【実施例】
【0030】
以下に実施例を示す。なお、以下において特に規定しない限り、「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
<合成例1:ウレタン(メタ)アクリレート(UA−1)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量530のポリカプロラクトンジオール((株)ダイセル製プラクセル205U)を89.7g、ジエチレングリコール((株)日本触媒製)を12.0g、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株)製デスモジュールI)を83.5g、酢酸ブチルを50.0g、ジブチルスズジラウレートを0.037g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が3.50%以下であることを確認した。次に、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート((株)ダイセル製プラクセルFA2D)を64.7g、メトキシハイドロキノンを0.05g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.2%以下であることを確認し、重量平均分子量4,240のウレタンアクリレート(UA−1)を293.7g得た。
【0031】
<合成例2:ウレタン(メタ)アクリレート(UA−2)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量530のポリカプロラクトンジオール((株)ダイセル製プラクセル205U)を34.0g、ジエチレングリコール((株)日本触媒製)を20.4g、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株)製デスモジュールI)を71.3g、酢酸ブチルを85.7g、ジブチルスズジラウレートを0.032g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が2.66%以下であることを確認した。次に、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート((株)ダイセル製プラクセルFA5)を88.5g、メトキシハイドロキノンを0.043g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.2%以下であることを確認し、重量平均分子量4,490のウレタンアクリレート(UA−2)を295.5g得た。
【0032】
<合成例3:ウレタン(メタ)アクリレート(UA−3)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量530のポリカプロラクトンジオール((株)ダイセル製プラクセル205U)を55.5g、ジエチレングリコール((株)日本触媒製)を16.7g、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株)製デスモジュールI)を69.8g、酢酸ブチルを85.7g、ジブチルスズジラウレートを0.032g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が2.02%以下であることを確認した。次に、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート((株)ダイセル製プラクセルFA5)を72.2g、メトキシハイドロキノンを0.043g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.2%以下であることを確認し、重量平均分子量6,540のウレタンアクリレート(UA−3)を294.3g得た。
【0033】
<合成例4:ウレタン(メタ)アクリレート(UA−4)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量530のポリカプロラクトンジオール((株)ダイセル製プラクセル205U)を122.3g、ジエチレングリコール((株)日本触媒製)を3.5g、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株)製デスモジュールI)を73.2g、酢酸ブチルを85.7g、ジブチルスズジラウレートを0.032g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が2.03%以下であることを確認した。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート((株)日本触媒製HEA)を15.3g、メトキシハイドロキノンを0.043g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.2%以下であることを確認し、重量平均分子量5,200のウレタンアクリレート(UA−4)を294.6g得た。
【0034】
<合成例5:ウレタン(メタ)アクリレート(UA−5)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量830のポリカプロラクトンジオール((株)ダイセル製プラクセル208)を136.2g、ジエチレングリコール((株)日本触媒製)を11.6g、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株)製デスモジュールI)を81.0g、酢酸ブチルを50.0g、ジブチルスズジラウレートを0.037g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が2.87%以下であることを確認した。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート((株)日本触媒製HEA)を21.2g、メトキシハイドロキノンを0.05g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.2%以下であることを確認し、重量平均分子量4,380のウレタンアクリレート(UA−5)を292.8g得た。
【0035】
<比較合成例1:ウレタン(メタ)アクリレート(UA’−1)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量530のポリカプロラクトンジオール((株)ダイセル製プラクセル205U)を120.7g、ジエチレングリコール((株)日本触媒製)を1.6g、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株)製デスモジュールI)を71.9g、酢酸ブチルを50.0g、ジブチルスズジラウレートを0.037g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が2.82%以下であることを確認した。次に、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート((株)ダイセル製プラクセルFA2D)を55.7g、メトキシハイドロキノンを0.05g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.2%以下であることを確認し、重量平均分子量5,070のウレタンアクリレート(UA’−1)を292.8g得た。
【0036】
<比較合成例2:ウレタン(メタ)アクリレート(UA’−2)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量2,000のポリカプロラクトンジオール((株)ダイセル製プラクセル220)を158.3g、ジエチレングリコール((株)日本触媒製)を8.4g、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株)製デスモジュールI)を46.9g、酢酸ブチルを50.0g、ジブチルスズジラウレートを0.037g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が1.75%以下であることを確認した。次に、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート((株)ダイセル製プラクセルFA2D)を36.3g、メトキシハイドロキノンを0.05g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.2%以下であることを確認し、重量平均分子量7,580のウレタンアクリレート(UA’−2)を288.9g得た。
