(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779989
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】上下方向及び水平移動エレベータキャビン
(51)【国際特許分類】
B66B 9/00 20060101AFI20201026BHJP
B66B 9/16 20060101ALI20201026BHJP
B66B 13/02 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
B66B9/00 Z
B66B9/16 Z
B66B13/02
【請求項の数】27
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-515876(P2018-515876)
(86)(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公表番号】特表2018-531194(P2018-531194A)
(43)【公表日】2018年10月25日
(86)【国際出願番号】US2016054237
(87)【国際公開番号】WO2017058954
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年9月4日
(31)【優先権主張番号】14/868,295
(32)【優先日】2015年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513088412
【氏名又は名称】スマートリフツ、エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMART LIFTS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】特許業務法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン ヤコブス
【審査官】
三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−167627(JP,A)
【文献】
特表2013−541481(JP,A)
【文献】
特開平06−156928(JP,A)
【文献】
特開平06−100272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 9/00− 9/193
B66B 13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物におけるエレベータシステムであって、
少なくとも1つの上下方向のエレベータシャフトと、前記建築物の水平面に沿った少なくとも1つの水平な上面と、
各エレベータキャビンが他の各エレベータキャビンに対して、前記少なくとも1つの上下方向のエレベータシャフト中を上下方向に、かつ前記少なくとも1つの水平な上面内へ水平方向に、独立に移動可能であって、前記各エレベータキャビンの壁内にエレベータキャビンスライド式ドア対が配置された2つ以上のエレベータキャビンと、
前記2つ以上のエレベータキャビンのうちの1つのエレベータキャビンと装着可能である少なくとも1つの上下方向に移動可能なエレベータフレームであって、前記エレベータキャビンは前記少なくとも1つのエレベータフレームから離脱可能であるとともに前記少なくとも1つの水平な上面上で水平移動が可能である、少なくとも1つの上下方向に移動可能なエレベータフレームと、
前記少なくとも1つの上下方向のエレベータシャフトの壁に取り付けられたロビー回転式ドア内のトラック上に各々のロビースライド式ドアが吊設される、ロビースライド式ドア対と、
を備え、
前記ロビー回転式ドア対は前記少なくとも1つの上下方向のエレベータシャフトの壁に取り付けられて、前記ロビー回転式ドアを通って乗客が前記少なくとも1つの水平な上面へ到達可能であって、
前記少なくとも1つのエレベータフレームから取り外し可能な前記エレベータキャビンは、開放された前記ロビー回転式ドアを通って電動車輪によって移動可能であり、且つ、前記上下方向のエレベータシャフトから離れた目的地まで前記少なくとも1つの水平な上面の上を移動する、
エレベータシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
各エレベータフレームは、複数のケーブルによって懸架されており、ケーブルによって1つ以上のカウンタウェイトに接続されているエレベータシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のエレベータシステムであって、
各ケーブル及び各カウンタウェイトは、各キャビン及び各エレベータフレームの上下方向の通路の外側に配置されているエレベータシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
さらに、少なくとも1つの第2のエレベータフレームと、前記第2のエレベータフレームに装着されているとともに前記第2のエレベータフレームによって支持されている少なくとも1つの第2のエレベータキャビンとを備えるエレベータシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のエレベータシステムであって、
前記エレベータキャビン及び前記エレベータフレームの1つ以上は、前記少なくとも1つの上下方向のエレベータシャフト中を上下方向に、他の各キャビン及びフレームに対して独立に移動可能であるエレベータシステム。
【請求項6】
請求項4に記載のエレベータシステムであって、
前記エレベータキャビンの1つ以上は、各前記エレベータシャフト中を上下方向に、かつ各水平な上面上へ水平方向に、他の各エレベータキャビンに対して独立に移動可能であるエレベータシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
