特許第6780122号(P6780122)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780122
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】衝撃試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/08 20060101AFI20201102BHJP
【FI】
   G01M7/08 Z
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-540233(P2019-540233)
(86)(22)【出願日】2017年9月8日
(86)【国際出願番号】JP2017032432
(87)【国際公開番号】WO2019049304
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2019年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】307024244
【氏名又は名称】神栄テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 浩
【審査官】 瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−068190(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3015418(JP,U)
【文献】 特開2016−061725(JP,A)
【文献】 特開2008−170313(JP,A)
【文献】 特開2005−233910(JP,A)
【文献】 特開2005−207790(JP,A)
【文献】 特開2006−200911(JP,A)
【文献】 特開2012−127927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/303
G01M 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象物を落下させたときの衝撃を試験する衝撃試験装置であって、
前記試験対象物を載せて落下させる衝撃テーブル部と、
前記衝撃テーブル部を上下方向に案内するガイド部と、
前記衝撃テーブル部を前記ガイド部に沿って所定高さまで持ち上げる昇降部と、
前記衝撃テーブル部を前記ガイド部の所定高さで保持する保持部と、
前記衝撃テーブル部の落下部分に配置された衝突部を有するベース部と、
前記衝撃テーブル部が前記衝突部に衝突したときの衝撃を検出するセンサと、
前記保持部で保持した前記衝撃テーブル部を落下させる制御部と、を備え、
前記ガイド部は、前記衝撃テーブル部の対向する位置をガイドするように対向配置され、
前記ベース部は、前記衝撃テーブル部の上昇時に該衝撃テーブル部を下向きに付勢して該衝撃テーブル部の落下速度を増加させるスプリング部材と、前記スプリング部材の中央部分が横方向にばたつくのを抑制するスプリングガイドと、を前記衝突部の側方の前記ガイド部に近接した位置にさらに備えており、
前記スプリングガイドは、樹脂材料で形成され、前記スプリング部材を挿通させるスプリング挿通穴を有し、
前記スプリング挿通穴は、前記スプリング部材が挿通された状態で該スプリング部材との間に所定の隙間が形成され、前記スプリング部材のばたつきを抑制するように構成されている、
ことを特徴とする衝撃試験装置。
【請求項2】
前記スプリング部材は、それぞれ複数本が配置されている、
請求項1に記載の衝撃試験装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記衝撃テーブル部を所定高さで前記ガイド部に保持する油圧保持部で構成されている、
請求項1又は2に記載の衝撃試験装置。
【請求項6】
前記スプリング部材の側方を覆うカバー部をさらに備えている、
請求項1、2、5のいずれか1項に記載の衝撃試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電品などの試験対象物を落下させたときの衝撃を試験するための衝撃試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家電品やパーソナルコンピュータなどの製品は、搬送及び使用時における落下などの衝撃で破損するかどうかの試験が行われている。この試験方法として、JIS C−60068−2−27に規定がある。この規定では、衝撃パルスの大きさ、作用時間、試験回数、方向などについて指定されている。また、製品自体の衝撃強度を確認するための衝撃試験方法が、JIS Z0119に規定がある。この規定では、製品の損傷境界曲線を得るための、衝撃パルスの印加方法が指定されている。
