(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、センサを使用することによって電磁場内の医療器具の位置を特定するための医療器具、システム、及び方法に関連する。センサは、撮像器具を含めて医療器具に直接印刷されてもよく、又は別個に製造され、次いで、それに貼付されてもよい。センサは医療器具と共に患者の身体の内部に挿入されることができるため、医療器具の位置はリアルタイムで特定される。更に、センサは他の撮像モダリティと共に、医療器具の正確な方向及び位置を提供し追跡することができる。センサの小さいサイズにより、医療器具は、センサを医療器具の内部又は外部に組み込んで、連続的なナビゲーションを容易にすることができる。本開示は特定の例示的な実施形態に関して説明されるが、本開示の趣旨から逸脱することなく様々な修正、再構成、及び置換が行われ得ることは、当業者には容易に明らかとなるであろう。本開示の範囲は、本開示に添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0013】
図1は、電磁場内の医療器具の位置を特定するためのシステム及び方法の例示的な一実施形態を示している。特に、CT、MRI、又は蛍光透視画像を利用するように構成されている、電磁的ナビゲーション(EMN)システム100が図示されている。このようなEMNシステムの1つは、Covidien LPから現在販売されているELECTROMAGNETIC NAVIGATION BRONCHOSCOPY(登録商標)システムであり得る。EMNシステム100は、カテーテルガイド組立体110、気管支鏡115、計算デバイス120、監視デバイス130、EMボード140、追跡デバイス160、及び基準センサ170を含む。気管支鏡115は、(
図1に示されるような)有線接続又は無線接続(図示せず)によって計算デバイス120及び監視デバイス130に動作可能に連結される。
【0014】
図2Aは、
図1のカテーテルガイド組立体110の実施形態を示している。カテーテルガイド組立体110は、カテーテルガイド組立体110の遠位端250の前進及び操縦を可能にする、制御ハンドル210を含む。カテーテルガイド組立体110は、EWC230内に挿入された位置確認可能なガイドカテーテル(LG)220及び、
図2Bに示されるような、電磁(EM)センサ260を含む。ロッキング機構225は、EWC230及びLG220を互いに固定する。本開示と共に使用可能なカテーテルガイド組立体は、Covidien LPからSUPERDIMENSION(登録商標)Procedure Kits及びEDGE(商標)Procedure Kitsの名称で現在市販されているものであり得る。カテーテルガイド組立体の更に詳細な説明では、内容全体が参照によって本開示に引用される、本願出願人が所有する2013年3月15日出願のLadtkowらによる米国特許出願第13/836,203号、及び米国特許第7,233,820号への参照が行われる。以下により詳細に説明するように、LG 220の遠位部分上のEMセンサ260は、電磁場を感知するものであり、電磁場内でのLG 220の位置を特定するために使用される。実施形態では、EMセンサ260は、EWC 230の遠位端に直接組み込まれることができる。
【0015】
使用時、気管支鏡115は、口腔内に又は患者150の切開を通して挿入されて、内部器官の画像を取り込む。EMNシステム100では、患者150の内部器官へのアクセスを実現するために、カテーテルガイド組立体110が気管支鏡115内に挿入される。カテーテルガイド組立体110は、位置確認可能なガイドカテーテル(LG)220が遠位部分にあるEMセンサ260と共に内部に挿入される延長作業チャネル(EWC)230を含み得る。EWC 230、LG 220、及びEMセンサ260は、以下により詳細に説明するように内部器官の中をナビゲートするために使用される。
【0016】
代替実施形態では、自然開口部を通して挿入される気管支鏡115の代わりに、カテーテルガイド組立体110が切開を通して患者150に挿入される。EWC 230を含むカテーテルガイド組立体110は、切開を通して挿入されて、心臓の管腔網など、肺の気道以外の管腔網をナビゲートし得る。
【0017】
ラップトップ、デスクトップ、タブレット、又は他の類似の計算デバイスなど、計算デバイス120は、ディスプレイ122、1つ又は2つ以上のプロセッサ124、メモリ126、ネットワークカード128、及び入力デバイス129を含む。EMNシステム100はまた、別個の計算デバイスが、計画、処置、映像化、及び医療手術に適する方法で臨床医を支援する他の態様のために用いられる、複数の計算デバイスを含むこともできる。ディスプレイ122は、ディスプレイ122が入力デバイスと出力デバイスの両方として働くことを可能にする、接触感知式及び/又は音声起動式であってもよい。ディスプレイ122は、疾患の症状を呈する内部器官の部分の位置を突きとめ、それを特定するために、肺、前立腺、腎臓、結腸、肝臓など、内部器官の2次元(2D)画像又は3次元(3D)モデルを表示し得る。
