(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には本発明の一実施形態に係るヒータ制御装置6を備えた画像形成装置1の構成の概要が、
図2にはヒータユニット4の構成の例が示されている。
【0023】
図1において、画像形成装置1は、電子写真式のプリンタエンジン10を備えたカラープリンタである。画像形成装置1のユーザは、ハウジングの上部に設けられた操作パネル19を用いて画像形成装置1を直接に操作することができる。
【0024】
プリンタエンジン10は4個のイメージングステーション11,12,13,14を有しており、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナー像を並行して形成する。イメージングステーション11,12,13,14のそれぞれは、筒状の感光体、帯電チャージャ、現像器、クリーナ、および露光用の光源などを有している。
【0025】
4色のトナー像は中間転写ベルト16に一次転写され、用紙カセット20から給紙ローラ15Aによって引き出されてレジストローラ対15Bを経て搬送されてきた用紙2に二次転写される。二次転写の後、用紙2は定着器17の内部を通って上部の排紙トレイ18へ送り出される。定着器17を通過するとき、加熱および加圧によってトナー像が用紙2に定着する。
【0026】
定着器17は、加熱ローラ171と加圧ローラ172とを有し、これらのローラで用紙2を搬送しながら熱と圧力とを用紙2に加える。加熱ローラ171は、その筒状の芯金内に熱源としてランプ加熱式のヒータユニット4を内蔵している。ヒータユニット4は、ヒータ駆動部5から供給される電力により発熱し、加熱ローラ171の周面を昇温させる。ヒータ駆動部5は、ヒータ制御装置6により制御される。用紙2が定着器17を通過するときに、加熱ローラ171が定着に適した温度になるように、ヒータ制御装置6によってヒータ駆動部5が制御される。
【0027】
図2において、ヒータユニット4は、第1のヒータ41と第2のヒータ42とを有する。第1のヒータ41は、例えばハロゲンランプであり、加熱ローラ171における回転軸方向M7の中央部を加熱するように配置されている。第1のヒータ41は、使用される用紙2のサイズにかかわらず、画像を形成する際には必ず点灯駆動される。
【0028】
第2のヒータ42は、例えば第1のヒータ41よりも定格電力の小さい2個のハロゲンランプ42A,42Bから構成され、加熱ローラ171における回転軸方向M7の両端部を加熱するように配置されている。ハロゲンランプ42A,42Bは、例えば直列接続されている。
【0029】
第2のヒータ42は、加熱ローラ171の両端部を昇温させる必要がある場合に、例えば加熱ローラ171の中央部および両端部と接する大きなサイズの用紙2を使用する場合に、点灯駆動される。通常、第2のヒータ42が点灯駆動される場合には、第1のヒータ41も点灯駆動される
加熱ローラ171の近傍には、周面における回転軸方向M7の中央部の温度を検出するセンサ71、および同じく両端部を検出するセンサ72,73が配置されている。
【0030】
図3にはヒータ駆動部5およびヒータ制御装置6の構成の概要が、
図4にはヒータ駆動部を制御する信号の例が、それぞれ示されている。
【0031】
図3において、ヒータ駆動部5は、第1のヒータ41に電力を供給する第1の駆動回路51および第2のヒータ42に電力を供給する第2の駆動回路52を有する。
【0032】
そして、ヒータ制御装置6は、第1の駆動回路51を制御する第1制御部61および第2の駆動回路52を制御する第2制御部62を有する。
【0033】
第1制御部61は、第1の駆動回路51をパルス幅変調により制御する信号である第1のPWM信号S1、および第2のヒータへの電力の供給または供給停止を指令するオンオフ信号S3を生成する。第1のPWM信号S1は、第1の駆動回路51に入力され、オンオフ信号S3は、第2制御部62に入力される。
【0034】
