(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸水材の吸水前の通信距離または信号強度よりも、前記吸水材の吸水後の通信距離または信号強度が小さくなるように構成されている、請求項1に記載の水分検出用RFIDタグ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の態様に係る水分検出用RFIDタグは、第1入出力端子および第2入出力端子を有するRFIC素子と、
前記第1入出力端子に接続された第1放射電極および前記第2入出力端子に接続された第2放射電極を有するアンテナ素子と、
前記第1放射電極と前記第2放射電極との間に直列接続され、かつ、前記RFIC素子に対して並列接続されたコンデンサ素子と、
を備え、
前記コンデンサ素子は、
一対のコンデンサ電極と、
前記一対のコンデンサ電極の間に挟み込まれた吸水材と、
を有し、
前記吸水材の吸水による誘電率変化を、通信距離または信号強度の変化として出力するように構成されている。
【0011】
上記構成によれば、コンデンサ素子の吸水材への吸水による誘電率変化を、通信距離または信号強度の変化として出力することができる。そこで、読取距離に対応する通信距離または信号強度の変化を検出することで、水分検出用RFIDタグの吸水状態を知ることができる。
【0012】
第2の態様に係る水分検出用RFIDタグは、上記第1の態様において、前記第1放射電極および前記第2放射電極の少なくとも一部に対向配置された対向電極をさらに備え、
前記第1放射電極および前記第2放射電極の前記少なくとも一部と、前記対向電極と、によって前記一対のコンデンサ電極を構成してもよい。
【0013】
第3の態様に係る水分検出用RFIDタグは、上記第2の態様において、前記吸水材は、前記対向電極との積層方向から見て前記対向電極に覆われていない露出部分を有してもよい。
【0014】
第4の態様に係る水分検出用RFIDタグは、上記第1から第3のいずれかの態様において、前記吸水材の吸水前の通信距離または信号強度よりも、前記吸水材の吸水後の通信距離または信号強度が小さくなるように構成されていてもよい。
【0015】
第5の態様に係る水分検出用RFIDタグ付きおむつは、
外面に設けられた防水材と、
前記防水材の内面側に設けられた吸水材と、
前記吸水材と隣接して設けられた水分検出用RFIDタグと、
を備え、
前記水分検出用RFIDタグは、
第1入出力端子および第2入出力端子を有するRFIC素子と、
前記第1入出力端子に接続された第1放射電極および前記第2入出力端子に接続された第2放射電極を有するアンテナ素子と、
前記第1放射電極と前記第2放射電極との間に直列接続され、かつ、前記RFIC素子に対して並列接続されたコンデンサ素子と、
を備え、
前記コンデンサ素子は、
一対のコンデンサ電極と、
前記一対のコンデンサ電極の間に挟み込まれた吸水材と、
を有し、
前記吸水材の吸水による誘電率変化を、通信距離または信号強度の変化として出力するように構成されている。
【0016】
第6の態様に係る水分検出用RFIDタグ付きおむつは、上記第5の態様において、前記第1放射電極および前記第2放射電極の少なくとも一部に対向配置された対向電極をさらに備え、
前記第1放射電極および前記第2放射電極の前記少なくとも一部と、前記対向電極と、によって前記一対のコンデンサ電極を構成してもよい。
【0017】
第7の態様に係る水分検出用RFIDタグ付きおむつは、上記第6の態様において、前記対向電極は、前記おむつの前記防水材の内面側に配置され、
前記第2の吸水材は、前記第1の吸水材と共通し、
前記RFIC素子および前記アンテナ素子は、前記おむつの前記防水材の外面側に配置されていてもよい。
【0018】
第8の態様に係る水分検出用RFIDタグ付きおむつ用おむつは、外面に設けられ、水分検出用RFIDタグのアンテナ素子を配置する箇所を示すマークを有する防水材と、
前記防水材の内面側に設けられた吸水材と、
前記吸水材の内面側に、前記防水材の前記マークと対向配置された対向電極と、
を備え、
前記防水材の外面側の前記マークに前記RFIDタグの前記アンテナ素子を配置することによって、前記アンテナ素子と、前記対向電極と、前記アンテナ素子と前記対向電極との間に挟み込まれた前記吸水材と、によってコンデンサ素子を構成する。
【0019】
以下、実施の形態に係る水分検出用RFIDタグ及び水分検出用RFIDタグ付きおむつについて、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0020】
