(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1の畳表折り曲げ装置300は、下前整形部308が、装置フレーム302またはレール304に、垂直軸310で軸着されているので、下前整形部308は、装置フレーム302に設けられたレール304に沿って水平移動できない構造である。
【0014】
このため、畳の框方向の幅が異なる畳(畳1畳の場合は、短辺側の方向の幅が異なる畳)に自由に対応して、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を折り曲げすることは困難である。
【0015】
また、特許文献1の畳表折り曲げ装置300では、畳(畳床)の厚さが変わった場合に、対応することができないことになる。
【0016】
すなわち、
図34に示したように、畳表200の厚さが厚い場合、上前側の折り曲げ基準位置A1と、下前側の折り曲げ基準位置B1との間の距離L1である。
【0017】
これに対して、
図34に示したように、畳表200の厚さが薄い場合、上前側の折り曲げ基準位置A2と、下前側の折り曲げ基準位置B2との間の距離L2となり、L1<L2とする必要がある。
すなわち、同じ寸法で畳表200を折り曲げようとすると、折り曲げ定規の位置を、畳表200の厚さが厚い場合、上前側の折り曲げ基準位置A1と、下前側の折り曲げ基準位置B1の位置に、また、畳表200の厚さが薄い場合、上前側の折り曲げ基準位置A2と、下前側の折り曲げ基準位置B2の位置に配置しなければならない。
【0018】
何故ならば、このように畳表200の厚さが変わった場合に、折り曲げ位置を変更するのは、
図31〜
図33に示したように、上前側の折り曲げ線203の位置が、丁度イ草の茎の縫い目の位置になるようにして、
図32に示したように、畳を敷き詰めた場合に、上前側の上側の側辺の位置の見栄えを良くする必要があるためである。
【0019】
このため、特許文献1の畳表折り曲げ装置300では、下前整形部308は、水平移動できない構造であるので、畳表200の厚さが変わった場合に、L1とL2の距離を自由に調節することができず、対応することができないことになる。
【0020】
さらに、特に、畳床206の厚さが薄い場合、
図35(A)に示したように、畳表200の側辺202の余った部分205を、畳床206の側面208に沿うように折り曲げて、折り曲げた側辺210を、畳床206の裏面212に縫着したり、接着剤で固着することが行われる。
なお、説明の便意上、図示しないが、畳床は、通常、表面側が広く、裏面側が狭く形成されている。
【0021】
従って、
図35(B)に示したように、畳表200の側辺202は、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の2段階で折り曲げる必要があるが、特許文献1の畳表折り曲げ装置300では、下前整形部308は、水平移動できない構造であるので、畳(畳床)の厚さが薄い場合に、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の位置に自由に移動するように調節することができず、対応することができないことになる。
【0022】
また、特許文献1の畳表折り曲げ装置300では、下前整形部308が、装置フレーム302またはレール304に、垂直軸310で軸着するための複雑な構造が必要となり、煩雑な組み立て作業が必要で、部品点数が多くなり、コストと手間が必要となる。
【0023】
本発明は、このような現状に鑑み、畳表のみを予め、イ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)に折り曲げることができ、しかも、畳表の上前側の側辺を、畳床の上前側の側辺に合致した形状に折り曲げることができると同時に、畳表の下前側の側辺を、畳床の下前側の側辺に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利で汎用性に優れ、作業効率も向上した畳表折り曲げ装置を提供することを目的とする。
【0024】
また、本発明は、畳の框方向の幅が異なる畳に対しても、また、畳表200の厚さが変わった場合に、上前側の折り曲げ基準位置Aと、下前側の折り曲げ基準位置Bとの間の距離を自由に調節することができるとともに、様々な種類の畳床と畳表の組み合わせ、サイズに対応することができ、比較的簡単な構造で、非常に便利で汎用性に優れた畳表折り曲げ装置を提供することを目的とする。
【0025】
また、本発明は、特に、畳床206の厚さが薄い場合にも、畳表200の側辺202は、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の2段階で折り曲げるために、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の位置に自由に移動するように調節することができる畳表折り曲げ装置を提供することを目的とする。
【0026】
さらに、本発明は、折り目(折り癖)がしっかりと付き、角が丸くなってしまうことがなく、畳床の側面に折り曲げた部分を固定する際にも、いわゆる浮いた状態となることなくしっかりと固定でき、見栄えが良好で商品価値が高い縁無し畳を製造することのできる畳表折り曲げ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の畳表折り曲げ装置は、
畳表の側辺を内側に折り曲げるための畳表折り曲げ装置であって、
架台フレーム上の一方の端部に設けられた上前側畳表折り曲げユニットと、
前記架台フレーム上の他方の端部に設けられた下前側畳表折り曲げユニットとを備え、
前記上前側畳表折り曲げユニットが、前記下前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動可能に構成され、
前記下前側畳表折り曲げユニットが、前記上前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動可能に構成されるとともに、
前記下前側畳表折り曲げユニットが、水平方向に旋回可能に
構成され、
前記下前側畳表折り曲げユニットが、鉛直方向の仮想軸を中心に水平方向に旋回可能に構成され、
前記下前側畳表折り曲げユニットが、
前記架台フレーム上を上前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動する移動フレームと、
前記移動フレームの上方に、前記仮想軸を中心に、旋回可能に配置された旋回フレームと、
前記旋回フレームに設けられた下前側畳表折り曲げ機構とを備え、
前記移動フレーム上には、前記移動フレーム上に位置する仮想軸を中心に、半径の異なる2つの仮想円弧上に配置された第1のガイドローラーと第2のガイドローラーを備え、
前記旋回フレームが、前記移動フレーム上の第1のガイドローラーと第2のガイドローラーに案内されて、前記仮想軸を中心に、水平方向に旋回可能に構成されていることを特徴とする。
【0028】
このように構成することによって、架台フレーム上の一方の端部に設けられた上前側畳表折り曲げユニットを用いて、畳表の上前側の折り曲げ基準位置Aに合わせることができる。
【0029】
この状態で、架台フレーム上の他方の端部に設けられた下前側畳表折り曲げユニットを、上前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動するとともに、下前側畳表折り曲げユニットを水平方向に旋回移動させる。
【0030】
従って、畳表のみを予め、イ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)に折り曲げることができ、しかも、畳表の上前側の側辺を、畳床の上前側の側辺に合致した形状に折り曲げることができると同時に、畳表の下前側の側辺を、畳床の下前側の側辺に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利で汎用性に優れ、作業効率も向上した畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0031】
また、上前側畳表折り曲げユニットが、下前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動可能で、下前側畳表折り曲げユニットが、上前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動可能に構成される。
【0032】
これにより、畳の框方向の幅が異なる畳に対しても、また、畳表200の厚さが変わった場合に、上前側の折り曲げ基準位置Aと、下前側の折り曲げ基準位置Bとの間の距離を自由に調節することができるとともに、様々な種類の畳床と畳表の組み合わせ、サイズに対応することができ、比較的簡単な構造で、非常に便利で汎用性に優れた畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0033】
また、畳表200の厚さが変わった場合に、折り曲げ位置を変更できるので、上前側の折り曲げ線の位置が、丁度イ草の茎の縫い目の位置になるようにして、
図32に示したように、畳を敷き詰めた場合に、上前側の上側の側辺の位置の見栄えを良くすることができる。
【0034】
