免疫原性組成物の量は、がんの成長の阻害および/または腫瘍量(tumor mass)の低減をもたらす免疫応答を誘発するのに十分である。他の実施形態では、グリカンコンジュゲートまたは免疫原性組成物の量は、標的がんの発病を遅延させるまたはがんを発症する危険性を低減させるのに有効でありうる。有効量を達成するために必要な提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンの正確な量は、例えば、対象の種、年齢、および全身状態、副作用または障害の重症度、特定の化合物の正体、投与様式などに依存して、対象ごとに変動する。所望の投与量は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、3日ごと、毎週、2週間ごと、3週間ごと、または4週間ごとに、送達されうる。ある特定の実施形態では、所望の投与量は、複数回の投与(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、またはそれを超える回数の投与)を使用して送達されうる。
【0229】
ある特定の実施形態では、70kgの成人への1日に1回または複数回の投与のための、提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンの有効量は、単位剤形当たり、約0.0001mg〜約3000mg、約0.0001mg〜約2000mg、約0.0001mg〜約1000mg、約0.001mg〜約1000mg、約0.01mg〜約1000mg、約0.1mg〜約1000mg、約1mg〜約1000mg、約1mg〜約100mg、約10mg〜約1000mg、または約100mg〜約1000mgの化合物を含みうる。
【0230】
ある特定の実施形態では、提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、所望の治療効果を得るために、1日に1回または複数回で、1日当たり対象の体重1kg当たり約0.001mg〜約100mg、約0.01mg〜約50mg、好ましくは約0.1mg〜約40mg、好ましくは約0.5mg〜約30mg、約0.01mg〜約10mg、約0.1mg〜約10mg、より好ましくは約1mg〜約25mgを送達するのに十分な投与量レベルで、経口または非経口投与されうる。
【0231】
本明細書で記載される用量範囲は、成体への提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンの投与のためのガイダンスを提供することを理解されたい。例えば、小児または青年に投与すべき量は、医療従事者または当業者によって決定されえ、成体に投与される量よりも低いまたはそれと同じでありうる。
【0232】
提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、1つまたは複数のさらなる治療的活性剤と組み合わせて投与されうることもまた理解されたい。提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、それらのバイオアベイラビリティを改善する、それらの代謝を低減および/もしくは修飾する、それらの排泄を阻害する、ならびに/または体内でのそれらの分布を修飾するさらなる治療的活性剤と組み合わせて投与されうる。使用される治療は、同じ障害に対する所望の効果を達成しうる、および/または異なる効果を達成しうることもまた理解されたい。
【0233】
提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、1つまたは複数のさらなる治療的活性剤と同時発生的に、その前に、またはその後に投与されうる。一般に、各薬剤は、その薬剤について決定された用量でおよび/またはタイムスケジュールで投与される。この組み合わせにおいて活用されるさらなる治療的活性剤は、単一の組成物中で一緒に投与されうる、または異なる組成物中で別々に投与されうることをさらに理解されたい。レジメンにおいて使用する特定の組み合わせは、本発明の化合物と、さらなる治療的活性剤および/または達成すべき所望の治療効果との適合性を考慮に入れる。一般に、組み合わせ中で活用されるさらなる治療的活性剤は、それらが個々に活用されるときのレベルを超えないレベルで活用されると予測される。一部の実施形態では、組み合わせ中で活用されるレベルは、個々に活用されるレベルよりも低い。
【0234】
ある特定の実施形態では、提供されたグリカンコンジュゲート、免疫原性組成物またはワクチンは、本明細書で記載される1つまたは複数のさらなる医薬品剤(pharmaceutical agent)と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態では、さらなる医薬品剤は、抗がん剤である。抗がん剤は、生物療法的抗がん剤(biotherapeutic anti−cancer agent)ならびに化学療法剤を包含する。
【0235】
例示的な生物療法的抗がん剤は、インターフェロン、サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子、インターフェロンα、インターフェロンγ)、ワクチン、造血成長因子、モノクローナル血清療法、免疫賦活薬および/または免疫調節剤(例えば、IL−1、2、4、6、または12)、免疫細胞増殖因子(例えば、GM−CSF)および抗体(例えば、Herceptin(トラスツズマブ)、T−DM1、AVASTIN(ベバシズマブ)、ERBITUX(セツキシマブ)、Vectibix(パニツムマブ)、Rituxan(リツキシマブ)、Bexxar(トシツモマブ))を含むがこれらに限定されない。