【0018】
ディスプレイ122は、処置すべき標的を選択する、追加する、及び削除するためのオプション、並びに内部器官の可視化に対する設定可能な項目を更に表示し得る。ある態様では、ディスプレイ122はまた、内部器官の2D画像又は3Dモデルに基づいて電磁場内のカテーテルガイド組立体110の位置を表示し得る。
【0019】
1つ又は2つ以上のプロセッサ124は、コンピュータ実行可能命令を実行する。プロセッサ124は、ディスプレイ122に内部器官の3Dモデルを表示することができるように、画像処理機能を実行し得る。実施形態では、計算デバイス120は、1つ又は2つ以上のプロセッサ124が他のプログラムに使用可能であるように、画像処理機能のみを実行する別個のグラフィックアクセラレータ(図示せず)を更に含み得る。メモリ126は、データ及びプログラムを記憶する。例えば、データは、3Dモデル用の画像データ、又は患者の医療記録、処方箋、及び/若しくは患者の病歴などの任意の他の関連データであり得る。
【0020】
メモリ126に記憶されるプログラムのあるタイプは、3Dモデル及び経路計画ソフトウェアモジュール(計画ソフトウェア)である。3Dモデル生成及び経路計画ソフトウェアの一例は、Covidien LPから現在販売されているILOGIC(登録商標)計画スイートであり得る。例えばCT画像データセット(又は他の撮像モダリティによる画像データセット)からの、典型的にはDigital Imaging and Communications in Medicine(DICOM)フォーマットである、患者の画像データが計画ソフトウェアにインポートされるときに、内部器官の3Dモデルが生成される。ある態様では、撮像は、CT撮像、磁気共鳴映像法(MRI)、機能MRI、X線、及び/又は任意の他の撮像モダリティによって行われ得る。3Dモデルを生成するために、計画ソフトウェアは、セグメンテーション、サーフェスレンダリング、及び/又はボリュームレンダリングを使用する。次いで、計画ソフトウェアは、3Dモデルが、原画像データを見直すために一般に使用される軸方向像、冠状面像、及び矢状方向像を含めて、複数の異なる像にスライス又は操作されることを可能にする。これらの異なる像は、ユーザが、全ての画像データを見直し、画像内の潜在的な標的を特定することを可能にする。
【0021】
標的が特定されると、ソフトウェアは経路計画モジュールに入る。経路計画モジュールは、標的へのアクセスを実現するための経路計画を作成し、経路計画は、EMNシステム100を使用して、特にカテーテルガイド組立体110をEWC230、LG220、及びEMセンサ260と共に使用して標的に到達できるように、位置を正確に示し、標的の座標を特定する。エクスポートし、後で患者150内の標的までのナビゲーション時に使用するために、経路計画モジュールは、臨床医を一連の工程で手引して経路計画を作成する。用語「臨床医」は、医療処置の計画、実行、監視、及び/又は監督に従事する、内科医、外科医、看護師、医療助手、又は経路計画モジュールの任意のユーザを含み得る。
【0022】
これらのプロセス及び経路計画モジュールの詳細は、内容全体が参照によって本開示に引用される、2013年6月21日にCovidien LPによって出願された、「Pathway Planning System and Method」という名称の米国特許出願第13/838,805号に見出すことができる。このような経路計画モジュールは、臨床医が、CT画像データセットの個々のスライスを見ること、及び1つ又は2つ以上の標的を特定することを可能にする。これらの標的は、例えば、疾患が内部器官の機能に障害を発生させることになった、病変部位又は組織の活動に影響を与える神経の位置であり得る。
【0023】
メモリ126は、臨床医にガイダンスを提供し、並びに3Dモデル及び3Dモデル由来の2D画像上での計画された経路の再現を提供するために、EMNシステム100とのインターフェースをとるナビゲーション及びプロシージャソフトウェアを記憶し得る。このようなナビゲーションソフトウェアの一例は、Covidien LPから販売されているILOGIC(登録商標)ナビゲーション及びプロシージャスイートである。実際には、EM場生成デバイス145によって生成されたEM場内での患者150の位置は、3Dモデル及び3Dモデル由来の2D画像に登録されなければならない。このような登録は、手動であっても自動であってもよく、本願と同一譲受人に譲渡された「System and method for navigating within the lung」という名称の米国特許仮出願第62/020,240号に詳細に記載されている。
