特許第6780114号(P6780114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6780114
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】継手構造体及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/06 20060101AFI20201026BHJP
   F16B 5/08 20060101ALI20201026BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20201026BHJP
   B64C 1/06 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   F16B5/06 C
   F16B5/08 B
   F16B11/00 B
   F16B11/00 E
   F16B5/06 J
   B64C1/06
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-529271(P2019-529271)
(86)(22)【出願日】2019年4月12日
(86)【国際出願番号】JP2019015923
【審査請求日】2019年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】原田 敬
(72)【発明者】
【氏名】重成 有
(72)【発明者】
【氏名】奥村 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】秋元 豊晴
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−072042(JP,A)
【文献】 実開昭48−113546(JP,U)
【文献】 特表2004−507629(JP,A)
【文献】 特表2007−534538(JP,A)
【文献】 特開2008−222221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/06
B64C 1/06
F16B 5/08
F16B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被補強部材と補強部材とを繋いだ継手構造体であって、
前記被補強部材と前記補強部材との間に設けられ両者を連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、前記被補強部材と前記補強部材の一方と他方にそれぞれ結合された第1結合部と第2結合部を有し、該第1結合部は、前記一方の継手部に接着剤又は溶着により結合され、
前記第1結合部と前記継手部とは、前記被補強部材と前記補強部材との継手方向に互いに引っ掛かる形状を有しており、
前記継手部は、前記継手方向に直交する直交方向に突出した突出部分を有し、
前記突出部は、前記直交方向における寸法が、前記継手方向における前記他方の側の先端から中間部又は後端までの範囲において、前記他方と反対側へ移行するにつれて次第に大きくなっており、
前記連結部材は弾性変形可能に形成されており、
前記直交方向に2つの前記第1結合部が互いに対向しており、当該2つの第1結合部の間に隙間が形成され、該隙間は、前記第2結合部と反対側における前記継手方向の開口と、該開口よりも前記第2結合部の側に位置する収容部とを含み、前記直交方向における前記収容部の寸法は、前記直交方向における前記開口の寸法よりも大きく、
前記収容部に前記突出部分が位置するように前記補強部材が前記開口に挿入されている、継手構造体。
【請求項2】
前記直交方向に前記継手部を挟み互いに対向するように配置された2つの前記連結部材を備え、
前記2つの連結部材を1組として、複数組の前記連結部材が、それぞれ、前記被補強部材と前記補強部材とを連結する複数箇所に配置されている、請求項に記載の継手構造体。
【請求項3】
前記第2結合部は、前記被補強部材と前記補強部材の前記他方の継手部に接着剤又は溶着により結合され、
前記第2結合部と当該継手部とは、前記被補強部材と前記補強部材との継手方向に互いに引っ掛かる形状を有している、請求項に記載の継手構造体。
【請求項4】
被補強部材と補強部材とを繋いだ継手構造体であって、
前記被補強部材と前記補強部材との間に設けられ両者を連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、前記被補強部材と前記補強部材の一方と他方にそれぞれ結合された第1結合部と第2結合部を有し、該第1結合部は、前記一方の継手部に接着剤又は溶着により結合され、
前記第1結合部と前記継手部とは、前記被補強部材と前記補強部材との継手方向に互いに引っ掛かる形状を有しており、
前記被補強部材と前記補強部材とが、複数の連結箇所の各々において、1つの前記連結部材により連結されており、
前記継手方向に直交し互いに反対を向く方向を第1直交方向及び第2直交方向として、
いずれかの前記連結箇所において、前記連結部材の前記第1結合部は、前記継手部の第1直交方向の側に位置して当該継手部から第1直交方向側への荷重を受け得るようになっており、
