特許第6780268号(P6780268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6780268荷物管理装置、荷物管理方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780268
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】荷物管理装置、荷物管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 63/00 20060101AFI20201026BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   B65G63/00 K
   B66F9/24 P
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-54713(P2016-54713)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-165569(P2017-165569A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2019年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】内村 淳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀明
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−083674(JP,A)
【文献】 特開2011−219229(JP,A)
【文献】 特開2009−120380(JP,A)
【文献】 特開平10−182096(JP,A)
【文献】 特表2005−509575(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0041524(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00 − 11/04
B65G 63/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物に取り付けられた荷物ID発信装置から発信された荷物IDを、運搬車の荷物把持機構に設けられた第一アンテナで検出したか否かを判定し、前記荷物把持機構を所定の高さに持ち上げた場合に前記第一アンテナの近傍に位置するように前記運搬車に予め設けられた第二アンテナで前記荷物IDを検出したか否かを判定し、前記荷物IDを前記第一アンテナと前記第二アンテナのそれぞれで検出した状況に応じて前記荷物の搬入元における運搬に関するタイミング種別または搬出先における運搬に関するタイミング種別を判定する荷物管理部、
を備える荷物管理装置。
【請求項2】
前記荷物IDを前記第一アンテナと前記第二アンテナのそれぞれで検出した状況に応じて前記運搬車の荷物運搬状態を判定する運搬状態判定部
を備える請求項に記載の荷物管理装置。
【請求項3】
前記荷物管理部は、前記搬出先に設置された配置位置ID発信装置から発信された配置位置IDを前記第一アンテナと前記第二アンテナの少なくとも一方で検出したか否かを判定し、さらに、配置位置IDの検出に応じて前記搬入元における運搬に関するタイミング種別または前記搬出先における運搬に関するタイミング種別を判定する
請求項1または請求項2に記載の荷物管理装置。
【請求項4】
前記荷物管理部は、前記配置位置IDを含む信号強度に基づいて前記搬入元における運搬に関するタイミング種別または前記搬出先における運搬に関するタイミング種別を判定する
請求項3に記載の荷物管理装置。
【請求項5】
荷物に取り付けられた荷物ID発信装置から発信された荷物IDを、運搬車の荷物把持機構に設けられた第一アンテナで検出したか否かを判定し、
前記荷物把持機構を所定の高さに持ち上げた場合に前記第一アンテナの近傍に位置するように前記運搬車に予め設けられた第二アンテナで前記荷物IDを検出したか否かを判定し、
前記荷物IDを前記第一アンテナと前記第二アンテナのそれぞれで検出した状況に応じて前記荷物の搬入元における運搬に関するタイミング種別または搬出先における運搬に関するタイミング種別を判定する
荷物管理方法。
【請求項6】
荷物管理装置のコンピュータを、
