【実施例】
【0034】
本発明は、以下の実施例を参照することにより、より十分に理解されるであろう。しかしながら、それらは、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
化学的純度およびアッセイ試験に関するHPLC法
ここで、HPLC条件を表1−1に開示する。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例1
化合物(I)の形態Aの調製
100mgの非晶質化合物(I)を秤量し、溶媒混合物(MeOH:H
2O(1:5))中に移した。その後、沈殿物を濾過により収集し、収集した固体を水で十分に洗浄し、減圧乾燥して、白色固体を形態Aとして得た。
【0037】
XRPDを用いて形態Aを分析した。XRPDパターンを
図1に示す。XRPDパターンの主要ピークおよびそれらの相対強度を表1に示す。
実験条件:
XRPD:結晶形を分析するために、試料をゴニオメーターの試料ホルダーに取り付け、周囲条件で測定した。ステップサイズ0.05°で4〜40°の2シータ、ならびに40KVおよび40mAにおいてBruker D8 Advance X線粉末回折計で1秒/ステップの走査速度で、データを収集した。波長1.54ÅのCu放射線をデータ収集に用いた。
【0038】
DSC分析:TA示差走査熱量計Q2000を用いてDSC曲線を記録した。試料は、10℃/分の速度で25℃〜350℃に加熱した。
TGA分析:熱重量分析はTA Q5000で操作した。試料は、10℃/分の速度で120℃〜400℃に加熱した。
【0039】
【表2】
【0040】
図2および
図3に示すDSCおよびTGAの結果は、化合物(I)の形態Aが225.3℃の開始溶融温度を有することを示している。
実施例2
化合物(I)の水和物形態、形態Bの調製
実施例1で調製した形態Aを用いて室温において60時間で水中のスラリーを形成することにより形態Bを形成した後、固体を濾過により収集し、減圧乾燥した。形態Bを、
図4に示すXRPDにより特性決定した。XRPDパターンの主要ピークおよびそれらの相対強度を表2に示す。
【0041】
実験条件:
XRPD:結晶形を分析するために、試料をゴニオメーターの試料ホルダーに取り付け、周囲条件で測定した。ステップサイズ0.05°で4〜40°の2シータ、ならびに40KVおよび40mAにおいてBruker D8 Advance X線粉末回折計で1秒/ステップの走査速度で、データを収集した。波長1.54ÅのCu放射線をデータ収集に用いた。
【0042】
DSC分析:TA示差走査熱量計Q2000を用いてDSC曲線を記録した。試料は、10℃/分の速度で25℃〜300℃に加熱した。
TGA分析:熱重量分析はTA Q5000で操作した。試料は、10℃/分の速度で25℃〜350℃に加熱した。
【0043】
【表3】
【0044】
図5および
図6に示すDSCおよびTGAの結果は、化合物(I)の形態Bが57.2℃の脱水温度および256.3℃の開始溶融温度を有することを示している。
実施例3
化合物(I)の形態Cの調製
実施例1で調製した化合物(I)の形態Aを230℃に加熱し、減圧下、230℃で5分間保持した。固体を形態Cとして得、XRPD、DSCおよびTGAにより特性決定した。
【0045】
化合物(I)の形態CのXRPDパターンを
図7に示す。XRPDパターンの主要ピークおよびそれらの相対強度を、以下の表3に示す。
実験条件:
XRPD:結晶形を分析するために、試料をゴニオメーターの試料ホルダーに取り付け、周囲条件で測定した。ステップサイズ0.05°で4〜40°の2シータ、ならびに40KVおよび40mAにおいてBruker D8 Advance X線粉末回折計で1秒/ステップの走査速度で、データを収集した。波長1.54ÅのCu放射線をデータ収集に用いた。
【0046】
DSC分析:TA示差走査熱量計Q2000を用いてDSC曲線を記録した。試料は、10℃/分の速度で25℃〜300℃に加熱した。
TGA分析:熱重量分析はTA Q5000で操作した。試料は、10℃/分の速度で25℃〜400℃に加熱した。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
図8および
図9に示すDSCおよびTGAの結果は、化合物(I)の形態Cが256.6℃の開始溶融温度を有することを示している。
図10は、化合物(I)の形態CのX線構造を示している。単結晶X線強度データを、Bruker APEX−II CCD回折計(Cu−Kα放射線、λ=1.54178Å)を用いて293Kで収集した。結晶データおよび構造精密化を表4に示す。
