(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、複数の前記連続駆動時間に基づいて駆動基準時間を算出し、前記判定基準時間を前記駆動基準時間よりも長くなるように設定する、請求項1に記載の冷蔵ショーケース。
前記制御部は、前記判定基準温度以下であるか否かを判定する前記サイクルの直前の前記サイクルにおける前記連続駆動時間を含む複数の前記連続駆動時間に基づいて駆動基準時間を算出し、前記判定基準時間を前記駆動基準時間よりも長くなるように設定する、請求項6に記載の冷蔵ショーケース。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、冷凍機を連続駆動していたとしても、陳列室内の温度が設定下限温度まで低下することができず、冷凍機の連続駆動時間が長くなる場合がある。例えば、外気温が高い場合や、対面型冷蔵ショーケースにあっては引き戸の開状態が長く続いている場合、オープン型ショーケースにあっては外からの風の影響を受けてエアカーテンが乱れている場合には、冷凍機の駆動状態が長時間、続く可能性がある。この場合、冷凍機の消費電力量が増大するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、冷媒供給部の消費電力量が増大することを抑制することができる冷蔵ショーケースおよび冷蔵ショーケースの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
商品を冷気で冷却しながら陳列する冷蔵ショーケースであって、
前記商品が陳列される陳列室と、
前記陳列室内の前記冷気を循環させる循環流形成部と、
前記冷気を冷媒で冷却する冷却器と、
前記冷却器に前記冷媒を供給する冷媒供給部と、
前記陳列室内の温度を計測する温度計測器と、
前記陳列室内の温度が設定上限温度以上である場合に前記冷媒供給部を駆動し、前記陳列室内の温度が設定下限温度以下である場合に前記冷媒供給部を停止する、ように前記冷媒供給部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記冷媒供給部を駆動してから停止するまでの連続駆動時間に基づいて判定基準時間を設定し、
前記制御部は、前記冷媒供給部を駆動してから停止することなく前記判定基準時間が経過した場合に、前記陳列室内の温度が、前記設定上限温度よりも低くかつ前記設定下限温度よりも高い判定基準温度以下であるか否かを判定し、前記陳列室内の温度が前記判定基準温度以下である場合に前記冷媒供給部を停止する、冷蔵ショーケース、
を提供する。
【0008】
上述した冷蔵ショーケースにおいて、
前記制御部は、複数の前記連続駆動時間に基づいて駆動基準時間を算出し、前記判定基準時間を前記駆動基準時間よりも長くなるように設定する、
ようにしてもよい。
【0009】
上述した冷蔵ショーケースにおいて、
前記駆動基準時間は、複数の前記連続駆動時間の平均値である、
ようにしてもよい。
【0010】
上述した冷蔵ショーケースにおいて、
前記判定基準時間をtx、前記駆動基準時間をts、tx=ts×αとしたときに、αは、1.2〜2.0である、
ようにしてもよい。
【0011】
上述した冷蔵ショーケースにおいて、
前記判定基準温度は、前記設定上限温度と前記設定下限温度との中間値よりも低い、
ようにしてもよい。
【0012】
上述した冷蔵ショーケースにおいて、
前記冷媒供給部を駆動してから1度の停止を経て再駆動されるまでの期間を1つのサイクルとし、
複数の前記サイクルが行われる場合、前記制御部は、前記判定基準時間を設定するための前記連続駆動時間に対応する前記サイクルの後に行われる前記サイクルについて、前記陳列室内の温度が前記判定基準温度以下であるか否かを判定する、
ようにしてもよい。
【0013】
上述した冷蔵ショーケースにおいて、
前記制御部は、前記判定基準温度以下であるか否かを判定する前記サイクルの直前の前記サイクルにおける前記連続駆動時間を含む複数の前記連続駆動時間に基づいて駆動基準時間を算出し、前記判定基準時間を前記駆動基準時間よりも長くなるように設定する、
ようにしてもよい。
【0014】
また、本発明は、
商品を冷気で冷却しながら陳列する冷蔵ショーケースの運転方法であって、
前記商品が陳列される陳列室内の温度が設定上限温度に上昇した場合に、冷気を冷却する冷却器に冷媒を供給する冷媒供給部を駆動する工程と、
前記陳列室内の温度が設定下限温度に低下した場合に、前記冷媒供給部を停止する工程と、
