特許第6780110号(P6780110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6780110光学センサを保護するための装置と関連する運転者支援システムおよび清掃方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780110
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】光学センサを保護するための装置と関連する運転者支援システムおよび清掃方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/60 20060101AFI20201026BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20201026BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   B60S1/60 Z
   B60R11/02 C
   H04N5/225 430
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-526270(P2019-526270)
(86)(22)【出願日】2017年11月17日
(65)【公表番号】特表2019-537538(P2019-537538A)
(43)【公表日】2019年12月26日
(86)【国際出願番号】EP2017079565
(87)【国際公開番号】WO2018091641
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年7月11日
(31)【優先権主張番号】1661121
(32)【優先日】2016年11月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ブルタグノル
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ、グラッソ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、コラノフスキ
(72)【発明者】
【氏名】マルセル、トレブー
【審査官】 内山 隆史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−155468(JP,A)
【文献】 特開2008−165093(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2007−0034729(KR,A)
【文献】 特開2007−110665(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0139394(US,A1)
【文献】 国際公開第2006/060868(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/60
B60R 11/02
G02B 7/02
G03B 11/00
G03B 15/00
G03B 17/02
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(100)用の光学センサ(13)の保護装置(3)であって、前記保護装置(3)が、
回転軸(A1)を中心に可動の回転可能に取り付けられた透明光学要素(9)であって、前記光学要素(9)の前記回転軸(A1)が前記光学センサ(13)の光軸(15)と一致するように前記光学センサ(13)の光学ユニット(14)の入光側に配置されるように構成された透明光学要素(9)と、
回転軸(A2)を中心に回転するように構成された回転シャフト(51)を備えるモータ(5)であって、前記光学要素(9)の前記回転軸(A1)がさらに前記モータ(5)の前記回転シャフト(51)の前記回転軸(A2)と一致するように前記光学要素(9)を回転させるように構成されたモータ(5)と、
を含み、
前記モータ(5)は、前記光学センサ(13)の長手方向の延長上であって、前記光学センサ(13)の入光側と反対側に配置されていることを特徴とする、保護装置(3)。
【請求項2】
前記モータ(5)が中空であり、前記光学センサ(13)を少なくとも部分的に収容するように構成される、請求項1に記載の保護装置(3)。
【請求項3】
前記モータ(5)が、前記モータ(5)の中空部に前記光学センサ(13)の入光側と反対の部分を収容するように構成される、請求項2に記載の保護装置(3)。
【請求項4】
前記光学要素(9)が道路シーンに面するように前記保護装置(3)の入光側の部分に配置され、前記光学センサ(13)が前記道路シーンの画像の撮影に関与するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の保護装置(3)。
【請求項5】
前記光学センサ(13)が、前記光学要素(9)の前記回転軸(A1)に対して芯合わせして配置される、請求項1からのいずれか一項に記載の保護装置(3)。
【請求項6】
前記光学要素(9)が前記光学センサ(13)とは異なる、請求項1からのいずれか一項に記載の保護装置(3)。
【請求項7】
前記光学センサ(13)を収容するように構成されたハウジング(19)を有するケーシング(4)を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の保護装置(3)。
【請求項8】
前記ケーシング(4)が前記モータ(5)の前記回転シャフト(51)と一体である、請求項に記載の保護装置(3)。
【請求項9】
前記ハウジング(19)が前記ケーシング(4)の壁(21)によって画定される、請求項またはに記載の保護装置(3)。
【請求項10】
締結板(41)と、前記光学要素(9)と前記締結板(41)との間に配置された実質的に環状の全体形状の軸受(27)と、を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の保護装置(3)。
【請求項11】
前記光学要素(9)がアンチミスト特性をもつ内表面(9a)を有し、特に前記光学要素(9)の前記内表面(9a)がアンチミストコーティング(23)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の保護装置(3)。
【請求項12】
前記光学要素(9)が、以下のリスト、すなわち、赤外線フィルタ、光触媒、疎水性、超疎水性、疎油性、親水性、超親水性、砂利への耐性から選ばれた少なくとも1つの特性をもつ外表面(9b)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の保護装置(3)。
