(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記減衰算出部は、異なる時間に検出される音から複数の単位減衰度を算出し、複数の前記単位減衰度の平均値、中央値または最頻値を減衰度とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の肺機能測定装置。
【背景技術】
【0002】
心臓の働きが不十分で拍出量の低下が起こると、心臓拍出量を維持する生体の仕組みが働き、拍出量の低下が抑えられる。しかしながら、体のさまざまな部分に負担がかかるため、結果として症状が出現する。心不全とは、病名ではなく、このような「心臓の働きが不十分な結果として生じた体の状態」を示す。
【0003】
心不全になると、心臓のポンプ機能が低下して十分に血液を送り出せなくなる。このため、心臓から送り出せなくなった血液が、循環系において心臓の直前の臓器に溜まり、症状が現れる。右心不全の場合には、体循環系に症状が現れ、左心不全の場合には、肺循環系に症状が現れる。左心不全の場合、肺から左心へ流れる血液が肺に滞るため、肺の中の血液の液成分が肺組織中に浸み出し、肺がうっ血した状態となる。
【0004】
心不全の兆候を自覚することは、困難である。このため、心筋梗塞などの急性増悪が起こることで、初めて気付くことが多い。したがって、心不全を監視しやすく、心不全を早期に発見できる方法が望まれる。
【0005】
このため、肺の状態を計測する様々な装置が提案されている。例えば特許文献1には、心機能を評価するために、音を肺に向かって出力し、反射された音を受信して、肺の状態を計測する装置が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
【0015】
本発明の実施形態に係る肺機能測定装置10は、肋骨を伝達する音の減衰度を長期的に収集して、例えば1日毎に左心不全の有無を判定できる装置である。肺機能測定装置10は、測定対象者自身によって日常的に使用され、心臓の状態の変化を長期的に監視することができる。また、医師の指示により2〜3日程度の期間心不全の有無を判定することで、来院時に短時間で観察するよりも精度の高い診断ができる、という短期的な監視用途にも用いることができる。本明細書において、体の“前側”は顔が向いている側を意味し、体の“後ろ側”は背部が向いている側を意味する。なお、本実施形態に係る肺機能測定装置10は、心機能を評価することを目的として肺機能を測定するものであるが、心機能を評価することを目的とせずに、肺の状態(うっ血の程度等)を測定するものであってもよい。
【0016】
肺機能測定装置10は、
図1〜3に示すように、音を出力する音出力部20と、音を検出する音検出部30と、制御部50と、入力部70と、表示部60と、角度検出部110とを有している。肺機能測定装置10は、さらに、音出力部20、音検出部30および角度検出部110を体表に固定するための固定部材80と、記憶部40、制御部50、入力部70および表示部60を収容する装置本体90と、音出力部20、音検出部30および角度検出部110を装置本体90に接続するケーブル100とを備えている。制御部50および記憶部40は、プログラムを実行するためのコンピュータを構成する。したがって、肺機能測定装置10の動作は、プログラムにより実行することができる。
【0017】
音出力部20は、音を出力する振動子および増幅器を備えたスピーカである。音出力部20から出力される音は、肋骨Rにおける音の減衰度V(減衰の程度)を算出するために用いられる。音出力部20は、肺の前側または後ろ側(本実施形態では後ろ側)に、固定部材80により固定される。固定部材80は、例えば粘着テープである。音出力部20は、減衰を計測するために選択した肋骨Rと近接する体表に固定される。音出力部20は、左右の肺Lに対応して2つ設けられる。音出力部20は、制御部50からの指示で、予め設定された、または入力部70から入力されたサンプリング周期(または特定の時間)で、計測時間(例えば1日)内に複数回音を出力する。音を発するサンプリング周期は、特に限定されないが、例えば0.1〜1秒である。音出力部20は、各回において、予め設定された時間音を出力する。
【0018】