さらに、他の1つ以上の上下方向に整列したエレベータフレームを有する、前記建築物における少なくとも1つの第2の上下方向のエレベータシャフトであって、各キャビンは、任意の上下方向のエレベータシャフト内で、前記少なくとも1つの水平な上面に沿って、前記各エレベータフレームに対して脱着可能である、少なくとも1つの第2の上下方向のエレベータシャフトを備えるエレベータシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
各エレベータキャビンは、前記エレベータフレームに自動的に装着され、または前記エレベータフレームから自動的に離脱するエレベータシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
各エレベータキャビンは、前記エレベータフレーム上に、または前記キャビン上に配置された少なくとも1つの安定化ロッド対によって安定化されているエレベータシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
さらに、各エレベータキャビンは、前記水平な上面上への水平移動に供される複数の車輪を備えるエレベータシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のエレベータシステムであって、
前記複数の車輪は、1つ以上の推進モータによって推進される電動車輪であるエレベータシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
各エレベータキャビンは、前記エレベータフレームの支持面によって支持されているエレベータシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のエレベータシステムであって、
前記エレベータフレームの前記支持面は、前記キャビンが前記エレベータフレームから離脱して水平移動に供されるときに前記少なくとも1つの水平な上面に位置整合するエレベータシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
各キャビンは、前部入口及び後部入口を備えるエレベータシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
前記水平な上面は前記建築物内のフロアであるエレベータシステム。
【請求項16】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
さらに、前記エレベータキャビンの後壁内に配置された第2のスライド式ドア対を備えるエレベータシステム。
【請求項17】
請求項11に記載のエレベータシステムであって、
前記エレベータキャビンの前記電動車輪は、操舵可能、制動可能、及び誘導可能であるエレベータシステム。
【請求項18】
請求項11に記載のエレベータシステムであって、
前記エレベータキャビンの前記車輪を推進する前記1つ以上のモータのエネルギーは、前記キャビン内で運ばれる再充電可能な電池によって供給されるエレベータシステム。
【請求項19】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
前記エレベータキャビンスライド式ドアは、
前記少なくとも1つのエレベータキャビンの前壁に位置して前記建築物内のフロアである前記水平な上面の上へ通じ、且つ、停留しているエレベータキャビンから乗客が通り抜けるように構成されているエレベータシステム。
【請求項20】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
各エレベータキャビンは、前記エレベータフレームから自動的に離脱可能であり、次いで電動車輪により、前記水平な上面の上へ移動可能であるエレベータシステム。
【請求項21】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
前記少なくとも1つのエレベータフレームから取り外し可能なエレベータキャビンは、前記水平な上面上を複数の電動車輪により、他の建築物へ水平移動し、他のエレベータシャフトにおいて懸架された他の停留しているエレベータフレームの上面上へ移動し、次いで、前記他の停留しているエレベータフレームに自動的に装着され、前記他のエレベータシャフトにおいて上方または下方へ移動可能であるエレベータシステム。
【請求項22】
請求項18に記載のエレベータシステムであって、
さらに、2つの近接するエレベータシャフトを備え、
前記少なくとも1つの水平な上面は、前記近接するエレベータシャフト間の接続プラットフォームとを備え、
各エレベータキャビンは開放された後部ドアを備え、一方の近接するエレベータシャフト内の乗客が、前記接続プラットフォームを渡り、停留している近接するエレベータキャビンの前記開放された後部ドアの中へ移動することが可能であり、近接するエレベータキャビンがエレベータシャフトにおいて上方または下方へ移動可能であるようになっているエレベータシステム。
【請求項23】
請求項19に記載のエレベータシステムであって、
前記ロビースライド式ドア対は、前記建築物内のフロア上へ通じて前記少なくとも1つの上下方向のエレベータシャフトのロビー回転式ドア対内に吊設され、
各エレベータキャビンは、前記エレベータキャビンの後壁内のキャビンスライド式ドア対を備え、
前記少なくとも1つの水平な上面は、前記少なくとも1つのエレベータシャフトと近接する第2エレベータシャフトとの間の接続プラットフォームを備え、
前記エレベータシステムは、前記近接する第2エレベータシャフトにおいて懸架された近接するエレベータキャビンと、前記建築物の他のフロア上へ通じる前記近接する第2エレベータシャフトの回転式ドア対内に吊設されたスライド式ドア対とを備え、
前記フロア上の乗客が、前記少なくとも1つの上下方向のエレベータシャフトの前記ロビー回転式ドア対及び前記ロビースライド式ドア対を通り、前記シャフト内の停留しているエレベータキャビンの前記前壁内の前記エレベータキャビンスライド式ドア対を通り、前記停留しているエレベータキャビンを渡り、前記停留しているエレベータキャビンの前記後壁内の前記キャビンスライド式ドア対を通り、前記接続プラットフォームを渡り、前記近接する第2エレベータシャフト内の前記近接するエレベータキャビンの前記後壁内の前記キャビンスライド式ドア対を通り、前記近接するエレベータキャビンを渡り、前記近接するエレベータキャビンの前記前壁内の前記キャビンスライド式ドア対を通り、前記近接する第2エレベータシャフトの前記スライド式ドア対及び回転式ドア対を通り、前記他のフロア上へ移動するようになっているエレベータシステム。