さらに、特に、畳床206の厚さが薄い場合にも、畳表200の側辺202は、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の2段階で折り曲げるために、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の位置に自由に移動するように調節することができる畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0036】
このように構成することによって、下前側畳表折り曲げユニットが、鉛直方向の仮想軸を中心に水平方向に旋回可能に構成されているので、従来の畳表折り曲げ装置300のように、下前整形部308が、装置フレーム302またはレール304に、垂直軸310で軸着するための複雑な構造が不要となり、煩雑な組み立て作業不要で、部品点数が少なくなり、コストと手間が不要である。
【0038】
このように構成することによって、移動フレームの上方の旋回フレームが、移動フレーム上に位置する仮想軸を中心に、半径の異なる2つの仮想円弧上に配置された第1のガイドローラーと第2のガイドローラーに案内されて、仮想軸を中心に、水平方向に旋回可能である。
【0039】
これにより、旋回フレームに設けられた下前側畳表折り曲げ機構によって、畳表の下前側の側辺を、畳床の下前側の側辺に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利である。
【0040】
しかも、従来の畳表折り曲げ装置300のように、下前整形部308が、装置フレーム302またはレール304に、垂直軸310で軸着するための複雑な構造が不要となり、煩雑な組み立て作業不要で、部品点数が少なくなり、コストと手間が不要である。
【0041】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記上前側畳表折り曲げユニットの水平移動距離を、畳の厚みまたは畳表の厚さに応じて設定することが可能な上前側移動距離調整機構を備えることを特徴とする。
【0042】
このように構成することによって、上前側移動距離調整機構によって、上前側畳表折り曲げユニットの水平移動距離を、畳の厚みに応じて設定することができるので、畳の框方向の幅が異なる畳に対しても、また、畳表200の厚さが変わった場合に、上前側の折り曲げ基準位置Aと、下前側の折り曲げ基準位置Bとの間の距離を自由に調節することができるとともに、様々な種類の畳床と畳表の組み合わせ、サイズに対応することができ、比較的簡単な構造で、非常に便利で汎用性に優れた畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0043】
さらに、上前側移動距離調整機構によって、上前側畳表折り曲げユニットの水平移動距離を、畳の厚みに応じて設定することができるので、特に、畳床206の厚さが薄い場合にも、畳表200の側辺202は、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の2段階で折り曲げるために、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の位置に自由に移動するように調節することができる畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0044】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、
前記上前側畳表折り曲げユニットが、水平方向に旋回可能に
構成され、
前記上前側畳表折り曲げユニットが、鉛直方向の仮想軸を中心に水平方向に旋回可能に構成され、
前記上前側畳表折り曲げユニットが、
前記架台フレーム上を下前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動する移動フレームと、
前記移動フレームの上方に、前記仮想軸を中心に、旋回可能に配置された旋回フレームと、
前記旋回フレームに設けられた上前側畳表折り曲げ機構とを備え、
前記移動フレーム上には、前記移動フレーム上に位置する仮想軸を中心に、半径の異なる2つの仮想円弧上に配置された第1のガイドローラーと第2のガイドローラーを備え、
前記旋回フレームが、前記移動フレーム上の第1のガイドローラーと第2のガイドローラーに案内されて、前記仮想軸を中心に、水平方向に旋回可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、
畳表の側辺を内側に折り曲げるための畳表折り曲げ装置であって、
架台フレーム上の一方の端部に設けられた上前側畳表折り曲げユニットと、
前記架台フレーム上の他方の端部に設けられた下前側畳表折り曲げユニットとを備え、
前記上前側畳表折り曲げユニットが、前記下前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動可能に構成され、
前記下前側畳表折り曲げユニットが、前記上前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動可能に構成されるとともに、
前記下前側畳表折り曲げユニットが、水平方向に旋回可能に構成され、
前記下前側畳表折り曲げユニットが、鉛直方向の仮想軸を中心に水平方向に旋回可能に構成され、
前記下前側畳表折り曲げユニットが、
前記架台フレーム上を上前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動する移動フレームと、
前記移動フレームの上方に、前記仮想軸を中心に、旋回可能に配置された旋回フレームと、
前記旋回フレームに設けられた下前側畳表折り曲げ機構とを備え、
前記移動フレーム上には、前記移動フレーム上に位置する仮想軸を中心に、半径の異なる2つの仮想円弧上に配置された第1のガイドローラーと第2のガイドローラーを備え、
前記旋回フレームが、前記移動フレーム上の第1のガイドローラーと第2のガイドローラーに案内されて、前記仮想軸を中心に、水平方向に旋回可能に構成され、
前記上前側畳表折り曲げユニットが、鉛直方向の仮想軸を中心に水平方向に旋回可能に構成され、
前記上前側畳表折り曲げユニットが、
前記架台フレーム上を下前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動する移動フレームと、
前記移動フレームの上方に、前記仮想軸を中心に、旋回可能に配置された旋回フレームと、
前記旋回フレームに設けられた上前側畳表折り曲げ機構とを備え、
前記移動フレーム上には、前記移動フレーム上に位置する仮想軸を中心に、半径の異なる2つの仮想円弧上に配置された第1のガイドローラーと第2のガイドローラーを備え、
前記旋回フレームが、前記移動フレーム上の第1のガイドローラーと第2のガイドローラーに案内されて、前記仮想軸を中心に、水平方向に旋回可能に構成されていることを特徴とする。
【0045】
このように構成することによって、例えば、下前側畳表折り曲げユニットを、上前側畳表折り曲げユニットとしても水平方向に旋回せずに使用するとともに、上前側畳表折り曲げユニットを、水平方向に旋回して使用することにより、下前側畳表折り曲げユニットとして使用することができ、逆方向に使用もでき便利である。
【0047】
このように構成することによって、前述したように、上前側畳表折り曲げユニットを、水平方向に旋回して使用することにより、下前側畳表折り曲げユニットとして使用する際に、上前側畳表折り曲げユニットが、鉛直方向の仮想軸を中心に水平方向に旋回可能に構成されているので、従来の畳表折り曲げ装置300のように、装置フレーム302またはレール304に、垂直軸310で軸着するための複雑な構造が不要となり、煩雑な組み立て作業不要で、部品点数が少なくなり、コストと手間が不要である。
【0049】
このように構成することによって、前述したように、上前側畳表折り曲げユニットを、水平方向に旋回して使用することにより、下前側畳表折り曲げユニットとして使用する際に、移動フレームの上方の旋回フレームが、移動フレーム上に位置する仮想軸を中心に、半径の異なる2つの仮想円弧上に配置された第1のガイドローラーと第2のガイドローラーに案内されて、仮想軸を中心に、水平方向に旋回可能である。
【0050】
これにより、旋回フレームに設けられた上前側畳表折り曲げ機構によって、畳表の下前側の側辺を、畳床の下前側の側辺に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利である。
【0051】
しかも、従来の畳表折り曲げ装置300のように、装置フレーム302またはレール304に、垂直軸310で軸着するための複雑な構造が不要となり、煩雑な組み立て作業不要で、部品点数が少なくなり、コストと手間が不要である。
【0052】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記下前側畳表折り曲げユニットの水平移動距離を、畳の厚みまたは畳表の厚さに応じて設定することが可能な下前側移動距離調整機構を備えることを特徴とする。
【0053】
このように構成することによって、前述したように、上前側畳表折り曲げユニットを、水平方向に旋回して使用することにより、下前側畳表折り曲げユニットとして使用する際に、下前側移動距離調整機構によって、下前側畳表折り曲げユニットの水平移動距離を、畳の厚みに応じて設定することができるので、畳の框方向の幅が異なる畳に対しても、また、畳表200の厚さが変わった場合に、上前側の折り曲げ基準位置Aと、下前側の折り曲げ基準位置Bとの間の距離を自由に調節することができるとともに、様々な種類の畳床と畳表の組み合わせ、サイズに対応することができ、比較的簡単な構造で、非常に便利で汎用性に優れた畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0054】
