特許第6780306号(P6780306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6780306バラスト水処理装置及びバラスト水処理装置の紫外線処理手段の冷却方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780306
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】バラスト水処理装置及びバラスト水処理装置の紫外線処理手段の冷却方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 13/00 20060101AFI20201026BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   B63B13/00 Z
   C02F1/32
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-113049(P2016-113049)
(22)【出願日】2016年6月6日
(65)【公開番号】特開2017-217987(P2017-217987A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】丹下 智陽
【審査官】 福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−227064(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/177280(WO,A1)
【文献】 特開2012−148770(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0134861(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0049884(KR,A)
【文献】 特開2015−016761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 13/00
B63J 4/00
C02F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線ランプにより紫外線を照射してバラスト水に含有される微生物を殺菌処理する紫外線処理手段を備えたバラスト水処理装置であって、
ポンプの駆動制御及び開閉弁の開閉制御により船内におけるバラスト水の流通を制御し、前記紫外線処理手段を含む少なくとも1つの循環路を形成する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記循環路内のバラスト水全体に前記紫外線処理手段による紫外線照射が行われるのに十分な時間、船外から新たに取り込み且つバラストタンクに漲水されていないバラスト水を循環させて前記バラスト水を殺菌処理する工程と、前記紫外線ランプの電源を切り前記殺菌処理されたバラスト水を循環させて前記紫外線ランプを冷却する工程とを順次行うように制御する、バラスト水処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記バラスト水を船外からバラストタンクへ取り込むバラスト処理の終了後、且つ/又は前記バラスト水をバラストタンクから船外へ排出するデバラスト処理の終了後に、船外から新たに取り込み且つバラストタンクに漲水されていないバラスト水を循環させて前記バラスト水を殺菌処理する工程と、前記紫外線ランプの電源を切り前記殺菌処理されたバラスト水を循環させて、前記紫外線ランプを冷却する工程とを順次行うように制御する、請求項1に記載のバラスト水処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記紫外線処理手段及び前記バラスト水を濾過処理するバラスト水濾過装置を含む循環路を形成する工程と、前記循環路に船外から新たに取り込み且つバラストタンクに漲水されていないバラスト水を循環させて前記バラスト水を殺菌処理する工程と、前記紫外線ランプの電源を切り前記循環路に前記殺菌処理されたバラスト水を循環させて前記紫外線ランプを冷却する工程とを順次行うように制御する、請求項1又は請求項2に記載のバラスト水処理装置。
【請求項4】
船外から新たに取り込み且つバラストタンクに漲水されていないバラスト水を循環させ、循環路内のバラスト水全体に紫外線ランプを備えた紫外線処理手段による紫外線照射が行われるのに十分な時間、前記バラスト水を前記紫外線処理手段により殺菌処理する工程と、前記紫外線ランプの電源を切り前記殺菌処理されたバラスト水を循環させて前記紫外線ランプを冷却する工程とを行う、バラスト水処理装置の紫外線処理手段の冷却方法。
【請求項5】