【0236】
例示的な化学療法剤は、抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、およびメゲストロール)、LHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン(goscrclin)およびロイプロリド)、抗アンドロゲン薬(例えば、フルタミドおよびビカルタミド)、光線力学的治療(例えば、ベルテポルフィン(vertoporfin)(BPD−MA)、フタロシアニン、光感受性物質Pc4、およびデメトキシ−ヒポクレリンA(demethoxy−hypocrellin A)(2BA−2−DMHA))、窒素マスタード(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロランブシル、エストラムスチン、およびメルファラン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU))、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファンおよびトレオスルファン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン、テモゾロミド)、白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビン)、タキソイド(例えば、パクリタキセルまたはパクリタキセル等価物、例えば、ナノ粒子アルブミン結合型パクリタキセル(Abraxane)、ドコサヘキサエン酸結合型パクリタキセル(DHA−パクリタキセル、Taxoprexin)、ポリグルタミン酸結合型パクリタキセル(PG−パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメクス、CT−2103、XYOTAX)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP)ANG1005(3分子のパクリタキセルに結合したAngiopep−2)、パクリタキセル−EC−1(erbB2認識ペプチドEC−1に結合したパクリタキセル)、およびグルコース−コンジュゲート化パクリタキセル、例えば、2’−パクリタキセルメチル2−グルコピラノシルスクシネート(2’−paclitaxel methyl 2−glucopyranosyl succinate);ドセタキセル、タキソール)、エピポドフィリン(epipodophyllin)(例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、トポテカン、9−アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン(camptoirinotecan)、イリノテカン、クリスナトール(crisnatol)、マイトマイシンC(mytomycin C))、代謝拮抗剤、DHFR阻害剤(例えば、メトトレキセート、ジクロロメトトレキセート、トリメトレキセート、エダトレキセート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、およびEICAR)、リボヌクレオチド(ribonuclotide)レダクターゼ阻害剤(例えば、ヒドロキシウレアおよびデフェロキサミン)、ウラシル類似体(例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラルチトレキセド(ratitrexed)、テガフール−ウラシル、カペシタビン)、シトシン類似体(例えば、シタラビン(araC)、シトシンアラビノシド、およびフルダラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリンおよびチオグアニン)、ビタミンD3類似体(例えば、EB 1089、CB 1093、およびKH 1060)、イソプレニル化阻害剤(例えば、ロバスタチン)、ドーパミン作動性神経毒(例えば、1−メチル−4−フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えば、アクチノマイシンD、ダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えば、ベラパミル)、Ca
2+ ATPase阻害剤(例えば、タプシガルジン)、イマチニブ、サリドマイド、レナリドミド、チロシンキナーセ阻害剤(例えば、アキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI−606)、セジラニブ(RECENTIN(商標)、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS−354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標)、CGP57148B、STI−571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP−701)、ネラチニブ(HKI−272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキサニブ(semaxanib)(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(toceranib)(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、テムシロリムス(TORISEL(登録商標))、ENMD−2076、PCI−32765、AC220、乳酸ドビチニブ(dovitinib