特許第6780023号(P6780023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6780023金属ディスク・アレイを備えた積層型太陽電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780023
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】金属ディスク・アレイを備えた積層型太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0725 20120101AFI20201026BHJP
   H01L 31/0735 20120101ALI20201026BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20201026BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20201026BHJP
   H01L 31/054 20140101ALI20201026BHJP
【FI】
   H01L31/06 410
   H01L31/06 430
   H01L31/04 260
   H01L31/04 460
   H01L31/04 620
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-559891(P2018-559891)
(86)(22)【出願日】2017年11月14日
(65)【公表番号】特表2019-515510(P2019-515510A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】KR2017012824
(87)【国際公開番号】WO2018097531
(87)【国際公開日】20180531
【審査請求日】2018年11月9日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0155683
(32)【優先日】2016年11月22日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512328201
【氏名又は名称】コリア リサーチ インスティチュート オブ スタンダーズ アンド サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リー,サンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュノー
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンホ
(72)【発明者】
【氏名】カン,サンウー
【審査官】 山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−199915(JP,A)
【文献】 特表2010−532575(JP,A)
【文献】 特開2012−151471(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/042525(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0014813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に順次に積層して配置され、順次に互いに異なる波長帯域を有して光電変換を行う複数のサブセルと、
隣り合ったサブセルの間の界面の中で少なくとも一つに配置された金属ディスクアレイと、
を含む積層型太陽電池であって、
前記サブセルに対応する波長帯域の中心波長は、最上位層から次第に下部に進行することによって順次に増加し、
前記金属ディスクアレイは、前記金属ディスクアレイの上部に配置されたサブセルで吸収することができず透過した光を選択的に反射させ、
前記金属ディスクアレイは、表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance、SPR)を用いて選択的反射フィルタ機能を提供し、
前記金属ディスクアレイのピッチは100nmないし300nmであり、
金属ディスクの直径はピッチの50ないし70%であり、
前記金属ディスクアレイは、
マトリックスの形で配列された金属ディスクアレイシード層と、
前記金属ディスクアレイシード層上に整列して配置された中間金属ディスクアレイ層と、
前記中間金属ディスクアレイ層上整列して配置された金属ディスクアレイオーミックコンタクト層と、
を含み、
前記金属ディスクアレイシード層は20nm以下の厚さのクロム(Cr)又はTi/Ptであり、
前記金属ディスクアレイシード層はオーミック接合を形成され、
前記中間金属ディスクアレイ層は金(Au)又は銀(Ag)であり、
前記金属ディスクアレイオーミックコンタクト層はパラジウム(Pd)であることを特徴とする積層型太陽電池。
【請求項2】
前記複数のサブセルは、上部から下部に進行することによって順に積層された第1ないし第4サブセルを含み、
前記金属ディスクアレイは、前記第2サブセルと第3サブセルとの間に配置され、
前記第1サブセルはInGaPサブセルであり、前記第1サブセルの波長帯域は400nm−600nmであり、
前記第2サブセルはGaAsサブセルであり、前記第2サブセルの波長帯域は600−800nmであり、
前記第3サブセルはInGaAsPサブセルであり、前記第3サブセルの波長帯域は800nm−1000nmであり、
前記第4サブセルはInGaAsサブセルであり、前記第4サブセルの波長帯域は1000nm−1300nmであることを特徴とする請求項1に記載の積層型太陽電池。
【請求項3】
第1サブセルは、
n−InGaPベース層と、
前記ベース層上に配置されたp+−InGaPエミッタ層と、
前記p+−InGaPエミッタ層上に配置されたp+−AlInP窓層と、
前記p+−AlInP窓層上に配置されたp+−GaAsコンタクト層と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の積層型太陽電池。
【請求項4】
第2サブセルは、
n++−GaAsコンタクト層と、
n++−GaAsコンタクト層上に配置されたn−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層(back−surface field layer)と、
前記n−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層(back−surface field layer)上に配置されたn−GaAsベース層と、
前記n−GaAsベース層上に配置されたp+−GaAsエミッタ層と、
前記p+−GaAsエミッタ層上に配置されたp+−AlGaAs窓層と、
前記p+−AlGaAs窓層上に配置されたp+−GaAsコンタクト層と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の積層型太陽電池。
【請求項5】
第3サブセルは、
n−InPバックサーフェイスフィールド層(back−surface field layer)と、
前記n−InPバックサーフェイスフィールド層上に配置されたn−InGaAsPベース層と、
前記n−InGaAsPベース層上に配置されたp+−InGaAsPエミッタ層と、
前記p+−InGaAsPエミッタ層上に配置されたp+−InP窓層と、
前記p+−InP窓層上に配置されたp++−InGaAsコンタクト層と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の積層型太陽電池。
【請求項6】
第4サブセルは、
n+−InPコンタクト層と、
前記n−InPコンタクト層上に配置されたn−InPバックサーフェイスフィールド層(back−surface field layer)と、
前記n−InPバックサーフェイスフィールド層上に配置されたn−InGaAsベース層と、
前記n−InGaAsベース層上に配置されたp+−InGaAsエミッタ層と、
前記p+−InGaAsエミッタ層上に配置されたp+−InP窓層と、
前記p+−InP窓層上に配置されたp+−InPコンタクト層と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の積層型太陽電池。
【請求項7】
前記積層型太陽電池は、
前記第1サブセルと前記第2サブセルとの間に配置されたGaAsトンネル接合層と、
前記第3サブセルと前記第4サブセルとの間に配置されたInGaAsトンネル接合層と、
をさらに含み、
前記GaAsトンネル接合層は、
p++−GaAsトンネル接合層と、
前記p++−GaAsトンネル接合層上に配置されたn++−GaAsトンネル接合層と、
を含み、
前記InGaAsトンネル接合層は、
p++−InGaAsトンネル接合層と、
前記p++−InGaAsトンネル接合層上に配置されたn++−InGaAsトンネル接合層と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の積層型太陽電池。