【請求項24】
請求項18に記載のエレベータシステムであって、
前記2つ以上のエレベータキャビンのうちのエレベータキャビンは、前記エレベータシャフトにおいてケーブルによって懸架された停留しているエレベータフレームから離脱し、次いで、前記エレベータキャビンは、複数の電動車輪により、前記エレベータフレームの上面を渡り、接続フロアを有する前記少なくとも1つの水平な上面を渡り、異なるエレベータシャフトにおいてケーブルによって懸架された近接する停留しているエレベータフレームの上面上へ移動可能であり、前記エレベータキャビンは、前記近接するエレベータフレームに再装着され、次いで、前記異なるエレベータシャフトにおいて上方または下方へ移動可能であるエレベータシステム。
【請求項25】
請求項23に記載のエレベータシステムであって、
1つ以上のエレベータシャフトを通り、かつ1つ以上の停留しているエレベータフレームを通る、一時的な通路が設けられるエレベータシステム。
【請求項26】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
前記エレベータシャフト内の各エレベータキャビンは、前記建築物の任意のフロアを含む前記少なくとも1つの水平な上面のいずれかにおける建設、改築、または改修中に、作業者及び/または資材の上下方向及び/または水平方向の運搬器として使用され得るエレベータシステム。
【請求項27】
請求項1に記載のエレベータシステムであって、
前記2つ以上のエレベータキャビンは、各エレベータキャビンが前記上下方向のエレベータシャフト中を上下方向に移動するときに、各エレベータキャビンの上下方向の移動経路の外側に配置された、すべてのケーブル及び複数の接続ポイントによって、同じ上下方向のエレベータシャフト内の他の各エレベータキャビンとは独立に稼働するエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許8,430,210B2及び米国特許8,925,689B2に関連し、これによりそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、1つ以上のエレベータキャビンが上下方向の移動及び水平移動の両方とも可能である任意のエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
通常のエレベータキャビンは、1つの建物において上方または下方へ上下方向に乗客を輸送するように設計及び使用されるのみである。これにより、エレベータキャビン内の乗客が上下方向と同様に水平方向にも移動することを望む、または必要とする場合に、制約及び非効率さが生じる。例えば、駐車場へ、もしくは駐車場から、または一空港ターミナルビル内の乗客到着フロアへ、もしくは乗客到着フロアから、エレベータキャビンで上下方向に移動する搭乗客は、別の離れた空港ターミナルビル内の異なるフロアに水平移動することを望み得る。現在、かかる乗客は、乗客の荷物を持ちながら、相当な時間と労力を費やしてエレベータキャビンに乗降するとともに、歩行または、移動歩道、トランジットポッド、ターミナル間列車/モノレール、タクシー、またはシャトルバスなどの、水平輸送手段を確保して、一空港ターミナルビル内の所望フロアから別のターミナルビル内の個々の所望フロアに向かう。乗客及び乗客の荷物を全行程について同じ運搬手段内に保持することが可能であれば、より効率的で快適であるところである。
【0004】
また、同じエレベータシャフトにおいて複数のエレベータキャビンを運転することが可能なエレベータシステムは、1つのキャビンの機械的または電気的故障によって大規模に運転不能に陥り得る。1つのキャビンが故障し、または制限された運転性能を波及させると、同じエレベータシャフト内のその他のエレベータキャビンの移動を遅延または停止させるおそれがある。同様に、エレベータキャビンを長期間経過後に改築、改装、または改修する必要があったり、キャビン内の多くのパッケージを、エレベータキャビンから高層ビルのあるフロアの離れた部屋にゆっくりと慎重に運び込む、または運び出す必要があったりする。
【0005】
したがって、1)エレベータキャビンが上下方向の移動と水平移動とに容易に交互に移行することを可能とすること、及び2)エレベータキャビンをエレベータフレームから迅速かつ効率的に退避させる方法を提供することによって、前述した問題及び制限のすべてを解決する必要がある。また、上下方向の移動と水平移動とに容易に交互に移行することが可能であるエレベータキャビンの、他の使用法または用途が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の態様によれば、少なくとも1つの上下方向のエレベータシャフトと、前記建築物の水平面に沿った少なくとも1つの水平な上面と、各キャビンが他の各キャビンに対して各上下方向のエレベータシャフト中を上下方向に独立に移動可能であるとともに各水平な上面上へ水平移動可能である、1つ以上のエレベータキャビンとを備える、建築物内のエレベータシステムが存在する。前記少なくとも1つの上下方向のエレベータシャフトは、エレベータキャビンに装着可能である少なくとも1つの上下方向に移動可能なエレベータフレームを備え、各キャビンは前記少なくとも1つのエレベータフレームから離脱可能であるとともに前記少なくとも1つの水平な上面上で水平移動が可能である。
【0007】
態様によれば、各エレベータフレームは、複数のケーブルによって懸架されており、ケーブルによって1つ以上のカウンタウェイトに接続されている。他の態様によれば、各ケーブル及び各カウンタウェイトは、各キャビン及び各エレベータフレームの上下方向の移動経路の外側に配置されている。
【0008】
