特許第6780400号(P6780400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780400
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】画像処理装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20201026BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20201026BHJP
   G06F 3/0481 20130101ALI20201026BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   B41J29/00 T
   H04N1/00 C
   G06F3/0481 170
   B41J29/42 F
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-181375(P2016-181375)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-43463(P2018-43463A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】鴨井 悠介
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−002743(JP,A)
【文献】 特開2006−260379(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0080608(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
B41J 29/42
G06F 3/0481
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが行ないたい処理である第1の処理および当該第1の処理を行なうための設定を受け付ける受付手段と、
受け付けられた前記第1の処理を実行する実行手段と、
前記第1の処理を実行したときに当該第1の処理を再度行なうための第2の処理を行う処理選択部を表示するよう制御する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記第1の処理が正常に終了したときは、第1の処理選択部を表示するよう制御し前記第1の処理が正常に終了しなかったときは、第2の処理選択部を表示するよう制御し、
前記第1の処理選択部の選択によって実行される第2の処理と、前記第2の処理選択部の選択によって実行される第2の処理とでは、処理内容が互いに異なることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記第1の処理が正常に終了したときは、前記設定当該第1の処理を実行する前記第の処理選択部表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記設定で反映した当該第1の処理を実行する前記第の処理選択部を生成し、当該第1の処理が正常に終了したときは、当該第の処理選択部表示するように制御し、当該第1の処理が正常に終了しなかったときは、当該設定を変更するための当該第2の処理選択部を生成し表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記第1の処理の一部が正常に終了しなかったときは、正常に終了しなかった当該第1の処理の一部に対する前記設定を変更するための前記第2の処理選択部表示するように制御することを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記第1の処理が正常に終了しなかったときに表示するように制御した前記第2の処理選択部を、当該第2の処理選択部により前記設定を変更した後に当該第1の処理を再度実行した場合に正常に終了したときは削除することを特徴とする請求項3又は記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記受付手段は、受け付けた前記設定を保存し、
前記表示制御手段は、前記第1の処理が正常に終了しなかったときは、保存された当該設定を削除することを特徴とする請求項乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
自装置の制御を行なう制御部と、
を備え、
前記制御部は、
ユーザが行ないたい処理である第1の処理および当該第1の処理を行なうための設定を受け付ける受付手段と、
受け付けられた前記第1の処理を実行する実行手段と、