前記冷媒供給部を駆動してから停止するまでの連続駆動時間に基づいて判定基準時間を設定する工程と、
前記冷媒供給部を駆動してから停止することなく前記判定基準時間が経過した場合に、前記陳列室内の温度が、前記設定上限温度よりも低くかつ前記設定下限温度よりも高い判定基準温度以下であるか否かを判定し、前記陳列室内の温度が前記判定基準温度以下である場合に前記冷媒供給部を停止する工程と、を備えた、冷蔵ショーケースの運転方法、
を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、冷媒供給部の消費電力量が増大することを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0018】
本実施の形態においては、商品を冷気で冷却しながら陳列する冷蔵ショーケースの一例として、対面型の冷蔵ショーケース(クローズド型の冷蔵ショーケースと称する場合もある)を例にとって、以下に説明する。
【0019】
図1および
図2に示すように、本実施の形態における冷蔵ショーケース1は、商品が陳列される陳列室2と、陳列室2の下方に設けられた基台3と、陳列室2の前方に設けられた前面部4と、陳列室2の上方に設けられた天井部5と、陳列室2の両側方に設けられた側面部6と、陳列室2の後方に設けられた引き戸7と、を備えている。これら基台3、天井部5、前面部4、側面部6および引き戸7によって、陳列室2が画定されて密閉されている。
【0020】
前面部4は、陳列室2内の商品を透視することができるようになっており、例えば、透明なガラス板や透明な樹脂板などから作製されている。天井部5および側面部6も、陳列室2内の商品を透視することができるようになっていてもよいが、半透明または不透明であってもよい。引き戸7は、開閉可能に構成されている。引き戸7は、陳列室2への商品の陳列および陳列室2からの商品の取り出しが可能であれば任意の構成とすることができる。
図1においては、一対の引き違いの扉パネルで引き戸7が構成されている例を示している。
【0021】
基台3の上面には、商品が載置される複数の陳列室底板8が設けられている。また、陳列室2内には、1つ以上の陳列棚9が設けられていてもよい。陳列棚9は、陳列室2の後方に設けられた複数の支柱10で支持されるようにしてもよい。このような支柱10は、陳列室2の後方であって両側方に配置されていてもよく、陳列室2の後方かつ中央に配置されていてもよく、支柱10の配置は任意である。陳列棚9の前端部の下面には、照明装置11が設けられており、この照明装置11によって、その下方に陳列されている商品が照明される。上述した天井部5の下部にも、照明装置11が設けられていてもよい。
【0022】
図2に示すように、本実施の形態による冷蔵ショーケース1は、陳列室2内の冷気(空気)を循環させるファン12(循環流形成部)と、冷気を冷却する冷却装置13と、を更に備えている。これらファン12および冷却装置13は、基台3内に配置されている。冷却装置13は、冷気を冷媒で冷却する冷却器13aと、冷却器13aに冷媒を供給する冷凍機13b(冷媒供給部)と、を有している。冷却器13aは、内部を冷媒が流れる複数のパイプを含んでいてもよい。各パイプには、冷気との接触面積を増大させるためのフィンが設けられていてもよい。冷凍機13bが駆動されると冷媒を冷却し、これに伴い、熱を外部に排出する。冷却された冷媒は、冷却器13aのパイプ内を流れ、パイプおよびフィンを介して後述する冷気流路16を流れる冷気と熱交換し、冷気を冷却する。冷気と熱交換した冷媒は、冷凍機13bに戻されて冷凍機13bにおいて再び冷却される。このようにして、冷媒は、冷却器13aと冷凍機13bとを交互に通解して循環するようになっている。
【0023】
基台3は、陳列室2から冷気を吸引する吸引口14と、吸引した冷気を陳列室2に供給する(戻す)供給口15と、吸引口14と供給口15とを連通する冷気流路16と、を有している。このうち冷気流路16内に、ファン12および冷却器13aが配置されている。ファン12は、冷却器13aよりも吸引口14の側(上流側)に配置されている。このような構成により、陳列室2内の冷気は、吸引口14から冷気流路16内に吸引され、ファン12および冷却器13aを通って供給口15に流れる。この間、冷気は、冷却器13aによって冷却される。供給口15に達した冷気は、冷気流路16から排出されて陳列室2内に供給される。このようにして、陳列室2内に、冷却器13aによって冷却された冷気が供給され、陳列室2内の冷気が循環しながら商品が冷却される。なお、冷凍機13bは、基台3内において冷気流路16の下方に配置されている。