lactate)(TKI258、CHIR−258)、BIBW 2992(TOVOK(商標))、SGX523、PF−04217903、PF−02341066、PF−299804、BMS−777607、ABT−869、MP470、BIBF 1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ−26483327、MGCD265、DCC−2036、BMS−690154、CEP−11981、チボザニブ(AV−951)、OSI−930、MM−121、XL−184、XL−647、および/またはXL228)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ(Velcade))、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI−779)、エベロリムス(RAD−001)、リダフォロリムス、AP23573(Ariad)、AZD8055(AstraZeneca)、BEZ235(Novartis)、BGT226(Norvartis)、XL765(Sanofi Aventis)、PF−4691502(Pfizer)、GDC0980(Genetech)、SF1126(Semafoe)およびOSI−027(OSI))、オブリメルセン、ゲムシタビン、カルミノマイシン、ロイコボリン、ペメトレキセド、シクロホスファミド、ダカルバジン、プロカルバジン(procarbizine)、プレドニゾロン、デキサメタゾン、カンパテシン(campathecin)、プリカマイシン、アスパラギナーゼ、アミノプテリン、メトプテリン(methopterin)、ポルフィロマイシン、メルファラン、ロイロシジン(leurosidine)、ロイロシン(leurosine)、クロランブシル、トラベクテジン、プロカルバジン、ディスコデルモリド、カルミノマイシン、アミノプテリン、およびヘキサメチルメラミンを含むがこれらに限定されない。
【0237】
ある特定の実施形態では、処置される対象は、哺乳動物である。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギなどの家畜化された動物である。ある特定の実施形態では、対象は、イヌまたはネコなどのコンパニオン動物である。ある特定の実施形態では、対象は、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギなどの家畜動物である。ある特定の実施形態では、対象は、動物園の動物である。別の実施形態では、対象は、齧歯動物、イヌ、または非ヒト霊長動物などの研究用動物である。ある特定の実施形態では、対象は、トランスジェニックマウスまたはトランスジェニックブタなどの非ヒトトランスジェニック動物である。
【実施例】
【0238】
【0239】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を裏付けるために含まれる。以下の実施例に開示される技法は、本発明者らが発見した技法が、本発明の実施において良好に機能することを示し、したがって、その実施のための好ましい様式を構成すると解釈されうることを、当業者は理解すべきである。しかし、本開示の観点から、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、開示された特定の実施形態において多くの変化がなされ、類似または同様の結果がなおも得られうることを理解すべきである。
【0240】
(実施例1)
SSEA3類似体の例示的な合成
【0241】
A:SSEA3類似体−NH2の化学酵素的合成
【0242】
スキーム1.再生系によるSSEA3類似体−NH2の合成
【0243】
【化20】
【0244】
化合物Gb4類似体、ATP、UTP、ガラクトース類似体、ホスホエノールピルベート、MgCl
2を、酵素ガラクトキナーゼ(GalK)、UDP−糖ピロホスホリラーゼ(AtUSP)、ベータ−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ(LgtD)、ピルビン酸キナーゼ(PK)、および無機ピロホスファターゼ(PPA)を溶液中で合わせ、反応を、pHを7.0に制御しながら室温で開始し、反応を、それ以上の生成物が観察できなくなるまでTLCによってモニターした。反応が完了した後、反応混合物中のタンパク質を30分間加熱することによって除去し、続いて、遠心分離し、0.22μMフィルターで濾過した。次いで、濾液をC−18ゲルクロマトグラフィーによって精製した。画分を収集し、TLCによってモニターした。
【0245】
(実施例2)
SSEA4類似体の例示的合成
【0246】
A:SSEA4−Gc−NH2の化学合成
【0247】
スキーム2:化学合成によるSSEA4−Gc−NH2の合成
【0248】
【化21】
【0249】
【化22】
【0250】
ジクロロメタン(CH
2Cl
2)6mL中のアクセプター3(93mg、0.045mmol)およびイミデート6(76mg、0.068mmol)の溶液に、粉末モレキュラーシーブ(4A、0.5g)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。−10℃に冷却した後、TMSOTf(5μL、0.03mmol)を添加し、混合物を5℃(冷蔵室)で一晩撹拌した。反応混合物を、トリエチルアミン(0.5mL)を添加することによってクエンチし、CH
