(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
以下、本発明を室内の天井面の略中央に専用の金具で固定して使用するプロジェクタ(投影部)10に適用した場合の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、このプロジェクタ10の主として電子回路の機能構成を説明する。同図中、データ記憶部11から投影すべき画像データが読出され、バスBを介して投影画像駆動部12に送られる。
【0014】
このデータ記憶部11にはまた、後述する補正マスクデータや視点補正行列群データ等も記憶される。
【0015】
上記投影画像駆動部12は、送られてきた画像データに応じて、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば120[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、表示素子であるマイクロミラー素子13を表示駆動する。
【0016】
このマイクロミラー素子13は、アレイ状に配列された複数個、例えばWXGA(横1280画素×縦768画素)分の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作して表示動作することで、その反射光により光像を形成する。
【0017】
一方で、光源部14から時分割でR,G,Bの原色光が循環的に出射される。光源部14は、半導体発光素子であるLEDを有し、R,G,Bの原色光を時分割で繰返し出射する。光源部14が有するLEDは、広義でのLEDとして、LD(半導体レーザ)や有機EL素子を含むものとしても良い。
【0018】
また、LEDから出射された光を蛍光体に照射することで励起される、元の光とは波長が異なる原色光を用いるものとしても良い。この光源部14からの原色光が、ミラー15で全反射して上記マイクロミラー素子13に照射される。
【0019】
そして、マイクロミラー素子13での反射光で光像が形成され、形成された光像が投影レンズ部16を介して外部に投射される。
【0020】
この投影レンズ部16は、所謂魚眼レンズと呼称される超広角レンズにより、基部方向を除く全球画像を投影するもので、例えば投影光軸に沿った平面において投影画角270°、投影光軸と直交する平面において投影画角360°を実現するものである。
上記投影画像駆動部12、マイクロミラー素子13、光源部14、ミラー15、及び投影レンズ部16により投影系PIを構成する。
【0021】
上記各回路の動作すべてをCPU17が制御する。このCPU17は、メインメモリ18及びプログラムメモリ19と直接接続される。メインメモリ18は、例えばSRAMで構成され、CPU17のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ19は、電気的書換可能な不揮発性メモリ、例えばフラッシュROMで構成され、CPU17が実行する動作プログラム、その他各種定型データ等を記憶する。
【0022】
CPU17は、上記プログラムメモリ19に記憶されている動作プログラムや定型データ等を読出し、メインメモリ18に展開して記憶させた上で当該プログラムを実行することにより、このプロジェクタ10を統括して制御する。
【0023】
上記CPU17は、操作部20からの操作信号に応じて各種投影動作を実行する。この操作部20は、プロジェクタ10の本体に備えるいくつかの操作キー、及びこのプロジェクタ10専用の図示しないリモートコントローラからのキー操作信号を実施する受信部を含み、受付けたキー操作信号に応じた信号を上記CPU17へ送出する。
【0024】
上記CPU17はさらに、上記バスBを介して音声処理部21、通信部22と接続される。
音声処理部21は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声信号をアナログ化し、スピーカ部23を駆動して放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
【0025】
通信部22は、例えばIEEE802.11a/11b/11g/11n/11ac規格に則った無線LAN通信、及びIEEE802.15規格に則った近距離無線通信によりアンテナ24を介してプロジェクタ10外部の機器とデータの送受信を行なう。
【0026】
次に上記実施形態の動作について説明する。
図2は、上記プロジェクタ10の使用を想定した部屋RMと観賞者EJの環境の例を示す図である。同図で、プロジェクタ10は部屋RMの天井面の略中央に専用の天吊り金具(図示せず)により設置されるもので、投影レンズ部16の投影光軸が直下方向に向けられる。
【0027】
ここでは、観賞者EJがプロジェクタ10のほぼ真下に載置されたソファSFに腰掛けた状態で、図の左方の壁に対向している。この観賞者EJから見て右後方のコーナー部に棚SLが設置されている。