【0024】
冷気流路16には、排水路17が設けられている。排水路17は、冷却器13aよりも供給口15の側(下流側)に配置されている。冷却器13aで冷気を冷却する際に生成された凝縮水は、この排水路17から排出されるようになっている。
【0025】
また、本実施の形態による冷蔵ショーケース1は、陳列室2内の温度を計測する温度センサ18(温度計測器)と、冷却装置13の冷凍機13bを制御する制御部19と、を更に備えている。
【0026】
温度センサ18は、陳列室2内の温度を計測することができれば任意の位置に配置することができる。例えば、
図1および
図2に示すように、温度センサ18は、下側に配置された陳列棚9の下面であって、陳列棚9の後部に配置されていてもよい。この場合、温度センサ18を供給口15に近づけて配置することができ、温度センサ18に、供給口15から陳列室2内に流入する冷気を当てることができる。この場合、温度センサ18は、陳列室2内に流入した冷気の温度を計測していると言うことができる。しかしながら、温度センサ18の配置は、これに限られることはなく、後述するように陳列室2内の温度を計測することができれば任意である。なお、温度計測器の一例として温度センサ18を用いている例を示しているが、陳列室2内の温度を計測することができれば、これに限られることはない。温度センサ18は、制御部19に接続されており、温度センサ18により計測された陳列室2内の温度計測値は、制御部19に信号として送信される。
【0027】
制御部19は、温度センサ18から送信されてきた温度計測値を示す信号を受信し、陳列室2内の温度計測値に基づいて冷凍機13bを制御する。より具体的には、制御部19は、陳列室2内の温度が設定上限温度θa以上である場合に冷凍機13bを駆動(ON)し、陳列室2内の温度が設定下限温度θb以下である場合に冷凍機13bを停止(OFF)する、ように冷凍機13bを制御する。冷蔵ショーケース1の運転中、例えば引き戸7が閉められている場合では、
図3に示すようなサイクルで、冷凍機13bの駆動と停止とが繰り返される。すなわち、冷凍機13bを停止していることにより陳列室2内の温度が上昇して設定上限温度θaに達すると冷凍機13bが駆動されて冷気が冷却される。一方、冷凍機13bを駆動していることにより陳列室2内の温度が低下して設定下限温度θbに達すると、冷凍機13bが停止される。このようにして、陳列室2内の温度が、設定下限温度θbから設定上限温度θaの範囲に維持されている。なお、制御部19は、例えば、マイコンにより構成されていてもよい。
【0028】
引き戸7が閉められている場合では、冷凍機13bの駆動と停止は、
図3に示すような同じような周期で繰り返される。しかしながら、引き戸7が開いている場合や、外気温が高い場合などでは、このような周期が崩れ、冷凍機13bの連続駆動時間が長くなる場合がある。このような場合に対処するための構成を、本実施の形態による制御部19は有している。
【0029】
本実施の形態による制御部19は、冷凍機13bを駆動してから停止するまでの連続駆動時間に基づいて判定基準時間を設定し、この判定基準時間に基づいて、冷凍機13bの駆動を停止するか否かを判定するように構成されている。
【0030】
より具体的には、制御部19は、冷凍機13bの駆動と停止を複数回繰り返して得られる複数の連続駆動時間に基づいて駆動基準時間を算出し、この駆動基準時間よりも長くなるように判定基準時間を設定する。例えば、駆動基準時間は、複数の連続駆動時間の平均値としてもよい。後述するように、制御部19は、5つの連続駆動時間(t1〜t5)の平均値を算出し、この平均値を駆動基準時間として設定する。判定基準時間をtx駆動基準時間をtsとし、
tx=ts×α・・・(1)
としたときに、αは、1.0より大きくてもよく、例えば1.2≦α≦2.0あってもよい。式(1)に記載のαは、駆動基準時間tsに対する判定基準時間txの倍率に相当する。αを1.2以上にすることにより、通常の範囲内とみなすことができる冷却速度で冷却している場合には設定下限温度θbまで冷却させることができ、陳列室2内の温度をより一層低下させることができる。一方、αを2.0以下にすることにより、冷凍機13bの連続駆動時間が長くなることを効果的に防止することができる。なお、このαは、冷蔵ショーケース1の第1の調整手段(図示せず)によって調整可能になっていてもよい。また、連続駆動時間は、制御部19に内蔵されているタイマー(図示せず)を用いてカウントされるようにしてもよい。