本発明の態様の中には、通常は上下方向に移動するエレベータキャビンの水平移動を許容するエレベータシステムを説明するものがある。一態様では、エレベータキャビンは、エレベータフレームに対して自動的に装着され、または離脱することが可能であり、次いで、他のエレベータシャフトまたは他の行先に、または他のエレベータシャフトまたは他の行先から水平移動し得る。エレベータキャビンがエレベータフレームまたは他の上面上で支持されながら、エレベータキャビンの上下方向の移動または水平移動を可能にするために、種々のケーブル、ロッド、プラグ、及び他の器具が、エレベータキャビンに対して自動的に接続され、または切り離される。エレベータキャビンは、すべてのかかる装置から切り離されると、次いで、エレベータキャビンが個別に有する電動車輪により(または他の方法により)、エレベータフレーム及びエレベータシャフトから、建物のフロアなどの他の上面上へ水平方向に推進されて他の行先へ水平移動し得る。同様に、エレベータキャビンは、さらに、エレベータキャビンが個別に有する電動車輪により(または他の方法により)、エレベータシャフト内へ、及びエレベータフレームの上面上へ水平移動してフレームに接続されることが可能であり、これによって、かかるキャビンが次いでエレベータシャフト内で上下方向に移動することが可能になる。これらの方法によって、さらに、1つの建物/建築物において上下方向に稼働するエレベータキャビンが他の建物/建築物へ水平移動し、次いで、当該建物/建築物において上下方向に稼働する、ということが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、各フレームが水平移動エレベータキャビンを備えた、3つの独立に上下方向に移動するエレベータフレームを備えるエレベータシャフトの正面図である。
【0010】
【
図2】本発明の一実施形態に係る、斜視図による、3つの空のエレベータフレーム、それらの懸架ケーブル、接続ポイント、ガイド、及びガイドトラックの図である。
【0011】
【
図3】本発明の一実施形態に係る、エレベータシャフトにおいてケーブルによって懸架されたエレベータフレームの正面図であり、水平移動エレベータキャビンがエレベータフレーム内に配置されているとともにエレベータフレームのベースによって支持されている。
【0012】
【
図4】本発明の一実施形態に係る、エレベータシャフトにおいてケーブルによって懸架されたエレベータフレームの上面図であり、水平移動エレベータキャビンがエレベータフレーム内に配置されているとともに4つのロッドによって安定化されている。
【0013】
【
図5】本発明の一実施形態に係る、エレベータシャフトにおいてケーブルによって懸架されたエレベータフレームの底面図であり、フレーム内に配置された水平移動エレベータキャビンのケーブル、キャビン、及び電動車輪の位置を示す。
【0014】
【
図6】本発明の一実施形態に係る、水平移動エレベータキャビンがエレベータフレームのベースによって支持されている、エレベータシャフトにおいてケーブルによって懸架されたエレベータフレームと、何人かが開放されたスライド式ドアを通って建物のフロア上へ出ているかご内の乗客との側面図である。
【0015】
【
図7】本発明の一実施形態に係る、エレベータシャフトにおいてケーブルによって懸架された停留しているエレベータフレームの側面図であり、離脱した水平移動エレベータキャビンが、移動中のかご内に乗客を載せて、フレームから、開放された回転式ロビードアを通り、建物のフロア上へ移動している。
【0016】
【
図8】本発明の一実施形態に係る、エレベータシャフト内のエレベータフレームの背面図であり、水平移動エレベータキャビンがフレーム内に配置されており、キャビン内の乗客が、キャビンの後部スライド式ドアから出て、近接するエレベータシャフト(不図示)内に設置された他のキャビンの開放されたスライド式後部ドアの中へ歩いて進むのを待っている。
【0017】
【
図9】本発明の一実施形態に係る、各々が異なるエレベータシャフトにおいてケーブルによって懸架された2つの停留しているエレベータフレームの側面図であり、水平移動エレベータキャビンが各エレベータフレーム内に配置されており、乗客が一方のキャビンから一方のキャビンの開放されたスライド式後部ドアを通り、短いフロアを渡り、他の近接するエレベータキャビンの開放されたスライド式後部ドアを通って歩いている。
【0018】
【
図10】本発明の一実施形態に係る、各々が異なるエレベータシャフトにおいてケーブルによって懸架された2つの停留しているエレベータフレームの側面図であり、水平移動エレベータキャビンが、電動車輪により、一方のエレベータフレームから、短いフロアを渡り、近接する空のエレベータフレームのベース上へ移動している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、図面において、類似の参照番号及び文字は同一または機能的に類似の要素を示す。また、本明細書において、各参照番号の左端の桁は、当該参照番号が最初に用いられる図面に対応する。本発明のすべての要素は、本明細書において説明されるのとは何らかが異なるように構成され、組み合わせられ、構造化され、配置され、及び/または操作され得る。
【0020】
本明細書における「一実施形態」または「実施形態」との言及は、当該実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の種々の箇所における「一実施形態において」との語句の表記は、必ずしも同じ実施形態のことを指さない。
【0021】