(実施の形態1)
図1(a)は、実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグ10の側断面図であり、
図1(b)は、底面図である。
実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグ10は、RFIC素子1と、アンテナ素子と、コンデンサ素子16と、を備える。RFIC素子1は、第1入出力端子26aおよび第2入出力端子26bを有する。アンテナ素子は、第1入出力端子26aに接続された第1放射電極11および第2入出力端子26bに接続された第2放射電極12を有する。つまり、各放射電極は一端が給電端、他端が開放端を持った電界型アンテナを構成している。コンデンサ素子は、第1放射電極11の給電端と第2放射電極12の給電端との間に直列接続され、かつ、RFIC素子1に対して並列接続されている。さらに、コンデンサ素子16は、一対のコンデンサ電極(第1放射電極11及び対向電極13、と、第2放射電極12及び対向電極13)と、一対のコンデンサ電極(第1放射電極11及び対向電極13、と、第2放射電極12及び対向電極13)の間に挟み込まれた吸水材14と、を有する。この水分検出用RFIDタグ10は、吸水材14の吸水による誘電率変化を、通信距離または信号強度の変化として出力するように構成されている。
【0021】
この水分検出用RFIDタグ10によれば、コンデンサ素子16の吸水材14への吸水による誘電率変化を、通信距離または信号強度の変化として出力することができる。そこで、読取距離に対応する通信距離または信号強度の変化を検出することで、水分検出用RFIDタグ10の吸水状態を知ることができる。つまり、本実施の形態1におけるタグ10は、湿度センサ等の高価なセンサ素子を別途設けているわけではなく、アンテナ素子とRFIC素子とのインピーダンス整合回路を構成する放射電極間容量の変化を利用して、放射電極間の水分量変化をタグの通信距離または信号強度の変化として検知可能なタグである。
【0022】
以下に、この水分検出用RFIDタグ10の構成要素について説明する。
【0023】
<RFIC素子>
図2(a)は、RFIC素子1の断面構造を示す概略断面図であり、
図2(b)は、
図2(a)の等価回路図である。
RFIC素子1は、RFID信号を処理するRFICチップ21と、RFICチップ21を実装する多層基板25とを有するRFICパッケージとして構成される。RFICチップ21は、メモリ回路や信号処理回路を内蔵し、かつエポキシ樹脂製の封止樹脂24等によって封止してもよい。RFICチップ21は、導電性接合材22と端子電極23とを介して給電回路を構成する多層基板25に実装されている。給電回路は、多層基板状に形成してもよい。
また、多層基板25は、LTCC等のセラミックを材料からなるセラミック多層基板であって、インダクタL1及びL2を構成するLパターン、及びキャパシタC1、C2を構成するCパターン等の給電回路を構成する素子が内蔵されている。インダクタL1およびインダクタL2は互いに異なるインダクタンス値を有しており、相互インダクタンスMを介して磁気結合している。等価回路的に言うと、給電回路はさらにキャパシタC
ICを含む。キャパシタC
ICは、RFICチップ21自身の浮遊容量である。給電回路は、主としてインダクタL1及びL2、キャパシタC
ICによって構成された共振回路を含む。この共振回路の共振周波数はキャリア周波数に対応する。このように給電回路を設けることによって、第1放射電極11および第2放射電極12を有するアンテナ素子の電気長が変化してもキャリア周波数の中心周波数は大きく変化しないようにすることができる。多層基板25は、第1放射電極11および第2放射電極12と端子電極26a、26bを介してそれぞれ接続する。
【0024】
<アンテナ素子>
アンテナ素子は、第1放射電極11と第2放射電極12とを備えたダイポール型アンテナである。第1放射電極11及び第2放射電極12は、一端側の給電端でRFIC素子にそれぞれ接続されていて、他端側はそれぞれ開放端を形成しており、RFIC素子1から互いに反対方向に延在している。第1放射電極11と第2放射電極12との間にコンデンサ素子16が直列接続されている。
RFIC素子1と、第1放射電極11及び第2放射電極12は、例えば、