荷物に取り付けられた荷物ID発信装置から発信された荷物IDを、運搬車の荷物把持機構に設けられた第一アンテナで検出したか否かを判定し、前記荷物把持機構を所定の高さに持ち上げた場合に前記第一アンテナの近傍に位置するように前記運搬車に予め設けられた第二アンテナで前記荷物IDを検出したか否かを判定し、前記荷物IDを前記第一アンテナと前記第二アンテナのそれぞれで検出した状況に応じて前記荷物の搬入元における運搬に関するタイミング種別または搬出先における運搬に関するタイミング種別を判定する荷物管理手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物管理装置、荷物管理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物流業界において荷物にRFIDタグを取り付けて、RFIDタグから荷物の識別番号を読み取ることにより荷物の物流管理を行っている。RFIDタグを用いて荷物の管理を行う技術が特許文献1および非特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−19046号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】第2部 実験/実用事例,物流業務でICタグを活用,「日経BPムック 無線ICタグのすべて」、株式会社日経BP、2004年4月20日、p.70-71
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1の技術ではフォークリフトがコンテナにフォーク形の腕を差し入れる際に、コンテナに添付されたRFIDタグのID情報を読み取る技術が開示されている。また非特許文献1にも同様の技術が記載されている。
しかしながら搬入元や搬出先を判定するためには特にコンテナにおいてフォークリフトのフォークの上げ下げの油圧情報を取得しないとフォークリフトなどの運搬車において荷物の搬入や搬出を行った場所を正確に特定することができなかった。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する荷物管理装置、荷物管理方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、荷物管理装置は、荷物に取り付けられた荷物ID発信装置から発信された荷物IDを、運搬車の荷物把持機構に設けられた第一アンテナで検出したか否かを判定し、前記荷物把持機構を所定の高さに持ち上げた場合に前記第一アンテナの近傍に位置するように前記運搬車に予め設けられた第二アンテナで前記荷物IDを検出したか否かを判定し、前記荷物IDを前記第一アンテナと前記第二アンテナのそれぞれで検出した状況に応じて前記荷物の搬入元における運搬に関するタイミング種別または搬出先における運搬に関するタイミング種別を判定する荷物管理部、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、荷物管理方法は、荷物に取り付けられた荷物ID発信装置から発信された荷物IDを、運搬車の荷物把持機構に設けられた第一アンテナで検出したか否かを判定し、前記荷物把持機構を所定の高さに持ち上げた場合に前記第一アンテナの近傍に位置するように前記運搬車に予め設けられた第二アンテナで前記荷物IDを検出したか否かを判定し、前記荷物IDを前記第一アンテナと前記第二アンテナのそれぞれで検出した状況に応じて前記荷物の搬入元における運搬に関するタイミング種別または搬出先における運搬に関するタイミング種別を判定する。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、荷物管理装置のコンピュータを、荷物に取り付けられた荷物ID発信装置から発信された荷物IDを、運搬車の荷物把持機構に設けられた第一アンテナで検出したか否かを判定し、前記荷物把持機構を所定の高さに持ち上げた場合に前記第一アンテナの近傍に位置するように前記運搬車に予め設けられた第二アンテナで前記荷物IDを検出したか否かを判定し、前記荷物IDを前記第一アンテナと前記第二アンテナのそれぞれで検出した状況に応じて前記荷物の搬入元における運搬に関するタイミング種別または搬出先における運搬に関するタイミング種別を判定する荷物管理手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、運搬車の荷物把持機構の油圧情報を得なくとも、運搬車が運搬する荷物の搬入元や搬出先を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態によるフォークリフトとコンテナとの関係を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による搬入元または搬出先の例を示す第一の図である。