【0024】
図1に示すように、EMボード140は、患者が横たわるための平坦面を提供するように構成されており、EM場生成デバイス145を含む。患者150がEMボード140上に横たわると、EM場生成デバイス145は、患者150の部分を取り囲むのに十分なEM場を生成する。LG 220の端部にあるEMセンサ260は、LG 220の遠位端の位置、及びそれと共にEWC 230の遠位端の位置を患者の内部で決定するために使用される。ある態様では、別個のEMセンサがEWC 230の遠位端に設置され得、それと共に、EM場生成デバイス145によって生成されたEM場内でのEWC 230の正確な位置が患者150の内部で特定されることができる。
【0025】
更に別の態様では、EMボード140は、患者150の胸部に位置する基準センサ170と動作可能に連結されるように構成され得る。基準センサ170は、患者150が息を吸い込んでいる間は胸部に追従して上方に移動し、患者150が息を吐き出している間は胸部に追従して下方に移動する。EM場内での患者150の胸部の移動は、基準センサ170によって捕捉され、追跡デバイス160に伝達され、その結果、患者150の呼吸パターンが認識され得る。追跡デバイス160はまた、EMセンサ260の出力も受信し、両方の出力を組み合わせ、EMセンサ260の位置に対して呼吸パターンを補正する。このように、EMセンサ260によって特定された位置は、EMセンサ260の補正された位置が内部器官の3Dモデルと同期するように補正され得る。しかしながら、上述したように、遠位端250にEMセンサ260を備えるLG 230の使用は、器具の交換、位置情報の損失、及び処置に必要な時間の総体的な延長をめぐる課題をもたらし得る。これらの問題を軽減するために、
図3Aは、電磁センサ310をコイルの形状で示している。センサ310は、医療器具300の遠位部分上に直接印刷され得る。印刷された電磁センサ(PES)310は、図示のとおりに又は用途によって必要とされる別の構成で、螺旋形状を形成し得る。器具300は、EWC 230、カテーテル、生検器具、アブレーション器具、単極又は双極電気外科用器具、撮像器具、又は針、要するに管腔網(例えば、患者の気道又は脈管系)の中に挿入されることができる任意の器具であり得る。一実施形態では、器具300は、EWC 230の中を通るようにサイズが決定される。代替的に、器具300は、以下により詳細に説明するように、EWC 230であり得る。他の例示的な器具が
図3B〜3Eに示されており、それぞれが本開示の方法によって適用されるEMセンサ310を有する、生検鉗子370、生検ブラシ375、生検針380、及びマイクロ波アブレーションプローブ385を示している。
【0026】
以下により詳細に説明するように、器具300の遠位部分は、センサ310用の非導電性基部を形成するために、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、又は別の好適な材料から作製され得る、又はそれによって覆われ得る。器具300の遠位部分が非導電性材料で覆われていない、又はそれから作製されていない場合は、非導電性材料が遠位部分に最初に適用されて、センサ310用の絶縁基部を形成しなければならない。
【0027】
図3Aに示したセンサ310に関しては、センサ310のコイルは、螺旋の形状になっている。螺旋の寸法(即ち、
図3Aに示されるような、長さL、2つの隣接するループの間の距離d、及び螺旋の直径D)は、最適なセンサ310を作製するように選択され得る。ピッチ角αが、螺旋を定義するために使用され得、以下によって計算され得る。
【数1】
ピッチ角αは、器具300の長手方向軸に沿った、印刷された螺旋のループの密度を表す。
【0028】
実施形態では、センサ310は複数の層を含み得る。具体的には、導電性材料が器具300に適用されてセンサ310の第1のコイルを形成した後、非導電性材料が第1のコイルの上に適用され得、導電性材料から形成される第2のコイルが、器具300上の非導電性材料と第1のコイルの両方の上に適用され得る。これは、所望の数のコイルが器具300上に製造される又は印刷されるまで続けられ得る。各コイルは、様々な構成、例えば、他のコイルのものとは異なる、向き、長さL、及び螺旋の2つの隣接するループの間の距離dを有し得る。代替的に、センサ310の複数のコイルのそれぞれは、器具300の異なる位置に適用され得る。実施形態では、各コイルは、互いに対して実質的に直交であり得る。
【0029】