別の前記連結箇所において、前記連結部材の第1結合部は、前記継手部の第2直交方向の側に位置して当該継手部から第2直交方向側への荷重を受け得るようになっている、継手構造体。
【請求項5】
前記継手部の第1直交方向の側に位置する複数の前記連結部材と、前記継手部の第2直交方向の側に位置する複数の前記連結部材とが、千鳥状に配置されている、請求項4に記載の継手構造体。
【請求項6】
請求項1に記載の継手構造体の組立方法であって、
(A)前記被補強部材と前記補強部材と連結部材を用意し、
(B)前記連結部材の第1結合部を、前記被補強部材と前記補強部材の一方と結合させ、前記連結部材の第2結合部を、前記被補強部材と前記補強部材の他方と結合させ、
前記(B)において、前記被補強部材と前記補強部材との継手方向に前記第1結合部と前記一方の継手部とが互いに引っ掛かるように前記第1結合部と前記継手部とを配置して、前記第1結合部と前記継手部とを接着剤又は溶着により結合させる、継手構造体の組立方法。
【請求項7】
記(B)において、
(B1)前記直交方向に2つの前記連結部材が互いに対向するように当該2つの連結部材の前記第2結合部を前記他方に結合し、この状態で、当該2つの連結部材は、前記第2結合部から前記継手方向に延びて前記第1結合部において互いの間に隙間を形成し、該隙間は、前記第2結合部と反対側における前記継手方向の開口と、該開口よりも前記第2結合部の側に位置する収容部とを含み、
(B2)前記開口を広げるように前記2つの連結部材を弾性変形させて、前記開口から前記継手方向に前記継手部を前記隙間に挿入し、前記突出部分を前記収容部に位置させ、
(B3)この状態で、前記第1結合部と前記継手部とを接着剤又は溶着により結合させる、請求項に記載の継手構造体の組立方法。
【請求項8】
被補強部材と補強部材とを繋いだ継手構造体の組立方法であって、
(A)前記被補強部材と前記補強部材と連結部材を用意し、
(B)前記連結部材の第1結合部を、前記被補強部材と前記補強部材の一方と結合させ、前記連結部材の第2結合部を、前記被補強部材と前記補強部材の他方と結合させ、
前記(B)において、前記被補強部材と前記補強部材との継手方向に前記第1結合部と前記一方の継手部とが互いに引っ掛かるように前記第1結合部と前記継手部とを配置して、前記第1結合部と前記継手部とを接着剤又は溶着により結合させ、
前記(B)において、
異なる連結箇所の各々において1つの前記連結部材が位置し、前記異なる連結箇所の前記連結部材により、前記継手部が、前記継手方向と直交する直交方向に挟まれ、且つ、各前記連結箇所において前記継手部と前記第1結合部とが前記継手方向に互いに引っ掛かるように、各前記連結部材の前記第2結合部を前記他方に結合させ前記一方を配置し、
各前記連結箇所において前記第1結合部と前記一方の前記継手部とを接着剤又は溶着により結合させる、継手構造体の組立方法。
【請求項9】
前記異なる連結箇所のそれぞれの前記連結部材を千鳥状に配置し、各前記連結箇所において前記第1結合部と前記一方の前記継手部とを接着剤又は溶着により結合させる、請求項に記載の継手構造体の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被補強部材と補強部材とを繋いだ継手構造体及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体、航空機の胴体、又は他の構造が、所定の構成部材(被補強部材)により構成される場合に、構成部材の機械的強度を高めるために構成部材に補強部材を連結している。例えば、特許文献1では、航空機の胴体を構成するバレルセクション(被補強部材)に、第1のフレームセクション(連結部材)を介して第2のフレームセクション(補強部材)を連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−222221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被補強部材と補強部材とが連結部材を介して連結される場合、例えば被補強部材に結合させた連結部材と補強部材とは、接着剤及びボルト(又はリベット)で互いに結合される。すなわち、両者を接着剤のみで結合させると、この結合部の機械的強度が不足するので、両者をボルト又はリベット(以下でボルト等ともいう)でも結合させている。
【0005】
しかし、連結部材と補強部材とをボルト等で結合させる場合、ボルト等を通す貫通穴を、連結部材と補強部材に形成する必要がある。なお、連結部材と被補強部材とをボルト等で結合させる場合も同様である。そのため、ボルト等を使用せずに又はボルト等の使用数を減らすことが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、被補強部材と補強部材とを連結部材を介して連結する場合に、被補強部材と補強部材の一方と連結部材とを、ボルト等を用いずに接着剤又は溶着で結合させる場合に、当該一方と連結部材との結合部分の機械的強度を確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明による構造体は、被補強部材と補強部材とを繋いだ継手構造体であって、
前記被補強部材と前記補強部材との間に設けられ両者を連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、前記被補強部材と前記補強部材の一方と他方にそれぞれ結合された第1結合部と第2結合部を有し、該第1結合部は、前記一方の継手部に接着剤又は溶着により結合され、