図3】本発明の一実施形態による搬入元または搬出先の例を示す第二の図である。
図4】本発明の一実施形態による搬入元または搬出先の例を示す第三の図である。
図5】本発明の一実施形態による搬入元または搬出先の例を示す第四の図である。
図6】本発明の一実施形態による荷物管理装置のハードウェア構成を示す図である。
図7】本発明の一実施形態による荷物管理装置の機能ブロック図である。
図8】本発明の一実施形態によるフォークリフトの第一の動作例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態によるフォークリフトの第二の動作例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態によるフォークリフトの第三の動作例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態によるフォークリフトの一連の動作を示す第一の図である。
図12】本発明の一実施形態によるフォークリフトの一連の動作を示す第二の図である。
図13】本発明の一実施形態によるフォークリフトの一連の動作を示す第三の図である。
図14】本発明の一実施形態による荷物管理装置の処理フローを示す図である。
図15】本発明の一実施形態による荷物管理装置の最小構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による荷物管理装置を図面を参照して説明する。
図1は同実施形態によるフォークリフトとコンテナとの関係を示す図である。
図1においてフォークリフト10は運搬車の一例である。またコンテナ20は荷物の一例である。フォークリフト10には、荷物管理装置1、第一アンテナ11、第二アンテナ12、衛星測位アンテナ13、通信アンテナ14が備わる。またコンテナ20には荷物ID発信装置である荷物タグ21が取り付けられている。
【0013】
第一アンテナ11はフォークリフトのフォーク(荷物把持機構)にとりつけられている。荷物タグ21はコンテナ20の下方であって、フォークリフト10がコンテナ20を運搬する際にコンテナ20の底にフォークを差し込んだ際に第一アンテナ11と通信できるコンテナの位置に取り付けられている。
【0014】
フォークリフト10の運転手はコンテナ20を運搬してそのコンテナ20を他の位置に移動させる際にはコンテナ20を所定の高さに持ち上げる。運転手はフォークリフト10を操作してコンテナ20を所定の高さに持ち上げることにより運転時の自身の視界を確保する。第二アンテナ12は、コンテナ20を運搬する際に運転手によってコンテナ20が持ち上げられた所定の高さにおいて荷物タグ21と通信できるフォークリフト10の位置に設置されている。
【0015】
第一アンテナ11および第二アンテナ12は荷物IDタグ21が発信した信号を受信するアンテナである。荷物IDタグ21の発信する信号には少なくとも荷物IDが含まれている。
衛星測位アンテナ13は人工衛星からの信号を受信するアンテナである。人工衛星からの信号を受信してその信号に含まれる情報を荷物管理装置1が取得する。荷物管理装置1はその信号に含まれる情報に基づいてフォークリフトの位置を検出する。
通信アンテナ14は荷物管理装置1が他装置と通信する際に信号を送受信するアンテナである。通信アンテナ14は荷物管理装置1にケーブルにて接続されている。
荷物管理装置1は、コンテナ20などの荷物の搬入元や搬出先を判定する。以下、荷物管理装置1の詳細について説明する。
【0016】
図2は搬入元または搬出先の例を示す第一の図である。
図2で示す搬入元または搬出先の例は第一のトラックを示している。第一のトラックには配置位置ID発信装置である配置位置タグ31が取り付けられている。
【0017】
図3は搬入元または搬出先の例を示す第二の図である。
図3で示す搬入元または搬出先の例は第二トラックを示している。第二のトラックにも配置位置タグ31が取り付けられている。
【0018】
図4は搬入元または搬出先の例を示す第三の図である。
図4で示す搬入元または搬出先の例は貨車を示している。貨車にも配置位置タグ31が取り付けられている。
【0019】
図5は搬入元または搬出先の例を示す第四の図である。
図5で示す搬入元または搬出先の例は、かご台車を示している。かご台車にも配置位置タグ31が取り付けられている。
【0020】
