(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記プラテンは、上記搬送向きにおける上記複数の第1リブ及び上記複数の第2リブの間、且つ上記幅方向において隣り合う上記第2リブの間に設けられており、シートを支持する支持面を有する第3リブを備えており、
上記第3リブの支持面は、上記第1リブの支持面よりも下方に位置する請求項3に記載のインクジェット記録装置。
上記ノズルよりも上記搬送向きの上流であって上記幅方向において隣り合う上記第1リブの間に設けられており、上記第1リブに支持されたシートに上方から当接する当接部を備える請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたインクジェット記録装置では、以下の問題が発生する。当該インクジェット記録装置は、プラテンの搬送向きの下流に、シートを搬送するためのローラを備えている。当該ローラは、リブによって形成されたシートの波形状をプラテンの全域において確実に維持するために、幅方向におけるリブと同位置に、幅方向に沿って複数設けられている。
【0006】
各ローラの幅方向の長さは、各リブの幅方向の長さよりも長い。そのため、プラテン上でリブによって支持されて波形状を形成していたシートがローラへ進入すると、シートにおけるローラへ進入した部分においてシートの波形状の波長が急に変わる。その結果、シートにおけるローラへ進入した部分のみならず、シートにおけるリブに支持されている部分の波形状も崩れるおそれがある。シートにおけるリブに支持された部分の波形状が崩れると、シートに記録される画像に影響が及ぶおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラテン上においてシートの波形状を良好に維持することができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係るインクジェット記録装置は、シートを搬送向きへ搬送し、当該搬送向きと直交する幅方向においてそれぞれが間隔を空けて配置された複数のローラと、上記複数のローラよりも上記搬送向きの上流に配置されたプラテンと、上記プラテンの上方に配置されており、上記プラテンへ向けて複数のノズルからインク滴を吐出する記録部と、上記プラテンに設けられており、上記幅方向においてそれぞれが間隔を空けて配置されており、シートを支持する支持面を有する複数の第1リブと、上記搬送向きにおける上記複数の第1リブ及び上記複数のローラの間に設けられており、上記幅方向においてそれぞれが間隔を空けて配置されており、シートを支持する支持面を有する複数の第2リブと、を備える。上記複数のローラ、上記複数の第1リブ、及び上記複数の第2リブの各々は、上記幅方向において少なくとも一部が重複する位置に配置されている。上記複数の第2リブの各支持面の上記幅方向の長さは、上記複数の第1リブの各支持面の上記幅方向の長さよりも長く、且つ上記複数のローラのそれぞれにおけるシートとの当接面の上記幅方向の長さよりも短い。
【0009】
本構成によれば、第1リブによって形成されたシートの幅方向に沿った波形状は、シートが搬送向きの下流へ搬送されて第2リブへ到達し、次いでローラへ到達するにしたがって段階的に変わる。これにより、シートのローラ進入時における波形状の崩れを低減することができる。
【0010】
(2) 上記複数の第2リブは、上記ノズルよりも上記搬送向きの下流に配置されている。
【0011】
本構成によれば、シートのノズルと対向する部分における幅方向に沿った波形状を、第1リブのみで形成することができる。これにより、シートのノズルと対向する部分における幅方向に沿った波形状を一定形状に維持することができる。
【0012】
(3) 上記複数の第2リブは、上記搬送向きにおいて上記複数の第1リブと間隔を空けて配置されている。
【0013】
本構成によれば、搬送向きにおける第1リブと第2リブとの間のプラテンの領域を、所謂縁なし印刷の際にシートの外縁部へ吐出されたインク滴が着弾する領域として利用することができる。つまり、本構成に係るインクジェット記録装置を縁なし印刷可能な装置とすることができる。
【0014】
(4) 上記プラテンは、上記搬送向きにおける上記複数の第1リブ及び上記複数の第2リブの間、且つ上記幅方向において隣り合う上記第2リブの間に設けられており、シートを支持する支持面を有する第3リブを備えている。上記第3リブの支持面は、上記第1リブの支持面よりも下方に位置する。