【請求項8】
前記基板は、
フレキシブルフィルム基板と、
前記フレキシブルフィルム基板上に配置された金属シード層と、
前記金属シード層上に配置された金属電極層と、
をさらに含み、
補助金属電極層は、前記第4サブセルと前記金属電極層との間に配置され、前記第4サブセルに整列され、
前記金属シード層はクロム(Cr)であり、
前記金属電極層及び前記補助金属電極層は金(Au)であることを特徴とする請求項2に記載の積層型太陽電池。
【請求項9】
GaAs基板上に第1AlAs犠牲層、第1サブセル、GaAsトンネル接合層、及び第2サブセルを順に積層する段階と、
InP基板上に第2AlAs犠牲層、第3サブセル、InGaAsトンネル接合層、及び第4サブセルを順に積層する段階と、
前記InP基板の前記第4サブセル上に補助金属電極層を形成する段階と、
前記補助金属電極層が形成された前記InP基板を前記InP基板を露出するようにパターニングする段階と、
フレキシブルフィルム基板上に金属シード層及び金属電極層を順に積層する段階と、
前記フレキシブルフィルム基板の前記金属電極層と前記パターニングされたInP基板の前記補助金属電極層を互いにボンディングさせる段階と、
ボンディングされたInP基板とフレキシブルフィルム基板で前記InP基板と前記第3サブセルとの間に配置された前記第2AlAs犠牲層を除去して前記InP基板を除去する段階と、
前記フレキシブルフィルム基板で前記第3サブセル上に金属ディスクアレイを形成する段階と、
前記金属ディスクアレイと前記第2サブセルが対向するように配置し、圧着させて互いにボンディングさせる段階と、
前記GaAs基板と前記第1サブセルとの間に配置された第1AlAs犠牲層を除去して前記GaAs基板を除去する段階と、
露出された第1サブセル上に金属フィンガ電極パターンを形成する段階と、
を含む積層型太陽電池の製造方法であって、
前記金属ディスクアレイは、前記金属ディスクアレイの上部に配置されたサブセルで吸収することができず透過した光を選択的反射させ、
前記金属ディスクアレイは、表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance、SPR)を用いて 選択的反射フィルタ機能を提供し、
前記金属ディスクアレイのピッチは100nmないし300nmであり、
金属ディスクの直径はピッチの50ないし70%であり、
前記金属ディスクアレイは、
マトリックスの形で配列された金属ディスクアレイシード層と、
前記金属ディスクアレイシード層上に整列して配置された中間金属ディスクアレイ層と、
前記中間金属ディスクアレイ層上整列して配置された金属ディスクアレイオーミックコンタクト層と、
を含み、
前記金属ディスクアレイシード層は20nm以下の厚さのクロム(Cr)又はTi/Ptであり、
前記金属ディスクアレイシード層はオーミック接合を形成され、
前記中間金属ディスクアレイ層は金(Au)又は銀(Ag)であり、
前記金属ディスクアレイオーミックコンタクト層はパラジウム(Pd)であることを特徴とする積層型太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記第1サブセルはInGaPサブセルであり、前記第1サブセルの波長帯域は400nm−600nmであり、
前記第2サブセルはGaAsサブセルであり、前記第2サブセルの波長帯域は600−800nmであり、
前記第3サブセルはInGaAsPサブセルであり、前記第3サブセルの波長帯域は800nm−1000nmであり、
前記第4サブセルはInGaAsサブセルであり、前記第4サブセルの波長帯域は1000nm−1300nmであることを特徴とする請求項9に記載の積層型太陽電池の製造方法。
【請求項11】
第1サブセルは、
第1AlAs犠牲層上に配置されたp+−GaAsコンタクト層と、
p+−GaAsコンタクト層上に配置されたp+−AlInP窓層と、
前記p+−AlInP窓層上に配置されたp+−InGaPエミッタ層と、
前記p+−InGaPエミッタ層上に配置されたn−InGaPベース層と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の積層型太陽電池の製造方法。
【請求項12】
第2サブセルは、
前記GaAsトンネル接合層上に配置されたp+−GaAsコンタクト層と、
前記p+−GaAsコンタクト層上に配置されたp+−AlGaAs窓層と、
前記p+−AlGaAs窓層上に配置されたp+−GaAsエミッタ層と、
前記p+−GaAsエミッタ層上に配置されたn−GaAsベース層と、
前記n−GaAsベース層上に配置されたn−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層と、
前記n−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層上に配置されたn++−GaAsコンタクト層と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の積層型太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記第3サブセルは、
前記第2AlAs犠牲層上に配置されたp++−InGaAsコンタクト層と、
前記p++−InGaAsコンタクト層上に配置されたp+−InP窓層と、
前記p+−InP窓層上に配置されたp+−InGaAsPエミッタ層と、
前記p+−InGaAsPエミッタ層上に配置されたn−InGaAsPベース層と、
前記n−InGaAsPベース層上に配置されたn−InPバックサーフェイスフィールド層と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の積層型太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記第4サブセルは、
前記InGaAsトンネル接合層上に配置されたp+−InPコンタクト層と、
前記p+−InPコンタクト層上に配置されたp+−InP窓層と、
前記p+−InP窓層上に配置されたp+−InGaAsエミッタ層と、
前記p+−InGaAsエミッタ層上に配置されたn−InGaAsベース層と、
前記n−InGaAsベース層上に配置されたn−InPバックサーフェイスフィールド層と、
前記n−InPバックサーフェイスフィールド層上に配置されたn+−InPコンタクト層と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の積層型太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重接合化合物太陽電池に関するものとして、より詳細には、 表面プラズモン共鳴構造を備えた多重接合化合物太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
毎年急激に増加している民間/産業分野におけるエネルギ需要を満たすために、石炭、石油及び天然ガスなど化石燃料エネルギ源に主に依存してきた。このような化石燃料の消費は、酸性雨、COなどを発生させて、大気汚染及び地球温暖化をもたらし、深刻な資源枯渇の問題に直面している。これに対する代案として、環境にやさしくて再生可能な太陽光、風力、バイオマス(biomass)、地熱(geothermal)などのような次世代エネルギ源の開発の必要性が増大されている。その中で太陽光エネルギは太陽の無限なエネルギを用いることができ、他の再生可能エネルギ源に比べてエネルギ変換効率が高いため、多くの研究開発が進められている。太陽電池の光電変換効率を高めるためには太陽光スペクトルの光吸収帯域を広げなければならない。このために高い吸光係数(absorption coefficient)と多様なエネルギバンドギャップ(bandgap)を有するIII−V化合物半導体を多重積層させて吸収波長を広げるように設計された多重接合(multi−junction)化合物太陽電池が活発に研究されている。
【0003】
第1世代太陽電池は、光エネルギを電池エネルギに変換可能な物質を用いた単一接合(single junction)構造である。第2世代太陽電池は、光吸収を極大化するために光吸収帯域を広げて光吸収率を高める構造を有する。第1世代太陽電池の理論的な最大の効率が30%を越えられない理由は、pn接合をなす半導体薄膜のバンドギャップエネルギより非常に大きいエネルギを有する光を吸収すると、励起された電荷が熱によって消滅し、バンドギャップエネルギより低いエネルギを有する光は透過されることによって、狭い吸収帯域による損失が非常に大きいからである。太陽電池が30%の変換効率を克服するためには、第2世代太陽電池のような変換効率を極大化するたに光吸収帯域を広げるための方法として、同じ光の入射方向に吸収帯域がエネルギが大きい太陽電池から順に積層する方法がある。
【0004】
積層型太陽電池は、それぞれの波長帯域に適合する太陽電池を吸収エネルギ帯域の高い順に垂直に配置し、それぞれに電極を連結する方法があるが、各太陽電池の蒸着の際に使用した基板を除去し、又は最大限に薄く製作しなければならず、下部電極を最小化し、又は透明電極を使用して光の透過を最大化しなければならない多くの技術的な困難さがある。
