(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
<MFPの電気的構成>
図1に示されるMFP(Multi-Function Peripheral)1は、画像形成機能および画像読取機能を有する複合機である。MFP1(画像処理装置の一例)は、画像形成機能のための画像形成部11(機能実行部の一例)および画像読取機能のための画像読取部12(機能実行部の一例)を備えている。また、MFP1は、表示部13、操作部14、NFC通信部15(無線通信部の一例)、ファクシミリ通信部16、ネットワーク通信部17および制御部18を備えている。
【0021】
画像形成部11は、MFP1内の搬送路を1枚ずつ搬送されるシートに対して画像データに係る画像(カラー画像又はモノクロ画像)を形成する。画像形成の方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。
【0022】
画像読取部12は、イメージセンサ及びAFE(Analog Front End)などを備えている。画像読取部12では、イメージセンサにより原稿の画像が読み取られて、イメージセンサからアナログ画像信号が出力され、AFEによりそのアナログ画像信号がデジタル画像データに変換される。
【0023】
表示部13は、たとえば、液晶表示器からなる。表示部13には、各種の情報が表示される。
【0024】
操作部14は、操作ボタン(たとえば、スタートキー、テンキー、カーソルキー、戻るボタン)を備えている。操作ボタンの操作により、各種の指示などを操作部14に入力することが可能である。なお、操作部14は、表示部13に一体的に設けられるタッチキーであってもよい。
【0025】
NFC通信部15は、非接触型のICカード2(非接触記憶媒体の一例)との間でのNFC(Near Field Communication)による無線通信のためのアンテナおよびICチップモジュールなどを備えている。NFCは、国際規格であるISO/IEC14443、ISO/IEC18092などに対応する無線通信技術であり、13.56MHz帯の通信周波数を利用する。NFC通信部15にICカード2がかざされる(近づけられる)と、電磁誘導によりICカード2に動作電力が供給されて、NFC通信部15とICカード2との間でキャリアの変調による通信が行われる。
【0026】
ファクシミリ通信部16は、電話回線網を介したファクシミリ通信のために、NCU(Network Control Unit)を内蔵したモデムなどを備えている。
【0027】
ネットワーク通信部17は、LAN(Local Area Network)を経由したネットワーク通信のための回路などを備えている。LANは、有線LANであってもよいし、無線LANであってもよい。また、LANは、有線LANおよび無線LANの両方を含んでいてもよい。
【0028】
制御部18は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)21、ROM22およびRAM23(第1記憶部、第2記憶部の一例)などを備えている。
【0029】
ASIC21は、CPU24(制御部の一例)を内蔵している。ASIC21には、画像読取部12により取得された画像データ、操作部14の操作内容を表す操作信号などが入力される。CPU24は、ASIC21に入力される信号などに基づいて、ROM22に記憶されているプログラムを実行することにより、画像形成部11、画像読取部12および表示部13を制御し、NFC通信部15、ファクシミリ通信部16およびネットワーク通信部17を通信のために制御する。CPU24による制御(プログラム)の実行時、RAM23がワークエリアとして使用される。また、RAM23には、NVRAM(Non Volatile RAM)などの不揮発性メモリ25(第1記憶部の一例)が含まれる。
【0030】
<MFPの使用方法>
MFP1では、画像形成機能および画像読取機能の各単独の機能、それらの機能の組合せ、ならびにそれらの機能と通信機能との組合せにより、ファクシミリ(FAX)機能、スキャン(Scan)機能およびコピー(Copy)機能が実行される。
【0031】
ファクシミリ機能は、画像データを公衆電話回線を介して送受信する機能である。具体的には、ファクシミリ機能は、画像読取部12による画像読取機能により得られる画像データをファクシミリ通信部16からファクシミリ通信の相手先に送信する送信機能と、ファクシミリ通信の相手先からファクシミリ通信部16が受信する画像データを画像形成部11による画像形成機能によりシートに形成する受信機能とを含む。
【0032】
スキャン機能は、画像読取部12による画像読取機能により原稿の画像を読み取って、その画像の画像データを取得する機能である。スキャン機能により取得される画像データは、ネットワーク通信部17からLAN経由でPC(Personal Computer)に送信されてもよいし、MFP1がUSBポートを有している場合には、そのUSBポートに接続されたUSBメモリに格納されてもよい。