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
実施例4
化合物(I)の形態Dの調製
実施例2で調製した化合物(I)の形態Bを60℃に加熱し、60℃で2時間保持した。固体を形態Dとして得、XRPD、DSCおよびTGAにより特性決定した。
【0053】
化合物(I)の形態DのXRPDパターンを
図11に示す。XRPDパターンの主要ピークおよびそれらの相対強度を、表5に示す。
実験条件:
XRPD:結晶形を分析するために、試料をゴニオメーターの試料ホルダーに取り付け、周囲条件で測定した。ステップサイズ0.05°で4〜40°の2シータ、ならびに40KVおよび40mAにおいてBruker D8 Advance X線粉末回折計で1秒/ステップの走査速度で、データを収集した。波長1.54ÅのCu放射線をデータ収集に用いた。
【0054】
DSC分析:TA示差走査熱量計Q2000を用いてDSC曲線を記録した。試料は、10℃/分の速度で25℃〜300℃に加熱した。
TGA分析:熱重量分析はTA Q5000で操作した。試料は、10℃/分の速度で25℃〜350℃に加熱した。
【0055】
【表8】
【0056】
図12および
図13に示すDSCおよびTGAの結果は、化合物(I)の形態Dが53.2℃の脱水温度および255.6℃の開始溶融温度を有することを示している。
実施例5
化合物(I)の一酢酸塩形態Eの調製
実施例3で調製した44mgの化合物(I)の形態Cを、440μLの酢酸エチルに溶解した。等モルの酢酸を先の反応混合物に加えた。該混合物を室温で一晩撹拌して、沈殿を生じさせた。XRPD分析のために固体を形態Eとして単離した。
【0057】
化合物(I)の一酢酸塩形態EのXRPDパターンを
図14に示す。XRPDパターンの主要ピークおよびそれらの相対強度を、表6に示す。
実験条件:
XRPD:結晶形を分析するために、試料をゴニオメーターの試料ホルダーに取り付け、周囲条件で測定した。ステップサイズ0.05°で4〜40°の2シータ、ならびに40KVおよび40mAにおいてBruker D8 Advance X線粉末回折計で1秒/ステップの走査速度で、データを収集した。波長1.54ÅのCu放射線をデータ収集に用いた。
【0058】
【表9】
【0059】
実施例6
化合物(I)の一マレイン酸塩形態Fの調製
実施例3で調製した44mgの化合物(I)の形態Cを、440μLのエタノールに溶解した。等モルのマレイン酸を先の反応混合物に加えた。該混合物を室温で一晩撹拌して、沈殿を生じさせた。XRPD分析のために固体を形態Fとして単離した。
【0060】
化合物(I)の一マレイン酸塩形態FのXRPDパターンを
図15に示す。XRPDパターンの主要ピークおよびそれらの相対強度を、表7に示す。
実験条件:
XRPD:結晶形を分析するために、試料をゴニオメーターの試料ホルダーに取り付け、周囲条件で測定した。ステップサイズ0.05°で4〜40°の2シータ、ならびに40KVおよび40mAにおいてBruker D8 Advance X線粉末回折計で1秒/ステップの走査速度で、データを収集した。波長1.54ÅのCu放射線をデータ収集に用いた。
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
【0063】
実施例7
結晶形態の吸湿性
動的蒸気収着(DVS)を、SMS(Surface Measurement Systems Co.Ltd.)からのDVS intrinsicを用いて試験した。各結晶形態の化合物(I)20mgをアルミニウム試料皿に入れ、さまざまな湿度で試料の重量変化を記録した。DVS法のパラメーターを表16に準じて設定し、そのようなパラメーターに基づく機械によって該方法を実施した。
【0064】
さまざまな結晶形態の吸湿性の結果を表17に示す。吸湿性の結果によると、化合物(I)の形態A、C、EおよびFは、形態Dよりはるかに改善された吸湿性を示した。
【0065】
【表12】
【0066】
【表13】
【0067】
実施例8
結晶形態の化学的安定性
結晶形態C、EおよびFの化合物(I)40mgを、温度および湿度をそれぞれ50℃および40℃/75%RHに制御した安定性チャンバーで保管し、形態Bの化合物(I)40mgを105℃のオーブンに保管した。各時間点の後、試料をHPLCにより分析してそれらの化学的純度を確認し、最初の値と比較した。表18に示す結果によると、化合物(I)のすべての結晶形態は良好な化学的安定性特性を示した。
【0068】
【表14】
【0069】
実施例9
平衡水溶解度
