特許第6779916号(P6779916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6779916pH感受性ジアルキルオルトエステル鎖を有するヌクレオシド−脂質化合物及び少なくとも1種の治療剤の輸送又はベクター化のためのその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779916
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】pH感受性ジアルキルオルトエステル鎖を有するヌクレオシド−脂質化合物及び少なくとも1種の治療剤の輸送又はベクター化のためのその使用
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/073 20060101AFI20201026BHJP
   C07H 19/10 20060101ALI20201026BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20201026BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20201026BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20201026BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20201026BHJP
   A61K 31/713 20060101ALN20201026BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20201026BHJP
【FI】
   C07H19/073
   C07H19/10
   A61K9/127
   A61K45/00
   A61K48/00
   A61P43/00 111
   !A61K31/713
   !A61P35/00
【請求項の数】13
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-560561(P2017-560561)
(86)(22)【出願日】2016年5月19日
(65)【公表番号】特表2018-515560(P2018-515560A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】EP2016061335
(87)【国際公開番号】WO2016188868
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2019年3月6日
(31)【優先権主張番号】15305778.1
(32)【優先日】2015年5月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506424209
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ ボルドー
(73)【特許権者】
【識別番号】508021783
【氏名又は名称】アンスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サントゥ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル(イーエヌエスエーエールエム)
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ バルテレミー
(72)【発明者】
【氏名】カリド ウムジル
【審査官】 神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/116043(WO,A1)
【文献】 特表2004−508364(JP,A)
【文献】 ChemMedChem,2015年10月27日,Vol.10,pp.1797-1801
【文献】 Journal of the American Chemical Society,1993年,Vol.115,pp.10487-10491
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
[上式中、
-Xは、酸素原子であり、
-Bは、チミンであり、
R1 及びR2は、同一であり、そして直鎖又は分岐C2-C30 炭化水素鎖を表し、ここで、該炭化水素鎖は、飽和もしくは部分不飽和であり、
-R3 は、
ヒドロキシ基;
NR4R5R6 基(R4, R5 及びR6は同一であるか又は異なり、水素原子又はC1- C6 直鎖又は分岐アルキル鎖を表す);
ホスフェート又はホスホネート基(非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている);
スルホネート基(非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている);
トリアルキルアミノ基;
トリアルキルホスホニウム基(非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている);
シリル基(非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている);
ホスホラミダイト基(非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている);
あるいは、-O-C(O)-(CH2)q-C(O)-O [(CH2)2-O]r-H(ここでq = 2及びrは4〜30の整数である)であり、
-R7 は水素、直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基、トリフルオロアルキル、ハロゲン又はC1-C6 アルコキシ基である]の化合物。
【請求項2】
式(I)において、R1又はR2定義において、鎖又は分岐C2-C30 炭化水素鎖はC8-C26である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
式(I)において、R1又は R2定義において、鎖又は分岐C2-C30 炭化水素鎖はC16-C20である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
R3 が、トリメチルアミノ基であるトリアルキルアミノ基である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
R3 が、-O-C(O)-(CH2)q-C(O)-O [(CH2)2-O]r-H(ここでq = 2及びrは10〜20の整数である)である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルメタンスルホネート、
1-((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)-N,N,N-トリメチル-メタンアミニウムメタンスルホネート、
1-((2R,4S,5R)-4-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、
1-((2R,4S,5R)-4-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホラミダイト、
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルメチルホスフェート、及び、
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルO-メチル-O’-スクシニル-ポリエチレングリコール500、から選ばれる、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の少なくとも1種の化合物を含む組成物。
【請求項8】
共脂質と任意に結合した、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の少なくとも1種の化合物から形成されるリポソーム。
【請求項9】
共脂質と結合した、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の少なくとも1種の化合物から形成される複合体。
【請求項10】
少なくとも1種の治療剤の輸送、ベクター化又は細胞デリバリーのための薬剤としての使用のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の少なくとも1種の化合物、少なくとも1種の治療剤及び医薬上許容可能なキャリアを含む、医薬組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種の治療剤は、インビトロ又はインビボ、あるいは、単離された細胞における病理学的状態の予防もしくは治療、又は、生物学的機能の回復のために使用される天然又は合成分子から選ばれる、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