本明細書において用いられる言葉は、主として読みやすさ及び説明目的のために選択されており、本発明の主題を正確に表現したり、厳密に規定したりするようには選択されていない場合がある。したがって、本発明の開示は、請求項において記載された本発明の範囲を例示するものであって、限定するものではないように図られている。当業者であれば、過度の労力または実験を伴わずに本発明の他の形態を設計することが可能である。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る、エレベータシャフト100において懸架ケーブル135によって懸架された3つのエレベータフレーム101A、101B、101Cの正面図である。各懸架ケーブル135は、各エレベータフレーム101上に配置された接続ポイント140に接続され得る。各接続ポイント140は、エレベータシャフト100において他の各接続ポイント140から水平方向(不図示)及び上下方向に離間して配置され得る。各エレベータフレーム101の外面に接続された、各懸架ケーブル135及び各接続ポイント140は、各エレベータフレーム101がエレベータシャフト100中を上下方向に移動するときに各エレベータフレーム101の上下方向の経路の外側に配置され得る。各懸架ケーブル135は、エレベータシャフト100の側部を上昇または下降し、上昇してプーリ120を越え、また上記のケーブル135が上記のカウンタウェイト115に接続され得るカウンタウェイト115の上面に至る、カウンタウェイトチャネル130を下降し得る。各エレベータフレーム101は、エレベータシャフト100の壁170に取り付けられた上下方向のガイドトラック145に沿って移動することが可能である、エレベータフレーム101の側面に取り付けられた2つ以上のガイド150を有し得る。各エレベータフレーム101がエレベータシャフト100中を上下方向に移動するときに各リフトケーブル136および各リフトケーブル接続ポイント140が各エレベータフレーム101の上下方向の経路の外側に配置され得るように、エレベータフレーム101の外面上で個別の接続ポイント140(不図示)に接続されており(各フレームの背面上で接続されるものもあり得る)、さらに、建築物のリフトモータフロア105上に配置された個別のリフトモータ155に接続されている個別のリフトケーブル136によって、エレベータシャフト100において各エレベータフレーム101を上昇または下降させる、個別のリフトモータ155A、155B、または155Cが存在し得る。例えば、フレーム101Aは、リフトケーブル136Aによってリフトモータ155Aに取り付けられ得る。
【0023】
各エレベータフレーム101のベース102は、各エレベータフレーム101に固定接続され得る水平移動エレベータキャビン160を支持し得る。各エレベータキャビン160内に示された乗客は、各エレベータキャビンフロア107の上面上に立っている。エレベータフレーム101及びエレベータキャビン160の両方が互いに接続されると、エレベータフレーム101及びエレベータキャビン160の両方をエレベータかご110とも称し得る。エレベータシャフト100において稼働しているエレベータかご110のすべては、上下方向に整列し得る。エレベータシャフト100において懸架された各エレベータかご110は、すべての水平方向及び上下方向に分離された懸架ケーブル135、すべてのリフトケーブル136、すべての水平方向及び上下方向に分離された接続ポイント140、すべてのガイド150、及びエレベータシステムのすべての他の要素が、各エレベータかご110がエレベータシャフト100中を上下方向に移動するときに各エレベータかご110の経路の外側に配置され得るため、他のエレベータかご110のすべてに対して独立にエレベータシャフト100中を上下方向に移動することが可能である。一方、大抵の現在及び従来のエレベータかごが各エレベータかごの上面中央に接続された懸架ケーブルによって懸架され、またこの中央に設けられた接続箇所によって同じエレベータシャフトにおいて1つより多いエレベータかごが稼働することができないことは明らかであるため、大抵の従来のエレベータかごは、同じエレベータシャフトにおいて互いに独立に移動することができない。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係る、3つの空のエレベータフレーム101A、101B、101C、当該エレベータフレームの懸架ケーブル135、当該エレベータフレームの接続ポイント140、当該エレベータフレームのガイド150のいくつか、及び当該エレベータフレームのガイドトラック145の、個々の斜視図による図である。
図2に示すように、各エレベータフレーム101から外側に突出し、各エレベータフレーム101がエレベータシャフト100中を移動するときに各エレベータフレーム101の上下方向の経路から離間する、互いに水平方向及び上下方向に分離された、多数の分離された接続ポイント140が存在し得る。また、
図2に示すように、上記の懸架ケーブル135のすべて、及び上記のエレベータリフトケーブル136のすべては、系統だって水平方向及び上下方向に互いに分離され得る。上記の特徴のすべてによって、複数のエレベータフレーム101は、上方または下方のいずれの方向にも、同じエレベータシャフト100中を互いに独立に移動することが可能である。これらの特徴のすべては、さらに、本発明の実施形態に係る記載及び説明に対応したエレベータシステムを提供し得る。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態に係る、エレベータシャフト100において、ケーブル135であってケーブル135のすべてのケーブルが接続ポイント140に接続され得るケーブル135によって懸架された、エレベータフレーム101の正面図であり、水平移動エレベータキャビン160が、エレベータフレーム101内に配置され、エレベータフレームベース102によって支持され、かつ2つ以上の安定化ロッド(または他の安定化装置)306によってエレベータフレーム101内で安定化されている。エレベータフレーム101が建物/建築物のフロアに到着すると、2つのシナリオの一方、すなわち、1)エレベータキャビン160内の乗客が2つの開放されたキャビンスライド式ドア300A(開放されたように示されていない)と2つの開放されたロビースライド式ドア300B(個別にも、開放されたようにも示されていない)とを通って建物フロア312上へ出ることが可能であって、待っている乗客が上記の開放されたスライド式ドア300A及び300Bを通ってエレベータキャビン160内に入ることも可能であるように、エレベータキャビンフロア107(破線で示す)の上面が建物フロア312(ここでは点線で示す)の高さで停止し得ること、または2)テレスコーピング安定化ロッド306が自動的にエレベータフレーム101内に退避することが可能であり(退避したように示されていない)、回転式ロビードア対302が回転式ロビードア対302のヒンジ303で全開することが可能であり(開放されたようには示されていない)、4つの電動車輪304(2つの後車輪は示されていない)などのエレベータキャビン160の下に配置された複数の電動車輪304が水平移動エレベータキャビン160を(内部に乗客を載せて、または載せないで)建物のフロア312上へ推進する(かかる乗客はエレベータキャビンのスライド式ドア300A内の窓301を通して見える)ことが可能であるように、エレベータフレームベース102が建物フロア312の高さにおいて停止し得ることが起こり得る。