【0015】
本構成によれば、搬送向きにおける第1リブと第2リブとの間において、シートにおける波形状の谷の部分は第3リブによって支持される。これにより、縁なし印刷の際に、搬送向きにおける第1リブと第2リブとの間のプラテンの領域に着弾したインクがシートへ付着することを低減することができる。
【0016】
(5) 本発明に係るインクジェット記録装置は、上記ノズルよりも上記搬送向きの上流であって上記幅方向において隣り合う上記第1リブの間に設けられており、上記第1リブに支持されたシートに上方から当接する当接部を備える。
【0017】
本構成によれば、第1リブと当接部とが協同して、シートに幅方向に沿った波形状を付与することができる。これにより、安定した波形状をシートに付与することができる。
【0018】
(6) 上記第2リブの支持面の上記幅方向の長さは、上記搬送向きの下流へ向かうにしたがって長くなる。
【0019】
本構成によれば、第1リブによって形成されたシートの幅方向に沿った波形状の、搬送向きの下流へ向かうに従った段階的な変化を細かくすることができる。これにより、シートのローラ進入時における波形状の崩れを更に低減することができる。
【0020】
(7) 例えば、上記複数のローラの各当接面は、上記複数の第1リブ、上記複数の第2リブ、及び上記複数の第3リブの各支持面が当接するシートの面と同じ面に当接する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、プラテン上においてシートの波形状を良好に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている面を前面14として前後方向8が定義され、複合機10を前方から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は、互いに直交している。
【0024】
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、複合機10(インクジェット記録装置の一例)は、薄型の直方体に概ね形成されている。複合機10の下部にプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、インクジェット方式で用紙12(
図2参照、シートの一例)の片面に画像を記録する機能を有している。なお、複合機10は、用紙12の片面及び両面に画像を記録するものであってもよい。
【0025】
[給送トレイ20]
図1に示されるように、プリンタ部11の正面には、開口13が形成されている。給送トレイ20が、前後方向8へ移動することによって、開口13を介してプリンタ部11に対して挿入及び脱抜可能である。給送トレイ20は、上方が開放された箱形状の部材である。
図2に示されるように、給送トレイ20の底板22に、用紙12が重ねられた状態で支持される。給送トレイ20の前部の上方には、排出トレイ21が支持されている。排出トレイ21は、給送トレイ20と一体に前後方向8へ移動する。排出トレイ21の上面には、記録部24によって画像を記録された用紙12が排出される。なお、排出トレイ21は、プリンタ部11に支持されていてもよい。
【0026】
[給送部16]
図2に示されるように、給送部16は、記録部24の下方に配置されている。給送部16は、給送ローラ25、給送アーム26、駆動伝達機構27、及び軸28を備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部で回転可能に支持されている。給送アーム26は、基端部に設けられた軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給送ローラ25は、給送トレイ20または給送トレイ20に支持された用紙12に対して、当接及び離間が可能である。
【0027】
給送ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給送モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、給送トレイ20の底板22に支持された用紙12のうち、給送ローラ25と当接している最上の用紙12が、搬送路65へ給送される。なお、駆動伝達機構27は、複数のギヤが噛合されている形態に限らず、例えば軸28と給送ローラ25の軸とに架け渡されたベルトであってもよい。