さらに、下前側移動距離調整機構によって、下前側畳表折り曲げユニットの水平移動距離を、畳の厚みに応じて設定することができるので、特に、畳床206の厚さが薄い場合にも、畳表200の側辺202は、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の2段階で折り曲げるために、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の位置に自由に移動するように調節することができる畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0055】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記上前側畳表折り曲げユニット、下前側畳表折り曲げユニットの少なくとも一方に、畳表の側辺を裁断する裁断機構が付設されていることを特徴とする。
【0056】
このように構成することによって、畳の框方向の幅が異なる畳に対しても、また、畳床206の厚さが変わった場合に、折り曲げに適切なサイズの畳表とすることができ極めて便利である。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、架台フレーム上の一方の端部に設けられた上前側畳表折り曲げユニットを用いて、畳表の上前側の折り曲げ基準位置Aに合わせることができる。
【0058】
この状態で、架台フレーム上の他方の端部に設けられた下前側畳表折り曲げユニットを、上前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動するとともに、下前側畳表折り曲げユニットを水平方向に旋回移動させる。
【0059】
従って、畳表のみを予め、イ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)に折り曲げることができ、しかも、畳表の上前側の側辺を、畳床の上前側の側辺に合致した形状に折り曲げることができると同時に、畳表の下前側の側辺を、畳床の下前側の側辺に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利で汎用性に優れ、作業効率も向上した畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0060】
また、上前側畳表折り曲げユニットが、下前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動可能で、下前側畳表折り曲げユニットが、上前側畳表折り曲げユニットに対して接離する方向に水平移動可能に構成される。
【0061】
これにより、畳の框方向の幅が異なる畳に対しても、また、畳表200の厚さが変わった場合に、上前側の折り曲げ基準位置Aと、下前側の折り曲げ基準位置Bとの間の距離を自由に調節することができるとともに、様々な種類の畳床と畳表の組み合わせ、サイズに対応することができ、比較的簡単な構造で、非常に便利で汎用性に優れた畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0062】
また、畳表200の厚さが変わった場合に、折り曲げ位置を変更できるので、上前側の折り曲げ線の位置が、丁度イ草の茎の縫い目の位置になるようにして、
図32に示したように、畳を敷き詰めた場合に、上前側の上側の側辺の位置の見栄えを良くすることができる。
【0063】
さらに、特に、畳床206の厚さが薄い場合にも、畳表200の側辺202は、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の2段階で折り曲げるために、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の位置に自由に移動するように調節することができる畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
【0066】
図1は、本発明の畳表折り曲げ装置の概略を模式的に示す斜視図、
図2は、本発明の畳表折り曲げ装置の概略を模式的に示すI方向から視た正面図、
図3は、
図2の畳表折り曲げ装置の上面図、
図4は、下前側畳表折り曲げユニットの旋回機構の概略を説明する模式図、
図5は、本発明の畳表折り曲げ装置の上前側畳表折り曲げユニットの上前側移動距離調整機構の概略分解図である。
【0067】
図1〜
図2において、符号10は、全体で本発明の畳表折り曲げ装置を示している。
【0068】
本発明の畳表折り曲げ装置10は、いわゆる「縁無し畳」を製造するためのものであって、
図31に示したように、畳表200のイ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)Aに、畳表200の側辺202を畳床の側面に沿うように折り曲げるためのものである。
【0069】
なお、
図31においては、説明の便宜上、畳表200のイ草の織目は省略して示している。
【0070】
なお、図示しないが、畳床は、通常、表面側が広く、裏面側が狭く形成されている。
【0071】
また、本発明の畳表折り曲げ装置10において、畳表200の被折り曲げ側辺である畳表200の側辺202とは、畳表200が、1畳用の場合には、畳表200の長手方向の辺を、半畳用では、框側の側辺204と直角または略直角な辺を言う。
【0072】
また、本発明の畳表折り曲げ装置10の対象とする畳表200は、例えば、天然のイ草からなる畳表200、和紙製のイ草からなる畳表200、また、樹脂製のイ草からなる畳表200など全ての畳表に適用することができる。
【0073】
図1〜
図5に示したように、畳表折り曲げ装置10は、架台フレーム12を備えており、この架台フレーム12上に、前後方向に(
図1〜
図5において左右方向に延びる)2本の案内レール14が設けられている。
【0074】
そして、
図1に示したように、架台フレーム12上の一方の端部には、案内レール14上に、上前側畳表折り曲げユニット16が設けられている。
【0075】
また、架台フレーム12上の他方の端部には、案内レール14上に、下前側畳表折り曲げユニット18が設けられている。
【0076】
そして、
図1の矢印Eで示したように、例えば、ピストンシリンダー機構、ステッピングモーター、ボールネジなどの駆動機構22(
図2〜
図3参照)によって、上前側畳表折り曲げユニット16が、下前側畳表折り曲げユニット18に対して接離する方向に水平移動可能に構成されている。
【0077】
また、同様に、
図1の矢印E'で示したように、例えば、ピストンシリンダー機構、ステッピングモーター、ボールネジなどの駆動機構22によって、下前側畳表折り曲げユニット18が、上前側畳表折り曲げユニット16に対して接離する方向に水平移動可能に構成されている。
【0078】
さらに、
図1の矢印Jで示したように、下前側畳表折り曲げユニット18が、水平方向に旋回可能に構成されている。なお、この実施例の場合には、下前側畳表折り曲げユニット18が、後述するように、鉛直方向の仮想軸Xを中心に水平方向に旋回可能に構成されている。
【0079】
具体的には、
図1、
図2、
図5に示したように、上前側畳表折り曲げユニット16は、架台フレーム12上に配置された案内レール14上を、下前側畳表折り曲げユニット18に対して接離する方向に、
図5に示したように、架台フレーム12に付設した、ピストンシリンダーなどの駆動機構22によって、水平移動する移動フレーム24を備えている。
【0080】
また、この移動フレーム24の上方には、上前側畳表折り曲げ機構26が配置されている。
【0081】
一方、同様に、
図1、
図2、
図4に示したように、下前側畳表折り曲げユニット18は、架台フレーム12上に配置された案内レール14上を、上前側畳表折り曲げユニット16に対して接離する方向に、
図5に示した駆動機構22と同様な駆動機構22によって、水平移動する移動フレーム28を備えている。
【0082】
そして、この移動フレーム28の上方には、鉛直方向の仮想軸Xを中心に、旋回可能に配置された旋回フレーム30が配置されている。また、旋回フレーム30の上方には、旋回フレーム30とともに、仮想軸Xを中心に旋回する下前側畳表折り曲げ機構32が設けられている。
【0083】
具体的には、
図4に示したように、移動フレーム28上には、駆動モーターなどの駆動装置34が設けられている。この駆動装置34の駆動軸34aの歯車34bと噛合して、回転する回転歯車36が、移動フレーム28上に回転可能に軸支されている。
【0084】
そして、この回転歯車36の回転軸36aに、略L字形状の第1のカム38が連結されている。この第1のカム38の一方の端部には、連結ピン40を介して第1のリンク部材42の一端が連結されている。
【0085】
また、
図4に示したように、第1のリンク部材42の他端部に設けられた軸形状の第1の結合部42aが、旋回フレーム30の第1の結合部30aに結合されている。
【0086】
一方、第1のカム38の他方の端部には、連結ピン41を介して第2のリンク部材44の一端が連結されている。この第2のリンク部材44の他方の端部には、連結ピン43を介して略L字形状の第2のカム46の一端が連結されている。