前記第1の処理を実行したときに当該第1の処理を再度行なうための第2の処理を行う処理選択部を表示するよう制御する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記第1の処理が正常に終了したときは、第1の処理選択部を表示するよう制御し前記第1の処理が正常に終了しなかったときは、第2の処理選択部を表示するよう制御し、
前記第1の処理選択部の選択によって実行される第2の処理と、前記第2の処理選択部の選択によって実行される第2の処理とでは、処理内容が互いに異なることを特徴とする、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処理装置の表示手段において、自装置で行なうことができる処理の一覧を画像として表示するときがある。そしてユーザはこの一覧の中から実行したい処理を選択する方法が一般的に用いられている。この一覧は、例えば、予め定められた処理に関連付けられたアイコン等の処理選択部を並べることにより構成され、ユーザは、例えば、アイコン等をタッチすることで実行したい処理の選択を行なう。
【0003】
特許文献1には、MFPの制御部は、携帯端末より、画像処理ジョブの実行条件に関する第1の情報と、携帯端末において実行条件を設定する実行条件設定画面の構成に関する第2の情報を受信すると、第1の情報に基づいて画像処理ジョブを予約登録して、操作パネルのジョブの予約一覧に表示し、その後、ジョブの予約一覧から予約ジョブが選択され、詳細表示ボタンをタップされれば、第2の情報の、画面構成情報に基づいて、予約ジョブの設定表示画面を、携帯端末の実行条件設定画面の画面レイアウトに合わせて生成し、操作パネルに表示するように構成したことが開示されている。
また特許文献2には、印刷システムは、情報処理装置のプリンタドライバが、印刷条件を設定する各種設定項目を表示するユーザインターフェイス画面での各設定項目を利用した印刷設定の利用状況を、各設定項目毎に所定の非表示条件と比較し、各設定項目の表示・非表示を制御することが開示されている。
さらに特許文献3には、補助装置において、ショートカット作成部は、情報提供装置のリモートコントローラに対する操作履歴に基づいて、曜日及び時間毎に、連続する複数の操作からなる設定指示をショートカットとして作成し、ショートカット表示部は、ショートカット作成部が作成したショートカットのうちの、現在の曜日における現在の時間を含む所定長の期間内の各ショートカットを、リモートコントローラを介してユーザにより指定可能に表示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−128828号公報
【特許文献2】特開2007−279894号公報
【特許文献3】特開2015−53642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示手段から処理を実行するには、通常は、処理に関する設定を行ない、その後でスタートボタン等を押下することでその処理が開始される。このとき予め設定を登録しておくことで処理に関する設定を行なう手間を軽減する方法が知られている。
しかしながらこの方法は、処理を行なう前に設定を登録する必要があるため、ユーザは、正しい設定がわからないまま登録を行ない、その結果、正しい処理が実行できない設定が登録されてしまう場合がある。
本発明は、処理を実行したときに正常に終了したときと正常に終了しなかったときとで設定を登録するか否かを変更し、登録すべき設定をユーザの負担がより少ない方法で決めることができる処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ユーザが行ないたい処理である第1の処理および当該第1の処理を行なうための設定を受け付ける受付手段と、受け付けられた前記第1の処理を実行する実行手段と、前記第1の処理を実行したときに当該第1の処理を再度行なうための第2の処理を行う処理選択部を表示するよう制御する表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第1の処理が正常に終了したときは、第1の処理選択部を表示するよう制御し前記第1の処理が正常に終了しなかったときは、第2の処理選択部を表示するよう制御し、前記第1の処理選択部の選択によって実行される第2の処理と、前記第2の処理選択部の選択によって実行される第2の処理とでは、処理内容が互いに異なることを特徴とする画像処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記表示制御手段は、前記第1の処理が正常に終了したときは、前記設定当該第1の処理を実行する前記第の処理選択部表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記表示制御手段は、前記設定で反映した当該第1の処理を実行する前記第の処理選択部を生成し、当該第1の