図1(a)では、第1入出力端子26a及び第2入力端子26bとそれぞれ直流的に直接接続されているが、これに限られない。例えば、RFIC素子1と、第1放射電極11及び第2放射電極12とは、直接接続でなく、容量結合、磁界結合等のいずれの結合をしていてもよい。
【0025】
<コンデンサ素子>
図3は、実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグ10の全体としての等価回路図である。
コンデンサ素子16は、
図3の等価回路図に示されるように、第1放射電極11と第2放射電極12との間に直列接続され、かつ、RFIC素子1に対して並列接続されている。また、コンデンサ素子16は、一対のコンデンサ電極と、その一対のコンデンサ電極の間に挟み込まれた吸水材と、を有する。つまり、このコンデンサ素子16は、吸水材の吸水程度によってその容量値が変わる水分感応性コンデンサである。コンデンサ素子16は、アンテナ素子に対して別途設けてもよく、あるいは、第1放射電極11および第2放射電極12の少なくとも一部に対向配置する対向電極13を設けることによってコンデンサ素子16を構成してもよい。この場合、一対のコンデンサ電極とは、第1放射電極11の給電端部分および第2放射電極12の給電端部分と、各放射電極の給電端部分に対向する対向電極13と、によって構成することができる。具体的には、第1放射電極11と対向電極13との対となる電極によって第1のコンデンサ素子を構成できる。また、第2放射電極12と対向電極13との対となる電極によって第2のコンデンサ素子を構成できる。コンデンサ素子16は少なくとも一つあればよい。
なお、コンデンサ素子16は、上記給電回路と共に、RFIC素子1と第1放射電極11及び第2放射電極12とのインピーダンスを整合させるための整合回路を構成する。
【0026】
<対向電極>
対向電極13は、第1放射電極11および第2放射電極12の少なくとも一部に対向配置して設けられている。この対向電極13は、通常の電極として用いられる銅箔、銅板、銅めっき膜、金箔、金板、金めっき膜、アルミ箔、アルミ板、アルミ膜、銀箔、銀板、銀めっき膜、等の材料を用いることができる。材料は上記の例に限られず、通常使用されるものであれば使用できる。また、薄膜等の形成は、めっきに限られず、印刷、蒸着等を用いてもよい。さらに、導電性繊維を用いて電極を構成してもよい。例えば、後述する実施例で示すようにポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂シート又は樹脂フィルムにアルミ蒸着して対向電極を構成してもよい。
【0027】
<吸水材>
第1放射電極11と対向電極13との間と、第2放射電極12と対向電極13との間には連続する吸水材14を挟み込んでいる。吸水材14としては、例えば高分子吸水材(ポリマー系吸水材)等を使用できる。また、無機系の吸水材を用いることもできる。吸水材としては、吸水の程度が大きいことが好ましい。なお、ここでは、第1放射電極11と対向電極13との間と、第2放射電極12と対向電極13との間に連続して吸水材14を設けているが、これに限られず、それぞれ別々に吸水材を設けてもよい。
【0028】
<吸水状態の検出について>
図4は、実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグ10のコンデンサ素子16を設ける前(A)と、コンデンサ素子16を設けた後(B)と、吸水材14に水分を吸収した後(C)と、の周波数と伝送出力との関係の一例を示すグラフである。
図4を用いて、この水分検出用RFIDタグ10による吸水状態の検出について説明する。
まず、この水分検出用RFIDタグ10は、コンデンサ素子16を設けない状態においてもRFIC素子1と第1放射電極11と第2放射電極12とを備えたアンテナ素子との間で整合回路を構成し、所定の周波数で最大の伝送出力が得られるように調整されている(
図4:A)。さらに、コンデンサ素子16を設けた場合、コンデンサ素子16は、第1放射電極11と第2放射電極12とを備えたアンテナ素子との間で整合回路を構成する。この場合にも、吸水材14が吸水前の場合には、コンデンサ素子16を設ける前と比べて周波数と伝送出力との関係には大きな変化は見られない(
図4:B)。
一方、コンデンサ素子16の吸水材14が水分を吸収することで、第1放射電極11と対向電極13との間の容量、及び、第2放射電極12と対向電極13との間の容量がそれぞれ変化する。その結果、吸水材14の吸水前と比べてその吸水後には、周波数と伝送出力との関係が大きく変化して、上記所定の周波数での伝送出力が大きく低下する(