【0087】
そして、この第2のカム46には、軸部材46aが設けられており、第2のカム46が、この軸部材46aを中心に、移動フレーム28上に回転可能に軸支されている。また、第2のカム46の他端には、連結ピン48を介して第3のリンク部材50の一端が連結されている。
【0088】
また、
図4に示したように、第3のリンク部材50の他端部に設けられた軸形状の第2の結合部50aが、旋回フレーム30の第2の結合部30bに結合されている。
【0089】
さらに、
図4に示したように、移動フレーム28上には、鉛直方向の仮想軸Xを中心に、半径の異なる2つの仮想円弧上に配置された第1のガイドローラー52と第2のガイドローラー54を備えている。
【0090】
すなわち、第1のリンク部材42の近傍には、仮想軸Xを中心に、半径r1の第1の仮想円弧G1上に、一定間隔離間して配置された複数の(この実施例では、2個の)第1のガイドローラー52が配置されている。
【0091】
また、第3のリンク部材50の近傍には、仮想軸Xを中心に、半径r2の第2の仮想円弧G2上に、一定間隔離間して配置された複数の(この実施例では、2個の)第2のガイドローラー54が配置されている。
【0092】
また、旋回フレーム30の第1の結合部30aの近傍には、第1の仮想円弧G1に対応するように、仮想軸Xを中心に、半径r1の円弧状に第1の案内突設部56が形成されている。
【0093】
そして、この旋回フレーム30の第1の案内突設部56の外周に、第1のガイドローラー52が回転摺動可能に嵌合されている。
【0094】
同様に、旋回フレーム30の第2の結合部50aの近傍には、第2の仮想円弧G2に対応するように、仮想軸Xを中心に、半径r2の円弧状に第2の案内突設部58が形成されている。
【0095】
そして、この旋回フレーム30の第2の案内突設部58の外周に、第2のガイドローラー54が回転摺動可能に嵌合されている。
【0096】
このように構成することによって、
図4の矢印で示したように、駆動装置34を駆動することによって、旋回フレーム30が、移動フレーム28上の第1のガイドローラー52と、旋回フレーム30の第1の案内突設部56とに案内されて、また、第2の案内突設部58の第2のガイドローラー54と、旋回フレーム30の第2の案内突設部58とに案内されて、仮想軸Xを中心に、旋回可能に構成されている。
【0097】
なお、この場合、駆動装置34を駆動することによって、第2のリンク部材44を介して、第1のカム38と第2のカム46とが、同じ角度で回転する。そして、第1のカム38と第2のカム46は、第1の案内突設部56の外周と、第2の案内突設部58の外周のガイド円弧の仮想軸Xからの半径比r1:r2に基づいて、支点と作用点を設定してある。
【0098】
これにより、
図1、
図4の矢印
Jで示したように、仮想軸Xがずれることなく、仮想軸Xを中心に旋回フレーム30が、水平方向に旋回可能に構成されている。
【0099】
一方、本発明の畳表折り曲げ装置10は、
図2、図3、図5に示したように、上前側畳表折り曲げユニット16の水平移動距離を、畳の厚みに応じて設定することが可能な上前側移動距離調整機構60を備えている。
【0100】
具体的には、
図5に示したように、架台フレーム12の一方の端部に、上前側畳表折り曲げユニット16の移動フレーム24に近接する位置に、上前側移動距離調整機構60が設けられている。
【0101】
この上前側移動距離調整機構60は、架台フレーム12の一方の端部に固定されたフランジ62に設けられた調整ブロック64を備えており、この調整ブロック64の内ネジ64aに調整ネジ66が螺合するように挿着されている。
【0102】
そして、この調整ネジ66の先端には、上前側畳表折り曲げユニット16の移動フレーム24に対峙するように、当接部66aが形成されるとともに、調整ネジ66の後端には、調整ノブ66bが形成されている。
【0103】
すなわち、
図5の矢印Fに示したように、架台フレーム12に付設したピストンシリンダーなどの駆動機構22を作動させることによって、上前側畳表折り曲げユニット16を、架台フレーム12上に配置された案内レール14上を、下前側畳表折り曲げユニット18に対して接離する方向に、移動フレーム24を水平移動させる。
【0104】
その後、調整ネジ66の後端の調整ノブ66bを回すことによって、調整ネジ66が回転して、調整ブロック64の内ネジ64aとの螺合により、調整ネジ66の先端の当接部66aが、上前側畳表折り曲げユニット16の移動フレーム24に当接して押すことによって、上前側畳表折り曲げユニット16の水平移動距離を調整することができるように構成されている。
【0105】
このように構成することによって、上前側移動距離調整機構60によって、上前側畳表折り曲げユニット16の水平移動距離を、畳表の厚みに応じて設定することができる。
従って、同じ寸法で畳表200を折り曲げようとすると、折り曲げ定規の位置を、畳表200の厚さが厚い場合、上前側の折り曲げ基準位置A1と、下前側の折り曲げ基準位置B1の位置に、また、畳表200の厚さが薄い場合、上前側の折り曲げ基準位置A2と、下前側の折り曲げ基準位置B2の位置に配置することができる。
【0106】
このため、、畳の框方向の幅が異なる畳に対しても、また、畳表200の厚みが変わった場合に、上前側の折り曲げ基準位置Aと、下前側の折り曲げ基準位置Bとの間の距離を自由に調節することができるとともに、様々な種類の畳床と畳表の組み合わせ、サイズに対応することができ、比較的簡単な構造で、非常に便利で汎用性に優れた畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0107】
また、畳表200の厚さが変わった場合に、折り曲げ位置を変更できるので、上前側の折り曲げ線の位置が、丁度イ草の茎の縫い目の位置になるようにして、
図32に示したように、畳を敷き詰めた場合に、上前側の上側の側辺の位置の見栄えを良くすることができる。
【0108】
さらに、上前側移動距離調整機構60によって、上前側畳表折り曲げユニット16の水平移動距離を、畳の厚みに応じて設定することができるので、
図33(A)、
図33(B)に示したように、特に、畳床206の厚さが薄い場合にも、畳表200の側辺202は、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の2段階で折り曲げるために、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の位置に自由に移動するように調節することができる畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0109】
さらに、図示しないが、上前側畳表折り曲げユニット16と、下前側畳表折り曲げユニット18には、それぞれ、畳表200の側辺202を裁断する裁断機構が付設されている。
【0110】
このように構成することによって、畳の框方向の幅が異なる畳に対しても、また、畳(畳床206)の厚さが変わった場合に、折り曲げに適切なサイズの畳表200とすることができ極めて便利である。
【0111】
なお、畳表200の側辺202を裁断する裁断機構は、上前側畳表折り曲げユニット16と、下前側畳表折り曲げユニット18の少なくとも一方に、畳表の側辺を裁断する裁断機構が付設されていればよい。
【0112】
また、この裁断機構については、公知の裁断機構が利用できるので、その詳細については説明を省略する。
【0113】
この場合には、いずれか一方の裁断機構において、畳表の一方側の側辺を裁断した後、図示しない反転機構により、畳表を反転させて、畳表の他方の側辺を裁断するようにすれば良い。
【0114】
このように構成される本発明の畳表折り曲げ装置10は、
図6〜
図11に示したように、以下のようにして用いられる。
【0115】
先ず、
図6に示したように、畳床206の左側の框の幅T1に合わせて、上前側畳表折り曲げユニット16と下前側畳表折り曲げユニット18を、駆動機構22を作動することによって、架台フレーム12上に配置された案内レール14上をそれぞれ、E方向、E'方向に移動させ、所定の位置に配置する。
【0116】
この際、
図6に示したように、上前側畳表折り曲げユニット16の移動フレーム24の外側端部24aと、下前側畳表折り曲げユニット18の移動フレーム28の外側端部28aとの距離L3が、畳表200の裁断位置となるように設定されている。
【0117】
また、
図6に示したように、畳表200の裁断位置と、上前側の折り曲げ基準位置Aと、下前側の折り曲げ基準位置Bとの間には、予め決められた所定の長さの折り曲げ代T2を有するように裁断位置が決定されるようになっている。
【0118】
そして、この状態で、
図7に示したように、移動フレーム28の上方の旋回フレーム30を、駆動装置34を駆動することによって、仮想軸Xを中心に旋回させる。
【0119】
なお、この際、旋回角度αは、畳床206の左側の框206cと畳床206の下前側の側辺206bのなす角度α1と同じになるように設定されている。
【0120】
この状態で、
図8に示したように、畳表200を畳表200の裏面が上方に位置するように、上前側畳表折り曲げユニット16の移動フレーム24と、下前側畳表折り曲げユニット18の移動フレーム28の上方の旋回フレーム30との間に載置する。
【0121】
なお、この際、畳表200の側辺202の上前側となる上前側側辺202aが、上前側畳表折り曲げユニット16の移動フレーム24の側に位置するとともに、畳表200の側辺202の下前側となる下前側側辺202bが、下前側畳表折り曲げユニット18の移動フレーム28の側に位置するように配置する。