第1制御部61には、センサ71,72,73が接続されている。第1制御部61は、センサ71の出力に応じて、加熱ローラ171が所定の温度になるように第1のPWM信号S1を生成する。また、第1制御部61は、第2のヒータ42を点灯駆動する必要があるときに、オンオフ信号S3の状態を第2のヒータ42への電力の供給を指令するオン状態とする。第2のヒータ42を点灯駆動する必要がないときには、オンオフ信号S3の状態を第2のヒータ42への電力の供給停止を指令するオフ状態とする。
【0035】
第2制御部62は、オンオフ信号S3がオン状態であるときに、第2の駆動回路52をパルス幅変調により制御する信号である第2のPWM信号S2を、第1のPWM信号S1を用いて生成する。
【0036】
図4において、第1のPWM信号S1は、ソフトスタートパルス列S11とそれに続く定常制御パルス列S12とから構成される。第1のPWM信号S1のパルス周期T0は例えば500μSである。
【0037】
ソフトスタートパルス列S11は、第1のヒータ41の駆動の開始に際して第1の駆動回路51における突入電流を低減するためのソフトスタートに係る信号である。ソフトスタートパルス列S11の長さおよび各パルスのデューティ比は、第1のヒータ41の使用状況(前回の画像形成からの経過時間)などに応じて適宜変更される。
【0038】
定常制御パルス列S12は、加熱ローラ171を所定の温度に加熱しまたは温度を保つように第1の駆動回路51を制御する信号である。定常制御パルス列S12の各パルスのデューティ比は、加熱ローラ171で検出された温度に応じて適宜変更される。
【0039】
第2のPWM信号S2は、第1のPWM信号S1が出力される時点t1より遅れた時点t2に出力される。信号の出力を開始するタイミングをずらすことにより、ヒータユニット4による電力消費の集中を緩和することができる。ただし、第1のPWM信号S1の出力と同時に第2のPWM信号S2を出力することは可能である。
【0040】
第2のPWM信号S2は、ソフトスタートパルス列S21とそれに続く定常制御パルス列S22とから構成される。
【0041】
ソフトスタートパルス列S21は、第2のヒータ42の駆動の開始に際して第2の駆動回路52における突入電流を低減するためのソフトスタートに係る信号である。ソフトスタートパルス列S21は、第1のPWM信号S1に同期しかつ各パルスが後に述べるデューティ比の設定条件を満たすパルスからなる。
【0042】
なお、「第1のPWM信号S1に同期」とは、第1のPWM信号S1の各パルスと時間的に一定の関係を持たせることである。したがって、パルスエッジが一致する状態のみでなく、パルスエッジがずれている状態をも含み、またパルス幅が異なってもよい。以下同様である。
【0043】
定常制御パルス列S22は、第2の駆動回路52を第1の駆動回路51と同様に制御する信号であり、第1のPWM信号S1に同期したパルスからなる。
【0044】
以下、第2制御部62における第2のPWM信号S2を生成する機能を中心にモータ制御装置6の構成および動作をさらに説明する。
【0045】
図5にはヒータ駆動部6の回路構成が、
図6にはヒータ制御装置6の回路構成の第1例が、
図7には
図6のヒータ制御装置6の動作のタイミングが、それぞれ示されている。
【0046】
図5において、第1の駆動回路51は、商用電源500から供給される交流電力を整流し、所定の電圧の電力に変換して出力するスイッチング電源回路である。
【0047】
第1の駆動回路51は、ダイオードブリッジからなる整流器71、コンデンサ502,504とコイル503とからなるπ型ノイズフィルタ、スイッチング素子513とダイオード511とコイル(リアクトル)512とからなる降圧チョッパ部、およびドライバ514を有する。スイッチング素子513は、例えばパワートランジスタである。IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )またはMOS−FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor )であってもよい。
【0048】