音出力部20から出力される音の周波数は、音が骨を伝達可能であれば特に限定されず、例えば100〜2000Hzである。音出力部20から出力される音は、単一周波数でもよいが、所定の周波数帯域を有してもよい。また、2つの音出力部20から出力する音は、音の検出結果からどちらの音出力部20から出力された音か容易に識別できるように、周波数、出力するタイミング等が異なってもよい。
【0019】
音検出部30は、音出力部20から肋骨Rを伝達する音を検出するためのマイクロフォンである。音検出部30は、左右の肺Lに対応して2つ設けられる。音検出部30は、肺Lの前側および後ろ側のうち、音出力部20が取り付けられる側の反対側(本実施形態では前側)に固定部材80により固定される。音検出部30は、減衰を計測するために選択した肋骨Rと近接する体表に固定される。したがって、左の肺Lの前側に固定される音検出部30と、左の肺Lの後ろ側に固定される音出力部20は、同じ左の肋骨Rに近接して固定される。また、右の肺Lの前側に固定される音検出部30と、右の肺Lの後ろ側に固定される音出力部20は、同じ右の肋骨Rに近接して固定される。音検出部30は、検出結果を制御部50の計測部51へ送信する。
【0020】
音出力部20および音検出部30を固定する体表の位置は、毎回同じとすることが好ましい。なお、音出力部20および音検出部30を固定する位置は、同じ肋骨Rに近接する位置であれば、特に限定されない。したがって、音出力部20および音検出部30を固定する体表の位置は、体の前後でなくてもよい。
【0021】
角度検出部110は、水平面に対する体の長軸の傾斜角度θを検出するセンサである。角度検出部110は、検出した信号を、ケーブル100を介して制御部50へ送信する。角度検出部110を固定する位置は、体の傾きを良好に計測できれば、特に限定されない。角度検出部110は、体の傾斜角度θを検出できれば特に限定されないが、例えば加速度センサである。
【0022】
装置本体90は、
図1、2に示すように、ケーブル100により音出力部20、音検出部30および角度検出部110と接続されている。装置本体90は、例えばベルト等により測定対象者に取り付けられる。
【0023】
記憶部40は、制御部50にて実行される測定プログラムなどの各種動作プログラムや、各種パラメータ(閾値など)を格納する。記憶部40は、さらに、音検出部30および角度検出部110で検出されたデータと、制御部50にて算出されたデータを格納する。
【0024】
制御部50は、計測部51と、減衰算出部52、警告判定部53とを含んでいる。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)および動作プログラムにより構成される。制御部50は、音出力部20、音検出部30、記憶部40、計測部51、減衰算出部52、警告判定部53、入力部70および表示部60の動作を統括的に制御する。
【0025】
計測部51は、音出力部20へ信号を送信して音を出力させる。計測部51は、音検出部30から音の検出データを受け取る。計測部51は、音検出部30から音の検出データを受け取ると、音の検出データから、音出力部20が出力した音を特定する。例えば、計測部51は、音検出部30から取得した検出データを周波数分析し、音出力部20から出力した音と同じ周波数成分の振幅値を算出する。計測部51は、音検出部30で検出された音の振幅を、音検出部30から出力される音の振幅で割り、単位減衰度とする。なお、音検出部30から出力される音の振幅は、予め計測されて記憶部40に設定されている。したがって、計測部51は、記憶部40から、音検出部30から出力される音の振幅を読み込むことができる。なお、音出力部20が所定の周波数帯域を有する音を出力する場合、計測部51は、各周波数の単位減衰度を算出できる。この場合、計測部51は、ノイズの少ない特定の周波数を選択し、この周波数において単位減衰度を算出できる。または、計測部51は、各々の周波数における単位減衰度を算出し、この平均値を単位減衰度とすることもできる。
【0026】
さらに、計測部51は、音検出部30で音を検出する際に、角度検出部110から傾斜角度θの検出データを受け取る。計測部51は、単位減衰度、傾斜角度θおよび計測を行った時間tを記憶部40に記憶させる。
【0027】
減衰算出部52は、所定の測定時間(例えば24時間)の間に記録された単位減衰度のデータから、減衰度Vを算出する。減衰算出部52は、測定時間(例えば24時間)内の複数の単位減衰度の平均値を算出し、減衰度Vとする。
【0028】