【0003】
このような衝撃試験を行う装置として、試験対象物を所定高さから落下させたときの衝撃を計測する装置がある。しかし、近年、試験対象物をより高い位置から落下させる衝撃試験が行える装置が望まれている。
【0004】
この種の衝撃試験装置に関する先行技術として、例えば、所定高さ位置に保持される載置台と、この載置台の上方に設けられ破断ボルトと、破断ボルトを介して載置台を上方に引き上げるシリンダと、シリンダによって圧縮されることで載置台に下向きの力を付加する圧縮ばねと、載置台の下方に設けられた衝突部材と、を備えた衝撃試験装置がある(例えば、特許文献1参照)。この衝撃試験装置では、シリンダで圧縮ばねの力に抗して載置台を上方に引き上げ、破断ボルトの破断によって圧縮ばねの力を一気に解放して載置台を衝突部材に衝突させている。この装置では、圧縮ばねの力を利用して実際の高よりも高い位置からの衝撃試験が行えるようにしている。
【0005】
また、他の先行技術として、所定高さ位置に保持される載置台と、この載置台の下方に設けられた衝突体を上向きに発射させる発射手段と、を備えた衝撃試験装置がある(例えば、特許文献2参照)。この衝撃試験装置では、衝突体を所定高さ位置に保持する破断ボルトと衝突体に上昇方向の力を付与する圧縮バネとを備えさせている。そして、破断ボルトの破断によって圧縮バネの弾性エネルギを一気に開放して衝突体を加速させて載置台に衝突させている。この装置でも、圧縮ばねの力を利用して実際の高よりも高い位置からの衝撃試験が行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本国 特開2012−127927号公報
【特許文献2】日本国 特開2000−249620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した特許文献1及び特許文献2のいずれの衝撃試験装置も、試験対象物が設置される部分を圧縮ばねの力に抗する方向に付勢し、破断ボルトの破断によって一気に開放される圧縮ばねの弾性エネルギで負荷部を衝突部材に衝突させるものである。このため、いずれの先行技術も試験対象物を破断ボルトを破断させる大きな力で衝突させる非常に大型の衝撃試験装置になる。よって、装置の設置場所が限られ、試験対象物の試験場所が限られる。
【0008】
また、試験対象物が載置される衝撃テーブル部をエアシリンダで加速させて落下させることも考えられる。しかし、エアシリンダの場合は装置が大型となり、各摺動部のメンテナンスなどに多くの時間と労力が必要となる。しかも、経年使用によるシール部の劣化などで衝撃試験の再現性が悪化するおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、装置をコンパクトに形成することができ、再現性が高い衝撃試験ができる衝撃試験装置を提供することを目的とする。
【0010】
この目的を達成するために、本発明は、試験対象物を落下させたときの衝撃を試験する衝撃試験装置であって、前記試験対象物を載せて落下させる衝撃テーブル部と、前記衝撃テーブル部を上下方向に案内するガイド部と、前記衝撃テーブル部を前記ガイド部に沿って所定高さまで持ち上げる昇降部と、前記衝撃テーブル部を前記ガイド部の所定高さで保持する保持部と、前記衝撃テーブル部の落下部分に配置された衝突部を有するベース部と、前記衝撃テーブル部が前記衝突部に衝突したときの衝撃を検出するセンサと、前記保持部で保持した前記衝撃テーブル部を落下させる制御部と、を備え、前記ガイド部は、前記衝撃テーブル部の対向する位置をガイドするように対向配置され、前記ベース部は、前記衝撃テーブル部の上昇時に該衝撃テーブル部を下向きに付勢して該衝撃テーブル部の落下速度を増加させるスプリング部材と、前記スプリング部材の中央部分が横方向にばたつくのを抑制するスプリングガイドと、を前記衝突部の側方の前記ガイド部に近接した位置にさらに備えており、前記スプリングガイドは、樹脂材料で形成され、前記スプリング部材を挿通させるスプリング挿通穴を有し、前記スプリング挿通穴は、前記スプリング部材が挿通された状態で該スプリング部材との間に所定の隙間が形成され、前記スプリング部材のばたつきを抑制するように構成されている。
【0011】
この構成により、試験対象物を載せた衝撃テーブル部をガイド部に沿って昇降部で所定高さまで持ち上げて保持部で保持することで、衝撃テーブル部はベース部のガイド部に近接した位置に備えられたスプリング部材によって下向きに付勢された状態で保持される。そして、保持部を開放することで、衝撃テーブル部には重力とスプリング部材による初期加速とによって実際の高さ以上の高さから落下させたときと同じ落下速度が与えられて衝撃試験を行うことができる。この時の衝撃は、センサで検出することができる。これにより、実際の高さ以上の高さから衝撃試験が行える衝撃試験装置を、高さと占有面積を抑えてコンパクトに形成することができる。その上、スプリング部材により、衝撃波形の再現性が高い衝撃試験を行うことができる。