コイル512と第1のヒータ41とスイッチング素子513のコレクタ・エミッタ間とがこの順に直列に接続され、この直列回路がπ型ノイズフィルタの出力側のコンデンサ504に並列に接続される。コイル512と第1のヒータ41との直列回路に対して並列になるようダイオード511のカソードがコイル512に接続されるとともにアノードが第1のヒータ41に接続されている。ダイオード511は、スイッチング素子513が閉状態から開状態になったときに、コイル512に溜まっている磁気エネルギーを回生電流として第1のヒータ41に流すための還流素子である。
【0049】
ドライバ514は、第1制御部61から入力される第1のPWM信号S1をスイッチング素子513の制御に適した電圧レベルの信号に変換してスイッチング素子513のベースに入力する。
【0050】
第1の駆動回路51は、第1のPWM信号S1のデューティ比に応じた電圧の電力を第1のヒータ41に供給する。パルス幅変調により、正弦波に近い波形の電流が第1のヒータ41に供給される。
【0051】
第2の駆動回路52は、コイル522、ダイオード521、スイッチング素子523、およびドライバ524を有する。第2の駆動回路52の回路構成は、第1の駆動回路51の高周波チョッパ部と同様である。すなわち、コイル522と第2のヒータ42とスイッチング素子523のコレクタ・エミッタ間とがこの順に直列に接続される。この直列回路に並列に接続されるようダイオード521がコイル522とスイッチング素子523のコレクタとに接続されている。ダイオード521は、スイッチング素子523が閉状態から開状態になったときに、コイル522に溜まっている磁気エネルギーを回生電流として第2のヒータ42に流すための還流素子である。
【0052】
ドライバ524は、第2制御部62から入力される第2のPWM信号S2をスイッチング素子523の制御に適した電圧レベルの信号に変換してスイッチング素子523のベースに入力する。
【0053】
第2の駆動回路52には、第1の駆動回路51におけるπ型ノイズフィルタを経た後の電力が入力される。第2の駆動回路52は、入力された電力を第2のPWM信号S2のデューティ比に応じた電圧の電力に変換して第2のヒータ42に供給する。
【0054】
図6において、第1制御部61は、制御用のプログラムを実行するCPU100、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)101、およびプログラムを実行するためのワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)102などを有する。CPU100は、プログラムに従って第1のPWM信号S1およびオンオフ信号S3などの制御信号を生成する機能を有している。CPU100は、ASICであってもよい。
【0055】
CPU100により生成された第1のPWM信号S1は、端子(ポート)611から出力され、第2制御部62を経由して第1の駆動回路51のドライバ514に入力される。また、CPU100により生成されたオンオフ信号S3は、端子612から出力されて第2制御部62に入力される。
【0056】
なお、第1制御部61と第2制御部62とを別体としてもよいし、1つの基板または素子として混載して設けてもよい。つまり、第1制御部61および第2制御部62の回路構成、部品構成、および実装方法などは、本実施形態に係わらず種々変更することができる。後に述べる変形例においても同様である。
【0057】
第2制御部62は、期間設定タイマー621、デューティ設定タイマー622、論理積回路623、およびマルチプレクサ624(信号選択回路)を有する。
【0058】
図7をも参照して、期間設定タイマー621は、オンオフ信号S3がオフ状態からオン状態に切り替わったときから所定時間が経過するまでの期間T4にアクティブとなるソフトスタート期間信号S4を生成する第1のタイマー回路である。期間設定タイマー621は、オンオフ信号S3のオン状態に切り替りを契機として所定時間の計時を開始し、計時中のみ出力がアクティブとなるものであればよい。プログラムによる制御が不要の簡単な構成の回路により期間設定タイマー621の機能を実現することができる。
【0059】
デューティ設定タイマー622は、第1のPWM信号S1の各パルスのパルス幅w11、w12を所定値(w5)に変更する第2のタイマー回路であり、第1のPWM信号S1に同期したデューティ設定信号S5を生成する。デューティ設定タイマー622の機能も期間設定タイマー621と同様にプログラムによる制御が不要の簡単な構成の回路により実現することができる。