【請求項13】
光学センサ(13)を備える運転者支援システム(1)であって、前記運転者支援システム(1)が、請求項1から12のいずれか一項に記載の光学センサ(13)の保護装置(3)をさらに含むことを特徴とする、運転者支援システム(1)。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の保護装置(3、103)の光学要素(9)を清掃する方法であって、遠心分離効果によって前記光学要素(9)を清掃するための前記光学要素(9)を回転させる少なくとも1つのステップ、特に各ステップが前記光学要素(9)の異なる回転速度を有する少なくとも2つの清掃ステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者支援の分野に関し、詳細には、特定の自動車に設置される運転者支援システムに関し、運転者支援システムは、例えばレンズを備えるカメラのような光学センサを含むことができる。より詳細には、本発明は、かかる光学センサを保護するための装置に関する。本発明は、かかる保護装置の光学要素を清掃する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多数の自動車が前向き、後ろ向きまたは側方向きのカメラを装備している。これらのカメラは、特に、駐車支援システムなどの運転者支援システム、または車線逸脱検出システムの一部である。
【0003】
車両の客室内側にリヤウインド/スクリーンに対して設置されて車両のリヤウインドから後方を見るカメラが知られている。これらのカメラは、外部気象変動および有機もしくは無機汚染物質によって引き起こされる汚れから十分に保護されている。しかしながら、客室内部に設置されるそのようなカメラの視野角は、カメラが例えば車両の後部に近い障害物を見ることができないので、特に駐車支援に最適ではない。
【0004】
こうした理由から、したがって、車両の外側に、所望の用途に応じて異なる箇所に、例えばリヤフェンダもしくはフロントフェンダに、または車両のフロントもしくはリヤナンバープレートに運転者支援システムを設置することが好ましい。この場合、したがって、カメラは、カメラの光学ユニット上に堆積され、それによってカメラの効率を低下させ、さらにはカメラを動作不能にする可能性もある無機もしくは有機汚染物の噴射に高度にさらされる。特に雨天では、そのようなカメラを備える運転者支援システムの実施可能性に大きな影響を及ぼし得る雨および汚染物の噴射が見られる。カメラの光学ユニットの表面は、カメラが正しく機能することを保証するように清掃されなければならない。
【0005】
カメラ上の汚染物の堆積に対処するために、カメラの光学ユニットを清掃するための装置を配置することが知られており、一般に、経時的に堆積されている汚染要素を除去するように、光学ユニットの近くに洗浄流体の噴霧器を配置することが知られている。しかしながら、これらの噴霧器の使用は、噴霧器が極めて大量の洗浄液の使用を必要とするので、かかる運転者支援システムの運転コストの増大をもたらす。さらに、カメラの光学ユニットは、比較的壊れやすい要素であるので、光学ユニットを損傷させる恐れのある噴射から保護されない。
【0006】
車両の外側羽目板の内側にカメラを取り付け、その羽目板に装着されかつレンズに面して配置された保護窓ガラスまたはウインドを用いて外部攻撃から前記カメラを保護することも知られている。カメラは外部攻撃から保護され得るが、保護窓ガラスまたは窓は汚染物質の堆積にさらされたままである。
【0007】
既知の解決法によれば、カメラに面する保護窓ガラスを振動させる手段が、カメラ保護窓ガラスから汚染物を取り除くように設けられる。しかしながら、頑固で外皮に覆われた汚染物に対するかかる装置の有効性は保護窓ガラスの振動にもかかわらず限定され得ることが見いだされている。
【0008】
別の解決法によれば、保護装置は、カメラがその中に配置されるケーシングとこのケーシングを閉鎖する回転カバーとを備え、回転カバーの回転軸はカメラの光軸に対して偏心している。保護装置はスクリーンワイパアームも備える。
【0009】
しかしながら、この種の保護装置は、カバーが高速で回転させられる場合、特にカバーとスクリーンワイパアームとの間の摩擦のせいでやかましいことがある。さらに、スクリーンワイパアームは、カバーが比較的高速で連続回転するために早期摩耗を示すことがある。また、かかる保護装置は、回転カバーが光学センサに対して偏心しており、回転カバーが保護する光学センサの光学ユニットの直径の少なくとも2倍の直径を有し、それにより光学センサの正確な動作を確実にするので、設置するために全くかなり大きいものとなり得る。その後、スクリーンワイパアームと回転カバーとの間に固体粒子が堆積されると、カバー上にマイクロスコアが現れることがあり得る。視野および光学センサによって撮られる画像の質は結果として影響を受ける可能性がある。最後に、かかる保護システムの使用は、カバーを支持するケーシングの内側に光学センサを配置するために、このケーシングを突出部にすることなく広視野角を可能にしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、カメラなどの光学センサ上に汚染物が堆積するのを防止することを可能にするとともに、広視野角を保つ、光学センサを保護するための代替装置を提示することにより上記の欠点を少なくとも部分的に是正することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これを行うために、本発明の対象は、自動車用の光学センサを保護するための装置である。
【0012】
本発明によれば、保護装置は、
回転軸を中心に可動の回転可能に取り付けられた透明光学要素であって、前記光学要素の回転軸が光学センサの光軸と一致するように光学センサの光学ユニットの上流側に配置されるように構成された透明光学要素と、
回転軸を中心に回転するように構成された回転シャフトを備えるモータであって、前記光学要素の回転軸がさらにモータの回転シャフトの回転軸と一致するように前記光学要素を回転させるように構成されたモータと、
を含む。
【0013】
かかる保護装置は、光学センサが広視野角を保持するのを可能にしながら、車両の車体要素の内側、または車両の外側に設置されるよう意図された光学センサ上に設置することができる。
【0014】
雨が降っているときまたは乾燥した気候において、光学要素上に汚染物が堆積されることがある。「汚染物(contamintans)」は、水滴と有機または無機汚染物質の両方を意味する。ケーシングおよび光学要素がモータによって回転させられるとき、潜在汚染物は遠心分離効果によってはじき出される。事実上、このようにして引き起こされる遠心力の仕事は、光学要素上の汚染物の付着力よりも大きい。したがって、光学要素の回転により、この光学要素が遠心分離効果によって清掃されることが可能になる。