処理が正常に終了したときは、当該第の処理選択部表示するように制御し、当該第1の処理が正常に終了しなかったときは、当該設定を変更するための当該第2の処理選択部を生成し表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記表示制御手段は、前記第1の処理の一部が正常に終了しなかったときは、正常に終了しなかった当該第1の処理の一部に対する前記設定を変更するための前記第2の処理選択部表示するように制御することを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記表示制御手段は、前記第1の処理が正常に終了しなかったときに表示するように制御した前記第2の処理選択部を、当該第2の処理選択部により前記設定を変更した後に当該第1の処理を再度実行した場合に正常に終了したときは削除することを特徴とする請求項3又は記載の画像処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記受付手段は、受け付けた前記設定を保存し、前記表示制御手段は、前記第1の処理が正常に終了しなかったときは、保存された当該設定を削除することを特徴とする請求項乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置である
請求項に記載の発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、自装置の制御を行なう制御部と、を備え、前記制御部は、ユーザが行ないたい処理である第1の処理および当該第1の処理を行なうための設定を受け付ける受付手段と、受け付けられた前記第1の処理を実行する実行手段と、前記第1の処理を実行したときに当該第1の処理を再度行なうための第2の処理を行う処理選択部を表示するよう制御する表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第1の処理が正常に終了したときは、第1の処理選択部を表示するよう制御し前記第1の処理が正常に終了しなかったときは、第2の処理選択部を表示するよう制御し、前記第1の処理選択部の選択によって実行される第2の処理と、前記第2の処理選択部の選択によって実行される第2の処理とでは、処理内容が互いに異なることを特徴とする、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、以前に第1の処理を実行したときに正常に終了したときであっても正常に終了しなかったときであってもユーザがより直観的に操作を行なうことができる。
請求項2の発明によれば、第1の処理が正常に終了したときは、設定を第2の処理に登録することができ、第1の処理が正常に終了しなかったときは、設定を変更する第2の処理を生成してユーザが容易に設定を変更することができる。
請求項3の発明によれば、第1の処理が正常に終了したときは、設定を第2の処理に登録することができ、第1の処理が正常に終了しなかったときは、設定を変更する第2の処理を生成してユーザが容易に設定を変更することができる。
請求項4の発明によれば、ユーザは、設定について変更を行なう必要があるものを簡単に認識でき、より少ない手間で設定の変更を行なうことができる。
請求項5の発明によれば、第2の処理がいわば自動的に削除され、ユーザの手間がさらに軽減される。
請求項6の発明によれば、正しい処理が実行できない設定を残らなくすることができる。
請求項の発明によれば、第1の処理を実行したときに正常に終了したときでも正常に終了しなかったときでもユーザがより直観的に操作を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置のハードウェア構成例を示した図である。
図2】操作パネルに表示される画像の一例を示した図である。
図3】制御部の機能構成例を示したブロック図である。
図4】第1の実施形態における制御部の動作について説明したフローチャートである。
図5】(a)〜(b)は、操作パネルに表示されるワンタッチアプリのアイコンを示した図である。
図6】第2の実施形態における制御部の動作について説明したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<画像形成装置の全体構成の説明>
図1は、画像形成装置のハードウェア構成例を示した図である。
画像形成装置10は、紙等の記録媒体に画像を形成し、印刷媒体として出力する装置である。画像形成装置10は、プリンタ機能を備えるが、これに加えて例えば、スキャナ機能、ファクシミリ機能等の他の画像処理機能を備えている。
【0010】
図示するように、画像形成装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、HDD(Hard Disk Drive)14と、操作パネル15と、画像読み取り部16と、画像形成部17と、通信I/F18とを備える。そしてこれらがバスBを介して必要なデータのやりとりを行なう。