上記の回転式ドア302の上面を破線311によって示すことが可能であり、上記の回転式ドア302の底面を破線314によって示すことが可能であり、上記の回転式ドア302の各側面を破線313によって示すことが可能であり、上記の回転式ドア302の中心線を破線309によって示すことが可能である。各ロビースライド式ドア300Bは、例えばトラック上に吊設された回転式ドア302の内側に配置され得るとともに、上記の回転式ドア302内で往復スライドし得る。示されるように、各ロビー回転式ドア302は、ヒンジ303によってエレベータシャフト100の壁315に取り付けられ得る。4つのすべてのスライド式ドア300A及び300Bは、一斉に開放され得る、または閉鎖され得る。
【0026】
シナリオ番号1においてすべての乗客が開放されたスライド式ドア300を通って歩いた後に、すべてのスライド式ドア300が一斉に閉鎖され得るとともに、次いでエレベータかご110がエレベータシャフト100において他の行先フロアまで上方または下方へ上下方向に移動し得る。一方、シナリオ番号2において、4つの電動車輪304が開放されたロビー回転式ドア302を通して水平移動エレベータキャビン160を推進した後に、上記の回転式ドア302は一斉に閉鎖され得る。次いで、空のエレベータフレーム101は他の行先フロアへ上昇または下降し得るとともに、水平移動エレベータキャビン160は水平移動エレベータキャビン160の電動車輪304により上記の建物フロア312上の他の行先へ推進され得る。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態に係る、梁406により形成されたエレベータシャフト100Aにおいてケーブル135によって懸架されているとともにガイドトラック145に沿ってガイド150により誘導されるエレベータフレーム101の上面図であり、水平移動エレベータキャビン160が、エレベータフレーム101のベース102によって支持されているとともに4つのテレスコーピング安定化ロッド306によって安定化されている。キャビンスライド式ドア対300Aは、エレベータキャビン160の前端にあるキャビン壁410内で閉鎖されたように示され得るとともに、ロビースライド式ドア対300Bは、ヒンジ303により吊設され得るロビー回転式ドア対302内で閉鎖されたように示され得る。エレベータキャビン160の後端において、エレベータキャビン160の後端にあるエレベータキャビン壁410内で閉鎖されたように示され得る他のキャビンスライド式ドア対400が存在し得る。4つのテレスコーピング安定化ロッド306は、エレベータキャビン160の側部内に配置された4つのスリーブ411内にモータ402によって延伸されたように示され得る。同様に、エレベータキャビン160の側部内に配置されたソケット412内に、テレスコーピング電気及びデータプラグ403がモータ402によって自動的に延伸され得る。エレベータキャビン160の内部において、水平移動する乗客に対して折畳み式椅子407が設けられることが可能であり、キャビン壁410内に建物フロア行先ボタン408が設置されることが可能であり、またキャビン160内に天井照明及びビデオカメラ409が設置されることが可能である。
【0028】
さらに
図4に示すように、水平移動エレベータキャビン160は、キャビンの電動車輪304によってエレベータフレーム101のベース102上へ駆動されて、レーザビーム(不図示)などの誘導機構により誘導されるとおりに上記の電動車輪304を操舵することが可能である操舵機構(不図示)によってエレベータフレーム101の中央に配置される、ということが可能である。エレベータシャフト100A内の各エレベータフレーム101は、上下方向のガイドトラック145に沿って移動する誘導手段150により、上記のエレベータシャフト100Aに沿って上下方向に誘導され得る。建築物内の各エレベータシャフト100は、各エレベータフレーム101及び各エレベータフレーム101の懸架ケーブル135が通り抜ける建物梁406から構成され得る。
図4に示すように、側部、または端部100A、100B、100C、及び100Dごとに、2つ以上のエレベータシャフト100が構成され得る。
【0029】
図5は、本発明の一実施形態に係る、梁406により形成されたエレベータシャフト100Aにおいてケーブル135によって懸架されているとともにガイドトラック145に沿ってガイド150により誘導されるエレベータフレーム101の底面図であり、水平移動エレベータキャビン160が、エレベータフレーム101のベース102によって支持されているとともに4つのテレスコーピング安定化ロッド306によって安定化されている。エレベータキャビン160の各電動車輪304は車軸500によって接続され得るとともに、すべての電動車輪304は1つ以上の推進モータ501によって推進され得る。各電動車輪304は操舵機構(不図示)によって操舵可能であり得る。各電動車輪304は、さらに、制動機構(不図示)によって制動可能であり得る。各水平移動エレベータキャビン160は、さらに、磁気ガイド及び金属ワイヤ、レーザガイド、電子センサ、及び/または他の適当な誘導機構(不図示)などの誘導機構(不図示)によって、水平方向に誘導可能であり得る。
【0030】