【0012】
また、ベース部がスプリングガイドを衝突部の側方のガイド部に近接した位置にさらに備えている。そして、スプリングガイドは、スプリング部材が挿通された状態でスプリング部材との間に所定の隙間が形成されるスプリング挿通穴を有しているので、上下方向に延びるスプリング部材の中央部分が衝突部の側方でばたつくことをスプリングガイドで抑制できる。これにより、衝撃テーブル部の落下時にスプリング部材を安定して縮ませることができる。
【0013】
また、スプリングガイドが樹脂材料で形成され、スプリング部材がスプリング挿通穴に挿通されているので、スプリング部材が縮むときに樹脂材料のスプリングガイドに当接しても騒音を抑えてばたつきも抑制することができる。
【0014】
また、前記スプリング部材は、それぞれ複数本が配置されていてもよい。このように構成すれば、複数本のスプリング部材の力により、衝撃テーブル部を低い高さから落下させても大きな落下速度を得ることができる。しかも、複数本のスプリング部材とすることで配置スペースを小さくできる。その上、スプリング部材の本数を調節することで衝撃テーブル部の落下速度を変化させることができる。
【0015】
また、前記保持部は、前記衝撃テーブル部を所定高さで前記ガイド部に保持する油圧保持部で構成されていてもよい。このように構成すれば、所定高さまで上昇させた衝撃テーブル部にスプリング部材の下向きの付勢力が作用していても、油圧ブレーキなどの油圧保持部によって衝撃テーブル部をガイド部に保持した状態を適切に保つことができる。
【0016】
また、前記スプリング部材の側方を覆うカバー部をさらに備えていてもよい。このように構成すれば、スプリング部材において生じる騒音が周囲に漏れるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、衝撃テーブル部の落下速度をスプリング部材で増加させることができるので、衝撃試験装置の高さを抑えてコンパクト化を図ることが可能となる。また、スプリング部材によって衝撃波形の再現性が高い衝撃試験を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る衝撃試験装置の正面図である。
図2図2(A)は、図1に示す衝撃試験装置の平面図であり、(B)はスプリングガイドの平面図である。
図3図3(A)、(B)は、図1に示す衝撃試験装置のスプリング部材の取付部分を示す断面図である。
図4図4は、図1に示す衝撃テーブル部の保持部を示す断面図である。
図5図5は、図1に示す衝突部の部分を示す正面図である。
図6図6は、図1に示す衝撃試験装置の試験途中における正面図である。
図7図7は、図6に示す試験途中の衝撃試験装置の側面図である。
図8図8は、図6に示す状態から衝撃試験直前の状態となった衝撃試験装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、試験対象物80を載置して落下させる衝撃テーブル部20を、左右に配置されたガイド部30に沿って昇降させる衝撃試験装置1を例に説明する。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における上下左右方向の概念は、図1に示す衝撃試験装置1に向かった状態における上下左右方向の概念と一致するものとする。
【0020】
(衝撃試験装置の全体構成)
図1は、一実施形態に係る衝撃試験装置の正面図である。図2(A)は、図1に示す衝撃試験装置の平面図であり、(B)はスプリングガイドの平面図である。図1に示すように、この実施形態の衝撃試験装置1は、設置位置に固定されるベース板10の上方にベース部11が設けられている。ベース部11は、前後位置に設けられた空気ばね12でベース板10に支持されている。ベース部11を空気ばね12で支持することにより、衝撃試験時の衝撃がベース板10に伝わるのを抑制している。ベース部11の上部には、衝突部13が設けられている。衝突部13の上方には、この衝突部13に向けて上方から落下させる衝撃テーブル部20が設けられている。
【0021】
衝撃テーブル部20は、ベース部11から上方に向けて設けられたガイド部30に沿って上下方向に案内されるようになっている。ガイド部30は、衝撃テーブル部20の中央部分を挟んで対向する位置をガイドするように対向配置されたガイドシャフト31を有している。ベース部11には、衝撃テーブル部20をガイドシャフト31に沿って所定高さまで持ち上げる昇降部35が設けられている。衝撃テーブル部20は、昇降部35でガイド部30に沿って所定高さまで持ち上げられ、所定高さから落下させられて衝突部13に衝突させられる(図6図8)。昇降部35は、エアシリンダ36で構成されている。