【0011】
CPU11は、ROM13等に記憶された各種プログラムをRAM12にロードして実行することにより、後述する各機能を実現する。
【0012】
RAM12は、CPU11の作業用メモリ等として用いられるメモリである。
ROM13は、CPU11が実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
HDD14は、画像読み取り部16が読み取った画像情報や画像形成部17における画像形成にて用いる画像情報等を記憶する例えば磁気ディスク装置である。
操作パネル15は、各種情報の表示やユーザからの操作入力の受付を行なう例えばタッチパネルである。
【0013】
画像読み取り部16は、原稿に記録された画像を読み取る。ここで、画像読み取り部16は、例えばスキャナであり、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式のものを用いるとよい。
【0014】
画像形成部17は、記録媒体に画像を形成する印刷機構の一例である。ここで、画像形成部17は、例えばプリンタであり、感光体に付着させたトナーを用紙等の記録媒体に転写して像を形成する電子写真方式や、インクを記録媒体上に吐出して像を形成するインクジェット方式のものを用いるとよい。
通信I/F18は、ネットワークを介して他の装置との間で各種情報の送受信を行なう。
【0015】
また本実施の形態では、CPU11、RAM12、ROM13、およびHDD14で、自装置である画像形成装置10の各機構部の制御を行なう制御部(処理装置)100を構成する。
【0016】
<画像形成装置10の動作の説明>
このような画像形成装置10を使用して、ユーザは、例えば、原稿のコピーを行なうことができる。即ち、画像読み取り部16によって読み取られた原稿の画像情報を基に、画像形成部17により画像を記録媒体上に形成することで原稿をコピーすることができる。またユーザは、画像形成装置10に接続されたLAN(Local Area Network)等のネットワーク(図示せず)および通信I/F18を介してPC(Personal Computer)等の外部装置(図示せず)から印刷のジョブを画像形成装置10に送信することでプリントを行なうことができる。即ち、印刷のジョブに含まれる画像情報を基に、画像形成部17により画像を記録媒体上に形成することでプリントすることができる。さらにユーザは、ファクシミリの送受信を行なうことができる。即ち、画像読み取り部16によって読み取られた原稿の画像情報をネットワークおよび通信I/F18を介して送信できる。あるいはユーザは、原稿のスキャンを行なうことができる。即ち、画像読み取り部16によって読み取られた原稿の画像情報をネットワークおよび通信I/F18を介して外部装置に保存できる。
【0017】
<操作パネル15の説明>
次に操作パネル15についてさらに詳しく説明を行なう。
操作パネル15は、上述したように例えばタッチパネルである。操作パネル15をタッチパネルにすることで、画像形成装置10の画像形成条件などの各種情報はタッチパネルに表示される。そしてユーザは、タッチパネルをタッチすることで画像形成条件などの入力操作を行なう。
【0018】
また操作パネル15は、以下のように動作する。
図2は、操作パネル15に表示される画像の一例を示した図である。
この場合、操作パネル15には、画像形成装置10が備える機能を実行するためのアイコンIの一覧が画像として表示されている。この画像は、いわゆるホーム画面である。またこのとき表示されているアイコンIは、予め定められた処理に関連付けられ、選択されることで処理を行なう処理選択部の一例である。
【0019】
図示する例では、操作パネル15は、コピー、ファクス/インターネットファクス、スキャナ(メール送信)、ジョブフロー、どこでもプリント、らくらくファクス、スキャナ(PC保存)、スキャナ(ボックス保存)、ワンタッチコピーのそれぞれの機能を表すアイコンIを表示し、これを一覧としている。
【0020】
そしてユーザは、目的の機能を利用するためには、何れかのアイコンを選択する選択操作を行なう。
選択操作は、例えば、ユーザがアイコンIをタッチする操作である。ユーザがアイコンIをタッチすると、例えば、アイコンIに関連付けられた機能に対応する設定画面が表示される。例えば、「コピー」のアイコンIをタッチすると、原稿のコピーを行なうための設定画面として、コピーを行なう枚数、使用する用紙の選択、白黒/カラーの選択、拡大/縮小の設定を行なう画面が表示される。そして設定後、ユーザが、図示しないスタートボタン等を押下すると、実際のコピー動作が開始される。
即ち、操作パネル15は、アイコン(処理選択部)Iを表示する表示手段として機能する。