図6は、本発明の一実施形態に従う、梁406により形成されたエレベータシャフト100Aにおいてケーブル135(2つは不図示)によって懸架されているとともに上下方向のガイドトラック145に沿ってガイド150により誘導される、停留しているエレベータフレーム101の側面図である。エレベータフレーム101内に水平移動エレベータキャビン160が配置されており、乗客がキャビン160のフロア107から、開放されたスライド式ドア300A及び300B(開放されたように図示されていない)を通って建物のフロア312上へ出る、ということが可能である。エレベータキャビン160の最上部161も示されている。ヒンジ303によって支持されている、閉鎖されたロビー回転式ドア302内に、開放されたロビー回転式ドア300B(開放されたように示されていない)が示され得る。エレベータキャビン160の後部に、閉鎖されたスライド式後部ドア400が示され得る。エレベータキャビン160の電動車輪304は、エレベータフレーム101のベース102によって支持され得る。エレベータキャビン160は、エレベータキャビン160の側部において4つの安定化スリーブ411(2つは不図示)内に自動的に挿入される4つのテレスコーピング安定化ロッド306(不図示)によって、安定化され得る。エレベータキャビン160がエレベータシャフト100Aにおいて上下方向に移動している間にキャビン160に電気及びデータを供給し、また水平移動エレベータキャビン160の電池604を充電する電気を供給するために、エレベータキャビン160の側部において、電気及びデータソケット412内にテレスコーピング電気及びデータプラグ403(不図示)が、自動的に挿入され得る。
図6に示すように、水平移動エレベータキャビン160がエレベータフレーム101から離脱して上面上で水平移動するときにモータ501(不図示)が水平移動エレベータキャビン160を推進するエネルギー源として使用され得る、キャビン160に取り付けられた蓄電池604が存在し得る。
【0031】
図7は、すべて本発明の一実施形態に従う、梁406により形成されたエレベータシャフト100Aにおいてケーブル135(2つは不図示)によって懸架されているとともに上下方向のガイドトラック145に沿ってガイド150により誘導される、停留しているエレベータフレーム101の側面図である。エレベータフレーム101のベース102の上面は、建物/建築物のフロア312と同じ高さに示され得る。両回転式ロビードア302は、回転されて広く開放され得るとともに、両回転式ロビードア302のヒンジ303により吊設され得る。キャビン前部スライド式ドア対300Aは閉鎖を維持し得るとともに、キャビン後部スライド式ドア対400も閉鎖を維持し得る。
図7に、エレベータロビーの壁700とロビーの上方の天井701とが示されている。テレスコーピング安定化ロッド306(不図示)は、安定化ロッドモータ402(不図示)によって、安定化スリーブ411からエレベータフレーム101内へ自動的に退避済みであり得る。同様に、テレスコーピング電気及びデータプラグ403(不図示)が、電気及びデータモータ402(不図示)によって、電気及びデータソケット412からエレベータフレーム101へ自動的に退避済みであり得る。この時点において、水平移動エレベータキャビン160は、水平移動エレベータキャビン160の電動車輪304(2つは不図示)により、エレベータフレーム101から、エレベータキャビン160内に乗客を載せて、または載せずに、建物または他の建築物のフロア312の上面上へ推進され得る。
【0032】
乗客を載せた、または載せていない水平移動エレベータキャビン160は、エレベータフレーム101から完全に出ると、水平移動エレベータキャビン160の電池604が持続する限り、任意の水平な上面上で、水平移動エレベータキャビン160の電動車輪304によって推進され得る。例えば、エレベータキャビン160は、建物フロア312上で他の行先へ移動することが可能であり、エレベータキャビン160は、1つの建物から他の建物(不図示)へ橋を渡って移動することが可能であり、第2の建物内の互換性のあるエレベータフレーム101が空である場合に、エレベータキャビン160は、開放された他のロビー回転式ドア302を通って進入して、当該第2のフレーム101(不図示)内に移動することが可能である。この時点において、他のテレスコーピング安定化ロッド306は、エレベータキャビン160(不図示)の安定化スリーブ411内に自動的に挿入され得るとともに、他のテレスコーピング電気及びデータプラグ402は、キャビン160(不図示)の電気及びデータソケット412内に自動的に挿入され得る。他方の回転式ロビードア302(不図示)が閉鎖されると、この新たなエレベータかご110は、第2の建物(不図示)内のこの新たなエレベータシャフト100Bにおいて、再び上方または下方へ上下移動し得る。
【0033】
図8は、本発明の実施形態に従う、エレベータシャフト100A中を2つの上下方向のガイドトラック145に沿ってガイド150により誘導されるエレベータフレーム101Aの背面図である。エレベータフレーム101A内に、水平移動エレベータキャビン160Aの背面視界が位置し得る。キャビンの電動車輪304は、エレベータフレームのベース102Aの上面によって支持され得るとともに、エレベータキャビン160Aはテレスコーピング安定化ロッド306によって安定化され得る。2つのスライド式後部ドア400は閉鎖され得るとともに、キャビン160A内の乗客は、スライド式ドア400内に配置された窓301から見え得る。エレベータかご110Aがエレベータシャフト100Aを上方または下方へ上下移動しているときに、2つの後部スライド式ドア400は、2つの後部スライド式ドア400がロックされなければならないため、スライドして開くことができない。エレベータかご110Aが建物フロア312において停止すると、いくつかのシナリオのうちの1つ、すなわち、(1)エレベータキャビン160Aのフロア107Aが建物のフロア312(破線で示す)において停止する場合に、停留しているエレベータキャビン160A内の乗客は、キャビンの開放された前部スライド式ドア300A及び300B(不図示)から、建物のフロア312の上面(不図示)上へ歩いて進み得る、ということが起こり得る。しかし、真向いのエレベータシャフト100B(不図示)において待機している他のエレベータキャビン160B(不図示)であって、他のエレベータキャビン160Bのフロア107Bも同じフロア高さ312(不図示)において停止している他のエレベータキャビン160Bが存在しなければ、キャビン160Aの後部スライド式ドア400は閉鎖及びロックを維持しなければならない。このイベントが生じる場合に、本発明の一実施形態に従って、両エレベータキャビン160A及び160Bの後部スライド式ドア400は、2つの待機中の停留しているキャビン160間の短いフロア/接続プラットフォーム800(不図示)を渡って、他方の停留しているキャビン160内へ歩いて進み得る(より詳細な記述は