【0015】
したがって、光学センサは良好な実施可能性を保持し、光学センサの汚れは気候条件にかかわらず制限される。
【0016】
光学センサを保護するための前記装置は、別々に挙げられるまたは組み合わされる、下記の特徴のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる、
モータは中空であり、光学センサを少なくとも部分的に収容するように構成される、
モータは、より詳細にはモータの中空部に光学センサの後部を収容するように構成され、光学センサの後部は光学要素の反対側に配置される部分を意味し、特に光学センサは、適切な光機能を実行することができる光学構成要素および電子構成要素を収容する本体と、これらの構成要素を連結するための手段を収容するように本体の軸線方向延長部内に配置される連結部と、を含むことができ、モータは、モータの中空部に連結部を収容するように構成され、したがって光学センサと協働することができる標準サイズのモータを設けることが可能であり、光学センサの本体の形状および寸法は装置によって異なる、
前記光学要素は道路シーンに面するように保護装置の前部に配置され、光学センサは道路シーンの画像の撮影に関与するように構成される、
モータは前記光学要素の反対側に配置される、
前記光学要素は、光学要素の回転軸に対して芯合わせして配置される、
前記光学要素は光学センサの一部によって形成される、
前記光学要素は光学センサとは異なる、
保護装置は、光学センサを収容するように構成されたハウジングを有するケーシングを含む、
ケーシングはモータの回転シャフトと一体である、
ハウジングはケーシングの壁によって画定される、
ケーシングは少なくとも1つの貫通オリフィスを含む、
保護装置は、締結板と、前記光学要素と締結板との間に配置された実質的に環状の全体形状の軸受と、を備える、
前記光学要素はアンチミスト特性をもつ内表面を有し、特に前記光学要素の内表面はアンチミストコーティングを有する、
前記光学要素は少なくとも1つの貫通オリフィスを有する、
前記光学要素は、以下のリスト、すなわち、赤外線フィルタ、光触媒、疎水性、超疎水性、疎油性、親水性、超親水性、砂利への耐性から選ばれた少なくとも1つの特性をもつ外表面(9b)を有する。
【0017】
本発明は、前述したような光学センサおよび光学センサを保護するためのシステムを備える運転者支援システムにも関する。
【0018】
本発明の一態様によれば、運転者支援システムは、
前記光学センサに近い物体の接近を検出するように構成された静電容量型センサなどの検出手段と、
前記光学要素に近い物体の接近を検出するために前記光学要素の回転を抑制するための手段と、
をさらに備える。
【0019】
本発明はさらに、前述したような光学センサを保護するための装置の光学要素を清掃する方法にも関し、前記方法は、遠心分離効果によって前記光学要素を清掃するための前記光学要素を回転させる少なくとも1つのステップを含む。
【0020】
本発明の一態様によれば、前記方法は、各ステップに対して前記光学要素の異なる回転速度を有する少なくとも2つの清掃ステップを含む。
【0021】
本発明の他の特徴および利点は、例示的かつ非限定的な例として与えられる以下の説明、および添付図面を読んだときに、より明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による運転者支援システムを備える自動車を概略的に示す図である。
図2a図1の支援システムの光学センサを保護するための装置の部分縦断面図である。
図2b図2aの光学センサを保護するための装置の分解図である。
図3図2aの光学センサを保護するための装置の正面斜視図である。
図4図2aの光学センサを保護するための装置の背面斜視図である。
図5】保護装置の光学要素の断面図である。
図6】洗浄流体を噴射するためのノズルを有する一変形形態による光学センサを保護するための装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
これらの図において、同一要素は同じ参照番号を有する。
【0024】
下記の諸実施形態は例である。本明細書は1つまたは複数の実施形態を参照しているが、これは各参照番号が同じ実施形態に関連すること、または特徴が単一の実施形態にしか該当しないことを必ずしも意味するものではない。様々な実施形態の単純な特徴は、他の実施形態を提供するように組み合わされるまたは置き換えられることもできる。
【0025】
本明細書では、いくつかの要素に、例えば第1の要素または第2の要素のように指標を付けることがある。この場合、これは、似ているが同じではない要素を区別し命名するための単純な指標付けである。この指標付けは、ある要素の、別の要素に対する優先事項を含意するものではなく、このような命名は、本明細書の枠組みから逸脱することなく容易に置き換えることができる。この指標付けは時間における順序を含意するものでもない。
【0026】
図1は、本発明による少なくとも1つの運転者支援システム1を装備した自動車100を示す。
【0027】
運転者支援システム1は、特に少なくとも1つの光学センサ13と光学センサ13を保護するための装置3とを備える。
【0028】
光学センサ13は、例えばカメラなどの、画像を撮影するための光学センサ13である。光学センサ13は、CCD(電荷結合素子)センサ、すなわち電荷を転送する装置またはマトリクス状の小型フォトダイオードを含むCMOSセンサとすることができる。別の変形形態によれば、光学センサ13は、LIDARセンサ(光検出と測距)と呼ばれるレーザ遠隔検出用センサとすることができる。
【0029】
図2aおよび図2bにより良く見られるように、光学センサ13は、光軸15を有する光学ユニット14を含む。光学ユニット14は例えばレンズである。光学ユニット14は、魚眼と呼ばれる光学ユニットのように、光学センサ13の外側に向かって方向付けられた例えば凸状(ドーム形)の凸面体である。
【0030】
光学センサ13は、適切な光機能を果たすことができる光学構成要素および電子構成要素を収容する本体13’と、これらの構成要素を連結するための手段を収容するように本体の軸線方向延長部内に配置された連結部17と、を含み、連結部17は、この本体13’を後方に、すなわち光学ユニット14の反対側に延ばす。
【0031】
光学ユニットの反対側に、本体13’は光軸15に対して垂直に広がる端面18を有し、連結部17は端面18から突出して延びる。したがって、端面18は連結部の周囲に支持面を形成する。