式(I)の少なくとも1種の化合物は、超分子構造、例えば、リポソーム、ミセル又はナノ粒子の形態である、請求項11記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、pH感受性ジアルキルオルトエステル鎖を有する新規ヌクレオシド-脂質化合物、その調製方法及びその使用、特に少なくとも1種の治療剤の輸送又はベクター化のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
治療剤のプログラムされた放出による部位特異的放出は、ドラッグデリバリーの問題に取り組む有望なアプローチとして浮上している。
【0003】
既存の様々な刺激応答性選択肢の中でも、微小環境的pH感受性デリバリーシステムは、生物医学的応用のために広く研究されている。実際に、外部pHの変化は、変化した物理化学的特性を示すことによってpH変化に応答し、酸性環境における薬物の放出を引き起こすことを確実にするリポソーム又は小胞などのpH応答性システムによって利用することができる。
【0004】
国際公開第2002/20510号は、酸感受性の環状オルトエステル、及び、ポリアルキレングリコール、モノ-若しくはポリサッカライド、親水性治療分子又はポリアミン型基から選ばれる少なくとも1つの親水性置換基を含む酸感受性化合物に関する。これらの化合物は、生物学的に活性な物質をカプセル化する粒子を安定化させ、次いで、酸性媒体中で粒子を不安定化させる非イオン性界面活性剤として、又は、pHが酸性である細胞組織又は区画において前記治療用分子を放出させるように、治療用分子に共有結合したベクターとして、生物学的に活性な物質と複合体(リポソーム、錯体、ナノ粒子など)を形成し、次いで、pHが酸性である細胞組織又は区画において該物質を放出することができる。オルトエステル結合は、親水性部分と疎水性部分とを結合する。分解時に、二本鎖化合物から一本鎖化合物を形成しない。
【0005】
第3頁及び第4頁につながるパラグラフに記載されるとおり、これらの酸感受性化合物は、中心炭素原子の置換基の選択及びオルトエステル環のサイズの選択によりpH感受性を調節できるので特に興味深い。また、酸性媒体中のそれらの分解は、それらの部分分解が、pHを低下させるギ酸又は酢酸などの酸を放出し、したがって酸感受性化合物の分解をさらに助けるので、「自己触媒性」である。
【0006】
米国特許第6897196号明細書は、酸性pHで分解する両親媒性脂質誘導体及びそれらを含有する脂質デリバリーシステムに関する。これらの両親媒性脂質誘導体は、酸に不安定な二重オルトエステル結合によって疎水性基に結合した親水性頭部基を含む。加水分解後に、これらの化合物は一方ではペンタエリスリトールを形成し、他方で頭部及び尾部から生じる親水性化合物及び疎水性化合物を形成する。
【発明の概要】
【0007】
pH感受性ジアルキルオルトエステル鎖を有する新規ヌクレオシド-脂質(「ヌクレオ脂質(nucleolipid)」又は「ヌクレオ脂質の(nucleolipidic)」とも呼ばれる)化合物は、治療剤をカプセル化するための安定化構造を調製するために使用することができるが、一方で、酸性媒体中で前記構造を不安定化させ、他方で、治療剤の放出が望まれる細胞エンドソーム膜を不安定化させるために使用することができる。
【0008】
この膜の不安定化は、エンドソーム膜中に存在するリン脂質との相互作用によって起こる。
【0009】
膜の不安定化のこの驚くべき特性は治療剤の細胞内放出を増加させる。
【0010】
理論に拘束されることを望まないが、この特性は、ヌクレオ脂質化合物が加水分解時にどのように挙動するかに関係している可能性があるという仮説を立てることができる。酸性媒体中で加水分解した後に、ジアルキルオルトエステル鎖は一本鎖脂肪族アルコール及びヌクレオシドへと切断される。一本鎖脂肪アルコールは細胞エンドソーム膜に結合することができ、それによって膜脂質二重層の不安定化が促進される。
【0011】
しかしながら、本発明によるヌクレオシド-脂質化合物の所望の安定性特性は、ヌクレオ脂質のヌクレオチド及びヌクレオシド部分に由来する極性頭部と疎水性オルトエステル尾部との間の特定のバランスに起因する。
【0012】
「酸性培地」は、エンドソームpHに近い、約4〜約6.5のpHを有する培地として理解される。
【0013】
国際公開第2002/20510号の酸感受性化合物とは対照的に、本発明は、pHが低下するとなおいっそう分解する化合物を得ることを目的としない。なぜなら、本発明はエンドソームpHで解離することができる化合物を提供することを目的としているためである。先行の研究において、本願発明者らは、ヌクレオシド部分の糖残基の置換基として環状オルトエステルを使用するときに、化合物は数日後でも酸性条件(pH=3)で加水分解されないことを見出した。したがって、それらは、一本鎖脂肪アルコール及びヌクレオシドへと切断され得ず、したがって、膜脂質二重層の不安定化を促進することができず、所望の目的を達成する。
【0014】
したがって、本発明は、式(I)、
【化1】
【0015】
[上式中、
-Xは、酸素原子、硫黄原子又はメチレン基であり、
-Bは、プリンもしくはピリミジン塩基又はそれらの誘導体であり、あるいは、各環が4〜7員であり、非置換もしくは置換されている、非天然単環又は二環式複素環式塩基であり、
R1 及びR2は、同一であり又は異なり、直鎖又は分岐C2-C30 炭化水素鎖を表し、ここで、該炭化水素鎖は、飽和もしくは部分不飽和であり、非置換であるか、あるいは、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されており、そして前記直鎖又は分岐C2-C30 炭化水素鎖は任意に部分的にハロゲン化されており、
-R3 は、ヒドロキシ、アミノ、ホスフェート、ホスホネート、ホスファチジルコリン、O-アルキルホスファチジルコリン、ホスホコリン、O-アルキルホスホコリン、チオホスフェート、ホスホニウム、スルホネート、シリル又はホスホラミダイト基(前記基は非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている、あるいは、R3 がホスフェート基であるときに、前記基は非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖又は分岐の非置換である又は置換されたC1-C18 炭化水素鎖により置換されている)、
NH2-R4, NHR4R5 又はNR4R5R6 基(R4, R5 及びR6は同一であり又は異なり、水素原子又は直鎖もしくは分岐C1-C6アルキル基又はC1-C6 直鎖もしくは分岐ヒドロキシアルキル基を表し、ここで、前記アルキル又はヒドロキシアルキル基は非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている)、
あるいは、直鎖もしくは分岐C2-C30 炭化水素鎖(非置換であるか、又は、ヒドロキシル基により置換されている)、又は、
1〜4個の窒素原子を有するヘテロアリール基(非置換であるか、あるいは、直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC2-C30 炭化水素鎖により、又はm = 1〜6、p = 0〜10及びR9 が、5〜7個の炭素原子を含む環式ケタール基を表す(CH2)m-O-(CH2)p-R9 基(非置換であるか、又は、直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC2-C30 炭化水素鎖により置換されている)により、又は、ステロール残基により、置換されている);又は、
-O-C(O)-(CH2)q-C(O)-O [(CH2)2-O]r-H基(qは2〜6であり、そしてrは4〜30、好ましくは10〜20の整数)、であり、
-R7 は水素、直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基、トリフルオロアルキル、ハロゲン又はC1-C6 アルコキシ基である]の化合物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましくは、Xは酸素原子である。
【0017】
「直鎖又は分岐C1 -C6アルキル基」は、例えば、メチル、エチル、プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、tert-ブチル、好ましくはメチル又はエチルであると理解される。任意に、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基は、例えば、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルコキシ、シアノ、ニトロもしくはカルボキシ基又はハロゲン原子、特にフッ素原子から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい。