【0031】
そして、制御部19は、冷凍機13bを駆動してから停止することなく判定基準時間が経過した場合に、陳列室2内の温度が判定基準温度以下であるか否かを判定する、ように冷凍機13bを制御する。陳列室2内の温度が判定基準温度以下である場合に冷凍機13bを停止する。判定基準温度は、設定上限温度θaよりも低くかつ設定下限温度θbよりも高い温度に設定されている。この判定基準温度は、設定上限温度θaと設定下限温度θbとの中間値以下の低い温度として設定されていてもよい。例えば、判定基準温度をθxとし、
θx=θb+β・・・(2)
としたときに、式(2)に記載のβは、0(ゼロ)より大きく、1より小さい数値である。例えば、βは、0.05〜0.4であってもよい。βを0.05以上にすることにより、冷凍機13bの連続駆動時間が長くなることを効果的に防止することができる。一方、βを0.4以下にすることにより、判定基準温度θxが設定下限温度θbから遠ざかることを防止でき、陳列室2内の温度が高くなることを抑制できる。なお、このβ(またはθx)は、冷蔵ショーケース1の第2の調整手段(図示せず)によって調整可能になっていてもよい。
【0032】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、上述した冷蔵ショーケース1の運転方法について説明する。この冷蔵ショーケース1の運転方法は、上述した制御部19によって冷凍機13b等が制御されながら実行される。
【0033】
まず、
図3に示すように、運転停止していた冷蔵ショーケース1の冷凍機13bを、ファン12とともに起動する。この場合、通常モードで運転が行われる。通常、温度センサ18により計測される陳列室2内の温度が設定上限温度θaよりも高いため、冷凍機13bが駆動される。この段階では、後述するインテリジェンスモードの運転は行われない。ファン12は、冷蔵ショーケース1の運転中は駆動され続ける。
【0034】
図3に示すように、冷凍機13bが駆動(ON)されると、陳列室2内の温度が徐々に低下していく。そして、陳列室2内の温度が低下して設定下限温度θbに達すると、冷凍機13bが停止される。
【0035】
冷凍機13bが停止(OFF)されると、外気温などの影響を受けて、陳列室2内の温度は徐々に上昇していく。そして、陳列室2内の温度が上昇して設定上限温度θaに達すると、冷凍機13bが再び駆動される。
【0036】
冷凍機13bが再び駆動されると、陳列室2内の温度が再び徐々に低下していく。このようにして、通常モードの運転中、冷凍機13bの駆動と停止とが繰り返される。後述するインテリジェンスモードの運転においても、基本的には冷凍機13bの駆動と停止とが同様に繰り返される。冷凍機13bが駆動されてから1度の停止を経て再駆動されるまでの期間を、ここでは1つのサイクルとする。通常、冷蔵ショーケース1の運転中、このようなサイクルが繰り返される。
【0037】
通常モードの運転は、所定の初期時間t0が経過するまで行われる。初期時間t0は任意に設定することができる。
図3においては、初期時間t0は、冷凍機13bの駆動と停止が1回ずつ行われるような時間に設定されている例が示されているが、冷凍機13bの駆動と停止が複数回ずつ行われる(すなわち、複数のサイクルが行われる)ような時間に設定されていてもよい。
【0038】
冷凍機13bを起動してから初期時間t0が経過すると、通常モードの運転からインテリジェンスモードの運転に切り替わる。インテリジェンスモードの運転では、まず、冷凍機13bの連続駆動時間に基づいて判定基準時間が設定される。その後、判定基準時間および判定基準温度に基づいて、冷凍機13bが制御される。すなわち、インテリジェンスモードの運転では、上述した通常モードでの冷凍機13bの駆動と停止に加えて、判定基準時間の設定と、判定基準時間および判定基準温度に基づく冷凍機13bの制御が行われる。以下、インテリジェンスモードの運転についてより詳細に説明する。
【0039】
まず、冷凍機13bの連続駆動時間がサンプリングされる。すなわち、
図3に示すように、初期時間t0が経過した後に、冷凍機13bが駆動される1回目のサイクルC1での連続駆動時間t1がサンプリングされ、当該1回目のサイクルC1から連続して続く各サイクルでの冷凍機13bの連続駆動時間がサンプリングされる。