本実施形態による荷物管理装置1は、コンテナヤードなどの敷地や、図2図5で示したトラック、貨車、かご台車などの搬入元や搬出先を特定する。トラック、貨車、かご台車などはコンテナ20を積載する積載用構造物の一例である。
【0021】
図6は荷物管理装置のハードウェア構成を示す図である。
荷物管理装置1は、図6で示すように、CPU(Central Processing Unit)201、IF(Interface)202、通信モジュール203、ROM(Read Only Memory)204、RAM(Random Access Memory)205、HDD(Hard Disk Drive)206、RFIDリーダ207などの構成を備えている。通信モジュール203は通信アンテナ14を介した信号の送受信を行う。RFIDリーダ207は、第一アンテナ11や第二アンテナ12によって受信した信号の受信の制御を行う。IF202は、例えば荷物管理装置1に設けられたタッチパネルディスプレイ等に接続されている。
【0022】
図7は荷物管理装置の機能ブロック図である。
荷物管理装置1は、予め記憶するプログラムをCPU101が実行することによりID検出部71、荷物管理部72、運搬状態判定部73、位置検出部74、表示部75、他装置連携部76、タグデータチェック部78の機能を備える。また荷物管理装置1は記憶部77を備える。
【0023】
ID検出部71は、荷物タグ21や配置位置タグ31から発信された信号に基づいてIDを検出する。当該IDは荷物IDや配置位置IDなどである。荷物IDには荷物の識別情報が少なくとも含まれる。配置位置IDには配置位置が特定できるトラック、貨車、かご台車などの識別情報が少なくとも含まれる。
荷物管理部72は、ID検出部71によるIDの検出状況に応じて荷物であるコンテナ20の搬入元や搬出先を判定する。
【0024】
運搬状態判定部73は、荷物IDを第一アンテナ11や第二アンテナ12で検出した状況に応じてフォークリフト10の荷物運搬状態を判定する。
位置検出部74は衛星測位アンテナ13を介して衛星から発信された信号に基づいてフォークリフト10の位置を検出する。
表示部75は荷物管理装置1に情報を表示する。
他装置連携部76は、通信アンテナ14を介して接続した他装置の間で情報を送受信する。
タグデータチェック部78は、受信した荷物IDや配置位置IDなどに含まれるデータ体系をチェックする。
記憶部77は各種情報を記憶する。
【0025】
図8はフォークリフトの第一の動作例を示す図である。
図8ではフォークリフト10の運転手が、コンテナヤードなどの敷地に置かれているコンテナ20の底にフォークリフト10のフォークを差し込んでいる状態を示す。この例はフォークリフト10が地面からコンテナ20を持ち上げて運び始める第一タイミング、またはフォークリフト10がコンテナ20を移動させて敷地の所定位置に配置する第二タイミングでみられる状況である。
荷物管理部72は第一タイミングと判定する場合は、まず、コンテナ20を運んでいない状態においては第一アンテナ11および第二アンテナ12で荷物IDを受信していないと判定する(1−a)。次にコンテナ20の下にフォークが差し込まれた際に、荷物管理部72は第一アンテナ11のみで荷物IDを受信したと判定する(1−b)。このような時系列の状況が生じた場合、荷物管理部72は第一タイミングが発生したと判定する。なお第二アンテナ12は、1−bの状況においては荷物IDを検出できないような電波の指向性となるようフォークリフト10に取り付けられている。
荷物管理部72は第二タイミングと判定する場合は、運転手がフォークリフト10を操作してコンテナ20を持ち上げた場合、第一アンテナ11と第二アンテナ12の両方で荷物IDを受信していると判定する(2−a)。次に荷物管理部72は、コンテナ20を移動先で置く際には、第一アンテナ11のみで荷物IDを受信していると判定する(2−b)。そして荷物管理部72は、フォークリフト10がバックした場合には、第一アンテナ11と第二アンテナ12の両方で荷物IDを受信していないと判定する(2−c)。このような時系列の状況が生じた場合、荷物管理部72は第二タイミングが発生したと判定する。なお第二アンテナ12は、2−bの状況においては荷物IDを検出できないような電波の指向性となるようフォークリフト10に取り付けられている。
【0026】
図9はフォークリフトの第二の動作例を示す図である。