【0060】
図7に示すように、デューティ設定信号S5は、第1のPWM信号S1の各パルスと立上りエッジが同期した複数のパルスから構成される。デューティ設定信号S5を構成する複数のパルスにおいて、パルス幅w5は一律である。
図7の例において、パルス幅w5は、第1のPWM信号S1におけるソフトスタートパルス列S11におけるパルス幅w11と同じである。しかし、パルス幅w5は、第1のPWM信号S1における定常制御パルス列S12におけるパルス幅w12よりも短い。
【0061】
論理積回路623には、第1のPWM信号S1およびオンオフ信号S3が入力される。論理積回路623は、当該オンオフ信号S3がオン状態であるときに当該第1のPWM信号S1を通過させる。すなわち、第1のPWM信号S1とオンオフ信号S3との論理積信号S6を出力する。
【0062】
マルチプレクサ624は、ソフトスタート期間信号S4がアクティブのときには、デューティ設定タイマー622によりパルス幅の変更された第1のPWM信号S1であるデューティ設定信号S5をソフトスタートパルス列S21として選択する。また、ソフトスタート期間信号S4がアクティブではないときには、論理積回路623を通過した第1のPWM信号S1である論理積信号S6を定常制御パルス列S22として選択する。これらの選択により、マルチプレクサ624は、第2のPWM信号S2を出力する。
【0063】
第2制御部62においては、ソフトスタートパルス列S21は、パルス幅w5が一律のデューティ設定信号S5の一部である。つまり、ソフトスタートパルス列S21の各パルスが満たすデューティ比の設定条件として、デューティ比を所定値(w5/T0)に限定することが定められている。
【0064】
なお、本実施形態においては、第1のPWM信号S1のパルス周期T0が一定であるので、デューティ比を限定することはパルス幅を限定することと同等である。
【0065】
ヒータ制御装置6の回路構成の変形例として、以下の第2例〜第5例がある。
【0066】
図8にはヒータ制御装置6の回路構成の第2例が、
図9には
図8のヒータ制御装置6bの動作のタイミングが、それぞれ示されている。
【0067】
図8において、ヒータ制御装置6bは、第1の駆動回路51を制御する第1制御部61bおよび第2の駆動回路52を制御する第2制御部62bを有する。ヒータ制御装置6bの基本的な構成は、
図6のヒータ制御装置6の構成と同様である。
【0068】
ヒータ制御装置6bにおいては、第2制御部62bに、
図6のヒータ制御装置6の期間設定タイマー621に代えて、2個の期間設定タイマー621a,621bおよびマルチプレクサ625が設けられている。期間設定タイマー621aは、
図8に示すように期間T4aにおいてアクティブとなるソフトスタート期間信号S4aを生成し、期間設定タイマー621bは、期間T4aよりも短い期間T4bにおいてアクティブとなるソフトスタート期間信号S4bを生成する。そして、第1制御部61bは、第1のPWM信号S1およびオンオフ信号S3の他に、第2のヒータに対する電力の供給におけるソフトスタートの長さの切替えを指令する期間切替え信号S7を端子613から出力する。
【0069】
マルチプレクサ625は、第1制御部61bからの期間切替え信号S7が
図9に実線で示すようにアクティブでないときには(ローレベル)、マルチプレクサ624に与えるソフトスタート期間信号S4として、ソフトスタート期間信号S4aを選択する。期間切替え信号S7が
図9に一点鎖線で示すようにアクティブであるときには(ハイレベル)、ソフトスタート期間信号S4bを、ソフトスタート期間信号S4として選択する。
【0070】
つまり、ヒータ制御装置6bは、期間T4aと期間T4bとの切替えが可能に構成されており、第2制御部61bは、期間切替え信号S7に従って、第2のPWM信号S2におけるソフトスタートパルス列S21a,S21bの長さを切り替える。
【0071】