2Cl
2で希釈し、セライトパットを通して濾過した。濾液を、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の50〜100%EtOAc)によって精製し、二糖のイミデート6に由来する不純物が混入している六糖7を得た。収率はNMRによって決定した(90mg、68%)。
【0251】
氷酢酸(5.0mL)中の六糖7(90mg、0.03mmol)の溶液へ、亜鉛末(1g)を添加し、混合物を、TLC分析によって化合物7が消費されるまで、1〜2時間撹拌した。反応混合物をCH
2Cl
2で希釈し、セライトパッドを通して濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、ピリジン/Ac
2O(1:1、2.0mL)中に溶解し、1時間撹拌し、濃縮した。残留物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。アシル化材料を無水CH
2Cl
2およびMeOH(2:8、10mL)中に溶解し、NaOMe(45mg)で処理した。室温で4時間撹拌した後、水(0.2mL)を添加し、得られた混合物を16時間撹拌した。反応混合物をアンバーリストIR−120で中和し、濾過し、濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(RP−18)によって精製した。
【0252】
メタノール/水/酢酸(10:10:0.5、6mL)の混合物中の付加物に、水酸化パラジウム(木炭中20%、50mg)を添加し、反応混合物を、水素陽圧下、室温で16時間撹拌した。反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィーによって精製して、8(17mg、43%)を得た。
【0253】
B:SSEA4類似体−NH2の化学酵素的合成
【0254】
スキーム3.再生系によるSSEA4類似体−NH2の合成経路
【0255】
【化23】
【0256】
SSEA4類似体−NH2を、スキーム3に記載の酵素的再生戦略によって合成した。この系では、ManNAc誘導体をピルベートと反応させ、アルドラーゼ触媒作用によってNeu5Ac類似体に変換した後、再生系にGb5−NH2を組み込んで(J. Am. Chem. Soc. 2013年、135巻、14831〜14839頁)、例示的なSSEA4類似体−NH2を得た。
【0257】
反応条件の詳細を、以下に記載する。Gb5−NH2(18μmol)、CTP(5μmol)、ManNAc誘導体(27μmol)、ピルビン酸ナトリウム(81μmol)、PEP(55μmol)、およびATP(5μmol)を、50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解させた。酵素アルファ−(2,3)−シアリルトランスフェラーゼ(20単位)、シアル酸アルドラーゼ(20単位)CMK(10単位)、Pykf(10単位)、PPA(10単位)、およびPmcss(10単位)を、溶液に添加し、反応物を37℃で8時間インキュベートし、TLCプレートによってモニターした。反応の最後に、酵素を100℃で5分間加熱することによって変性させた。所望のSSEA4類似体−NH2を、G25、DEAE、およびSPカラムによって精製した(80%)。
【0258】
【0259】
SSEA4類似体−NH2の
1H NMR
【0260】
B−1. SSEA4−ペンチルアミン(RN=NHAc、R10=OH)
【0261】
【化24】
【0262】
【0263】
B−2. Neu5Gc_SSEA4−ペンチルアミン(RN=NHGc、R10=OH)
【0264】
【化25】
【0265】
【0266】
B−3. Ac−アルキニル_SSEA4−ペンチルアミン(RN=NHCOC
2H
4C≡CH、R10=OH)
【0267】
【化26】
【0268】
【0269】
B−4. Ac−フッ化物_SSEA4−ペンチルアミン(RN=NHCOCH
2F、R10=OH)
【0270】
【化27】
【0271】
【0272】
B−5. Ac−フェニル_SSEA4−ペンチルアミン(RN=NHCOCH
2Ph、R10=OH)
【0273】
【化28】
【0274】
【0275】
B−6. Ac−アジド_SSEA4−ペンチルアミン(RN=NHCOCH
2N
3、R10=OH)
【0276】
【化29】
【0277】
【0278】
B−7. 5’−アジド_SSEA4−ペンチルアミン(RN=N
3、R10=OH)
【0279】
【化30】
【0280】
【0281】
B−8. 9’−アジド_SSEA4−ペンチルアミン(RN=NHAc、R10=N
3)
【0282】
【化31】
【0283】
【0284】
B−9. NHBz_SSEA4−ペンチルアミン(RN=NHBz、R10=OH)
【0285】
【化32】
【0286】
【0287】
C:SSEA4類似体−SHの架橋反応
【0288】
スキーム4:DTSSP架橋反応によるSSEA4類似体−SHの合成
【0289】
【化33】
【0290】
ある特定の実施形態では、DTSSP(2.0当量)およびSSEA4類似体−NH2(1.0当量)を、0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4(約3mg/ml)中で混合した。溶液を室温で終夜撹拌した。次に、反応混合物を40℃に温め、DTT(9.0当量)を添加した。40℃で1.5時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮し、残留物をLH−20カラムによって精製して、白色固体のSSEA4類似体−SHを得た。(スキーム4)