前記第1結合部と前記継手部とは、前記被補強部材と前記補強部材との継手方向に互いに引っ掛かる形状を有している。
【0008】
また、本発明による方法は、被補強部材と補強部材とを繋いだ継手構造体の組立方法であって、
(A)前記被補強部材と前記補強部材と連結部材を用意し、
(B)前記連結部材の第1結合部を、前記被補強部材と前記補強部材の一方と結合させ、前記連結部材の第2結合部を、前記被補強部材と前記補強部材の他方と結合させ、
前記(B)において、前記被補強部材と前記補強部材との継手方向に前記第1結合部と前記一方の継手部とが互いに引っ掛かるように前記第1結合部と前記継手部とを配置して、前記第1結合部と前記継手部とを接着剤又は溶着により結合させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、被補強部材と前記補強部材とを連結部材を介して連結する構成において、被補強部材と補強部材の一方の継手部と連結部材とを接着剤又は溶着により結合する場合に、第1結合部と継手部とは、被補強部材と前記補強部材との継手方向に互いに引っ掛かる形状を有している。したがって、継手方向における、継手部と連結部材との結合部分における継手方向の機械的強度は、接着剤又は溶着による結合に加えて、第1結合部と前記継手部とが継手方向に互いに引っ掛かることにより確保される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態による継手構造体を示す。
図2A図1のIIA−IIA矢視図である。
図2B図2Aの部分拡大図である。
図3図1のIII−III矢視図である。
図4】本発明の第1実施形態による継手構造体の組立方法を示すフローチャートである。
図5A】本発明の第1実施形態による継手構造体の組立方法の説明図である。
図5B】本発明の第1実施形態による継手構造体の組立方法の別の説明図である。
図5C】本発明の第1実施形態による継手構造体の組立方法の別の説明図である。
図6A】連結部材及び継手部の別の構成例を示す。
図6B】連結部材及び継手部の更に別の構成例を示す。
図7】参考例による連結部材及び継手部の構成を示す。
図8】本発明の第2実施形態による継手構造体を示す。
図9A図8のIXA−IXA矢視図である。
図9B図8のIXB−IXB矢視図である。
図10】連結部材及び継手部の別の構成例を示す。
図11A】連結部材及び継手部の別の構成例を示す。
図11B図11Aの連結部材を示す。
図12A図11Aの場合における継手構造体の組立方法の説明図である。
図12B図11Aの場合における継手構造体の組立方法の別の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
(継手構造体の構成)
図1は、本発明の第1実施形態による継手構造体10を示す。図2Aは、図1のIIA−IIA矢視図であり、図3は、図1のIII−III矢視図である。継手構造体10は、被補強部材1と補強部材3と連結部材5を備える。すなわち、継手構造体10は、被補強部材1と補強部材3とを連結部材5で繋いだものである。被補強部材1と補強部材3と連結部材5は、繊維強化プラスチック、金属、又は他の材料で形成されていてよい。この場合、被補強部材1と補強部材3と連結部材5は、同じ材料で形成されていてもよいし、そうでなくてもよい。
【0013】
被補強部材1は、各図の例では、板状の部材である。板状の被補強部材1は、連結部材5が取り付けられる取付面1aを有する。取付面1aは、板状の被補強部材1の厚み方向を向く面である。取付面1aは、平面であってもよいが、これに限定されず、曲面であってもよい。
【0014】
補強部材3は、連結部材5を介して被補強部材1に連結されている。図1において、取付面1aに沿った方向であり互いに直交する方向を、それぞれ第1方向D1及び第2方向D2とする。図1の例では、複数の補強部材3が、第1方向D1に間隔を置いて配置されており、各補強部材3は、第2方向D2に細長く延びている。第2方向D2と直交する平面による各補強部材3の断面の寸法と形状は、第2方向D2における位置によらず一定であってよい。なお、補強部材3の上記断面の形状は、図2Aの例では逆L字形であるが、これに限定されない。また、補強部材3の継手部3aは、図2Aのように補強部材3と一体的に形成されたものであってもよいし、補強部材3とは別の部材として形成された後、補強部材3に結合されたものであってもよい。この結合は、接着剤又は溶着、ボルト等、或いはこれらの組合せでなされてよい。
【0015】
連結部材5は、被補強部材1と補強部材3との間に設けられ両者を連結する。本実施形態では、2つの連結部材5が、被補強部材1と補強部材3との継手方向D3(図2Aを参照)に直交する直交方向(図2の例では、第1方向D1)に継手部3aを挟むように互いに対向して配置されている。この場合、当該2つの連結部材5を1組として、図1のように、複数組の連結部材5が、それぞれ、被補強部材1と補強部材3とを連結する複数の連結箇所に配置されていてよい。上記1組の連結部材5は、両者の間を通り継手方向D3に平行な平面に関して対称な構成を有していてよい。なお、1組の連結部材5の構成は、連結箇所によらず同じ構成を有していてよい。第2方向D2と直交する平面による各連結部材5の断面の寸法と形状は、第2方向D2における位置によらず一定であってよい。