【0028】
プロジェクタ10を設置した当初の初期設定動作として、観賞者EJの視点位置を設定する視点補正処理を実行する。また、部屋RMの模様替えなどで棚SLを含む家具の配置換えなどが実行された場合も、投影面が変わるために上記視点補正処理を実行する必要がある。
【0029】
図3は、上記
図2の投影環境でプロジェクタ10が認識すべき投影面を示す。すなわちここで投影面は、天井面TP、壁面WL1,WL2,WL3,WL4、床面FL、棚上面ST、棚側面SS1,SS2からなる。なお、上記壁面WL4は、この
図3において、部屋RMを切り開いた状態としているために図示していないが、上記壁面WL2と対向して、上記壁面WL1,WL3と隣接する、手前側の壁面である。
【0030】
次に
図4を用いて、上述したプロジェクタ10を設置した当初に実行する初期設定動作の基本的な処理の流れについて説明する。
【0031】
なお以下に示す動作は、上述した如くプロジェクタ10のCPU17が、プログラムメモリ19から読出した動作プログラム等をメインメモリ18に展開した上で実行するものである。プログラムメモリ19に記憶される動作プログラム等は、このプロジェクタ10の工場出荷時にプログラムメモリ19に記憶されていたもののみならず、ユーザがこのプロジェクタ10を購入した後にバージョンアップ用のプログラム等をインストールする内容を含む。
【0032】
その当初にCPU17は、アンテナ24及び通信部22を介して外部の機器、例えばこのプロジェクタ10専用のアプリケーションプログラムをインストールしたパーソナルコンピュータから、この部屋RMの形状情報を取得する(ステップS101)。
【0033】
すなわち、上記アプリケーションプログラムにおいては、例えば部屋の形状と床面の縦横の辺の寸法、高さ、プロジェクタ10を設置した位置と方向、主要な置物の置き場所と各寸法等を手順に従って入力することにより、必要な情報を作成してプロジェクタ10へ送信する。情報を取得したプロジェクタ10のCPU17は、取得した情報をデータ記憶部11に記憶させる。
【0034】
次いでCPU17は、アンテナ24及び通信部22を介して外部の機器から、観賞者EJの視点位置の情報を取得する(ステップS102)。
【0035】
すなわち上記アプリケーションプログラムにおいては、部屋RM内で観賞者EJが座る位置と視点の高さ、及び主要な視線方向を手順に従って入力することにより、必要な情報を作成してプロジェクタ10へ送信する。これにより、鑑賞者の視点のプロジェクタ10に対する位置情報を取得できる。上記と同様に、情報を取得したプロジェクタ10のCPU17は、取得した情報をデータ記憶部11に記憶させる。
【0036】
部屋の形状情報と観賞者の視点位置情報とを取得したCPU17は、続いて各投影面毎に、観賞者EJの視点から見て画像が自然に連続するように画像の投影位置を変換する視点補正行列を取り纏めた視点補正行列群を作成し、作成した視点補正行列群をデータ記憶部11に記憶させる(ステップS103)。取得する被投影面の面情報としては、平面に限らず曲面でも良い。
【0037】
さらにCPU17は、これら作成した視点補正行列群から、投影する画像中の画素位置に対応して、該当する投影面の視点補正行列を割り当てるための補正マスク情報を作成し、作成した補正マスク情報をデータ記憶部11に記憶させて(ステップS104)、以上でこの
図4の処理を終了する。。
【0038】
図5は、上記
図4の処理によってCPU17に作成された補正マスク情報を示す図である。上述したように投影レンズ部16は魚眼レンズであり、投影光軸に沿った平面での投影画角が270°程度、投影光軸と直交する平面での投影画角が360°であるものとする。
【0039】
投影に用いる元画像は円形となっており、同図中に示すように各投影面の領域範囲が区分して設定されている。これら区分された各投影面の領域範囲毎に、対応する補正視点行列がデータ記憶部11に記憶されており、それら補正視点行列を用いた座標変換を画像データに施すことで、観賞者EJの視点位置から見た画像が各投影面で自然に連続したものとなる。
図6は、上記のようなプロジェクタ10の初期設定を終え、実際にデータ記憶部11に記憶している動画データ、あるいはアンテナ24、通信部22を介して外部から随時送信されてくる動画データを再生する際に、個々の1フレーム分の画像データに対して実行する、基本的な処理の流れを示す図である。
【0040】
すなわちCPU17では、動画データを構成する個々の画像データに対して、投影前にデータ記憶部11から読出し、あるいはアンテナ24、通信部22を介して当該画像データを取得した上で(ステップS201)、上記補正マスク情報と上記補正視点行列群とによる視点補正演算を実行する(ステップS202)。
【0041】