【0032】
本発明の文脈において、連結部17は、光学センサの本体13’の形状および寸法にかかわらず標準のサイズにすることができることに留意されたい。
【0033】
さらに、特定の図示の例によれば、光学センサ13は、光学センサ13の後端の周囲に、言い換えると光学ユニット14の反対側に、より詳細には本体13’の軸線方向延長部内に配置された連結部17の周囲に配置された、例えば実質的に円筒形状の連結片(linking piece)16を備えることができる。この連結片16は、光学センサ13の動作に必要なケーブル(図示せず)用の通路を形成して、例えば、光学センサ13が光学センサ13の電力供給源に接続されるのを可能にし、かつ/または光学センサ13によって取り込まれた画像が車両100(図1)の少なくとも1つの画像処理手段(図示せず)に転送されるのを可能にする。図に示すように、この連結片16は、特に連結部17がその内部に延びる、ケーブルを通すためのシースと、光学センサの本体13’の端面18を当接支持することができるカラーと、を有する。
【0034】
図示の実施形態によれば、光学センサ13は保護装置3内に取り付けられる。
【0035】
図1に示す例によれば、保護装置3は車両100の前部に、フェンダに取り付けられる。もちろん、一変形形態として、保護装置3は、車両100の背面に、例えばフェンダまたはナンバープレートに取り付けることができる。保護装置3は、例えば車両の側面上に、バックミラーに設置することもできる。
【0036】
保護装置3は、任意の既知の技法に従って、車体要素やフェンダ、バックミラーまたはナンバープレートのような外部要素など、車両100の任意の要素2に装着することができる。これを行うために、クリップシステム、ねじ締めシステムまたはボンディングシステムを非網羅的な形で挙げることが可能である。
【0037】
保護装置3は、透明であり、回転軸A1を中心に回転可能に取り付けられる、図2a〜図3により良く見られる光学要素9をさらに含む。この光学要素9は、光学要素9の回転軸A1が光学センサ13の光軸15と一致するように光学センサ13の光学要素14の上流側に配置されるように構成される。
【0038】
光学要素9は保護装置3の前部に配置される。保護装置3の前部は道路シーンに面するよう意図された部分から延びていて、装置3の光学センサ13は、保護装置3が自動車100(図1)上に設置されると道路シーンの画像の撮影に関与する。
【0039】
保護装置3は、光学要素9を回転させるように構成されたモータ5(図2aおよび図2bに見られる)をさらに含む。
【0040】
モータ5は保護装置3の後部に配置される。保護装置3の後部は、保護装置3の前部と反対側の部分を意味する、したがって保護装置3の後部は道路シーンから最も離れた部分であり、光学センサ13は道路シーンの画像の撮影に関与する。言い換えると、モータ5は、光学センサ13の光学ユニット14の反対側にかつ光学要素9に対向して配置される。
【0041】
モータ5は、回転軸A2を中心に回転可能に取り付けられる。これを行うために、モータ5は回転シャフト51を含む。特に、モータ5は固定された固定子53を含み、回転シャフトまたは回転子51は固定された固定子53に対して回転可能に可動である。
【0042】
図示の実施形態によれば、回転子51は固定子53の周囲に配置される。したがって、固定子53は内側にあり、回転子51は外側にある。
【0043】
さらに、モータ5は、モータ5の回転軸A2が光学要素9の回転軸A1および光学センサ13の光軸15と一致するように配置される。
【0044】
非限定的な例として、モータ5はより具体的にはブラシレスモータとすることができる。
【0045】
モータ5は、1000〜50000rpm、好ましくは5000〜20000rpm、より好ましくは7000〜15000rpmの回転速度を有することができる。このような回転速度は、光学要素9上に堆積されているであろう潜在汚染物の除去、すなわち遠心分離効果による除去を可能にし、それにより、光学センサ13の光学ユニット14は運転者支援システム1の最適動作を確実にするようにきれいに保たれることが可能になる。
【0046】
モータ5は、例えば、車両100(図1)の一般電気回路に接続された電源によって電力供給される。
【0047】
図2a〜図4を参照すると、保護装置3は、光学要素9と好適に一体化されかつ光学要素9の回転軸A1を中心に可動の回転可能に取り付けられたケーシング4をさらに含むことができる。
【0048】
ケーシング4は、密閉されたケーシングであることが好ましい。
【0049】
このケーシング4はモータ5によって回転させられるように配置され、これにより光学要素9は回転することが可能になる。したがって、この特定例での光学要素9は、光学要素9が遠心分離効果によって清掃されるのを可能にするようにケーシング4と共に回転させられるように構成される。
【0050】
光学要素9は、ケーシング4の前部に配置されるように構成される。ケーシング4の前部は道路シーンに面するよう意図されたケーシング4の部分から延びていて、光学センサ13は、保護装置3が自動車100(図1)上に設置されると道路シーンの画像の撮影に関与する。対照的に、図2aおよび図2bにより良く見られるケーシング4の後部は、ケーシング4の前部の反対側のケーシング4の部分から延びており、したがってケーシング4の後部は道路シーンから最も遠く離れた部分であり、光学センサ13は道路シーンの画像の撮影に関与する。
【0051】
さらに、ケーシング4は、光学センサ13の光軸15が光学要素9およびケーシング4の回転軸A1と一致するように光学センサ13を収容するように構成されたハウジング19(図2a参照)を含む。
【0052】
ハウジング19はモータ5も収容するように構成される。より正確には、モータ5はケーシング4の後部に配置される。上述の実施形態によれば、モータ5は光学要素9の反対側に配置される。
【0053】
ケーシング4が光学要素9と一体であると、これにより密閉されたブロックが形成され、したがって光学センサ13およびモータ5を収容するよう意図されたケーシング4内への汚れの導入を妨げる。
【0054】
さらに、この例でのモータ5は光学センサ13の延長部内に配置される。より正確には、モータ5は中空であり、光学センサ13を少なくとも部分的に収容するように、特にモータ5の中空部内に光学センサの後部を、より具体的には光学センサの本体13’から突出して延びる連結部17を収容するように構成される。特に、モータ5は、中空でありかつ光学センサ13の一部を収容することができるモータの固定された固定子53である。先に規定したように、これは、光学センサ13の光学ユニット14とは反対側の後部である。