【0033】
コピー機能は、画像読取部12による画像読取機能により原稿の画像を読み取って、その画像の画像データを取得し、その取得した画像データに係る画像を画像形成部11による画像形成機能によりシートに形成する機能である。すなわち、コピー機能は、画像形成機能および画像読取機能の組合せにより、原稿の画像と同一の画像をシートに形成する機能である。
【0034】
各種機能の実行には、ユーザがMFP1にログインする必要がある。
【0035】
ユーザがMFP1にログインしていない状態では、MFP1の動作モードが第1モードに設定されている。この第1モードでは、CPU24は、
図2に示されるログイン受付画面31を表示部13に表示させる。ログイン受付画面31では、メッセージ表示領域32に「Login:」と表示され、ユーザ名が表示されていない。メッセージ表示領域32は、ログイン受付画面31の上部に設定されている。ログイン受付画面31の下部には、ファクシミリ機能、スキャン機能およびコピー機能をそれぞれ選択するためのファクシミリ選択ボタン33、コピー選択ボタン34およびスキャン選択ボタン35が表示されている。ファクシミリ選択ボタン33、コピー選択ボタン34およびスキャン選択ボタン35には、たとえば、それぞれ「Fax」、「Copy」および「Scan」の文字が表示されている。
【0036】
ログイン受付画面31が表示部13に表示されている状態では、MFP1の使用権限を有するユーザは、MFP1にログインすることができる。MFP1へのログインおよびMFP1からのログアウトには、ICカード2が使用される。ICカード2には、CPUや各種のメモリを含む構成のICチップモジュールが内蔵されており、ICチップモジュールのメモリには、ICカード2に固有のカードID(第2識別情報の一例)が記憶されている。ユーザがICカード2をNFC通信部15にかざすことにより、NFC通信部15の交信エリア内にICカード2が入ると、ICカード2とNFC通信部15との間でNFCによる無線通信(NFC通信)が行われて、NFC通信部15により、ICカード2からカードIDが読み取られる。
【0037】
RAM23に含まれる不揮発性メモリ25(
図1参照)には、ユーザ認証用データベースが構築(記憶)されている。このユーザ認証用データベースには、
図3に示されるように、MFP1の使用権限を有するユーザのユーザID(第1識別情報の一例)が記憶(登録)されている。また、ユーザ認証用データベースには、各ユーザIDに対応づけて、ユーザが所有するICカード2のカードIDと、ユーザが実行可能な機能とが登録されている。
【0038】
図3に示される一例では、MFP1の使用権限を有するユーザAのユーザID「UserA」およびユーザBのユーザID「UserB」が不揮発性メモリ25に記憶されている。そして、不揮発性メモリ25には、ユーザID「UserA」と対応づけて、ユーザAが所有するICカード2のカードID「5678」と、ユーザAが実行可能な機能としてファクシミリ機能、コピー機能およびスキャン機能とが記憶されている。また、不揮発性メモリ25には、ユーザID「UserB」と対応づけて、ユーザBが所有するICカード2のカードID「9012」と、ユーザBが実行可能な機能としてコピー機能およびスキャン機能とが記憶されている。
【0039】
ICカード2とNFC通信部15との間で無線通信が行われると、CPU24は、ICカード2に記憶されているカードIDをNFC通信部15を介して受信する。そして、その受信したカードID(NFC通信部15によりICカード2から読み取られたカードID)に対応するユーザIDが不揮発性メモリ25に記憶されているユーザ認証用データベースに登録されているか否かを判別する。
【0040】
カードIDに対応するユーザIDがユーザ認証用データベースに登録されている場合、ユーザ認証が成功となり、CPU24は、カードIDに対応するユーザIDをユーザ認証用データベースから読み出し、そのユーザIDをRAM23に記憶させる。また、CPU24は、MFP1の動作モードを第1モードから第2モードに切り替える。これにより、ユーザがMFP1にログインした状態となる。第2モードでは、MFP1において、RAM23に記憶されているユーザID(ログイン中のユーザのユーザID。第3識別情報の一例)に対応づけて不揮発性メモリ25に記憶されている機能が実行可能である。一方、カードIDに対応するユーザIDがユーザ認証用データベースに登録されていない場合、ユーザ認証が失敗となり、CPU24は、カードIDに対応するユーザIDをRAM23に記憶させない。
【0041】