図4:C)。例えば、後述の実施例1では20dBm以上変化する。この場合、水分検出用RFIDタグ10とリーダ/ライタ(R/W)との通信が不可能となる。所定の周波数における伝送出力の変化を検出することによって水分検出用RFIDタグ10の吸水材14の吸水状態を検出することができる。なお、
図4の周波数と伝送出力との関係(A,B、C)は一例であって、これに限られない。
【0029】
この場合、RFIC素子1と第1放射電極11と第2放射電極12とを備えたアンテナ素子との間で整合回路を構成している。そのため、コンデンサ素子16の構成について、吸水材14の吸水前に周波数と伝送出力との関係を大きく変化させるものでなければ、吸水材14の材料、大きさ等を自由に選択することができる。あるいは、コンデンサ素子16を設けることによって若干の周波数シフトを生じるものであってもよい。コンデンサ素子16による吸水前の周波数シフト量が大きく、吸水前の伝送出力が大きく劣化する場合は、RFID素子中の回路定数を変更するなどして、コンデンサ素子16を追加した場合に最適な中心周波数が得られるよう、設計変更を行っても
よい。そこで、吸水材14として吸水性の良い材料を使うことができ、良好な検出性能が得られる。また、対向電極13は、第1放射電極11、第2放射電極12、及び、RFIC素子1の大きさに左右されず、大きな面積としてもよい。これによって、第1放射電極11、第2放射電極12及び吸水材14との対向位置について許容される範囲が増すので位置合わせを容易に行うことができる。さらに、吸水材14も、第1放射電極11、第2放射電極12、及び、RFIC素子1の大きさに左右されず、大きな面積としてもよい。これによって、水分検出用RFIDタグ10の周辺の水分を吸収しやすくなり、さらに感度良く水分を検出できる。
以上のようにして、この水分検出用RFIDタグ10によれば、所定の周波数における伝送出力の変化を検出することによって吸水状態を検出できる。
【0030】
なお、ここでは吸水材14の吸水前には所定の周波数で伝送出力が最大であって、吸水材14の吸水後には所定の周波数で伝送出力が低下する場合について説明したがこれに限られない。例えば、吸水材14の吸水前には所定の周波数で伝送出力が低く、吸水材14の吸水後には所定の周波数で伝送出力が上昇する場合であってもよい。後者の場合には、吸水材14の吸水後に所定の周波数で伝送出力が上昇することを検出して吸水状態を検出できる。
【0031】
次に、上記水分検出用RFIDタグ10を用いた水分検出用RFIDタグ付きおむつ30について説明する。
図5は、実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグ付きおむつ30に含まれる水分検出用RFIDタグ10との通信の概要を示す概略図である。
図6は、実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグ付きおむつ30の構成を示す概略図である。
この水分検出用RFIDタグ付きおむつ30内の吸水状態の検出では、水分検出用RFIDタグ10をおむつ30に装着している。これによって、リーダ/ライタ40と水分検出用RFIDタグ10との間で通信を行って、通信距離又は信号強度の変化を検出することでおむつ内の吸水状態を知ることができる。
【0032】
<水分検出用RFIDタグ付きおむつ>
この水分検出用RFIDタグ付きおむつ30は、外面に設けられた防水材32と、防水材32の内面側に設けられた吸水材34a、34bと、吸水材34aと隣接して設けられた水分検出用RFIDタグ10と、を備える。この水分検出用RFIDタグ10は、上記水分検出用RFIDタグ10と同様であって、第1入出力端子26aおよび第2入出力端子26bを有するRFIC素子1と、第1入出力端子26aに接続された第1放射電極11および第2入出力端子26bに接続された第2放射電極12を有するアンテナ素子と、第1放射電極11と第2放射電極12との間に直列接続され、かつ、RFIC素子1に対して並列接続されたコンデンサ素子16と、を備える。コンデンサ素子16は、一対のコンデンサ電極(第1放射電極11と対向電極13、第2放射電極12と対向電極13)と、一対のコンデンサ電極の間に挟み込まれた吸水材14と、を有する。この水分検出用RFIDタグ10は、吸水材14の吸水による誘電率変化を、通信距離または信号強度の変化として出力するように構成されている。