【0018】
好ましいC2-C30炭化水素鎖は、C8-C26であり、より好ましくはC16-C20炭化水素鎖である。
【0019】
好ましい直鎖又は分岐C2-C30炭化水素鎖はC8-C26であり、より好ましくはC16-C20直鎖又は分岐炭化水素鎖である。
【0020】
好ましい直鎖又は分岐C1-C18炭化水素鎖はC14-C18であり、より好ましくはC18直鎖又は分岐炭化水素鎖である。
【0021】
プリン又はピリミジン塩基は、例えば、アデニン、グアニン、シトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、尿酸、カフェイン、テオブロミン、ウラシル、チミン、ジヒドロウリジン及びそれらの誘導体から選ぶことができる。
【0022】
チミン及びウラシルが好ましい。
【0023】
また、上記式(I)において、プリン又はピリミジン塩基は、例えば、ハロゲン、アミノ基、カルボキシ基、カルボニル基、カルボニルアミノ基、ヒドロキシ、アジド、シアノ、チオール、C1-C6直鎖もしくは分岐アルキル、シクロアルキル、ペルフルオロアルキル、アルキルオキシ(例えば、メトキシ)、オキシカルボニル、ビニル、エチニル、プロピニル、アシル基などから選ばれる少なくとも1個の置換基により置換され得る。
【0024】
「プリン又はピリミジン塩基の誘導体」は、例えば、プリン又はピリミジン塩基について上述したように、任意に置換された、各環が4〜7員を有する非天然単環又は二環複素環式塩基を意味する。
【0025】
「非天然複素環式塩基」は、自然には存在しない、例えば、3-ニトロピロール、4-ニトロイミダゾール又は5-ニトロインドールなどの一般的な塩基を意味する。
【0026】
「1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール」は、例えば、1〜4個の窒素原子によって中断された5〜12個の原子を含む、芳香族又は部分不飽和の単環もしくは二環式炭素環式基を意味し、それは、例えば、フラン、ピロール、オキサゾール、オキサジアゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ベンゾフラン、インドール、キノレイン、イソキノレイン、クロマン、ナフチリジン及びベンゾジアジン基から選ばれることができ、トリアゾールは好ましい。
【0027】
「ハロゲン原子」は、フッ素、ヨウ素、塩素又は臭素を意味し、フッ素は好ましい。
【0028】
「部分的にハロゲン化された炭化水素鎖」は、一部の水素原子がフッ素、ヨウ素、塩素又は臭素などのハロゲン原子で置換された飽和又は不飽和アルキル鎖を指し、ハロゲン原子としてフッ素は好ましい。
【0029】
少なくとも1つの条件が満たされる以下の式(I)の化合物は好ましい。
-Xは酸素原子である、
-Bはチミンである、及び、
-R1 及びR2 は同一であり、そして直鎖又は分岐C2-C30炭化水素鎖を表し、好ましくはC8-C26、より好ましくはC16-C20 炭化水素鎖を表し、該炭化水素鎖は飽和又は部分不飽和である。
【0030】
特に、R1及びR2は同一であり、直鎖及び飽和C16-C20炭化水素鎖を表す。
【0031】
式(I)の特にこのましい化合物は、以下の化合物である:
-Xは酸素を表し、
-Bはチミンであり、
-R1 及びR2 は同一であり、そして直鎖又は分岐C2-C30 炭化水素鎖を表し、好ましくはC8-C26、より好ましくはC16-C20 炭化水素鎖を表し、該炭化水素鎖は飽和又は部分不飽和であり、
- R3 は:
ヒドロキシ基;
NR4R5R6 基(R4, R5 及びR6は同一であるか又は異なり、水素原子又はC1- C6 直鎖もしくは分岐アルキル鎖を表す);
トリアルキルアミノ基(アルキル基はC1-C6直鎖又は分岐アルキル鎖であり、特に、トリメチルアミノ基である);
ホスフェート又はホスホネート基(非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている);スルホネート基(非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている);
トリアルキルホスホニウム基(非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている);
シリル基(非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている);
ホスホラミダイト基(非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基により置換されている);
あるいは、-O-C(O)-(CH2)q-C(O)-O [(CH2)2-O]r-H(ここでq = 2及びrは4〜30、好ましくは10〜20の整数である)。
【0032】
特に、R1 及びR2 は同一であり、そして直鎖又は分岐C16-C20 炭化水素鎖である。
【0033】
特に、R3はNR4R5R6基(R4, R5及びR6は同一であるか又は異なり、C1-C6直鎖もしくは分岐アルキル鎖、好ましくはトリメチルアミノ基を表す);又はホスフェートもしくはホスホネート基(非置換であるか、又は少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6アルキル基で置換されている)である。
【0034】
R3がアニオン性基であるときに、対イオンは、例えば、Et3NH+, Na+, K+, Li+, NH4+, Ca2+, Mg2+, Fe2+などの当該分野において通常のものから選ぶことができる。
【0035】
R3がカチオン性基であるときに、対イオンは、例えば、CH3SO3-, CH3C6H4SO3- (TsO-), I-, Cl-, Br-などの当該分野において通常のものから選ぶことができる。
【0036】
特に興味深いのは下記から選択される式(I)の化合物である:
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルメタンスルホネート、
1-((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)-N,N,N-トリメチル-メタンアミニウムメタンスルホネート、
1-((2R,4S,5R)-4-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、
1-((2R,4S,5R)-4-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホラミダイト、
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルメチルホスフェート、及び、
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルO-メチル-O’-スクシニル-ポリエチレングリコール500。
【0037】
本発明は、R3 カチオン性基を有する式(I)の化合物の調製方法にも関し、該方法は以下の工程を含む:
-式(III)
【0038】
【化2】
【0039】
(上式中、B及びR7 は式(I)に関して上記に規定されるとおりである)の5’ヒドロキシルヌクレオシル化合物を、求電子性試薬と反応させて、式IV
【0040】
【化3】
【0041】
(上式中、R10 はR3 を表し、又は、R10 はヒドロキシル保護基又はヒドロキシ活性化部分のいずれかである)の化合物を提供すること、及び、
- R10 がヒドロキシル保護基であるときには、式(IV)の化合物を、式(II)
【0042】
【化4】
【0043】
(上式中、R1, R2 及びR8は同一であり、直鎖もしくは分岐C2-C30 炭化水素鎖を表し、該炭化水素鎖は飽和又は部分不飽和の、非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖もしくは分岐の非置換である又は置換されたC1-C6 アルキル基によって置換されており、そして前記直鎖もしくは分岐C2-C30 炭化水素鎖は任意に部分的又は完全にフッ素化されている)のオルトホルメート化合物と反応させること、及び、
-このようにして得られた式(V)
【0044】
【化5】
【0045】
の化合物を回収すること、又は、あるいは、
- R10 がヒドロキシル保護基であるときには、得られた式(V)の化合物を脱保護して、R10の代わりにヒドロキシル基を有する化合物を得ること、及び、1種以上の適切な反応体と得られる化合物とを反応させ、R3 置換基を有する式(I)の化合物を得ること、又は、
- R10 がヒドロキシ活性部分であるときには、得られた式(V)の化合物を求核性試薬と反応させ、R3 置換基を有する式(I)の化合物を得ること。
【0046】