【0005】
MOCVDとMBEのような薄膜蒸着装備の発達によってIII−V化合物半導体太陽電池分野ではトンネル接合技術開発によって単一接合太陽電池の間に金属電極がなくても半導体薄膜だけで直列連結する技術が開発されて可能になった。
【0006】
積層型太陽電池でそれぞれのサブセルを直列連結するためのトンネル接合は、ドーピング濃度に限界を有していて、3層以上の積層が容易ではなく、高価の薄膜蒸着工程を使用して経済的負担がある。
【0007】
Frank Dimroth et.al.(Prog.Photovolt:Res.Appl.2014;22:277-282)は、44.7%の高い光電変換効率を有したGaInP/GaInP//GaInAsP/GaInAs 4−接合トンネル接合太陽電池を開示している。
【0008】
図1は、Frank Dimroth et.al.のGaInP/GaInP//GaInAsP/GaInAs 4−接合トンネル接合太陽電池を示す図面である。
【0009】
図1に示すように、4重接合太陽電池の構造では、GaAsセル/トンネルダイオード(Tunnel diode)エピタキシァル層とGaInAsPエピタキシァル層をウェハボンディング(wafer bonding)するために、ボンディングされるエピタキシァル層の表面粗さ(surface roughness)が大変低くなければならない。 ボンディング表面粗さが0.3nmである。この程度の粗さを得るには、CMP(chemical mechanical polishing)工程が進まなければならない。CMP工程は、工程時間が数時間ほど長くかかり、高価の工程である。
【0010】
ウェハボンディング(wafer bonding)が完了した後も、ボンディング(bonding)されない領域が存在する。このような領域に太陽電池単位素子が製作される場合、光電流が流れないため素子が作動しない。結局、高価の化合物半導体基板の上に製造することができる太陽電池単位素子の収率を減少させる。
【0011】
多重接合太陽電池の構造において、各サブセルを電気的に連結させるためにp++−n++トンネル接合(tunnel junction)(又はtunnel diode)を使用することが一般的である。トンネル接合に使用される半導体の抵抗を下げるためには、高濃度のドーピングが必要であるが、一般的に約1019〜1020cm−3程度のドーピング濃度を利用する。しかし、半導体物質の特性やエピタキシャル成長条件に従って一定水準以上の高濃度ドーピングが難しく、高濃度にドーピングされても、ドーパントが辺に簡単に拡散(diffusion)される。このような場合、急激な(abrupt)p−n接合(junction)界面を得ることが難しい。したがって、トンネルダイオードの役割を十分に果たすことができない。
【0012】
GaAsサブセルの下に位置したトンネルダイオード(tunnel diode)で、熱が加わるウェハボンディング(wafer bonding)工程過程において熱によるドーパントの拡散が発生する。これによってトンネルダイオード(tunnel diode)は、太陽電池内部で発生した光電流を外部回路に上手く伝えることができなくなる。また、ドーパントの拡散が起きると、トンネルダイオード(tunnel diode)内部のドーピング濃度が低下するため、直列抵抗が増加するようになって局所的に熱が発生する。このような熱の発生によって太陽電池内部の温度が上がると、太陽電池の効率が減少することがよく知られている。
【0013】
このような、ウェハボンディングの問題点を解決できる高効率の化合物太陽電池が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の解決しようとする一技術的課題は、積層型太陽電池の直列連結されたサブセルを連結するトンネル接合又はトンネルダイオードを除去し、金属ディスクアレイを使用して、光反射特性及び優れた電気的特性を積層型太陽電池に提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施例による積層型太陽電池は、基板と、前記基板上に互いに積層して配置され、順次に互いに異なる波長帯域を有して光電変換を行う複数のサブセルと、隣り合ったサブセルの間の界面の中で少なくとも一つに配置された金属ディスクアレイと、を含む。前記サブセルに対応する波長帯域の中心波長は、最上位層から次第に下部に進行することによって順次に減少する。前記金属ディスクアレイは、前記金属ディスクアレイの上部に配置されたサブセルで吸収することができず透過した光を反射させる。前記金属ディスクアレイは、ウェハボンディング技法によって挿入される。
【0016】
本発明の一実施例において、前記複数のサブセルは、上部から下部に進行することによって順に積層された第1ないし第4サブセルを含む。前記金属ディスクアレイは、前記第2サブセルと第3サブセルとの間に配置される。前記第1サブセルはInGaPサブセルであり、前記第1サブセルの波長帯域は400nm−600nmである。前記第2サブセルはGaAsサブセルであり、前記第2サブセルの波長帯域は600-800nmである。前記第3サブセルはInGaAsPサブセルであり、前記第3サブセルの波長帯域は800nm−1000nmである。前記第4サブセルはInGaAsサブセルであり、前記第4サブセルの波長帯域は1000nm−1300nmである。
【0017】
本発明の一実施例において、前記金属ディスクアレイのピッチは100nmないし300nmである。
【0018】
本発明の一実施例において、第1サブセルは、n−InGaPベース層と、前記ベース層上に配置されたp+−InGaPエミッタ層と、前記p+−InGaPエミッタ層上に配置されたp+−AlInP窓層と、前記p+−AlInP窓層上に配置されたp+−GaAsコンタクト層と、を含む。
【0019】
本発明の一実施例において、 第2サブセルは、n++−GaAsコンタクト層と、n++−GaAsコンタクト層上に配置されたn−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層(back−surface field layer)と、前記n−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層(back−surface field layer)上に配置されたn−GaAsベース層と、前記n−GaAsベース層上に配置されたp+−GaAsエミッタ層と、前記p+−GaAsエミッタ層上に配置されたp+−AlGaAs窓層と、前記p+−AlGaAs窓層上に配置されたp+−GaAsコンタクト層と、を含む。
【0020】
本発明の一実施例において、第3サブセルは、n−InPバックサーフェイスフィールド層(back−surface field layer)と、前記n−InPバックサーフェイスフィールド層上に配置されたn−InGaAsPベース層と、前記n−InGaAsPベース層上に配置されたp+−InGaAsPエミッタ層と、前記p+−InGaAsPエミッタ層上に配置されたp+−InP窓層と、前記p+−InP窓層上に配置されたp++−InGaAsコンタクト層と、を含む。
【0021】
本発明の一実施例において、第4サブセルは、n+−InPコンタクト層と、前記n−InPコンタクト層上に配置されたn−InPバックサーフェイスフィールド層(back−surface field layer)と、前記n−InPバックサーフェイスフィールド層上に配置されたn−InGaAsベース層と、前記n−InGaAsベース層上に配置されたp+−InGaAsエミッタ層と、前記p+−InGaAsエミッタ層上に配置されたp+−InP窓層と、前記p+−InP窓層上に配置されたp+−InPコンタクト層と、を含む。
【0022】
本発明の一実施例において、前記第1サブセルと前記第2サブセルとの間に配置されたGaAsトンネル接合層と、前記第3サブセルと前記第4サブセルとの間に配置されたInGaAsトンネル接合層と、をさらに含む。前記GaAsトンネル接合層は、p++−GaAsトンネル接合層と、前記p++−GaAsトンネル接合層上に配置されたn++−GaAsトンネル接合層と、を含む。前記InGaAsトンネル接合層は、p++−InGaAsトンネル接合層と、前記p++−InGaAsトンネル接合層上に配置されたn++−InGaAsトンネル接合層と、を含む。
【0023】
本発明の一実施例において、前記基板は、フレキシブルフィルム基板と、前記フレキシブルフィルム基板上に配置された金属シード層と、前記金属シード層上に配置された金属電極層と、をさらに含む。補助金属電極層は、前記第4サブセルと前記金属電極層との間に配置され、前記第4サブセルに整列される。前記金属シード層はクロム(Cr)であり、前記金属電極層及び前記補助金属電極層は金(Au)である。
【0024】
本発明の一実施例において、前記金属ディスクアレイは、マトリックスの形で配列された金属ディスクアレイシード層と、前記下部金属ディスクアレイシード層上に整列して配置された中間金属ディスクアレイ層と、前記中間金属ディスクアレイ層上が整列して配置された金属ディスクアレイオーミックコンタクト層と、を含む。前記金属ディスクアレイシード層は20nm以下のクロム(Cr)又はTi/Ptであり、前記中間金属ディスクアレイ層は金(Au)又は銀(Ag)であり、前記金属ディスクアレイオーミックコンタクト層はパラジウム(Pd)である。