【0022】
図2(A)にも示すように、衝撃テーブル部20は、中央部分に試験対象物80を載置する載置部21を有している。載置部21の左右の対向する両側部には、ガイドシャフト31が挿通されるガイド穴23を有するガイドブロック22が設けられている。衝撃テーブル部20は、中央部分の載置部21を挟んで対向する位置のガイド穴23がガイドシャフト31にガイドされて昇降するようになっている。ガイド穴23の部分には、ガイドシャフト31に沿って上昇させた衝撃テーブル部20を所定高さで保持する保持部40が設けられている。
【0023】
そして、ガイドブロック22の両側部に、衝撃テーブル部20の上昇時にこの衝撃テーブル部20を下向きに付勢して、衝撃テーブル部20の落下速度を増加させるスプリング部材50が備えられている。スプリング部材50は、衝撃テーブル部20のガイドブロック22から側方に突出したスプリング取付部24と、上記ベース部11に設けられたスプリング固定部16との間に複数本が並設されている。スプリング部材50は、所定のバネ常数を有する引張バネで構成されている。この例では、衝撃テーブル部20の両側部にそれぞれ4本のスプリング部材50が並設されている。スプリング部材50は、ガイド部30に近接して配置されている。
【0024】
また、上記ベース部11には、上記スプリング部材50がばたつくことを抑制するスプリングガイド55が設けられている。スプリングガイド55は、ベース部11から側方に突出するブロック体であり、樹脂材料などで形成される。スプリングガイド55は、ベース部11に設けられた衝突部13の側方に備えられている。スプリングガイド55の上端は、衝突部13の上端よりも下方に位置している。
【0025】
図2(B)に示すように、スプリングガイド55には、スプリング部材50が配置される位置に、スプリング部材50の並設間隔と同一間隔で上下方向に貫通するスプリング挿通穴56が設けられた筒状の部材である。この実施形態のスプリングガイド55は、外形が縦長の矩形状で、4本のスプリング挿通穴56が縦方向に設けられた筒状の部材である。スプリング挿通穴56は、スプリング部材50の外径よりも大きい直径で、スプリング部材50を挿通した状態でスプリング部材50の外周との間に所定の隙間Sが形成されるようになっている。隙間Sとしては、スプリング部材50の外径に応じた隙間Sとすることができ、例えば、3mm程度以下にできる。このスプリングガイド55により、スプリング部材50の中央部分が横方向にばたつくのを抑制している。スプリングガイド55を樹脂材料とすれば、スプリングガイド55にスプリング部材50が当接したときの騒音を抑えつつ、スプリング部材50のばたつきを抑制することができる。
【0026】
また、図2(A)に示すように、衝撃テーブル部20には、衝撃テーブル部20が衝突部13に衝突したときの衝撃を検出するセンサ26が設けられている。センサ26としては、加速度センサを用いることができる。さらに、衝撃テーブル部20をエアシリンダ36で上昇させた量は、衝撃テーブル部20とベース部11との間に設けられたストロークセンサ37で検出することができる。ストロークセンサ37は、ガイドシャフト31と平行に設けられた検出シャフト38に沿って移動した量で衝撃テーブル部20の上昇量を検出する(図7)。
【0027】
また、この実施形態では、上記ガイド部30の側方に、スプリング部材50の側方を覆うカバー部60がさらに備えられている。この実施形態のカバー部60は、衝撃試験装置1の周囲を覆うカバー材61となっている。カバー材61としては、スプリング部材50の側方をカバーする樹脂製カバー材とすることができる。カバー材61を備えさせることで、スプリング部材50において生じる騒音が周囲に漏れるのを抑制する防音対策ができる。
【0028】
さらに、衝撃試験装置1には、衝撃テーブル部20を所定高さまで上昇させて保持する制御、衝撃テーブル部20を落下させる制御、衝撃テーブル部20に生じる衝撃の検出結果などを表示する制御、などを行う制御部70が備えられている。制御部70は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ及びI/Oインターフェース等を有する。制御部70は、操作部、記憶部、出力部、入力部などを有する。出力部及び入力部は、I/Oインターフェースにより実現される。記憶部は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより実現される。操作部での操作により、不揮発性メモリに保存されたプログラムに基づいてプロセッサが揮発性メモリを用いて演算処理して各部が制御される。
【0029】
(衝撃テーブル部の周辺構成)