この視点補正演算においては、上述した如く元となる画像データに対して、補正マスク情報で区分設定される投影面毎の各画素情報を、対応する補正視点行列を用いて投影する座標位置を変換する演算を実行する。この変換演算により、観賞者EJの視点位置から全体の画像が違和感なく連続しているように見えるようになる。
【0042】
こうして変換実行後の投影画像を用い、投影系PIの投影画像駆動部12によるマイクロミラー素子13の表示動作と、光源部14による発光動作とを同期させて実行することにより、マイクロミラー素子13での反射光による投影画像が投影レンズ部16によって部屋RM内のほぼ全面に渡って投影される(ステップS203)。
【0043】
以上に詳述した如く本実施形態によれば、全天球タイプの画像投影に際して、観賞者が見易い自然な画像を投影することが可能となる。
【0044】
なお上記実施形態では、プロジェクタ10を設置した部屋RMの形状情報と、観賞者EJの視点位置情報がいずれも外部機器より入力されるものとして説明したが、プロジェクタ10自体が上記投影レンズ部16と同等の光学特性を有するレンズ光学系を含む撮像部を備えて、プロジェクタ10により部屋RMを撮影することにより、その形状情報と観賞者の視点位置情報とを取得するものとしても良い。
【0045】
その場合、例えば当該撮影部のレンズ開口に2色のカラーフィルタからなるカラー開口フィルタを設けるものとし、物体までの距離に応じてボケと色ズレが発生するため、その撮影画像から得られるボケと色ズレとを画像解析して、画素毎の物体までの距離を検出可能となる。
【0046】
したがって、得られる距離画像に基づいて、隣り合う画素間の距離の変化の連続性から各投影面を区分設定して位置情報を抽出する一方で、撮影画像から人物抽出処理及び顔認識処理した画像中の位置と上記距離画像とにより観賞者の視点の位置情報を取得することが可能となる。
【0047】
このようにプロジェクタ10自体が撮像部を備えるものとすることで、プロジェクタ10単体で上記
図2乃至
図6を用いて説明した初期設定動作が可能となり、取り扱いがより容易となる。
【0048】
(第2の実施形態)
以下、本発明をポータブルタイプのプロジェクタとし、携帯情報機器、例えばスマートフォンにインストールした専用のアプリプログラムを用いて初期設定するような投影システムに適用した第2の実施形態について説明する。
【0049】
なお、プロジェクタの機能的な回路構成自体は、上記
図1に示した内容と基本的に同様であるものとし、同一部分には同一符号を使用して、その図示と説明とを省略するものとする。
同様に、スマートフォンのハードウェア回路の構成も、周知の技術と同様であるものとして、その図示と説明とを省略する。
【0050】
図7は、スマートフォンにインストールされたアプリケーションプログラムによる、プロジェクタ10の初期設定のための処理内容を示すフローチャートである。同図では、ポータブルタイプのプロジェクタ10を任意の画像投影を行なう場所に設置して電源を投入した上で、観賞者となるユーザが、観賞を行なう位置からスマートフォン側の当該アプリケーションアプリを起動して初期設定を行なうこととなる。
【0051】
その処理当初にスマートフォンでは、プロジェクタ10に対してテストパターン画像の投影を指示するコマンドを送信する(ステップS301)。
【0052】
このコマンドをアンテナ24、通信部22を介して受信したプロジェクタ10側では、CPU17がデータ記憶部11から予め記憶しているテストパターンの画像データを読出して投影系PIにより投影させる。
【0053】
スマートフォンでは、上記コマンド送信後に自動的にカメラモードの、特に撮影を行ないながら撮影範囲を移動させるパノラマ撮影モードを設定して連続的なシャッタボタンの操作を受付け、投影されたテストパターン画像の撮影を実行する(ステップS302)。
【0054】
このパノラマモードでの撮影に際してスマートフォンのユーザは、スマートフォンにより観賞位置から体を横方向に回転させながら撮影を続行し、1周360°の撮影を終えた時点でシャッタ操作をオフする。例えばシャッタボタンを指で押してから、指を離すまで撮影が行なわれる。
【0055】
また、パノラマモードでの撮影時にスマートフォンのレンズ光学系の撮影画角が最も広角となるように設定した状態で、縦(天地)方向の撮影範囲が投影されているテストパターン画像の範囲よりも狭い場合には、ユーザが2回転分連続して撮影を続行し、テストパターン画像の上側と下側とに分けて2周分720°に渡って撮影を行なうものとしても良い。
【0056】
スマートフォンでは、シャッタボタンがオフ操作されたか否かにより、撮影を終了したか否かを判断する(ステップS303)。ここでシャッタボタンがオフ操作されておらず、撮影が終了していないと判断した場合(ステップS303のNo)、パノラマモードでの撮影を続行しながら、シャッタボタンがオフ操作されるのを待機する。