【0037】
<比較合成例3:ウレタン(メタ)アクリレート(UA’−3)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量530のポリカプロラクトンジオール((株)ダイセル製プラクセル205U)を88.6g、ジエチレングリコール((株)日本触媒製)を14.2g、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株)製デスモジュールI)を74.2g、酢酸ブチルを100.0g、ジブチルスズジラウレートを0.030g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が1.06%以下であることを確認した。次に、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート((株)ダイセル製プラクセルFA2D)を23.0g、メトキシハイドロキノンを0.04g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.2%以下であることを確認し、重量平均分子量9,570のウレタンアクリレート(UA’−3)を295.5g得た。
【0038】
<比較合成例4:ウレタン(メタ)アクリレート(UA’−4)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量700のポリプロピレングリコール((株)日油製ユニオールD−700)を97.8g、ジエチレングリコール((株)日本触媒製)を9.9g、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株)製デスモジュールI)を68.9g、酢酸ブチルを50.0g、ジブチルスズジラウレートを0.037g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が3.00%以下であることを確認した。次に、ポリオキシプロピレンモノアクリレート((株)日油製ブレンマーAP−400)を73.3g、メトキシハイドロキノンを0.05g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.2%以下であることを確認し、重量平均分子量5,150のウレタンアクリレート(UA’−4)を292.5g得た。
【0039】
【表1】
【0040】
<実施例1〜11、比較例1〜7>
合成例1〜5、および比較合成例1〜4で得られたウレタンアクリレート、表2記載のアクリレートモノマーおよび表3または表4に記載の添加剤、溶剤を表3または表4記載の重量で50mL褐色スクリュー管に量りとり、ボルテックスミキサーにて1分間混合させ活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。
【0041】
【表2】
【0042】
指触り性、自己修復性、硬度、耐カール性の評価を行う試験片を、以下の方法で作製した。得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、100μmPETフィルム(東洋紡績(株)製コスモシャインA4300)上に乾燥膜厚が25μmとなるよう塗工し、80℃の恒温槽内に5分間静置し、有機溶剤を蒸発させた。続いて、80W/cmの無電極UVランプ(Hバルブ)を用いて積算光量1,000mJ/cm
2のエネルギー量を照射することで硬化物を得た。
【0043】
伸張性の評価を行う試験片を、以下の方法で作製した。得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、脱脂処理を行ったガラス基板上に乾燥膜厚が100μmとなるよう塗工し、80℃の恒温槽内に5分間静置し、有機溶剤を蒸発させた。続いて、80W/cmの無電極UVランプ(Hバルブ)を用いて積算光量1,000mJ/cm
2のエネルギー量を照射することで硬化物を得た。得られた硬化物を静かにガラス基板から剥離したのち、型抜き器を用いてダンベル型試験片を作製した。
【0044】
密着性の評価を行う試験片を、以下の方法で作製した。得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、2mmABS樹脂上に乾燥膜厚が25μmとなるよう塗工し、80℃の恒温槽内に5分間静置し、有機溶剤を蒸発させた。続いて、80W/cmの無電極UVランプ(Hバルブ)を用いて積算光量1,000mJ/cm
2のエネルギー量を照射することで硬化物を得た。
【0045】
<指触り性>
得られた硬化物の表面を指でなぞり、タック感の有無で判定した。
○: タック感なし
×: タック感あり
<自己修復性>
【0046】
温度25℃、相対湿度60RH%の雰囲気下、真鍮ブラシを用いて硬化物表面を1kg荷重で10往復擦り、硬化物表面に入った傷が復元するか否か、または傷が復元するまでの時間を測定し、下記の基準により判定した。
◎: 傷が5秒未満で復元する
○: 傷が5秒以上10秒未満で復元する
△: 傷が10秒以上5分未満で復元する
×: 5分経過後も傷が復元しない
【0047】
<硬度>
JIS K 5600に準拠して、荷重750gの条件で引掻き硬度(鉛筆法)を測定し、傷がつかない中で最も硬い鉛筆硬度を結果とし、下記の基準で評価した。
◎: 鉛筆硬度がH以上
○: 鉛筆硬度がHB〜F
△: 鉛筆硬度がB
×: 鉛筆硬度が2B以下
【0048】
<伸張性>
引張速度50mm/min、チャック間距離50mmの条件で引張試験を行い、測定した破断伸度を下記の基準で評価した。
◎: 破断伸度が200%以上
○: 破断伸度が150%以上200%未満
△: 破断伸度が100%以上150%未満
×: 破断伸度が100%未満
【0049】
<密着性>
JIS K 5600に準拠して、碁盤目剥離試験を行い、下記の基準で評価した。
◎: 残存面積が100%
○: 残存面積が80%以上100%未満
×: 残存面積が80%未満
【0050】
<耐カール性>
PET基材ごと10cm×10cmの試験片を切り出し、水平な台の上に静置したときの4辺の浮き上がり高さを測定し、その平均値を下記の基準で評価した。
◎: 浮き上がり高さが2mm未満
○: 浮き上がり高さが2mm以上10mm未満
×: 浮き上がり高さが10mm以上
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
表3に示すように、実施例1〜11は指触り性、自己修復性、硬度、伸張性、密着性、耐カール性がいずれも良好な樹脂組成物である。
【0054】
一方、表4に示すように、本発明の範囲外となる比較例1〜7のような場合には、いずれかの物性を十分に満足することが出来ない。
【0055】
比較例1は(a2)成分を用いていないために架橋密度が低下し、硬度が不十分である。比較例2は(a1)成分の分子量が範囲を超えて大きく、架橋密度が低下し、硬度が不十分である。比較例3は((a1)+(a2))/(a3)の比が範囲を超えて高く、自己修復速度が低下する。また、アクリロイル基濃度が低下するため、タックが生じる。比較例4はウレタン(メタ)アクリレート(A)の原料にポリプロピレングリコールを用いているために指触り性、自己修復性、硬度が不十分であり、また強度が著しく低下することから伸張性も不十分となる。さらにABSとの密着性が低下する。
【0056】
比較例5はアクリレートモノマー(B)の構造中に環状構造を保有していないことから、硬度が不十分となり、伸びに対しても脆くなるため伸張性が低下し、さらに密着性も低下する。比較例6はアクリレートモノマー(B)を使用していないために、密着性が不十分である。比較例7はアクリレートモノマー(B)の割合が範囲を超えて多いために硬化不良が起き、タックが残る。また硬度と伸張性が低下する。