例えば、第2のヒータ42の前回の駆動からの経過時間が2時間未満と短くて第2のヒータ42が冷め切っていないと判断した場合には、第1制御部61bは、期間切替え信号S7をアクティブとする。この場合には、比較的に短いソフトスタートパルス列S21bとそれに続く定常制御パルス列S22bとからなる第2のPWM信号S2bが第2の駆動回路52へ出力される。期間切替え信号S7がアクティブでない場合には、比較的に長いソフトスタートパルス列S21aとそれに続く定常制御パルス列S22aとからなる第2のPWM信号S2aが第2の駆動回路52へ出力される。なお、期間切替え信号S7は、期間T4bが経過した後の適時にローレベルとされる。
【0072】
図10にはヒータ制御装置6の回路構成の第3例が、
図11には
図10のヒータ制御装置6cの動作のタイミングが、それぞれ示されている。
【0073】
図10において、ヒータ制御装置6cは、第1の駆動回路51を制御する第1制御部61cおよび第2の駆動回路52を制御する第2制御部62cを有する。ヒータ制御装置6cの基本的な構成は、
図6のヒータ制御装置6の構成と同様である。
【0074】
ヒータ制御装置6cにおいては、第2制御部62cに、
図6のヒータ制御装置6のデューティ設定タイマー622に代えて、2個のデューティ設定タイマー622a,622bおよびマルチプレクサ626が設けられている。そして、第1制御部61cは、第1のPWM信号S1およびオンオフ信号S3の他に、ソフトスタートパルス列S21のパルス幅の切替えを指令するデューティ切替え信号S8を端子614から出力する。
【0075】
デューティ設定タイマー622aは、
図11に示すように、第1のPWM信号S1の各パルスのパルス幅w11、w12を所定値(w51)に変更する第2のタイマー回路であり、第1のPWM信号S1に同期したデューティ設定信号S5aを生成する。
【0076】
同様に、デューティ設定タイマー622bは、第1のPWM信号S1の各パルスのパルス幅w11、w12を所定値(w52)に変更する第2のタイマー回路であり、第1のPWM信号S1に同期したデューティ設定信号S5bを生成する。デューティ設定信号S5bのパルス幅w52は、デューティ設定信号S5bのパルス幅w51よりも短い。
【0077】
マルチプレクサ626は、第1制御部61cからのデューティ切替え信号S8が
図11に示すようにアクティブでないときには(ローレベル)、マルチプレクサ624に入力すべきデューティ設定信号S5として、デューティ設定信号S5b選択する。デューティ切替え信号S8がアクティブであるときには(ハイレベル)、ソフトスタート期間信号S4として、ソフトスタート期間信号S4bを選択する。
【0078】
ヒータ制御装置6cは、ソフトスタートパルス列S21cにおけるパルス幅(すなわちデューティ)の切替えが可能に構成されており、第2制御部61cは、デューティ切替え信号S8に従って、第2のPWM信号S2におけるソフトスタートパルス列S21cのパルス幅を切り替える。
【0079】
図11の例では、ソフトスタートパルス列S21cの前半のパルス幅w51よりも後半のパルス幅w52を長くするようデューティ切替え信号S8がソフトスタートの途中で切り替えられている。ソフトスタートパルス列S21cは、パルス幅がw52であるパルス列S211とそれに続くパルス幅がw51であるパルス列S212とから構成される。つまり、ソフトスタートパルス列S21cの各パルスが満たすデューティ比の設定条件として、デューティ比を先頭側から段階的に大きくすることが定められている。
【0080】
デューティ比を段階的に大きくすることにより、突入電流を低減しつつ第2のヒータ42をより速く昇温させることができる。
【0081】
第2制御部61cの生成する第2のPWM信号S2cは、ソフトスタートパルス列S21cとそれに続く定常制御パルス列S22cとから構成される。
【0082】
なお、
図11の例では、ソフトスタートにおけるパルス幅の切替えを2段階としたが、計時する時間が互いに異なる3以上のデューティ設定タイマーを設け、3段階以上の切替えを行うことができる。
【0083】
図12にはヒータ制御装置6の回路構成の第4例が示されている。第4例のヒータ制御装置6dは、第2例と第3例とを組み合わせた例である。
【0084】