【0016】
したがって、互いに反対方向を向く上記直交方向(第1方向D1)を第1直交方向及び第2直交方向として、各連結箇所において、上記1組のうち一方の連結部材5の第1結合部5aは、継手部3aの第1直交方向側(図2Aの右側)に位置して当該継手部3aから第1直交方向側への荷重を受け得るようになっており、上記1組のうち他方の連結部材5の第1結合部5aは、継手部3aの第2直交方向側(図2Aの左側)に位置して当該継手部3aから第2直交方向側への荷重を受け得るようになっている。
【0017】
連結部材5は、被補強部材1と補強部材3の一方と他方にそれぞれ結合された第1結合部5aと第2結合部5bを有する。第1結合部5aは、被補強部材1と補強部材3の一方(本実施形態では、補強部材3)の継手部3aに接着剤又は溶着により結合されている。連結部材5は弾性変形可能となる材料で形成されている。すなわち、補強部材3に接着又は溶着される前の連結部材5は、弾性変形可能に形成されている。
【0018】
図2Bは、図2Aの部分拡大図であり、継手部3a及び第1結合部5aを示す。継手部3aと第1結合部5aとは、被補強部材1と補強部材3との継手方向D3に互いに引っ掛かる形状を有している。本実施形態では、第1結合部5aは、継手部3aの一部(後述の突出部分7)を継手方向D3に挟む形状を有する。すなわち、第1結合部5aは、継手方向D3において、継手部3aの一部の重複面11a,11bに重なって当該一部を挟む重複面12a,12bを有する。
【0019】
なお、継手方向D3は、継手部3aにおいて被補強部材1に最も近い先端から、被補強部材1において継手部3aに最も近い位置へ向かう方向、及び、当該方向と反対の方向を意味してよい。図2の例では、継手方向D3は、取付面1aに直交する方向である。重複面11a,11b,12a,12bは、本実施形態では、継手方向D3に対して斜めの方向(例えば継手方向D3とのなす角が0度より大きく45度以下である方向)を向いている。
【0020】
継手部3aは、被補強部材1と補強部材3との継手方向D3に直交する直交方向(図2Bでは第1方向D1)に突出した突出部分7を有する。本実施形態では、継手部3aは、互いに反対の当該直交方向にそれぞれ突出した2つの突出部分7を有する。互いに対向する突出部分7の面11と第1結合部5aの面12との間には、両面11,12同士を接着する接着剤9が設けられている。面11は、上述の重複面11a,11bを含み、面12は、上述の重複面12a,12bを含む。接着剤9を用いる代わりに、両面11,12は互いに溶着されていてもよく、この場合、継手部3a(補強部材3)と第1結合部5a(連結部材5)は熱可塑性樹脂で形成されていてもよいし、溶着のための熱可塑性樹脂フィルムを用いてもよい。なお、継手部3aと連結部材5との結合には、ボルト等が用いられていなくてよい。
【0021】
第2結合部5bは、図1図3では図示を省略するが、例えば接着剤又は溶着(或いはボルト及びナット、リベット、接着剤又は溶着とボルト及びナットとの両方、若しくは接着剤又は溶着とリベットとの両方)により被補強部材1に結合されていてよい。図3の例では、取付面1aには、被補強部材1の他に第1方向D1に延びる縦通材13が結合されている。複数の縦通材13が、第2方向D2に間隔を置いて配置されている。各縦通材13は、図3のように、取付面1aと補強部材3との間の空間を第1方向D1に通過するように配置されている。
【0022】
なお、上述した継手構造体10は、一例では、モノコック構造体であってよい。この場合、例えば、板状の被補強部材1は、航空機の胴体又は自動車の車体を構成する外板である。被補強部材1が航空機(例えば旅客機)の胴体を構成する外板(skin)である場合、上述の第1方向D1は、航空機の胴体の中心軸と平行な軸方向であり、第2方向D2は、当該中心軸を回る周方向である。このような外板1は、例えば円筒形に形成されていてよい。このような外板1に対して、各補強部材3は、上記周方向に延びるフレームであり、取付面1aは、第1方向D1と第2方向D2に延びる内周面である。また、更に、外板1には、上記軸方向に延びる各縦通材13(stringer)が結合されている。なお、上述では、複数組の連結部材5が設けられているが、被補強部材1と補強部材3の寸法や形状によっては、複数組の代わりに1組の連結部材5が設けられてもよい。
【0023】
(継手構造体の組立方法)
図4は、上述した継手構造体10の組立方法を示すフローチャートである。図5A図5Cは、継手構造体10の組立方法の説明図である。
【0024】
ステップS1において、被補強部材1と補強部材3と連結部材5を用意する。
【0025】
ステップS2において、連結部材5の第1結合部5aを、被補強部材1と補強部材3の一方(本実施形態では補強部材3)と結合し、連結部材5の第2結合部5bを、被補強部材1と補強部材3の他方(本実施形態では被補強部材1)と結合する。
【0026】
ここで、第1結合部5aと補強部材3との結合は、次のようになされてよい。すなわち、継手方向D3(互いに反対を向く2つの方向D3)に第1結合部5aと継手部3aとが互いに引っ掛かるように第1結合部5aと継手部3aとを配置し、この状態で、第1結合部5aと継手部3aとを接着剤又は溶着により結合させる。ステップS2は、ステップS21〜S23を有する。