求電子試薬は当該分野で公知であり、例えば、アリルハロゲン化物、ベンジルハロゲン化物、tert-ブチルハロゲン化物、トリチルハロゲン化物、例えば、塩化トリチル(Trt-Cl)、モノメトキシトリチルクロリド(MMT-Cl)、ジメトキシトリチルクロリド(DMT-Cl)など、又は、塩化シリル、例えば、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMS-Cl)など、ジニトロフェニルハロゲン化物、例えば、塩化ジニトロフェニル、アシルハロゲン化物、例えば、アシルクロリド、メタンスルホネートハロゲン化物、例えば、メシルクロリド、パラトルエンスルホネートハロゲン化物、例えば、トシル-C1、ハロゲン、トリフルオロメタンスルホネートハロゲン化物、例えば、トリフレートクロリドから選ぶことができる。
【0047】
「ヒドロキシル保護基」は、ヒドロキシル基の反応性をマスクするために導入される官能基を意味する。適切なヒドロキシル保護基は、例えば、エーテル類、例えば、アリルエーテル類、ベンジルエーテル類、tert-ブチルエーテル類、トリチルエーテル類、例えば、トリチルエーテル、モノメトキシトリチルエーテル、ジメトキシトリチルエーテル、メチルトリチルエーテル、エチルトリチルエーテル、メチルトリフェニルメチルエーテルなど、シリルエーテル類、例えば、トリメチルシリルエーテル(TMS)、トリイソプロピルシリルエーテル(TIPS)、tert-ブチルジメチルシリルエーテル(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS)、ジニトロフェニルエーテル、アシルなどから選ぶことができる。
【0048】
例えば、化合物(V)のR10部分は、当該分野で知られている適合された条件を用いることにより、例えば、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(シリルエーテル類の場合)、光(ジニトロフェニルエーテル類の場合)、水素化分解などを用いることにより、脱保護され、所望のR3置換基を有する式(I)の化合物を提供することができる。
【0049】
あるいは、本発明によれば、選択されたヒドロキシル保護基、例えば、tert-ブチルジメチルシリルはR3置換基を構成することができ、したがって式(I)の最終化合物の一部であり得る。
【0050】
「ヒドロキシル活性化部分」は、メタンスルホネート(メシレート)、パラトルエンスルホネート(トシレート)、ハロゲン、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)などの求核攻撃に向けてヒドロキシルを活性化する基を意味する。
【0051】
求核試薬は当該分野で公知であり、例えば、以下から選択することができる:
-アミン類、例えば、アンモニア、NH2-R4, NHR4R5又はNR4R5R6基(R4、R5及びR6は同一であるか又は異なり、水素原子又は直鎖もしくは分岐C1-C6アルキル基又はC1-C6直鎖もしくは分岐ヒドロキシアルキル基を表し、前記アルキル又はヒドロキシアルキル基は非置換であるか、又は、少なくとも1個の直鎖又は分岐の非置換である又は置換されたC1-C6アルキル基、又は、直鎖又は分岐C2-C30炭化水素鎖で置換されている)、
-酸素求核性種、例えば、水;式R-OHのアルコール類(式中、Rは、好ましくはC1-C6直鎖もしくは分岐アルキル基である);式R-O-のアルコキシドアニオン(式中、Rは上記に規定した通りである)、過酸化水素及び式R'-COO-のカルボン酸アニオン(式中、R 'は好ましくはC2-C30炭化水素鎖である)、
-硫黄求核性種、例えば、チオール、チオレートアニオン、チオカルボキシレートアニオン、ジチオカーボネートアニオン及びジチオカルバメート、及び、
-アジド及びアルキルアジド。
【0052】
本発明は、少なくとも1種の治療剤の輸送、ベクター化又は細胞デリバリーのための薬剤としての使用のための式(I)の化合物にも関する。あるいは、本発明は、式(I)の化合物を含む少なくとも1種の治療剤の輸送、ベクター化又は細胞デリバリーのための薬剤に関する。
【0053】
実際に、式(I)の化合物は、水性媒質中において、治療薬を含むことができる、例えばリポソーム、ミセル又はナノ粒子などの超分子構造を形成することができる。
【0054】
リポソームは、例えば、式(I)の化合物を乾燥N2下で乾燥させ、真空下で乾燥させることによって調製することができる。リポソームは、適切な溶媒を乾燥したヌクレオ脂質に添加してリポソーム分散体を得た後、ボルテックス攪拌及び超音波処理することによって得られる。
【0055】
このように、本発明は、任意に共脂質と結合した、上記で規定されるとおりの少なくとも1種の式(I)の化合物から形成されたリポソームに関する。
【0056】
本発明はまた、共脂質に結合した、上記で規定されるとおりの少なくとも1種の式(I)の化合物から形成される複合体に関する。
【0057】
そのような共脂質は、例えば、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレイルホスファチジルウリジンホスファチジルコリン(DOUPC)、1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)又はN-[5'-(2'、3'-ジオレオイル)ウリジン] -N',N',N'-トリメチルアンモニウムトシレート(DOTAU)などのホスファチジルコリン誘導体から選ばれることができる。
【0058】
本発明はさらに、少なくとも1種の式(I)の化合物を含有する組成物に関する。
【0059】
特に、本発明は、少なくとも1種の式(I)の化合物、少なくとも1種の治療剤及び医薬上許容されるキャリアを含む医薬組成物に関する。
【0060】
「治療剤」は、インビトロ(in vitro)又はインビボ(in vivo)で、特に動物において、特にヒトにおいて、又はそれ以外に単離された細胞で、例えば、病理学的状態を予防又は治療するため、又は、生物学的機能を回復させるために使用される天然又は合成分子を意味する。
【0061】
好ましくは、上記に規定されるとおりの少なくとも1種の式(I)の化合物から形成されるリポソームに含まれるときに、治療剤は、約0.1ng/mL〜10mg/mLの濃度で使用されるであろう。
【0062】
有利には、前記治療剤は、例えば、抗腫瘍剤、抗生物質剤、抗菌剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、気管支拡張剤剤、中枢神経系に作用する薬剤、抗高血圧症剤、又は、心臓血管系に作用する薬剤(特に、血管拡張剤、抗アテローム性動脈硬化症剤、例えば、血小板抗凝集活性を有する薬剤);ホルモン、核酸及びそれらの断片;ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、抗原、抗体又は他の幹細胞などから選ぶことができる。
【0063】
本発明は、以下の実施例により非限定的に例示される。
【0064】
「調製」と題された例は、式(I)の化合物を調製するために使用される合成中間体の調製を記載する。式(I)の化合物の調製及びそれらの適用は「実施例」として記載される。
【0065】
市販のすべての試薬及び溶媒(Fluka、Sigma-Aldrich、Alfa-Aesar)をさらに精製することなく使用した。
【0066】
無水条件を必要とする反応では、不活性雰囲気(窒素又はアルゴン)下で乾燥溶媒(Sigma-Aldrich)を使用した。
【0067】
カラムクロマトグラフィーは、フラッシュシリカゲル(0.04〜0.063mm、Merck)又はLH20サイズ排除カラム(Sephadex(登録商標)LH-20、Sigma Aldrich)を用いて行った。すべての化合物は、1H及び13C核磁気共鳴(NMR)分光法(Bruker Avance DPX-300分光光度計、300.13MHzで1H、75.46MHzで13C)を用いて特性決定した。割り当ては、1H-1H COSY、DEPT及びHSQC実験によって行った。化学シフト(δ)はテトラメチルシラン又は残留溶媒ピーク(CHCl31H:7.26,13C:77.0)に対して百万分率(ppm)で示されている。結合定数Jは、ヘルツ(Hz)で与えられる。ピーク多重度はs =単一項、bs =ブロード単一項、d =二重項、t =三重項、m =多重項と報告されている。
【0068】
MalvernNanoZSデバイスを用いて、リポソームのゼータ電位測定及び動的光散乱(DLS)測定を行った。
以下の略語が使用される。
DCM ジクロロメタン
DMAB ジメチルアミノボラン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DOPC ジオレイルホスファチジルコリン
DOPE 1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルエタノールアミン
DOTAU N-[5'-(2',3'-ジオレオイル)ウリジン]-N ',N',N'-トリメチルアンモニウムトシレート
TEA トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