図9ではフォークリフト10の運転手が、コンテナ20を積載する貨車にコンテナが配置されている状態においてコンテナ20の底にフォークリフト10のフォークを差し込んでいる状態を示す。この例はフォークリフト10が貨車からコンテナ20を持ち上げて他の位置へ運び始める第三タイミング、またはフォークリフト10がコンテナ20を他の位置から貨車に移動させて貨車に積載しようとする第四タイミングでみられる状況である。
荷物管理部72は第三タイミングと判定する場合は、まず第一アンテナ11と第二アンテナ12の両方で荷物IDを検出できないと判定する(3−a)。次に荷物管理部72は、第一アンテナ11で荷物IDと配置位置IDを検出したと判定する(3−b)。このような時系列の状況が生じた場合、荷物管理部72は第三タイミングが発生したと判定する。なお第二アンテナ12は、3−bの状況においては荷物IDと配置位置IDを検出できないような電波の指向性となるようフォークリフト10に取り付けられている。
荷物管理部72は第四タイミングと判定する場合は、まずフォークリフト10の走行中などには第一アンテナ11と第二アンテナの両方で荷物IDを検出したと判定する(4−a)。次にコンテナを貨車に配置した際には荷物管理部72は第二アンテナで荷物IDの検出ができないと判定する(4−b)。次に荷物管理部72は第一アンテナ11で荷物IDと配置位置IDの両方を検出したと判定する(4−c)。このような時系列の状況が生じた場合、荷物管理部72は第四タイミングが発生したと判定する。なお第二アンテナ12は、4−cの状況においては荷物IDと配置位置IDを検出できないような電波の指向性となるようフォークリフト10に取り付けられている。
【0027】
図10はフォークリフトの第三の動作例を示す図である。
図10ではフォークリフト10の運転手が、コンテナ20が重ねて配置されている状態において上段に配置されているコンテナ20の底にフォークリフト10のフォークを差し込んでいる状態を示す。この例はフォークリフト10が上段に配置されているコンテナ20を持ち上げて他の位置へ運び始める第五タイミング、またはフォークリフト10がコンテナ20の上に他の位置から移動させたコンテナ20の配置を完了したとする第六タイミングでみられる状況である。
荷物管理部72は第五タイミングを判定する場合は、まずコンテナ20を運んでいないため、第一アンテナ11と第二アンテナの両方で荷物IDが検出できていないと判定する(5−a)。次にフォークリフト10のフォークを上段のコンテナ20の底に差し込む為、荷物管理部72は第一アンテナ11と第二アンテナ12の両方で荷物IDを検出したと判定する(5−b)。このような時系列の状況が生じた場合、荷物管理部72は第五タイミングが発生したと判定する。
荷物管理部72は第六タイミングを判定する場合は、まずフォークリフト10の走行中において第一アンテナ11と第二アンテナ12の両方で荷物IDを検出したと判定する(6−a)。また荷物管理部72は第一アンテナ11と第二アンテナ12の両方で荷物IDを検出している時間が所定時間以上であると判定する(6−b)。また荷物管理部72は第一アンテナ11と第二アンテナ12の両方で荷物IDを検出できなくなったと判定する。このような時系列の状況が生じた場合、荷物管理部72は第六タイミングが発生したと判定する。
【0028】
なお上述の図8図10で示した各タイミングの判定手法は一例であって、第一アンテナ11や第二アンテナ12で受信した荷物IDや配置位置IDの受信時刻や時系列での受信状況に応じて上記各タイミングやその他のタイミングを判定するようにして良い。
【0029】
図11はフォークリフトの一連の動作を示す第一の図である。
次にフォークリフトがコンテナヤードなどの敷地に置かれているコンテナ20を敷地内の他の位置に配置する場合の例について説明する。この場合コンテナヤードの敷地のコンテナ20が置かれている位置が搬入元である。また他の位置が搬出先である。
運転手はフォークリフト10を操作してコンテナ20の底にフォークリフト10のフォークを差し込む(ステップS1)。これにより第一アンテナ11で荷物IDを受信する。荷物管理部72は、第一アンテナ11において荷物IDを検出したと判定し、第一タイミングであることを検出する(図8)。コンテナ20が複数連なって配置されていた場合には第一アンテナ11は複数のコンテナ20に取り付けられている荷物タグ21から荷物を受信してしまう可能性が有る。荷物管理部72は複数のコンテナ20の荷物IDを検出した場合、受信強度が最も高い信号に含まれる荷物IDを取得する。荷物管理部72は荷物IDを取得した時点におけるフォークリフト10の現在位置を位置検出部74から取得する。荷物管理部72は荷物IDと現在位置とを記憶部77に一次記録する。また荷物管理部72は荷物IDと現在位置とを他装置連携部76に出力する。他装置連携部76は荷物IDと現在位置とフォークリフトIDとを上位システムに通知してよい。この通知には第一タイミングであることを示す情報を含ませるようにしてよい。このような処理により上位システムは、どのフォークリフトが、何時、どの位置で、どの荷物に対して、何をしているかを管理することができる。