【0027】
ステップS21では、図5Aのように、2つの連結部材5が継手方向D3と直交する直交方向(第1方向D1)に互いに対向するように当該各連結部材5の第2結合部5bを被補強部材1の取付面1aに結合する。この結合は、例えば接着剤又は溶着によりなされてよいが、これに限定されない。
【0028】
ステップS21により2つの連結部材5の第2結合部5bが取付面1aに結合された状態で、当該2つの連結部材5は、図5Aのように、取付面1aに結合された第2結合部5bから継手方向D3に延びて、第1結合部5aにおいて互いの間に第1方向D1の隙間Gを形成している。隙間Gは、取付面1a(第2結合部5b)と反対側において継手方向D3の開口Goを有し、該開口Goよりも取付面1a側(第2結合部5bの側)において収容部Grを有する。第1方向D1における収容部Grの寸法は、第1方向D1における開口Goの寸法よりも大きい。隙間Gは、継手部3aの形状に整合する形状を有していてよい。例えば、収容部Grには、後述のステップS22で突出部分7が収容されるので、収容部Grは、突出部分7の形状に整合する形状を有する。このような隙間Gは、2つの連結部材5の第1結合部5aの面12により区画されている。なお、隙間Gは、第2方向D2において2つの連結部材5を貫通している。
【0029】
ステップS22では、図5Bのように、開口Goを広げるように2つの連結部材5を弾性変形させる。例えば、継手部3aを継手方向D3に開口Goへ押し込むことにより又は人の手により、開口Goを広げるように2つの連結部材5を弾性変形させてよい。次いで、開口Goから継手方向D3に継手部3aの突出部分7を隙間Gに挿入し、突出部分7を収容部Grに位置させる。これにより、図5Cのように、突出部分7が収容部Grに収容され、第1結合部5aと継手部3aとは、継手方向D3に互いに引っ掛かるように配置される。図5Cの例では、各連結部材5の第1結合部5aの突出部分7が、図2Bに示すように、対応する各連結部材5の第1結合部5aの重複面12aと重複面12bに継手方向D3に挟まれた状態となる。
【0030】
ステップS22の結果、補強部材3は、継手部3aと連結部材5を介して被補強部材1に支持されて、継手構造体10が仮組された状態となる。すなわち、連結部材5の弾性力により、継手部3aは連結部材5からどの方向にも外れることが防止される。
【0031】
なお、本実施形態では、継手部3aは、その寸法(図5Aの例では第1方向D1の寸法)が、取付面1a側の先端から中間部までの範囲において、取付面1aと反対側へ移行するにつれて次第に大きくなっている。また、継手部3aは、当該寸法が、当該中間部(当該寸法が最大の部分)から所定位置までの範囲において、取付面1aと反対側へ移行するにつれて次第に小さくなっている。これにより、継手部3aを、その先端部から開口Goを通して隙間Gに挿入するのが容易になる。
【0032】
継手部3aと第1結合部5aとを接着剤9で結合させる場合には、ステップS22において継手部3aを隙間Gに挿入する前に、突出部分7の面11と第1結合部5aの面12の一方又は両方に、接着剤9を塗布してよい。
【0033】
この場合、ステップS23では、接着剤9を硬化させることにより、第1結合部5aと継手部3aとを接着剤9により結合させる。例えば、突出部分7が収容部Grに収容された状態では、面11と面12とが接着剤9を介して接続されているので、この状態を、接着剤9が硬化するまで維持する。この時、面12を面11に押付けるように、図5Cの矢印Aが示す方向(第1方向D1)に各連結部材5の第1結合部5aを適宜の手段により継手部3aに向けて加圧してもよい。この加圧は、例えば、接着剤9が硬化するまで維持されてよい。
【0034】
また、接着剤9を使用した接着の代わりに溶着を行う場合において、継手部3a(突出部分7)と連結部材5(第1結合部5a)が熱可塑性樹脂で形成されている場合には、ステップS23において、第1結合部5aと継手部3aとを溶着により結合させてもよい。この時、第1結合部5a及び継手部3a自身を溶かして両者を直接溶着結合させてもよいし、熱可塑性樹脂フィルムを用いて両者を溶着結合させてもよい。熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合、継手部3aと連結部材5は熱可塑性樹脂で形成されていなくてもよい。このように、溶着により突出部分7の面11と第1結合部5aの面12とを結合させてもよい。
【0035】
この場合、一例では、ステップS22において継手部3aを隙間Gに挿入する前に、突出部分7の面11と第1結合部5aの面12とをヒータにより加熱して溶融させ、この状態で、継手部3aを隙間Gに挿入する。その後、ステップS23において、溶融した面11と面12が冷えて固まり一体化するまで、面12を面11に押付けるように、図5Cの矢印Aが示す方向(第1方向D1)に各連結部材5の第1結合部5aを適宜の手段により継手部3aに向けて加圧した状態を維持してよい。別の例では、ステップS23では、隙間Gに挿入した突出部分7と、第1結合部5aとを、振動溶着により熱可塑性樹脂フィルムを介して又は直接結合させてもよい。又は、ステップS23において、他の溶着方法により、面11と面12とを熱可塑性樹脂フィルムを介して又は直接一体化させて、継手部3aと第1結合部5aとを結合させてもよい。なお、熱可塑性樹脂フィルムを上述のように用いる場合、継手部3aと第1結合部5aが溶着時に溶けない材料(例えば金属)で形成されている場合などにおいて、この熱可塑性樹脂フィルムを上述の接着剤9とみなすこともできる。