図9を参照)。
【0034】
一方、(2)エレベータフレーム101Aのベース102Aの上面が建物のフロア312において停止する場合は、エレベータキャビン160Aがエレベータフレーム101Aから自動的に離脱した後に、水平移動エレベータキャビン160Aが水平移動エレベータキャビン160Aの電動車輪304によりフレーム101Aから、(a)開放された回転式ロビードア302を通って建物ロビーフロア312(不図示)上へ移動する、または(b)近接するエレベータシャフト100B内の同じ建物フロア高さ312において、他の空のエレベータフレーム101Bのベース102Bが待機中であれば、水平移動エレベータキャビン160Aは水平移動エレベータキャビン160Aの電動車輪304により、シャフト100A内のフレーム101Aから、短いフロア/接続プラットフォーム800(不図示)を渡って、エレベータシャフト100B(不図示)において待機中の空のエレベータフレーム101B内へ移動するとともに、そこで自動的にフレーム101Bに再装着される、ということが可能である。次いで、エレベータフレーム101Bは、本発明の一実施形態に従って、エレベータキャビン160Aを載せて、エレベータシャフト100Bを再び上方または下方へ上下方向に移動し得る(より詳細な記述は
図10を参照)。
【0035】
図9は、本発明の一実施形態に従う、2つの停留しているエレベータフレーム101A、101Bの側面図であり、各々が、懸架ケーブル135によって懸架され、それぞれ2つの近接するエレベータシャフト100A、100Bにおいてガイドトラック145に沿ってガイド150により誘導され、建物梁406により支持された短いフロア/接続プラットフォーム800によって分離されている。エレベータフレーム101A内に水平移動エレベータキャビン160Aが配置され得るとともに、エレベータフレーム101B内に水平移動エレベータキャビン160Bが配置され得る。各エレベータキャビン160A、160Bのそれぞれの後部スライド式ドア400A、400Bが開放され得ることによって、停留しているキャビン160A内の乗客は、キャビン160A内のキャビンフロア107Aを渡り、開放された後部スライド式ドア400A及び400Bを通り、梁406により支持された短いフロア/接続プラットフォーム800を渡り、ロビー900にアクセスせずに停留しているキャビン160B内へ歩いて進み得る。同様に、停留しているキャビン160B内の乗客は、キャビン160B内のキャビンフロア107Bを渡り、開放された後部スライド式ドア400B及び400Aを通り、梁406により支持された短いフロア/接続プラットフォーム800を渡り、ロビー900にアクセスせずに停留しているキャビン160A内へ歩いて進み得る。同様に、後部スライド式ドア400B及び400Aが開放を維持し得る場合、エレベータキャビン160A及び160Bの前部スライド式ドア300Aが開放を維持し得る場合、及び各建物ロビー900A及び900Bの前部ロビースライド式ドア300Bが開放を維持し得る場合は、
図9に示すように、停留している各エレベータキャビン160A及び160B内と各ロビー900A及び900B内とのすべての乗客は、上記の各キャビン及び上記の各ロビーにアクセスし得る。
【0036】
図10は、本発明の一実施形態に従う、2つの停留しているエレベータフレーム101A及び101Bの側面図であり、各々が、懸架ケーブル135によって懸架されており、梁406により形成された2つの近接するエレベータシャフト100A及び100Bにおいてガイドトラック145に沿ってガイド150により誘導され、梁406により支持された短いフロア/接続プラットフォーム800によって分離されている。各エレベータフレーム101A、101Bのそれぞれのベース102A、102Bは、建物/建築物のフロア312を備えた高さであり得る。水平移動エレベータキャビン160Aが自動的にエレベータフレーム101Aから離脱した後に、エレベータキャビン160Aは、エレベータキャビン160Aの電動車輪304により、エレベータシャフト100Aとエレベータシャフト100Bとの間の開放領域1000を通り、建物梁406により支持された短いフロア/接続プラットフォーム800を渡り、エレベータフレーム101B内へ推進され得る。この時点において、水平移動エレベータキャビン160Aは2つのオプション、すなわち、(1)水平移動キャビン160Aが水平移動エレベータキャビン160Aの電動車輪304によりロビー900Bの上面312上へ推進されて電動車輪304により新たな行先へ移動し得るように、ロビー回転式ドア302Bが回転して広く開放されることを水平移動エレベータキャビン160Aが要求し得ること、または(2)水平移動キャビン160Aがエレベータフレーム101B内に留まり得ることを有する。エレベータキャビン160Aは、フレーム101B内に配置されると、モータ402(不図示)によって、自動的に他のテレスコーピング安定化ロッド306(不図示)に、及び他のテレスコーピング電気及びデータプラグ403(不図示)に再装着され得る。その後、水平移動エレベータキャビン160Aが固定的に再装着されたエレベータフレーム101Bは、エレベータシャフト100Bを上方または下方へ上下方向に移動し得る。本発明の実施形態において、1つ以上のエレベータシャフトを通り、1つ以上の停留しているエレベータフレームを通る、1つ以上の一時的な通路が設けられる。さらに、エレベータシャフト内の各エレベータキャビンは、かかる建築物の任意のフロアの建設、改築、または改修中に、作業者及び/または資材の上下方向及び/または水平方向の運搬器として使用され得る。
【0037】
説明及び図面を通して、特定の構成に関する実施形態例を挙げた。本発明が他の特定の形態で実施され得ることは当業者に明らかであろう。当業者であれば、過度の実験を伴わずにかかる他の実施形態を実施することが可能である。本発明の範囲は、本特許書面を目的として、以上の説明の特定の実施形態例または代用物のみに限定されない。