【0030】
運転手はコンテナ20を敷地内の他の位置に移動させる。この際運転手はフォークリフト10のフォークを持ち上げて視界を確保する(ステップS2)。そうすると第一アンテナ11と第二アンテナ12でそれぞれ荷物IDを受信する。第一タイミングからこの状態に移行すると、運搬状態判定部73は運搬中であることを判定する。運転手は敷地内の所定の搬出先の配置位置に到着すると、その位置にコンテナ20を配置する。この時第二アンテナ12における荷物IDの検出ができなくなる。荷物管理部72は第二タイミングであることを検出する。この時、荷物管理部72は、第二タイミングであると検出した時の現在位置を位置検出部74から取得する。フォークリフト10がバックすると荷物管理部72は第一アンテナ11で荷物IDの検出ができなくなる(ステップS3)。荷物管理部72は第一アンテナ11および第二アンテナ12で検出しなくなった荷物IDと現在位置とを他装置連携部76に出力する。他装置連携部76は荷物IDと現在位置とフォークリフトIDと、第二タイミングを検知したことを上位システムに通知してよい。このような処理により上位システムは、どのフォークリフトが、何時、どの位置で、どの荷物に対して、何をしているかを管理することができる。
【0031】
図12はフォークリフトの一連の動作を示す第二の図である。
次にフォークリフト10が一方の貨車41に置かれているコンテナ20を、他方の貨車42に配置する場合の例について説明する。この場合、一方の貨車41が搬入元である。また他方の貨車42が搬出先である。
運転手はフォークリフト10を操作して貨車41に積載されているコンテナ20の底にフォークリフト10のフォークを差し込む(ステップS121)。これにより第一アンテナ11で荷物IDと配置位置IDを受信する。荷物管理部72は、第一アンテナ11において荷物IDと配置位置IDを検出したと判定し、第三タイミングであることを検出する(図12)。なおタグデータチェック部78は配置位置IDが貨車を示すかどうかを判定してもよい。例えば予め貨車からの荷物を搬出する場合に、タグデータチェック部78は配置位置IDが貨車かどうかを判定し、貨車でない場合には警告表示を行うと判定してもよい。貨車41にコンテナ20が複数連なって配置されていた場合には第一アンテナ11は複数のコンテナ20に取り付けられている荷物タグ21から荷物IDを受信してしまう可能性が有る。荷物管理部72は複数のコンテナ20の荷物IDを検出した場合、受信強度が最も高い信号に含まれる荷物IDを取得したと判定する。またこの時、貨車に複数の配置位置タグ31が取り付けられている場合には、荷物管理部72は、複数の配置位置IDを受信したと判定する可能性がある。その場合荷物管理部72は、荷物IDを受信した信号の強度と同程度の信号強度の信号により配置位置IDを受信したかを判定する。荷物IDと同程度の信号強度の信号により配置位置IDを受信していれば、荷物と配置位置とが一致している。したがって、荷物管理部72は、同程度の信号強度により受信した荷物IDと配置位置IDとの組み合わせを取得する。
【0032】
荷物管理部72は荷物IDと配置位置IDとを取得した時点におけるフォークリフト10の現在位置を位置検出部74から取得する。荷物管理部72は荷物ID、配置位置ID、現在位置を記憶部77に一次記録する。また荷物管理部72は荷物ID、配置位置ID、現在位置を他装置連携部76に出力する。他装置連携部76は荷物ID、配置位置ID、現在位置、フォークリフトIDを上位システムに通知してよい。この通知には第三タイミングであることを示す情報を含ませるようにして良い。このような処理によりフォークリフトが何時、どの位置で、どの荷物に対して、何をしているかを上位システムで管理することができる。
【0033】
