【実施例】
【0044】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されない。なお、部は、質量部を意味する。
【0045】
[シリカ粒子]
シリカ粒子として、親水性ヒュームドシリカAEROSIL 50、AEROSIL 90、AEROSIL 130(以上、日本アエロジル製)を用いた。
【0046】
ここで、AEROSIL 50は、平均一次粒径が30nm、BET比表面積が50m
2/gである。AEROSIL 90は、平均一次粒径が20nm、BET比表面積が90m
2/gである。AEROSIL 130は、平均一次粒径が16nm、BET比表面積が130m
2/gである。
【0047】
[アルミナ粒子]
アルミナ粒子として、親水性ヒュームドアルミナAEROXIDE Alu C(日本アエロジル製)を用いた。
【0048】
ここで、AEROXIDE Alu Cは、平均一次粒径が13nm、BET比表面積が100m
2/gである。
【0049】
[酸水溶液の作製]
85質量%リン酸(日本化学工業製)43.5質量部及び水56.5質量部の混合物に青色顔料0.5質量部を加え、酸水溶液を作製した。
【0050】
なお、青色顔料は、後述する前処理剤の液分離を観察しやすくすることを目的に配合されている。
【0051】
[実施例1]
以下、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、混練した。
【0052】
まず、容器に61.0gの酸水溶液を入れた後、5.0gのAEROXIDE Alu C、7.0gのAEROSIL 50を加え、2000rpmで1分間混練した。次に、7.0gのAEROSIL 50をさらに加え、2000rpmで1分間混練した。次に、容器内に飛散したAEROSIL 50が残らないように留意しながら、2000rpmで1分間混練する操作を3回繰り返した(硬練り)。
【0053】
次に、7.0gの酸水溶液を加え、2000rpmで1分間混練した後、13.0gの酸水溶液をさらに加え、2000rpmで1分間混練し、前処理剤を得た。
【0054】
[実施例2]
以下、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、混練した。
【0055】
まず、容器に62.4gの酸水溶液を入れた後、5.5gのAEROXIDE Alu C、6.1gのAEROSIL 90を加え、2000rpmで1分間混練した。次に、6.0gのAEROSIL 90をさらに加え、2000rpmで1分間混練した。次に、容器内に飛散したAEROSIL 90が残らないように留意しながら、2000rpmで1分間混練する操作を3回繰り返した(硬練り)。
【0056】
次に、7.0gの酸水溶液を加え、2000rpmで1分間混練した後、13.0gの酸水溶液をさらに加え、2000rpmで1分間混練し、前処理剤を得た。
【0057】
[実施例3]
以下、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、混練した。
【0058】
まず、容器に61.3gの酸水溶液を入れた後、5.0gのAEROXIDE Alu C、6.9gのAEROSIL 130を加え、2000rpmで1分間混練した。次に、6.8gのAEROSIL 130をさらに加え、2000rpmで1分間混練した。次に、容器内に飛散したAEROSIL 130が残らないように留意しながら、2000rpmで1分間混練する操作を3回繰り返した(硬練り)。
【0059】
次に、7.0gの酸水溶液を加え、2000rpmで1分間混練した後、13.0gの酸水溶液をさらに加え、2000rpmで1分間混練し、前処理剤を得た。
【0060】
[実施例4]
以下、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、混練した。
【0061】
まず、容器に85.7gの酸水溶液を入れた後、3.8gのAEROXIDE Alu C、5.3gのAEROSIL 50を加え、2000rpmで1分間混練した。次に、5.2gのAEROSIL 50をさらに加え、2000rpmで1分間混練した。次に、2000rpmで1分間混練し、前処理剤を得た。
【0062】
[比較例1]
以下、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、混練した。
【0063】
まず、容器に88.2gの酸水溶液を入れた後、5.9gのAEROSIL 50を加え、2000rpmで1分間混練した。次に、5.9gのAEROSIL 50をさらに加え2000rpmで1分間混練した。次に、2000rpmで1分間混練し、前処理剤を得た。
【0064】
[比較例2]
以下、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、混練した。
【0065】
まず、容器に60.8gの酸水溶液を入れた後、9.5gのAEROSIL 50を加え、2000rpmで1分間混練した。次に、9.4gのAEROSIL 50をさらに加え、2000rpmで1分間混練した。次に、容器内に飛散したAEROSIL 50が残らないように留意しながら、2000rpmで1分間混練する操作を3回繰り返した(硬練り)。
【0066】
次に、6.8gの酸水溶液を加え、2000rpmで1分間混練した後、13.5gの酸水溶液をさらに加え、2000rpmで1分間混練し、前処理剤を得た。
【0067】
[比較例3]
以下、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、混練した。
【0068】
まず、容器に90.9gの酸水溶液を入れた後、4.6gのAEROSIL 90を加え、2000rpmで1分間混練した。次に、4.5gのAEROSIL 90をさらに加え、2000rpmで1分間混練した。次に、2000rpmで1分間混練し、前処理剤を得た。