【0122】
この状態で、上前側畳表折り曲げユニット16と、下前側畳表折り曲げユニット18のそれぞれに配置された、畳表200の側辺202を裁断する裁断機構により、畳表200の側辺202を裁断する。
【0123】
次に、図示しない把持機構で、畳表200を把持して、上前側畳表折り曲げユニット16の移動フレーム24と、下前側畳表折り曲げユニット18の移動フレーム28の上方の旋回フレーム30から、上方に少し浮かせた状態とする。
【0124】
この状態で、上前側畳表折り曲げユニット16と下前側畳表折り曲げユニット18を、駆動機構22を作動することによって、架台フレーム12上に配置された案内レール14上を移動させ、所定の位置に配置する。
【0125】
すなわち、
図9に示したように、上前側畳表折り曲げユニット16の移動フレーム24の外側端部24aが、上前側の折り曲げ基準位置Aに位置し、下前側畳表折り曲げユニット18の移動フレーム28の外側端部28aが、下前側の折り曲げ基準位置Bに位置するようにする。
【0126】
なお、この際、上前側移動距離調整機構60によって、上前側畳表折り曲げユニット16の水平移動距離を、畳の厚みに応じて調整する。
【0127】
すなわち、調整ネジ66の後端の調整ノブ66bを回すことによって、調整ネジ66が回転して、調整ブロック64の内ネジ64aとの螺合により、調整ネジ66の先端の当接部66aが、上前側畳表折り曲げユニット16の移動フレーム28に当接して押すことによって、上前側畳表折り曲げユニット16の水平移動距離を調整する。
【0128】
この状態で、図示しない把持機構で把持していた畳表200を下降させて、上前側畳表折り曲げユニット16の移動フレーム24と、下前側畳表折り曲げユニット18の移動フレーム28の上方の旋回フレーム30の上に再び載置する。
【0129】
そして、
図10の矢印Kで示したように、上前側畳表折り曲げユニット16の上前側畳表折り曲げ機構26によって、畳表200の側辺202の上前側となる上前側側辺202aを、上前側の折り曲げ基準位置Aで上方へ折り曲げる。
【0130】
また、下前側畳表折り曲げユニット18の下前側畳表折り曲げ機構32によって、畳表200の側辺202の下前側となる下前側側辺202bを、下前側の折り曲げ基準位置Bで上方へ折り曲げる。
【0131】
なお、この場合、
図11に示したように、特に、畳床206の厚さが薄い場合、上前側畳表折り曲げユニット16と下前側畳表折り曲げユニット18を、駆動機構22を作動することによって、架台フレーム12上に配置された案内レール14上を移動させ、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の2段階に位置するようにして、畳表200の側辺202を、2段階で折り曲げるようにすれば良い。
【0132】
また、本発明の畳表折り曲げ装置10において、上前側畳表折り曲げ機構26と、下前側畳表折り曲げ機構32とは、同様な構成であるので、以下に、下前側畳表折り曲げ機構32について、
図12〜
図22に基づいて説明する。
【0133】
図12に示したように、下前側畳表折り曲げ機構32には、折り曲げ支持機構100が設けられている。この折り曲げ支持機構100は、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を折り曲げる際に、折り曲げ線を支持するための略板形状の折り曲げ支持部材102を備えている。
【0134】
図12に示したように、折り曲げ支持部材102は、駆動シリンダー104の駆動軸106の先端に連結されており、駆動シリンダー104の作動によって、駆動軸106の先端に連結された折り曲げ支持部材102が、
図12の矢印で示したように、昇降するように構成されている。
【0135】
そして、この駆動シリンダー104は、
図12の矢印で示したように、駆動シリンダー104が回動するようになっている。
【0136】
この駆動シリンダー104の回動に伴って、折り曲げ支持部材102が、
図12の矢印で示したように、旋回するように構成されている。
【0137】
また、
図18の拡大図に示したように、折り曲げ支持部材102は、折り曲げ支持部材本体102aと、旋回フレーム30の折り曲げ側端部30d側に形成された傾斜支持部102bとを備えている。この傾斜支持部102bには、折り曲げ側端部30d側に傾斜した、すなわち、折り曲げ側端部30dから離間する方向に傾斜した傾斜案内面102cが形成されている。
【0138】
また、後述するように、
図19の拡大図に示したように、折り曲げ部材101のテーパー傾斜面108と水平面のなす角度αと、折り曲げ支持部材102の傾斜案内面102cと水平面のなす角度βが、α>βの関係になるように設定されている。
【0139】
なお、折り曲げ支持部材102は、畳表200の側辺202に沿うように、畳表折り曲げ装置10の横方向に延びている。
【0140】
また、折り曲げ部材101は、
図12に示したように、昇降駆動シリンダー110の駆動によって、旋回フレーム30の折り曲げ側端部30dに対して、上下方向に移動できるように構成されている。
【0141】
この折り曲げ部材101は、
図22の拡大図に示したように、断面視において、折り曲げ作用部112と、折り曲げ作用部112の下方に形成され、折り曲げ作用部112の幅よりも幅が狭くなった中間部114を備えている。さらに、この中間部114の下方には、中間部114の幅よりも幅が広くなった基端部116を備えている。これにより、中間部114の旋回フレーム30側に、進入用凹部115が形成されている。
【0142】
また、
図22の拡大図に示したように、折り曲げ作用部112は、平坦に形成された上端面118を備えている。そして、折り曲げ部材101の折り曲げ作用部112の旋回フレーム30側には、立ち上げ部を構成する畳表立ち上げ面120が、旋回フレーム30の上面に対して垂直な方向に(鉛直方向に)形成されている。
【0143】
なお、この場合、
図22の拡大図に示したように、上端面118と畳表立ち上げ面120との間の隅角部は丸くR部122aが形成されており、後述する立ち上げの際に、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を損傷しないよう構成されている。
【0144】
なお、この実施例では、立ち上げ部を構成する畳表立ち上げ面120を、旋回フレーム30の上面に対して垂直な方向に(鉛直方向に)形成したが、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を損傷しないように立ち上げる面であれば良く、傾斜面やR面で形成することも可能である。
【0145】
すなわち、この畳表立ち上げ面120では、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を損傷しないように立ち上げることが出来ればよく、上記した形状以外でも様々な他の形状を採用することもできる。
【0146】
また、折り曲げ部材101の折り曲げ作用部112には、この畳表立ち上げ面120の下方に、畳表立ち上げ面120から下方に延設され、旋回フレーム30の折り曲げ側端部30dから離間する方向に傾斜した、プレス面を構成するテーパー傾斜面108が形成されている。
【0147】
また、折り曲げ部材101の基端部116には、折り曲げ部材101を加熱するための、例えば、シーズヒーターなどからなるヒーター124を備えている。
【0148】
このヒーター124は、畳表200が、例えば、樹脂製のイ草から構成されている場合に、後述するように、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を折り曲げる際に、折り曲げ線203の近傍を加熱して柔らかくして、この折り曲げ線203からの折り曲げを容易にするためのものである。
【0149】
なお、このヒーター124としては、特に限定されるものではなく、公知のヒーターを採用することができる。この場合、加熱温度も特に限定されるものでなく、樹脂製のイ草の種類に応じて適宜設定すればよく、例えば、120℃に設定することができる。
【0150】
なお、このように構成される折り曲げ部材101は、畳表200の側辺202に沿うように、畳表折り曲げ装置10の横方向に延びている。
【0151】
このように構成される本発明の下前側畳表折り曲げ機構32について、以下に、
図12〜
図22に基づいて説明する。
(1)畳表の配置工程
【0152】
先ず、
図12に示したように、畳表200を畳表200の裏面が上方に位置するように、旋回フレーム30の上面に配置する。すなわち、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の一方の側辺202)が、旋回フレーム30の上面に位置するとともに、旋回フレーム30の折り曲げ側端部30dに位置するようにする。
【0153】
なお、この際には、折り曲げ機構20の昇降駆動シリンダー110を駆動することによって、
図22に示したように、旋回フレーム30の上面と、折り曲げ部材101の上端面118が水平方向の高さ位置が一致するようにしておく。
【0154】
また、この際、畳床の側面の高さに応じて、予め設定された畳表200の折り曲げ線203が、旋回フレーム30の折り曲げ側端部30dに位置するとともに、旋回フレーム30の折り曲げ側端部30dから、折り曲げ部材101の方向に所定の折り曲げ幅分突出するように畳表200を載置するようにする。