図3(A)、(B)は、図1に示す衝撃試験装置1のスプリング部材50の取付部分を示す断面図である。図4は、図1に示す衝撃テーブル部20の保持部40を示す断面図である。図5は、図1に示す衝突部13の部分を示す正面図である。
【0030】
図3(A)に示すように、スプリング部材50の上端は、衝撃テーブル部20のガイドブロック22から側方に突出したスプリング取付部24に取り付けられている。スプリング部材50の上端には、座部51と上向きに突出する取付ボルト52が設けられている。スプリング部材50の上端は、取付ボルト52がスプリング取付部24に設けられた挿通穴24aに設けたブッシュ27内に挿入され、固定ナット25でスプリング取付部24に固定されている。座部51は、例えば、スプリング部材50の端部にねじ込み用コマを取り付けることで実現できる。取付ボルト52は、ねじ込み用コマに立設することで実現できる。
【0031】
図3(B)に示すように、スプリング部材50の下端には、座部53と下向きに突出する取付ボルト54が設けられている。スプリング部材50の下端は、取付ボルト54がベース部11の側方に設けられたスプリング固定部16の挿通穴16aに挿入され、固定ナット17でスプリング固定部16に固定されている。この座部53も、例えば、スプリング部材50の端部にねじ込み用コマを取り付けることで実現できる。取付ボルト54は、ねじ込み用コマに立設することができる。
【0032】
また、図4に示すように、この実施形態の衝撃テーブル部20に設けられた保持部40は、衝撃テーブル部20を所定高さでガイドシャフト31に保持する油圧保持部たる油圧ブレーキ41となっている。衝撃テーブル部20のガイド穴23には、周囲から中心に向けて突出するブレーキパッド42が設けられている。ブレーキパッド42は、ガイドシャフト31と接する部分が略半円形となっている。ブレーキパッド42の外周側にはシール部43が設けられている。シール部43の外周側には、圧油室44が設けられている。圧油室44には、圧油供給源(図示略)に接続された圧油供給部45から圧油が供給されるようになっている。圧油室44に圧油を供給することで、ブレーキパッド42がガイドシャフト31を押圧して、衝撃テーブル部20をガイドシャフト31の所定位置に保持することができる。保持部40を油圧ブレーキ41とすることで、スプリング部材50の付勢力に対抗して上昇させた衝撃テーブル部20を所定位置に保持することができる。
【0033】
さらに、図5に示すように、衝撃テーブル部20の落下部分に設けられた衝突部13には、衝撃テーブル部20が衝突する部分に緩衝体14が設けられている。緩衝体14は、ベース部11の上部に設けられた筒体15の内部に設けられている。緩衝体14は、ゴム、プラスチック等の弾性を有する材料で形成されている。緩衝体14は、筒体15からの有効突出量Tを変更することでばね常数を変更することができる。この緩衝体14は一例である。
【0034】
(衝撃試験装置の動作説明)
図6は、図1に示す衝撃試験装置1の試験途中における正面図である。図7は、図6に示す試験途中の衝撃試験装置1の側面図である。図8は、図6に示す状態から衝撃試験直前の状態となった衝撃試験装置1の正面図である。上記衝撃試験装置1による衝撃試験の動作を以下に説明する。
【0035】
まず、衝撃テーブル部20の載置部21に試験対象物80を載せ、制御部70において試験条件(落下高さ)を入力する。衝撃試験装置1における落下高さ(衝突部13の緩衝体14上面から衝撃テーブル部20の下面までの高さ)は、予め、スプリング部材50によって初期加速が与えられた場合のピーク加速度(指定の衝撃加速度)と落下高さとの対応関係について求めておくことで、所望のピーク加速度が得られる適切な落下高さを入力することができる。
【0036】
そして、スタンバイスイッチ(図示略)を押す。これにより、図6,7に示すように、エアシリンダ36が伸長させられて衝撃テーブル部20がガイドシャフト31に沿って上昇させられる。このとき衝撃テーブル部20は、複数本のスプリング部材50の付勢力に対抗して上昇させられる。衝撃テーブル部20が所定高さまで上昇すると、ストロークセンサ37によって検出される。これにより、エアシリンダ36の伸長が止められる。そして、油圧ブレーキ41(保持部40)によって衝撃テーブル部20がガイドシャフト31の所定位置に保持される(図4)。
【0037】