図3においては、初期時間t0を経過した時点で、冷凍機13bが駆動を開始している例が示されている。この場合、この1回目の冷凍機13bの駆動を含むサイクルを1回目のサイクルC1としてもよい。一方、初期時間t0を経過した時点で、冷凍機13bが既に駆動している場合、または冷凍機13bが停止している場合には、次に冷凍機13bが駆動を開始するサイクルを1回目のサイクルC1としてもよい。
【0040】
ここでは、一例として、5回のサイクルC1〜C5から連続駆動時間t1〜t5をサンプリングし、判定基準時間txを算出する例について説明する。
【0041】
この場合、まず、各サイクルC1〜C5の連続駆動時間t1〜t5がサンプリングされる。続いて、これらの連続駆動時間t1〜t5の平均値を以下の式(3)のように算出し、これを駆動基準時間tsとする。
ts=(t1+t2+t3+t4+t5)/5・・・(3)
【0042】
続いて、式(3)で算出された駆動基準時間tsよりも長くなるように判定基準時間txが設定される。例えば、上述した式(1)によって、判定基準時間txを設定してもよい。
【0043】
次に、6回目のサイクルC6から、判定基準時間txおよび判定基準温度θxに基づく冷凍機13bの制御を開始する。すなわち、判定基準時間txを設定するための連続駆動時間t1〜t5に対応するサイクルC1〜C5の後に行われるサイクルC6について、冷凍機13bを駆動してから停止することなく判定基準時間が経過した場合に、陳列室2内の温度が判定基準温度以下であるか否かが判定される。この場合、判定基準温度θx以下であるか否かを判定するサイクルC6の直前のサイクルC5における連続駆動時間t5を含む5つの連続駆動時間t1〜t5に基づいて、判定基準時間txが設定されていることになる。6回目のサイクルC6として冷凍機13bを駆動してから判定基準時間txが経過するまでに冷凍機13bが停止していない場合と、停止している場合とに分けて以下説明する。
【0044】
判定基準時間txが経過するまでに冷凍機13bが停止していない場合には、この判定基準時間txが経過した時点で、陳列室2内の温度が判定基準温度θx以下であるか否かが判定される。陳列室2内の温度が判定基準温度θx以下であると判定された場合には、冷凍機13bを停止する。
【0045】
図4には、判定基準時間txが経過した時点で陳列室2内の温度が設定下限温度θbよりも高いが判定基準温度θx以下である場合の温度特性の一例を示している。この場合、判定基準時間txが経過した時点で、冷凍機13bが停止される。6回目のサイクルC6での連続駆動時間t6aは、判定基準時間txと等しくなる。冷凍機13bが停止した後、陳列室2内の温度は、設定下限温度θbまで低下することなく、徐々に上昇していく。そして、陳列室2内の温度が設定上限温度θaに達すると、冷凍機13bが再び駆動され、7回目のサイクルC7に移行する。
【0046】
図4には、6回目のサイクルC6において、判定基準時間txおよび判定基準温度θxに基づく冷凍機13bの制御を行っていない場合の温度特性を破線で示している。この場合、陳列室2内の温度が設定下限値まで下降するまでに多くの時間が費やされ、冷凍機13bの連続駆動時間t6a’が長くなる。このため、本実施の形態による冷凍機13bの制御を行うことにより、t6a’−t6aで示される時間だけ、冷凍機13bの連続駆動時間を短縮できることがわかる。
【0047】
図5には、
図4に示す温度特性の他の例として、判定基準時間txが経過した時点で陳列室2内の温度が設定上限温度θaよりも低いが判定基準温度θxを超えている場合の温度特性の一例を示している。この場合、判定基準時間txが経過した時点で、冷凍機13bは停止されることなく、これ以降、冷凍機13bの駆動が継続される。このことにより、陳列室2内の温度は、更に徐々に低下していく。判定基準時間txが経過した後には、任意の時間間隔で、陳列室2内の温度が判定基準温度θx以下であるか否かの判定が行われる。この時間間隔を短くすることにより、判定基準温度θx以下であるか否かの判定を連続的に行うことが可能となる。
【0048】
やがて陳列室2内の温度が判定基準温度θxに達した時点で、冷凍機13bが停止される。この場合、6回目のサイクルC6での連続駆動時間t6bは、判定基準時間txよりも長くなる。冷凍機13bが停止した後、陳列室2内の温度は、設定下限温度θbまで低下することなく、徐々に上昇していく。そして、陳列室2内の温度が設定上限温度θaに達すると、冷凍機13bが再び駆動され、7回目のサイクルC7に移行する。
【0049】