本開示のある態様では、あるコイルの螺旋の回転方向は、別のコイルの回転方向と異なり得る。即ち、ある螺旋は逆時計回りの向きを有し得、別の螺旋は時計回りの向きを有し得る。別の態様では、導電性材料は、銅、銀、金、導電性合金、又は導電性ポリマーであり得、非導電性材料は、ETFE、PTFE、非導電性ポリマー、又はポリイミドであり得る。
【0030】
本開示の更なる態様によれば、螺旋310の端部部分のそれぞれは、電気接点320及び330用に、螺旋内の他の導電性材料の領域よりも大きい領域を有し得る。接点320及び330のそれぞれに導線が接続される。これらの導線は、カテーテル組立体100の長さを延長し、追跡デバイス160に接続され得る。以下により詳細に説明するように、別の実施形態では、導線は、導電性材料を器具300上に直接印刷することにより器具300に組み込まれて、センサ310を追跡デバイス160に連結する。したがって、器具300が電磁場内に位置するとき、器具300が電磁場の中を移動している間、センサ310に電気信号(例えば、電圧)が誘導され得る。誘導電気信号は追跡デバイス160に伝達され、追跡デバイス160は、電磁場の座標系に対して器具300の位置を計算する。この計算された位置は、計算デバイスがディスプレイ上の3Dモデル内でこの位置を表示することができるように、3Dモデルに登録され得る。このように、臨床医は、上述のナビゲーション及びプロシージャソフトウェアの3Dモデル及び2D画像内で器具300の相対的位置を特定することができる。
【0031】
誘導電圧は、マックスウェル方程式から導かれ、以下の式によって計算される。
【数2】
式中、ε
indは誘導電圧であり、Nは螺旋のループ数であり、ΔΦは電磁場の磁束の変化であり、Δtは時間の変化である。磁束Φは、磁場の大きさと面積との積である。同様に、磁束の変化ΔΦは、磁場の大きさの変化と螺旋の1つのループの面積との積である。したがって、螺旋のループが増えると、誘導電圧が大きくなる。また、磁束の変化が速くなると、誘導電圧の大きさが高くなる。負の符号は、誘導電圧が磁束の変化を妨げるように生成されることを示している。
【0032】
器具300は、典型的には、身体の内部で又は内部器官の管腔網内でゆっくりかつやや慎重に移動され、更に螺旋内のループのサイズは最小になるため、螺旋内のループ数は、認識可能な誘導電気信号を有するために、遅い移動及びループのサイズを補うように十分に大きくなり得る。したがって、誘導電気信号の感度レベル及び電磁場の大きさレベルが決定されると、コイルセンサ310内のループ数は、以下によって決定され得る。
【数3】
【0033】
センサ310は、EM場生成デバイス145によって生成される様々なEM場を感知し得、センサ310内に3つのコイルを用いる一実施形態では、3つの別個の場が感知される。EM場の強度は、発生源(例えば、EM場生成デバイス145)からの距離の2乗の逆数に比例して減少する。したがって、EM場によって誘導される電圧の大きさは、EM場生成デバイス145からのセンサ310の距離を定義する情報を含む。誘導電気信号に基づいて距離情報を決定することにより、EM場生成デバイス145の位置に対してセンサ310の位置が特定され得る。
【0034】
EM場生成デバイス145が3つのEM場を生成し、これらがx軸、y軸、及びz軸などの3つの異なる指向性パターンをそれぞれに有し得る、ある態様では、センサ310を有する器具300がEM場の座標系内で任意の方向に移動するとき、誘導電気信号は様々なパターンを有し得る。例えば、器具300がx軸方向に移動すると、y軸及びz軸の指向性パターンを有するEM場の強度は、x軸の指向性を有するEM場の強度の感知された変化と比べてより大きい差異を示す。したがって、器具300の位置は、センサ310によって感知された誘導電圧のパターンをチェックすることにより特定され得る。
【0035】
本開示によれば、センサ310は、器具300の上に直接印刷され得る。即ち、器具300の製造時、加工工程のうちの1つは、1つ又は2つ以上の導電性インク又は他の材料を器具300に塗布する。この印刷は、インクジェット印刷、フレキソ印刷、蒸着、エッチング、及び本開示の範囲から逸脱することなく当業者にとって既知である他の方法を含めて、複数のプロセスによって実行され得る。
【0036】
図4は、医療器具など、器具450の表面に印刷されたセンサ410、420を示している。センサ400は、約0.01〜0.05ミリメートル(mm)の厚さを有し得、その結果、センサは、目に見えて寸法を増加させることなく器具に印刷されることができる。一実施形態によれば、コイル410又は420を形成するために、導電性材料415が器具300の上に直接印刷され、第2の非導電性フィルム430が導電性材料を覆う。したがって、コイル410又は420は、非導電性フィルム430によって保護される。
【0037】