ユーザのログインに応じて(第1モードから第2モードへの切り替わりに応じて)、CPU24は、表示部13の表示をログイン受付画面31から機能選択画面41(第1画面の一例)に切り替える。機能選択画面41では、メッセージ表示領域32に「Login:」と表示され、その右側にログイン中のユーザのユーザID(たとえば、「UserA」)が表示される。また、機能選択画面41では、ログイン受付画面31から引き続いて、ファクシミリ選択ボタン33、コピー選択ボタン34およびスキャン選択ボタン35が表示されている。
【0042】
なお、機能選択画面41では、ユーザが実行可能な機能と実行不可能な機能とが区別して表示されてもよい。たとえば、ユーザBがログインした場合、ユーザBが実行可能なコピー機能を選択するためのコピー選択ボタン34およびスキャン機能を選択するためのスキャン選択ボタン35の表示色が背景色と反転して表示され、ユーザBが実行不可能なファクシミリ機能を選択するためのファクシミリ選択ボタン33の表示色が背景色と同色で表示されてもよい。
【0043】
機能選択画面41の表示中に、ログイン中のユーザが自己のICカード2をNFC通信部15にかざすと、ユーザがMFP1からログアウトとなる。すなわち、ICカード2がNFC通信部15にかざされて、ICカード2とNFC通信部15との間で無線通信が行われると、CPU24は、ICカード2に記憶されているカードIDをNFC通信部15を介して受信する。そして、その受信したカードIDに対応するユーザIDがRAM23に記憶されているか否かを判別する。カードIDに対応するユーザIDがRAM23に記憶されている場合、CPU24は、RAM23に記憶されているユーザIDを消去し、MFP1の動作モードを第2モードから第1モードに切り替える。これにより、ユーザがMFP1からログアウトとなる。ユーザのログアウトに応じて、CPU24は、表示部13の表示を機能選択画面41からログイン受付画面31に戻す。
【0044】
機能選択画面41の表示中に、操作部14の操作により、ユーザが実行可能な機能に対応するファクシミリ選択ボタン33、コピー選択ボタン34およびスキャン選択ボタン35のうちの1つが選択されると、CPU24は、表示部13の表示を機能選択画面41から設定画面51(第2画面の一例)に切り替える。設定画面51は、ユーザが選択したファクシミリ選択ボタン33、コピー選択ボタン34またはスキャン選択ボタン35に対応する機能に関する設定を行う画面である。設定画面51では、メッセージ表示領域32に「Login:」の文字とログイン中のユーザのユーザIDが引き続き表示される。また、設定画面51では、メッセージ表示領域32の下側の設定内容表示領域52に設定内容が表示され、設定内容表示領域52の右側に機能の実行を指示するスタートボタン53が表示される。
【0045】
設定画面51の表示中に、ログイン中のユーザのICカード2がNFC通信部15にかざされても、ログイン中のユーザはMFP1からログアウトされない。設定画面51の表示中にログイン中のユーザがログアウトを所望する場合、ユーザは、たとえば、操作部14に設けられている戻るボタンを押して、表示部13の表示を設定画面51から機能選択画面41に戻した後、ICカード2をNFC通信部15にかざすことにより、MFP1からログアウトすることができる。
【0046】
操作部14の操作により、設定画面51に表示されているスタートボタン53が押されると、CPU24は、表示部13の表示を設定画面51から機能実行中画面61(第3画面の一例)に切り替える。機能実行中画面61では、設定画面51からメッセージ表示領域32の表示内容が変更されず、メッセージ表示領域32の下側の進行状況表示領域62に機能の進行状況が表示される。
【0047】
実行中の機能が終了すると、CPU24は、表示部13の表示を機能実行中画面61から機能選択画面41に切り替える。
【0048】
機能実行中画面61の表示中に、ログイン中のユーザのICカード2がNFC通信部15にかざされた場合、つまり、機能実行中画面61の表示中に、CPU24がICカード2からNFC通信部15を介してカードIDを受信し、その受信したカードIDに対応するユーザIDがRAM23に記憶されている場合、CPU24は、表示部13の表示を機能実行中画面61からログアウト確認画面71(第4画面の一例)に切り替える。ログアウト確認画面71では、メッセージ表示領域32にログアウトを確認するメッセージ「Log out?」が表示され、その下側に「YES」選択ボタン72および「NO」選択ボタン73が表示される。
【0049】
操作部14の操作により「YES」選択ボタン72が押された場合、CPU24によりRAM23からユーザIDが消去されて、ログイン中のユーザがMFP1からログアウトとなる。この場合、CPU24は、表示部13の表示をログアウト確認画面71からログイン受付画面31に切り替える。
【0050】
操作部14の操作により「NO」選択ボタン73が押された場合には、ログイン中のユーザはMFP1からログアウトされない。この場合、CPU24は、表示部13の表示をログアウト確認画面71から機能実行中画面61に戻す。
【0051】
<ログイン/ログアウト処理>