図5には、6回目のサイクルC6において、判定基準時間txおよび判定基準温度θxに基づく冷凍機13bの制御を行っていない場合の温度特性を破線で示している。この場合、陳列室2内の温度が設定下限値まで下降するまでに多くの時間が費やされ、冷凍機13bの連続駆動時間t6b’が長くなる。このため、本実施の形態による冷凍機13bの制御を行うことにより、t6b’−t6bで示される時間だけ、冷凍機13bの連続駆動時間を短縮できることがわかる。
【0050】
このような判定基準時間txおよび判定基準温度θxに基づく冷凍機13bの制御は、7回目のサイクルC7以降にも継続して行われる。
図4に示す例および
図5に示す例のいずれにおいても、6回目のサイクルC6での連続駆動時間t6a、t6bは判定基準時間txと等しいか、これよりも長いため、連続駆動時間t6a、t6bは、判定基準時間txの算出に用いられないことが好ましい。判定基準時間txが必要以上に長くなることを防止するためである。この場合、7回目のサイクルC7での判定基準時間txは、6回目のサイクルC6での判定基準時間txと同じとなる。
【0051】
ところで、6回目のサイクルC6で判定基準時間txが経過するまでに冷凍機13bが停止している場合には、判定基準時間txおよび判定基準温度θxに基づく冷凍機13bの制御はサイクルC6については行われない。7回目のサイクルC7のために、サイクルC6の連続駆動時間を用いて判定基準時間txが再設定される。この場合、上述した式(3)の代わりに、以下の式(4)に示すように、1回目のサイクルC1の連続駆動時間t1の代わりに6回目のサイクルC6の連続駆動時間を用いて、駆動基準時間tsが算出される。すなわち、判定基準温度θx以下であるか否かを判定するサイクルC7の直前のサイクルC6における連続駆動時間を含む5つの連続駆動時間に基づいて、判定基準時間txが設定される。
ts=(t2+t3+t4+t5+t6)/5・・・(4)
【0052】
そして、式(4)から算出された駆動基準時間tsを用いて、上述した式(1)により判定基準時間txが再設定される。再設定された判定基準時間txが、7回目のサイクルC7のインテリジェンスモードの運転に用いられる。
【0053】
このようにして、インテリジェンスモードの運転では、判定基準時間txの設定と、判定基準時間txおよび判定基準温度θxに基づく冷凍機13bの制御が、繰り返し行われる。
【0054】
このように本実施の形態によれば、冷凍機13bを駆動してから停止することなく判定基準時間txが経過した場合に、陳列室2内の温度が判定基準温度θx以下である場合に冷凍機13bが停止される。このことにより、冷凍機13bの連続駆動時間が過度に長くなることを防止できる。このため、冷凍機13bの消費電力が増大することを抑制することができる。また、冷凍機13bからの排熱量が増大することも抑制することができる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、上述したように、冷凍機13bの連続駆動時間が過度に長くなることを防止できる。このため、陳列室2内に陳列された商品の鮮度が低下することを抑制できる。
【0056】
すなわち、冷凍機13bが駆動されている間、冷凍機13bから冷媒が供給される冷却器13aによって冷気(空気)が冷却されることに伴い、冷気が除湿される。これは、冷却器13aと冷気とが熱交換する際に、冷却器13a中の冷媒の温度が低いことから、冷気中の水分が奪われるためである。本実施の形態による冷蔵ショーケース1は、対面型であり、引き戸7の閉状態で陳列室2は密閉されている。このような陳列室2には、生ケーキなど包装されていない食品(商品)が陳列される場合がある。このような食品が陳列されている場合には、除湿された冷気が陳列室2内に供給されると、陳列されている食品が乾燥し、食品の鮮度が低下するという問題がある。
【0057】
これに対して本実施の形態では、上述したように、冷凍機13bの連続駆動時間が過度に長くなることを防止できる。このことにより、陳列室2内に陳列された食品が乾燥することを抑制できる。このため、食品の鮮度が低下することを抑制でき、冷蔵ショーケース1の品質を向上させることができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、複数の連続駆動時間に基づいて駆動基準時間tsが算出され、この駆動基準時間tsよりも長くなるように判定基準時間txが設定される。このことにより、判定基準時間txを、複数の連続駆動時間に基づいて設定することができ、判定基準時間txを、各サイクルでの連続駆動時間のバラツキの影響を低減することができる。このため、判定基準時間txを、より一層適切に設定することができる。とりわけ、本実施の形態によれば、駆動基準時間tsは、複数の連続駆動時間の平均値になっている。このことにより、駆動基準時間tsを、簡易にかつ適切に設定することができる。