TBDMS tert-ブチルジメチルシリル
TBDMSCl tert-ブチルジメチルシリルクロリド
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は調製1及び2ならびに実施例1及び2(R3でカチオン性基を有する式(I)の化合物)に使用された合成スキームを示す。
【0070】
図2図2は調製3及び実施例4,5及び6(R3でアニオン性基を有する式(I)の化合物)に使用された合成スキームを示す。
【0071】
図3図3A及び3Bはそれぞれ式(I)のアニオン性化合物から調製したリポソーム及び式(I)のカチオン性化合物から調製したリポソームの動的光散乱(DLS)によって測定したサイズ分布を示す。
【0072】
図4図4A及び4Bは式(I)のアニオン性化合物及びカチオン性化合物からそれぞれ調製したリポソームのゼータ電位を示す。
【0073】
図5図5はpH=5で37℃で様々な時間インキュベートした後のカチオン性化合物(6)の1H NMR研究を示す。
【0074】
図6図6はpH=7.4で37℃で様々な時間インキュベートした後のアニオン性化合物(11)の1H NMR研究を示す。
【0075】
図7図7は37℃で様々なpHでの時間の関数としてのカチオン性化合物(6)及びアニオン性化合物(11)の加水分解プロファイルを示す。
【0076】
図8図8A及び8Bは、それぞれ式(I)のアニオン性化合物/DOPC及び式(I)のカチオン性化合物/DOPCから形成されたリポソームのコロイド安定性を示す。
【0077】
図9図9はトランスフェクションのための式(I)のカチオン性化合物を含む複合体を用いたsiRNAによるRECQL4の阻害を示す。
【0078】
図10図10はpH= 5及び37℃でのインキュベーションの前(●)及びインキュベーションの後(□)の化合物6/DOPC(モル比50/50)の小角X線散乱(SAXS)プロファイルを示す。
【実施例】
【0079】
調製1
化合物2
トリス(ヘキサデシルオキシ)メタン
【0080】
【化6】
【0081】
1-ヘキサデカノール(6.10 g, 25.16 mmol, 3 eq.) (図1の化合物1)を55℃にて加熱し、次いで、ナトリウム(0.57 g, 25.16 mmol, 3 eq.)及びクロロホルム(0.67 mL, 8.38 mmol, 1 eq.)を添加した。混合物を一晩撹拌し、そしてヘキサンにより希釈した。ろ過の後に、溶媒を真空下に除去した。生成物2をLH20サイズ排除カラム(CH2Cl2/CH3OH: 50/50)を用いた精製後に単離した。収率: 55%。
【0082】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 0.90 (t, J = 6.9 Hz, 9 H, 3CH3), 1.27 (m, 78H, 39CH2), 1.61 (m, 6H, 3CH2), 3.53 (m, 6H, 3CH2), 5.15 (s, 1H, CH)。
【0083】
13C NMR (75 MHz, CDCl3): ppmでのδ : 14.14 (CH3), 22.72 (CH2), 26.23 (CH2), 29.40-29.74 (CH2), 31.95 (CH2), 63.97 (CH2O), 112.66 (CH)。
【0084】
調製2
化合物4
((2R,3S,5R)-3-ヒドロキシ-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルメタンスルホネート
【0085】
【化7】
【0086】
チミジン(0.5 g, 2.06 mmol)を20 mLの乾燥ピリジン中に溶解し、そして0℃に冷却した。次いで、メタンスルホニルクロリド(0.284 g, 2.07 mmol, 1.05 eq.)を滴下して加えた。反応混合物を室温にて一晩撹拌した。翌日に、5 mLのメタノールを添加して、反応をクエンチし、次いで、溶媒を減圧下に蒸発させ、そして残留化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/CH3OH: 90/10)により精製した。収率: 62%。
【0087】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): ppmでのδ: 1.78 (s, 3 H, CH3), 2.15 (m, 2H, H2’), 3.23 (s, 3 H, CH3), 3.98 (m, 1H, H4’), 4.26 (m, 1H, H3’), 4.38 (m, 2H, H5’), 5.52 (d, J = 4.1 Hz, 1H, OH), 6.23 (t, J = 6.9 Hz, 1H, H1’), 7.49 (s, 1H, CH), 11.36 (s, 1H, NH)。
【0088】
調製3
化合物7
1-((2R,4S,5R)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
【0089】
【化8】
【0090】
ピリジン(125 mL)中のチミジン3の溶液(図1を参照されたい) (5 g, 20.6 mmol, 1.0当量)に、DMAP (0.126 g, 1.03 mmol, 0.05当量)及びTBDMSCl (3.48 g, 23.1 mmol, 1.1当量)を順次に添加した。反応混合物を室温にて一晩撹拌した。減圧下に溶媒を除去した後に、粗製反応生成物をDCM中に溶解し、順次に水及びNaHCO3 溶液(5 %)及びブラインにより洗浄した。次いで、有機層をNa2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に蒸発させた。粗製生成物をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で精製した。化合物7をシリカゲル(酢酸エチル:ヘキサン:TEA (80:20:1))上で精製した後に白色固形分として単離した。収率: 73 %。
【0091】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 0.11 (s, 6 H, 2CH3), 0.91 (s, 9 H, 3CH3), 1.91 (s, 3 H, CH3), 2.08 (m, 1H, H2’), 2.42 (m, 1H, H2’), 3.69 (bs, 1H, OH), 3.87 (m, 2H, H5’), 4.09 (m, 1H, H3’), 4.44 (m, 1H, H4’), 6.42 (t, J = 6.8 Hz, 1H, H1’), 7.56 (s, 1H, CH), 9.86 (s, 1H, NH)。
【0092】
13C NMR (75 MHz, CDCl3): ppmでのδ: -5.45 (CH3), -5.38 (CH3), 12.56 (CH3), 18.35 (CH), 25.92 (3CH3), 41.13 (C2’), 63.67 (C5’), 72.54 (C3’), 85.12 (C4’), 87.50 (C1’), 110.97 (C), 135.60 (CH), 150.78 (CO), 164.23 (CO)。
【0093】
実施例1
化合物5
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルメタンスルホネート
【0094】
【化9】
【0095】
調製2で得られた化合物4(0.15 g, 0.46 mmol)、調製1で得られた化合物2(1.03 g, 1.39 mmol, 3 eq.)及びtert-ブチルジメチルシリルペンタジオン (276 μL, 1.15 mmol, 2.5 eq.)のCH2Cl2/DMF: 2/1 (6 mL)の混合物中の溶液に、ピリジニウムp-トルエンスルホネート(0.03 g, 0.13 mmol, 0.25 eq.)を添加した。混合物を還流下に4時間撹拌した。反応物をN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(35 μL, 0.23 mmol, 0.5 eq.)で中和し、そして塩化メチレンを真空下に除去した。残留化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/CH3OH/TEA:99/0/1〜98/1/1)により精製した。収率: 94%。
【0096】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 0.89 (t, J = 6.9 Hz, 6 H, 2CH3), 1.26 (m, 52H, 26CH2), 1.60 (m, 4H, 2CH2), 1.96 (s, 3H, CH3), 2.18 (m, 1H, H2’), 2.45 (m, 1H, H2’), 3.08 (s, 3H, CH3), 3.54 (m, 4H, 2CH2), 4.26 (m, 1H, H4’), 4.42 (dd, J = 11.1Hz, J = 3.4Hz, 1H, H5’), 4.54 (dd, J = 11.2 Hz, J = 2.7 Hz, 1H, H5’), 4.60 (m, 1H, H3’), 5.10 (s, 1H, CH), 6.32 (t, J = 6.6 Hz, 1H, H1’), 7.37 (d, J = 1.4 Hz, 1H, CH), 8.87 (s, 1H, NH)。