ユーザのログインおよびログアウトのために、CPU24は、
図4に示されるログイン/ログアウト処理を実行する。
【0052】
ログイン/ログアウト処理では、ICカード2とNFC通信部15との間でNFC通信が行われるまで、以下に説明する処理(S2〜S18)が実行されない(S1:NO)。
【0053】
ICカード2とNFC通信部15との間でNFC通信が行われると(S1:YES)、NFC通信部15により、ICカード2からカードIDが読み取られる。CPU24は、そのNFC通信部15によりICカード2から読み取られたカードIDを受信する(S2:識別情報受信処理の一例)。
【0054】
その後、CPU24は、MFP1の使用権限を有するユーザの誰かがログインしている状態(以下、この状態を「ユーザログイン中」という。)であるか否かを判別する(S3)。この判別に代えて、MFP1の動作モードが第2モードであるか否かが判別されてもよい。MFP1の動作モードが第2モードである場合、ユーザログイン中であり、MFP1の動作モードが第2モードでない場合、つまり第1モードである場合、ユーザログイン中でないと判別することができる。さらに、RAM23にユーザIDが記憶されているか否かが判別されて、RAM23にユーザIDが記憶されている場合、MFP1の動作モードが第2モードであり、ユーザログイン中であると判別され、RAM23にユーザIDが記憶されていない場合、MFP1の動作モードが第1モードであり、ユーザログイン中でないと判別されてもよい。また、表示部13にログイン受付画面31(
図2参照)が表示されているか否かが判別されて、表示部13にログイン受付画面31が表示されていない場合、MFP1の動作モードが第2モードであり、ユーザログイン中であると判別され、表示部13にログイン受付画面31が表示されている場合、MFP1の動作モードが第1モードであり、ユーザログイン中でないと判別されてもよい。
【0055】
ユーザログイン中でなく(S3:NO)、MFP1の使用権限を有するユーザの誰もログインしていない状態である場合、CPU24は、NFC通信部15から受信したICカード2のカードIDが不揮発性メモリ25のユーザ認証用データベースに登録されているか否かのユーザ認証を行う(S4)。
【0056】
そして、CPU24は、ユーザ認証が成功か否かを判別する(S5)。
【0057】
ユーザ認証が成功である場合(S5:YES)、つまりカードIDがユーザ認証用データベースに登録されている場合、CPU24は、ユーザ認証用データベースからカードIDに対応するユーザIDを読み出し、そのユーザIDをRAM23に記憶させ、また、MFP1の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることにより、ユーザをMFP1にログインさせる(S6:ユーザログイン。第1ログイン処理の一例)。
【0058】
また、CPU24は、ユーザ認証用データベースを参照し、ユーザIDと対応づけて記憶されているユーザが実行可能な機能を確認して、その実行可能な機能の実行を許可し(S7)、許可した機能をRAM23に記憶させる。
【0059】
CPU24は、ここでログイン/ログアウト処理を一旦終了するが、その後、ログイン/ログアウト処理を再び実行する。
【0060】
ICカード2とNFC通信部15との間でのNFC通信が再び行われると(S1:YES)、CPU24は、カードIDの受信後(S2)、ユーザログイン中であるか否かを判別する(S3)。
【0061】
ユーザログイン中である場合(S3:YES)、CPU24は、ユーザ認証を行う(S8)。
【0062】
ユーザ認証が成功である場合(S9:YES)、CPU24は、ユーザ認証用データベースからカードIDに対応するユーザIDを読み出し、そのユーザIDがRAM23に記憶されているユーザIDと一致するか否かを判別する(S10)。この判別により、ユーザ認証に成功したユーザがログイン中のユーザであるか否かが判別されることになる。
【0063】
ユーザ認証に成功したユーザがログイン中のユーザであり、カードIDに対応するユーザIDがRAM23に記憶されているユーザIDと一致した場合(S10:YES)、CPU24は、表示部13に機能選択画面41が表示されているか否かを判別する(S11)。
【0064】
表示部13に機能選択画面41が表示されている場合には(S11:YES)、CPU24は、MFP1の動作モードを第2モードから第1モードに切り替え、また、RAM23に記憶されているユーザIDを消去することにより、ユーザをMFP1からログアウトさせる(S12:第1ログアウト処理の一例)。
【0065】
表示部13に機能選択画面41が表示されていない場合には(S11:NO)、CPU24は、表示部13に設定画面51が表示されているか否かを判別する(S13)。
【0066】