【0021】
また本実施の形態では、このうち「ワンタッチコピー」のアイコンIは、ワンタッチアプリと言われるものとなっている。ワンタッチアプリは、ユーザが処理に対し希望する設定を予め行なったときに作成されるものである。つまりワンタッチアプリでは、ユーザが処理に対して希望する設定が既になされている。例えば、上述したコピーを行なう枚数、使用する用紙の選択等が既に設定されている。そのためユーザは「ワンタッチコピー」のアイコンIをタッチすることで、迅速にこの処理を実行することができる。ワンタッチアプリを用意しておくことで、ユーザは、毎回複雑な設定を行う手間を省くことができる。なおワンタッチアプリには、アイコンIをタッチすることで直ちにジョブが起動するもの(ダイレクト実行)と、確認画面を表示してユーザがスタートボタン等を押下することで処理が起動するもの(確認あり実行)がある。
【0022】
しかしながらワンタッチアプリを作成するには、例えば、上述したコピーを行なう枚数、使用する用紙の選択等を予め設定する必要がある。そしてユーザは、正しい設定がわからないまま登録を行ない、その結果、正しい処理が実行できない設定が登録されてしまう場合がある。そしてこのワンタッチアプリを実行した場合、異常終了となり、設定を最初から入力し直す必要が生じることがある。またファクス送信を行なう場合などは、宛先の入力が間違っていると、送信できなかった宛先を再度入力し直す必要が生じることがある。
そこで本実施の形態では、処理を実行したときに正常に終了したときと正常に終了しなかったときとで設定を登録する方法を変更し、これによりユーザの手間を軽減する。
以下これを実現する制御部100の構成について説明を行なう。
【0023】
<制御部100の説明>
図3は、制御部100の機能構成例を示したブロック図である。なお図3では、制御部100が有する種々の機能のうち本実施の形態に関係するものを選択して図示している。
図示するように本実施の形態の制御部100は、受付手段110と、実行手段120と、生成手段130と、画像制御手段140と、出力手段150とを備える。
【0024】
受付手段110は、ユーザから第1の処理および第1の処理を行なうための設定を受け付ける。ここで第1の処理は、ユーザが画像形成装置10で行ないたい処理である。例えば、第1の処理は、図2で図示したアイコンIに関連付けられた処理であり、コピー、ファクス/インターネットファクス等の処理である。また第1の処理を行なうための設定は、第1の処理が、例えば、「コピー」であったときは、上述したコピーを行なう枚数、使用する用紙の選択、白黒/カラーの選択、拡大/縮小の設定等である。このとき受付手段110は、操作パネル15からユーザの指等が操作パネル15の何れの位置に接触しているかの座標情報を取得する。そして受付手段110は、この座標情報から何れのアイコンIが選択されているかを検知する。また受付手段110は、ユーザの操作によりユーザの選択の受け付けをするか否かを決定する。即ち、受付手段110が取得した座標情報から、ユーザの操作がタッチ操作であるか、長押し操作であるかなどを判別し、例えば、タッチ操作のときにユーザからの選択を受け付け、長押し操作のときは、ヘルプ画面を出すなどの他の動作を行なう。
また第1の処理は、例えば、ユーザがPC等の外部装置から印刷のジョブを画像形成装置10に送信することでプリントを行なうときは、この印刷のジョブである。
【0025】
また受付手段110は、第2の処理を受け付ける。詳しくは後述するが、第2の処理は、本実施の形態では、ワンタッチアプリとして生成される。よってユーザが第2の処理を実行したい場合は、ワンタッチアプリをタッチ等する操作を行なう。そして受付手段110は、ワンタッチアプリについてのユーザの選択を受け付ける。
【0026】
実行手段120は、受付手段110によりアイコンIの選択が受け付けられたときに、このアイコンIに関連付けられた処理を実行する。実際には、画像形成装置30の各機構部に対し制御信号を出力し、各機構部を制御することでユーザの希望する処理を実現する。
例えば、スキャン処理の場合は、実行手段120は、画像読み取り部16を制御し原稿の画像を読み取る読み取り処理を行なう。さらに実行手段120は、画像処理を行ない、画像処理後の画像情報を後述する出力手段150から出力する。また例えば、コピー処理の場合は、実行手段120は、画像読み取り部16を制御し原稿の画像を読み取る読み取り処理を行なう。さらに実行手段120は、画像処理を行ない、画像処理後の画像情報を画像形成部17に送り、画像形成部17を制御して印刷を行なう。
【0027】