【0036】
また、ステップS23において、各連結部材5の第1結合部5aと継手部3aを外部のヒータ等で加熱しながら、各第1結合部5aを適宜の手段により継手部3aに向けて加圧し、次いで加熱を停止し、その後、接着剤9が硬化したら、又は溶着のために溶融した部分が固化したら、加圧を停止してもよい。
【0037】
2つの連結部材5を1組として、図1のように、被補強部材1と1つの補強部材3とを複数組の連結部材5で連結している場合には、上述のステップS2は、各組の連結部材5について行われてよい。この場合、ステップS21を複数組の連結部材5について行った後、ステップS22とステップS23を複数組の連結部材5について同時に行ってよい。また、図1のように複数の補強部材3が設けられている場合においても、各補強部材3は、上述のように複数組の連結部材5を介して被補強部材1に結合させてよい。
【0038】
(第1実施形態の他の構成例)
第1実施形態において、継手部3aと連結部材5の形状は、図2A図2Bに示す形状に限定されない。例えば、継手部3aと連結部材5は、図6A又は図6Bに示す形状を有していてもよい。図6A図6Bの各々は、図1のIIA−IIA矢視図であり(すなわち図2Bに相当し)、継手部3aと連結部材5が他の形状を有する場合を示す。
【0039】
図6Aの構成例と図6Bの構成例について説明するが、これらの構成例の場合における継手構造体10及びその組立方法について、以下で説明しない点は上述と同じであってよい。
【0040】
図6Aの例では、継手部3aにおいて、継手方向D3に直交し互いに反対を向く方向(第1方向D1)に突出した2つの突出部分7が設けられている。当該2つの突出部分7のうち、一方(図6Aの右側)の突出部分7は、取付面1a側の継手方向D3を向く重複面11bと、取付面1aと反対側であって継手方向D3に対して斜めの方向を向く重複面11aとを有する。他方の突出部分7は、取付面1aと反対側の継手方向D3を向く重複面11aと、取付面1a側であって継手方向D3に対して斜めの方向を向く重複面11bとを有する。
【0041】
このような継手部3aに対して設けられる2つの連結部材5は、次の形状を有する。一方の連結部材5の面12は、一方の突出部分7の重複面11a,11bにそれぞれ対向して結合される面12a,12bを有する。他方の連結部材5の面12は、他方の突出部分7の重複面にそれぞれ対向して結合される面12a,12bを有する。
【0042】
図6Bの例では、継手部3aにおいて、継手方向D3に直交し互いに反対を向く方向(第1方向D1)に突出した2つの突出部分7が設けられている。当該2つの突出部分7の各々は、取付面1a側であって継手方向D3に対して斜めの方向を向く重複面11bと、取付面1aと反対側の継手方向D3を向く重複面11aとを有する。このような継手部3aに対して設けられる2つの連結部材5の各々は、対応する突出部分7の重複面11a,11bにそれぞれ対向して結合される面12a,12bを有する。
【0043】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態によると、補強部材3の継手部3aと連結部材5とを接着剤9又は溶着により結合し、且つ、継手部3aと連結部材5の第1結合部5aとは、継手方向D3において互いに引っ掛かる形状を有している。したがって、継手方向D3における、継手部3aと連結部材5との結合部分における継手方向D3の機械的強度は、接着剤9又は溶着による結合に加えて、継手方向D3に両者が互いに引っ掛かることにより確保される。したがって、継手部3aと連結部材5との結合に、ボルト等を用いることが不要となる。よって、連結部材5と継手部3aに、ボルト等を貫通させる穴を形成することが不要になり、継手構造体10の部品点数が減り、継手構造体10の組立作業負荷が軽減される
【0044】
一方、図7は、図2Aに対応する参考例の構成を示す。図7では、被補強部材101と補強部材103とを連結する連結部材105は、補強部材103の継手部103aと接着剤109により結合されている。しかし、接着剤109だけでは、継手部103aと連結部材105との結合部分における継手方向D3の機械的強度が不十分であるため、継手部103aと連結部材105とを、更に、ボルト111とナット112により連結している。この場合には、本発明の第1実施形態と違って、継手部103aと連結部材105には、ボルト111が貫通する穴を形成する必要がある。これに対して、第1実施形態の継手構造体10では、このようなボルト用の穴を形成することが上述のように不要となる。図示はしないが、図7において、機械的強度を得るために、ボルト111とナット112の代わりにリベット結合を用いる場合に対しても、同様の効果がある。
【0045】
また、第1実施形態によると、各連結部材5は弾性変形可能であるので、上述のステップS22のように、連結部材5を弾性変形させて、継手部3aを上記隙間Gに挿入することで、継手構造体10を簡単に仮組することができる。
【0046】