そして、表示部13に設定画面51が表示されている場合には(S14:YES)、CPU24は、RAM23に記憶されているユーザIDを消去せず、ログイン中のユーザのログインを維持する。設定画面51が表示部13に表示されるのは、機能選択画面41でファクシミリ選択ボタン33、コピー選択ボタン34およびスキャン選択ボタン35のうちの1つが選択された場合であるから、設定画面51の表示中にログイン中のユーザのICカード2がNFC通信部15に近づけられたのは、ログイン中のユーザの意図ではなく非接触記憶媒体が無線通信部に近づいた可能性が高いと考えられる。ログイン中のユーザがログアウトされずに、そのログインが維持されることにより、ログイン中のユーザの意図しないログアウトが抑制される。
【0067】
表示部13に設定画面51が表示されておらず、機能実行中画面61が表示部13に表示されている場合(S13:NO)、CPU24は、ログアウト確認画面71を表示部13に表示させる(S14)。
【0068】
そして、CPU24は、ログアウト確認画面71の「YES」選択ボタン72が押されることによるログアウト指示の有無を判別する(S15)。
【0069】
ログアウト指示があった場合(S15:YES)、CPU24は、MFP1の動作モードを第2モードから第1モードに切り替え、また、RAM23に記憶されているユーザIDを消去することにより、ユーザをMFP1からログアウトさせる(S16:第3ログアウト処理の一例)。
【0070】
ログアウト確認画面71の「YES」選択ボタン72が押されず、「NO」選択ボタン73が押された場合には、ログアウト指示がないので(S15:NO)、CPU24は、RAM23に記憶されているユーザIDを消去せず、ログイン中のユーザのログインを維持する。
【0071】
一方、ユーザ認証に成功したユーザがログイン中のユーザでなく、カードIDに対応するユーザIDがRAM23に記憶されているユーザIDと一致しない場合(S10:NO)、CPU24は、RAM23に記憶されているユーザIDを消去し、これにより、ユーザをMFP1からログアウトさせる(S17)。ユーザのログイン中に、ログイン中のユーザとは別のユーザのICカード2がNFC通信部15にかざされた場合、NFC通信部15の近傍にログイン中のユーザが存在しないと考えられる。したがって、ログイン中のユーザをログアウトさせることにより、別のユーザがMFP1にログインしてMFP1の機能を実行することが可能となる。
【0072】
その後、CPU24は、カードIDに対応するユーザIDをRAM23に記憶させることにより、ユーザをMFP1にログインさせる(S18:ユーザログイン。第2ログイン処理の一例)。
【0073】
また、CPU24は、ユーザ認証用データベースを参照し、ユーザIDと対応づけて記憶されているユーザが実行可能な機能を確認して、その実行可能な機能の実行を許可し(S19)、許可した機能をRAM23に記憶させる。
【0074】
ログイン状態で行われたユーザ認証が成功でなく失敗であった場合(S9:NO)、CPU24は、MFP1の動作モードを第2モードから第1モードに切り替え、また、RAM23に記憶されているユーザIDを消去することにより、ユーザをMFP1からログアウトとさせる(S20:第2ログアウト処理の一例)。
【0075】
<作用効果>
以上のように、NFC通信部15から所定距離内にICカード2が近づけられると、ICカード2とNFC通信部15との間で無線通信が行われて、NFC通信部15によりICカード2からカードIDが読み取られる。この無線通信が行われた場合、CPU24は、ICカード2に記憶されているカードIDをNFC通信部15を介して受信する。
【0076】
不揮発性メモリ25には、ユーザ認証用データベースが構築されており、そのユーザ認証用データベースには、ユーザIDが登録されている。カードIDを受信したときのMFP1の動作モードがMFP1を待機させる第1モードである場合、CPU24により、そのカードIDに対応するユーザIDがユーザ認証用データベースに登録されているか否か(不揮発性メモリ25に記憶されているか否か)が判別される。
【0077】
カードIDに対応するユーザIDがユーザ認証用データベースに登録されている場合、そのカードIDに対応するユーザIDがRAM23に記憶される。また、MFP1の動作モードが第1モードから第2モードに切り替えられる。これにより、NFC通信部15に近づけられたICカード2を所有するユーザがMFP1にログインとなる。また、ユーザ認証用データベースには、ユーザIDとそのユーザIDに対応するユーザが実行可能な機能とが対応づけて登録されており、ユーザログインに応じて、ユーザIDと対応づけてユーザ認証用データベースに登録されている機能の実行が許可される。
【0078】