このおむつ30は、おむつの全体あるいは一部を構成するようにしてもよい。また、このおむつ30を、おむつの一部、つまりインナー又はパッドとして使用してもよい。この場合には、アウターを取り替えることなく、インナーであるおむつ30を取り替えることができる。
【0033】
以下に、このおむつ30の構成要素について説明する。
【0034】
<水分検出用RFIDタグ>
水分検出用RFIDタグ10は、上記水分検出用RFIDタグ10と同様のものであるので、その構成の詳細についての説明を省略する。
水分検出用RFIDタグ10は、
図6では、吸水材34aと吸水材34bとの間に設けられているが、これに限られない。水分検出用RFIDタグ10は、例えば、防水材32と吸水材34aとの間に設けられていてもよい。なお、おむつ30は、ヒトの臀部50と直接接触すると、ヒトの臀部50を傷つけるおそれがあるので、臀部50との間に吸水材34bを介して配置することが好ましい。
【0035】
<おむつ>
このおむつ30は、一体型のおむつ、又は、アウターとインナーとに分離するおむつの場合のインナー(又はパッド)であるおむつ用吸水材のいずれであってもよい。また、おむつ30は、乳幼児用のおむつ、成人用の尿漏れ用パンツ、尿漏れ用パッド、介護用パンツ、介護用おむつ等のいずれであってもよい。さらに、ペット用おむつであってもよい。あるいは、これらのインナーであるおむつ用吸水材であってもよい。なお、使用者、ペットの年齢、性別は限定されない。
【0036】
<吸水材>
吸水材34a、34bは、おむつ30の構成要素であって、高分子吸水材等を配置した吸水材を使用できる。ここで用いる水分検出用RFIDタグ10は、上述のように、吸水材34aと吸水材34bとの間、又は、防水材32と吸水材34aとの間に配置してもよい。
【0037】
<防水材>
防水材32は、おむつ30の外面を濡らさないようにするために設けられるものであれば使用できる。例えば、ポリオレフィン系フィルム、ポリオレフィン系不織布、ポリエステル系不織布等を利用できる。
【0038】
<おむつ交換方法>
図7は、
図6の水分検出用RFIDタグ付きおむつ30を使用する場合のおむつ交換のフローチャートである。
(1)水分検出用RFIDタグ付きおむつ30を要介護者自身が装着するか、又は、介護者が要介護者に装着させる(S11)。
(2)おむつ交換の定期巡回時に、介護者が要介護者のおむつ30に対して、例えば、一定距離に配置したスマートフォン合体型のリーダ40によって、水分検出用RFIDタグ10の読み取りを行う(S12)。なお、リーダ40は、スマートフォン合体型のリーダに限られず、据え置き型のリーダであってもよい。スマートフォン合体型ではない、ハンディタイプのリーダーであってもよい。据え置き型リーダは、シーツや布団のように、横たわっている介護者の体の下に、敷くタイプのものも含む。
(3)おむつの装着後、規定以上の時間が経過しているか判断し(S13)、規定以上の時間が経過していれば、介護者が要介護者のおむつ30を除去し(S14)し、要介護者が水分検出用RFIDタグ10を装着した新しいおむつ30を装着するか、又は、装着させる(S15)。その後、水分検出用RFIDタグ10の読み取り(S12)に戻る。
なお、規定以上の時間が経過していなければ、次のステップS16に移る。
このようにおむつの装着後の時間に応じておむつ交換を行うことによって、おむつかぶれ、蓐瘡等を防ぐことができる。例えば、複数回吸収可能なおむつを使用している場合、排尿量が少ない場合、おむつに付着した尿が長時間にわたって体に触れ、蓐瘡などの原因となる可能性がある。また、「体勢により、タグの部分に尿が導かれなった場合」や、「タグが外れてしまった場合」などの場合にも、「規定時間」を設けておくことでおむつ交換を促してベッド等に尿が漏れることを、防止出来る。
(4)水分検出用RFIDタグ10との通信における信号強度がしきい値以上か判断し(S16)、しきい値以上の信号強度があれば(YES)、水分検出用RFIDタグ10の吸水材14は吸水していないことを示している。つまり、おむつ30の中にはまだ水分は存在しないということであり、おむつ交換は行わず(S17)、定期巡回時のRFIDタグ10の読み取り(S12)にもどる。
一方、水分検出用RFIDタグ10との通信における信号強度がしきい値未満である場合(NO)には、吸水材14が吸水していると考えられる。この場合、おむつ30の中に相当量の水分、つまり小便又は大便等が相当量存在することになる。そこで、許容量の範囲いっぱいか、あるいは許容量を超えたと判断でき、次のステップS18に移る。