【0025】
本発明の一実施例による積層型太陽電池の製造方法は、 GaAs基板上に第1AlAs犠牲層、第1サブセル、GaAsトンネル接合層、及び第2サブセルを順に積層する段階と、InP基板上に第2AlAs犠牲層、第3サブセル、InGaAsトンネル接合層、及び第4サブセルを順に積層する段階と、前記InP基板の前記第4サブセル上に補助金属電極層を形成する段階と、前記補助金属電極層が形成された前記InP基板をパターニングする段階と、フレキシブルフィルム基板上に金属シード層及び金属電極層を順に積層する段階と、前記フレキシブルフィルム基板の前記金属電極層と前記パターニングされたInP基板の前記補助金属電極層を互いにボンディングさせる段階と、ボンディングされたInP基板とフレキシブルフィルム基板で前記InP基板と前記第3サブセルとの間に配置された前記第2AlAs犠牲層を除去して前記InP基板を除去する段階と、前記フレキシブルフィルム基板で前記第3サブセル上に金属ディスクアレイを形成する段階と、前記金属ディスクアレイと前記第2サブセルが対向するように配置し、圧着させて互いにボンディングさせる段階と、前記GaAs基板と前記第1サブセルとの間に配置された第1AlAs犠牲層を除去して前記GaAs基板を除去する段階と、露出された第1サブセル上に金属フィンガ電極パターンを形成する段階と、を含む。
【0026】
本発明の一実施例において、前記フレキシブルフィルム基板で前記第3サブセル上に金属ディスクアレイを形成する段階は、前記フレキシブルフィルム基板で前記第3サブセル上にマトリックスの形で配列された金属ディスクアレイシード層と、前記下部金属ディスクアレイシード層上に整列して配置された中間金属ディスクアレイ層と、前記中間金属ディスクアレイ層上が整列して配置された金属ディスクアレイオーミックコンタクト層を含む。前記金属ディスクアレイシード層は20nm以下のクロム(Cr)又はTi/Ptであり、前記中間金属ディスクアレイ層は金(Au)又は銀(Ag)であり、前記金属ディスクアレイオーミックコンタクト層はパラジウム(Pd)である。
【0027】
本発明の一実施例において、前記第1サブセルはInGaPサブセルであり、前記第1サブセルの波長帯域は400nm−600nmである。前記第2サブセルはGaAsサブセルであり、前記第2サブセルの波長帯域は600-800nmである。前記第3サブセルはInGaAsPサブセルであり、前記第3サブセルの波長帯域は800nm−1000nmである。前記第4サブセルはInGaAsサブセルであり、前記第4サブセルの波長帯域は1000nm−1300nmである。
【0028】
本発明の一実施例において、前記金属ディスクアレイのピッチは100nmないし300nmである。
【0029】
本発明の一実施例において、第1サブセルは、第1AlAs犠牲層上に配置されたp+−GaAsコンタクト層と、p+−GaAsコンタクト層上に配置されたp+−AlInP窓層と、前記p+−AlInP窓層上に配置されたp+−InGaPエミッタ層と、前記p+−InGaPエミッタ層上に配置されたn−InGaPベース層と、を含む。
【0030】
本発明の一実施例において、第2サブセルは、前記GaAsトンネル接合層上に配置されたp+−GaAsコンタクト層と、前記p+−GaAsコンタクト層上に配置されたp+−AlGaAs窓層と、前記p+−AlGaAs窓層上に配置されたp+−GaAsエミッタ層と、前記p+−GaAsエミッタ層上に配置されたn−GaAsベース層と、前記n−GaAsベース層上に配置されたn−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層と、前記n−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層上に配置されたn++−GaAsコンタクト層と、を含む。
【0031】
本発明の一実施例において、前記第3サブセルは、前記第2AlAs犠牲層上に配置されたp++−InGaAsコンタクト層と、前記p++−InGaAsコンタクト層上に配置されたp+−InP窓層と、前記p+−InP窓層上に配置されたp+−InGaAsPエミッタ層と、前記p+−InGaAsPエミッタ層上に配置されたn−InGaAsPベース層と、前記n−InGaAsPベース層上に配置されたn−InPバックサーフェイスフィールド層と、を含む。
【0032】
本発明の一実施例において、前記第4サブセルは、前記InGaAsトンネル接合層上に配置されたp+−InPコンタクト層と、前記p+−InPコンタクト層上に配置されたp+−InP窓層と、前記p+−InP窓層上に配置されたp+−InGaAsエミッタ層と、 前記p+−InGaAsエミッタ層上に配置されたn−InGaAsベース層と、前記n−InGaAsベース層上に配置されたn−InPバックサーフェイスフィールド層と、前記n−InPバックサーフェイスフィールド層上に配置されたn+−InPコンタクト層と、を含む。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一実施例によると、ウェハボンディング技術によって結合された積層型太陽電池は、サブセルを金属ディスクアレイを用いて電気的に連結するだけでなく、光フィルタで動作して特定波長帯域を反射させて光電変換効率を上昇させることができる。
【0034】
また、前記金属ディスクアレイは、半導体とオーミックコンテックを提供するために、オーミック接合を提供する層を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】Frank Dimroth et.al.のGaInP/GaInP//GaInAsP/GaInAs 4−接合トンネル接合太陽電池を示す図面 である。
図2A】本発明の一実施例による積層型太陽電池を説明する斜視図である。
図2B図2Aの積層型太陽電池を説明する断面図である。
図3】本発明の一実施例によるMDA構造及びその形状、反射率、及び変換効率、上昇率を示す。
図4A】本発明の一実施例による積層型太陽電池の製造方法を説明する図面である。
図4B】本発明の一実施例による積層型太陽電池の製造方法を説明する図面である。
図4C】本発明の一実施例による積層型太陽電池の製造方法を説明する図面である。
図4D】本発明の一実施例による積層型太陽電池の製造方法を説明する図面である。
図4E】本発明の一実施例による積層型太陽電池の製造方法を説明する図面である。
図4F】本発明の一実施例による積層型太陽電池の製造方法を説明する図面である。
図4G】本発明の一実施例による積層型太陽電池の製造方法を説明する図面である。
図4H】本発明の一実施例による積層型太陽電池の製造方法を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の一実施例による積層型太陽電池は4重接合太陽電池の構造であり、第2サブセルのエピタキシァル層とMDA(metal disk array)/第3サブセルの間のボンディングは、長い工程時間と高価の費用がかかるCMP工程を利用しない。実際的なボンディングは、ウェハボンディング(wafer bonder)を用いてCr/Au/Pd積層構造のMDAのPd(palladium)と高濃度ドーピングされたn++−GaAs(contact)エピタキシァル層とのボンディングである。このボンディング過程でPdとn++−GaAsに圧力が加えられると、Pd、原子がGaAs層に拡散されて、PdGaAs界面が形成される。この界面の形成で、オーミック接合が行われ、ボンディング強度も高める。
【0037】
前記金属ディスクアレイのピッチと直径は、第1サブセルと第2サブセルの吸収波長帯域を反射するように設定される。これによって、前記金属ディスクアレイは、オーミック接合特性と反射特性を用いて高い光電変換効率を達成する。
【0038】
本発明で提示したMDAを用いたオーミック接合は、金属を用いるので、ドーパント拡散問題がなく、高濃度ドーピングされた半導体トンネルダイオード(tunnel diode)の直列抵抗よりさらに低い抵抗値を有するようになって、光電流の損失を減少させる。
【0039】
本発明の一実施例によると、提案された太陽電池は、フレキシブルフィルム(flexible film)上に製作される。したがって、ドローン、無人航空機及び携帯用機器に容易に付着することができる。また、太陽電池エピタキシァル層から分離した高価のGaAsとInP基板を再使用することができるという長所がある。
【0040】
本発明の一実施例による積層型(tandem)太陽電池は、それぞれのサブセルの間のトンネル接合の中で少なくとも一つを表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance、SPR)を用いた金属ディスクアレイで代替してサブセルの電気的な直列連結を行い、選択的反射フィルタ機能を提供して太陽電池変換効率をさらに向上させる。
【0041】