【0057】
上記ステップS303において、シャッタボタンがオフ操作され、撮影を終了したと判断した時点で(ステップS303のYes)、スマートフォンでは撮影したテストパターン画像を、360°の範囲で天球状に連続した画像として境界部分を継ぎ合わせる合成処理を実行する(ステップS304)。
【0058】
合わせてスマートフォンでは、プロジェクタ10に対してテストパターン画像の投影の停止を指示するコマンドを送信する(ステップS305)。
【0059】
このコマンドをアンテナ24、通信部22を介して受信したプロジェクタ10側では、CPU17がその時点で投影系PIによるテストパターン画像の投影を停止させる。
【0060】
さらにスマートフォン側では、上記合成処理により得られた画像に対して、ディスプレイ上で表示しながら、同ディスプレイと一体に設けられたタッチパネルで投影面のコーナーとなる点のタップ入力、投影面の辺となる位置のスクロール入力、及びディスプレイ上での表示位置を移動させるフリック入力を受付けることで、撮影した画像中の投影面を区分する入力をテストパターン画像に対応した座標位置の入力として受付ける(ステップS306)。
【0061】
この場合、さらにタッチパネル上で2本指によるスプレッド操作及びピンチ操作により、ディスプレイで表示している、撮影したテストパターン画像の拡大/縮小を行なうものとしても良い。
【0062】
これらの入力受付を行ないながら、さらにすべての投影面の区分入力を終了したことを指示する操作する入力がなされたか否かを判断する(ステップS307)。
【0063】
ここでまだすべての投影面の区分入力を終えておらず、その終了を指示する操作はなされていないと判断すると(ステップS307のNo)、上記ステップS306からの処理に戻り、引き続き投影面の区分入力の受付を実行する。
【0064】
こうしてステップS306,S307の処理を繰返し実行し、投影面の区分入力を受付けながら、その入力を終えたことが操作されるのを待機する。
【0065】
そして上記ステップS307において、すべての投影面の区分入力を終えて、その終了を指示する操作がなされたと判断すると(ステップS307のYes)、スマートフォンでは撮影され、撮影されたテストパターン画像におけるタッチ入力内容から、このプロジェクタ10が設置された環境を構成する複数の投影面毎の位置座標情報を算出して所得する(ステップS308)。
【0066】
次にスマートフォンでは、これら投影面に囲まれたユーザ(観賞者)の視点位置の座標情報を算出して取得する(ステップS309)。
【0067】
部屋の各投影面の座標位置情報と観賞者の視点位置の座標情報とを取得したスマートフォンでは、各投影面毎に、ユーザである観賞者の視点から見て画像が自然に連続するように画像の投影位置を変換する視点補正行列を取り纏めた視点補正行列群を演算により作成する(ステップS310)。
【0068】
さらにスマートフォンでは、これら作成した視点補正行列群から、投影する画像中の画素位置に対応して、該当する投影面の視点補正行列を割り当てるための補正マスク情報を演算により作成する(ステップS311)。
【0069】
最後にスマートフォンは、作成した視点補正行列群の情報と補正マスクの情報とをプロジェクタ10に対して送信し(ステップS312)、以上で
図7に示す一連のプロジェクタ10の初期設定のためのアプリケーションプログラムを終了する。
【0070】
スマートフォンから視点補正行列群の情報と補正マスクの情報とをアンテナ24、通信部22を介して受信したプロジェクタ10のCPU17では、以後、それらの情報に基づいて画像を変形して、この投影環境の形状と観賞者の視点位置とに応じた画像投影を実行可能となる。
【0071】
なお上記実施形態では、視点補正行列群の情報と補正マスクの情報とを演算により作成する処理をスマートフォン側で行なうものとして説明したが、これら演算処理はプロジェクタ10側で実行するものとしても良い。
【0072】
以上に詳述した如く本実施形態によれば、ポータブルタイプのプロジェクタ10に対し、例えばスマートフォンなどの撮像部と通信部とを有する携帯情報機器を用いて初期設定を実施することができるため、取り扱いを簡易化しながら、全天球タイプの画像投影に際して、観賞者が見易い自然な画像を投影することが可能となる。
【0073】
加えて上記実施形態では、携帯情報機器が有するディスプレイと一体化したタッチパネルでの操作により、各投影面を区分設定するための入力を受付けるものとしたので、視覚的に理解し易く、取り扱いをより簡易化できる。
【0074】
なお、上述した如くプロジェクタ10の初期設定を行なう携帯情報機器はスマートフォンに限らず、撮像部と通信部とを有するような機器、例えばタブレットタイプのパーソナルコンピュータコンピュータや一般的なフィーチャーフォン等でも良い。