前記バラスト水を船外からバラストタンクへ取り込むバラスト処理の終了後、且つ/又は前記バラスト水をバラストタンクから船外へ排出するデバラスト処理の終了後に、船外から新たに取り込み且つバラストタンクに漲水されていないバラスト水を循環させて前記バラスト水を殺菌処理する工程は、前記循環路内のバラスト水全体に前記紫外線処理手段による紫外線照射が行われるのに十分な時間、行われる、請求項2に記載のバラスト水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラスト水処理装置及びバラスト水処理装置の紫外線処理手段の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンカー等の船舶は、積み荷の原油等を降ろした後、再度目的地に向けて航行する際、航行中の船舶のバランスを取るため、通常、バラスト水と呼ばれる水をバラストタンク内に貯留する。バラスト水は、基本的に荷上港で取水されて、荷積港で排出される。そのため、それらの場所が異なっていれば、バラスト水中に含まれるプランクトンや細菌類の微生物が世界中を移動することになる。したがって、荷上港と異なる海域の荷積港でバラスト水を排出すると、その港に別の海域の微生物を放出することになり、その海域の生態系を破壊するおそれがある。
【0003】
そこで、バラスト水中に含まれる微生物の含有量を低減するために、バラスト水処理装置が用いられている。例えば、特許文献1に記載のバラスト水処理装置は、バラスト水を濾過処理するフィルタと、濾過処理したバラスト水に紫外線を照射することで微生物の殺菌処理をする紫外線処理手段(紫外線照射ユニット)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−23187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の紫外線処理手段は、紫外線照射を終了してUVランプを消灯させた後に、紫外線ランプの冷却が必要である。通常、紫外線ランプの冷却は船外から取水した未処理の海水等をそのまま通水させて行うが、このように船外から取水した海水等をそのまま通水すると、紫外線照射による殺菌処理がなされていないバラスト水が配管中に残ってしまい、次の港に微生物が運ばれてしまうこととなる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、紫外線ランプを冷却する場合にも、殺菌処理がなされていないバラスト水が配管中に残ることのないバラスト水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、紫外線ランプにより紫外線を照射してバラスト水に含有される微生物を殺菌処理する紫外線処理手段を備えたバラスト水処理装置であって、ポンプの駆動制御及び開閉弁の開閉制御により船内におけるバラスト水の流通を制御し、前記紫外線処理手段を含む少なくとも1つの循環路を形成する制御手段を備え、前記制御手段は、船外から新たに取り込み且つバラストタンクに漲水されていないバラスト水を循環させて前記バラスト水を殺菌処理する工程と、前記紫外線ランプの電源を切り前記殺菌処理されたバラスト水を循環させて前記紫外線ランプを冷却する工程とを順次行うように制御するバラスト水処理装置が提供される。
【0008】
このような構成によれば、紫外線処理手段によって殺菌処理のなされたバラスト水を循環させて紫外線ランプを冷却することから、殺菌処理がなされていないバラスト水が配管中に残ることを防止することができる。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0010】
好ましくは、前記制御手段は、前記バラスト水を船外からバラストタンクへ取り込むバラスト処理の終了後、且つ/又は前記バラスト水をバラストタンクから船外へ排出するデバラスト処理の終了後に、船外から新たに取り込み且つバラストタンクに漲水されていないバラスト水を循環させて前記バラスト水を殺菌処理する工程と、前記紫外線ランプの電源を切り前記殺菌処理されたバラスト水を循環させて、前記紫外線ランプを冷却する工程とを順次行うように制御する。
【0011】
好ましくは、前記制御手段は、前記紫外線処理手段及び前記バラスト水を濾過処理するバラスト水濾過装置を含む循環路を形成する工程と、前記循環路に船外から新たに取り込み且つバラストタンクに漲水されていないバラスト水を循環させて前記バラスト水を殺菌処理する工程と、前記紫外線ランプの電源を切り前記循環路に前記殺菌処理されたバラスト水を循環させて前記紫外線ランプを冷却する工程とを順次行うように制御する。
【0012】
また、本発明によれば、船外から新たに取り込み且つバラストタンクに漲水されていないバラスト水を循環させて当該バラスト水を紫外線ランプを備えた紫外線処理手段により殺菌処理する工程と、前記紫外線ランプの電源を切り前記殺菌処理されたバラスト水を循環させて前記紫外線ランプを冷却する工程とを行う、バラスト水処理装置の紫外線処理手段の冷却方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るバラスト水処理装置の概略を示す図である。