ヒータ制御装置6dは、第1制御部61dと第2制御部62dとを有する。第1制御部61dは、第1のPWM信号S1、オンオフ信号S3、期間切替え信号S7、およびデューティ切替え信号S8を出力する。第2制御部62dは、2個の期間設定タイマー621a,621b、2個のデューティ設定タイマー622a,622b、論理積回路623、および3個のマルチプレクサ624,625,626を有する。
【0085】
図9および
図11をも参照して、ヒータ制御装置6dは、ソフトスタートを行う期間T4a,T4bの切替え、およびソフトスタートにおけるパルス幅w51,w52の切替えが可能に構成されている。
【0086】
図13にはヒータ制御装置6の回路構成の第5例が、
図14には
図13のヒータ制御装置6eの動作のタイミングが、それぞれ示されている。
【0087】
図13において、ヒータ制御装置6eは、第1制御部61と第2制御部62eとを有する。第2制御部62eには、
図6の第2制御部62と同様の構成要素に加えて、第2のPWM信号S2eの各パルスの立上りエッジを第1のPWM信号S1の各パルスの立上りエッジに対して遅延させる遅延部627が設けられている。
【0088】
遅延部627は、マルチプレクサ624から出力されるPWM信号S20を遅延させて第2のPWM信号S2eとして第2の駆動回路52へ出力する。遅延部627による遅延の長さTdは、第1のPWM信号S1のパルス周期T0よりも短い値に設定されている。
【0089】
以上の実施形態によると、1つのPWM制御信号(第1のPWM信号S1)に基づいて、複数のヒータ41,42についてPWM制御を行いかつヒータ41,42ごとに個別のソフトスタートを行うことができる。プログラムによらずに信号を生成する簡単な構成の回路(タイマー、論理回路、およびマルチプレクサ)により、第1のPWM信号S1とはソフトスタートの条件が異なる第2のPWM制御S2を生成することができる。したがって、PWMポートを有するプロセッサを複数個用いたり、複数のPWMポートを有するプロセッサを用いたりするよりも、ヒータ制御装置6,6b〜eの製造コストを低減することができる。
【0090】
上に述べた実施形態において、ヒータユニット4は、複数のヒータ41,42を加熱ローラ171における回転軸方向M7の同じ部位を昇温させるように配置したものでもよい。
【0091】
デューティ設定タイマー622a、622bに加えてさらに1個または複数個のデューティ設定タイマーを設け、ソフトスタートにおけるデューティの選択肢を3以上としてもよい。
【0092】
期間設定タイマー621a、621bに加えてさらに1個または複数個の期間設定タイマーを設け、ソフトスタートの長さの選択肢を3以上としてもよい。
【0093】
第1のヒータ41と第2のヒータ42と個別に制御する2系統の制御を例示したが、第3のヒータを追加して3系統の制御を行うことが可能である。その場合には、第2制御部62,62b〜62eと同様の構成をもつ第3制御部を設け、第2のヒータと第3のヒトとについて個別にオンオフを指令する2つのオンオフ信号を第1制御部61,61b〜61dに出力させるようにすればよい。
【0094】
第2のPWM信号S2cだけでなく、第1のPWM信号S1のソフトスタートパルス列S11を、デューティ比が先頭側から段階的に大きくなるパルス列とすることができる。第1のPWM信号S1については、CPU100により生成されるので、ソフトスタートパルス列S11の長さおよびデューティ比の切替えを容易に行うことができる。
【0095】
図8の第2例、
図10の第3例、および
図12の第4例についても、
図13の第5例と同様に遅延部627を設けてもよい。遅延部627を設けることにより、第1のPWM信号S1の出力タイミングと第2のPWM信号S2b,S2c,S2dの出力タイミングとをずらして第2のヒータ42による電力消費の集中を緩和することができる。
【0096】
その他、画像形成装置1およびヒータ制御装置6,6b,6c,6d,6e21のそれぞれの全体または各部の構成、パルス幅変調のパルス周期T0、処理の内容、順序、またはタイミングなどは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。