【0028】
[搬送路65]
図2に示されるように、給送トレイ20の後端部から搬送路65が延出されている。搬送路65は、湾曲部33と直線部34とを備える。湾曲部33は、上方へ向かいつつ後方から前方へUターンするように延びている。直線部34は、概ね前後方向8に沿って延びている。
【0029】
湾曲部33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外ガイド部材18と内ガイド部材19とによって形成されている。各ガイド部材18、19は、
図2における紙面と直交する方向である左右方向9(幅方向の一例)へ延設されている。直線部34は、後述する搬送ローラ対59、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24とプラテン42、及び後述する排出ローラ対44によって形成されている。
【0030】
給送トレイ20に支持された用紙12は、給送ローラ25によって湾曲部33を搬送されて、後述する搬送ローラ対59に到達する。搬送ローラ対59に挟持された用紙12は、直線部34を記録部24へ向けて前方へ搬送される。記録部24の直下に到達した用紙12は、記録部24により画像を記録される。画像が記録された用紙12は、直線部34を前方へ搬送されて排出トレイ21に排出される。以上より、用紙12は、
図2に一点鎖線の矢印で示される搬送向き15に沿って搬送される。
【0031】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、直線部34の上方に配置されている。直線部34の下方且つ記録部24と対向する位置には、搬送路65の直線部34を搬送向き15へ搬送される用紙12を支持するプラテン42が配置されている。プラテン42については、後に詳細に説明される。
【0032】
記録部24は、キャリッジ40と記録ヘッド38とを備えている。キャリッジ40は、前後方向8に間隔を空けて配置された2つのガイドレール56、57によって左右方向9に沿って移動可能に支持されている。ガイドレール56は、記録ヘッド38よりも搬送向き15の上流に配置されている。ガイドレール57は、記録ヘッド38よりも搬送向き15の下流に配置されている。ガイドレール56、57は、左右方向9において搬送路65の直線部34の外方に配置された一対のサイドフレーム(不図示)によって支持されている。キャリッジ40は、キャリッジ駆動モータ(不図示)から駆動力を付与されることにより移動する。
【0033】
記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38の下面には、複数のノズル39が形成されている。キャリッジ40が左右方向9へ移動しているときに、記録ヘッド38は、ノズル39からインク滴をプラテン42へ向けて吐出する。これにより、直線部34を搬送向き15へ搬送されてプラテン42に支持されている用紙12に画像が記録される。
【0034】
[搬送ローラ対59及び排出ローラ対44]
図2に示されるように、直線部34における記録ヘッド38よりも搬送向き15の上流には、搬送ローラ対59が配置されている。直線部34における記録ヘッド38よりも搬送向き15の下流には、排出ローラ対44が配置されている。
【0035】
搬送ローラ対59は、搬送ローラ60と、搬送ローラ60の下方に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61とを備えている。
図3に示されるように、搬送ローラ60は、左右方向9へ延びた円筒状の部材である。搬送ローラ60は、一対のサイドフレーム(不図示)によって、回転可能に支持されている。ピンチローラ61は、複数設けられており、それぞれが左右方向9に間隔を空けて配置されている。各ピンチローラ61は、コイルバネなどの弾性部材(不図示)によって搬送ローラ60に押圧されている。
【0036】
搬送ローラ60の表面60A(
図4参照)が用紙12の第1面(記録部24と対向する面)と当接し、各ピンチローラ61の表面61A(
図4参照)が用紙12の第2面(第1面と反対の面)と当接することによって、搬送ローラ対59は用紙12を挟持可能である。
【0037】