【0097】
13C NMR (75 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 12.43 (CH3), 14.15 (CH3), 22.71 (CH2), 26.12 (CH2), 29.38-29.72 (CH2), 31.94 (CH2), 37.69 (CH3), 38.38 (C2’), 65.46 (CH2O), 65.62 (CH2O), 68.76 (C5’), 71.23 (C3’), 82.45 (C4’), 84.93 (C1’), 111.66 (C), 112.70 (CH), 138.97 (CH), 150.24 (CO), 163.85 (CO)。
【0098】
実施例2
化合物6
1-((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)-N,N,N-トリメチル-メタンアミニウムメタンスルホネート
【0099】
【化10】
【0100】
無水トリメチルアミン(2 mL)を、シリンジによって、-50℃にて冷却した圧力チューブに移した。次に、無水アセトニトリル(2 mL)及び実施例1で得られた化合物5(0.16 g, 0.2 mmol)の乾燥THF (2 mL)中の溶液を添加した。チューブをシールし、そしてオイルバス中で50℃にて48時間加熱し、次いで、-20℃に冷却し、そして開放した。溶媒を減圧下に蒸発させ、化合物6を白色固形分として提供した。収率: 90%。
【0101】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 0.89 (t, J = 6.9 Hz, 6 H, 2CH3), 1.26 (m, 52H, 26CH2), 1.58 (m, 4H, 2CH2), 2.00 (s, 3H, CH3), 2.30 (m, 1H, H2’), 2.62 (m, 1H, H2’), 2.79 (s, 3H, CH3), 3.35 (s, 9H, 3CH3), 3.53 (m, 4H, 2CH2), 3.66 (m, 1H, H5’), 4.40-4.69 (m, 3H, H3’, H4’, H5’), 5.22 (s, 1H, CH), 6.29 (t, J = 6.6 Hz, 1H, H1’), 7.73 (s, 1H, CH), 9.12 (s, 1H, NH)。
【0102】
13C NMR (75 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 11.65 (CH3), 13.66 (CH3), 22.23 (CH2), 25.63 (CH2), 28.90-29.25 (CH2), 31.45 (CH2), 35.80 (C2’), 39.28 (CH3), 53.75 (CH3), 64.84 (CH2O), 65.22 (CH2O), 66.86 (C5’), 74.24 (C3’), 78.79 (C4’), 87.08 (C1’), 111.43 (C), 112.56 (CH), 137.32 (CH), 150.49 (CO), 163.74 (CO)。
【0103】
実施例3
化合物8
1-((2R,4S,5R)-4-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
【0104】
【化11】
【0105】
調製3で得られた化合物7(0.3 g, 0.84 mmol)、調製1で得られた化合物2 (1.86 g, 2.52 mmol, 3 eq.)及びtert-ブチルジメチルシリルペンタジオン (497 μL, 2.1 mmol, 2.5 eq.)の10 mLの無水塩化メチレン中の溶液に、ピリジニウムp-トルエンスルホネート(0.052 g, 0.21 mmol, 0.25 eq.)を添加した。混合物を還流下に4時間撹拌した。反応物をN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(63 μL, 0.42 mmol, 0.5 eq.)で中和し、そして塩化メチレンを真空下に除去した。残留化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/CH3OH/TEA:99/0/1〜98.5/0.5/1)により精製した。収率: 83%。
【0106】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 0.13 (s, 6 H, 2CH3), 0.89 (t, J = 6.3 Hz, 6 H, 2CH3), 0.94 (s, 9 H, 3CH3), 1.26 (m, 52H, 26CH2), 1.59 (m, 4H, 2CH2), 1.93 (s, 3H, CH3), 2.02 (m, 1H, H2’), 2.42 (m, 1H, H2’), 3.52 (m, 4H, 2CH2), 3.85 (m, 2H, H5’), 4.16 (m, 1H, H3’), 4.52 (m, 1H, H4’), 5.19 (s, 1H, CH), 6.35 (t, J = 6.9 Hz, 1H, H1’), 7.52 (s, 1H, CH), 8.92 (s, 1H, NH)。
【0107】
13C NMR (75 MHz, CDCl3): ppmでのδ: -5.46 (CH3), -5.34 (CH3), 12.55 (CH3), 14.15 (CH3), 18.38 (CH), 22.71 (CH2), 25.94 (CH3), 26.21 (CH2), 29.38-29.72 (CH2), 31.95 (CH2), 39.08 (C2’), 63.29 (C5’), 64.76 (CH2O), 64.96 (CH2O), 73.03 (C3’), 84.90 (C4’), 85.75 (C1’), 110.83 (C), 112.66 (CH), 135.41 (CH), 150.27 (CO), 164.84 (CO)。
【0108】
実施例4
化合物9
1-((2R,4S,5R)-4-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
【0109】
【化12】
【0110】
化合物8(0.3 g, 0.35 mmol)の4 mLの乾燥THF中の溶液に、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(680 μL, 0.7 mmol, 2 eq.)を添加した。反応混合物を室温にて1時間撹拌し、そして溶媒を真空下に除去した。残留化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/CH3OH/TEA: 98/1/1)により精製した。収率: 94%。
【0111】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 0.89 (t, J = 6.9 Hz, 6H, 2CH3), 1.27 (m, 52H, 26CH2), 1.60 (m, 4H, 2CH2), 1.93 (s, 3H, CH3), 2.39 (m, 2H, H2’), 3.54 (m, 4H, 2CH2), 3.82 (dd, J = 11.9Hz, J = 2.9Hz, 1H, H5’), 3.94 (dd, J = 11.9Hz, J = 2.6Hz, 1H, H5’), 4.12 (m, 1H, H3’), 4.61 (m, 1H, H4’), 5.21 (s, 1H, CH), 6.16 (t, J = 6.6 Hz, 1H, H1’), 7.39 (s, 1H, CH)。
【0112】
13C NMR (75 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 12.53 (CH3), 14.13 (CH3), 22.69 (CH2), 26.14 (CH2), 29.33-29.71 (CH2), 31.92 (CH2), 38.31 (C2’), 62.10 (C5’), 64.97 (CH2O), 65.12 (CH2O), 72.19 (C3’), 85.37 (C4’), 86.45 (C1’), 111.00 (C), 112.64 (CH), 136.87 (CH), 150.45 (CO), 164.04 (CO)。
【0113】
実施例5
化合物10
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(2-シアノエチル) ジイソプロピルホスホラミダイト