上述したように、本開示の一態様では、各コイルは異なる回転の向きを有し得る。第1のコイル410は時計回りの回転の向きを有し得、第2のコイル420は逆時計回りの回転の向きを有し得る。それでもなお、2つのコイルが管の長手方向軸を挟んで互いに向き合うように、センサ400が器具450上に直接印刷されるとき、第1のコイル410及び第2のコイル420は、同じ回転の向きを有し得る。
【0038】
図5は、本開示の実施形態による2層回路センサ500を示している。図示されてはいないが、2層回路センサ500は器具に直接印刷されることが想像される。2層回路センサ500は、第1のコイル510、第2のコイル520、第3のコイル530、及び第4のコイル540を含む。上部層は第1及び第2のコイル510及び520を含み、下部層は第3及び第4のコイル530及び540を含む。2層回路センサ500は、第1及び第2の接点550及び560、並びに第1、第2、第3、及び第4のビア512、514、522、及び524を更に含む。
【0039】
本開示の非限定的な一実施例では、コイル510〜540のいずれかの各ループの導電性材料は、およそ9マイクロメートルの厚さであり得る。導電性材料の厚さは、回路センサ500の仕様に基づいて様々であり得、本開示の範囲から逸脱することなく特定の用途に対して9マイクロメートルよりも大きく又は小さくなることができる。本開示の一実施形態によれば、上部層及び下部層のコイル510〜540の各ループは、互いにおよそ0.2286mm(0.009インチ)だけそれぞれ引き離され得る。各コイルの最も外側のループの長さ及び幅は、それぞれおよそ3.7084mm(0.146インチ)及びおよそ2.159mm(0.085インチ)であり得る。導電性材料の幅は、およそ0.0254mm(0.001インチ)又は約0.025〜0.5mmであり得る。ビアは、およそ0.0508mm(0.002インチ)の直径を有し得る。回路センサ500の厚さは、およそ0.127mm(0.005インチ)又は約0.01〜0.15mmであり得る。回路センサ500の長さ及び幅は、それぞれおよそ4.572(0.180)及びおよそ4.7752mm(0.188インチ)であり得る。同じコイルの最も近いループ間の間隙は、典型的には約0.0127mm(0.0005インチ)であり得る。
【0040】
図5に示すように、第1の接点550は第1のコイル510の一端に接続され、第1のビア512は第1のコイル510の他端に接続される。第1のビア512は、上部層の第1のコイル510を下部層の第4のコイル540の一端に接続する。第4のコイル540の他端は、第4のビア524を介して上部層の第2のコイル520の一端に接続される。第2のコイル520の他端は、第3のビア522を介して下部層の第3のコイル530の一端に接続される。第3のコイル530の他端は、第2のビア514を介して上部層上の接点560に接続される。このように、4つのコイル510、520、530、及び540は全て、第1及び第2の接点550及び560に接続され、電気的に直列に接続された4つのコイルを備える1つのセンサを形成する。4つのコイルは全て互いに接続されており、1つのセンサ内のループ数は4つのコイル510、520、530、及び540の合計であるため、その結果、電磁場の感度が高まる。
【0041】
本開示の更なる態様によれば、第1及び第2のコイル510及び520は異なる回転の向きを有し得、同様に、第3及び第4のコイル530及び540は異なる回転の向きを有し得る。即ち、第1のコイル510が逆時計回りの向きを有する場合、第2のコイル520は時計回りの向きを有する。同様に、第3のコイル530が逆時計回りの向きを有する場合、第4のコイル540は時計回りの向きを有する。別の態様では、第1及び第4のコイル510及び540は同じ回転の向きを有し得、第2及び第3のコイル520及び530は同じ回転の向きを有し得る。
【0042】
図5に示すように、第1及び第2の接点550及び560は、コイルの各ループの幅よりも大きく作製される。一般に、回路センサ500の各コイルは、非導電性材料によって表面を覆われる。ある態様では、第1及び第2の接点550及び560は、非導電性材料によって覆われなくてよく、その結果、上述のナビゲーション及びプロシージャソフトウェアへの取り込み並びにそれとの併用のために誘導電気信号(例えば、電圧及び/又は電流)を追跡デバイス160などの外部装置に伝達する導線に、多層回路センサ500が容易に接続され得る。
【0043】
図6A〜6Cは、器具又はEWC 600に直接印刷された多層回路センサの例示的な実施形態を示している。
図6A及び6Bは、第1及び第2の層状の印刷された回路センサ601、602を示している。各層は、1つ又は2つ以上の印刷されたセンサを含むことができる。