生成手段130は、第1の処理を実行したときに第1の処理を再度行なうための第2の処理(ワンタッチアプリ)を生成する。そして生成手段130は、第1の処理が正常に終了したときと正常に終了しなかったときとで第2の処理(ワンタッチアプリ)の内容を異ならせる。つまり詳しくは後述するが、第1の処理が正常に終了したときと、正常に終了しなかったときとで、別々のワンタッチアプリを生成する。また生成手段130は、第1の処理が正常に終了したときと正常に終了しなかったときのそれぞれに応じて、第2の処理に関連付けられたアイコンIをさらに生成する。
【0028】
画像制御手段140は、操作パネル15における画像の表示を制御する。即ち、画像制御手段140は、図2で説明したような画像の画像情報を作成する。そして後述する出力手段150から画像情報を出力する。これにより操作パネル15では、図2で説明したような画像が表示される。
【0029】
出力手段150は、画像形成装置30の各機構部に対し制御信号を出力する。また出力手段150は、画像情報を出力する必要があるときに、画像情報を出力する。
【0030】
次に制御部100の動作についてさらに詳しく説明を行なう。ここでは、制御部100の動作を、第1の実施形態〜第2の実施形態に分けて説明を行なう。
【0031】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、第1の処理を実行後に、第1の処理を実行したときに第1の処理が正常に終了したときと正常に終了しなかったときのそれぞれに応じて、第2の処理であるワンタッチアプリを生成する場合について説明を行なう。
【0032】
図4は、第1の実施形態における制御部100の動作について説明したフローチャートである。
まずユーザは、第1の処理を行なうための設定を行なう(ステップ101)。この第1の処理は、上述したように、ユーザが行いたい処理であり、「コピー」等の処理である。そしてこの場合、ユーザは、操作パネル15を操作し、コピーを行なう枚数、使用する用紙の選択、白黒/カラーの選択、拡大/縮小等の設定を行なう。
第1の処理の設定を行なうには、上述したように、例えば、図2で示したアイコンIをタッチし、これにより表示される設定画面を操作する。この操作は、受付手段110により受け付けられ、受付手段110は、受け付けた設定を保存する(ステップ102)。
【0033】
次にユーザが、スタートボタン等を押下すると、タッチしたアイコンIに関連付けられた第1の処理が実行される(ステップ103)。ここでは、実行手段120が第1の処理を実行する。
【0034】
次に生成手段130が、第1の処理が正常に終了したか否かを判断する(ステップ104)。
【0035】
そして第1の処理が正常に終了しなかったとき(ステップ104でNo)は、生成手段130は、設定を変更するための第2の処理を生成する(ステップ105)。つまり上記設定を変更するためのワンタッチアプリを新たに生成する。これは第1の処理が「コピー」であった場合、第2の処理は、コピーを行なう枚数、使用する用紙の選択、白黒/カラーの選択、拡大/縮小等の設定を修正するためのワンタッチアプリである。
【0036】
またこのとき生成手段130は、第1の処理の一部が正常に終了しなかったときは、正常に終了しなかった第1の処理の一部に対する設定を変更するための第2の処理を生成するようにしてもよい。例えば、第1の処理がファクス送信やスキャンした原稿の送信などの処理だったときに、送信先が複数であり、一部の送信先に対して送信が失敗したような場合は、送信が失敗した送信先の宛先を変更するだけでよい。よってこの場合は、生成手段130は、送信が失敗した送信先の宛先に対する設定を変更するためのワンタッチアプリを作成する。
【0037】
さらにこのとき生成手段130は、第1の処理が正常に終了しなかった状態により異なる第2の処理を生成してもよい。例えば、第1の処理としてファクス送信を行なったときに、送信先が話し中で送信が失敗したときは、送信先の宛先を再度確認する必要はない。そのため生成手段130は、ダイレクト実行するワンタッチアプリを生成する。一方、送信先の宛先が間違っていたために送信が失敗したときは、ユーザは、送信先の宛先を再度確認する必要がある。そのため生成手段130は、ワンタッチアプリとして確認あり実行するものを生成する。
【0038】
そして生成手段130は、ステップ105において生成されたワンタッチアプリに関連付けられたアイコンIをさらに生成する(ステップ106)。
さらに画像制御手段140が、生成手段130が生成したワンタッチアプリのアイコンIを操作パネル15に表示する(ステップ107)。
【0039】
次に受付手段110は、ステップ106で操作パネル15に表示したワンタッチアプリのアイコンIをユーザがタッチしたか否かを判断する(ステップ108)。ここで、受付手段110は、ワンタッチアプリのアイコンIを、ユーザがタッチした場合に選択を受け付ける。
【0040】
そしてワンタッチアプリのアイコンIを、ユーザがタッチしていない場合(ステップ108でNo)、ステップ108に戻る。
【0041】