その後、図8に示すように、エアシリンダ36が下降させられる。この状態が衝撃試験直前の状態であり、衝撃テーブル部20は、所定高さに保持された状態の高さエネルギと、スプリング部材50による下向きの付勢力とを持った状態で油圧ブレーキ41で保持されている。そして、制御部70において落下スイッチ(図示略)が押されると、油圧ブレーキ41が開放される。これにより、衝撃テーブル部20が自重とスプリング部材50の付勢力によって下方へ落下させられて衝突部13に衝突させられる。この衝突時に、衝撃テーブル部20の高さエネルギとスプリング部材50による下向きの付勢力とによって指定の衝撃加速度が発生する。なお、衝撃テーブル部20が衝突部13に衝突した後、油圧ブレーキ41のブレーキパッド42をガイドシャフト31に接触させて衝撃テーブル部20のリバウンドを防止するようにしてもよい。
【0038】
そして、衝突によって生じた衝撃がセンサ26で計測されて、制御部70に入力される。センサ26に加速度センサを用いた場合、センサ26によって衝撃テーブル部20上の加速度が計測される。計測された落下衝撃試験の加速度は、例えば、加速度計測解析システム(図示略)によって解析されて数値化される。これにより、衝撃パルスを得ることができる。衝撃パルスは、例えば、制御部70にモニタを備えさせることで表示することができる。解析システムとしては、センサ26の形式などに応じて適したシステムを採用すればよい。
【0039】
(衝撃試験装置による作用効果)
以上のように、上記した衝撃試験装置1によれば、試験対象物80を載せた衝撃テーブル部20をガイド部30に沿って昇降部35で所定高さまで持ち上げて油圧ブレーキ41で保持することで、衝撃テーブル部20をベース部11に備えられたスプリング部材50によって下向きに付勢された状態で適切に保持することができる。すなわち、衝撃テーブル部20の定位位置保持を油圧ブレーキ41としているため、所定高さまで上昇させた衝撃テーブル部20にスプリング部材50の下向きの付勢力が作用した状態でも、油圧によって衝撃テーブル部20を保持した状態を適切に保つことができる。
【0040】
そして、油圧ブレーキ41を開放することで、衝撃テーブル部20に対して実際の高さ以上の高さから落下させたときと同じ落下速度を与えて、衝撃テーブル部20が衝突部13に衝突した時の衝撃をセンサ26で検出することで衝撃試験を行うことができる。
【0041】
このように、上記衝撃試験装置1によれば、試験対象物80に対して実際の高さよりも高い位置から落下させた速度を与えて衝撃試験を行うことができるので、衝撃試験装置1の高さを抑えてコンパクト化を図ることが可能となる。その上、衝撃テーブル部20に対して下向きの付勢力を与える構成をスプリング部材50とすることで、衝撃試験装置1の占有面積を抑えるとともに、衝撃波形の再現性が高い衝撃試験を行うことが可能となる。
【0042】
しかも、スプリング部材50を複数本とすることで、スプリング部材50の本数を調節して衝撃テーブル部20の落下速度を変化させることができる。例えば、上記実施形態では、衝撃テーブル部20の両側部にそれぞれ4本のスプリング部材50を設けているため、例えば、それぞれ3本ずつにすることで、衝撃テーブル部20作用させるバネ力を小さくすることが容易にできる。スプリング部材50の本数は、必要に応じて調整することができる。また、ガイド部30に沿ってスプリング部材50を配置することにより、スプリング部材50のメンテナンスも容易に行うことができる。
【0043】
さらに、上記したようにベース部11には、衝突部13の側方にスプリング部材50の中間部分をガイドするスプリングガイド55が設けられているので、衝撃試験を行うときに縮むスプリング部材50の中央部分がばたつくことを抑制できる。これにより、衝撃テーブル部20の落下時にスプリング部材50を安定して縮ませることが可能となる。
【0044】
(変形例)
上記した実施形態では、衝撃テーブル部20を2本のガイドシャフト31によってガイドする例を説明したが、ガイド部30の構成は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、衝撃テーブル部20を4本のガイドシャフト31によってガイドする構成の衝撃試験装置でも同様に実施可能である。
【0045】
また、上記した実施形態におけるスプリング部材50の本数や配置は一例を示しており、異なる本数のスプリング部材50でも本発明は実施可能であり、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の構成を変更してもよく、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 衝撃試験装置
13 衝突部
16 スプリング固定部
20 衝撃テーブル部
21 載置部
22 ガイドブロック
24 スプリング取付部
26 センサ
30 ガイド部
31 ガイドシャフト
35 昇降部
36 エアシリンダ
40 保持部
41 油圧ブレーキ
50 スプリング部材
55 スプリングガイド
60 カバー部
70 制御部
80 試験対象物
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8