本発明の一実施例による積層型太陽電池は、上部から下部に進行することによって、順に積層された第1ないし第4サブセルを含む。第1ないし第4サブセルは、吸収波長帯域が互いに重畳しなく、順次に増加する。それぞれのサブセルは、互いに異なる波長帯域に光電変換を行う。これによって、サブセルは可視光線領域から赤外領域まで分布された太陽光の分光分布の中で特定波長帯域で光電変換を行う。具体的に、最上部に配置された第1サブセルは、400nm−600nmの波長帯域の光を吸収して光電変換する。第1サブセルの下部に配置された第2サブセルは、前記第1サブセルを透過した光の中で600nm−800nmの波長帯域の光を吸収して光電変換する。第2サブセルの下部に配置された第3サブセルは、前記第2サブセルを透過した光の中で800nm−1000nmの波長帯域の光を吸収して光電変換する。第3サブセルの下部に配置された第4サブセルは、前記第3サブセルを透過した光の中で1000nm−1300nmの波長帯域の光を吸収して光電変換する。
【0042】
このような構造の積層型太陽電池は、第1サブセルで吸収されなかった400nm−600nmの波長は下部の他のサブセルで吸収することができず損失される。このような問題を解決するために、吸収することができず透過した短波長の光は反射させ、下部のサブセルで吸収する長波長の光は透過させる構造が要求される。このために、金属ディスクアレイが使用される。また、前記金属ディスクアレイは、サブセルの間に配置されてサブセルを電気的に直列連結するトンネル接合を代替する。これに従って、サブセルの電気的連結を達成するだけでなく、吸収することができず透過した短波長の光は反射させて、上部のサブセルは反射された光を吸収して光電変換効率を増加させる。
【0043】
本発明の一実施例によると、金属ディスクアレイに基づいた表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance、SPR)を用いてフレキシブル4重接合InGaP/GaAs/InGaAsP/InGaAsの太陽電池の光電流を増加させて太陽電池変換効率を向上させる。
【0044】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。本発明の利点及び特徴、そしてそれを達成する方法は、添付する図面とともに詳細に後述している実施例を参照すると明確になる。しかし、本発明は、ここで説明される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる形で具体化される。むしろ、ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底且つ完全になるように、そして当業者に本発明の思想が十分に伝わるようにするために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0045】
明細書専門にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指す。したがって、同一の参照符号又は類似の参照符号は当該図面で言及又は説明されなくても、他の図面を参照して説明される。また、参照符号が表示されなくても、他の図面を参照して説明される。
【0046】
図2Aは、本発明の一実施例による積層型太陽電池を説明する斜視図である。
図2Bは、図2Aの積層型太陽電池を説明する断面図である。
図2A及び図2Bに示すように、積層型太陽電池100は、基板107と、前記基板107上に互いに積層して配置され、順次に互いに異なる波長帯域を有して光電変換を行う複数のサブセル110、130、150、170と、隣り合ったサブセルの間の界面の中で少なくとも一つに配置された金属ディスクアレイ140と、を含む。前記サブセルに対応する波長帯域の中心波長は、最上位層から次第に下部に進行することによって順次に減少する。前記金属ディスクアレイ140は、前記金属ディスクアレイ140の上部に配置されたサブセルで吸収することができず透過した光を反射させる。前記金属ディスクアレイ140は、ウェハボンディング技法によって挿入される。
【0047】
本発明の一実施例による積層型太陽電池100は、それぞれpn接合を備えた4つのサブセル110、130、150、170を含む。それぞれのサブセル110、130、150、170は直列に連結される。第1サブセル110は、In0.49Ga0.51Pの第1pn接合J1を備える。第2サブセル130は、GaAsの第2pn接合J2を備える。第3サブセル150は、In0.84Ga0.16As0.310.69の第3pn接合を備える。第4サブセル179は、In0.53Ga0.47Asの第4pn接合を備える。
【0048】
したがって、最終変換効率は、短絡電流密度(short−circuit current density、Jsc)と開放電圧(open−circuit voltage、Voc)の積に比例する。この時、短絡電流密度Jscは、サブセルの直列連結によって電流整合(current matching)条件が成り立つ。短絡電流密度Jscは、サブセルの最も小さい短絡電流密度値によって制限される(Jsc=Jsc、min)。開放電圧Vocの場合、各サブセルの開放電圧を足す値を有する(Voc=Voc、J1+Voc、J2+Voc、J3+Voc、J4)。
【0049】
太陽電池の変換効率は、光電流と開放電圧の積に比例する。4重接合太陽電池の構造で上部セルから下部セルに進んでいくほど半導体物質のバンドギャップが小さくなる。物質のバンドギャップが小さいほど形成することができる光電流は一般的に増加する。したがって、InGaP→GaAs→InGaAsP→InGaAs順に進んでいくほどサブセルが作り出す光電流は増加する。それぞれのサブセルは直列連結されているため、最終的な光電流は最小電流値に制限される。例えば、InGaPセルが10mA、GaAsセルが20mA、InGaAsPセルが50mA、InGaAsセルが60mAの光電流を作れ出せば、これは直列連結であるため、4重接合太陽電池の光電流は結果的に10mAである。そして、一般的に半導体物質のバンドギャップが小さいほど、太陽電池の開放電圧Vocがそれに比例して小さくなる。したがって、InGaP→GaAs→InGaAsP→InGaAs順に進んでいくほどそれぞれのサブセルの開放電圧は減少する。この時サブセルが直列連結されているため、4重接合の太陽電池の最終的な開放電圧はそれぞれの開放電圧を足す値になる。つまり、Voc、total=Voc、InGaP+Voc、GaAs+Voc、InGaAsP+Voc、InGaAsである。したがって、4重接合の太陽電池の効率は下記のように表す。
効率∝最小光電流x(Voc、InGaP+Voc、GaAs+Voc、InGaAsP+Voc、InGaAs
【0050】
提示した4重接合太陽電池で最小光電流を形成するサブセルは、InGaPセルである。MDAプラズモン共鳴によるInGaPの光吸収が増加するようになれば、これに比例してInGaPサブセルの光電流も増加して最小光電流レベルを向上させる。だけでなく、MDAによってGaAsサブセルの光吸収も増加して光キャリア(photogenerated electrons/holes)のキャリア寿命(carrier lifetime)が増加する。キャリア寿命が増加すると、開放電圧が増加することが知られている。
【0051】
結果的にMDA構造を挿入することでによって、上述した効率公式で最小光電流とVoc、GaAsを同時に増加させることができるので、4重接合の太陽電池の効率向上を期待することができる。したがって、変換効率を向上させるためには、第1サブセル(又はJ1)又は第2サブセル(又はJ2)の光電流が増加しなければならない。
【0052】
このために、ウェハボンディング技術によって互いにボンディングされる、第2サブセル130と第3サブセル150との間に金属ディスクアレイ140が挿入される。金属ディスクアレイ140はその上部に存在する第1サブセル(又はJ1)又は第2サブセル(又はJ2)の光吸収を増加させる。
【0053】
入射する太陽光で、波長以下の直径を有する金属ディスクアレイ140を誘電物質に製作する場合、金属と誘電物質との間の界面で伝導帯(conduction band)電子の集団的な振動現象である表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance、SPR)現象が発生する。 MDA構造変化を通じてこのようなプラズモン共鳴を制御して誘電物質の光吸収特性又は反射特性を向上させる。
【0054】
MDAによるプラズモン共鳴波長は下記のように表す。
【数1】
【0055】
ここでp:metal diskの間隔(pitch)、(i、j):散乱係数、ε:metalの誘電定数、ε:半導体の誘電定数である。したがって、プラズモン共鳴波長はMDAのピッチに比例する。MDAのピッチを調節することによって、MDAの上に位置したInGaP及びGaAsサブセルが吸収できる波長帯域中の特定領域波長の吸収を増大させる。太陽電池エピタキシャル結晶質(crystal quality)が良くないか、又は単位素子の製作過程で工程欠陥によって素子が損傷を受けた場合、太陽電池の特定波長帯域に対する量子効率が減少される。このような量子効率(quantum efficiency)が低い波長領域に対するMDAのピッチを調節してプラズモン共鳴現象を起こしてくれば、光吸収が向上して量子効率を増大させることができる。したがって、太陽電池の光電変換効率が増加される。そして、制限された太陽電池の面積で同一の直径を有するMDAのピッチを調整すると、開口率が変わる。このような開口率の変化は、太陽光がMDA表面に入射する時、InGaP及びGaAsサブセルの方への太陽光反射率及びInGaAsP及びInGaAsサブセルの方への透過率に影響を及ぼす。