図2に示されるように、排出ローラ対44は、排出ローラ62と、排出ローラ62の上方に排出ローラ62と対向して配置された拍車ローラ63とを備えている。
図3に示されるように、排出ローラ62は、搬送向き15と直交する左右方向9へ延びた軸64と、左右方向9にそれぞれが間隔を空けて軸64を覆うように取り付けられた複数のローラ部58(複数のローラの一例)とを備えている。排出ローラ62は、一対のサイドフレーム(不図示)によって、回転可能に支持されている。
図2に示される拍車ローラ63は、複数設けられており、それぞれが左右方向9に間隔を空けて配置されている。各拍車ローラ63は、左右方向9において各ローラ部58と対向して配置されている。各拍車ローラ63は、コイルバネなどの弾性部材(不図示)によって各ローラ部58へ向けて押圧されている。なお、
図3及び
図4において、拍車ローラ63の図示は省略されている。
【0038】
排出ローラ62の各ローラ部58の表面58A(当接面の一例、
図4参照)が用紙12の第2面と当接し、各拍車ローラ63を構成する歯車の歯の先端が用紙12の第1面と当接することによって、排出ローラ対44は用紙12を挟持可能である。
【0039】
搬送ローラ60及び排出ローラ62は、搬送モータ(不図示)から駆動力を付与されて回転する。搬送ローラ対59に用紙12が挟持されている状態で搬送ローラ60が回転すると、当該用紙12は、搬送ローラ対59によって搬送向き15へ搬送され、プラテン42上に搬送される。排出ローラ対44に用紙12が挟持されている状態で排出ローラ62が回転すると、当該用紙12は、排出ローラ対44によって搬送向き15へ搬送され、排出トレイ21上に排出される。
【0040】
[当接部材81]
図2に示されるように、記録ヘッド38に形成されたノズル39よりも搬送向き15の上流には、当接部材81が配置されている。当接部材81は、合成樹脂(例えばポリアセタール(POM))により成形されている。なお、当接部材81は、複数の部材が嵌合などによって組み合わせられたものであってもよい。
【0041】
図3に示されるように、当接部材81は、複数設けられており、それぞれが左右方向9に間隔を空けて配置されている。本実施形態において、当接部材81の数は9個であるが、9個以外の数であってもよい。
【0042】
各当接部材81は、その搬送向き15の上流端部81Bにおいて、嵌合などの公知の手段によってガイドレール56に取り付けられている。
【0043】
各当接部材81は、上流端部81Bから下方且つ前方に湾曲している。これにより、各当接部材81は、複数のノズル39のうち最も上流に配置されたノズル39の搬送向き15の上流近傍まで延設されている。また、各当接部材81は、上下方向7において、プラテン42へ向かって延設されている。各当接部材81の搬送向き15の下流端部81A(当接部の一例、
図2参照)は、プラテン42に支持された用紙12の上面と当接可能である。
【0044】
[プラテン42]
図2に示されるように、プラテン42は、搬送路65の直線部34における搬送ローラ対59及び排出ローラ対44の間に配置されている。
【0045】
図4に示されるように、プラテン42は、本体部77と、収容部79と、第1リブ91と、第2リブ92と、第3リブ93とを備えている。本体部77は、板状に構成されている。収容部79は、インクを吸収するインク吸収材82を収容する部分であり、本体部77から搬送向き15の下流へ延出されている。第1リブ91、第2リブ92、及び第3リブ93は、用紙12を支持する。第1リブ91及び第3リブ93は、本体部77から上方へ突出され且つ搬送向き15に沿って延出されている。第2リブ92は、本体部77の下流端から上方且つ搬送向き15の下流へ突出されている。
【0046】
図3及び
図4に示されるように、本体部77は、左右方向9及び前後方向8が上下方向7の長さよりも長い板形状の部材である。本体部77の左右方向9の長さは、前後方向8の長さよりも長い。本体部77は、記録ヘッド38に形成されたノズル39と対向して配置されている。
【0047】