【0075】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0076】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
画像を投影する投影部と、
上記投影部が投影を行なう複数の被投影面の情報を取得する面情報取得部と、
観賞者の視点の上記投影部に対する位置情報を取得する視点情報取得部と、
上記面情報取得部で取得した複数の被投影面の情報と、上記視点情報取得部で取得した視点の位置情報とにより、上記投影部で投影する画像に対する被投影面毎の変形演算である補正視点変換行列群を作成する行列式作成部と、
画像に対する上記行列式作成部で作成した各補正視点変換行列の対応領域を示す補正マスク情報を作成するマスク作成部と、
画像に対し、上記マスク作成部で作成した補正マスク情報の対応領域毎に上記行列式作成部で作成した各補正視点変換行列で変形演算した後に上記投影部で投影させる投影制御部と、
を備えることを特徴とする投影装置。
[請求項2]
上記投影部の投影範囲を撮影可能なレンズ光学系を有する撮影部と、
上記撮影部で撮影した画像から距離画像を取得する距離画像取得手段と、
をさらに備え、
上記面情報取得部は、上記距離画像から複数の被投影面の位置情報を取得し、
上記視点情報取得部は、上記撮影部で撮影した画像から人物抽出処理及び顔認識処理した画像中の位置と上記距離画像とにより観賞者の視点の位置情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1記載の投影装置。
[請求項3]
画像を投影する投影装置と、上記投影装置の投影範囲を撮影する撮影装置とを有する投影システムであって、
上記投影装置が投影するテストパターン画像を上記撮影装置で観賞者の視点位置から撮影して得られる撮影画像中の複数の被投影面を区分設定する区分設定部と、
上記区分設定部で区分設定した内容から、複数の被投影面の情報と、上記観賞者の視点の上記投影装置に対する位置情報とを取得する取得部と、
上記取得部で取得した複数の被投影面の情報と視点の上記投影装置に対する位置情報とにより、上記投影装置で投影する画像に対する被投影面毎の変形演算である補正視点変換行列群を作成する行列式作成部と、
画像に対する上記行列式作成部で作成した各補正視点変換行列の対応領域を示す補正マスク情報を作成するマスク作成部と、
を上記投影装置及び撮影装置のいずれか一方が備え、
画像に対し、上記マスク作成部で作成した補正マスク情報の対応領域毎に上記行列式作成部で作成した各補正視点変換行列で変形演算した後に上記投影装置で投影させる投影制御部を上記投影装置が備える
ことを特徴とする投影システム。
[請求項4]
上記撮影装置は、表示部と一体化したタッチパネルを備え、
上記区分設定部は、上記投影装置が投影するテストパターン画像を上記撮影装置で観賞者の視点位置から撮影して得られる撮影画像を上記表示部で表示し、表示した画像に対する上記タッチパネルでの操作を受付けて複数の被投影面を区分設定する、
ことを特徴とする請求項3記載の投影システム。
[請求項5]
画像を投影する投影部を備えた装置での投影方法であって、
上記投影部が投影を行なう複数の被投影面の情報を取得する面情報取得工程と、
観賞者の視点の上記投影部に対する位置情報を取得する視点情報取得工程と、
上記面情報取得工程で取得した複数の被投影面の情報と、上記視点情報取得工程で取得した視点の位置情報とにより、上記投影部で投影する画像に対する被投影面毎の変形演算である補正視点変換行列群を作成する行列式作成工程と、
画像に対する上記行列式作成工程で作成した各補正視点変換行列の対応領域を示す補正マスク情報を作成するマスク作成工程と、
画像に対し、上記マスク作成工程で作成した補正マスク情報の対応領域毎に上記行列式作成工程で作成した各補正視点変換行列で変形演算した後に上記投影部で投影させる投影制御工程と、
を有することを特徴とする投影方法。
[請求項6]
画像を投影する投影部を備えた装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、上記コンピュータを、
上記投影部が投影を行なう複数の被投影面の情報を取得する面情報取得部、
観賞者の視点の上記投影部に対する位置情報を取得する視点情報取得部、
上記面情報取得部で取得した複数の被投影面の情報と、上記視点情報取得部で取得した視点の位置情報とにより、上記投影部で投影する画像に対する被投影面毎の変形演算である補正視点変換行列群を作成する行列式作成部、
画像に対する上記行列式作成部で作成した各補正視点変換行列の対応領域を示す補正マスク情報を作成するマスク作成部、及び
画像に対し、上記マスク作成部で作成した補正マスク情報の対応領域毎に上記行列式作成部で作成した各補正視点変換行列で変形演算した後に上記投影部で投影させる投影制御部、
として機能させることを特徴とするプログラム。