対してワンタッチアプリのアイコンIを、ユーザがタッチした場合(ステップ108でYes)、このワンタッチアプリ(第2の処理)を実行する(ステップ109)。ここではワンタッチアプリをダイレクト実行する。
【0042】
このワンタッチアプリは、ユーザが先に行なった設定を変更するものである。よってユーザは、操作パネル15を操作し、先に行なった設定の修正を行なう(ステップ110)。この操作は、受付手段110により受け付けられる。
【0043】
設定の修正後、ユーザが、スタートボタン等を押下すると、再度第1の処理が実行される(ステップ111)。これは実行手段120が実行する。
【0044】
次に生成手段130が、再度行われた第1の処理が正常に終了したか否かを判断する(ステップ112)。
【0045】
そして第1の処理が正常に終了したとき(ステップ112でYes)は、生成手段130は、ステップ105で作成したワンタッチアプリ(第2の処理)を削除する(ステップ113)。つまり生成手段130は、第1の処理が正常に終了しなかったときに生成した第2の処理を、第2の処理により設定を変更した後に第1の処理を再度実行した場合に正常に終了したときは削除する。
【0046】
対して第1の処理が再び正常に終了しなかったとき(ステップ112でNo)、ステップ105で作成したワンタッチアプリ(第2の処理)は維持され、ステップ108に戻る。
【0047】
ステップ113の後、およびステップ104で、第1の処理が正常に終了したとき(ステップ104でYes)は、生成手段130は、設定を反映した第1の処理である第2の処理を生成する(ステップ114)。つまりステップ102で保存された設定に基づき、上記設定がなされたワンタッチアプリを新たに生成する。これは第1の処理が「コピー」であった場合、第2の処理は、コピーを行なう枚数、使用する用紙の選択、白黒/カラーの選択、拡大/縮小等の設定がなされ、この設定が保存されたワンタッチアプリである。
【0048】
そして生成手段130は、ステップ114において生成されたワンタッチアプリに関連付けられたアイコンIをさらに生成する(ステップ115)。
さらに画像制御手段140が、生成手段130が生成したワンタッチアプリのアイコンIを操作パネル15に表示する(ステップ116)。
【0049】
図5(a)〜(b)は、ステップ116およびステップ107で操作パネル15に表示されるワンタッチアプリのアイコンIを示した図である。
このうち図5(a)は、第1の処理が正常に終了したときに、ステップ116で操作パネル15に表示されるワンタッチアプリのアイコンIを示している。
図5(a)では、ワンタッチアプリのアイコンIとして、図2の場合と比較して「いつものコピー」のアイコンIが新たに生成され、加えられている。なおこのアイコンのデザインや名称は、一例であり、ユーザが指定することができる。
【0050】
また図5(b)は、第1の処理が正常に終了しなかったときに、ステップ107で操作パネル15に表示されるワンタッチアプリのアイコンIを示している。
図5(b)では、ワンタッチアプリのアイコンIとして、図5(a)と同様に、「いつものコピー」のアイコンIが新たに生成され、加えられている。ただしここでは、図5(a)の場合区別ができるように、アイコンIのデザインの変更を行ない、アイコンIに「NG」の表記がされている。これによりユーザに対し、設定の変更を行なう必要があることを通知する。また図5(b)のアイコンIで矢印のマークは、このワンタッチアプリがダイレクト実行するものであることを示している。
【0051】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の処理の終了を待たずに、第2の処理であるワンタッチアプリを生成する場合について説明を行なう。
【0052】
図6は、第2の実施形態における制御部100の動作について説明したフローチャートである。
ステップ201〜ステップ203は、図4のステップ101〜ステップ103と同様であるので説明を省略する。
【0053】
ステップ203の後は、生成手段130が、設定を反映した第1の処理である第2の処理を生成する(ステップ204)。つまり上記設定がなされたワンタッチアプリを第1の処理の終了を待たずに新たに生成する。
【0054】
次に生成手段130が、第1の処理が正常に終了したか否かを判断する(ステップ205)。
【0055】
そして第1の処理が正常に終了しなかったとき(ステップ205でNo)は、ステップ204で既に生成した第2の処理を削除する(ステップ206)。即ち、上記設定がなされたワンタッチアプリを削除する。また生成手段130は、このときステップ202で保存された設定を削除する(ステップ207)。これにより誤りが含まれる設定の情報が残らない。
さらに生成手段130は、設定を変更するための第2の処理を生成する(ステップ208)。つまり上記設定を変更するためのワンタッチアプリを新たに生成する。
【0056】