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態による継手構造体10を示す。図9Aは、図8のIXA−IXA矢視図であり、図9Bは、図8のIXB−IXB矢視図である。以下において第2実施形態について説明するが、以下で説明しない第2実施形態の継手構造体10の構成及びその組立方法は、第1実施形態と同じであってよい。
【0047】
第2実施形態では、被補強部材1と補強部材3とが、複数の連結箇所の各々において、複数ではなく1つの連結部材5により連結されている。以下に置いて、継手方向D3と直交し互いに反対を向く2つの方向(第1方向D1)をそれぞれ第1直交方向(図9A図9Bの右方向)及び第2直交方向(図9A図9Bの左方向)とする。
【0048】
いずれかの連結箇所において、図9Aのように、連結部材5の第1結合部5aは、継手部3aの第1直交方向の側に位置して当該継手部3aから第1直交方向への荷重を受け得るようになっている。この連結箇所において、第1結合部5aと継手部3aとは、図9Aのように両者の間に設けた接着剤9により又は溶着により第1直交方向に結合されている。
【0049】
別の連結箇所において、図9Bのように、連結部材5の第1結合部5aは、継手部3aの第2直交方向の側に位置して当該継手部3aから第2直交方向への荷重を受け得るようになっている。この連結箇所において、第1結合部5aと継手部3aとは、図9Bのように両者の間に設けた接着剤9により又は溶着により第2直交方向に結合されている。
【0050】
図8の例では、第2方向D2に細長く延びる各補強部材3において、複数の連結部材5が千鳥状に配置されている。すなわち、各補強部材3において、第2方向D2に互いに隣接する2つの連結部材5の各組み合わせにおいて、一方の連結部材5は、継手部3aの第1直交方向の側に位置し、他方の連結部材5は、継手部3aの第2直交方向の側に位置している。この場合、各連結箇所に関する構成(継手部3a、連結部材5、接着剤9など)は、図9A又は図9Bの場合と同じであってよい。言い換えると、継手部3aの第1直交方向の側に位置する複数の連結部材5と、継手部3aの第2直交方向の側に位置する複数の連結部材5とが、継手方向D3(図8の紙面と直交する方向)に見た場合に千鳥状に配置されている。
【0051】
また、第2実施形態による継手構造体10の組立方法では、上述のステップS2のステップS21〜S23は、次のように行われる。
【0052】
ステップS21において、1つの補強部材3に対して、第2方向D2の位置が異なる連結箇所の各々に1つの連結部材5の第2結合部5bを一方の取付面1aに結合する。この時、これらの連結部材5は、上述のように千鳥状に配置された状態となる。
【0053】
ステップS22において、異なる連結箇所の連結部材5により1つの補強部材3(継手部3a)が第1方向D1に挟まれ、且つ、図9A図9Bのように各連結箇所において継手部3aと第1結合部5aとが継手方向D3に互いに引っ掛かるように、当該補強部材3を配置する。
【0054】
ステップS23において、ステップS22でなされた配置の状態で、各連結箇所において、第1結合部5aと継手部3aとを接着剤9又は溶着により結合させる。
【0055】
第2実施形態によると、各補強部材3は、第2方向D2の位置が異なる連結箇所の連結部材5に第1方向D1に挟まれている。したがって、補強部材3は、連結部材5に対し第1直交方向と第2直交方向のいずれにもずれることが防止されるので、継手方向D3において、継手部3aと第1結合部5aとが互いに引っ掛かる状態が保持される。よって、第1実施形態の場合よりも連結部材5の数を減らしつつ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。このように、継手構造体10に要求される機械的強度に応じて第1実施形態又は第2実施形態の構成を採用することができる。
【0056】
なお、第2実施形態において、補強部材3を第1方向D1に挟む、異なる連結箇所の連結部材5及び継手部3aは、図6A又は図6Bの一方の連結部材5と他方の連結部材5及び継手部3aであってもよいし、他の形状を有するものであってもよい。
【0057】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下の変更例1〜3のいずれかを採用してもよいし、変更例1〜3の2つ以上を任意に組み合わせて採用してもよい。この場合、以下で説明しない点は、上述と同じであってよい。
【0058】
(変更例1)
変更例1によると、継手部3aは、図10のように、第1結合部5aの一部を継手方向D3に挟む形状を有していてもよい。図10は、図1のIIA−IIA矢視図であるが、継手部3aと連結部材5が他の形状を有する場合の構成例を示す。この形状を、上述の第1実施形態又は第2実施形態に適用する場合、継手構造体10の他の構成やその組立方法は、上述と同様であってよい。
【0059】
(変更例2)
変更例2によると、被補強部材1が平板状でない場合や他の適切な場合には、補強部材3に継手部3aを設ける代わりに、上述した継手部3aと同じ構成を有する継手部が被補強部材1に設けられてもよい。この場合、連結部材5の第1結合部5aは、被補強部材1の継手部に結合され、連結部材5の第2結合部5bは、補強部材3に結合される。ここで、第1結合部5aと被補強部材1の継手部との結合は、上述した第1結合部5aと継手部3aとの結合と同じ構成によりなされ、第2結合部5bと補強部材3との結合は、接着剤又は溶着(或いはボルト及びナット、リベット、接着剤又は溶着とボルト及びナットとの両方、若しくは接着剤又は溶着とリベットとの両方)によりなされてよい。