図3に示されるように、本体部77の上面80は、前後方向8及び左右方向9に拡がる面である。上面80は、第1領域80A、第2領域80B、及び第3領域80Cで構成されている。第1領域80Aは、記録部24が用紙12の端までインク滴を吐出する所謂縁なし印刷が実行されるときに、用紙12の搬送向き15の端部周辺の真下に位置する領域である。第2領域80Bは、縁なし印刷が実行されるときに、複合機10において印刷可能に設定されている各種サイズの用紙12の右端部及び左端部周辺の真下に位置する領域である。第3領域80Cは、縁なし印刷が実行されるときに、用紙12の搬送向き15の端部並びに右端部及び左端部の真下以外に位置する領域である。縁なし印刷が実行されるとき、第1領域80A及び第2領域80Bの一部(用紙12が支持されていない部分)には、インク滴が着弾されて付着する。
【0048】
第1領域80Aは、第3領域80Cよりも搬送向き15の下流の領域である。第1領域80Aの搬送向き15の上流端は、記録ヘッド38の複数のノズル39のうち、搬送向き15の最も上流に位置するノズル39と最も下流に位置するノズル39との間に位置している。第1領域80Aの搬送向き15の下流端は、記録ヘッド38の複数のノズル39のうち、搬送向き15の最も下流に位置するノズル39と略同位置である。
【0049】
第2領域80Bの搬送向き15の上流端は、記録ヘッド38のノズル39よりも搬送向き15の上流に位置している。第2領域80Bの搬送向き15の下流端は、記録ヘッド38の複数のノズル39のうち、搬送向き15の最も下流に位置するノズル39の位置71と略同位置である。
【0050】
第3領域80Cの搬送向き15の上流端は、記録ヘッド38のノズル39よりも搬送向き15の上流に位置している。第3領域80Cの搬送向き15の下流端は、記録ヘッド38の複数のノズル39のうち、搬送向き15の最も上流に位置するノズル39と最も下流の位置71のノズル39との間に位置している。
【0051】
第1リブ91、第2リブ92、及び第3リブ93は、それらの上面91A、92A、93A(
図4参照)が用紙12の第2面に下方から当接することによって、用紙12を支持する。これにより、第1領域80A及び第2領域80Bに付着したインクが用紙12の下面に付着することが低減される。第1リブ91、第2リブ92、及び第3リブ93については、後に詳細に説明される。
【0052】
図4に示されるように、本体部77の搬送向き15の下流端から収容部79が延出されている。収容部79は、側面79A、底面79B、及び側面79Cによって区画された凹部を備えている。側面79Aは、本体部77の搬送向き15の下流端から下方へ延びている。底面79Bは、側面79Aの下端から搬送向き15へ延びている。側面79Cは、底面79Bの搬送向き15の下流端から上方へ延びている。側面79A、79Cは、上下方向7及び左右方向9に拡がる面である。底面79Bは、前後方向8及び左右方向9に拡がる面である。収容部79には、インク吸収材82が収容される。インク吸収材82は、発泡ポリウレタンなどの多孔材料からなる。
【0053】
本体部77の上面80は、搬送向き15へ向かって下方へ僅かに傾斜している。これにより、上面80(第1領域80A及び第2領域80B)に付着したインクは、搬送向き15へ流れる。上面80の搬送向き15の下流端へ到達したインクは、側面79Aに沿って流れて、インク吸収材82へ導かれ、インク吸収材82に吸収される。
【0054】
[下流支持部78]
図3及び
図4に示されるように、プラテン42よりも搬送向き15の下流に、プラテン42との間に間隔を空けて下流支持部78が設けられている。下流支持部78は、前後方向8及び左右方向9が上下方向7の長さよりも長い板形状の部材である。下流支持部78の左右方向9の長さは、前後方向8の長さよりも長い。下流支持部78は、右端部及び左端部において、一対のサイドフレームによって支持されている。下流支持部78は、プラテン42から搬送されてきた用紙12を支持しつつ排出ローラ対44へ案内する部材である。
【0055】
図4に示されるように、下流支持部78の搬送向き15の上流端部78Aは、プラテン42の収容部79の上方に位置している。また、下流支持部78の搬送向き15の上流端は、プラテン42の本体部77の搬送向き15の下流端と、搬送方向15に間隔を空けて対向している。プラテン42の上面80の第1領域80A及び第2領域80Bに付着したインクは、プラテン42と下流支持部78との間の隙間から収容部79へ導かれる。
【0056】
図3に示されるように、下流支持部78の搬送向き15の上流端には、搬送向き15へ凹む凹部70が形成されている。凹部70が形成されている箇所において、プラテン42と下流支持部78との搬送向き15における隙間は大きくなっている。後述するように、凹部70内には、第2リブ92が位置している。