図2】バラスト処理を説明するための図である。
図3】バラスト処理終了後の紫外線ランプ冷却処理を説明するための図である。
図4】デバラスト処理を説明するための図である。
図5】デバラスト処理終了後の紫外線ランプ冷却処理を説明するための図である。
図6】デバラスト処理終了後の紫外線ランプ冷却処理を説明するための他の図である。
図7】デバラスト処理終了後の紫外線ランプ冷却処理を説明するためのさらに他の図である。
図8】紫外線ランプ冷却処理の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るバラスト水処理装置の実施形態について、以下図面を参照しながら説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0015】
1.バラスト水処理装置の構成
図1は、本実施形態に係るバラスト水処理装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態のバラスト水処理装置は、海水等の船外の水をシーチェストSC1から船内に取り込んでバラスト水として圧送するポンプ1と、フィルタによりバラスト水を濾過処理するバラスト水濾過装置2と、バラスト水に紫外線を照射して微生物を殺菌処理する紫外線処理手段としての紫外線リアクタ3と、バラスト水を貯留するバラストタンク4と、バラスト水処理装置の各処理の制御を行う制御手段5とを備える。
【0016】
ここで、本明細書において「バラスト水」については、バラストタンク4に導入(流入)される前又はバラストタンク4から排出(流出)された後に拘わらず、また、バラスト水濾過装置2に導入(流入)される前又はバラスト水濾過装置2から排出(流出)された後に拘わらず、更には、紫外線リアクタ3に導入(流入)される前又は紫外線リアクタ3から排出(流出)された後に拘わらず、船内に取り込まれた水を全て「バラスト水」と表現し、これは、海水、淡水、汽水等を含む。
【0017】
また、本実施形態に係るバラスト水処理装置は、上記各構成要素を流通する複数のラインL1〜L7を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。また、図1においては、ラインL1〜ラインL7それぞれの両端に、ラインの数字と同一の数字を付している。
【0018】
具体的には、図1に示すように、ラインL1はシーチェストSC1とポンプ1を接続するラインであり、開閉弁V1を有する。ラインL2はポンプ1とバラスト水濾過装置2を接続するラインであり、ラインL3はバラスト水濾過装置2と紫外線リアクタ3を接続するラインである。また、ラインL4は、紫外線リアクタ3とバラスト水を船外へ排出する船外排出口SC2を接続するラインであり、開閉弁V2を有する。なお、ラインL1〜ラインL4は、これらを合わせて、シーチェストSC1と船外排出口SC2とを接続する主管とも呼ばれる。
【0019】
次に、ラインL5は、一端がラインL2と接続され、他端がラインL3と接続されて、バラスト水濾過装置2をバイパスするラインであり、開閉弁V3を有する。ラインL6は、一端が紫外線リアクタ3と開閉弁V2の間の位置においてラインL4と接続され、他端がバラストタンク4に接続されて、紫外線リアクタ3とバラストタンク4を接続するラインであり、開閉弁V4を有する。そして、ラインL7は、一端が開閉弁V4とバラストタンク4の間の位置においてラインL6と接続され、他端が開閉弁V1とポンプ1の間の位置においてラインL1と接続されて、バラストタンク4とポンプ1を接続するラインであり、開閉弁V5を有している。
【0020】
また、本実施形態において、バラスト水濾過装置2は、濾過処理中にフィルタの洗浄を行うフィルタ洗浄手段(図示せず)を備えており、フィルタ洗浄手段により排出される洗浄汚水を船外へ排出するラインL8が接続される。ラインL8には、開閉弁V6が設けられる。
【0021】
制御手段5は、バラスト水のバラストタンク4への漲水(バラスト処理)制御及びバラストタンク4からの排水(デバラスト処理)制御のほか、後述する循環路10にバラスト水を循環させる制御行う。これらの制御は、ポンプ1及び、上述した開閉弁V1〜V6の開閉を制御することにより行われる。
【0022】
2.バラスト水の処理運転
次に、以上のように構成された本実施形態のバラスト水処理装置において、バラスト水を処理する処理運転について説明する。
【0023】
2.1 バラスト処理
図2及び図3は、本実施形態に係るバラスト水処理装置におけるバラスト処理(漲水処理)時にバラスト水が流れる経路を示している。まず、図2における太線で示されるラインにバラスト水を流通させてバラストタンク4にバラスト水を導入し、その後、図3における太線で示されるラインにバラスト水を循環させて紫外線リアクタ3の紫外線ランプを冷却する。以下にその詳細を説明する。