【0069】
[比較例4]
以下、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、混練した。
【0070】
まず、容器に64.9gの酸水溶液を入れた後、6.8gのAEROSIL 90を加え、2000rpmで1分間混練した。次に、6.7gのAEROSIL 90をさらに加え、2000rpmで1分間混練した。次に、容器内に飛散したAEROSIL 90が残らないように留意しながら、2000rpmで1分間混練する操作を3回繰り返した(硬練り)。
【0071】
次に、7.2gの酸水溶液を加え、2000rpmで1分間混練した後、14.4gの酸水溶液をさらに加え、2000rpmで1分間混練し、前処理剤を得た。
【0072】
[比較例5]
以下、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、混練した。
【0073】
まず、容器に90.0gの酸水溶液を入れた後、5.0gのAEROSIL 130を加え、2000rpmで1分間混練した。次に、5.0gのAEROSIL 130をさらに加え、2000rpmで1分間混練した。次に、2000rpmで1分間混練し、前処理剤を得た。
【0074】
[比較例6]
以下、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、混練した。
【0075】
まず、容器に64.3gの酸水溶液を入れた後、7.2gのAEROSIL 130を加え、2000rpmで1分間混練した。次に、7.1gのAEROSIL 130をさらに加え、2000rpmで1分間混練した。次に、容器内に飛散したAEROSIL 130が残らないように留意しながら、2000rpmで1分間混練する操作を3回繰り返した(硬練り)。
【0076】
次に、7.1gの酸水溶液を加え、2000rpmで1分間混練した後、14.3gの酸水溶液をさらに加え、2000rpmで1分間混練し、前処理剤を得た。
【0077】
[比較例7]
以下、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、混練した。
【0078】
まず、容器に81.8gの酸水溶液を入れた後、18.2gのAEROXIDE Alu Cを加え、2000rpmで1分間混練した。次に、2000rpmで1分間混練し、前処理剤を得た。
【0079】
表1に、前処理剤の配合を示す。
【0080】
【表1】
次に、前処理剤の水希釈液に含まれる凝集二次粒子の粒度分布を測定した。
【0081】
[前処理剤の水希釈液に含まれる凝集二次粒子の粒度分布]
前処理剤の0.5gと蒸留水の10gを混合した後、内径3.1cm、高さ5.5cmの容量30mLの円柱形状のPP製のマルエム容器No.6(マルエム製)に入れた。こ次に、自転公転式ミキサーのあわとり練太郎ARE−310(THINKY製)を用いて、700rpmで3分間回転撹拌した。次に、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950−V2(HORIBA製)を用いて、前処理剤の水希釈液に含まれる凝集二次粒子の粒度分布を23℃で測定した。このとき、溶媒としては、蒸留水を使用した。
【0082】
表2に、前処理剤の水希釈液に含まれる凝集二次粒子の粒度分布の測定結果を示す。
【0083】
【表2】
次に、前処理剤の吐出性、シリンジに装着した吐出用チップの目詰まり、液分離を評価した。
【0084】
[吐出性]
内径11mm、容量3.6mlのシリンジに前処理剤を充填した後、シリンジの吐出部に蓋をした状態で、23℃の環境下、24時間以上静置し、恒温化した。次に、シリンジの吐出部に吐出用チップ(ISO 9626に準拠したゲージサイズ25G)を装着した。次に、万能試験機AG−IS(SHIMADZU製)を用いて、プランジャー部をクロスヘッドスピード10mm/minで押し出し、押し出し抵抗の最大値を記録し、前処理剤の吐出性を評価した。
【0085】
[シリンジに装着した吐出用チップの目詰まり]
内径11mm、容量3.6mlのシリンジに前処理剤を充填した後、シリンジの吐出部に蓋をした状態で、23℃の環境下、24時間以上静置し、恒温化した。次に、シリンジの吐出部に吐出用チップ(ISO 9626に準拠したゲージサイズ30G)を装着した。次に、プランジャー部を押し出し、目詰まりの有無を確認した。
【0086】
[液分離]
内径11mm、容量3.6mlのシリンジに前処理剤を充填した後、シリンジの吐出部に蓋をした状態で、23℃の環境下、24時間以上静置し、恒温化した。次に、卓上遠心機H−28F(コクサン製)を用いて、600g、90secの条件で、遠心分離した。次に、シリンジから前処理剤を吐出させて、前処理剤の液分離の有無を観察した。
【0087】
表3に、前処理剤の吐出性、操作性、液分離の評価結果を示す。
【0088】
【表3】
表3から、実施例1〜4の前処理剤は、シリンジに装着した吐出用チップの目詰まり及び液分離の発生を抑制できることがわかる。
【0089】
これに対して、比較例1、2、4の前処理剤は、アルミナ粒子を含まないため、液分離が発生する。
【0090】
比較例3の前処理剤は、アルミナ粒子を含まず、水希釈液に含まれる凝集二次粒子の体積平均粒径が29.7μmであるため、シリンジに装着した吐出用チップの目詰まり及び液分離が発生する。
【0091】
比較例5、6の前処理剤は、アルミナ粒子を含まず、水希釈液に含まれる凝集二次粒子中の粒径が50μm以上である凝集二次粒子の含有量が28.2体積%、22.5体積%であるため、シリンジに装着した吐出用チップの目詰まり及び液分離が発生する。
【0092】
比較例7の前処理剤は、シリカ粒子を含まないため、液分離が発生する。なお、比較例7の前処理剤は、粘度が低いため、吐出性を評価することができなかった。