第2モードでは、機能選択画面41が表示部13に表示される。機能選択画面41では、操作部14に受け付けられる選択操作により、ユーザIDと対応づけてユーザ認証用データベースに登録されている機能のうちの1つを選択することができる。機能選択画面41の表示中に機能を選択する操作が操作部14に受け付けられると、それに応じて機能選択画面41と異なる設定画面51が表示部13に表示される。したがって、機能選択画面41が表示されている状態は、機能を選択する操作が操作部14に受け付けられる前の状態である。この状態でRAM23に記憶されているユーザIDに対応するカードIDを記憶したICカード2がNFC通信部15に再び近づけられるのは、そのICカード2を所有するユーザが機能を選択する操作を行う前に翻意して機能の使用を止める場合と考えられる。そのため、機能選択画面41の表示中に、RAM23に記憶されているユーザIDに対応するカードIDを記憶したICカード2がNFC通信部15に再び近づけられて、NFC通信部15によりそのICカード2からカードIDが読み取られた場合、MFP1の動作モードが第2モードから第1モードに切り替えられ、RAM23に記憶されているユーザIDが消去される。これにより、ログイン中のユーザがMFP1からログアウトとなる。
【0079】
機能選択画面41の表示中に操作部14に機能を選択する操作が受け付けられると、表示部13の表示が機能選択画面41から設定画面51に切り替えられる。機能を選択する操作が行われたことにより、機能選択画面41の表示前にICカード2をNFC通信部15に近づけたユーザに機能を実行する意志があると考えられる。したがって、設定画面51の表示中など、機能選択画面41以外の画面の表示中にRAM23に記憶されているユーザIDに対応するカードIDがICカード2からNFC通信部15によって読み取られるのは、そのICカード2を所有するユーザの意図ではなくICカード2がNFC通信部15に近づいた可能性が高いと考えられる。そのため、設定画面51の表示中にRAM23に記憶されているユーザIDに対応するカードIDがICカード2からNFC通信部15によって読み取られた場合、RAM23に記憶されているユーザIDが消去されず、第2モードが維持される。これにより、ユーザの意図しないタイミングでMFP1の動作モードが第2モードから第1モードに切り替わること、つまりMFP1からのログアウトを抑制できる。
【0080】
第2モードにおいて、RAM23に記憶されているユーザIDに対応するカードIDとは別のカードIDを記憶したICカード2がNFC通信部15に近づけられて、NFC通信部15によりICカード2からカードIDが読み取られた場合、MFP1の近傍にはRAM23に記憶されているユーザIDに対応するカードIDを記憶したICカード2を所有するユーザが存在しないと考えられる。そのため、MFP1の動作モードが第2モードから第1モードに切り替えられ、また、RAM23に記憶されているユーザIDが消去されることにより、ログイン中のユーザがMFP1からログアウトされる。これにより、MFP1の近傍にログイン中のユーザが居ないにもかかわらず、そのユーザのログイン状態が維持されることを抑制できる。
【0081】
そして、ICカード2から読み取られたカードIDに対応するユーザIDがユーザ認証用データベースに登録されている場合、そのユーザIDがRAM23に書き込まれ、MFP1の動作モードが第1モードから第2モードに切り替えられて、NFC通信部15に近づけられたICカード2を所有するユーザがMFP1に新たにログインされる。これにより、MFP1から離れたユーザのログアウト後に、別のユーザによる操作なしで、その別のユーザをMFP1にログインさせることができる。よって、MFP1の操作性を向上させることができる。
【0082】
また、第2モードでは、設定画面51の表示中に操作部14に機能の実行を指示する操作が受け付けられたことに応じて、機能実行中画面61が表示部13に表示される。設定画面51が前記表示部13に表示されておらず、機能実行中画面61が表示部13に表示されている状態で、ICカード2がNFC通信部15に近づけられて、NFC通信部15によりICカード2からカードIDが読み取られ、そのカードIDに対応するユーザIDがRAM23に記憶されている場合、動作モードを第2モードから第1モードに切り替えるか否かを確認するログアウト確認画面71が表示部13に表示される。
【0083】
そして、ログアウト確認画面71の表示中に操作部14に動作モードを第1モードに切り替える操作が受け付けられた場合は、MFP1の動作モードが第2モードから第1モードに切り替えられ、RAM23に記憶されているユーザIDが消去される。一方、ログアウト確認画面71の表示中に操作部14に動作モードを第2モードのまま維持する操作が受け付けられた場合は、MFP1の動作モードが第2モードのまま維持される。
【0084】
よって、ユーザが意図しないタイミングでMFP1からログアウトされることを抑制できながら、ユーザが意図する場合には、ログイン中のユーザをMFP1からログアウトさせることができる。
【0085】
<ゲストログイン/ログアウト処理>