図6Cは、EWC 600の様々な層を示している。
図6Aに示すように、第1の層は第1及び第2のセンサ610、620を含み、第2の層(
図6Bに図示される)は第3のセンサ630を含む。別々に図示されているが、第2の層(
図6Bに図示される)は第1の層(
図6Aに図示される)の上に印刷されることが想像される。便宜を図るためにのみ、各コイルのループは、
図6A及び6Bにおいて簡略化された模式図でほんの数ループだけ示されており、しかしながら、
図6中の各ループは2周以上のループを表し得、ループ数は、
図5のコイル510〜540のループ数を踏まえてより多数であり得る。センサ610、620、630は、EWC 600の遠位部分に印刷される。
図6Cは、EWC 600の近位部分に印刷された様々な導電性層及び非導電性層を示している。導電性層及び非導電性層は、端子又はビア612、614、622、624、632、634を介して第1、第2、及び第3のセンサ610、620、630の端部に連結されており、センサを追跡デバイス160に電気的に連結する。
【0044】
上述したように、センサ610、620、630は層状に印刷される。特に、第1及び第2のセンサ610、620を含む、第1の層は、EWC 600の非導電性層上に直接印刷される。次いで、第2の非導電性層が、第1及び第2のセンサ610、620の上に印刷される。次いで、第3のセンサ630を含む、第2の層が、第2の非導電性層の上に印刷される。このプロセスは、所望の数のセンサがEWC 600上に印刷されるまで続けられ得る。一態様では、最後の層は非導電性層である。更に別の態様では、導電性材料は、銅、銀、金、導電性合金、又は導電性ポリマーであり得、非導電性材料は、カプトン、ETFE、PTFE、非導電性ポリマー、又はポリイミドであり得る。各センサは、様々な構成又は向き、例えば、他のコイルのものとは異なる、長さL及び螺旋の2つの隣接するループの間の距離dを有し得る。
【0045】
図6A及び6Bに示すように、各センサ610、620、630は、各センサ610、620、630の端子に接続されるビア612、614、622、624、632、634を含む。特に、センサ610は第1及び第2のビア612、614を含み、センサ620は第3及び第4のビア622、624を含み、センサ630はビア632、634を含む。実施形態では、各ビアは、
図6Cにより詳細に示すように、EWC 600の近位部分上の異なる導電性層に電気的に連結される。
【0046】
図6Cは、EWC 600、並びに器具上に直接印刷される導電性及び非導電性材料の様々な層の実施形態を示している。
図6Cは、正確な縮尺で描写されているわけではなく、例示のみを目的としている。導電性及び非導電性材料の各層は、9マイクロメートル〜0.05ミリメートル(mm)の範囲の厚さであり得る。
【0047】
EWC 600は、PTFEなど、内側テフロンライナーからなる中空管を備える。テフロンライナーは、EWC 600の中心を器具が容易に滑り下るための潤滑性をもたらす。一実施形態では、第1、第2、及び第3のセンサ610、620、630は、テフロン層上に直接印刷される。テフロン層の上方には、導線の網組層(図示せず)がある。導線の網組は、構造的一体性及びトルク伝達性を提供して、EWC 600の操縦性を高めることを可能にする。最後の層は、耐久性をもたらすために加熱処理によって3つ全ての層を共に固着する熱可塑性層である。
【0048】
上述したように、第1、第2、及び第3のセンサ610、620、630は、EWC 600の遠位部分上でテフロン層上に印刷される。EWC 600の近位部分上では、非導電性層640及び導電性層613、615、623、625、633、635が、テフロン層上に交互に層状に直接印刷される。すなわち、基部非導電性層640がテフロン層の上に印刷され、その後に、導電性層613が基部非導電性層の上に印刷される。次いで、別の非導電性層が導電性層613の上に印刷され、別の導電性層615がこの非導電性層の上に印刷される。その後、このプロセスは、所望の数の非導電性層及び導電性層が実現されるまで繰り返される。実施形態では、最後の層は非導電性層である。次いで、導線の網組及び熱可塑性層が、最後の非導電性層の上に配置される。
図6Cに示す実施形態は、合計で6つの導電性層613、615、623、625、633、635及び7つの非導電性層640を示す。態様では、導電性材料は、銅、銀、金、導電性合金、又は導電性ポリマーであり得、非導電性材料は、カプトン、ETFE、PTFE、非導電性ポリマー、又はポリイミドであり得る。
【0049】
導電性層は、導線として機能し、センサ610、620、630用の復路を形成しており、センサを追跡デバイス160に接続している。例えば、一実施形態では、導電性層613はビア612に連結され、導電性層615はビア614に接続され、導電性層623はビア622に接続され、導電性層625はビア624に接続され、導電性層633はビア632に接続され、導電性層635はビア634に接続される。