【0291】
【0292】
SSEA4類似体−SHの
1H NMR
【0293】
C−1: SSEA4−SH(RN=NHAc、R10=OH)
【0294】
【化34】
【0295】
【0296】
C−2: Neu5Gc_SSEA4−SH(RN=NHGc、R10=OH)
【0297】
【化35】
【0298】
【0299】
C−3: Ac−アルキニル_SSEA4−SH(RN=NHCOC
2H
4C≡CH、R10=OH)
【0300】
【化36】
【0301】
【0302】
C−4: Ac−フッ化物_SSEA4−SH(RN=NHCOCH
2F、R10=OH)
【0303】
【化37】
【0304】
【0305】
C−5: Ac−フェニル_SSEA4−SH(RN=NHCOCH
2Ph、R10=OH)
【0306】
【化38】
【0307】
【0308】
C−6: Ac−アジド_SSEA4−SH(RN=NHCOCH
2N
3、R10=OH)
【0309】
【化39】
【0310】
【0311】
C−7: 5’−アジド_SSEA4−SH(RN=N
3、R10=OH)
【0312】
【化40】
【0313】
【0314】
C−8: 9’−アジド_SSEA4−SH(RN=NHAc、R10=N
3)
【0315】
【化41】
【0316】
【0317】
C−9: NHBz_SSEA4−SH(RN=NHBz、R10=OH)
【0318】
【化42】
【0319】
D:SSEA4類似体−アリルの化学酵素的合成
【0320】
スキーム5.再生系によるSSEA4類似体−アリルの合成経路
【0321】
【化43】
【0322】
SSEA4類似体−アリルを、スキーム5に記載の酵素的再生戦略によって合成した。この系では、ManNAc誘導体をピルベートと反応させ、アルドラーゼ触媒作用によってNeu5Ac類似体に変換した後、再生系にGb5−アリルを組み込んで(J. Am. Chem. Soc. 2013年、135巻、14831〜14839頁)、例示的なSSEA4類似体−アリルを得た。(スキーム5)
【0323】
反応条件の詳細を、以下に記載する。Gb5−アリル(18μmol)、CTP(5μmol)、ManNAc誘導体(27μmol)、ピルビン酸ナトリウム(81μmol)、PEP(55μmol)、およびATP(5μmol)を、50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解させた。酵素アルファ−(2,3)−シアリルトランスフェラーゼ(20単位)、シアル酸アルドラーゼ(20単位)CMK(10単位)、Pykf(10単位)、PPA(10単位)、およびPmcss(10単位)を、溶液に添加し、反応物を37℃で8時間インキュベートし、TLCプレートによってモニターした。反応の最後に、酵素を100℃で5分間加熱することによって変性させた。所望のSSEA4類似体−アリルを、G25、DEAE、およびSPカラムによって精製した(80%)。
【0324】
【0325】
SSEA4類似体−アリルの
1H NMR
【0326】
D−1. SSEA4−アリル(R1=OH、RN=NHAc、R10=OH)
【0327】
【化44】
【0328】
【0329】
D−2. Neu5Gc_SSEA4−アリル(R1=OH、RN=NHGc、R10=OH)
【0330】
【化45】
【0331】
【0332】
D−3. Ac−フッ化物_SSEA4−アリル(R1=OH、RN=NHCOCH
2F、R10=OH)
【0333】
【化46】
【0334】
【0335】
D−4. Ac−フェニル_SSEA4−アリル(R1=OH、RN=NHCOCH
2Ph、R10=OH)
【0336】
【化47】
【0337】
【0338】
D−5. Ac−アジド_SSEA4−アリル(R1=OH、RN=NHCOCH
2N
3、R10=OH)
【0339】
【化48】
【0340】
【0341】
D−6. 5’−アジド_SSEA4−アリル(R1=OH、RN=N
3、R10=OH)
【0342】
【化49】
【0343】
【0344】
D−7. 9’− アジド_SSEA4−アリル(R1=OH、RN=NHAc、R10=N
3)
【0345】
【化50】
【0346】
【0347】
D−8. NHBz_SSEA4−アリル(R1=OH、RN=NHBz、R10=OH)
【0348】
【化51】
【0349】
E:SSEA4類似体−アルデヒドの酸化反応
【0350】
スキーム6
【0351】
【化52】
【0352】
ある特定の例示的な実施形態では、撹拌したSSEA4類似体−アリルのメタノールおよびH
2O溶液を、O
3ガス雰囲気下で−70℃において15分間オゾン分解処理した。反応混合物をジメチルスルフィド(Me
2S)によってクエンチし、次に溶液を真空中で蒸発させた。次に、所望のSSEA4類似体−アルデヒドをG15によって精製した。(スキーム6)
【0353】
【0354】
SSEA4類似体−アルデヒドの
1H NMR
【0355】
E−1: SSEA4−アルデヒド(RN=NHAc、R10=OH)
【0356】
【化53】
【0357】
【0358】
E−2: Neu5Gc_SSEA4−アルデヒド(RN=NHGc、R10=OH)
【0359】
【化54】
【0360】
【0361】
E−3: Ac−フッ化物_SSEA4−アルデヒド(RN=NHCOCH
2F、R10=OH)
【0362】
【化55】
【0363】
【0364】