なお、肺の状態は、体の傾斜角度θに依存する。例えば、立った状態(θ=90度)と寝た状態(θ=0度)では、作用する重力の方向が異なるため、肺Lは、形状が変化し、間質液の位置も変化する。このため、体の傾斜角度θが変化すると、肺Lから力を受ける肋骨Rの減衰度Vも変化する。したがって、減衰算出部52は、記憶部40から単位減衰度とともに傾斜角度θを読み出し、傾斜角度θが所定の条件を満たす場合の単位減衰度のみを選別して平均化することができる。これにより、減衰算出部52は、所定の範囲内の姿勢で計測された単位減衰度を算出できるため、高い精度の単位減衰度を算出できる。傾斜角度θの条件は、例えば、以下の式(1)の通りである。
45度≦θ≦90度 式(1)
【0029】
左心機能が低下すると、肺の血管の中の液が肺組織中に浸み出して肺Lがうっ血する。肺がうっ血すると、肺Lを囲む肋骨Rが肺Lから受ける力が増加する。これにより、肺Lのうっ血が進行するほど、肋骨Rにおける振動が抑制されるため、肋骨Rを伝達する音の減衰が大きくなる。したがって、肋骨Rを伝達する音の減衰度Vを観察することで、うっ血の程度を観察し、結果として左心機能の低下を観察することができる。すなわち、減衰度Vが大きいほど、心機能に異常がある可能性が高い。減衰度Vは、本実施形態においては、左右の肺Lに応じて1つずつ算出される。
【0030】
警告判定部53は、減衰算出部52で算出された減衰度Vを、閾値と比較する。閾値は、例えば、予め記憶部40に設定されているか、入力部70から入力されるか、または、過去のデータから算出される。警告判定部53は、減衰度Vが閾値よりも大きい場合、肋骨Rに肺Lが強く接触しており、心機能(または肺機能)に異常があると判定する。また、警告判定部53は、減衰度Vが閾値以下である場合、肋骨Rに肺Lが強く接触しておらず、心機能(または肺機能)が正常であると判定する。警告判定部53は、心機能に異常があると判定した場合、表示部60に判定結果を表示させる。なお、警告判定部53の閾値は、例えば、一般の人の平均的な値の上限値であってもよく、または、測定対象者の過去の数か月分の平均値に係数を乗じた値であってもよい。
【0031】
警告判定部53は、左右の肺Lに応じた2つの減衰度Vを別々に判定することができる。また、警告判定部53は、両方の肺Lの減衰度Vの平均値を用いて、判定を行ってもよい。また、警告判定部53は、左右の肺Lに応じた2つの減衰度Vを別々に判定したのち、いずれか一方で異常がある場合に、心機能に異常があると判定してもよい。また、警告判定部53は、左右の肺Lに応じた2つの減衰度Vを別々に判定したのち、両方で異常がある場合に、心機能に異常があると判定してもよい。
【0032】
入力部70は、測定対象者が入力操作を行う部位である。入力部70は、例えば、スイッチ、ボタン等を有している。また、入力部は、タッチパネル、キーボード、マウス等であってもよい。入力部70は、各種パラメータ(閾値、傾斜角度の範囲、計測間隔、判定方法など)の入力や再設定、測定の開始や終了、表示する計測結果や算出結果の選択、表示するグラフや表の選択等に使用される。
【0033】
表示部60は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイデバイスである。表示部60は、入力部70を兼ねたタッチパネルであってもよい。表示部60は、入力部70に入力した値、計測結果、算出結果、判定結果等を、文字、数値、表またはグラフ等で表示できる。
【0034】
次に、本実施形態に係る肺機能測定装置10を用いた測定方法を、
図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0035】
まず、測定対象者は、
図2、3に示すように、左右の肺Lの後ろ側の体表に、音出力部20を固定する。次に、測定対象者は、左右の肺Lの前側の体表に、音検出部30を固定する。次に、測定対象者は、体の長軸を検出できる場所に、角度検出部110を固定する。音出力部20および音検出部30を固定する位置は、同じ肋骨Rに近接する位置とする。次に、測定対象者は、装置本体90の入力部70を操作し、測定時間等のパラメータを入力し、計測を開始する。
【0036】