【0055】
光学センサ13、モータ5および保護装置3を設置するときに、モータ5の固定子53は、光学センサ13の連結片16のシースの周囲に配置される。固定子53は、固定子53が連結片16のカラーの存在によって阻止されるまで挿通される。この配置構成は、モータが光学センサ13の本体13’の端面18を越えて軸線方向に配置されないようにすることが理解されよう。光学センサの本体のサイズおよび形状にかかわらず、連結部17および連結片16のシースが1つの光学センサから別の光学センサへと安定した寸法を有している限り、同じモータ5を使用することができる。今後、大型カメラに適合するようにモータを過大にする必要はなく、このことは、コスト有意性がありかつ不均衡現象を低減して、またしても関連する軸受を過大にするに必要のないようにする。
【0056】
さらに、ケーシング4は、モータ5の回転シャフトまたは回転子51と一体である。
【0057】
さらに、ケーシング4は、光学センサ13のハウジング19を画定する壁21を含む。この壁21は、光学要素9およびケーシング4の回転軸A1を中心としている。この例では、壁21は、図2b〜図4により良く見られるように、実質的に略円筒形状である。
【0058】
第1の変形形態によれば、壁21は光学要素9と共に単一部片で作ることができる。
【0059】
第2の変形形態によれば、壁21および光学要素9は2つの別個の部片で作ることができ、この場合、壁21は光学要素9の一端と一体化される。特に、壁21は、光学要素9と一体化される壁21の前端部である。以前のように、前部は道路シーンに最も近い部分として画定される。非限定的な例として、壁21と光学要素9との一体化は超音波溶接によって行うことができる。
【0060】
したがって、ケーシング4および光学要素9は1つまたは複数の部片で作ることができる。
【0061】
ケーシング41、特に壁21は、当業者に知られる任意の適切な材料、例えばアルミニウムまたは熱伝導ポリカーボネートで作ることができる。
【0062】
さらに、壁21は好適には、光学センサ13がケーシング4の内側に配置されるときに光学センサ13の後部で連結片16を取り囲む開口21a(図2a、図2b参照)を含む。
【0063】
一変形形態または補完形態として、結露を制限する少なくとも1つの手段が好適に設けられ、以下、結露防止手段と称する。この種の結露防止手段はケーシング4に設けることができる。特に、ケーシング4の壁21上に少なくとも1つの結露防止手段を配置することができる。
【0064】
非限定的な例として、結露防止手段は、ケーシング4に、この例では壁21に少なくとも1つの貫通オリフィス210を備えることができる(図2a〜3参照)。1つまたは複数のオリフィス210は穴をあけることによって作ることができる。複数のオリフィス210が設けられる場合、これらのオリフィス210は、ケーシング4の回転軸A1に対して対称に配置されることが好ましい。
【0065】
図2aに示す例によれば、ケーシング4の回転軸A1に対して対称に配置された2つのオリフィス210が設けられる。オリフィス210は、保護装置3が図2aに示すように組み立てられたときにケーシング4の内部とケーシング4の外部との間を連通する。非限定的な例として、各オリフィス210は、5mm程度の直径を有することができる。
【0066】
さらに、少なくとも1つのオリフィス210にそれぞれ配置された1つまたは複数の半透膜211を設けることができる(図2a〜図3)。図2aに示す例によれば、2つの半透膜211は概略的に示されている。各半透膜211は、関連するオリフィス210の上に密封態様で、例えばボンディングまたは超音波溶接によって固着され得る。
【0067】
これらの膜211は、既述の実施形態によれば、空気に対して透過性であり水に対して不浸透性である。したがって、1つまたは複数の膜211はケーシング4内部の空気の循環を支援する。これにより光学ユニット14と光学要素9との間の十分な通気が可能になり、それによって結露の蓄積を防止する。
【0068】
さらに、1つのオリフィス210または複数のオリフィス210における高重量を補償する少なくとも1つの手段が好適に設けられる。図2a〜図3に示す特定例によれば、ケーシング4の回転軸A1に対して対称な2つのオリフィス210(図2aにより良く見られる)では、2つの膜211もまたケーシング4の回転軸A1に対して対称に配置され、ケーシング4が回転するときに重量の影響が遠心力に対して制限されることを可能にするのがこの対称配置構成である。
【0069】
特に光学要素9に関して、光学要素9は、この光学ユニット14を損傷させる恐れのある汚染物または固体破片の潜在噴射から光学センサ13の光学ユニット14を保護するためのものである。したがって、光学要素9は、光学センサ13の保護要素、より正確には保護マスクであり、この光学要素9は、外部からの攻撃、すなわち水ならびに汚染物の噴射、砂利、および汚染物質の堆積物もしくは水の痕跡にさらされるものである。
【0070】
この光学要素9は、ガラスまたはポリカーボネートなどの透明プラスチック材料で作ることができる。
【0071】
光学要素9は回転軸A1に対して芯合わせして配置される。この光学要素9は、特に回転軸A1に対して回転対称である。
【0072】
保護装置3を組み立てるとき、光学要素9は、光学センサ13に対して芯合わせして、より正確には光学ユニット14に対して芯合わせして配置される。
【0073】
前述のように、ケーシング4の壁21と共に単一部片で作られるかまたはこの壁21の端部と一体化される光学要素9は、保護装置3の前部に配置され、この例ではケーシング4の前部に配置される。
【0074】
一変形形態によれば、光学要素9は光学センサ13とは異なる。この場合、光学要素9は、光学センサ13の上流側に、より正確には光学要素14の上流側に配置されるためのものである。この文章では、上流側(upstream)という用語は光軸15に対してかつ道路シーンに対して定義され、光学センサ13は道路シーンの画像の撮影に関与する。言い換えると、光学ユニット14の「上流側」は、光学要素9が光学ユニット14と道路シーンとの間に配置され、光学センサ13が光軸15に沿って道路シーンの画像の撮影に関与する、位置を意味する。
【0075】
別の変形形態によれば、光学要素9は、光学センサ13の光学ユニット14の外側レンズなどの光学センサ13の一部によって形成され得る。この場合、光学要素9は、光学ユニット14の上流側にも、すなわち光学ユニット14と道路シーンとの間にも配置され、光学センサ13は光軸15に沿って道路シーンの画像の撮影に関与する。
【0076】