【0024】
バラストタンク4にバラスト水を導入する際には、制御手段5は、開閉弁V1,V4,V6を開き、開閉弁V2,V3,V5を閉じ、ポンプ1を起動するとともに、紫外線ランプに通電する。ポンプ1の起動により、シーチェストSC1から船外の水(海水等)が取り込まれ、ラインL1,L2を通ってバラスト水濾過装置2へと通水される。バラスト水濾過装置2へ通水されたバラスト水は、フィルタにより濾過処理された後、ラインL3を通って紫外線リアクタ3へと流れる。ここで、上述したバラスト水濾過装置2のフィルタ洗浄手段により、バラスト水濾過装置2へ流入したバラスト水の一部は、フィルタ洗浄の汚水としてラインL8を通って船外へと排出される。紫外線リアクタ3を通過するバラスト水には紫外線が照射され、殺菌処理がなされる。そして、殺菌処理がなされたバラスト水はラインL6を通過してバラストタンク4へと送り込まれる。
【0025】
なお、紫外線リアクタ3の紫外線ランプの照度を紫外線照射センサ(図示せず)で検出し、紫外線ランプの照度が所定照度になるまでは開閉弁V4を閉じ開閉弁V2を開いておくことで、照射したバラスト水を船外排出口SC2から船外へと排出するようにしてもよい。これにより、取り込み開始直後の、濁度が非常に高く紫外線ランプの照射による殺菌処理が不十分のままにあるバラスト水は船外に排出され、殺菌処理が不十分なバラスト水がバラストタンク4に流入することを防ぐことができる。
【0026】
以上の処理によってバラストタンク4に所望の量のバラスト水が漲水されたと制御手段5が判断したら、開閉弁V5を開き、しばらくして開閉弁V1及び開閉弁V6を閉じることで、図3に示す、バラスト水濾過装置2及び紫外線リアクタ3を通るバラスト水の循環路10を形成する。開閉弁V6をしばらくしてから閉じるのは、循環路10の形成直後はポンプ1前後にバラスト水濾過装置2を通過していないバラスト水が残留しているため、このバラスト水を濾過処理した時に生じる汚水を船外へ排出するためである。
【0027】
循環路10は、具体的には、ラインL1のポンプ1側(下流側)、ラインL3、ラインL4の紫外線リアクタ3側(上流側)、ラインL6及びラインL7を結ぶ閉路である。この際、制御手段5は引き続きポンプ1を動作させ、紫外線リアクタ3を通電させた状態でバラスト水を所定時間循環させる。これにより、循環するバラスト水は濾過処理及び殺菌処理の行われたバラスト水となる。ここで、所定時間とは、循環路10内のバラスト水全体に紫外線リアクタ3による紫外線照射が行われるのに十分な時間であり、例えば、循環路の長さが200m、ポンプ1により与えられるバラスト水の流速が2m/sであった場合、循環を開始させてから約2分とされる。
【0028】
そして、紫外線リアクタ3を通電させた状態でバラスト水を所定時間循環させた後、紫外線リアクタ3への通電を切り、紫外線リアクタ3への通電を切った状態で、制御手段5はさらに循環路10内のバラスト水を循環させて、紫外線リアクタ3の紫外線ランプを冷却する。これにより、紫外線ランプの冷却のために循環させるバラスト水として、濾過処理及び殺菌処理の行われたものが用いられることになる。
【0029】
2.2 デバラスト処理
図4図7は、本実施形態に係るバラスト水処理装置におけるデバラスト処理(排水処理)時にバラスト水が流れる経路を示している。まず、図4における太線で示されるラインによりバラストタンク4内のバラスト水を船外に排出し、その後、図5図7の順に経路を変更して、図7における太線で示されるラインにバラスト水を循環させて紫外線リアクタ3の紫外線ランプを冷却する。以下にその詳細を説明する。
【0030】
バラストタンク4から船外排出口SC2を介してバラスト水を船外へ排出する際には、図4に示すように、制御手段5は、開閉弁V5,V3,V2を開き、開閉弁V1,V4,V6を閉じ、ポンプ1を起動するとともに紫外線ランプに通電する。ポンプ1の起動により、バラストタンク4の水がラインL7、ラインL1、ラインL2、ラインL3、を通ってシーチェストSC1から船外へと排出される。ここで、船外へ排出するバラストタンク4内のバラスト水がバラスト水濾過装置2を通らず、ラインL5によりバイパスされているのは、バラストタンク4内のバラスト水が、上述したバラスト処理時に一度濾過処理を行っているためである。
【0031】
なお、バラストタンク4内のバラスト水の残量が少なくなってからは、ポンプ1がキャビテーションを起こさないよう開閉弁V1を開き、船外から取り込んだ水と一緒にバラストタンク4内のバラスト水を排水するのが好ましい。この場合は、開閉弁V3を閉じて開閉弁V6を開き濾過装置2も行ってから排水しても良い。
【0032】