制御部50は、入力部70から計測を開始することを示す情報を受け取った後、計測を開始する。これにより、制御部50の計測部51が、音出力部20に信号を送り、所定のサンプリング周期毎に音を出力させる(ステップ1)。次に、計測部51は、音検出部30から検出結果を受信する(ステップ2)。次に、計測部51は、角度検出部110から傾斜角度θの検出結果を受信する(ステップ3)。続いて、計測部51は、左右の肺Lの各々において、肋骨Rにおける単位減衰度を算出する(ステップ4)。この後、計測部51は、記憶部40に単位減衰度、傾斜角度θおよび計測した時間tを記憶させる(ステップ5)。制御部50は、所定の計測時間が経過すると、音出力部20からの音の出力を停止させ、音検出部30および角度検出部110による検出を停止させる(ステップ6)。
【0037】
次に、減衰算出部52が、記憶部40に記憶された単位減衰度、傾斜角度θおよび計測した時間tを読み込む。減衰算出部52は、傾斜角度θが所定の範囲内にある時間tを特定し、この時間tに対応する単位減衰度を選別する(ステップ7)。続いて、減衰算出部52は、選別した単位減衰度を平均化し、減衰度Vを算出する(ステップ8)。
【0038】
次に、警告判定部53が、減衰算出部52で算出されたその日の減衰度Vが正常か否かを判定する(ステップ9)。警告判定部53は、減衰度Vを異常と判定した場合、
図5に示すように、表示部60に、警告メッセージを表示させる(ステップ10)。この後、制御部50は、算出した単位減衰度、減衰度V、傾斜角度θ、異常の有無等を、記憶部40に記憶させる(ステップ11)。これにより、肺機能測定装置10による1日分の計測が完了する。なお、警告メッセージの内容は、適宜設定できる。
【0039】
制御部50は、
図6に示すように、計測された減衰度Vの時間変化を、過去のデータとともに、表示部60に表示させることができる。制御部50は、表示部60に表示させるグラフに、減衰度Vの正常値の上限B(閾値)を線で表示できる。このグラフにおいて、減衰度Vが上限Bよりも高くなると、心不全または心不全の可能性があると判定される。このように、心不全の進行の程度を、減衰度Vを心機能の低下を示す指標として、測定対象者自身が長期にわたって容易に監視できる。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る肺機能測定装置10は、肺機能を評価するためのデータを測定するための肺機能測定装置10であって、肋骨Rに近接する体表に固定可能であって肋骨Rに向けて音を出力する音出力部20と、音を出力される肋骨Rに近接する体表に固定可能であって音出力部20から肋骨Rを介して伝達される音を検出する音検出部30と、音出力部20によって出力された音と音検出部30によって検出された音の情報から音の減衰度Vを算出する減衰算出部52と、を有する。
【0041】
上記のように構成された肺機能測定装置10は、体表に取り付ける音出力部20および音検出部30によって肋骨Rを伝達する音の減衰度Vを算出できる。これにより、心機能の低下の指標となる肺のうっ血を、減衰度Vにより観察でき、心機能の監視が容易となる。また、肺機能測定装置10は、非侵襲であり、かつ非常にコンパクトに構成できるため、持ち運びおよび操作が容易となり、長期的に監視を継続しても生活に支障が生じず、測定対象者への負担が小さい。
【0042】
また、肺機能測定装置10は、減衰度Vを記憶可能な記憶部40をさらに有し、異なる時間に測定されて算出された減衰度Vを比較可能である。これにより、心機能の時間変化を観察できるため、心機能を長期的かつ容易に監視できる。
【0043】
また、音出力部20および音検出部30は、体の前後の同一の肋骨Rに対応する位置に固定可能である。これにより、同一の肋骨Rによる音の減衰度Vを良好に検出できる。
【0044】
また、減衰算出部52は、異なる時間に検出される音から複数の単位減衰度を算出し、複数の単位減衰度の平均値を減衰度Vとする。これにより、計測毎の測定のばらつきを除去し、観察に適した減衰度Vを得ることができる。
【0045】
また、肺機能測定装置10は、算出された減衰度Vを上限B(閾値)と比較し、警告を出すか否かを判定する警告判定部53をさらに有する。これにより、心不全の有無の判定が自動で行われ、心不全の有無の監視が容易となる。
【0046】
また、本発明は、心不全の有無を判定するためのデータを測定するための肺機能測定方法をも含む。本肺機能測定方法は、肋骨Rに近接する体表から肋骨Rに向けて音を出力するステップと、音を出力される肋骨Rに近接する体表から肋骨Rを介して伝達される音を検出するステップと、出力された音と検出された音の情報から音の減衰度Vを算出するステップと、を有する。
【0047】