【0056】
既存の研究では、太陽電池の表面の上にナノ粒子コーティングなどでプラズモン現象を起こし、光電流の向上を報告した。しかし、ナノ粒子が表面に位置すれば、粒子が占める面積ほど太陽電池の光吸収面積が減る。一方、本発明ではMDAを光吸収を増大させようとするInGaP及びGaAsサブセルの下側に位置させた。したがって、前述した光吸収実際面積の減少のような問題がない。MDAがInGaAsP/InGaAsサブセルの上側に位置しているので、当該サブセルに入射される太陽光の量が減少されるが、最終的な4重接合太陽電池の光電流はInGaPサブセルの光電流で決定される。したがって、本発明で提示したMDAが結合された4重接合太陽電池では向上した効率を達成することができる。
【0057】
前記金属ディスクアレイの開口率は、50%ないし90%程度である。例えば、前記複数のサブセルは、上部から下部に進行することによって順に積層された第1ないし第4サブセル110、130、150、170を含む。前記金属ディスクアレイ140は、前記第2サブセル130と第3サブセル150との間に配置される。前記第1サブセル110はInGaPサブセルであり、前記第1サブセル110の波長帯域は400nm−600nmである。前記第2サブセル130はGaAsサブセルであり、前記第2サブセルの波長帯域は600-800nmである。前記第3サブセル150はInGaAsPサブセルであり、前記第3サブセル150の波長帯域は800nm−1000nmである。前記第4サブセル170はInGaAsサブセルであり、前記第4サブセル170の波長帯域は1000nm−1300nmである。前記第1サブセル110は太陽光の提供を受けて400nm−600nmの波長の光の中で一部を吸収し、残りの光は透過させる。前記第2サブセル130は、提供を受けた光の中で600nm−800nmの波長の光の中で一部を吸収し、残りの光は透過させる。
【0058】
前記金属ディスクアレイ140は、提供を受けた光の中で400nm−800nmの光を主に反射するように設計される。具体的に、前記金属ディスクアレイ140のピッチは100nmないし300nmである。また、前記ディスクの直径はピッチの50ないし70%程度である。前記金属ディスクアレイ140は、一定の間隔を有し、マトリックスの形で配列された金属ディスクアレイシード層141と、前記金属ディスクアレイシード層上に整列して配置された中間金属ディスクアレイ層142と、前記中間金属ディスクアレイ層上が整列して配置された金属ディスクアレイオーミックコンタクト層143と、を含む。前記金属ディスクアレイシード層141は20nm以下のクロム(Cr)であり、前記中間金属ディスクアレイ層142は金(Au)又は銀(Au)であり、前記金属ディスクアレイオーミックコンタクト層143はパラジウム(Pd)である。
【0059】
ウェハボンディング装置(wafer bonder)を用いて、金属ディスクアレイシード層/中間金属ディスクアレイ層/金属ディスクアレイオーミックコンタクト層積層構造の金属ディスクアレイ140で、Pd(palladium)と高濃度ドーピングされたn++−GaAsコンタクト層136とのボンディングが行われる。このボンディング過程でPdとn++−GaAsコンタクト層126に圧力が加えられると、Pd原子がn++−GaAsコンタクト層126に拡散が起きてPdGaAs界面が形成される。この界面の形成でオーミック接合が行われ、ボンディング強度も高める。
【0060】
本発明で提示した金属ディスクアレイ140を用いたオーミック接合は、金属を用いるためドーパント拡散問題がなく、高濃度ドーピングされた半導体トンネルダイオード(tunnel diode)の直列抵抗よりさらに低い抵抗値を有するので、光電流の損失を減少させる。
【0061】
それぞれのサブセル110、130、150、170は、n型ベース層とp型エミッタ層のpn接合を備えたIII−V族化合物の半導体である。サブセルは、エピタキシァル成長法で成長する。
【0062】
第1サブセル110は、n−InGaPベース層114と、前記n−InGaPベース層114上に配置されたp+−InGaPエミッタ層113と、前記p+−InGaPエミッタ層113上に配置されたp+−AlInP窓層112と、前記p+−AlInP窓層112上に配置されたp+−GaAsコンタクト層111と、を含む。n型不純物は、シリコン(Si)であり、p型不純物はベリリウム(Be)である。
【0063】
GaAsトンネル接合層120は、前記第1サブセル110と前記第2サブセル130との間に配置される。前記GaAsトンネル接合層120は、p++−GaAsトンネル接合層122と、前記p++−GaAsトンネル接合層上に配置されたn++−GaAsトンネル接合層121と、を含む。
【0064】
第2サブセル130は、n++−GaAsコンタクト層136と、n++−GaAsコンタクト層136上に配置されたn−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層135(back−surface field layer)と、前記n−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層135上に配置されたn−GaAsベース層134と、前記n−GaAsベース層134上に配置されたp+−GaAsエミッタ層133と、前記p+−GaAsエミッタ層上に配置されたp+−AlGaAs窓層132と、前記p+−AlGaAs窓層上に配置されたp+−GaAsコンタクト層131と、を含む。
【0065】
前記金属ディスクアレイ140は、マトリックスの形で配列された金属ディスクアレイシード層141と、前記下部金属ディスクアレイシード層141上に整列して配置された中間金属ディスクアレイ層142と、前記中間金属ディスクアレイ層142上に整列して配置された金属ディスクアレイオーミックコンタクト層143と、を含む。前記金属ディスクアレイシード層141は20nm以下のクロム(Cr)であり、前記中間金属ディスクアレイ層142は金(Au)又は銀(Ag)であり、前記金属ディスクアレイオーミックコンタクト層143はパラジウム(Pd)である。
【0066】
MDAの製作に使用される金属はCr/Au/Pdであり、電子ビーム蒸着法(electron beam evaporation)でp++−InGaAsコンタクト層151の上に蒸着する。又は、Ti/Pt/Au/Pd蒸着を用いる。p++−InGaAsコンタクト層151の上に蒸着されたCr/Au(又はTi/Pt/Au)は熱処理工程を経れば、オーミック接合が形成されてMDAとInGaAs層の間に強いボンディングが行われる。
【0067】
MDAとMDAの上に位置したn++−GaAsコンタクト層136とのボンディングのためにPdを用いる。ウェハボンダ(Wafer bonder)を用いたボンディングの場合、一般的に高温(摂氏400度以上)で工程が行われる。このような高温ウェハボンディングはIII−V化合物半導体の結晶分解を起こして結晶質(crystal quality)を減少させる。これを防止するためにPdを使用するが、Pd、原子の表面拡散係数が大変高くて、常温でもGaAs層と接触させておくと、Pd原子がGaAsの方に拡散が起きる。拡散過程を通じて低いオーミックコンタクト抵抗を有するPd GaAs界面が形成され、MDAとn++−GaAs層の間に強いボンディングが行われる。
【0068】
したがって、Cr/Au/Pd MDAの導入によって、J2とJ3サブセルの間のウェハボンディングと周期的に配列されたAuによるプラズモン効果を同時に得られる。
【0069】
第3サブセル150は、n−InPバックサーフェイスフィールド層155(back−surface field layer)と、前記n−InPバックサーフェイスフィールド層155上に配置されたn−InGaAsPベース層154と、前記n−InGaAsPベース層154上に配置されたp+−InGaAsPエミッタ層153と、前記p+−InGaAsPエミッタ層上に配置されたp+−InP窓層152と、前記p+−InP窓層上に配置されたp++−InGaAsコンタクト層151と、を含む。
【0070】
InGaAsトンネル接合層160は、前記第3サブセル150と前記第4サブセル170との間に配置される。前記InGaAsトンネル接合層160は、p++−InGaAsトンネル接合層162と、前記p++−InGaAsトンネル接合層上に配置されたn++−InGaAsトンネル接合層161と、を含む。
【0071】
第4サブセル170は、n+−InPコンタクト層176と、前記n−InPコンタクト層上に配置されたn−InPバックサーフェイスフィールド層175と、前記n−InPバックサーフェイスフィールド層上に配置されたn−InGaAsベース層174と、前記n−InGaAsベース層上に配置されたp+−InGaAsエミッタ層173と、前記p+−InGaAsエミッタ層上に配置されたp+−InP窓層172と、前記p+−InP窓層上に配置されたp+−InPコンタクト層171と、を含む。