【0059】
また、本実施の形態によれば、判定基準温度θxは、設定上限温度θaと設定下限温度θbとの中間値よりも低くなっている。このことにより、判定基準温度θxを、設定上限温度θaよりも設定下限温度θbに近い温度に設定することができる。このため、陳列室2内の温度が設定下限温度θbよりも高い場合であっても、当該温度がある程度低い状態で冷凍機13bを停止させることができ、陳列室2内の温度を低く維持することができる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、判定基準時間txを設定するための連続駆動時間に対応するサイクルの後に行われるサイクルについて、陳列室2内の温度が判定基準温度θx以下であるか否かを判定する。このことにより、判定基準時間txを設定するための連続駆動時間を、判定基準温度θx以下であるか否かを判定するサイクルの前のサイクルからサンプリングすることができる。このため、運転中の冷蔵ショーケース1から得られる連続駆動時間を用いて、判定基準時間txを適切に設定することができる。とりわけ、本実施の形態によれば、判定基準温度θx以下であるか否かを判定するサイクルの直前のサイクルにおける連続駆動時間に基づいて、駆動基準時間tsを算出することができる。このことにより、判定基準温度θx以下であるか否かの判定の時点における冷蔵ショーケース1の周囲環境と同様な条件で得られる連続駆動時間を用いて判定基準時間txを設定することができる。このため、冷蔵ショーケース1の周囲環境の影響の変化を効果的に低減することができ、判定基準温度θx以下であるか否かの判定の精度を向上させることができる。
【0061】
なお、上述した本実施の形態においては、駆動基準時間tsが、5つの連続駆動時間t1〜t5から算出される例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、駆動基準時間tsを算出するために用いる連続駆動時間のサンプリング数(サイクル数)は、5よりも多くてもよく、例えば各サイクルでの連続駆動時間のバラツキが少ない場合等には、5よりも少なくてもよい。駆動基準時間tsは、1つの連続駆動時間から算出されるようにしてもよい。連続駆動時間のサンプリング数を少なくする場合、冷蔵ショーケース1を起動後に、判定基準時間txおよび判定基準温度θxに基づく冷凍機13bの制御を、より早いサイクルから行うことができる。なお、この場合においても、判定基準時間txは、駆動基準時間tsよりも長くなるように設定してもよい。
【0062】
また、上述した本実施の形態においては、上述した式(2)により判定基準温度θxが設定される例について説明した。しかしながら、判定基準温度θxは、設定上限温度θaよりも低くかつ設定下限温度θbよりも高い温度に設定されていれば、任意に設定することができる。
【0063】
また、上述した本実施の形態においては、冷蔵ショーケースとして、
図1および
図2に示すような対面型の冷蔵ショーケース1を例にとって説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、冷蔵ショーケースは、
図6に示すようなオープン型の冷蔵ショーケース30であってもよい。
図6に示す冷蔵ショーケース30は、
図1および
図2に示す対面型の冷蔵ショーケース1の前面部4が設けられておらず、陳列室2が前方に開放された構成となっている。対面型の冷蔵ショーケース1の引き戸7は設けられておらず、陳列室2は、後方から後壁31で覆われている。冷却器13aで冷却された冷気は、後壁31の後方に設けられたダクト32を通り、後壁31に設けられた各開口部33および天井部5に設けられた吹出部34から陳列室2内に供給される。陳列室2への商品の陳列および陳列室2内の商品の取出しは、前方から行う。このようなオープン型の冷蔵ショーケース30は、陳列室2の前方に冷気の流れであるエアカーテンが形成されているため、
図3に示すような温度特性を有している。上述したインテリジェンスモードの運転を行うことにより、オープン型の冷蔵ショーケース30であっても冷凍機13bの消費電力が増大することを抑制できるとともに、冷凍機13bからの排熱量が増大することを抑制することができる。