上記のように構成された肺機能測定方法は、心機能の低下の指標となる肺Lのうっ血を、減衰度Vにより観察でき、心機能の監視が容易となる。また、当該肺機能測定方法は、非侵襲であり、長期的に監視を継続しても生活に支障が生じず、測定対象者への負担が小さい。
【0048】
また、肺機能測定方法は、減衰度Vを記憶部40に記憶させるステップと、異なる時間に測定されて算出された減衰度Vを記憶部40から読み出して比較するステップと、をさらに有する。これにより、心機能の時間変化を観察できるため、心機能を長期的かつ容易に監視できる。
【0049】
また、肺機能測定方法は、音を出力するステップの前に、音出力部20および音検出部30を、体の前後の同一の肋骨Rに対応する位置に固定するステップをさらに有する。これにより、同一の肋骨Rによる音の減衰度Vを良好に検出できる。
【0050】
また、肺機能測定方法は、算出された減衰度Vを上限B(閾値)と比較し、警告を出すか否かを判定するステップをさらに有する。これにより、心不全の有無の判定を自動で行うことができ、心不全の有無の監視が容易となる。
【0051】
また、本発明は、心不全の有無を判定するためのデータを測定するためにコンピュータによって実行される肺機能測定プログラムをも含む。本肺機能測定プログラムは、肋骨Rに向けて音を出力する音出力部20に音を出力させるステップと、音を検出する音検出部30から検出結果を受け取るステップと、出力された音と検出された音の情報から音の減衰度Vを算出するステップと、を有する。
【0052】
上記のように構成された肺機能測定プログラムは、心機能の低下の指標となる肺のうっ血を、減衰度Vにより観察でき、心機能の監視が容易となる。また、当該肺機能測定プログラムを用いることで、手技が非侵襲となり、長期的に監視を継続しても生活に支障が生じず、測定対象者への負担が小さい。
【0053】
また、肺機能測定プログラムは、減衰度Vを記憶部40に記憶させるステップと、異なる時間に測定されて算出された減衰度Vを記憶部40から読み出して比較するステップと、をさらに有する。これにより、心機能の時間変化を観察できるため、心機能を長期的かつ容易に監視できる。
【0054】
また、肺機能測定プログラムにおいて、音出力部20および音検出部30は、体の前後の同一の肋骨Rに対応する位置に固定されている。これにより、同一の肋骨Rによる音の減衰度Vを良好に検出できる。
【0055】
また、肺機能測定プログラムは、算出された減衰度Vを予め設定された上限B(閾値)と比較し、警告を出すか否かを判定するステップをさらに有する。これにより、心不全の有無の判定を自動で行うことができ、心不全の有無の監視が容易となる。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、装置本体は、例えばスマートフォンやタブレット端末などの携帯用端末およびアプリケーション(プログラム)により構成されたり、インターネットに接続されたサーバーコンピューター端末およびアプリケーション(プログラム)により構成されてもよい。音出力部、音検出部および角度検出部は、例えばNFC(Near Field Communication)やWifi(登録商標)などの通信技術を用いて、装置本体と無線で接続されてもよい。また、音出力部、音検出部および角度検出部は、装置本体と一体であってもよい。また、肺機能測定装置10は、測定対象者が自分で使用することを想定した装置であるが、医師や看護師などの医療従事者が測定対象者のために使用してもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、左右の肺Lの両方で計測を行っているが、左右の肺Lのいずれか一方でのみ計測を行ってもよい。また、左右の肺Lの各々に、複数の音検出部30が設けられてもよい。複数の音検出部30があれば、1つの音検出部30で音を検出できない場合に、他の音検出部30の検出結果を用いて、データを補完することができる。また、角度検出部は、設けられなくてもよい。また、上述の実施形態では、複数の単位減衰度を平均化して、減衰度Vを算出しているが、一回の計測値である単位減衰度を減衰度Vとすることもできる。また、減衰度Vは、複数の単位減衰度の平均値ではなく、中央値や最頻値であってもよい。
【0058】
さらに、本出願は、2016年3月23日に出願された日本特許出願番号2016−58365号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。