【0155】
なお、この場合、図示しないが、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202、特に、畳表200の折り曲げ線203の近傍)に対して、折り曲げ促進剤を塗布、浸漬、または、噴射(吹付け)るようにすれば、折り曲げが容易になり好ましい。
【0156】
このような折り曲げ促進剤としては、例えば、水、高温の水蒸気、高浸透性の界面活性剤などを用いることができる。これにより、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を、畳表200の折り曲げ線203を支点として内側に折り曲げる際に折り曲げが容易となり、畳表の被折り曲げ側辺が破損損傷するのが防止でき、見栄えが良好で商品価値が高い縁無し畳を製造することができる。
(2)折り曲げ準備工程
【0157】
次に、この状態で、
図13に示したように、折り曲げ支持機構100の駆動シリンダー104を作動させて、駆動シリンダー104の駆動軸106を伸長して、折り曲げ支持部材102を下降させる。そして、折り曲げ支持部材102の傾斜支持部102bの先端102dが、畳表200の折り曲げ線203に位置するようにする。これにより、折り曲げ支持部材102の下面と旋回フレーム30の上面との間で、畳表200を挟持して、畳表200の位置ずれが発生しないように固定する。
【0158】
この状態で、
図13に示したように、必要に応じて、折りぐせ線形成手段126を設けておき、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を折り曲げる折り曲げ線203に沿って、折り曲げを容易にする折りぐせ線を形成するようにしても良い。
【0159】
図13の実施例では、折りぐせ線形成手段126として例えば、けびきローラからなるけびき部材128a、例えば、電熱ごてからなる加熱けびき部材128bを設けている。
【0160】
この場合、畳表200が、例えば、天然のイ草からなる畳表200、和紙製のイ草からなる畳表200の場合には、けびき部材128aによる折りぐせ線の形成で十分であるが、樹脂製のイ草からなる畳表200などでは、けびき部材128aと加熱けびき部材128bを併用するのが望ましい。
【0161】
このように構成することによって、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を、畳表200の折り曲げ線203を支点として内側に折り曲げる際に、この折りぐせ線形成手段で形成した折りぐせ線に沿って折り曲げが容易となり、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)が破損損傷するのが防止でき、見栄えが良好で商品価値が高い縁無し畳を製造することができる。
【0162】
また、この場合、
図13に示したように、折り曲げ部材101の基端部116には、折り曲げ部材101を加熱するための、例えば、シーズヒーターなどからなるヒーター124を備えているのが望ましい。
【0163】
このように構成することによって、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を折り曲げる際に、折り曲げ線近傍を加熱して柔らかくして、畳表200の折り曲げ線203を支点として内側に折り曲げる際に、折り曲げが容易となり、畳表200の被折り曲げ側辺が破損損傷するのが防止でき、見栄えが良好で商品価値が高い縁無し畳を製造することができる。
(3)立ち上げ工程
【0164】
次に、このように必要に応じて、ヒーター124による加熱、折りぐせ線を形成した後、
図14の矢印で示したように、折り曲げ機構130の昇降駆動シリンダー110を駆動させて、折り曲げ部材101を上昇させて、これに伴って、折り曲げ部材101の立ち上げ部を構成する畳表立ち上げ面120を上昇させる。
【0165】
これにより、
図14、
図18の拡大図に示したように、畳表立ち上げ面120によって、畳表200の折り曲げ線203を支点として、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)が鉛直方向に立ち上げる。
【0166】
これによって、畳表200の表面を損傷することなく、畳表200のみを予め、イ草の織目方向(イ草の向き)に対して垂直な方向に予めある程度折り曲げることができる。
【0167】
なお、この場合、
図18の拡大図に示したように、旋回フレーム30の折り曲げ側端部30dと、折り曲げ部材101の立ち上げ部を構成する畳表立ち上げ面120との間の幅Hは、畳表200の厚さと同じか、僅かに小さく設定するのが、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)が鉛直方向に立ち上げるのが容易となる。
【0168】
この場合の幅Hの調整は、駆動シリンダー132の駆動によって、旋回フレーム30の折り曲げ側端部30dに対して、折り曲げ機構130を接離する方向に移動することによって行われる。
【0169】
また、この場合、折り曲げ機構130の昇降駆動シリンダー110を駆動による、折り曲げ部材101の上昇程度は、折り曲げ部材101の畳表立ち上げ面120を超えて、プレス面を構成するテーパー傾斜面108の途中の高さ位置に、旋回フレーム30の折り曲げ側端部30dが位置する程度である。
(4)折り曲げ工程
【0170】
このように、折り曲げ部材101の畳表立ち上げ面120による畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)の鉛直方向への立ち上げが完了した後、
図15、
図19の拡大図に示したように、折り曲げ機構130の駆動シリンダー132を駆動する。
【0171】
すなわち、
図15、
図19の矢印で示したように、旋回フレーム30の折り曲げ側端部30dに対して、折り曲げ部材101を接近する方向に移動する。この場合、折り曲げ部材101の中間部114の旋回フレーム30側に、進入用凹部115が形成されているので、旋回フレーム30の折り曲げ側端部30dが進入用凹部115内に進入して、この移動が阻害されることがないように構成されている。
【0172】
これによって、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)と折り曲げ部材101のプレス面を構成するテーパー傾斜面108とを当接させて、畳表200の被折り曲げ側辺を、畳表200の折り曲げ線203を支点として、内側に折り曲げる。
【0173】
この場合、
図19の拡大図に示したように、折り曲げ部材101のテーパー傾斜面108と水平面のなす角度αと、折り曲げ支持部材102の傾斜案内面102cと水平面のなす角度βが、α>βの関係になるように設定されている。
【0174】
このような関係に折り曲げ部材101のテーパー傾斜面108と水平面のなす角度αと、折り曲げ支持部材102の傾斜案内面102cと水平面のなす角度βが設定されていれば、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を、畳表200の折り曲げ線203を支点として内側に折り曲げる際に、折り曲げ部材101のテーパー傾斜面108によって、折り曲げ支持部材102の傾斜案内面102cとの間に、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)が強固に挟み込まれることがない。
【0175】
また、上記のように角度がα>βの関係になるように設定されていれば、テーパー傾斜面108によって、畳表200の折り曲げの圧力が折り曲げ支持部材102の先端102dに確実にかかることとなるので、寸法精度の良い畳表の折り曲げが可能となる。
【0176】
従って、畳表200の折り曲げ線203を支点として内側に折り曲げる際に、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)が破損損傷するのが防止でき、見栄えが良好で商品価値が高い縁無し畳を製造することができる。
(5)折り曲げ支持部材102の離間工程
【0177】
次に、この状態から、
図16、
図20の拡大図に示したように、折り曲げ支持部材102を畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)から離間する方向に移動させる(
図16、
図20の矢印参照)。
【0178】
これにより、
図16、
図20の矢印で示したように、駆動シリンダー104が回動し、この駆動シリンダー104の回動に伴って、折り曲げ支持部材102を、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)から離間する方向に旋回させる。
【0179】
また、これと同時に、折り曲げ支持機構100の駆動シリンダー104を作動させて、駆動シリンダー104の駆動軸106を縮める。これによって、
図16、
図20の矢印で示したように、駆動軸106の先端に連結された折り曲げ支持部材102を、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)から離間する方向に移動させる。
【0180】
この場合、折り曲げ支持部材102の移動量は、次のプレス工程において、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)と折り曲げ部材101のプレス面を構成するテーパー傾斜面108とのプレスの邪魔にならない程度に構成している。