これらの変形形態のどちらか一方によれば、光学要素9が光学センサ13の光学ユニット14の上流側に配置されると、その透明材料での実施形態は光学センサ13の効率を損なわないことを可能にする。
【0077】
さらに、これらの変形形態のどちらか一方によれば、図1図3を参照すると、光学センサ13を収容する保護装置3が車両100上に取り付けられるときに、光学ユニット14および光学要素9は車両100の要素2上に作られた開口から突出する。かかる配置構成では、光学センサ13は、図2a上に破線によって概略的に境界を定められた広画角Vを有し、光学ユニット14は、光学ユニット14と車両100(図1)の外側との間に光学要素9が存在するため、きれいな状態のままでいる。
【0078】
加えて、光学センサ13とは異なるまたは光学センサ13に属する光学要素9の変形形態のどちらか一方によれば、光学要素9は、光学ユニット14の全表面を覆うように寸法決定される(図2a〜図3参照)。
【0079】
これを行うために、再び図2aおよび図2bを参照すると、光学要素9が光学センサ13とは異なる場合、光学要素9は、
光学センサ13の光学ユニット14に対向して配置されるよう意図されたマスク形成部90aと、
このマスク90aの延長部内の、光学ユニット14を有する光学センサ13の前部を取り囲むよう意図された保持部90b、すなわち、光学センサ13がその画像の撮影に関与する道路シーンに面するよう意図された光学センサ13の部分と、
を有することができる。
【0080】
もちろん、保持部90bは、保持部90bが取り囲むよう意図された光学センサ13の前部の形状を補完する形状を有する。図示の例によれば、この保持部90bは、光学要素9のマスク形成部90aを拡張する実質的に段付きの形状を有することができる。光学要素9のこの段付き形状は図2a、図2bおよび図5により良く見られる。さらに、光学要素9の保持部90bは、光学要素9がこの壁21と共に単一部片で作られない場合にケーシング4の壁21(図2a、図2b参照)の前端に装着される部分である。
【0081】
好適には、光学要素9は、光学ユニット14の形状と実質的に同じ全体形状を有する。この例では、光学要素9は、少なくとも部分的に、光学センサ13の光学ユニット14の曲面と実質的に平行な湾曲部を有する実質的に凸状の形をしている。光学要素9のこの凸状部は、例えば、光学センサ13の光学ユニット14の直径に近い直径を有する。図示の例によれば、この凸状部は、この実質的に凸形状を有する光学センサ13の光学ユニット14の真向いに配置されるよう意図されたマスク形成部90aである。
【0082】
図示しない代替手段によれば、光学要素9は、光学要素9が光学センサ13とは異なる場合、少なくとも部分的に実質的に平坦にすることができる。
【0083】
したがって、光学ユニット14は、光学ユニット14を損傷させ得る、有機もしくは無機汚染物質、水、これらの異なる要素を組み合わせたものなどの汚染物の潜在噴射から保護される。加えて、ケーシング4および光学要素9が回転するとき、潜在汚染物が受ける遠心力は、光学要素9上でのこれらの汚染物の付着力よりも大きい。したがって、光学要素9の外表面上に堆積された潜在汚染物は光学要素9からはじき出され、光学センサ13の視野Vを妨げない。
【0084】
さらに、光学ユニット14と光学要素9との間の結露現象を防止するために、光学要素9の内表面9a(図5参照)は好適にはアンチミスト特性を有する。光学要素9の内表面9aは、光学センサ13の光学ユニット14に対向して配置されるよう意図された表面である。特に、光学要素9の内表面9aは、一点鎖線のサークル線23の円弧で概略的に示されているアンチミストコーティングを有する。
【0085】
一変形形態または補完形態として、光学要素9の外表面9bは、下記特性、すなわち、疎水性、赤外線フィルタ、光触媒、超疎水性、疎油性、親水性、または超親水性、砂利への耐性、または汚染物の付着力が低減されるのを可能にする他の表面処理のうちの1つまたは複数を有することができる。
【0086】
光学要素9の外表面9bの疎水性のおかげで、潜在水滴は外表面9bの上を痕跡を残さずに流れる、というのは水はこの外表面9bに付着することができないからである。
【0087】
図5の破線の円形部分25によって概略的に示されている、光学要素9の外表面9b上の複数の層またはコーティングは、有機もしくは無機汚染物質が付着する可能性、ならびに運転者支援システム1の正常動作に悪影響を及ぼし得る光学要素9上の水の痕跡の存在を制限することを可能にする。好適には、Rain−X(登録商標)タイプの溶液などの液体溶液が、光学要素9の外表面9b上に疎水性薄膜を形成するように例えば定期的にかつ手作業で付着され得る。
【0088】
これらの実施形態例は、例示の非限定的なものとして提供される。例えば、当業者は、この外表面9b上での汚染物の付着が本発明の枠組みから逸脱することなく制限されることを可能にする他の特性をもつ外表面9bを有する透明光学要素9を使用することができる。
【0089】
選択的に、保護装置3の光学要素9は、例えば、気象条件にかかわらず運転者支援システム1の適性な実施可能性を保証することができるように一体化されたフィラメントや除氷抵抗器などの除氷または防曇システムも備えることができる。
【0090】
加えて、再び図1図4を参照すると、光学要素9、より一般的には保護装置3全体は、例えば締結板41および締結ブラケット46を備える保持締結手段を用いて、車両100上に設けられた要素2上に取り付けることができる。保護装置3を組み立てた後、締結ブラケット46は、任意適当な手段によって、例えば溶接、ねじ締めまたはボンディングによる非限定的な方法で締結板41と一体化することができる。締結板41は、例えば、車両100(図1)の車体要素などの要素2に任意の手段で装着することができる。
【0091】
再び図2a〜図4を参照すると、締結板41は保護装置3の前部に配置される。この締結板41は、光学要素9および光学センサ13の光学ユニット14を通し、それによって外側に向かって見えるようにするための開口45(図2aおよび図3)を有する。この開口45は、例えば、車両100の要素2の相補的開口に対向して配置されるように設けられ、したがって、保持締結手段41、46が車両100の要素2上に設置されると、光学センサ13の光学ユニット14および光学要素9は、締結板41の開口45から突出し、そして車両100の要素2に存在する開口から突出する(図1図3参照)。
【0092】
この例では、締結ブラケット46は、2つの実質的に平行な向かい合う分岐46aを有する実質的にU字形状またはあぶみ形状を有し、分岐46aはケーシング4の両側に延び、ベース46bによって連結されている。ベース46bは、保護装置3の後部に、ここでは締結板41の反対側に位置付けられる。
【0093】