バラストタンク4内のバラスト水を全てあるいは所望の量排出した後は、図5に示すように、開閉弁V5を閉じる一方開閉弁V1を開いてシーチェストSC1と船外排出口SC2を結ぶ経路を形成し、次いで図6に示すように、開閉弁V2を閉じてシーチェストSC1から取り込んだバラスト水をバラスト水濾過装置2及び紫外線リアクタ3を通るように循環させる循環路10を形成する。循環路10は、バラスト処理時と同一であり、ラインL1のポンプ1側(下流側)、ラインL3、ラインL4の紫外線リアクタ3側(上流側)、ラインL6及びラインL7を結ぶ閉路である。なお、この段階では、開閉弁V1は開いたままとし、循環路10全体にシーチェストSC1から取り込んだバラスト水が満たされるようにする。また、バラスト水濾過装置2のフィルタ洗浄手段は、バラスト水濾過装置2へ流入したバラスト水の一部を、フィルタ洗浄の汚水としてラインL8を通って船外へと排出する。
【0033】
そして、循環路10全体にバラスト水が満たされたと制御手段5が判断したら、開閉弁V1を閉じ、しばらくして開閉弁V6を閉じる。開閉弁V6をしばらくしてから閉じるのは、バラスト時と同様、ポンプ1前後のバラスト水を濾過処理した時に生じる汚水を船外へ排出するためである。この際、図7に示すように、制御手段5は引き続きポンプ1を動作させ、紫外線リアクタ3を通電させた状態で循環路10内にバラスト水を所定時間循環させる。これにより、循環するバラスト水は濾過処理及び殺菌処理の行われたバラスト水となる。ここで、所定時間とは、バラスト処理後と同様、循環路10内のバラスト水全体に紫外線リアクタ3による紫外線照射が行われるのに十分な時間であり、例えば、約2分とされる。
【0034】
そして、紫外線リアクタ3を通電させた状態でバラスト水を所定時間循環させた後、紫外線リアクタ3への通電を切り、紫外線リアクタ3への通電を切った状態で制御手段5はさらに循環路10内のバラスト水を循環させて、紫外線リアクタ3の紫外線ランプを冷却する。これにより、紫外線ランプの冷却のために循環させるバラスト水として、濾過処理及び殺菌処理の行われたものが用いられることになる。
【0035】
4.作用効果
以上説明した実施形態によれば次の作用効果を奏することができる。
(イ)本実施形態に係るバラスト水処理装置は、バラスト処理時においてもデバラスト処理時においても、紫外線リアクタ3の紫外線ランプの冷却のために循環させるバラスト水として、船外の海水等を濾過処理及び殺菌処理の行われたものが用いられる。したがって、冷却処理後、循環路10に冷却に用いたバラスト水が残存していたとしても、紫外線照射による殺菌処理がなされていないバラスト水が配管中に残ってしまい、次の港に微生物が運ばれてしまうことを防止することができる。
(ロ)デバラスト処理時において循環路10を循環させるバラスト水は、バラストタンク4内のバラスト水を所望の量まで排出した後、シーチェストSC1から海水等を取り込んで濾過処理及び殺菌処理するものであるから、バラストタンク4内に残すバラスト水を0にするか少量にする場合であっても、循環路10を循環させるバラスト水に空気(気泡)が混入してポンプ1がキャビテーションを起こし、うまく循環が行われないという状況を防ぐことができる。
(ハ)紫外線リアクタ3の紫外線ランプの冷却時には、一度バラスト水濾過装置2を通ったバラスト水が循環するため、バラスト水を循環させず、シーチェストSC1から海水等を取り込んで船外排出口SC2から排出するバラスト水を冷却水とする場合と比較して、バラスト水濾過装置2のフィルタの負荷を低減することができる。
【0036】
5.変形例
本発明に係るバラスト水処理装置を以下の形態においても実施することができる。
【0037】
上述した実施形態においては、紫外線リアクタ3の紫外線ランプを冷却するものとして、シーチェストSC1から取り込んだ海水等を循環させて用いていたが、バラスト処理時においては、バラストタンク4内のバラスト水を循環させて、冷却のための水とすることも可能である。
【0038】
上述した実施形態においては、バラスト処理後の冷却時であってもデバラスト処理後の冷却時であっても、図3及び図7に示すように、循環路10にバラスト水濾過装置2を含むよう構成されていたが、図8に示すように、何れの冷却時においても、制御手段5が、バラスト水濾過装置2を含まない循環路11(ここでは、バラスト水濾過装置2をバイパスするラインL5を通る循環路)に殺菌処理後のバラスト水を循環させるよう構成することができる。この場合、バラスト水濾過装置2のフィルタの負荷をより低減することができる。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。特に、圧送部はポンプに制限されず、発明の均等な範囲において開閉弁やポンプの上流下流に係る順序を一部入れ替えたり、新たなライン、開閉弁、ポンプ等を追加してもかまわない。
【符号の説明】
【0040】
1 :ポンプ
2 :バラスト水濾過装置
3 :紫外線リアクタ
4 :バラストタンク
5 :制御手段
10,11 :循環路
11 :循環路
L1〜L8 :ライン
SC1 :シーチェスト
SC2 :船外排出口
V1〜V6 :開閉弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8