【0057】
[第1リブ91]
図3に示されるように、第1リブ91は、本体部77の上面80に形成されている。第1リブ91は、第3領域80Cの搬送向き15の上流端から下流端に亘って、搬送向き15に沿って延びている。
【0058】
第1リブ91は、複数設けられており、左右方向9においてそれぞれが間隔を空けて配置されている。各第1リブ91は、排出ローラ62の各ローラ部58の右端及び左端の間に位置している。なお、各第1リブ91の一部が、各ローラ部58の右端よりも右方または各ローラ部58の左端よりも左方に位置していてもよい。つまり、各第1リブ91は、左右方向9において少なくとも一部が各ローラ部58と重複する位置に設けられていればよい。
【0059】
また、各第1リブ91は、左右方向9において隣り合う複数の当接部材81の下流端部81Aの間に形成されている。
【0060】
各第1リブ91は、上面91Aにおいて用紙12を支持する。
図4に示されるように、各第1リブ91の上面91Aは、排出ローラ62の各ローラ部58の表面58Aの上端よりも下方に位置する。
【0061】
また、各第1リブ91の上面91Aは、当接部材81の下流端部81Aが用紙12の上面と当接する箇所よりも上方に位置する。各第1リブ91が以上のように構成されていることにより、
図5に示されるように、各第1リブ91の上面91Aに支持され且つ各当接部材81の下流端部81Aに当接された用紙12は、左右方向9に連続する波形状にされる。つまり、各第1リブ91は、用紙12を支持することによって各当接部材81の下流端部81Aと協同して用紙12に左右方向9に沿った波形状を付与する。
【0062】
[第2リブ92]
図3に示されるように、第2リブ92は、本体部77の下流端から搬送向き15の下流へ延出されている。換言すると、第2リブ92は、第1リブ91よりも搬送向き15の下流に、第1リブ91との間に搬送向き15に間隔を空けて配置されている。更に換言すると、第2リブ92は、ノズル39よりも搬送向き15の下流に配置されている。
【0063】
また、第2リブ92は、排出ローラ62のローラ部58よりも搬送向き15の上流に配置されている。以上より、第2リブ92は、搬送向き15における複数の第1リブ91及び複数のローラ部58の間に設けられている。
【0064】
第2リブ92は、複数設けられており、左右方向9においてそれぞれが間隔を空けて複数配置されている。各第2リブ92は、下流支持部78の凹部70内に位置している。
【0065】
各第2リブ92は、排出ローラ62の各ローラ部58の右端及び左端の間に位置している。なお、各第2リブ92の一部が、各ローラ部58の右端よりも右方または各ローラ部58の左端よりも左方に位置していてもよい。つまり、各第2リブ92は、左右方向9において少なくとも一部が各ローラ部58と重複する位置に設けられていればよい。
【0066】
各第2リブ92の右端及び左端の間に、各第1リブ91が位置している。なお、各第1リブ91の一部が、各第2リブ92の右端よりも右方または各第2リブ92の左端よりも左方に位置していてもよい。つまり、各第2リブ92は、左右方向9において少なくとも一部が各第1リブ91と重複する位置に設けられていればよい。
【0067】
各第2リブ92は、上面92Aにおいて用紙12を支持する。
図4に示されるように、各第2リブ92の上面92Aは、各第1リブ91の上面91Aと略同じ高さであるが、各第1リブ91の上面91Aよりも下方に位置していてもよい。また、各第2リブ92の上面92Aは、排出ローラ62の各ローラ部58の表面58Aの上端よりも下方に位置する。
【0068】
[第3リブ93]
図3に示されるように、第3リブ93は、本体部77の上面80に形成されている。第3リブ93は、第1領域80A及び第2領域80Bに設けられている。第3リブ93は、搬送向き15において、第1領域80Aの上流端から下流端に亘って、搬送向き15に沿って延びている。つまり、第3リブ93は、搬送向き15における第1リブ91及び第2リブ92の間に設けられている。
【0069】
第3リブ93は、左右方向9において間隔を空けて複数形成されている。各第3リブ93は、左右方向9において、隣り合う第1リブ91の間、且つ隣り合う第2リブ92の間に設けられている。また、各第3リブ93は、左右方向9において、各当接部材81の下流端部81Aの右端及び左端の間に位置している。なお、各第3リブ93の一部が、各下流端部81Aの右端よりも右方または各下流端部81Aの左端よりも左方に位置していてもよい。