締結ブラケット46は、好適には、光学センサ13と光学センサ13の動作に必要なケーブル(図示せず)との接続を可能にするように光学センサ13の後部に連結片16を通すための開口47(図2a、図2bおよび図4により良く見られる)を含む。この開口47は、保護装置3の後部に、例えば締結ブラケット46のベース46bの実質的に中心に設けられる。
【0094】
好適には、水蒸気および/または他の汚染物のケーシング4内への侵入を制限するようにケーブルまたは電線を通すための密閉配置構成がケーシング4の後部に設けられる。特に、光学センサ13とケーブルまたは電線との接続を可能にする連結片16を通すための開口47は、水蒸気および/または他の汚染物のケーシング4内への侵入を制限するように密封態様で保護される。
【0095】
さらに、保護装置3は、特に、図2aに概略的に示されている1つまたは複数の軸受27、28を備えることができる。軸受27、28は、一般に実質的に環状の形をしている。
【0096】
図2aに示されている例によれば、保護装置3は2つの軸受27、28を備える。第1の軸受27は、ケーシング4が締結板41に対して回転することを可能にするものであり、ケーシング4の外側の光学要素9と締結板41との間に配置される。第2の軸受28は、ケーシング4がモータの固定された固定子53に対して回転することを可能にするものであり、回転子51と固定子53との間に配置される。
【0097】
さらに、図6を参照すると、光学要素9の清浄状態を改善するために、選択的な代替手段によれば、保護装置3は、特に清掃および/または乾燥用の流体を光学要素9上に噴射するための少なくとも1つのノズル22をさらに備えることができる。このノズル22は、例えば締結板41上の光学要素9の上方に位置付けることができる。図示しない他の実施形態によれば、ノズル22は光学要素9に近い任意の位置に位置付けることができる。
【0098】
ノズル22によって噴射された流体は、光学要素9の回転が光学要素9上に堆積されている様々な汚染物を除去するのに十分でない場合に光学要素9が清掃されるようにする圧縮空気または洗浄液とすることができる。あるいは、流体の噴射は、光学要素9の清浄状態を確保するように光学要素9の回転に相補的な態様で使用することができる。図6では、矢印20は、光学要素9の回転方向、例えば時計回り方向を示す。もちろん、この回転は、図示しない別の実施形態に従って絶対的に反時計回り方向に行われる。
【0099】
さらに、図示しない他の実施形態によれば、保護装置3はいくつかのノズル22を備えることができる。保護装置3は、例えば、洗浄液などの第1の流体を噴射するように構成された第1のノズル22と圧縮空気などの第2の流体を光学要素9上に噴射するように構成された第2のノズルとを備えることができる。
【0100】
1つまたは複数のノズル22は、車両100(図1)の洗浄液を分配するためのシステムに連結することができる。代替手段として、保護装置3は、保護装置3専用の洗浄液のリザーバを備えることができる。この場合、保護装置3を車両100の洗浄液システムに連結してノズル22(図6)を供給するようにするために、車両100のレベルで長い複雑な初期設計を必要とせずに、この運転者支援システム1を車体要素などの車両100の任意の要素2の内側に、あるいは例えばフロントもしくはリヤフェンダまたはバックミラーのような車両100の任意の外側要素上に比較的容易に設置することが可能である。
【0101】
選択的に、保護装置3は、保護装置3を使用するときにモータ5の回転速度が高速のために車両100内部の乗員または他の利用者に不便を感じさせないようにモータ5からの潜在的騒音公害が制限されることを可能にする要素も含むことができる。
【0102】
さらに、すべての図を参照して前述した保護装置3は、かかる保護装置3の光学要素9を清掃する方法に従って実施することができる。この清掃方法は、特に、光学要素9が回転しているときに、遠心分離効果により、光学要素9上、特に光学要素9のマスク形成部90a上の潜在堆積物を除去することを企図している。もちろん、遠心分離効果により清掃できるようにするために、光学要素9は、非ゼロ回転速度に応じて、例えばケーシング4を用いて回転させられる。
【0103】
これを行うためには、図1図2bを参照すると、運転者支援システム1は、例えばケーシング4を用いて光学要素9を回転させるように特にモータ5を作動させるように構成された電子制御ユニット(図示せず)をさらに備えることができる。
【0104】
清掃方法の一実施形態例によれば、モータ5は、車両100が機能しているときに、すなわち運転段階中にまたは接触して停止したときにケーシング4および光学要素9が永久に回転させられるように、例えば電子制御ユニットによって作動させることができる。
【0105】
清掃方法の別の実施形態によれば、モータ5は、車両100が機能しているときにケーシング4および光学要素9を断続的に回転させるように、例えば電子制御ユニットによって作動させることができる。この実施形態によれば、電子制御ユニットは、例えば、車両の駐車を容易にするように車両の後方を見えるようにするために、例えば運転者支援システム1が設置される場合に使用車がリバースギヤを選択するときのように、車両の使用者が光学センサ13の実施を必要とする車両の機能性を使用するときにモータ5の始動を制御することができる。
【0106】
好適には、光学要素9の回転速度は、清掃方法の間に調整することができる。例えば、電子制御ユニットは、車両100の移動速度に応じて回転速度を調整するようにモータ5を制御するように構成される。事実上、汚染物は、特に運転者支援システム1が車両100の前部にある場合、ケーシング4および光学要素9の回転に関連する遠心力のおかげで、潜在的には車両100の移動に関連する摩擦とあいまって光学要素9から除去される。したがって、光学要素9の良好な清潔状態、したがって光学センサ13の最適動作を維持するために、車両100の移動速度が高くなる、ケーシング4および光学要素9の回転速度を上げる必要が低くなる。したがって、電子制御ユニットは、特に光学要素9が車両の前部に設置される場合、車両100の移動速度が上昇するときにモータ5がケーシング4の回転速度を低下させるようにモータ5に作用するように構成することができる。
【0107】
特定の一実施形態によれば、電子制御ユニットは、光学要素9の回転方向の変化を引き起こすように構成される。好適には、電子制御ユニットは、光学要素9の回転方向を予め定義した期間にわたって複数回、比較的急速に変えることができる。回転方向のこの変化は、加速現象の出現を支援するとともに、例えば光学要素9の実質的に中心に配置されるはずの潜在小水滴を除去することを効率的に可能にする。事実上、光学要素9の回転方向の変化は汚染物を汚染物の移動とは逆方向の加速にさらすことになり、このことは、光学要素9への汚染物の付着の喪失、したがって光学要素からの汚染物のはじき出しを支援する。