【0114】
【化13】
【0115】
実施例4で得られた化合物9を使用前に、P2O5 上で減圧下に一晩乾燥した。化合物9(0.45 g, 0.61 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(212 μL, 1.22 mmol, 2 eq.)及び2-シアノエチルN,N- ジイソプロピルクロロホスホラミダイト(204 μL, 0.91 mmol, 1.5 eq.) を10 mLのジクロロメタン中に溶解し、そして溶液を室温にて1時間撹拌した。重炭酸ナトリウム0.1M (5 mL)をフラスコ中に注ぎ、そして水性相をジクロロメタンで抽出した。残留化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/CH3OH/TEA:99/0/1〜98/1/1)により精製した。収率: 93%。
【0116】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 0.88 (t, J = 6.6 Hz, 6H, 2CH3), 1.19 (m, 12H, iPr), 1.25 (m, 54H, 27CH2), 1.58 (m, 6H, 3CH2), 1.93 (s, 3 H, CH3), 2.05 (m, 1H, H2’), 2.44 (m, 1H, H2’), 2.65 (m, 2H, iPr), 3.61 (m, 2H, CH2CN), 3.85 (m, 4H, OCH2, H5’), 4.24 (m, 1H, H3’), 4.53 (m, 1H, H4’), 5.19 (s, 1H, CH), 6.32 (m, 1H, H1’), 7.51 (s, 0.5H, CH, dia1), 7.65 (s, 0.5H, CH, dia2)。
【0117】
31P NMR (121 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 152.05。
【0118】
実施例6
化合物11
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルメチルホスフェート
【0119】
【化14】
【0120】
実施例10で得られたホスホラミダイト10(0.2 mg, 0.21 mmol)、メタノール(13 μL, 0.31 mmol, 1.5 eq.)を3 mLの乾燥THF中に溶解し、そしてアセトニトリル中のテトラゾール溶液(0.45 M, 0.7 mL, 0.27 mmol, 1.3 eq.)をアルゴン下に添加した。反応混合物を室温にて1時間撹拌し、次いで、20 mLのI2 (THF/Pyr/H2O中 0.02 M)(pH=7.4)の溶液により酸化した。室温にて5時間後に、溶媒を高真空下に蒸発させ、中間体生成物を生じた。反応フラスコの内容物を20 mLの酢酸エチル中に溶解し、次いで、3×10 mLのNa2S2O3飽和溶液により洗浄した。減圧下での溶媒の除去後に、粗製反応混合物をCH2Cl2/TEA: 9/1の混合物 (10 mL)中に溶解し、室温にて一晩撹拌し、そして溶媒を真空下に除去した。残留化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/CH3OH/TEA: 98/1/1〜94/5/1)により精製した。収率: 65%。
【0121】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 0.86 (t, J = 6.6 Hz, 6H, 2CH3), 1.23 (m, 56H, 28CH2), 1.55 (m, 4H, 2CH2), 1.95 (s, 3 H, CH3), 2.18 (m, 1H, H2’), 2.35 (m, 1H, H2’), 2.91 (q, J = 7.2 Hz, J = 14.5 Hz, 6 H, 3CH2), 3.50 (m, 4H, 2CH2), 3.59 (d, J = 10.7 Hz, 3H, P-OCH3), 4.05 (m, 2H, H5’), 4.19 (m, 1H, H3’), 4.57 (m, 1H, H4’), 5.17 (s, 1H, CH), 6.38 (t, J = 6.5 Hz, 1H, H1’), 7.81 (s, 1H, CH)。
【0122】
13C NMR (75 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 9.24 (CH3), 12.34 (CH3), 14.07 (CH3), 22.64 (CH2), 26.11 (CH2), 29.32-29.66 (CH2), 31.90 (CH2), 38.61 (C2’), 45.62 (CH2), 52.59及び52.69(d, J = 5.6 Hz, P-OCH3), 64.68及び64.73 (d, J = 3.5 Hz, C5’), 67.90 (CH2O), 73.92 (C3’), 84.44及び84.56(d, J = 8.4 Hz, C4’), 84.69 (C1’), 111.07 (C), 112.65 (CH), 136.36 (CH), 150.54 (CO), 164.02 (CO)。
【0123】
31P NMR (121 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 4.08。
【0124】
実施例7
化合物12
((2R,3S,5R)-3-(ビス(ヘキサデシルオキシ)メトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルO-メチル-O’-スクシニルポリエチレングリコール500
【0125】
【化15】
【0126】
O-メチル-O’-スクシニルポリエチレングリコール500 (105 mg, 0.176 mmol)、実施例4において調製した化合物9(130 mg 0.176 mmol)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(73 mg, 0.352 mmol)及び4-(ジメチルアミノ)ピリジン(43 mg, 0.352 mmol)を高真空下に1時間乾燥した。次いで、化合物を窒素下に4 mLの無水塩化メチレン中に溶解させた。混合物を室温にて窒素下に一晩撹拌した。DCUをろ過し、そして溶媒を除去した。LH20サイズ排除カラム (DCM/MeOH 50:50)を用いた精製の後に生成物を単離した。収率: 72%。
【0127】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppmでのδ: 0.89 (t, J = 6.9 Hz, 6H, 2CH3), 1.26 (m, 52H, 26CH2), 1.58 (m, 4H, 2CH2), 1.94 (s, 3H, CH3), 2.12 (m, 1H, H2’), 2.47 (m, 1H, H2’), 2.68 (m, 4H, 2CH2), 3.39 (s, 3H, CH3), 3.54 (m, 6H, 3CH2), 3.65 (m, H3’, CH2-PEG), 4.25 (m, 3H, H5’, CH2), 4.35 (m, 1H, H5’), 4.45 (m, 1H, H4’), 5.18 (s, 1H, CH), 6.27 (t, J = 6.6 Hz, 1H, H1’), 7.40 (s, 1H, CH), 8.48 (s, 1H, NH)。
【0128】
実施例8
アニオン性リポソーム及びカチオン性リポソームの調製及びリポソーム特性化
【0129】
実施例2及び6において調製した100 μLの式 (I)のアニオン性又はカチオン性化合物(ジクロロメタン中10mg/mL)の原料溶液をガラスチューブ入れ、乾燥N2 上で乾燥し、次いで、真空下に乾燥した。Milli-Q 水を乾燥した脂質に添加し、10分間のボルテックス撹拌及び超音波処理の後にリポソーム分散体(1 mg/mL)を得た。
【0130】
例6において調製した化合物11から調製したリポソーム(式(I)のアニオン性化合物)の動的光散乱(DLS)により測定された強度によるサイズ分布を図3Aに示し、実施例2において調製した化合物6から調製したリポソーム(式(I)のカチオン性化合物) の動的光散乱(DLS)により測定された強度によるサイズ分布を図3Bに示す。
【0131】
結果は式(I)の化合物が水溶液中で合理的に狭い多分散を有する同様のサイズの超分子集合体を形成することを示す。
【0132】
実施例6で調製したアニオン性化合物11から調製したリポソームのゼータ電位を図4Aに示す。
d = 100,4 nm
Pdi = 0.163
ζ = -43.3 mV
上記中、dはナノメートルでの直径であり、Pdiは多分散であり、そしてζはmVでのゼータ電位である。
【0133】
実施例2で調製したカチオン性化合物6から調製したリポソームのゼータ電位を図4Bに示す。
d = 135.9 nm
Pdi = 0.221
ζ = 51.4 mV