【0039】
(5)介護者が要介護者のおむつ30を除去し(S18)、要介護者が水分検出用RFIDタグ10を装着した新しいおむつ30を装着するか、又は、装着させる(S19)。
(6)おむつ交換直後におむつ30に対して一定距離に配置したリーダ40によって、水分検出用RFIDタグ10の読み取りを行う(S20)。その後、水分検出用RFIDタグ10との通信における信号強度がしきい値以上か判断するステップS16に移行する。このようにおむつ交換直後に水分検出用RFIDタグ10の読み取りを行うことによって、水分検出用RFIDタグ10の初期不良を検出できる。この場合には、おむつ交換が行われてもフローは終了しない。
なお、おむつ交換直後の水分検出用RFIDタグ10の読み取り(S20)を行わず、定期巡回時のRFIDタグ10の読み取り(S12)にもどるようにしてもよい。つまり、おむつ交換直後の水分検出用RFIDタグ10の読み取りを省略してもよい。
以上によって、スマートフォン合体型のリーダ40を用いた定期巡回によるおむつ交換を行うことができる。また、このフローチャートでは、実際の状態に合わせておむつ交換を必要な回数だけ繰り返して行うことができる。
【0040】
なお、ここでは水分検出用RFIDタグ10からの信号強度がしきい値以上であるか判断して、無線通信状態の変化を検出している。これによって、吸水状態を検出している。許容量になったらおむつ交換を行うように、許容量での信号強度に対応するしきい値を設定すればよい。そこで、おむつ30の濡れ状態をより適切に把握でき、おむつ交換の要否をより確実に判断できる。例えば、おむつ30内の水分状態の表示の際に、おむつ30の濡れ状態を数値化又は視覚化して表示してもよい。例えば、おむつ30の濡れ状態を黄色、赤色等の複数の色分けによって表示して、おむつ交換の必要性を把握しやすくしてもよい。
【0041】
なお、ここでは、水分検出用RFIDタグ10は、吸水材14の吸水前の通信距離または信号強度よりも、吸水材14の吸水後の通信距離または信号強度が小さくなるように構成されている場合について説明した。しかしこの場合に限られず、例えば、逆に、水分検出用RFIDタグ10は、吸水材14の吸水前の通信距離または信号強度よりも、吸水材14の吸水後の通信距離または信号強度が大きくなるように構成されている場合であってもよい。
なお、上記おむつの装着後、規定以上の時間が経過しているか判断する一連のステップS13〜S15は、必須のものではなく、必要に応じて行ってもよい。
【0042】
上記のように実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグ10をおむつ30に装着して、水分を検出できるので、小便又は大便、あるいは汗等による濡れ状態を検知できる。また、水分検出用RFIDタグ10を用いるので、湿度検出用半導体センサのような高価な部品を用いる必要がなく、安価に構成できる。また、構成自体がシンプルなので、信頼性も高い。なお、水分検出用RFIDタグ10の各吸水材14は、その吸水性がおむつ30の吸水材34a、34bの吸水性と同等か高い方が好ましい。吸水材14の吸水性がおむつ30の吸水材34a、34bの吸水性より低いと水分の検出性能が低下する。ただし、おむつの使用上限を検知するという用途であれば、おむつ内の吸水材が吸収限界まで水分を吸収することになるので、吸水材14の吸水性がおむつ30の吸水材34a、34bの吸水性より低くても、おむつ使用上限を検知するという用途では、有効に使用することが
できる。
【0043】
(実施例1)
より具体的な実施例1に係る水分検出用RFIDタグ10について説明する。この水分検出用RFIDタグ10では、対向電極13として、5mm×5mmサイズのポリエチレンテレフタレート(PET)へアルミ蒸着したものを用いた。また、吸水材14として、セルロース・アクリル樹脂(パルプ・アクリル酸エステル共重合体)(トリックス HV30:株式会社 橋本クロス製)からなる不織布を用いた。
この実施例1に係る水分検出用RFIDタグ10によれば、通信の中心周波数において、吸水材14の吸水前に比べて吸水材14の吸水後は、伝送出力がおよそ20dBm以上低下した。このように吸水材14に水分を吸収することによって、大きな受信電力の変化を検出できるので、吸水状態を感度良く検出できる。
【0044】
(実施の形態2)
図8(a)は、実施の形態2に係る水分検出用RFIDタグ10aの側断面図であり、
図8(b)は、底面図である。