【0072】
前記基板107は、フレキシブルフィルム基板107aと、前記フレキシブルフィルム基板上に配置された金属シード層107bと、前記金属シード層上に配置された金属電極層107cと、を含む。
補助金属電極層177は、前記第4サブセル170と前記金属電極層107cとの間に配置され、前記第4サブセル170に整列される。前記金属シード層107bはクロム(Cr)であり、前記金属電極層107c及び前記補助金属電極層177は金(Au)である。
【0073】
p+(n+)−コンタクト層はbase層で形成された正孔(電子)を収集(collection)する役割を担う。p+−windowは窓層にエミッタ半導体物質のバンドギャップよりさらに大きいバンドギャップを有する物質が使用される。エミッタの上に窓層が存在しないならば、エミッタ物質は大変速い表面再結合速度を有するため、光キャリアが外部回路に流れずエミッタ内部で再結合(carrier recombination)されて消滅する。窓層はこのような速い再結合速度を落として外部量子効率を高める役割をする。
【0074】
ベース層の内部には空乏層(depletion region)領域が存在するが、この領域で主に光吸収を通じて光キャリア(電子、正孔)が作られる。光キャリアはp−n接合界面に存在する内部電気場によって、電子はn−type半導体の方に、正孔はp−type半導体の方にドリフト(drift)して移動する。
【0075】
p++/n++−トンネル接合層は、不純物を高濃度(1019〜1020cm−3)でドーピングして数〜数十ナノメートル程度に大変薄く形成する。トンネル接合は、サブセルの電気的相互連結ができるように直列抵抗が大変低くなければならず、トンネル接合層の光吸収が最小になるように形成されなければならない。
【0076】
n−BSF層は、相対的にドーピング濃度が高いコンタクト層の上に位置するが、2つの半導体物質(BSFとcontact層)界面ではドーピング濃度差によって界面電気長が発生する。この電場は少数キャリア(minority carrier)がコンタクト層に移動して多数キャリア(majority carrier)と再結合することを防ぐ役割をする。本発明においては、n−type BSF層を使用したが、界面電場によって正孔(少数キャリア)がn+−contact層で電子(多数キャリア)と再結合することを防止する。再結合されない正孔は、p−type半導体の方に移動して外部回路へ抜けて、光電流の向上に寄与する。
【0077】
図3は、本発明の一実施例によるMDA構造及びその形状、反射率、及び変換効率、上昇率を示す。
【0078】
図3に示すように、MDA構造(a)による上部サブセルの光吸収の向上の程度を調べるために、時間領域有限差分法(finite difference time domain、FDTD)を用いてシミュレーションを行った。このような理論的シミュレーションを通じて光の吸収を最大化できるMDA構造を設計した。(b)は、ナノインプリントリソグラフィ(nanoimprint lithography、NIL)工程を用いて最適のMDA構造を作製する。基板はGaAs基板であり、MDAの直径はピッチの60%である。MDAの厚さは20nmである。
【0079】
(c)は、MDAのないGaAs基及び、金/銀MDA構造の反射率スペクトルを示す。MDAのない場合、基板の反射率は300〜800nm波長範囲で略32%程度で一定である。しかし、金(gold)と銀(silver)MDA構造の反射率は、波長が増加することに従って反射率(>32%)が全体的に増加する傾向を示す。つまり、上部サブセル(J1、J2)の下にMDA構造の導入によって増加された反射率ほど上部サブセルの光吸収を増加させることができる。MDA構造のシミュレーションをさらに最適化する場合、第1サブセル110の主な吸収波長である400〜600nmと第2サブセル130の主な吸収波長である600〜800nmの範囲でさらに向上された光の吸収を期待する。
【0080】
(d)は、300〜800nm波長範囲でMDAのピッチ(pitch)によるMDA構造のない基板の反射率対比金(gold)/銀(silver)MDA構造の反射率の向上度を示したものである。
【数2】
【0081】
金/銀MDA構造でピッチが150nm(100nm)である場合、反射率向上度が最大になった。また、銀MDA構造の場合、誘電定数の差によって同一のピッチで金MDA構造よりさらに高い反射率向上度を見せた。
【0082】
このような金/銀MDA構造は、J2(GaAs)とJ3(InGaAsP)、サブセル間の優れた電気的インターコネクタとして用いられる。既存の多重接合太陽電池では、各サブセルの電気的連結のために大変薄い数〜数十ナノメートルの厚さのトンネル接合層(tunnel junction layer)が使用される。このトンネル接合層は、化合物半導体に高濃度で不純物をドーピングした構造である。ドーピング過程で不純物拡散によって、abruptしたドーピングプロファイルを得ることが難しく、一定レベル以上の高濃度ドーピングの具現が難しいので、電気的抵抗が大変低いトンネル接合の形成に困難さがある。一方、金/銀MDA構造は、電気伝導度(σgold=4.1 x 10 S/m、σsilver=6.3 x 10 S/m,20℃)が半導体トンネル接合層に比べて大変高いため、GaAsとInGaAsPサブセルの間の電気的損失を最小化する良い電気的インターコネクタとして使用される。したがって、本発明で提示した金/銀MDA構造は、上部サブセルの光吸収を効果的に拡大すると同時に、上部サブセルと下部サブセルで形成された光電流を損失せずに伝達して多重接合太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
【0083】
図4Aないし図4Hは、本発明の一実施例による積層型太陽電池の製造方法を説明する図面である。
【0084】
図4Aないし図4Gに示すように、積層型太陽電池100の製造方法は、GaAs基板105上に第1AlAs犠牲層119、第1サブセル110、GaAsトンネル接合層120、及び第2サブセル130を順に積層する段階と、InP基板106上に第2AlAs犠牲層159、第3サブセル150、InGaAsトンネル接合層160、及び第4サブセル170を順に積層する段階と、前記InP基板106の前記第4サブセル170上に補助金属電極層177を形成する段階と、前記補助金属電極層177が形成された前記InP基板106をパターニングする段階と、フレキシブルフィルム基板107a上に金属シード層107b及び金属電極層107cを順に積層する段階と、前記フレキシブルフィルム基板107aの前記金属電極層107cと前記パターニングされたInP基板の前記補助金属電極層177を互いにボンディングさせる段階と、ボンディングされたInP基板106とフレキシブルフィルム基板107で前記InP基板106と前記第3サブセル150との間に配置された前記第2AlAs犠牲層159を除去して前記InP基板106を除去する段階と、前記フレキシブルフィルム基板107で前記第3サブセル150上に金属ディスクアレイ140を形成する段階と、前記金属ディスクアレイ140と前記第2サブセル130が対向するように配置し、圧着させて互いにボンディングさせる段階と、前記GaAs基板105と前記第1サブセル110との間に配置された第1AlAs犠牲層119を除去して前記GaAs基板105を除去する段階と、露出された第1サブセル110上に金属フィンガ電極パターン181を形成する段階と、を含む。
【0085】
前記第1サブセル110はInGaPサブセルであり、前記第1サブセル110の波長帯域は400nm−600nmである。前記第2サブセル130はGaAsサブセルであり、前記第2サブセルの波長帯域は600-800nmである。前記第3サブセル150はInGaAsPサブセルであり、前記第3サブセルの波長帯域は800nm−1000nmである。前記第4サブセル170はInGaAsサブセルであり、前記第4サブセルの波長帯域は1000nm−1300nmである。 前記金属ディスクアレイ140のピッチは100nmないし300nmである。
【0086】
MOCVD(metalorganic chemical vapor deposition)やMBE(molecular beam epitaxy)のような薄膜エピタキシ装備を用いて太陽電池エピタクシを成長する。エピ構造はGaAs基板105上に格子整合(lattice−match)で成長された第1AlAs犠牲層119、第1サブセル110、GaAsトンネル接合層120と第2サブセル130構造を有する。また、エピ構造は、InP基板106上に格子整合で成長された第2AlAs犠牲層159、第3サブセル150、InGaAsトンネル接合層160と第4サブセル170構造を有する。
【0087】