【0070】
各第3リブ93は、上面93Aにおいて用紙12を支持する。
図4に示されるように、各第3リブ93の上面93Aは、各第1リブ91の上面91A、及び各第2リブ92の上面92Aよりも下方に位置する。
【0071】
[第1リブ91、第2リブ92、及びローラ部58の左右方向9の長さ]
図3に示されるように、各第2リブ92における用紙12の支持面92Bの左右方向9の長さL2は、各第1リブ91における用紙12の支持面91Bの左右方向9の長さL1よりも長い。また、排出ローラ62の各ローラ部58の表面58Aの左右方向9の長さL3は、各第2リブ92の支持面92Bの左右方向9の長さL2よりも長い。
【0072】
支持面91Bは、各第1リブ91の上面91Aのうち、用紙12が当接する部分である。支持面91Bの左右方向9の長さL1は、用紙12と支持面91Bとが当接する部分における右端と左端との左右方向9の長さである。
【0073】
支持面92Bは、各第2リブ92の上面92Aのうち、用紙12が当接する部分である。支持面92Bの左右方向9の長さL2は、用紙12と支持面92Bとが当接する部分における右端と左端との左右方向9の長さである。
【0074】
例えば、
図6(A)に示されるように、第1リブ91の上面91Aが平面であり、用紙12が上面91Aの右端部及び左端部のみと当接し且つ中央部とは当接していない場合、支持面91Bの左右方向9の長さは、
図6(A)にL1で示される長さである。つまり、この場合、上面91Aの左右方向9の長さと、支持面91Bの左右方向9の長さL1とは、同一である。第2リブ92の上面92Aについても同様である。
【0075】
また、例えば、
図6(B)に示されるように、第1リブ91の上面91Aが湾曲面であり、用紙12が上面91Aの中央部のみと当接し且つ右端部及び左端部とは当接していない場合、支持面91Bの左右方向9の長さは、支持面91Aと用紙12とが当接している部分の右端及び左端の間の長さ、換言すると
図6(B)にL1で示される長さである。つまり、この場合、上面91Aの左右方向9の長さは、支持面91Bの左右方向9の長さL1よりも長い。第2リブ92の上面92Aについても同様である。
【0076】
また、例えば、
図6(C)に示されるように、第1リブ91の上面91Aの左右方向9の長さと、第2リブ92の上面92Aの左右方向9の長さとが、共にL4で示される長さであって等しく、且つ、第2リブ92の上面92Aの曲率半径が第1リブ91の上面91Aの曲率半径よりも大きい場合、支持面91Aの左右方向9の長さはL1で示される長さであり、支持面92Aの左右方向9の長さはL2で示される長さである。つまり、第2リブ92の支持面92Bの左右方向9の長さL2は、第1リブ91の支持面91Bの左右方向9の長さL1よりも長い。
【0077】
なお、支持面91B、92Bの左右方向9の長さは、用紙12の湾曲状態、各リブ91の左右方向9の間隔、各リブ92の左右方向9の間隔、各リブ91、92と各当接部材81の下流端部81Aとの左右方向9の間隔、各リブ91、92の上端と各当接部材91の下流端部81Aの下端との上下方向7の長さ、各リブ91、92の上面91A、92Aの形状などに応じて異なる長さとなり得る。
【0078】
表面58Aは、各ローラ部58において用紙12が当接する面である。表面58Aの左右方向9の長さL3は、各ローラ部58の径方向の外方を向く面の右端から左端までの長さである。
【0079】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、各第2リブ92の上面92Aの左右方向9の長さL2は、各第1リブ91の上面91Aの左右方向9の長さL1よりも長く、且つ排出ローラ62の各ローラ部58の表面58Aの左右方向9の長さL3よりも短い。そのため、第1リブ91によって形成された用紙12の左右方向9に沿った波形状は、用紙12が搬送向き15の下流へ搬送されて第2リブ92へ到達し、次いでローラ部58へ到達するにしたがって段階的に変わる。これにより、用紙12のローラ部58進入時における波形状の崩れを低減することができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、各第2リブ92は、ノズル39よりも搬送向き15の下流に配置されている。