上記中、dはナノメートルでの直径であり、Pdiは多分散であり、そしてζはmVでのゼータ電位である。
【0134】
結果は式(I)のアニオン性化合物又はカチオン性化合物に基づくリポソームについて測定したゼータ電位がそれぞれの極性頭部の電荷に依存することを示す。このようにして、オルトエステル官能基の存在は凝集体の形成に対して限定された効果を有する。
【0135】
実施例9
NMR反応速度試験及び加水分解プロファイル
【0136】
1HNMR実験は、加水分解された化合物の百分率vs時間を測定することにより、pH 5及び7.4での式(I)のアニオン性化合物及びカチオン性化合物の両方の加水分解の反応速度を研究するために行った。
【0137】
10 mgの例2で調製したカチオン性化合物(6)又は例6で調製したアニオン性化合物(11)をMeOD:バッファーホスフェート(1:2)の混合物中に溶解し(pH 5又は7.4)、混合しそしてNMRチューブ中に入れた。1H NMR 実験を37℃にて300 MHzでBRUKER(登録商標)Avance DPX-300で行った。
【0138】
様々な時間でpH=5で37℃でのインキュベーションの後のカチオン性化合物(6)の1H NMR研究を図5に示す。
【0139】
様々な時間でpH=7.4で37℃でのインキュベーションの後のアニオン性化合物(11)の1H NMR研究を図6に示す。
【0140】
オルトエステル官能基の加水分解の後に、チミジンCH3 プロトンのケミカルシフトは化合物6及び11で、それぞれ高磁場及び低磁場にシフトした。このように、加水分解の百分率vs時間はCH3 プロトンのシグナルを積分することにより得た。
【0141】
様々なpHで37℃で時間の関数としてカチオン性化合物6及びアニオン性化合物11の加水分解プロファイルを図7に示す。
【0142】
結果はオルトエステル官能基の加水分解速度がpH及び極性頭部の電荷の両方に依存することを示す。オルトエステル官能基の加水分解の速度は水素イオン濃度とともに増加することが知られている。このため、化合物6及び11の両方はpH=5で加水分解がより高いことを示す。pH 5及び7の両方でカチオン性化合物6と比較したアニオン性化合物11について観測された加水分解速度の増加はオルトエステル頭部基における負の電荷の存在から生じる。
【0143】
実施例10
式(I)のカチオン性化合物及びジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)から形成されるリポソームの調製及びコロイド安定性の研究
【0144】
実施例6で調製した化合物11(式(I)のアニオン性化合物)又は実施例2で調製した化合物6(式(I)カチオン性化合物)(ジクロロメタン中10 mg/mL)及びDOPC (ジクロロメタン中10 mg/mL)の原料溶液(1:1)を混合し、そしてガラスチューブに入れた。混合物を乾燥N2 下に乾燥し、次いで、真空下に乾燥した。バッファー(pH 5)を乾燥した脂質に添加し、ボルテックス撹拌後にリポソーム分散体(5 mg/mL)を得た。次いで、混合物を37℃で48時間加熱した。
【0145】
リポソーム(オルトエステル/DOPC, 1/1)のコロイド安定性は動的光散乱(粒子の直径及びPDI vs.時間)により研究した。
【0146】
結果を図8A(アニオン性化合物/DOPC)及び図8B(カチオン性化合物/DOPC)に示す。
【0147】
結果はオルトエステル官能基の加水分解が粒子の直径の増加をもたらすことを示す。多分散指数は直径が増加するときに増加する。pH 7.4 (37℃)において、コロイド安定性は2時間を超えて維持され、一方、酸性条件(pH 5, 37℃)では、サイズ及び多分散指数の両方が時間とともに増加し、コロイド懸濁液の崩壊を示す。
【0148】
実施例11
小角X線散乱(SAXS)実験
【0149】
化合物6/DOPC (1/1, w/w)の混合物を含むサンプルを、調製後に、シールされた石英キャピラリー中に、室温にて注意深く輸送した。SAXS実験をthe Centre de Recherche Paul Pascal, Pessac, FranceでNanoStar (Bruker)にて行った。650 mmに等しいサンプルのディテクタまでの距離及びλ = 0.154 nmの線波長では、逆格子空間における散乱波ベクトルはq = 0.16nm-1〜3.4nm-1の範囲であった。
【0150】
検出の全分解能はガウス関数をベヘン酸銀回折図からのピークに適合させることによって評価した;Δqの値は 約3.1×10-2 nm-1であることが判った。サンプル位置でのビームサイズは0.45 mm (φ)であった。画像はHiStar (Bruker)により捕獲した。
【0151】
検出配列は総計で1024×1024ピクセルであり、各1ピクセルは一辺が100μmである。データは、SAXS-Brukerソフトウェアを使用して、半径方向に平均化し、バックグラウンド散乱について補正した。全ての実験は、25℃で熱平衡化したサンプルで実施したが、これはサンプルホルダーを制御された温度で水循環下に保つことによって得た。
【0152】
図10に報告された結果は、pH=5及び37℃でのインキュベーションの前(●)及びインキュベーションの後(□)の化合物6(カチオン性化合物)/DOPC(モル比50/50)のSAXSプロファイルが、小胞から多重膜システムに発達することを示す。
【0153】
実施例12
siRNAによるRECQL4の阻害
RECQL4は、加速老化、発達異常及びガンの素因を示す3つの症候群(Rothmund-Thompson、RAPADILINO及びBaller-Gerold)に関与するヒトRecQヘリカーゼである。RECQL4 mRNAレベルの上昇は臨床的乳房腫瘍サンプルにおいて観察された。最近の研究は、RECQL4の過剰発現が、ヒト乳房腫瘍管腔内B進行において重要な役割を果たすことを示している。この例では、RECQL4を標的とするsiRNAのトランスフェクションにおける実施例2で調製した化合物6の有効性を評価する。
【0154】
化合物6及びDOPEをモル比で混合し、塩化メチレンに溶解した。撹拌しながら窒素気流下で溶媒を蒸発させ、脂質膜を調製した。この調製物を水1mLで再水和し、それをボルテックスにかけ、チューブを15℃で15〜20分間超音波浴(37kHz)に入れた。DOTAU/DOPE(1:1)を用いて同じ実験を行った。
【0155】
リポソームをDLS(Malvern、Zetasizer)により分析し、オルトエステルについては直径74nm、DOTAUについては直径48nmと測定した。
【0156】
10pmolのsiRNAを100μLのPRMI 1640無血清培地中の2nmolのオルトエステル/DOPEに添加した。ボルテックスにかけた後に、この溶液を室温で20分間インキュベートし、ウェルに移した。siRNAオルトエステル/DOPE複合体をDLSにより分析し、siRNAルシフェラーゼで90nm、オルトエステルについてsiRNA RECQL4で100nmで測定した(それぞれDOTAUについて69nm及び63nm)。
【0157】
ウェルあたり2.105 のMDA-MB-134細胞を500μLの最終体積で添加した。トランスフェクション後72時間、細胞を培養した。
【0158】
コンフルエントな細胞をPBS緩衝液で洗浄し、0.5mLのトリゾール(Trizol)(Invitrogen)で溶解した。200μLのクロロホルム/イソアミルアルコール(25:1)を添加した。4℃、14000rpmで10分間遠心分離した後に、RNAを含む水性相を回収した。
【0159】
250μLのイソプロパノール及び3μLのグルコブルー(Glycoblue)(Ambion)を用いてRNAを-20℃で一晩沈殿させた。4℃、14000rpmで30分間遠心分離した後に、ペレットをエタノール75%で洗浄し、最終的に10μLの水中に溶解した。
【0160】
QuantiTectキット(Qiagen)を用いた逆転写によりRNAをcDNAにて変換した。次いで、25ngのcDNA、マスターミックスGoTaq qPCR(Promega)及び特異的プライマー(1μM)を用いて定量PCRを実施した。CtはGAPDHの発現によって標準化された。
【0161】
各条件を3回行った。
【0162】
結果を図9に報告し、GAPDH(乳癌細胞MDA-MB-134)で標準化されたRECQL4の発現レベルを示す。
【0163】
Xはヌクレオ脂質(オルトエステル(白色カラム)又はDOTAU(ストライプカラム))の濃度に対応する。1X:N/P = 1/5, 2X:N/P = 1/10。比N/Pは製剤中のアンモニウム(カチオン性脂質)/ホスフェート(核酸)の比に対応する。
【0164】
それらは、カチオン性オルトエステルの効力がRECQL4の発現を阻害することができたが、トランスフェクション試薬DOTAUはRECQL4を標的とするsiRNAをトランスフェクトできなかったことを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10