SGF、FaSSIFおよびFeSSIFを包含するさまざまな生物関連媒体に10mgの化合物を懸濁させることにより、水溶解度を決定した。懸濁液を25℃で24時間平衡化した後、最終pHを測定した。その後、懸濁液を0.22μmのPVDFフィルターに通して2mLのHPLCバイアル中に濾過した。標準溶液を参照してHPLC(実施例10に記載)により定量を行った。選択した本発明の新規結晶形態の溶解度の結果を表19に示す。これは、0.1mg/mLを超える良好な水溶解度を示している。
【0070】
【表15】
発明の態様
[態様1]化合物(I)、
【化2】
またはその塩、溶媒和物、またはそれらの組み合わせの結晶形。
[態様2]形態が、形態A、形態B、形態C、形態D、形態Eまたは形態F;またはそれらの組み合わせである、態様1に記載の結晶形。
[態様3]結晶形が、9.79°±0.10°、10.64°±0.10°、16.79°±0.10°、17.51°±0.10°、20.12°±0.10°、21.62°±0.10°および25.79°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Aである、態様1または2に記載の結晶形。
[態様4]結晶形が、6.46°±0.10°、8.37°±0.10°、9.79°±0.10°、10.64°±0.10°、12.91°±0.10°、16.79°±0.10°、17.51°±0.10°、18.15°±0.10°、19.65°±0.10°、20.12°±0.10°、21.62°±0.10°、23.34°±0.10°および25.79°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Aである、態様3に記載の結晶形。
[態様5]結晶形が、
図1に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Aである、態様3または4に記載の結晶形。
[態様6]結晶形が、10.21°±0.10°、11.93°±0.10°、13.22°±0.10°、14.35°±0.10°、18.56°±0.10°、20.79°±0.10°、23.24°±0.10°および25.15°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Bである、態様1または2に記載の結晶形。
[態様7]結晶形が、10.21°±0.10°、11.93°±0.10°、13.22°±0.10°、14.35°±0.10°、15.02°±0.10°、16.31°±0.10°、17.66°±0.10°、18.56°±0.10°、20.06°±0.10°、20.79°±0.10°、21.42°±0.10°、23.24°±0.10°、25.15°±0.10°、26.21°±0.10°、26.74°±0.10°および29.44°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Bである、態様6に記載の結晶形。
[態様8]結晶形が、
図4に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Bである、態様6または7に記載の結晶形。
[態様9]結晶形Bが化合物(I)の水和物である、態様6〜8のいずれかに記載の結晶形。
[態様10]結晶形が、8.41°±0.10°、19.21°±0.10°、20.49°±0.10°、20.83°±0.10°、21.69°±0.10°、21.99°±0.10°および22.13°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Cである、態様1または2に記載の結晶形。
[態様11]結晶形が、8.41°±0.10°、13.71°±0.10°、14.95°±0.10°、17.01°±0.10°、19.21°±0.10°、20.49°±0.10°、20.83°±0.10°、21.46°±0.10°、21.69°±0.10°、21.99°±0.10°、22.13°±0.10°、24.95°±0.10°、25.85°±0.10°、26.63°±0.10°および27.34°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Cである、態様10に記載の結晶形。
[態様12]結晶形が、
図7に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Cである、態様10または11に記載の結晶形。