この水分検出用RFIDタグ10aは、実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグと対比すると、第1放射電極11及び第2放射電極12に対して、コンデンサ素子16をRFIC素子1と同じ側に設けている点で相違する。すなわち、対向電極13及び吸水材14を第1放射電極11及び第2放射電極12に対してRFIC素子1と同じ側に設けてもよい。また、対向電極13は、RFIC素子1よりも上方に設け、RFIC素子1を覆っている。これによって、RFIC素子1を保護することができる。また、硬いRFIC素子1に代えて、例えば、対向電極13として機能する柔らかいPET樹脂シート等を外面に配置できるので、ヒトの皮膚への触感を和らげることができる。
【0045】
(実施の形態3)
図9(a)は、実施の形態3に係る水分検出用RFIDタグ10bの側断面図であり、
図9(b)は、底面図である。
この水分検出用RFIDタグ10bは、実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグと対比すると、第1放射電極11及び第2放射電極12の全面にわたって重なるように対向電極13及び吸水材14を設けている点で相違する。これによって第1放射電極11及び第2放射電極12を安定して支持することができる。また、吸水材14の面積が最大となるので、吸水材14への水分吸収による誘電率変化が大きくなり、水分の検出をさらに感度良く行うことができる。
なお、ここでは第1放射電極11及び第2放射電極12の全面にわたって重なるように対向電極13及び吸水材14を設けたが、これに限られない。例えば、第1放射電極11及び第2放射電極12の中心をまたがず、第1放射電極11及び第2放射電極12のいずれか一方のみに重なるように対向電極及び吸水材を設けてもよい(図示せず)。
【0046】
(実施の形態4)
図10(a)は、実施の形態4に係る水分検出用RFIDタグ10cの側断面図であり、(b)は、底面図である。なお、
図10(a)の側断面図は、
図10(b)のA−A方向から見た断面図であり、空孔17の断面を示している。
この水分検出用RFIDタグ10cは、実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグと対比すると、対向電極13に少なくとも一つの空孔17を設けている点で相違する。この対向電極13に設けた空孔17によって吸水材14に水分を吸収しやすくなるため、水分の検出をさらに感度良くに行うことができる。
【0047】
(実施の形態5)
図11(a)は、実施の形態5に係る水分検出用RFIDタグ10dの側断面図であり、
図11(b)は、底面図である。なお、
図11(a)の側断面図は、
図11(b)のB−B方向から見た断面図であり、スリット18の断面を示している。
この水分検出用RFIDタグ10dは、実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグと対比すると、対向電極13にスリット18を設けている点で相違する。この対向電極13に設けたスリット18によって吸水材14に水分を吸収しやすくなるため、水分の検出をさらに感度良く行うことができる。なお、スリット18は複数設けてもよい。
【0048】
(実施の形態6)
図12(a)は、実施の形態6に係る水分検出用RFIDタグ10eの側断面図であり、
図12(b)は、底面図である。
この水分検出用RFIDタグ10eは、実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグと対比すると、吸水材14は、対向電極13との積層方向から見て対向電極13に覆われていない露出部分を有する。具体的には、吸水材14が対向電極13からはみ出る部分(露出部分)を有する点で相違する。これによって、吸水材14が水分検出用RFIDタグ10eの周囲の水分を吸収しやすくなるので、水分の検出をさらに感度良く行うことができる。なお、吸水材14は、対向電極13よりも大きいサイズとしてもよい。あるいは、吸水材14は、少なくとも一部で対向電極13をはみ出る部分を有していてもよい。この場合、吸水材14は、対向電極13よりはみ出る部分以外では対向電極13より小さいサイズであってもよい。
【0049】
(変形例)
図13は、実施の形態6の変形例に係る水分検出用RFIDタグ10fの底面図である。