運転手はコンテナ20を他方の貨車42に移動させる。この際運転手はフォークリフト10のフォークを持ち上げて視界を確保する(ステップS122)。そうすると第一アンテナ11と第二アンテナ12でそれぞれ荷物IDを受信する。第三タイミングからこの状態に移行すると、運搬状態判定部73は運搬中であることを判定する。運転手は他方の貨車42に到着すると、貨車42にコンテナ20を配置する。この時第二アンテナ12における荷物IDの検出ができなくなる。また第一アンテナ11では荷物IDと共に貨車42に取り付けられている配置位置タグ31の配置位置IDを受信する。これにより荷物管理部72は第四タイミングであることを検出する。なおこの時、貨車に複数の配置位置タグ31が取り付けられている場合には、荷物管理部72は、複数の配置位置IDを受信したと判定する可能性がある。その場合荷物管理部72は、荷物IDを受信した信号の強度と同程度の信号強度の信号により配置位置IDを受信したかを判定する。荷物IDと同程度の信号強度の信号により配置位置IDを受信していれば、荷物と配置位置とが一致している。したがって、荷物管理部72は、同程度の信号強度により受信した荷物IDと配置位置IDとの組み合わせを取得する。
【0034】
荷物管理部72は、第四タイミングであると検出した時の現在位置を位置検出部74から取得する。フォークリフト10がバックすると荷物管理部72は第一アンテナ11で荷物IDと配置位置IDの検出ができなくなる(ステップS123)。荷物管理部72はそれら荷物IDと配置IDとを他装置連携部76に出力する。他装置連携部76は荷物ID、配置位置ID、現在位置、フォークリフトID、第四タイミングを検知したことを上位システムに通知してよい。このような処理により上位システムは、どのフォークリフトが、何時、どの位置で、どの荷物に対して、何をしているかを管理することができる。
【0035】
図13はフォークリフトの一連の動作を示す第三の図である。
次にフォークリフト10が、コンテナヤードの敷地における一方の配置位置に上下二段に重ねられている上段のコンテナ20を、敷地内の他方の配置位置に配置されているコンテナ20の上に配置する場合の例について説明する。この場合一方の配置位置が搬入元である。また他方の配置位置が搬出先である。
運転手はフォークリフト10を操作して一方の配置位置に上下二段に重ねられているコンテナ20のうち上段のコンテナ20の底にフォークリフト10のフォークを差し込む(ステップS131)。上段のコンテナ20の底にフォークリフト10のフォークを差し込んだ場合、そのコンテナ20の荷物タグ21の高さと同様の高さに第二アンテナ12が位置するよう予め第二アンテナ12がフォークリフト10に取り付けられている。これにより第一アンテナ11と第二アンテナ12で荷物IDを受信する。荷物管理部72は、第一アンテナ11と第二アンテナ12において荷物IDを検出したと判定し、第五タイミングであることを検出する。コンテナ20が複数連なって配置されていた場合には第一アンテナ11や第二アンテナ12は複数のコンテナ20に取り付けられている荷物タグ21から荷物IDを受信してしまう可能性が有る。荷物管理部72は複数のコンテナ20の荷物IDを各アンテナで受信するような場合、受信強度が最も高い信号に含まれる荷物IDを取得したと判定する。
【0036】
荷物管理部72は荷物IDを取得した時点におけるフォークリフト10の現在位置を位置検出部74から取得する。荷物管理部72は荷物ID、現在位置を記憶部77に一次記録する。また荷物管理部72は荷物ID、現在位置を他装置連携部76に出力する。他装置連携部76は荷物ID、現在位置、フォークリフトIDを上位システムに通知してよい。この通知には第五タイミングであることを示す情報を含ませるようにして良い。このような処理によりフォークリフトが何時、どの位置で、どの荷物に対して、何をしているかを上位システムで管理することができる。
【0037】
運転手はコンテナ20を他方の配置位置に移動させる。この際運転手はフォークリフト10のフォークを持ち上げたまま視界を確保して走行する(ステップS132)。走行時には常に第一アンテナ11と第二アンテナ12でそれぞれ荷物IDを受信する。運搬状態判定部73は、第一アンテナ11と第二アンテナ12で荷物IDを検出している時間が所定時間以上経過すると運搬中であると判定する。運転手は他方の配置位置に到着すると、既に配置されているコンテナ20の上部に、運んできたコンテナ20を配置する。運転手がフォークリフトをバックさせてフォークを他の配置位置へ運んできたコンテナ20の下から抜くと、第一アンテナ11と第二アンテナ12の両方で荷物IDの検出ができなくなる(ステップS133)。これにより荷物管理部72は第六タイミングであることを検出する。
【0038】