E−4: Ac−フェニル_SSEA4−アルデヒド(RN=NHCOCH
2Ph、R10=OH)
【0365】
【化56】
【0366】
【0367】
E−5: Ac−アジド_SSEA4−アルデヒド(RN=NHCOCH
2N
3、R10=OH)
【0368】
【化57】
【0369】
【0370】
E−6: 9’−アジド_SSEA4−アルデヒド(RN=NHAc、R10=N
3)
【0371】
【化58】
【0372】
【0373】
E−7: NHBz_SSEA4−アルデヒド(RN=NHBz、R10=OH)
【0374】
【化59】
【0375】
(実施例3)
sulfo−EMCS架橋によるSSEA3/SSEA4類似体CRM197−コンジュゲートの合成
【0376】
スキーム7
【0377】
【化60】
【0378】
一般的な方法
【0379】
ステップA.SSEA3類似体−NH2またはSSEA4類似体−NH2の、SSEA3類似体−SHまたはSSEA4−類似体−SHへの修飾
【0380】
SSEA3/4類似体CRM197−コンジュゲートを合成するために、アミン末端SSEA3/4類似体をDTSSPリンカーと、PBS緩衝液(pH7.4)中、室温で反応させた。溶液のpH値をpH試験紙によってモニターし、溶液が中性または酸性になったときに、一部のNaOH溶液を溶液に添加した。反応物を室温で12時間撹拌した後、DTTを、溶液に室温で添加した。溶液を40℃で撹拌し続け、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残留物をLH−20カラムクロマトグラフィーによって精製して、SSEA3/4類似体−SHを得た。
【0381】
ステップB:CRM197のCRM197−マレイミドへの修飾
【0382】
市販のCRM197(1.0mg)の塩を、水中への溶解および透析(Amicon Ultra−0.5、10kDa)を交互に行うことによって除去した後、残留物をPBS緩衝液(pH6.5、1.0mL)中に溶解し、試料バイアル中に移した。Sulfo−EMCS(1.0mg、8.22×10
−6mol)を溶液に添加し、次いで、反応物を室温で2時間撹拌し続けた。混合物をAmicon Ultra−0.5(10kDa)によって精製した。分子量を点検するためにMALDI−TOFを、かつタンパク質量を計算するためにBCAアッセイを使用した後、次のステップのためにCRM197−マレイミドをPBS緩衝液(pH7.2、1.0mg/mL)中に保存した。MALDI−TOFのデータに従って、マレイミド官能基の量を計算することができた。例えば、CRM197−マレイミドの分子量が61841のとき、CRM197−マレイミドのマレイミド官能基の数は(61841−58326)/193=18.2であった。
【0383】
ステップC:SSEA3/4類似体−CRM197コンジュゲートの合成
【0384】
CRM197−マレイミドをPBS緩衝液(pH7.2、濃度は1.0mg/mLであった)に溶解し、次いで、異なる量のSSEA3/4類似体−SH(PBS緩衝液中5.0mg/mL、pH7.2)を溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。SSEA3/4類似体−CRM197コンジュゲートを、Amicon Ultra−0.5(10kDa)を使用し、非反応性のSSEA3/4類似体−SHおよびリン酸ナトリウム塩を透析により除去することによって、精製した。得られたSSEA3/4類似体−CRM197コンジュゲートは、MALDI−TOF分析によって特徴付けられ、糖質取込み率を決定することができた。非反応性のSSEA3/4類似体−SHは、DTTと反応させ、LH−20カラムクロマトグラフィーによって精製した後に、回収することができた。
【0385】
【表1】
【0386】
【0387】
(実施例4)
sulfo−EMCS架橋によるSSEA4−Gc−CRM197コンジュゲートの合成
【0388】
スキーム8
【0389】
【化61】
【0390】
【0391】
ステップA:SSEA4−Gc−NH2のSSEA4−Gc−SHへの修飾
【0392】
DTSSP(5.0mg、8.22×10
−6mol)を、PBS緩衝液(pH7.4、1.0mL)中のSSEA4−Gc−NH2(5.0mg、4.01×10
−6mol)のフラスコに室温で添加した。溶液のpH値をpH試験紙によってモニターし、溶液が中性または酸性になったときに、NaOH(1M/水)を溶液に添加した。反応物を室温で12時間撹拌した後、DTT(5.0mg、32.41×10
−6mol)を、溶液に室温で添加した。溶液を40℃で1時間撹拌し続け、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残留物をLH−20カラムクロマトグラフィーによって精製して、SSEA4−Gc−SH(5.0mg、93%)を得た。
【0393】
ステップB:CRM197のCRM197−マレイミドへの修飾
【0394】
市販のCRM197(1.0mg)の塩を、水中への溶解および透析(Amicon Ultra−0.5、10kDa)を交互に行うことによって除去した後、残留物をPBS緩衝液(pH6.5、1.0mL)中に溶解し、試料バイアル中に移した。Sulfo−EMCS(1.0mg、8.22×10