そして生成手段130は、ステップ208において生成されたワンタッチアプリに関連付けられたアイコンIをさらに生成する(ステップ209)。
さらに画像制御手段140が、生成手段130が生成したワンタッチアプリのアイコンIを操作パネル15に表示する(ステップ210)。
【0057】
以後のステップ211〜ステップ216は、図4のステップ108〜ステップ113と同様である。
【0058】
ステップ216の後、およびステップ205で第1の処理が正常に終了したとき(ステップ205でYes)は、生成手段130は、ステップ204で生成された第2の処理(ワンタッチアプリ)を維持する(ステップ217)。
【0059】
そして生成手段130は、ステップ204において生成されたワンタッチアプリに関連付けられたアイコンIをさらに生成する(ステップ218)。
さらに画像制御手段140が、生成手段130が生成したワンタッチアプリのアイコンIを操作パネル15に表示する(ステップ219)。
【0060】
以上説明した画像形成装置10によれば、第1の処理が正常に終了したときは、ユーザが設定した内容のまま登録を行ない、この設定で第1の処理を行なう第2の処理としてワンタッチアプリが生成される。以後、このワンタッチアプリを実行することで、ユーザの希望する設定がなされた処理を実行することができる。
一方、第1の処理が正常に終了しなかったときは、ユーザが設定の内容を変更するための第2の処理であるワンタッチアプリが生成される。そしてユーザは、このワンタッチアプリを実行することで、設定の変更を容易に行なうことができる。
【0061】
このように本実施の形態では、第1の処理を実行したときに正常に終了したときと正常に終了しなかったときとで設定を登録するか否かを変更し、その結果、登録すべき設定をユーザの負担がより少ない方法で決めることができる。
また第1の処理が正常に終了しなかったときに生成されるワンタッチアプリを実行する際には、ユーザは、変更する必要がある事項に対してだけ設定の内容を変更すればよい。これによりユーザは、設定について変更を行なう必要があるものを簡単に認識でき、さらにより少ない手間で設定の変更を行なうことができる。そして第1の処理が正常に終了しなかった状態により異なるワンタッチアプリを生成するようにすることで、ユーザの確認等が不要である場合は、ダイレクト実行することで、ユーザの利便性が向上する。またこのとき生成したワンタッチアプリは、設定の変更後に第1の処理が正常に終了したときは、いわば自動的に削除されるので、ユーザの手間はさらに軽減される。また削除されたことをユーザが認識することで、第1の処理が正常に終了したことをユーザは確認することができる。
【0062】
なお上述した例では、第2の処理としてワンタッチアプリを作成し、これを処理選択部の一例であるアイコンIとして操作パネルに表示していた。ワンタッチアプリの場合、図2で示したようなホーム画面にこれを実行するためのアイコンIが表示され、ユーザは、生成されたことがすぐわかる利点がある。また少ない操作で実行が可能である。ただし1つの設定を登録したワンタッチアプリに対し、1つのアイコンIが生成されるため、ホーム画面上に表示されるアイコンIが増えてしまうことがある。
【0063】
ただし第2の処理としては、ワンタッチアプリに限られるものではない。例えば、第2の処理として、デフォルト値登録やプリセット登録ができるアプリを作成し、これをアイコンIとして表示してもよい。デフォルト値登録は、設定の登録をデフォルト値として行なうものであり、使用する設定が1つの場合に特に有効である。またプリセット登録は、複数の設定を1つにまとめて登録し、その中からユーザが選択を行なうものである。これをアイコンIとして表示する場合、複数の設定の登録を行なってもアイコンIは、1つで済むため、図2で示すホーム画面等にアイコンIをあまり増やしたくない場合に有効である。
【0064】
また上述した例では、ワンタッチアプリを生成する際に、いわば自動的に生成していたが、これに限られるものではなく、例えば、ワンタッチアプリを生成するか否かをユーザに選択させる確認画面を表示するようにしてもよい。またワンタッチアプリ、デフォルト値登録、プリセット登録の何れを行なうか否かをユーザに選択させる画面を表示するようにしてもよい。
【0065】
また上述した例では、処理装置として画像形成装置10を例に取り説明を行なったがこれに限られるものではない。例えば、アプリケーションソフトウェアのアイコン等を並べて表示する携帯電話、スマートフォン、タブレットのような機器に対しても適用できる。
【符号の説明】
【0066】
10…画像形成装置、15…操作パネル、100…制御部、110…受付手段、120…実行手段、130…生成手段、140…画像制御手段、150…出力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6