荷物管理部72は、第六タイミングであると検出した時の現在位置を位置検出部74から取得する。荷物管理部72は検出できなくなった荷物IDと、現在位置とを他装置連携部76に出力する。他装置連携部76は荷物ID、現在位置、フォークリフトID、第六タイミングを検知したことを上位システムに通知してよい。このような処理により上位システムは、どのフォークリフトが、何時、どの位置で、どの荷物に対して、何をしているかを管理することができる。
【0039】
図14は荷物管理装置1の処理フローを示す図である。
荷物管理装置1において荷物管理部72は、第一アンテナ11や第二アンテナ12において受信したIDが荷物ID、配置位置IDを判定する(ステップS141)。次に運搬状態判定部73がフォークリフトの運搬状態を判定する(ステップS142)。荷物管理部72は運搬状態を検出し、また受信したIDを特定し、記録しているそれらの時系列の情報に基づいて現在のタイミング(上記第一〜第六のタイミングなど)を判定する(ステップS143)。またタグデータチェック部78は、受信した荷物IDまたは配置位置IDをチェックする(ステップS144)。タグデータチェック部78はそれらチェックした荷物IDや配置位置IDのデータ体系が記憶部77に記録されている体系に合致しない場合には、警告情報などをモニタに出力してよい。荷物管理部72は現在のタイミングが所定のタイミングである場合には、上位システムに情報を送信すると決定する(ステップS145)。荷物管理部72は位置検出部74から現在位置を取得する(ステップS146)。荷物管理部72は、上位システムに荷物ID、配置位置ID、現在位置、タイミングを示す情報を送信する(ステップS147)。
【0040】
荷物管理装置1は、上位システムなどから予め、作業予定リストを受信して記憶しておいてもよい。作業予定リストには、運搬するコンテナの荷物IDの順番や、搬入元、搬出先の情報が記録されている。荷物管理装置1の荷物管理部72は、運搬するコンテナの荷物IDの順番や、そのコンテナ20の搬入元と搬出先とを比較して、作業予定リストに一致するかを判定するようにしてもよい。この場合、荷物管理部72はフォークリフトの仕事状況の時系列による情報が、作業予定リストに一致しない場合には、警告情報をタッチパネルディスプレイなどに表示するようにしてもよい。これにより作業者の荷物の誤移送を削減することができる。
【0041】
荷物管理装置1は記憶部に地図を記憶しておき、表示部75が地図と現在位置とをディスプレイに表示するようにしてもよい。
また荷物管理装置1は荷物タグ21や配置位置タグ31からの信号の強度を検出して、その信号強度を記憶しておき、信号強度の変換を管理してもよい。荷物管理装置1は信号強度が著しく弱くなったかを判定し、弱くなった場合には、荷物タグ21や配置位置タグ31の劣化を判断してもよい。この場合荷物管理装置1は、劣化した荷物タグ21や配置位置タグ31の情報(荷物IDや配置位置ID)や現在位置を含む劣化信号を上位システムへ出力する。これにより上位システムにおいて劣化した荷物タグ21や配置タグ31を特定することができる。
【0042】
上述の第一アンテナ11や第二アンテナ12は指向性を制御できる機能を有していてもよい。例えば荷物管理装置1は、電気的、または機械的に第一アンテナや第二アンテナの指向性の向きや電波出力強度を変化させることができてよい。例えば第一アンテナに比較して、第二アンテナの指向性や出力を高め、遠い場所にある各タグからの信号を受信できるようにしてもよい。
【0043】
図15は荷物管理装置の最小構成を示す図である。
図15で示すように荷物管理装置1は少なくとも荷物管理部72を備える。荷物管理部72は荷物に取り付けられた荷物タグ21から発信された荷物IDを、運搬車の荷物把持機構に設けられた第一アンテナで検出したか否かを判定する。荷物管理部72は、荷物IDの検出状況に応じて荷物の搬入元または搬出先を判定する。
【0044】
上述の荷物管理装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0045】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0046】
1・・・荷物管理装置
10・・・フォークリフト
11・・・第一アンテナ
12・・・第二アンテナ
13・・・衛星測位アンテナ
14・・・通信アンテナ
20・・・コンテナ
21・・・荷物タグ
71・・・ID検出部
72・・・荷物管理部
73・・・運搬状態判定部
74・・・位置検出部
75・・・表示部
76・・・他装置連携部
77・・・記憶部
78・・・タグデータチェック部
図1
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図14
図15