−6mol)を溶液に添加し、次いで、反応物を室温で2時間撹拌し続けた。混合物をAmicon Ultra−0.5(10kDa)によって精製した。分子量を点検するためにMALDI−TOFを、かつタンパク質量を計算するためにBCAアッセイを使用した後、次のステップのためにCRM197−マレイミドをPBS緩衝液(pH7.2、1.0mg/mL)中に保存した。MALDI−TOFのデータに従って、マレイミド官能基の量を計算することができた。例えば、CRM197−マレイミドの分子量が61841のとき、CRM197−マレイミドのマレイミド官能基の数は(61841−58326)/193=18.2であった。
【0395】
CRM197−マレイミドをPBS緩衝液(pH7.2、濃度は1.0mg/mLであった)に溶解し、次いで、異なる量のSSEA4Gc−SH(PBS緩衝液中5.0mg/mL、pH7.2)を溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。SSEA4−Gc−CRM197コンジュゲートを、Amicon Ultra−0.5(10kDa)を使用し、非反応性のSSEA4−Gc−SHおよびリン酸ナトリウム塩を透析により除去することによって、精製した。得られたSSEA4−CRM197コンジュゲートは、MALDI−TOF分析によって特徴付けられ、表2に示すように糖質取込み率を決定することができた。非反応性のSSEA4−Gc−SHは、DTTと反応させ、LH−20カラムクロマトグラフィーによって精製した後に、回収することができた。
【0396】
ステップC:CRM197−マレイミドの非反応性マレイミドの捕捉
【0397】
SSEA4−Gc−CRM197コンジュゲートをPBS緩衝液(pH7.2、濃度は1.0mg/mLであった)に溶解し、2−メルカプトエタノール(5mg/mL、PBS緩衝液、pH7.2)10.0当量を溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。SSEA4−Gc−CRM197コンジュゲートを、Amicon Ultra−0.5(10kDa)を使用し、非反応性の2−メルカプトエタノールおよびリン酸ナトリウム塩を透析により除去することによって精製し、次いで凍結乾燥し、白色粉末にした。
【0398】
表2
【0399】
【表2】
【0400】
(実施例5)
SBAP架橋によるSSEA4類似体−CRM197コンジュゲート
【0401】
スキーム9
【0402】
【化62】
【0403】
CRM−197を、0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4(約1mg/ml)に溶解させ、SBAP(1.0mg)を溶液に添加した。溶液を室温で2時間穏和に撹拌した。次に、混合物をPBS緩衝液で希釈し、Amicon Ultra−0.5(10kDa、2×)によって0.1Mのリン酸緩衝液、pH7.4を5回変えて遠心分離した。得られた修飾したCRM−197を、MALDI−TOF(ポジティブモード、マトリックスは、シナピン酸、H
2Oであった)分析によって特徴付けて、SBAP取り込み率を決定することができる。
【0404】
修飾したCRM−197を、0.1Mリン酸緩衝液、pH8.0(約1mg/ml)に溶解させ、SSEA4−SH類似体を溶液に添加した。混合物を室温で1日撹拌した。次に、混合物をPBS緩衝液で希釈し、Amicon Ultra−0.5(10kDa、2×)によって0.1MのPBS緩衝液、pH7.4を5回変えて遠心分離した。得られた糖−タンパク質コンジュゲートを、MALDI−TOF(ポジティブモード、マトリックスは、シナピン酸、H
2Oであった)分析によって特徴付けて、糖質取り込み率を決定することができた。(スキーム9)
【0405】
【表3】
【0406】
(実施例6)
還元的アミノ化架橋によるSSEA4類似体−CRM197コンジュゲート
【0407】
スキーム10
【0408】
【化63】
【0409】
ある特定の実施形態では、CRM197を、0.1Mリン酸緩衝液(pH6〜9)(約1mg/ml)に溶解させ、十分量のSSEA4−アルデヒド類似体およびNaCNBH
3を溶液に添加した。溶液を室温で3日穏和に撹拌した。次に、混合物を脱イオン化水で希釈し、Amicon Ultra−0.5(10kDa、2×)によって0.1Mのリン酸緩衝液、pH7.4を5回変えて遠心分離した。得られた糖−タンパク質コンジュゲートを、MALDI−TOF(ポジティブモード、マトリックスは、シナピン酸、H
2Oであった)分析によって特徴付けて、糖質取り込み率を決定した。(スキーム10)
【0410】
【表4】
【0411】
【0412】
(実施例7)
SSEA4類似体−CRM197コンジュゲートの免疫化の決定
【0413】
例示的な方法
【0414】
SSEA4類似体CRM197コンジュゲート(S1〜S10)の有効性/免疫原性を実証するために、雌性C57BL/6マウス(1群ごとにn=5)を、SSEA4類似体CRM197コンジュゲート0.5μgを、糖脂質アジュバント2.0μgと併用して、筋肉内にワクチン接種した。対照マウスには、糖脂質アジュバント2.0μgを含むリン酸緩衝食塩水だけを与えた。ワクチン接種は、隔週で2カ月間実施し、各ワクチン接種の1週間後に、免疫化したマウスから抗血清を収集した。SSEA4に対する抗体力価を、ELISAによって、SSEA4固定化96ウェルタイタープレートを使用して調査した。ELISAは、SSEA4固定化96ウェルタイタープレートを使用して実施した。簡潔には、希釈した抗血清を、固定化SSEA4で室温において2時間インキュベートした。次に、洗浄サイクルの後、捕捉した抗SSEA4抗体を、HPRとコンジュゲートした抗IgGまたはIgM特異的抗体を使用して検出した。
【0415】