(6)プレス工程
【0181】
次に、この状態で、
図17、
図21の拡大図に示したように、折り曲げ機構130の昇降駆動シリンダー110を駆動させて、折り曲げ部材101を下降させる。
【0182】
すなわち、折り曲げ部材101が旋回フレーム30に対してさらに下方の位置となるように移動することにより、
図17、図21の矢印で示したように、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を、畳表200の折り曲げ線203を支点としてさらに内側に折り曲げる。
【0183】
このように構成することによって、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を、畳表200の折り曲げ線203を支点として内側にさらに折り曲げることができ、折り目(折り癖)がしっかりと付き、角が丸くなってしまうことがない。
【0184】
これにより、畳床の側面に折り曲げた部分を固定する際にも、いわゆる浮いた状態となることなくしっかりと固定でき、見栄えが良好で商品価値が高い縁無し畳を製造することができる。
【0185】
なお、この実施例では、(5)折り曲げ支持部材102の離間工程、(6)プレス工程
を実施するように構成したが、(1)〜(4)の工程のみを行うようにすることも可能である。
【0186】
また、この実施例では、旋回フレーム30を固定して、折り曲げ部材101を移動させる構成にしたが、折り曲げ部材101を固定して、旋回フレーム30側を移動するように構成することも可能である。さらには、旋回フレーム30と折り曲げ部材101を移動可能に構成することも可能である。
【0187】
このような下前側畳表折り曲げ機構32の構造、(1)〜(6)の工程については、上前側畳表折り曲げ機構26についてもほぼ同様である。
なお、上記の構成の折り曲げ機構以外にも、もちろん、従来の折り曲げ機構を採用することも可能である。
【0188】
このように構成される本発明の畳表折り曲げ装置10によれば、架台フレーム12上の一方の端部に設けられた上前側畳表折り曲げユニット16を用いて、畳表200の上前側の折り曲げ基準位置Aに合わせることができる。
【0189】
この状態で、架台フレーム12上の他方の端部に設けられた下前側畳表折り曲げユニット18を、上前側畳表折り曲げユニット16に対して接離する方向に水平移動するとともに、下前側畳表折り曲げユニット18を水平方向に旋回移動させる。
【0190】
なお、この場合、下前側畳表折り曲げユニット18の水平移動と、下前側畳表折り曲げユニット18の水平方向の旋回移動は、いずれが先であっても良く、また、両方当時に行うようにすることもできる。
【0191】
従って、畳表200のみを予め、イ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)に折り曲げることができ、しかも、畳表200の上前側の上前側側辺202aを、畳床206の上前側の側辺に合致した形状に折り曲げることができると同時に、畳表200の下前側の下前側側辺202bを、畳床206の下前側の側辺に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利で汎用性に優れ、作業効率も向上した畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0192】
また、上前側畳表折り曲げユニット16が、下前側畳表折り曲げユニット18に対して接離する方向に水平移動可能で、下前側畳表折り曲げユニット18が、上前側畳表折り曲げユニット16に対して接離する方向に水平移動可能に構成される。
【0193】
このように構成することによって、上前側移動距離調整機構60によって、上前側畳表折り曲げユニット16の水平移動距離を、畳表の厚みに応じて設定することができる。
従って、同じ寸法で畳表200を折り曲げようとすると、折り曲げ定規の位置を、畳表200の厚さが厚い場合、上前側の折り曲げ基準位置A1と、下前側の折り曲げ基準位置B1の位置に、また、畳表200の厚さが薄い場合、上前側の折り曲げ基準位置A2と、下前側の折り曲げ基準位置B2の位置に配置することができる。
【0194】
このため、、畳の框方向の幅が異なる畳に対しても、また、畳表200の厚みが変わった場合に、上前側の折り曲げ基準位置Aと、下前側の折り曲げ基準位置Bとの間の距離を自由に調節することができるとともに、様々な種類の畳床と畳表の組み合わせ、サイズに対応することができ、比較的簡単な構造で、非常に便利で汎用性に優れた畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0195】
さらに、特に、畳床206の厚さが薄い場合にも、畳表200の側辺202は、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の2段階で折り曲げるために、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の位置に自由に移動するように調節することができる畳表折り曲げ装置10を提供することができる。
【0196】
また、下前側畳表折り曲げユニット18が、鉛直方向の仮想軸Xを中心に水平方向に旋回可能に構成されているので、従来の畳表折り曲げ装置300のように、下前整形部308が、装置フレーム302またはレール304に、垂直軸310で軸着するための複雑な構造が不要となり、煩雑な組み立て作業不要で、部品点数が少なくなり、コストと手間が不要である。
【0197】
さらに、下前側畳表折り曲げユニット18の移動フレーム28の上方の旋回フレーム30が、移動フレーム28上に位置する仮想軸Xを中心に、半径の異なる2つの仮想円弧上(半径r1の第1の仮想円弧G1と半径r2の第2の仮想円弧G2)に配置された第1のガイドローラー52と第2のガイドローラー54に案内されて、仮想軸Xを中心に、水平方向に旋回可能である。
【0198】
これにより、旋回フレーム30に設けられた下前側畳表折り曲げ機構32によって、畳表200の下前側の下前側側辺202bを、畳床206の下前側の側辺に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利である。
【0199】
しかも、従来の畳表折り曲げ装置300のように、下前整形部308が、装置フレーム302またはレール304に、垂直軸310で軸着するための複雑な構造が不要となり、煩雑な組み立て作業不要で、部品点数が少なくなり、コストと手間が不要である。
(実施例2)
【0200】
図23は、本発明の畳表折り曲げ装置10の別の実施例の
図4と同様な下前側畳表折り曲げユニットの旋回機構の概略を説明する模式図である。
【0201】
この実施例の畳表折り曲げ装置10は、
図1〜
図22に示した畳表折り曲げ装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0202】
この実施例の畳表折り曲げ装置10では、
図23に示したように、移動フレーム28上には、駆動モーターなどの第1の駆動装置68が設けられており、この第1の駆動装置68の駆動軸に、第1の送りねじ68aが形成されている。
【0203】
そして、この第1の送りねじ68aの先端は、移動フレーム28上に設けられた第1のベアリングガイド部材70により回転可能に軸支されており、この第1のベアリングガイド部材70はストッパーとしても機能するようになっている。
【0204】
また、第1の送りねじ68aに噛合するように、第1のガイドリンク部材72が挿着されており、この第1のガイドリンク部材72の第1の結合部72aが、旋回フレーム30に形成された第1の結合部74に連結されている。
【0205】
さらに、旋回フレーム30に形成された第1の結合部74は、旋回フレーム30に形成されたガイドスリット76内に摺動可能に連結されている。
【0206】
同様に、
図23に示したように、移動フレーム28上には、駆動モーターなどの第2の駆動装置78が設けられており、この第2の駆動装置78の駆動軸に、第2の送りねじ78aが形成されている。
【0207】
そして、この第2の送りねじ78aの先端は、移動フレーム28上に設けられた第2のベアリングガイド部材80により回転可能に軸支されており、この第2のベアリングガイド部材80はストッパーとしても機能するようになっている。
【0208】
また、第2の送りねじ78aに噛合するように、第2のガイドリンク部材82が挿着されており、この第2のガイドリンク部材82の第2の結合部82aが、旋回フレーム30に形成された第2の結合部84に連結されている。
【0209】
さらに、
図4の実施例と同様に、動フレーム28上には、鉛直方向の仮想軸Xを中心に、半径の異なる2つの仮想円弧上に配置された第1のガイドローラー52と第2のガイドローラー54を備えている。
【0210】
すなわち、第1のリンク部材42の近傍には、仮想軸Xを中心に、半径r1の第1の仮想円弧G1上に、一定間隔離間して配置された複数の(この実施例では、2個の)第1のガイドローラー52が配置されている。
【0211】
また、第3のリンク部材50の近傍には、仮想軸Xを中心に、半径r2の第2の仮想円弧G2上に、一定間隔離間して配置された複数の(この実施例では、2個の)第2のガイドローラー54が配置されている。
【0212】