【0060】
(変更例3)
変更例3によると、連結部材5の第2結合部5bは、図11Aのように、被補強部材1の継手部1bに接着剤9又は溶着により結合され、且つ、第2結合部5bと当該継手部1bとは、被補強部材1と補強部材3との継手方向D3に互いに引っ掛かる形状を有していてもよい。図11Aは、図1のIIA−IIA矢視図であるが、連結部材5の第2結合部5bが、このように被補強部材1に結合されている場合の構成例を示す。図11Aの例では、連結部材5は、2つの第1結合部5aと2つの第2結合部5bと中間部5cを有する。
【0061】
2つの第1結合部5aは、継手方向D3に直交する直交方向(第1方向D1)に補強部材3の継手部3aを挟み互いに対向するように配置される。2つの第1結合部5aは、第1実施形態における1組の連結部材5における2つの第1結合部5aと同じ構成(形状や材質など)及び機能を有するので、その詳しい説明を省略する。なお、図11Aにおいて、補強部材3の継手部3aは、第1実施形態における継手部3aと同じである。
【0062】
2つの第2結合部5bは、継手方向D3に直交する直交方向(第1方向D1)に被補強部材1の継手部1bを挟み互いに対向するように配置される。この継手部1bは、被補強部材1と一体的に形成されたものであってもよいし、被補強部材1とは別部材として形成された後、被補強部材1に結合されたものであってもよい。この結合は、接着剤又は溶着、ボルト等、或いはこれらの組合せでなされてよい。
【0063】
本変更例3における2つの第2結合部5bと継手部1bは、本変更例3における2つの第1結合部5aと継手部3aと同じ機能(例えば同じ構成(形状や材質))を有するように構成されてよい。例えば、継手部1bは、各第2結合部5bに継手方向D3に引っ掛かる突出部分7を有していてよい。
【0064】
中間部5cは、2つの第1結合部5aと2つの第2結合部5bとの中間に位置して、2つの第1結合部5aと2つの第2結合部5bとに結合されている。例えば、中間部5cと各第1結合部5aと各第2結合部5bとは、互いに一体的に形成されていてよい。
【0065】
図11Bは、図11Aにおいて連結部材5以外の構成の図示を省略した図である。図11Bのように、連結部材5は、2つの第1結合部5aの間に第1方向D1の隙間Gを形成するとともに、2つの第2結合部5bの間においても第1方向D1の隙間Gを形成している。各隙間Gは、継手方向D3の端部における開口Goと、開口Goよりも中間部5c側の収容部Grを有する。開口Goと収容部Grの構成(形状や寸法など)及び機能は、第1実施形態の場合の開口Goと収容部Grと同様である。
【0066】
図12A図12Bは、図11Aに対応する図であり、本変更例3による継手構造体10の組立方法の一例を説明するための図である。本変更例3による継手構造体10の組立方法では、上述のステップS2は、次のように行われてよい。
【0067】
上述の組立方法のステップS2において、図12Aのように、2つの第2結合部5bにより形成されている隙間Gの開口Goを広げるように連結部材5を弾性変形させる。次いで、継手部1b(突出部分7)がこの開口Goを通して収容部Grに配置させられるように連結部材5を継手部1bに取り付ける。その後、図12Bのように、2つの第1結合部5aにより形成されている隙間Gの開口Goを広げるように連結部材5を弾性変形させる。次いで、継手部3a(突出部分7)がこの開口Goを通して収容部Grに配置させられるように連結部材5に継手部3aを取り付ける。その後、第1結合部5aと継手部3aとを接着剤9又は溶着により結合させ、第2結合部5bと継手部1bとを接着剤9又は溶着により結合させる。
【0068】
ここで、接着剤9を塗布するタイミングや、溶着のために各部を加熱及び加圧するタイミング等は、上述した第1実施形態の場合と同様であってもよいし、適宜変更してもよい。また、連結部材5を補強部材3の継手部3aに取り付けた後に、被補強部材1の継手部1bを連結部材5に取り付けてもよい。この場合、他の点は、上述と同じであってよい。連結部材5による被補強部材1と補強部材3との連結箇所は、第1実施形態のように複数箇所であってもよいし、1箇所であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 被補強部材(外板)、1a 取付面、1b 継手部、3 補強部材(フレーム)、3a 継手部、5 連結部材、5a 第1結合部、5b 第2結合部、5c 中間部、7 突出部分、9 接着剤、10 継手構造体、11 継手部の面、11a,11b 重複面、12a,12b 重複面、13 縦通材、G 隙間、D1 第1方向、D2 第2方向、D3 継手方向
【要約】
継手構造体10は、被補強部材1と補強部材3との間に設けられ両者を連結する連結部材5を備える。連結部材5は、被補強部材1と補強部材3の一方と他方にそれぞれ結合された第1結合部5aと第2結合部5bを有する。第1結合部5aは、被補強部材1と補強部材3の一方の継手部3aに接着剤9又は溶着により結合される。第1結合部5aと継手部3aとは、被補強部材1と補強部材3との継手方向D3に互いに引っ掛かる形状を有している。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B