グリカン−タンパク質コンジュゲーション方法が、免疫応答を妨害し得るかどうかを決定するために、天然SSEA4を、EMCSリンカー(M1)、SBAPリンカー(S1)または還元的アミノ化(R1)を介してCRM197とコンジュゲートし、前述の通り、免疫原性研究のために使用した。
【0416】
代表的な結果
【0417】
4回免疫化した後、天然SSEA4、ならびに8種のすべてのSSEA4類似体は、Gal−C34アジュバントと併用された場合、SSEA4に対するIgG(
図3A)およびIgM(
図3B)抗体の両方を陽性に誘発し得る。異なる類似体群の中でも、抗SSEA4のIgG抗体力価およびIgM抗体力価には、有意な差異がない。またさらに、Glc−C34は、天然SSEA4およびその他の類似体と共投与される場合、SSEA4に対してIgG(
図4A)およびIgM(
図4B)抗体の両方を誘導するためのワクチンアジュバントとして使用することができる。
【0418】
さらに、
図5に示されている結果は、グリカン−タンパク質コンジュゲーション方法が、免疫応答に影響を及ぼすことができることを示した。SSEA4−EMCS−CRM197(M1)は、Gal−C34と併用された場合、SSEA4−SBAP−CRM197(S1)およびSSEA4−CRM197(還元的アミノ化によってコンジュゲートしている、R1)と比較すると、より高い抗SSEA4のIgG抗体力価を誘発した。
【0419】
(実施例8)
SSEA4類似体CRM197−コンジュゲートの免疫原性研究
【0420】
SSEA4類似体CRM197−コンジュゲートの免疫原性を裏付けるため、5匹の雌BALB/cマウスを、SSEA4類似体CRM197−コンジュゲート2μgおよび糖脂質アジュバントC34 2μgを用い、2週間に1回の間隔で3回、筋肉内に免疫化した。以前の試験において、抗GH抗体力価は、アジュバントを一切含まないSSEA4類似体−タンパク質コンジュゲート単独では低かった。各免疫原に由来する抗血清を、3回目の免疫化から10日後に得、グロボ系グリカンおよび他の腫瘍関連糖鎖抗原を含む94個の化学的に合成されたグリカンを含有する、グリカンマイクロアレイ上で調べた。一部の化学的修飾がグリカンに行われたため、交差反応性を点検するために一部の官能性リンカーもグリカンアレイに含まれていた。
【0421】
SSEA4−Gc CRM197−コンジュゲートによって誘導された抗体は、SSEA4−Gc、天然のSSEA4、またはSSEA4四糖の断片によって特異的に認識されたが、他のTACAおよび官能性リンカーによって認識されなかった。糖コンジュゲートから得られた血清は高IgG抗体力価が誘導されており、T細胞依存性免疫応答を示した。興味深いことに、有意なIgM産生は、SSEA4−Gcまたは天然のSSEA4に関して観察されなかった。GloboHに対するIgGレベルに関しては、SSEA4−Gc CRM197によって誘導された抗体の力価は、天然型の天然のSSEA4−CRM197コンジュゲートよりもはるかに高かった。それらのうち、1分子のCRM197とコンジュゲートした6.9分子のSSEA4−Gcが、最も高い抗体力価を誘導することができる。
【0422】
マウス投与量および免疫化スケジュール
【0423】
SSEA4類似体CRM197の免疫原性を比較するために、5匹のマウスからなる10群(8週齢雌Balb/cマウス、BioLASCO、Taiwan)を、糖脂質C34を用い、筋肉内に免疫化した。3回の免疫化を、2週間間隔で行った。各ワクチン接種には、SSEA4類似体2μgおよびC34 2μgが含有されていた。対照マウスに、リン酸緩衝食塩水(PBS)を注射した。初回免疫化の前(免疫前)および3回目の免疫化から10日後に、マウスから採血した。すべての血清を、4,000×gで10分間遠心分離することによって得た。血清学的応答は、グリカンマイクロアレイによって分析した。
【0424】
グリカンアレイを用いた血清学的アッセイ
【0425】
マウス血清を、1%のBSA/PBST緩衝液(PBST緩衝液:PBSおよび0.05%Tween−20、pH7.4)で希釈した。グリカンマイクロアレイを、Superblock blocking buffer(Pierce)を用いて4℃で1時間ブロックし、PBST緩衝液で3回洗浄してから使用した。次いで、血清希釈物をグリカンマイクロアレイに導入し、4℃で1時間インキュベートした。過剰な血清抗体を洗い流し、マイクロアレイを、2次抗体としてのAlexa Fluor 647−コンジュゲートヤギ抗マウスIgG抗体またはDyLight 649−コンジュゲートヤギ抗マウスIgM抗体を用いて、暗所で、4℃で1時間、個々にインキュベートした。次いで、スライドをPBSTで3回洗浄し、マイクロアレイ蛍光チップリーダー(GenePix 4300A;Molecular Devices Corporation)を用いて、635nmの波長で走査し、走査された画像をGenePix Pro−6.0分析ソフトウェア(Axon Instruments、Union City、CA、USA)を用いて分析した。
【0426】
他の実施形態
【0427】
この明細書において開示されるすべての特徴は、任意の組合せで組み合わせてよい。この明細書において開示される各特徴は、同様の、等価の、または類似の目的を果たす代わりの特徴によって置き換えてよい。したがって、特に明示的な記載がない限り、開示される各特徴は、単に包括的な一連の等価のまたは類似の特徴の例にすぎない。上述から、当業者であれば、記述された実施形態の必須の特性を容易に見極めることができ、その意図および範囲から逸脱することなく、実施形態の種々の変更および変形を行い、それを種々の用途および条件に適合させることができる。したがって、他の実施形態も特許請求の範囲の範囲内である。