また、旋回フレーム30の第1の結合部30aの近傍には、第1の仮想円弧G1に対応するように、仮想軸Xを中心に、半径r1の円弧状に第1の案内突設部56が形成されている。
【0213】
そして、この旋回フレーム30の第1の案内突設部56の外周に、第1のガイドローラー52が回転摺動可能に嵌合されている。
【0214】
同様に、旋回フレーム30の第2の結合部50aの近傍には、第2の仮想円弧G2に対応するように、仮想軸Xを中心に、半径r2の円弧状に第2の案内突設部58が形成されている。
【0215】
また、この旋回フレーム30の第2の案内突設部58の外周に、第2のガイドローラー54が回転摺動可能に嵌合されている。
【0216】
そして、仮想軸Xから第1の案内突設部56の外周までの半径r1と、仮想軸Xから第2の案内突設部58の外周までの半径r2の半径比r1:r2に基づいて、第1の駆動装置68と第2の駆動装置78を駆動させることによって、
図23の矢印Eで示したように、仮想軸Xがずれることなく、仮想軸Xを中心に旋回フレーム30を、水平方向に旋回することができる。
【0217】
また、この場合、第1の案内突設部56の外周と、第2の案内突設部58の外周のガイド円弧の仮想軸Xからの半径比r1:r2に従うことなく、第1の駆動装置68と第2の駆動装置78を駆動させることによって、仮想軸Xの位置を任意に設定して、仮想軸Xを中心に旋回フレーム30を、水平方向に旋回することができる。
【0218】
この場合には、旋回フレーム30に形成された第1の結合部74が、旋回フレーム30に形成されたガイドスリット76内を摺動することにより、仮想軸Xの位置を任意に設定して、仮想軸Xを中心に旋回フレーム30を、水平方向に旋回することができるようになっている。
(実施例3)
【0219】
図24は、本発明の畳表折り曲げ装置10の別の実施例の
図4と同様な下前側畳表折り曲げユニットの旋回機構の概略を説明する模式図である。
【0220】
この実施例の畳表折り曲げ装置10は、
図1〜
図22に示した畳表折り曲げ装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0221】
この実施例の畳表折り曲げ装置10では、
図24に示したように、移動フレーム28上の略中央部分に、駆動モーターなどの駆動装置86が設けられている。この駆動装置86の駆動軸86aが、旋回フレーム30の結合部30cに結合されている。
【0222】
また、移動フレーム28上には、駆動軸86aを中心として、円弧状に複数個(この実施例では4個)のガイドローラー88が、90°の中心角度だけ離間して設けられている。
【0223】
そして、旋回フレーム30には、これらの4つのガイドローラー88に対応するように、4個の円弧形状のスリット90が設けられている。
【0224】
これらのスリット90内に、それぞれ、ガイドローラー88が、回転摺動可能に嵌合されている。
【0225】
このように構成することによって、駆動装置86を駆動することによって、移動フレーム28上のガイドローラー88が、旋回フレーム30の円弧形状のスリット90内を回転摺動することにより、駆動装置86の駆動軸86a(旋回フレーム30の結合部30c)を中心に旋回フレーム30を、水平方向に旋回することができるようになっている。
【0226】
なお、この場合、駆動装置86の駆動軸86aを、旋回フレーム30の結合部30cに直接結合する代わりに、
図25に示したように、駆動軸86aに設けた歯車86bと、旋回フレーム30に設けた歯車86cとの噛合により、旋回フレーム30に結合することができ、この場合には、スリット90、ガイドローラー88が不要となる。
(実施例4)
【0227】
図26は、本発明の畳表折り曲げ装置10の別の実施例の
図4と同様な下前側畳表折り曲げユニットの旋回機構の概略を説明する模式図である。
【0228】
この実施例の畳表折り曲げ装置10は、
図1〜
図22に示した畳表折り曲げ装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0229】
この実施例の畳表折り曲げ装置10では、
図26に示したように、いわゆるピロボール(球面滑り軸受)92が設けられており、このピロボール92の球面軸受部92aに、駆動リンク軸94が挿通され固定されている。
【0230】
そして、この駆動リンク軸94の第1の端部94aが、旋回フレーム30の第1の結合部96aに結合されているとともに、駆動軸94の第2の端部94bが、旋回フレーム30の第2の結合部96bに結合されている。
【0231】
これにより、図示しないが、モーターなどの駆動装置の駆動軸98が、球面軸受部92aに連結されている。そして、駆動装置の駆動軸98を回転することにより、球面軸受部92aが、
図25の矢印で示したように、回転することによって、駆動軸98を中心に旋回フレーム30を、水平方向に旋回することができるようになっている。
(実施例5)
【0232】
図27は、本発明の畳表折り曲げ装置10の別の実施例の
図4と同様な下前側畳表折り曲げユニットの旋回機構の概略を説明する模式図である。
【0233】
この実施例の畳表折り曲げ装置10は、
図1〜
図22に示した畳表折り曲げ装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0234】
この実施例の畳表折り曲げ装置10では、
図27に示したように、
図24と同様に、4つのスリット90と4つのガイドローラー88でガイドするものである。従って、第2のガイドローラー54と第2の案内突設部58を省略した構成となっている。
【0235】
そして、図示しない駆動機構によって、仮想軸Xを中心にして、旋回フレーム30を、水平方向に旋回することができるようになっている。
(実施例6)
【0236】
図28は、本発明の畳表折り曲げ装置10の別の実施例の
図4と同様な下前側畳表折り曲げユニットの旋回機構の概略を説明する模式図である。
【0237】
この実施例の畳表折り曲げ装置10は、
図1〜
図22に示した畳表折り曲げ装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0238】
この実施例の畳表折り曲げ装置10では、
図28に示したように、
図26の実施例において、球面軸受部92aを仮想軸Xの位置に配置することによって、仮想軸Xを中心にして、旋回フレーム30を、水平方向に旋回することができるようになっている。
(実施例7)
【0239】
図29は、本発明の畳表折り曲げ装置10の別の実施例の
図3と同様な畳表折り曲げ装置の上面図である。
である。
【0240】
この実施例の畳表折り曲げ装置10は、
図1〜
図22に示した畳表折り曲げ装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0241】
この実施例の畳表折り曲げ装置10では、
図29に示したように、上前側畳表折り曲げユニット16も、下前側畳表折り曲げユニット18と同様な構成で、下前側畳表折り曲げユニット18に対して接離する方向に水平移動可能に構成されているとともに、鉛直方向の仮想軸Xを中心に水平方向に旋回可能に構成されている。
【0242】
このように構成することによって、例えば、下前側畳表折り曲げユニット18を、上前側畳表折り曲げユニット16としても水平方向に旋回せずに使用するとともに、上前側畳表折り曲げユニット16を、水平方向に旋回して使用することにより、下前側畳表折り曲げユニット18として使用することができ、逆方向に使用もでき便利である。
【0243】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、特に限定していないが、本発明の畳表折り曲げ装置10を半畳用、1畳用のいずれにも対応するように構成することができる。
【0244】
例えば、本発明の畳表折り曲げ装置10を半畳用の長さに対応するようにして、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を半畳ずつ折り曲げるようにすることも可能である。また、この場合、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を半畳ずつ折り曲げて、1畳用に対応することもできる。
【0245】
さらに、上記実施例では、本発明の畳表折り曲げ装置を、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を、イ草の織目方向(イ草の向き)に対して垂直な方向に折り曲げる場合について説明したが、畳表200の框206c側の辺を折り曲げる場合にも適用できる。
【0246】
また、上記実施例では、上前側移動距離調整機構60を設けているが、例えば、ステッピングモーターとボールネジなどの組合せで、上前側も下前側も数値制御で位置決めして第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2にて、折り曲げをするように構成しても良い。
【0247】
さらに、上前側はハンドルで目盛を見ながら、作業者が、マニュアル操作によって、第1の折り曲げ基準位置C1と、第2の折り曲げ基準位置C2の位置決めの水平移動をさせるような構成と
しても良い。
【0248】
さらに、上前側畳表折り曲げユニット16、下前側畳表折り曲げユニット18を、鉛直方向の仮想軸Xを中心に水平方向に旋回可能に回動する構成についても、上記の実施例に示した回動機構に限定されるものではないなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。