MFP1の使用権限を有するユーザの誰もがMFP1にログインしていない状態では、MFP1の使用権限を有するユーザ以外の者(以下、「ゲスト」という。)による特定の一部の機能の実行が許可されてもよい。この仕様により、ゲストにとってのMFP1の利便性を向上させることができる。この仕様が採用される場合、
図4に示されるログイン/ログアウト処理に代えて、CPU24により、
図5に示されるゲストログイン/ログアウト処理が実行されるとよい。
【0086】
なお、ゲストによる特定の一部の機能の実行が許可されている状態は、MFP1の動作モードが第1モードであり、ユーザログイン中(MFP1の使用権限を有するユーザの誰かがログインしている状態)は、MFP1の動作モードが第2モードである。
【0087】
MFP1の電源が投入されると、ゲストログイン/ログアウト処理が実行される。ゲストログイン/ログアウト処理の開始時には、ユーザが誰もログインしていないので、CPU24は、ゲストIDをRAM23に記憶させることにより、仮想的にゲストをログインさせる(S31:ゲストログイン)。不揮発性メモリ25に構築されているユーザ認証用データベースには、
図3に示されるように、ゲストに対応するゲストID「Guest」が登録されるとともに、ゲストID「Guest」に対応づけて、ゲストが実行可能な特定の機能が記憶されている。
図3に示される一例では、スキャン機能のみがゲストが実行可能な特定の機能として記憶されている。CPU24は、ゲストをログインさせた後、ゲストが実行可能な機能の実行を許可し、許可した機能をRAM23に記憶させる。
【0088】
その後、ICカード2とNFC通信部15との間でNFC通信が行われると(S32:YES)、CPU24は、NFC通信部15を介して、ICカード2に記憶されているカードIDを受信する(S33:識別情報受信処理の一例)。
【0089】
その後、CPU24は、ゲストがログインしている状態(以下、この状態を「ゲストログイン中」という。)であるか否かを判別する(S34)。
【0090】
ゲストログイン中である場合(S34:YES)、つまりRAM23にゲストIDが記憶されている場合、CPU24は、ICカード2のカードIDが不揮発性メモリ25のユーザ認証用データベースに登録されているか否かのユーザ認証を行う(S35)。
【0091】
そして、CPU24は、ユーザ認証が成功か否かを判別する(S36)。
【0092】
ユーザ認証が成功である場合(S36:YES)、つまりカードIDがユーザ認証用データベースに登録されている場合、CPU24は、ゲストIDをRAM23から消去して、仮想的にログイン中のゲストをログアウトさせる(S37)。
【0093】
ゲストのログアウト後、CPU24は、ユーザ認証用データベースからカードIDに対応するユーザIDを読み出し、そのユーザIDをRAM23に記憶させ、また、MFP1の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることにより、ユーザをMFP1にログインさせる(S38:第1ログイン処理の一例)。
【0094】
また、CPU24は、ユーザ認証用データベースを参照し、ユーザIDと対応づけて記憶されているユーザが実行可能な機能を確認して、その実行可能な機能の実行を許可し(S39)、許可した機能をRAM23に記憶させる。
【0095】
その後、ICカード2とNFC通信部15との間でのNFC通信が再び行われると(S32:YES)、CPU24は、カードIDの受信後(S33)、ゲストログイン中であるか否かを判別する(S34)。
【0096】
ゲストログイン中ではない場合(S34:NO)、つまりユーザログイン中である場合、CPU24は、ユーザ認証を行う(S40)。
【0097】
ユーザ認証が成功である場合(S41:YES)、CPU24は、ユーザ認証用データベースからカードIDに対応するユーザIDを読み出し、そのユーザIDがRAM23に記憶されているユーザIDと一致するか否かを判別する(S42)。この判別により、ユーザ認証に成功したユーザがログイン中のユーザであるか否かが判別されることになる。
【0098】
ユーザ認証に成功したユーザがログイン中のユーザであり、カードIDに対応するユーザIDがRAM23に記憶されているユーザIDと一致した場合(S42:YES)、CPU24は、表示部13に機能選択画面41が表示されているか否かを判別する(S43)。
【0099】
表示部13に機能選択画面41が表示されている場合には(S11:YES)、CPU24は、MFP1の動作モードを第2モードから第1モードに切り替え、また、RAM23に記憶されているユーザIDを消去することにより、ユーザをMFP1からログアウトさせる(S44:第1ログアウト処理の一例)。
【0100】
その後、CPU24は、ゲストIDをRAM23に記憶させて、仮想的にゲストをログインさせる(S45)。そして、CPU24は、ゲストが実行可能な機能の実行を許可し、許可した機能をRAM23に記憶させる。
【0101】
表示部13に機能選択画面41が表示されていない場合には(S43:NO)、CPU24は、表示部13に設定画面51が表示されているか否かを判別する(S46)。