図4Aに示すように、GaAs基板105上に第1AlAs犠牲層119、第1サブセル110、GaAsトンネル接合層120、及び第2サブセル130を順に積層する。前記第1AlAs犠牲層119は、数十nm以下の厚さを有する。第1サブセル110は、前記第1AlAs犠牲層119上に配置されたp+−GaAsコンタクト層111と、p+−GaAsコンタクト層上に配置されたp+−AlInP窓層112と、前記p+−AlInP窓層上に配置されたp+−InGaPエミッタ層113と、前記p+−InGaPエミッタ層113上に配置されたn−InGaPベース層114と、を含む。
【0088】
GaAsトンネル接合層120は、前記n−InGaPベース層114上に配置されたn++−GaAs層121及び前記n++−GaAs層121上に配置されたp++−GaAs層122を含む。
【0089】
第2サブセル130は、前記GaAsトンネル接合層120上に配置されたp+−GaAsコンタクト層131と、前記p+−GaAsコンタクト層上に配置されたp+−AlGaAs窓層132と、前記p+−AlGaAs窓層上に配置されたp+−GaAsエミッタ層133と、前記p+−GaAsエミッタ層上に配置されたn−GaAsベース層144と、前記n−GaAsベース層上に配置されたn−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層145と、前記n−AlGaAsバックサーフェイスフィールド層上に配置されたn++−GaAsコンタクト層145と、を含む。
【0090】
GaAs基板105上に第1AlAs犠牲層119、第1サブセル110、GaAsトンネル接合層120、及び第2サブセル130を順に積層した後、第1AlAs犠牲層119、第1サブセル110、GaAsトンネル接合層120、及び第2サブセル130はパターニングされる。
【0091】
図4Bに示すように、InP基板106上に第2AlAs犠牲層159、第3サブセル150、InGaAsトンネル接合層160、及び第4サブセル170を順に積層する。
【0092】
InP基板106上に第2AlAs犠牲層159が形成される。前記第2AlAs犠牲層159は20nm以下である。前記第2AlAs犠牲層159上に第3サブセル150が形成される。
【0093】
前記第3サブセル150は、前記第2AlAs犠牲層159上に配置されたp++−InGaAsコンタクト層151と、前記p++−InGaAsコンタクト層151上に配置されたp+−InP窓層152と、前記p+−InP窓層152上に配置されたp+−InGaAsPエミッタ層153と、前記p+−InGaAsPエミッタ層153上に配置されたn−InGaAsPベース層154と、前記n−InGaAsPベース層154上に配置されたn−InPバックサーフェイスフィールド層155と、を含む。
【0094】
前記InGaAsトンネル接合層160は、前記第3サブセル150の前記n−InPバックサーフェイスフィールド層155上に配置されたn++−InGaAsトンネル接合層161と、n++−InGaAsトンネル接合層161上に配置されたp++−InGaAsトンネル接合層162と、を含む。
【0095】
前記第4サブセル170は、前記InGaAsトンネル接合層160上に配置されたp+−InPコンタクト層171と、前記p+−InPコンタクト層171上に配置されたp+−InP窓層172と、前記p+−InP窓層172上に配置されたp+−InGaAsエミッタ層173と、前記p+−InGaAsエミッタ層173上に配置されたn−InGaAsベース層174と、前記n−InGaAsベース層174上に配置されたn−InPバックサーフェイスフィールド層175と、前記n−InPバックサーフェイスフィールド層175上に配置されたn+−InPコンタクト層176と、を含む。
【0096】
前記InP基板106の前記第4サブセル170上に補助金属電極層177を形成する。つまり、前記第4サブセルの前記n+−InPコンタクト層176上に補助金属電極層177が配置される。前記補助金属電極層177の材質は金である。
【0097】
前記補助金属電極層177が形成された前記InP基板106をパターニングする。前記パターニング工程はフォトリソグラフィ工程とドライエッチング又はウェットエッチング工程が使用される。
【0098】
フレキシブルフィルム基板107a上に金属シード層107b及び金属電極層107cを順に積層する。前記金属シード層107bはクロムであり、前記金属電極層107cは金である。
【0099】
図4Cに示すように、前記フレキシブルフィルム基板107aの前記金属電極層107cと前記パターニングされたInP基板の前記補助金属電極層177を互いにボンディングさせる。前記金属電極層177と前記補助金属電極層107cのボンディングは、一定の圧力を印加して行う。
【0100】
図4Dに示すように、互いにボンディングしたInP基板とフレキシブルフィルム基板で前記InP基板106と前記第3サブセル150との間に配置された前記第2AlAs犠牲層159を除去して、前記InP基板106を除去する。これによって、前記第3サブセル150のp++−InGaAsコンタクト層151が露出される。前記第2AlAs犠牲層159の除去は、HF(hydrogen fluoride)とDI(deionized)waterが1:5の割合で希釈した溶液に浸しておくと、HF溶液によって第2AlAs犠牲層159だけを選択的にエッチングする。これによって、J3/J4太陽電池とInP基板106が分離されるエピタキシァルリフト-オフ(epitaxial lift−off;ELO)工程を用いる。
【0101】
図4Eに示すように、フレキシブルフィルム基板107a上に前記第3サブセル150のp++−InGaAsコンタクト層151上に金属ディスクアレイ140を形成する。第3サブセルのInGaAsPエピタクシの表面に前記金属ディスクアレイ140をリフト−オフ工程を用いて形成する。例えば、大面積でナノ構造パターンを形成するために一般的に多く使われるナノインプリントリソグラフィ工程が用いられる。ナノインプリント工程でMDAレジストパターンを形成した後、電子ビーム金属薄膜蒸着装置(e−beam evaporator)で金属薄膜を蒸着する。
【0102】
前記金属ディスクアレイ140は、マトリックスの形で配列された金属ディスクアレイシード層141と、前記下部金属ディスクアレイシード層上に配置された中間金属ディスクアレイ層142と、前記中間金属ディスクアレイ層上が配置された金属ディスクアレイオーミックコンタクト層143と、を含む。前記金属ディスクアレイシード層141は20nm以下のクロム(Cr)又はTi/Ptであり、前記中間金属ディスクアレイ層142は金(Au)又は銀(Ag)であり、前記金属ディスクアレイオーミックコンタクト層143はパラジウム(Pd)である。
【0103】
さらに、ウェットエッチング工程を使用して、前記MDAレジストパターンを除去するパターニングされた金属ディスクアレイ140を形成する。
【0104】
図4Fに示すように、前記フレキシブルフィルム基板107a上に形成された前記金属ディスクアレイ140と、前記GaAs基板105上に前記第2サブセル130のn++−GaAsコンタクト層136が対向するように配置し、圧着させて互いにボンディングさせる。フレキシブルフィルム基板上のMDA/J3/J4構造とJ2/J1/AlAs/GaAs基板構造をウェハボンディング装置を用いたボンディングを行う。前記ボンディングはMDAと第2サブセルのエピ層とボンディングである。このために、前記第2サブセルのn++−GaAsコンタクト層136は、アルゴン(Ar)イオンプラズマ処理を通じてその表面を活性化させる。さらに、J2/J1/AlAs/GaAs基板構造にウェハボンディング装置で5〜10MPaの圧力をかけてボンディングを進行する。
【0105】
ウェハボンディング工程を完了すると、フレキシブルフィルム基板上にJ4/J3/MDA/J2/J1/第1AlAs犠牲層/GaAs基板構造が形成される。
【0106】
図4Gに示すように、前記GaAs基板105と前記第1サブセル110との間に配置された第1AlAs犠牲層119を除去して前記GaAs基板105を除去する。
【0107】
フレキシブルフィルム基板上にJ4/J3/MDA/J2/J1/第1AlAs犠牲層/GaAs基板構造をHF溶液を用いたエピタキシァルリフト-オフ(ELO)工程を経ると、第1AlAs犠牲層119と前記GaAs基板105が太陽電池から除去される。フレキシブルフィルム基板107a上に4重接合太陽電池が製作される。
【0108】
図4Hに示すように、露出された第1サブセル110上に金属フィンガ電極パターン181を形成する。前記金属フィンガ電極パターン181は、リフトオフの工程によって行う。前記金属フィンガ電極パターン181の材質は、前記p+−GaAsコンタクト層111とオーミックコンタクトを提供する金属である。具体的に、前記金属フィンガ電極パターン181は、金又は銀で形成される。
【0109】
以上、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須的な特徴を変更しなくて他の具体的な形で実施できるということを理解することができる。したがって、上述の実施例にはすべての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。

図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H