[態様13]結晶形が、7.79°±0.10°、10.18°±0.10°、11.15°±0.10°、12.40°±0.10°、18.68°±0.10°、20.43°±0.10°および24.83°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Dである、態様1または2に記載の結晶形。
[態様14]結晶形が、7.79°±0.10°、10.18°±0.10°、11.15°±0.10°、12.40°±0.10°、12.90°±0.10°、18.68°±0.10°、19.73°±0.10°、20.16°±0.10°、20.43°±0.10°、21.16°±0.10°、23.14°±0.10°、23.93°±0.10°、24.83°±0.10°、25.71°±0.10°および27.11°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Dである、態様13に記載の結晶形。
[態様15]結晶形が、
図11に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Dである、態様13または14に記載の結晶形。
[態様16]結晶形が、5.96°±0.10°、8.32°±0.10°、9.34°±0.10°、11.82°±0.10°、15.09°±0.10°、19.44°±0.10°および25.60°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Eである、態様1または2に記載の結晶形。
[態様17]結晶形が、5.96°±0.10°、8.32°±0.10°、9.34°±0.10°、11.82°±0.10°、13.22°±0.10°、15.09°±0.10°、16.90°±0.10°、17.46°±0.10°、19.44°±0.10°、21.08°±0.10°、22.59°±0.10°、23.12°±0.10°、25.25°±0.10°、25.60°±0.10°および28.34°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Eである、態様16に記載の結晶形。
[態様18]結晶形が、
図14に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Eである、態様16または17に記載の結晶形。
[態様19]結晶形Eが化合物(I)の一酢酸塩である、態様16〜18のいずれかに記載の結晶形。
[態様20]結晶形が、10.27°±0.10°、12.38°±0.10°、18.59°±0.10°、19.91°±0.10°、20.14°±0.10°、23.93°±0.10°および24.78°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Fである、態様1または2に記載の結晶形。
[態様21]結晶形が、8.32°±0.10°、10.27°±0.10°、12.38°±0.10°、13.05°±0.10°、16.58°±0.10°、18.01°±0.10°、18.59°±0.10°、19.70°±0.10°、19.91°±0.10°、20.14°±0.10°、22.01°±0.10°、23.56°±0.10°、23.93°±0.10°、24.78°±0.10°および26.39°±0.10°に2シータ度を表す特性ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Fである、態様20に記載の結晶形。
[態様22]結晶形が、
図15に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを示す形態Fである、態様20または21に記載の結晶形。
[態様23]結晶形Fが化合物(I)の一マレイン酸塩である、態様20〜22のいずれかに記載の結晶形。
[態様24]態様1〜23のいずれかに記載の非晶質または結晶形と、医薬的に許容しうるキャリヤー、賦形剤、希釈剤、アジュバント、ビヒクルまたはそれらの組み合わせとを含む、医薬組成物。
[態様25]患者においてウイルス性疾患を処置または予防するための医薬品の製造のための、態様1〜23のいずれかに記載の非晶質もしくは結晶形または態様24に記載の医薬組成物の使用。
[態様26]ウイルス性疾患が、呼吸器合胞体ウイルス感染症、または呼吸器合胞体ウイルス感染症に起因する疾患である、態様25に記載の使用。
[態様27]呼吸器合胞体ウイルス感染症または呼吸器合胞体ウイルス感染症に起因する疾患の処置または予防方法であって、該方法が、治療的に有効な量の態様1〜23のいずれかに定義した結晶形または態様24の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[態様28]上記のような発明。