【0050】
センサ610、620、630は非常に薄いため、センサ610、620、630は高い抵抗値を有するが、復路では低い抵抗値であることが望ましい。一実施形態では、復路での抵抗値を低減するために、各導電性層613、615、623、625、633、635は、EWC600の周囲360度にわたって、EWC600の長さに沿って近位端に戻るまで印刷される。
【0051】
センサ610、620、630及び導電性層613、615、623、625、633、635の測定抵抗率は、導電性材料の長さ、幅、及び厚さ、並びに使用される導電性材料の抵抗特性を含む複数の要素からなる関数である。一実験では、抵抗値1.68×10
−5Ωmmを有し、EWC 600の遠位端の周囲に印刷された、巻数200の導電性材料からなる、長さ1256mm、幅0.47mm、及び厚さ0.01mmを有するセンサは、総抵抗値179.58Ωを測定した。同様に、巻数300からなる、長さ1884mm、及び厚さ0.015mmを有するセンサは、総抵抗値269.37Ωを測定した。実験では、EWC 600の長さに沿って印刷された同じ導電性材料からなる、長さ1020mm及び周長6.28mmを有する復路は、抵抗値10.92Ωを測定した。低い抵抗率の導電性復路は、センサ610、620、630から追跡デバイス160に戻る信号においてノイズの量を低減するのに役立つ。
【0052】
上述したように、センサを器具に適用するための1つの方法は、器具上に直接印刷することによるものである。
図7は、導電性材料及び非導電性材料を器具の所望の位置に直接印刷する印刷装置700を示している。印刷装置700は、貯蔵器710、印刷ノズル720、及び作動アーム730を含む。貯蔵器710は、導電性材料を収容する、第1のタンク740、及び非導電性材料を収容する、第2のタンク750を含む。印刷装置700は、作動アーム730の遠位端に係止することができる、任意の器具760上に回路を印刷することができる。ある態様では、印刷装置は、センサをポリマーの上に印刷し得る。
【0053】
図7に図示していない、印刷装置700の制御装置が、
図7に図示していない、作動モータを制御して、作動アーム730を移動させる。作動モータは、作動アーム730の近位端に固定して接続される。作動モータは、作動アーム730を順方向及び逆方向にインデクシング(index)し、回転させることができる。ある態様では、作動モータは、印刷しながら貯蔵器710を移動させ得る。別の態様では、作動モータは、貯蔵器710及び作動アーム730を同時に移動させ得る。例えば、作動モータは、作動アーム730を回転させながら貯蔵器710を順方向に又は逆方向にインデクシングし得る。また、貯蔵器710に流体的に接続されている、印刷ノズル720が器具760の周りを移動する間、貯蔵器710及び器具760は静止状態に維持され得る。更に、これらの技術の組み合わせが、本開示の範囲から逸脱することなく当業者によって用いられ得る。
【0054】
一実施形態では、器具760の近位端が作動アーム730の遠位端に係止されると、印刷ノズル720は、作動アーム730が作動モータによって順方向に移動され、回転されている間に、第1のタンク740内に収容されている導電性材料の印刷を開始することができる。インデクシング(indexing)及び回転の速度は、螺旋型センサ770を器具760上に印刷するように制御される。インデクシングの速度が回転の速度よりも速い場合、螺旋型センサ770は、大きいピッチ角を有するか、又は螺旋内に疎なループを有することになる。他方では、インデクシングの速度(インデクシング速度)が回転の速度(角速度)よりも遅い場合、螺旋型センサ770は、小さいピッチ角を有するか、又は螺旋内に密なループを有することになる。ピッチ角と速度の関係は以下のように表される。
【数4】
式中、αはピッチ角であり、ν
iはインデクシング速度であり、ν
θはラジアン単位の回転の角速度であり、Dは器具760の断面直径である。したがって、制御装置は、印刷された回路770がその目的に適したピッチ角を有することができるように、インデクシング速度ν
i及び角速度ν
θを制御し得る。
【0055】
ある態様では、印刷は、器具760の遠位端又は器具760の近位端から開始され得る。印刷が器具760の遠位端から開始される場合には、作動アーム730は、印刷ノズル720が導電性材料を器具760の近位端に向かって印刷することができるように、器具760を順方向にインデクシングする。印刷がトル(toll)760の近位端から開始される別な場合には、作動アーム730は、印刷ノズル720が導電性材料を器具760の遠位端に向かって印刷することができるように、器具760を逆方向にインデクシングする。別の態様では、作動アーム730は、螺旋型センサ770が逆時計回り又は時計回りの螺旋を有することができるように、回転の方向を変更し得る。