【0108】
清掃方法は、光学要素9上に少なくとも1つの流体を噴射する少なくとも1つのステップも含むことができる。この噴射ステップは、例えば光学センサ13の視野V内の汚染物の検出後に、かつ/または車両100の速度に応じてかつ/または時間遅延に応じて引き起こすことができる。
【0109】
例えば、電子制御ユニットは、光学センサ13が例えば光学センサ13の視野Vにある汚染物の存在を検出するときに、ノズル22を用いて例えば圧縮空気または洗浄液のような少なくとも1つの流体の光学要素9上への噴射を引き起こすように構成することもできる。
【0110】
特定の一実施形態によれば、電子制御ユニットは、車両100が停止させられるときに、または車両100が低速で、すなわち例えば15km/h未満の速度で移動しているときに、光学要素9上への圧縮空気の噴射を引き起こすように構成することができる。事実上、このような場合、空気力学的力は、光学要素9上に堆積し得る水滴および/または汚染物を除去するために、ケーシング4および光学要素9の回転の遠心力に効果的に結合されるのに十分でないことがある。特に、低速でまたは車両が停止させられるときに、光学要素9の中心にまたは中心の近くに位置する小水滴は、光学要素9の中心の回転速度が低すぎて小水滴をはじき出せないことがあるので、除去するのが困難となり得る。好適には、光学要素9上への圧縮空気の噴射は、車両100が低速で移動しているときまたは車両100が停止したときに空気力学的力がないことを補償することを可能にすることができる。
【0111】
別の実施形態によれば、電子制御ユニットは、車両100の一定期間の運転の終わりに洗浄液および/または圧縮空気の噴射を引き起こすように構成することができる。
【0112】
別の実施形態によれば、電子制御ユニットは、車両100の使用者からの要求に応じて洗浄流体および/または圧縮空気の噴射を引き起こすように構成することができる。
【0113】
清掃方法は、異なる流体を噴射する連続ステップも含むことができる。電子制御ユニットは、いくつかの実施形態によれば、洗浄液および圧縮空気の噴射を連続して噴射するように構成することができる。
【0114】
清掃方法の特定の実施形態によれば、遠心分離効果にもかかわらず光学センサ13が光学センサ13の視野V内の汚染物の存在を検出すると、電子制御ユニットは、ケーシング4および光学要素9の回転を止めるようにモータ5を停止させるよう制御することができる。次いで、電子制御ユニットは、例えば汚れを取り除くようにノズル22を通る洗浄液の噴射を制御することができる。次いで、電子制御ユニットは、光学要素9上に外皮で覆われることがある汚染物を除去するように同じノズル22を通るまたは図示しない第2のノズルを通る圧縮空気の噴射を制御することができる。次いで、電子制御ユニットはモータ5を再び作動させて、ケーシング4および光学要素9を初期回転速度とは異なる回転速度で再び回転させることができる。圧縮空気の噴射は、この実施形態に従って、ケーシング4および光学要素9の回転を再開する前に、同時に、または後で行うことができる。
【0115】
一変形形態または補完形態として、清掃方法は、それぞれ光学要素9の異なる回転速度を有する少なくとも2つの清掃ステップを含むことができる。非限定的な例として、
光学要素9が第1の回転速度に応じて回転させられている間の、光学要素9上に、特にマスク形成部90a上に洗浄流体を噴射する第1のステップと、
光学要素9が第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させられている間の第2の乾燥ステップと、
を想定することが可能である。
【0116】
この例での第1の回転速度は第2の回転速度よりも遅いことが好適である。
【0117】
第2の乾燥ステップの開始は遅延することがある。
【0118】
したがって、特に、洗浄流体などの流体が光学要素9上に噴射されるまたは光学要素9に付着されるときに、回転速度は比較的低くすることができ、光学要素9が既に回転していた場合はさらに遅くすることができる。これにより洗浄液を散布するのが容易になる。例えば洗浄液を散布するのに必要な時間に対応するように比較的短い予め定義した期間の後、回転速度は加速されて、光学要素9の、特にマスク形成部90aの外表面9b(図5参照)を乾燥させることを可能にし、洗浄液によってぬらされた汚染物の除去を支援することも可能にする。
【0119】
好適には、このような実施形態では、清掃するための流体の量は、回転を伴わない従来技術の通常の清掃システムよりもずっと少ない。
【0120】
さらに、保護装置3は、さらにかつ選択的に、光学要素9に近い物体の接近を検出するように構成された検出手段(図示せず)を備えることができる。好適には、保護装置3は、電子制御ユニットに接続される近接センサ(図示せず)を備える。このような近接センサは、例えば静電容量型近接センサとすることができる。
【0121】
運転者支援システム1は、光学要素9に近い物体の接近を検出するとすぐにケーシング4および光学要素9の回転を抑制するための手段(図示せず)を備えることができる。一例として、静電容量型近接センサは、物体の接近の検出情報を電子制御ユニットに転送するように構成することができ、電子制御ユニットは、この情報を受け取りかつケーシング4および光学要素9の回転を停止させるようにモータ5を自動的に停止させるよう制御するための1つまたは複数の処理手段を含むことができる。これは、光学要素9が物体と接触する場合に、特に運転者支援システム1が車両100のフロントもしくはリヤフェンダに設置されるためのものである場合に光学要素9が損傷を受ける危険性を制限する。
【0122】
したがって、光学センサ13のためにいつも澄んでいてきれいな視野Vが得られる。実際、動作中、モータ5は、光学要素9を光学センサ13に対して、例えばケーシング4を用いて回転させる。この回転は、例えばケーシング4を用いて、特にモータ5の固定された固定子53内に光学センサ13の一部の配置、およびモータ5の回転シャフト51と光学要素9との間の関連のおかげで可能である。光学要素9の回転は、汚染物が受ける遠心力のために汚染物の除去を確実にする。
【0123】
さらに、光学要素9の回転軸A1が光学センサ13の光軸15と一致することで、このシステムは、車両100内に一体化されるよう意図された任意のタイプの光学センサ13に適合することが可能になり、同時に広画角を保つ。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6