この水分検出用RFIDタグ10fは、実施の形態6に係る水分検出用RFIDタグ10eと対比すると、さらに対向電極13がアンテナ素子である第1放射電極11及び第2放射電極12の幅よりも広い点で相違する。これによって、対向電極13と第1放射電極11及び第2放射電極12との位置ずれがあった場合にも許容範囲を広くでき、コンデンサ素子16の容量値の変動を抑制できる。そのため製造の際の寸法の許容範囲を広くでき、実用化が容易に行えるという利点がある。また、対向電極13と吸水材14とがいずれも第1放射電極11及び第2放射電極12の幅よりも広いので、対向電極13及び吸水材14の互いの位置ずれに対する許容範囲を大きくできる。
【0050】
(実施の形態7)
<水分検出用RFIDタグ付きおむつ>
図14は、実施の形態7に係る水分検出用RFIDタグ付きおむつ30aに含まれる水分検出用RFIDタグ10gの構成例を示す概略断面図である。
図15(a)は、
図14の水分検出用RFIDタグ付きおむつ30aに用いるためのRFIDタグを装着する位置マーク36を付したおむつ30aの防水材32の外面側から見た展開図である。
図15(b)は、
図15(a)のおむつ30aの防水材32の内面側からみた展開図である。
この水分検出用RFIDタグ10gは、実施の形態1に係る水分検出用RFIDタグと対比すると、第1放射電極11及び第2放射電極12と対向電極13との間に挟み込んでいる吸水材34aがおむつ30aの吸水材34aと共通しており、おむつ30aの構成要素である点で相違する。また、対向電極13と吸水材34aとをおむつ30aの内面側に配置し、RFIC素子1と第1放射電極11及び第2放射電極12と対向電極13とを含むRFIDタグは、おむつ30aの防水材32の外面側に配置している点で相違する。おむつ30aの防水材32の外面側の第1放射電極11及び第2放射電極12とおむつ30aの内面側の対向電極13との間に吸水材34aを挟み込むことによってコンデンサ素子を構成している。このコンデンサ素子は、吸水材として、おむつ30aの構成要素の吸水材34aを用いているので、吸水材34aの吸水によって誘電率変化を生じる。これによって、おむつ30aの内部の水分を感度良く検出できる。また、RFIDタグをおむつ30aの防水材32の外面側に配置しているので、RFIDタグ自体は濡れることがなく、繰り返し使用することができる。
【0051】
なお、
図15(a)に示すように、水分検出用RFIDタグ10を装着する位置マーク36を付したおむつ30aを用いることによって、容易にRFIDタグを装着できる。
図15(a)及び(b)では、この位置マーク36を対向電極13の形状をそのまま示しているが、これに限られない。位置マーク36は、対向電極13の形状そのままではなく、対向電極13の位置又はRFIDタグを装着する位置を概略的に表すように、例えば、丸型、十字形等の位置マークとしてもよい。あるいは、位置マーク36として、RFIDタグを装着する位置を示すガイド線を設けてもよい。
また、このおむつ30aの内面側には吸水材34を配置し、さらに吸水材34の内面側に対向電極13を挿入している。この対向電極13としては、上述のように、例えば、樹脂シート又は樹脂フィルム上に、導電性インクを印刷したもの、導電性材料を蒸着したもの、あるいは、導電性繊維を織り込んだ繊維又は織物を用いてもよい。
さらに、防水材32の外面側の位置マーク36にRFIDタグのアンテナ素子を構成(第1放射電極11、第2放射電極12)を配置することによって、水分検出用RFIDタグ付きおむつ30aを構成できる。具体的には、位置マーク36に配置したアンテナ素子(第1放射電極11、第2放射電極12)と、対向電極13と、アンテナ素子と対向電極13との間に挟み込まれた吸水材34と、によってコンデンサ素子16を構成することができる。
【0052】
なお、上記では、水分検出用RFIDタグ10の用途例として、おむつ30に装着し、これを有するおむつ30の用途例を挙げたが、上記用途例に限定されるものではない。例えば、水道管の外側に水分検出用RFIDタグ10を貼り付けておき、水漏れを検出する、水漏れ検出用のRFIDタグとしても使用できる。
【0053】
水分検出用RFIDタグを使用する周波数帯としては、LF帯、HF帯、UHF帯、SHF帯等のいずれの帯域であってもよい。また、水分検出用RFIDタグは、いわゆるタグ機能を有したものに限定されるわけではなく、リーダライタ機能を有したもの等、他の機能を持っていてもよい。
【0054】
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。