【0056】
印刷ノズル720は、外部装置への接点用に螺旋型センサ770の両端部がより大きい面積を有するように、印刷の開始部分又は終了部分により多くの導電性材料を印刷し得る。別の態様では、螺旋型センサ770のある層が印刷された後、作動アーム730は、反対のインデクシング及び回転運動を実行し得、これは、螺旋型センサ770が印刷される際に順方向のインデクシングが実行された場合は逆方向のインデクシングが実行されること、及び螺旋型センサ770が印刷される際に時計回りの回転が実行された場合は逆時計回りの回転が実行されることを意味する。同時に、印刷ノズル720は、印刷された導電性材料の上に非導電性材料を印刷し得る。このように、印刷された導電性材料は、非導電性材料によって全体的に覆われ得る。印刷ノズル720は、印刷された導電性材料の面積よりも大きい面積の上に非導電性材料を印刷するように制御され得る。これは、印刷された導電性材料が非導電性材料によって完全に覆われることをより確実にし得る。
【0057】
非導電性材料の印刷が完了した後、印刷ノズル720は、再び器具760の上に導電性材料を印刷し得る。ある態様では、新しい螺旋型センサが元の螺旋型センサの構成とは異なる構成を有するように、元のインデクシング速度ν
i及び角速度ν
θとは異なる新しいインデクシング速度ν
i’及び新しい角速度ν
θ’が選択され得る。これらの工程を繰り返すことにより、器具760は、複数の螺旋型センサを有し得る。
【0058】
更に別の態様では、作動アーム730は、センサが様々な構成を有することができるように、順方向及び逆方向へのインデクシング運動並びに回転運動を制御し得る。例えば、センサは、一連の不完全な円を有し得る。このパターンは、順方向へのインデクシングなしで作動アームを回転させることによって及び完全な円ができる前に回転なしで作動アームを順方向にインデクシングすることによって取得することができる。本開示の範囲は、当業者によって容易に理解され得る類似の又は異なる構成にまで及び得る。
【0059】
図8は、印刷装置を使用して表面にセンサを印刷する方法800を示している。センサは1層又は複数層であり得る。方法800は、工程810でカウンターNをゼロに設定することから始まる。工程820では、印刷装置は、外部装置への接点用の導電性材料を印刷する。接点の面積は、センサの印刷された導電性材料の面積よりも大きくなり得る。工程830では、印刷装置は、管上に導電性材料を印刷する。印刷中、工程840では、管を保持する、印刷装置のインデクシングアームが、管を順方向又は逆方向にインデクシングし、回転させる。このときに、インデクシングアームのインデクシング速度及び角速度は、
図7で上述したように、センサの特定のパターンを作製するように制御され得る。
【0060】
工程850では、印刷装置は、別の接点用の導電性材料を印刷する。工程810及び850で印刷された接点は、
図1の追跡デバイス160などの外部装置に至りそれと接続する導線に接続するために使用される。追跡デバイスは、上述したように、感知された結果を処理して、電磁場内でのセンサの位置を特定することができる。
【0061】
工程860では、印刷装置は、非導電性材料を印刷して、印刷された導電性材料の上に非導電性フィルムを形成する。非導電性材料の印刷中、工程870では、印刷装置の作動アームが、導電性材料を印刷した方向とは逆の方向で、順方向又は逆方向にインデクシングし回転する。このように、印刷された導電性材料は、他の環境から絶縁される又は保護される。この工程により、センサの印刷は完結する。
【0062】
工程880では、カウンターNの値が1増加される。工程890では、カウンターNが所定の層数と比較される。カウンターNが所定の層数未満の場合、方法800は工程820〜890を繰り返す。カウンターNが所定の層数以上の場合、方法は終了する。
【0063】
ある態様では、所定の層数が1より大きい場合、各層に印刷されるセンサは、
図7に示すような螺旋パターン及びピッチ角など、異なる構成を有し得る。代替的に、複数層のセンサは、各層のセンサが別のセンサの2つの接点とは別個に2つの接点を有するのではなくて、複数層のセンサが2つの接点のみを有するように全て接続され得る。
【0064】
例示及び説明のための添付の図面を参照して実施形態が詳細に説明されてきたが、本発明のプロセス及び装置が限定されるものと解釈すべきではないことを理解されたい。本開示の範囲から逸脱することなく上述の実施形態に対する様々な修正を行えることは当業者には明白であろう。