【0102】
そして、表示部13に設定画面51が表示されている場合には(S46:YES)、CPU24は、ログイン中のユーザをログアウトさせず、ログイン中のユーザのログインを維持する。
【0103】
表示部13に設定画面51が表示されておらず、機能実行中画面61が表示部13に表示されている場合(S46:NO)、CPU24は、ログアウト確認画面71を表示部13に表示させる(S47)。
【0104】
そして、CPU24は、ログアウト確認画面71の「YES」選択ボタン72が押されることによるログアウト指示の有無を判別する(S48)。
【0105】
ログアウト指示があった場合(S48:YES)、CPU24は、MFP1の動作モードを第2モードから第1モードに切り替え、また、RAM23に記憶されているユーザIDを消去することにより、ユーザをMFP1からログアウトさせる(S49:第3ログアウト処理の一例)。
【0106】
その後、CPU24は、ゲストIDをRAM23に記憶させて、仮想的にゲストをログインさせる(S50)。そして、CPU24は、ゲストが実行可能な機能の実行を許可し、許可した機能をRAM23に記憶させる。
【0107】
ログアウト確認画面71の「YES」選択ボタン72が押されず、「NO」選択ボタン73が押された場合には、ログアウト指示がないので(S48:NO)、CPU24は、ログイン中のユーザをログアウトさせず、ログイン中のユーザのログインを維持する。
【0108】
一方、ユーザ認証に成功したユーザがログイン中のユーザでなく、カードIDに対応するユーザIDがRAM23に記憶されているユーザIDと一致しない場合(S42:NO)、CPU24は、RAM23に記憶されているユーザIDを消去し、これにより、ユーザをMFP1からログアウトさせる(S51)。
【0109】
その後、CPU24は、カードIDに対応するユーザIDをRAM23に記憶させることにより、ユーザをMFP1にログインさせる(S52:第2ログイン処理の一例)。
【0110】
また、CPU24は、ユーザ認証用データベースを参照し、ユーザIDと対応づけて記憶されているユーザが実行可能な機能を確認して、その実行可能な機能の実行を許可し(S53)、許可した機能をRAM23に記憶させる。
【0111】
ログイン状態で行われたユーザ認証が成功でなく失敗であった場合(S41:NO)、CPU24は、MFP1の動作モードを第2モードから第1モードに切り替え、また、RAM23に記憶されているユーザIDを消去することにより、ユーザをMFP1からログアウトとさせる(S54:第2ログアウト処理の一例)。
【0112】
その後、CPU24は、ゲストIDをRAM23に記憶させて、仮想的にゲストをログインさせる(S55)。そして、CPU24は、ゲストが実行可能な機能の実行を許可し、許可した機能をRAM23に記憶させる。
【0113】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することも可能である。
【0114】
たとえば、
図6に示されるように、MFP1にLAN経由でサーバ3が接続されている場合、MFP1の使用権限を有するユーザとユーザ所有のICカード2のカードIDおよびユーザが実行可能な機能とを対応づけることにより構成されるユーザ認証用データベースは、不揮発性メモリ25ではなく、サーバ3に記憶されていてもよい。この場合さらに、サーバ3において、ICカード2から読み取られたカードIDがユーザ認証用データベースに記憶されているか否かのユーザ認証が行われてもよい。
【0115】
サーバ3によるユーザ認証を行うことが可能な構成では、そのサーバ3によるユーザ認証である外部認証機能のオン/オフが設定可能とされてもよい。この場合、MFP1の電源投入時および外部認証機能のオン/オフを切り替える操作がなされた場合には、CPU24は、
図7に示される処理を実行する。
【0116】
図7に示される処理では、CPU24は、外部認証機能がオンであるか否かを判別する(S61)。
【0117】
外部認証機能がオンに設定されている場合(S61:YES)、CPU24は、外部のサーバ3によるユーザ認証の実行を決定する(S62)。この場合、ユーザ認証に際して、CPU24は、ICカード2から読み取ったカードIDをネットワーク通信部17からサーバ3に送信する。
【0118】
外部認証機能がオフに設定されている場合(S61:NO)、CPU24は、不揮発性メモリ25に記憶されているユーザ認証用データベースによるユーザ認証の実行を決定する(S63)。
【0119】
また、前述の実施形態では、CPU24が各処理を実行する場合について説明した。しかしながら、ASIC21が複数のCPUを備え、複数のCPUが協働して各処理を実行してもよい。
【0120】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。