これにより、用紙12のノズル39と対向する部分における左右方向9に沿った波形状を、第1リブ91のみで形成することができる。その結果、用紙12のノズル39と対向する部分における左右方向9に沿った波形状を一定形状に維持することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、各第2リブ92は、搬送向き15において各第1リブ91と間隔を空けて配置されている。これにより、搬送向き15における第1リブ91と第2リブ92との間のプラテン42の領域(第1領域81A)を、所謂縁なし印刷の際に用紙12の外縁部へ吐出されたインク滴が着弾する領域として利用することができる。つまり、本実施形態に係る複合機10を縁なし印刷可能な装置とすることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、搬送向き15における第1リブ91と第2リブ92との間において、用紙12における波形状の谷の部分は第3リブ93によって支持される。これにより、縁なし印刷の際に、搬送向き15における第1リブ91と第2リブ92との間の第1領域81Aに着弾したインクが用紙12へ付着することを低減することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、各第1リブ91と各当接部材81の下流端部81Aとが協同して、用紙12に左右方向9に沿った波形状を付与することができる。これにより、安定した波形状を用紙12に付与することができる。
【0084】
[変形例]
各第2リブ92の上面92Aの左右方向9の長さは、
図7(A)にハッチングにて示された領域94内であることが好ましい。ここで、領域94は、各当接部材81の搬送向き15の下流端同士を結んだ直線R1、直線R1及び各第1リブ91の交点C1、C2と排出ローラ62の各ローラ部58の後右端BR及び後左端BLとを結んだ線R2、R3、並びに各ローラ部58の後端とで囲まれる領域である。
【0085】
また、
図7(B)に示されるように、各第2リブ92は、上面92Aの左右方向9の長さが搬送向き15の下流へ向かうにしたがって長くなるように構成されていてもよい。
【0086】
上記変形例によれば、各第1リブ91によって形成された用紙12の左右方向9に沿った波形状の、搬送向き15の下流へ向かうに従った段階的な変化を細かくすることができる。これにより、用紙12のローラ部58進入時における波形状の崩れを上記実施形態よりも更に低減することができる。
【0087】
また、
図8(A)に示されるように、各第1リブ91も各第2リブ92と同様に、上面91Aの左右方向9の長さが搬送向き15の下流へ向かうにしたがって長くなるように構成されていてもよい。
【0088】
なお、
図7、
図8(A)、及び後述する
図9では、第3リブ93が描かれていないが、
図7、
図8(A)、及び
図9に示される構成の場合、第3リブ93の有無は任意である。
【0089】
また、上記実施形態では、各第2リブ92は、各第1リブ91との間に搬送向き15に間隔を空けて配置されていた。しかし、
図8(B)に示されるように、各第2リブ92は、搬送向き15において各第1リブ91と繋がっていてもよい。
【0090】
また、
図9に示されるように、第1リブ91及び第2リブ92は、搬送向き15に間隔を空けて配置された複数のリブで構成されていてもよい。なお、プラテン42が第3リブ93を備える場合、第3リブ93も、搬送向き15に間隔を空けて配置された複数のリブで構成されていてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、第2リブ92は、プラテン42に設けられていた。しかし、第2リブ92は、プラテン42以外、例えば下流支持部78に設けられていてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、排出ローラ対44において、排出ローラ62が拍車ローラ63よりも下方に配置されていたが、排出ローラ62が拍車ローラ63よりも上方に配置されていてもよい。この場合、排出ローラ62の各ローラ部58の表面58Aが用紙12の第1面と当接し、各拍車ローラ63を構成する歯車の歯の先端が用紙12の第2面と当接することによって、排出ローラ対44は用紙12を挟持可能である。